第63話 1953年 『戦争している間に・・・』
日米航空協定調印。
共和党のアイゼンハワー。第34代アメリカ大統領就任
スターリン死亡
日米軍事連絡協定
第2次世界大戦中の戦史・戦資・戦果の照らし合わせがほぼ終わると、
事故で失われた艦船・航空機も判別されていく、
日米指揮官が頭を付き合わせ、資料を見ながら呻く事になる。
「「ちっ! あの時。こうしていれば・・・・・」」
互いの将校は、錯誤と誤認を直視しなければならず、苦笑いすることにもなる。
こういった付き合わせは、早くやらなければ当時の心境が忘れさられ、
記憶が風化し色褪せていく、
この辺で戦果の確認も含め戦争資料を作ってしまう。
もっとも互いに気持ちの整理が付いていない、
それでも、双方の資料を元に整合性を合わせ、
第一級の資料が確定されていく、
フィリピンの地図の前で、
「・・・日本の花火は、いいですな」 コーンパイプの男
「そうですか?」 剥げ親父。
互いに退役する事が決まっていた。
「戦争が終わったら生まれ故郷のアーカンソー州で日本の花火を打ち上げたいと思っていますよ」
「自然ばかり豊かな土地柄で日本の花火を打ち上げれば少しは賑わうでしょう」
「ダイヤも少し採掘しますが洞窟と温泉もある。」
「温泉ですか」
「招待しますよ。フィリピンの利権を全て御破算にしてくれた御礼に」
「・・・・・」
「ふっ もう済んだことです」
「生まれ故郷に戻って、自然を見詰めていたら少しばかり気持ちに余裕が出来ましてな」
「では、遠慮なく。伺わせていただきます」
その後、ど田舎アーカンソー州の花火大会が全米で有名になっていくが別の話し、
そして、より需要と金になる大都市でも日本の花火が購入されるようになっていく、
アメリカで日本人が持ち上げられるようになったのには、いくつか理由があった。
朝鮮戦争で朝鮮民族が最低、最悪の民族と評価される。
アメリカは、日本と激戦で戦い、引き分けている。
(日本の条件降伏は、誰も信じていない)
鼻っ柱の強いアメリカ人は日本民族と朝鮮民族が違う種族であると証明しなければならず。
日本が強く。優れた文化を紹介しなければ白人の誇りとアメリカ軍の威信が崩れた。
ということで日本文化を紹介し、
日本文化を褒めることでアメリカの国威を守ろうとする。
日本の雷風5型を購入して使うのは性能もさる事ながら、
日本は強い。
その日本と戦って首都を陥落させて追い詰めたアメリカ軍も強い、
ということを証明するためでもあった。
これも一種の朝鮮特需といえた。
赤レンガの住人たち
次期主力戦闘機の機体設計図が並べられている。
低翼、中翼、高翼。
尾翼式、先尾翼式。
デルタ翼。カナード翼などいくつものスケッチがあって、模型飛行機があった。
共通しているのは、単発。
“ジェットエンジンが止まったら落ちるだろう”
なのだが予算と最低限必要な数と割ると単発エンジンになってしまうのだった。
期待のジェットプロップ戦闘機雷風4型が駄目になった時点で、
大綱が2000機から1300機になっていた。
ここで双発戦闘機を採用すれば、600機程度になってしまう。
双発機、単発機の両方で揃えると開発費で食われて目減りする。
どちらが良いかは好みによるものの、
平時にベテランパイロットを余計に確保したい。
というのが大勢だった。
たぶん、次に決める機体形式が失敗が少なく、
設計の経験が継承できるという理由で、その後も続く。
また、部品の単価も上がって1200機の大綱すらも守れるか怪しくなっている。
そして、対艦ミサイル。
Hs293(1045kg(弾体重量))
フリッツX(重量:1570kg)
これを装備する攻撃機は、旧式の銀河や飛龍のエンジンを強化して使われていた、
