第54話 1946/11 『広軌鉄道1676mm』
日本は、天皇の勅命で軍国主義的な性質を排除していく。
自由資本主義的な政治改革は後回しだった。
しかし、強制的な農地改革や規制緩和など、緩やかに経済成長していた。
国家再建計画は、斜陽経済でなされ、
石炭の増産と産業基盤を整えることから始められた。
この時、東京、名古屋、大阪の3大都市が爆撃で焼け野原になっていたことが幸いする。
政府は、強引な都市計画と区画整理、農地改革、土地交換を理不尽に強行し、
鉄道、道路、飛行場、港湾、大型工場、公共施設、
大学、発電所、製鉄所、炭鉱、穀倉地帯などが区画で分けられ連結されていく、
そして、狭軌1067mmから大量輸送、高速輸送が可能な広軌1676mmへの切り替えを進めていた。
国防と経済のため海峡トンネルの建設が検討され、
下関、津軽、宗谷、淡路、鳴門、豊後、浦賀、伊良湖、友ヶ島が候補に挙がっていく、
国防省は、巨済島、南海島、麗水半島、高興半島、完島を地下鉄で連結させるため、
予算を割いていた。
また、遠く離れた出雲と因幡。南北秋津の海峡トンネルの建設も検討されていく。
満州戦線
ソ連軍の攻勢は冬季にともなって減少していく、
台湾傭兵部隊20万は、国民党・国民軍の主力となって戦線を支えており、
共産主義軍との内戦は、激しさを増していく。
敷島(台湾)から福建省への移民は300万に達し、
日本から敷島への移民も300万に達していた。
これは、区画整理で土地が振り分けられたための移民だった。
敷島州移民は、出雲州同様、企業農法を積極的に取り入れた大規模資本に誘導されていく、
そして、扶桑・樺太の開発は、林業、漁業、鉱物採掘を中心に行なわれていく。
日本連邦議会で戦争に関する憲法が制定され、
これにより、文民統制が基本であり軍部が政治に介入できないこと、
国防大臣が軍部出身でなくてもいいこと、
戦争開始は議会の賛成多数が必要であり、
国土を侵略された場合は、その限りでないこと、
国防費は、周辺国で最強の戦力に準じるなどが決められた。
統合規格省
「・・・広軌は、反対が多いぞ」
「だが、強行採決された」
「小さな島を除けば狭軌鉄道は車両と一緒に押しやられて、あと20年で、なくなるだろう」
「国家100年の計か」
「大義名分にはなる」
「戦後経済に移行しようというときにか」
「戦後でなければできないだろう」
「それもそうだ」
「しかし、日本は、地震、台風、津波の被害が多くて戦災だけですまない国だからな」
「広軌の方が地震に強いそうだ」
「まあ、そうだろうが。せめて、標準軌1435mmでも、良かったんじゃないのか」
「戦車や火砲を大量に輸送できて装甲列車も強力に出来る。大量輸送も高速輸送も大きい」
「他国と連結することも無いから広軌は、気にしなくても良いだろう」
「しかし、広軌で20万kmは、大きいな」
「土地収用は終わっている」
「土地は、余計に入手しているから路線を建設するだけでいい」
「都市圏は、地下鉄にするのは」
「すぐには無理だが、そのつもりだ」
「道路建設もかねて土木建設機械の量産は進んでいる」
「掘削機もかなりの予算をかけている」
「地下の方が地震に強いからか?」
「それと、自動車を後回しにするそうだ」
「なぜだ?」
「鉄道族が強いからだろう」
「またか。アメリカ軍が、ぼやいていたぞ。何で道路が舗装されていないんだってな」
「“占領できなかったじゃないか” だろう」
「洪水を起こしたのはアメリカ軍なのにいい気なものだ」
「鉄道が良いのは燃料の問題だな。石油を消費する自動車は敬遠したい」
「それで、電気自動車を主とする道路交通機関か、鉄道族の陰謀じゃないのか」
「樺太州、瑞穂州に油田はあるが少量だ。独立条約の利権も10分の1でしかない」
「各国の政情によっても影響が出るか」
「戦争中、油で苦しんだから、なるべく、油を消費しないで、済む政策を取りたいそうだ」
「それで、水力発電、風力発電、地熱発電を増やしているわけか」
「そういう事」
「秋津州は大丈夫か。ブラジルにウルグアイ。秋津に攻めようとか思っていないだろうな」
「南米の日系人24万と日本本土から100万が移民するはずだ」
「それに攻めにくい場所だから大丈夫だろう」
ダグラス A-1H スカイレーダー アメリカ海軍 なんと、2800馬力
よろしくです。
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