月夜裏 野々香 小説の部屋

     

After Midway

   

 

第62話 1952年 『修羅半島』

 朝鮮動乱

 アメリカの軍政下。

 朝鮮民族は、アメリカ資本と実務担当の日本に隷属させられていた。

 米帝と日帝から土地、家、工場、物資を奪い返す口実で共産主義革命が起こる。

 そして、侵攻してきた満州朝鮮族軍がアメリカ軍を撃ち破ると、

 自分のモノが何一つ無い朝鮮人は立ち上がった。

 半島は一気に共産主義勢力に覆われていく、

 しかし、満州朝鮮族軍が侵攻するにつれ、蛮行も深刻になっていく、

 共産主義の希望が絶望によって打ち砕かれ、

 朝鮮民族は、生き残ることを最優先する。

 その時々で、強い者。勝つ側、勝ち組に付こうとする。

 主義主張に信念がなく。

 生き残る側、勝つ側、勢いがある側に付くことに信念があると・・・

 それを知恵のある者だと矜持にしている韓国人は大多数を占めていた。

 優勢な陣営に朝鮮人が増え、勢いが一気に加速する現象が起こる。

 そのため、反撃を受ける度に味方と思っていた朝鮮人が敵方に寝返り、

 戦線は大混乱をおこした。

 戦線は、地獄のローラーと呼ばれるほど南北に大きく行き来するのも、

 そういった朝鮮民族の気質が要因の一つだった。

 アメリカ軍は、朝鮮人が敵か、味方か、判別付かず、

 撹乱され、次第にキレはじめる。

 そして、第二次世界大戦中から戦後にかけ、

 生産、蓄積した武器弾薬を容赦なく戦場に叩き込んだ。

 アメリカ軍が優勢になり、半島北岸にまで朝鮮軍を追い詰めた時、

 中国義勇軍100万が押し寄せてきた。

 この中国参戦 (義勇軍だから戦争ではないらしい) が、

 国連軍をあっという間に38度線の南側にまで押し返していく。

  

センチュリオン戦車

 イギリス軍のセンチュリオン戦車が仁川港に陸揚げされる。

 白人と黄色人が双眼鏡で眺めていた。

 「あれがセンチュリオン戦車か・・・・いいなぁ」

 「んん・・・・たしかに・・・・さすが戦車発祥の国」

 「イギリス兵が鼻歌を歌っているよ。いい気なもんだ」

 「ああいう戦車に乗って戦場にいけるのなら鼻歌も出るんじゃないか」

 「んん、やっぱり侵攻作戦で、戦車は絵になるよ」

 「しかし、人海戦術の中国軍相手ではどうかな・・・・」

 「アメリカの新型は、M48だっけ。大丈夫なのか?」

 「M47よりはね」

 「M47は、改造するよ。名前は、“蔵王”」

 「“蔵王”・・・・いつから数字じゃなくて、戦車を名前で呼ぶようになったんだ」

 「ソ連戦車を使って、途中が空いたからね」

 「心機一転で山の名前をつけることになったらしい」

 「ふ〜ん 日本は、ソ連戦車を朝鮮戦争で全部放出して、新型の“蔵王”で固めるわけか」

 「さあ、ハリウッドが買いたいとか聞いたけど。どうするんだろう」

 「あいつらなんでも映画にして儲けるからな。人間の命をなんだと思っているんだ」

 「そういえば、来てたな」

 「日本の映画会社もだろう」

 「あははは・・・」

 「ったくぅ だから資本主義は嫌われたんだ」

 「結局、国がやるか、企業がやるかだろう」

 「まあな。少なくとも国が撮るより、ハリウッドが撮った方が構図が良いし迫力がある」

 「そりゃ 三面図みたいな撮り方じゃ 負けるわな」

 「まぁ 構図がよければ同じ死でも死に甲斐があるよ」

 「死ぬ時に映像は気にしないだろう」

 「いや、かっこよく死ぬ方がいい」

 「そういえば、侍は、そういうところがあったな。まだ切腹するのか」

 「いや、もう、しないけどな」

 「そりゃ 残念だ。撮りたかったのに」

 「あははは・・・」

 『開発中の54式戦車は、蔵王の予定か・・・・』

 機密は、漏れやすい。

 その後、センチュリオン戦車は、朝鮮戦争最強戦車の評価を受ける、

   