さすがにもう駄目だろうと。
雷風5型と仕様を可能な限り共有化させ、安く上げようと検討。
リボルバーキャノンを外して主翼面積を増やして機体を強化し、
ほぼデルタ翼を検討していた。
しかし、ジェネラル・エレクトリック社製J47-27GEターボジェットエンジンのライセンス生産が決まると状況が変わる。
推力2680kgは大きく、
開発中の次期ジェットエンジンが推力2300kg。
いままで1900kgでやりくりしていたのだから助かる。
とはいえ、ライセンス生産でジェットエンジンは、電装品と並んで製造困難の代表格だった。
ライセンス生産は、設計図を渡されて、どうぞ、というものだった。
これで駄目なら工作機械まで丸ごと購入になる。
そんな予算はない、
生産施設やノウハウを丸ごと購入ともなれば、戦闘機大綱はさらに目減りする。
日本の工業能力が問われる。
つまりアメリカと同等の工業力がなければライセンス生産そのものがナンセンスであり、
無理ということだった。
そして、ドイツ系の工作機械が日本の工業産業を支えていたことが救いだった。
赤レンガの住人たちがくさる。
「・・・人件費、訓練費、開発費、燃料費、その他モロモロの諸経費か・・・・・」
「予算折衝で少し割り振られるだろう」
「少しな」
「まあ、これでも朝鮮戦争で部品単価が安く作られているから、何とかなるさ」
「・・・ったく。洪・シヨクの師団に補給しているのは、日本の税金だろう」
「まあ、臨時国債で何とか、やっている」
「納得いかないな」
「ふっ まあ、一種の投機だな」
「半島の投機は、ムダになるぜ。決まっている」
「アメリカが買ってくれただろう」
「洪・シヨク師団の維持費もアメリカで肩代わりすれば良いんだ」
「そういう動きはあるな」
「李承晩は、アメリカから切られそうで、洪・シヨクの人気に乗り換えるかもしれないんだと」
「金の切れ目が、縁の切れ目か・・・・これまでの投機は?」
「アメリカに言うんだな」
「あはは・・・・半島が共産化するよりはマシなのか?」
「政治家は、そう思っている」
「しかし、国防省は、予算が増えなくて面白くない」
「朝鮮人を信用するのか」
「李承晩は満州と日本に攻めようとしていたじゃないか」
「満州朝鮮族軍は、半島の朝鮮族の困窮と支持を得たと」
「同時に韓国軍が先に攻撃したから正当防衛と言い張っているし」
「そんな話しは、どこから出てきたんだ。記録にないだろう」
「証拠がなくても言い張っていたら本当になるんじゃないか」
「李承晩がアメリカ軍と組んで、日本や満州を攻めようと画策していたのは証拠があるし」
「あはは」
「アメリカも苦労するぜ」
「ふっ ざまあ見ろ」
「っで、戦闘機の形式、どうする?」
「どうするって、いってもねぇ〜 デルタ翼も、エンテ・カナードも、尾翼式も、いいんだけどね」
「やっぱり、次の試作機で決めてしまおうぜ。日本は、ボトムアップの世界だよ」
「ふぅ〜 そう・・・なるな。いまの段階で決めてしまうと、変に疑われるし」
「だが統廃合で中島か、三菱のどっちかの案になりそうだな」
「ジェット機の開発コストが高すぎるんだ」
「まあな」
※ 中島は、まだ富士重工に改称してないです。
出雲州
地中海の出雲(旧サルジニア)島、因幡(旧コルシカ)島
どちらも山がちな島だった。
南アフリカ公国のダイヤ原石がストックされ、
流通が調整されながらアムステルダムへ流れていくところでもある、
インドのダイヤ原石。東南アジアの宝石も、日本の真珠も出雲を経由しつつあった。
日本人の入植が成功すると、
少しずつ工業化が軌道に乗っていく。
イタリアとフランスの社会と経済が共産主義運動で停滞していた時期でもあり、
出雲産業は、アメリカ東海岸と全欧州の取引を増やし、業績を伸ばしていく、
