月夜裏 野々香 小説の部屋

   

After Midway

   

第53話 1946/10 『国際連合』

 国際連合は、拡大していく。

 ここで、問題となったのが日本の扱い。

 連合国軍を中心に組織された国際連合だったものの、

 日本抜きの国際連合は、問題があり過ぎた。

 アメリカは、日本の国際連合への加盟と常任理事国の椅子を用意する。

 日本政府は、国際連合の敵国条項と常任理事国制の廃止。

 分担金上位5カ国が、拒否権を有する上院理事国。

 選挙で選ばれる理事国10カ国を下院理事国とすることを要求。

 アメリカは、最大の債権国であり “問題無し” いや “好都合” とばかりに賛成。

 常任理事国以外の加盟国のソ連、イギリス、フランス、中国も、反対できず。

 渋々、賛成した。

  

 

 大蔵省の一室で・・・

 「・・・この予算は、どこから出ているんだ?」

 「ケルゲレン島開発費か。武器売却分だろう」

 「中国内戦、南アフリカ、南米、インドが買ってくれている」

 「ユダヤ資本も購入しているから、その見込み分を試算したと聞いたぞ」

 「取らぬ狸の皮算用って、知っているか?」

 「俺は知っているがね。政治家が知っているかは知らんね」

 「・・・際どいな。採算が取れないと酷いぞ」

 「南氷洋の捕鯨基地にするから何とかなるそうだ」

 「どうも、ベーリング海あたりは、気まずくて行きたくないそうだ」

 「なに、遠慮しているんだか、カムチャッカ半島の東岸だから正当なものだ」

 「ケルゲレン島は、地中海の出雲(サルジニア)・因幡(コルシカ)と」

 「南米の北秋津(バトス)・南秋津(ミリン)への中継基地になるだろう」

 「それ以前にシンガポールが問題だろう」

 「あそこは、もとより社会基盤があるから日本人の移民も進んでいる」

 「それより、ルートを構築して経済的に自立させたいらしい」

 「いまの日本は、アメリカ軍の置き土産で遣り繰りしているようなものだ」

 「アメリカがハワイを再建する前に出来ることは、全部やるべきだろうな」

 「どうかな、アメリカはミッドウェーを埋め立てているらしい」

 「それとマウイ島、ラナイ島、モロカイ島、カホーラウェ島を開閉式の堤防でつなげる計画もあるらしい」

 「大規模な海洋都市だな」

 「あの当時でさえ、直接、日本本土に上陸させるだけの物資を蓄積させたのだ」

 「相当大きな圧力を受けるだろうな」

 「朝鮮半島からの圧力の方が大きいだろう」

 「今は、朝鮮半島のアメリカ軍だけで日本を滅ぼせるよ」

 「・・・やはり財政は、厳しいな。軍事費を最低限に落としてこれじゃ」

 「家屋が燃やされて焼け野原だ。軍事力より衣食住だよ」

 「兵器と武器弾薬は余っているがな・・・・家か・・・・」

 「それにアメリカ製の武器弾薬が拾われているのか、犯罪も多い」

 「やれやれ」

 「アメリカは、朝鮮半島の日本資本は、全て買い取るんだよな」

 「そうらしいな」

 「そのお金は?」

 「全部。再建資金に使われるそうだ」

 「アメリカが朝鮮の経済支配か」

 「政治、軍事、経済ともアメリカに支配されるだろうな」

  

 

 

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