  

 

F80戦闘機

F86戦闘機

MIG15戦闘機

雷風5型

愛称

シューティングスター

セイバー

 

 

全長×全幅(m)

10.49×11.81

11.44×11.31

10.86×10.08

10.00×12.00

全高(m)

3.43

4.47

3.70

3.20

翼面積(u)

22.07

26.76

20.6

21

機体重量(kg)

3820/7650

4940/9200

3680/6050

3500/5000

速度(km/h)

956

1120

1080

1100

推力(kg)

2450

2680

2700

1800

航続距離(km)

1330km (増槽使用)

2000 (増槽使用)

1900(増槽使用)

1600 (増槽使用)

 

12.7mm機銃×6

12.7mm機関銃×6

37mm機関砲×1

リボルバーカノン

25mm×1

 

 

 

23mm機関砲×2

 

 

454kg爆弾×2 or 増槽

450kg爆弾×2 or 増槽

最大500kg

増槽

 

ロケット弾×8

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 雷風5型が優れた戦闘機であると、

 アメリカ軍パイロットの間でも認知されるようになっていた。

 電装品が旧式でも、軽量で機動性が高く速度で申し分ない。

 リボルバーキャノンは、ドイツの技術。

 そして、日本の25mm機関砲の滑空銃身を軸回転させる機構は、そのまま継承していた。

 初速1200、発射速度1500発というデタラメな性能だった。

 雷風は、細身に作られていながら、

 機体後部の吸気口から膨らみ、ジェットエンジンまで空気が送られている。

 エンテ・カナード機特有の運動特性があってもMIG15を撃墜できた。

 防弾という観点でいうと、それなり。

 機動性を損なわない十分な強度。

 そして、操縦席に少しばかりの防弾。

 ジェットエンジンが小型ながら高性能なのは、苦心の積み重ねといえる。

 これなら雷風5型を制空戦闘機にして、

 F86戦闘機を戦闘爆撃機として運用する戦術も成り立つ。

 釜山、江華島の飛行場に、懐かしい大戦中の戦術・戦略爆撃機が展開していた。

 雷風5型とF86戦闘機がMIG15戦闘機を梅雨払いしたあと。

 B17爆撃機。A26インベーダーなどの爆撃部隊が共産軍に爆弾の雨を落とし、

 航空戦の優勢で中国軍の参戦で苦戦する米韓軍・国連軍の士気を回復させていく。

  

 飛行場 

 雷風5型の周りにパイロットや整備士が集まる。

 「んん、滑空砲か、ライフル溝からエネルギー噴出が抜けないから」

 「発射薬重量に比べて初速が速いのかな?」

 「軸回転での回転数が早いからじゃないか、エンジンの回転を上手く伝動させている」

 などと、セミプロらしい意見を言う。

 そこに指揮官が来る。

 「おい、水豊ダムを爆撃するぞ」

 「ダム?」

 「ああ、昔、日本が作ったダムだ」

 「アメリカが買ったダム?」

 「ああ、そうだ」 不機嫌

 「やれやれ、戦後再建が思いやられるな」

 「地上部隊の遺族年金と見舞金よりマシだ。いくぞ!!」

 雷風5型とF86戦闘機が飛び立ち。

 B29戦略爆撃機が慌しく動き始める。

 

 