日本食 “定食” “うどん” “そば” “ラーメン” “お好み焼き” “焼きそば”
など欧州で認知されるようになったのも、
茶道、華道、剣道、柔道、合気道、相撲が紹介されたのも、
出雲に日本の城郭、神社、仏閣、庭園が造られ、観光地として軌道に乗ってからだった。
欧州の情報が出雲に集まり、日本に向かう事が多かった。
出雲(サルジニア)島のとある場所。
「試掘は、大丈夫だったのにな」
「ああぁぁあ〜! どうするんだよ。これ」
「・・・・また、出たよ」 脱力。
古代遺跡が発掘されると、和洋折衷で、かなり怪しい風景になったりもする。
そして、欧州の目もあるのか、
古代遺跡の保存は、神経質なくらいで、日本の建設業界で魔の島と呼ばれる。
「もう、島中、掘り起こして、あるとこ、ないとこ、はっきりさせようぜ。やってらんねェよ」
「だよなあ〜」
「・・・さあてと、中止だ! 中止! 発掘だぞ!」
「みんな撤収〜 役所に連絡取ってくれ」
「売主と買主には、お悔やみだな」
「・・・遺跡にもよるがね。当分は、換金不能だ」
経済や産業に支障があったりもするものの観光で元を取ったりもする。
シベリアダイヤの恐怖
南アフリカ公国など、一部の国によってダイヤが産出され、価格が維持されていた。
また、工業用ダイヤは戦略物資でもある。
これが無いと金属を研磨する時に困り、戦争も出来ない。
この時期、産出国の南アフリカ公国と供給国の日本で共通の恐怖があった。
別の国でダイヤ鉱山が大量に発見されること、人工ダイヤの大量生産、
そして、遂にシベリアでダイヤが発見されたという、
この時、動いたのは南アフリカ公国から叩き出されたディビアス社だった。
元々 研磨と販売ルートを押さえていた。
もう一度、供給を押さえて返り咲きを狙う欧州資本はソ連産ダイヤを押さえるため、
まだ規模もわからないうちに契約を結んでしまう。
この決断力が、その後、ディビアス社のダイヤ供給の資源メジャーに返り咲きさせる。
ブラジル人数人が秋津(リオグランデ)港のホテルに来ていた。
日本の力と発展をじかに見せると効果的だという。
秋津港から1隻の船が出港している。
出来立てほやほやの20000トン級貨客船。
マストから上甲板にかけて、あまり大きくもない一枚の帆がせり上がる。
最新鋭らしく、人件費を抑えるため。自動制御で帆を展開、収納できる。
全自動のため、大きくなく。小まめな操作は出来ない。
それでも十分に足しになる大きさだった。
秋津-南アフリカ公国-朱雀-昭南
西回りの南極還流と偏西風が利用できるならと建造された新型機帆貨客船だった。
大戦中、ブラジル、ウルグアイ、アルゼンチンは、日本に参戦していた。
日本に占領されていない、ウルグアイ、アルゼンチンとの関係改善は早く、
首都を占領してしまったブラジルとは、まだ疎遠だった。
親近感の持てるはずの人種のるつぼ、ブラジルとの関係が悪く。
白人の国アルゼンチンとの関係が良くなって捻じれてしまう。
そして、南米大陸は、ブラジルとアルゼンチンが張り合っているからややこしい、
南米は、そういう世界だった。
しかし、世界有数の鉄鉱石を産するブラジルとの関係修復は重要でもある。
もっとも日本軍による首都リオデジャネイロ占領のドサクサで、
鉄鉱石企業リオドセ社は、アメリカ資本に買い取られている。
アメリカは、他にもいろいろな利権で、ブラジルにうまみを持っていた。
さらに日本とブラジルの関係も上手く操作されている節もある。
アメリカは、戦略資源を手に入れ、
日本は、恨まれ役として、いらぬ領土を掴まされ、
ブラジルの目の仇にされているという始末。
ブラジルだけは日系人の資産返還だけでなく、
賠償金まで支払わせたのはアメリカだった。