 前線は交錯していた。

 逃げ回る朝鮮人が敵なのか味方のか、まったくわからない。

 砲撃と爆撃で近代的な都市や工場は、破壊されつつあった。

 満州朝鮮族軍は、都市に立て篭り、徹底抗戦する場合が多く。

 アメリカがお金を出した建築物は瓦礫と化し、

 廃墟は、銃痕と血に染まっていく。

 市街戦になると。

 どこから持ち出したのか、38式小銃による狙撃戦が効果的だったりもする、

 侵攻した中国軍は、持ち運べるもの全てを中国本土に運び去ったらしい。

 それでも、隠された物や抜け落ちた物も多い。

 廃墟の隠れ家

 「獲ってきたかニカ?」

 「ああ、随分、溜まったニダ」

 武器弾薬と生活用品などの盗品が山の如し、

 「どこかに埋めて隠すニダ」

 「ああ、これだけあれば、戦争が終わった後は、のんびり暮らせるニダ」

 「しかし、よく、死ぬニダ」

 「やっぱり、身包み剥ぐなら死んだ白人が一番ニダ」

 「中国人は、貧乏過ぎて駄目ニダ。つるはしで戦争に来てるニダ」

 「墓穴掘るときは、便利ニダ。お宝を隠すときニダ」

 「そうニダ♪」

 「ふっ あいつら俺たち朝鮮人を犬っころみたいに扱って威張りくさって、いい気味ニダ」

 「そろそろ、腹が空いたニダ」

 「んん・・・どうする?」

 「韓国軍か、朝鮮軍か、食べに行くニダ」

 「韓国軍が美味いもの食っているニダ。その前に女狩りに行くニダ」

 「おまえな。やったばっかりニダ」

 と、転がっている裸の死体を見る。

 「俺は元気ニダ」

 「ははは、今度は殺さないようにするニダ」

 「しょうがないニダ。抵抗する方が悪いニダ」

 

 

 娘連れの女が峠を越えて南に行く、

 家が爆撃で破壊され、住む場所もない。

 南に行った方がいいのか、北に行った方が良いのかわからない。

 共産主義勢力が北。

 資本主義勢力が南は、わかっていた。

 無学な女は、どっちが良いか、わからない。

 娘の父親は、途中で足を失って・・・見捨てた・・・

 砲撃と爆撃が至る場所から聞こえる。

 南に行くことを決めたのは、北側に落ちる爆弾の音が大きかったからだ。

 不意に娘が止まっているのに気付く。

 もう歩けないという。

 この峠は危険な気がする。

 そういう直感が働く、

 手を引っ張るが抵抗する。

 仕方なく髪の毛を引っ張って歩かせる、

 娘が泣き叫ぶが構わなかった。

 いま、生きること。

 “オンマァ おんぶして”

 と娘が、何度も、何度も、叫ぶ。

 おんぶすれば間違いなく、自分も疲れ、倒れて死ぬ。

 髪を引っ張り続け。

 遂には、耳を引っ張る。

 娘がどんなに泣き叫ぼうと、血が出ても、引っ張り続けた。

 峠を降り、川の土手に差し掛かる。

 難民が集まって、どうやって、南に行くか算段していた。

 川の対岸に北に向かおうとしている難民がいる。

 川の浅いところを探すしかない。

 気が付くと娘は、髪の毛の一部が抜けて、耳から血が流れていた。

 そして、峠にT34戦車の群れが現れる、

 対岸の奥、見えない場所から黒い塊の雨が峠の戦車の群れに降り注ぎ、

 爆発し、炎が峠を包み込んでいく、

 激しい砲声と振動が伝わり、

 峠の戦車も大砲を撃ち返し、対岸の見えない先に砲弾を飛ばしていく、

 川向こうから巨大な戦車が現れ、

 そして、ひときわ大きな戦車が現れた。

 スターリング重戦車。

 難民たちは、強そうな方へと逃げようと川を渡り始める、

 しかし、川にも砲弾が落ちて水柱が上がる。

 そして、両岸のあちらこちらに砲弾が落ち炸裂し、

 阿鼻叫喚の中、人々が吹き飛ばされ、血染めとなって倒れていく、

 急いで川を渡る。

 川の流れは、速く深い。

 娘を捨てるつもりだった。

 娘は、それに気付いたのか、泣きながら川に飛び込んでくる。

 ・・・・・・・・・・・・・・

 娘は、オンマァと泣きながら流され、溺れようとしていた。

 娘を助けて川を渡ることは出来ない。

 途中で自分も力尽きて死ぬ。

 多くの難民は、自分のことで精一杯で誰も助ける者はいない。

 我先に南へ向かって逃げていく、

 砲弾の衝撃で死体が浮かび川を流れていく。

 ・・・・・・・・・・・・・・

 つい、手が出て娘を抱える。

 一度は、捨てようとした娘が “オンマァ〜!” と、泣きながら、しがみ付いてくる。

 川の勢いが娘の分まで加わり、流されそうになる。

 自分も、娘も、この川で溺れるだろう。

 激しい砲弾が川辺一帯に落ちてくる。

 爆音で吐きそうになるが二日も食べていない。

 少しでも南に行こうとするが全身から力が抜けていく、

 ・・・・・・・・・・・・・・

 突然、強い力で兵士たちに引っ張られ、

 娘と一緒に南側の川辺に引っ張り出された。

 目の前に大きな戦車が停まっていて男が見下ろしている。

 「洪将軍。連れて来ました」

 「・・・・」

 「・・・娘を見捨てていたら。助けなかっただろう・・・」

 母親は、娘を抱き、泣き崩れる。

 「洪将軍! 斥候からです」

 「峠の向こう側に中国軍1個師団相当が迫っているそうです」

 「・・・先に峠を押さえる。全軍。川を渡れ」

 「アメリカ軍に峠の向こう側への爆撃を要請しろ!」

 「はい」

 

 

 日本と東南アジア諸国

日本との関係と民族の構成比率
  元首 日本          
ビルマ アウンサン首相 優良 ビルマ族68 シャン族9 カレン族7 ラカイン族4 他10
タイ王国 ラーマ8世 タイ族75 華僑14 マレー3   他8
マレーシア 連邦制 普通 マレー族59 華僑26 インド7   他8
ブルネイ サイフディン3世 優良 ダヤク族36 マレー20     他44
北ベトナム ホーチミン王 普通 ベトナム族90 華僑2     他8
南ベトナム バオダイ帝 普通 ベトナム族90 華僑2     他8
ラオス王国 シーサワーンウォン王 普通 ライオ族50 タイ族14     他36
カンボジア シアヌーク王 クメール族90 ベトナム族5     他5
インドネシア スカルノ大統領 ジャワ族45 スンダ族14 マドゥラ族8 マレー族7 他26
フィリピン 連邦制 普通 マレー95 華僑2     他3
               

 日本と東南アジアとの関係は、戦中から独立条約によって保障され、

 戦後、国際的にも認知され承認されてしまう。

 独立国にとって資源の10分の1が、多いか少ないかといえば、植民地時代より楽。

 しかし、国家体制の構築は難事業。

 村の族長すら部族レベルの世界観しかない。

 国家? 国民? の概念は、持っていない。

 国語、共通する歴史という共通認識もない。

 独立といわれても困るのが先住民で、さらに多民族国家。

 そして、宗主国に利用され抑えられてきた部族間抗争は制御できなくなっていく、

 特に酷いのが、マレーシア。

 マレー人59パーセント、華僑36パーセントの対立は酷く、

 イギリスに良いように利用されていた。

 これらの植民地を日本が戦時中に独立させたのは、温情ではない、

 有色人種の盟主でも、黄色人種の太陽だからでもない、

 日本が東南アジアを占領すれば日本が侵略国にされ、植民地の協力も得られない。

 それならばと、欧米諸国にもう一度、東南アジアを植民地にさせられる前に、

 日本が資源の10分の1を保有し、独立させただけだった。

 残りは日本製品を輸出。

 また、メンテナンス料など概算で計算し、原料を買うというドンブリ勘定。

 名目上、独立させて放り出した状態といえた。

 宗主国に搾取率9割以上で奪われていた植民地は独立できて嬉しいのか。

 日本が搾取率1割の状態ならいいと調印。

 なんとも大雑把であり、

 マーケティングのプロならサジを投げてしまいそうな計画性のない戦略だった。

  

 そして、日本と独立条約を結んで独立したばかりの国は、どうしたものかとモデルになる国を探す。

 まともな封建制度すら育てられなかった地域も多い。

 宗主国の植民地軍が負け、勝手に独立したばかり。

 宗主国を模倣するわけにも行かず。

 日本をモデルにするか、

 宗主国以外の国で良さそうな国を選んで模倣しようとする。

 しかし、まともな官僚機構もなく、人材も育っておらず、

 宗主国の支持と教育を受けた者の独裁になりやすい、

 当然、人材不足、目の届かない部署や地域は、どうにもならず。

 簡単に官僚を育てられるものでも作れるものでもない。

 結局、日本に頼って模倣した半ばな独裁制だった。

 欧米に付け入られないように機構だけ民主主義国家に見せていた。

 それぞれの風土に合わせ、日本式の国家体制と官僚機構を取り入れていく。

 まったくもって、難事業な上に言語、宗教、文化、民族、部族の紛争が続く。

   

 そして、第二次世界大戦も終盤。

 独立行政も、官僚機構も、まだ馴染んでいない東南アジア諸国だった。

 日本は、突然の本土決戦。

 独立国家群は、どうしようかと迷っていた、

 日本軍と官僚は、現地で機能している。

 あまりにも見事な規律で結局、静観する。

 そして、日本の敗戦。

 大騒ぎになって浮き足立つが独立条約は、保障されているという。

 どういうことかと様子を見ていると日米英講和条約の全文が公開される。

 表題が日本の条件付降伏で、内容で日本の領土が増えている。

 日本が勝ったのか、負けたのか、良くわからない日米英講和条約であり、

 3カ国の原文を見比べても似たようなことを書いている。

 日本敗戦と韓国人が喜んで、はしゃいで独立と騒いでいた。

 しかし、様子がおかしい、

 現地の日本軍官僚に聞いても要領の得ない返事しか返ってこない。

 日本兵は、矛盾していると、

 あからさまに首を捻って、疑問が間違っていないと安心する。

 確実にいえることは独立条約が保障され、独立しているという。

  

 その後、欧米諸国のビジネスマンもやってくるものの、

 宗主国の軍隊は、戻って来ない。

 いるのは、日本の治安維持の警察部隊と行政機構。

 そうこうするうちに、部族間紛争が激しくなってくる。

 独立したばかりの政府は、対処に困る。

 日本の行政機構は、マレーシアの一部の行政区画で

 混血児しか公職につけない荒業を試験的に導入。

 軍で鎮圧しようとしていたマレーシア政府は憮然とする。

 しかし、予想に反し反対する意欲が次第に小さくなっていく。

 イギリスが民族紛争を利用してバラバラにして弱体化した方法の、逆転の発想だった。

 そして、日陰者の混血児は少なくなかった。

 公職に優先的に付けられると、部族間の紛争も少しばかり躊躇する。

 そうこうするうちに混血児しか公職に付けられない行政区画が増え始めていた。

 マレーシア以外の独立国でも、

 人口比第1位と第2位の人種比率が近い地域で混血優遇制が導入され、

 多数派の部族が反対するが以前のような闘争心に欠ける。

 “能力主義、実力主義で公職につけるべきだろう”

 “信用できるか、出来ないかだろう”

 “血筋は、守られるべきだろう”

 正しい、間違っている。良いか、悪いかのレベルでなかった。

 次第に反対の声は、細くなっていく、

 求められたのは、公平さだった。

 混血たちが二つの部族を糾合させることが出来るか、消極的に乗り切るか、本人次第。

 混血児が公平かも別問題だった。

 部族間抗争の酷い独立国家も、

 くすぶりながら鞘が収まっていく。

 そうこうするうちに日本の市民権が売却されることになり、

 有力者が日本の市民権を購入し始める。

 

 そして、いまの東南アジア諸国。

 混乱していながらも次第に国家として、

 国民としての意識が先住民の間に目覚めていく。

 公職に付けられるならと、部族間の婚姻が反対されなくなる。

 族長も、それが良いことか、わからなかった。

 独立しただけではなく、これまでと違う世界が作られ、

 何かが変わろうとしている。

 日陰者だった混血児の母親が持ち上げられ、良い生活をするようになる。

 虐めていた者で、やっかむ者は確かにいる。

 しかし、以前のようでもない。

 少なくとも日本人の教師や行政官の多くは公正に思え、

 先住民の後任が育つと日本人は、日本へ去っていくか、

 現地で引退生活に入る。

 それでも、日本人が優秀なのがわかる。

 役所、警察の仕事を辞めても小さな売店、工場を始めると、

 客が集まり、それなりに生活をしていた。

 混血の警察官が見回る。

 少しばかりの親近感と違和感があり。敵対部族とは違う。

 彼らは決して優秀でもなければ、まじめともいえない。

 しかし、それは、日本人と比べてであって、

 少なくとも彼らは、少数派であり、

 仲間を作れない代わりに法を守ることで自らを守ろうとしていた。

 それほど、法が不公平でなければ我慢しやすかった。

  

  

 アメリカは、日本との講和条約後、日本の撤収が決まり。

 その分の空白を埋める必要があった。

 アメリカ軍が遼東半島と朝鮮半島を占領、

 正当化のため朝鮮半島と遼東半島の日本資本を買い取って引き継ぎ、

 前段階として軍政を敷く。

 さらに満州と中国大陸の権益すらも購入する。

 しかし、満州の国民軍がソ連軍に蹂躙され満州全域がソ連軍によって占領される、

 勢いつくソ連軍も朝鮮半島と遼東半島のアメリカ軍を前に躊躇する。

 朝鮮・遼東回路と呼ばれる地域の接収は、中国民衆の反発でソ連側。

 ソ連軍の満州侵攻は、そこで、停止する。

 そして、ここで、問題が生じる。

 アメリカ軍の朝鮮半島と遼東半島の占領は軍事戦略で申し分なくても正当性が問われる。

 “どういう根拠でアメリカ軍が遼東半島と朝鮮半島にいるのか”

 “アメリカの侵略?”

 ソ連と中国は他国のことは言えないものの、基本的にそれがどうしたであり、

 民主主義国家のアメリカのみ、効果があった。

 アメリカは、いくつかの工作で軍政を正当化していた。

 遼東半島は、蒋介石の国民政府の了解を得て、であり、

 朝鮮半島は、李承晩首席代表の了解を得て、だった。

 ソビエト政府と中国政府は、根拠のないアメリカの傀儡政権と納得しない。

 しかし、アメリカは、国民向けに説明を求められる。

 そして、アメリカ国民が納得すると、

 戦後世界の反対勢力は、なんとか、なったりする。

 国民党の海南島への脱出と大陸赤化、

 半島の共産主義革命と満州朝鮮族軍の侵攻。

 韓国第3師団の裏切り。

 米韓軍の後退と反撃。

 中国共産義勇軍の侵攻。

 国連軍の本格的な参戦。

 朝鮮半島は、地獄絵図。

  

 しかし、遼東半島は平穏だった。

 中国共産軍も遼東半島の中国民衆が共産革命で動かなければ手が出せない。

 また、強引に侵攻すれば、元々要塞化されていた半島であり。

 大損害、間違いなし。

 そして、アメリカと戦争状態。

 内戦への介入ならともかく、

 侵略では、北京に核爆弾を落とされても文句が言えない、

 遼東半島の中国人は、共産主義革命を望まず、

 アメリカの工業植民地のままだった。

 国民党の中国人は、アメリカ工業植民地の遼東半島と、

 国民党の海南島の比較と選択枝があった。

 両方を知っている漢民族は、

 “結婚するか、結婚しないか。勧めるか、勧めないかの違い” という。

 “どっちが、どっち?” と聞くと、

 “どっちでもいいよ” と応える。

 ・・・・・??

 しかし、直情型の朝鮮民族は、比較も選択もなかった。

 選択肢の少なさと想像力の欠如は、朝鮮民族の悲劇だった。

 朝鮮民族の多くは、日本から独立したことを後悔し、

 共産革命に共感し、反米蜂起したことを後悔する。

 しかし、もう手遅れだった。

 自分たちの物にしようとしていた生活物資は、満州朝鮮族軍に奪われ、

 最終的に中国軍に持ち去られ、

 荒れ果てた廃墟と踏み躙られた田畑ばかりが残され、

 何もかも失って戦場に取り残された朝鮮民族は慟哭する、

  

 

 遼東半島

 日本の輸送船が旅順港に入港する、

 中国側の出方が気になったものの平穏な航海を終えて埠頭に着岸する。

 2人の乗務員が一休みしながら波止場の積み下ろしを見ていた。

 「・・・やれやれ、同じ半島でも、えらい違いだ」

 「本当に海の向こうで戦争というのが不思議だよ」

 「朝鮮人の内戦だからね」

 遼東半島は、ロシア調、日本風の家屋。アメリカのビル、

 美しい町並みが作られていた。

 「血は水より濃いのだろうな」

 「自由資本主義と共産主義に分かれても遼東半島と大陸との取引は年々増えているらしい」

 「香港や海南・雷州まで行くより近くて良いな。日本企業も取引するかも」

 「しかし、そんなことやったら日本の企業がやられないか?」

 「そのうち規制するだろうよ」

 「遼東半島に飛び火しなければいいけどね」

 「そうなったら。内戦でなく、核爆弾の落とし合う本当の戦争になるよ」

 「酷いな。俺の両親は、広島でやられたよ」

 「・・・かわいそうなことしたな」

 「ふっ いいよ。2人ともケンカばかりしていた」

 「死んだ方がケンカせずに済む。幸せだろうよ」

 「・・・・子供の前でケンカするのは止めるよ」

 「あはは・・・・」

  

  

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 月夜裏 野々香です。

 朝鮮戦争中、

 戦火に追われる庶民は、どうやって生きていたのだろうか。

 衣食住。衣と住はともかく。

 食を確保しないと1週間くらいで死ぬ。

 戦線が南北に行き来すれば、田畑もすぐに略奪され、備蓄もなくなっていく。

 アメリカ軍が大量に運び込む食料に群がっていくか。

 大軍の中国軍に紛れ込むか。

 大人は我慢できても子供は我慢できない。

 婦女子は、どこを逃げ回っていたのか。

 そういった内容を書きたくても書かない方が良いレベルに入り込みそうで怖い、

 現在の北朝鮮の食糧事情も怖い話しを聞く、

 これも書かない方がいい部類に入る。

 悟ってくれよ。という感じだろうか。

  

 戦争で精神的に追い詰められていく、

 一人死ねばその分、食料が増えるという発想になる。

 人の死が自分の食と生に繋がる。

 兄弟が多い子供だと

 “こいつらがいなければ、その分、たくさんのお菓子を食べられる”

 と、誰もが思う。

 豊かな世界では、あまり縁のない心境かもしれない。

 それでも、ええかっこし〜の知識人じゃないから正直に言うと。

 そういう状況に置かれたら誰しもが考える。

 そう思わされる状況で、どうするか、だろうか。

 

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第61話 1951年 『豊かさを求めて人は争う』

第62話 1952年 『修羅半島』

第63話 1953年 『戦争している間に・・・』