負けたのだから当たり前らしいが日本政府は要求もしていなかった。
しかし、日米英講和条約に小さく注意書きのように書かれていたらしい、
どういう意図があるのか、あまりにも露骨で、えげつない上にいやらしい、
もちろん、ウルグアイを間に入れ、鉄鉱石を購入することも、
アメリカを間に挟んで鉄鉱石を購入することも可能だった。
それでも鉄鉱石の産出元をアメリカ資本に握られているのは面白くない、
その気になれば、いつでも資源で生殺与奪をアメリカ資本に押さえられる。
もちろん、オーストラリアから購入する方法もあるものの、
やはり仲がいいと言えない。
日本は、政治・軍事で独立していたものの、
グローバルな経済・資源で見るとやはり脆弱な立場だった。
それでも秋津州で基幹産業の製鉄所や発電所が建設され、
工業・産業が軌道に乗る。
結局、資源の無い秋津州も日本本土と同じ労働力が唯一の資源だった。
そして、薄利多売で身をすり減らしながら工業で自立。
ウルグアイとアルゼンチンを通じ、日本製品がブラジルに流れ込んでいた。
関係修復が行われるなら、ブラジルと直接取引できれば相乗効果は大きくなり、
秋津州と南米諸国の取引は、急速に拡大していく。
日本人数人とブラジル人数人
「・・・社長。彼らは、その条件ならいいそうです」
「そうか。良かった」
契約が結ばれても信用できないらしい、
南米に移民していた日系人は、秋津州に移り住んでいた。
そして、彼ら日系2世が南米諸国とのパイプ役だった。
スペイン語とポルトガル語は、3割ほど似ており、
一つ覚えれば、もう一つも、なんとなくわかるらしい、
日本からの観光も少し増えている。
この南アメリカ大陸にへばりついた地峡で秋津の日本人は、生きていかなければならない。
南アフリカ公国は、大量の地下資源を売却することで日本の工業力を導入していた。
問題は、政府国民一体で “全アフリカ大陸黒人解放政策” という、
まことに、はた迷惑な使命感に燃え、
与野党関係なく、南アフリカ歴代政府に踏襲され政策に反映されていた。
日本連邦は、悩まされる。
公国のトップだけが、そう考えているのでなく、
議会、官僚、国民まで、そう思っているのだから思いとどませる方法はない。
南アフリカ公国の国力と比例するように植民地への圧力が年々 増していく、
英仏、ポルトガル、ベルギーは、植民地と有利な取引をし、
自ら独立させる方針を検討する。
日本が東南アジア諸国と結んだ。独立条約だった。
そして、イギリスが中東や東アフリカ一帯と結んだ独立条約もある。
こちらは、仮の独立条約で、まだ本調印がされていなかった。
しかし、植民地に武装蜂起される前に調印するしかない状態に向かっている。
全部、日本が悪いと睨まれたりする。
20世紀。
黄色人種の主役国が日本であるとすれば、
黒色人種の主役国は、南アフリカ公国といえた。
世界中から教育を受けた黒人が南アフリカ公国に集まりつつあった。
それでも、まだ実力不足であり、
アメリカが本気になれば、勝てる道理がない。
むろん、アメリカも朝鮮戦争中に人種戦争などしたくない、
しかし、口実さえあれば何とかなるのがアメリカでもある。
日本は、人質を取られて戦争出来ない。
つまり、戦争が始まれば、日本は、南アフリカ公国を見捨てるしかない。
ケープタウンの某工場
「・・・工場は、7分どおりです」
「一部を除き、新型戦車の製造が出来るということですか」
「エンジンと大砲は特殊な製法ですから・・・」
「お約束の方は?」
「わかってるよ。公国は戦争がしたいわけではない」
「アフリカ大陸の黒人を解放したいだけだ」
「日本としては、南アフリカ公国が戦争に巻き込まれることを望んでいません」
「黒人も戦争がしたいわけではない」
「白人から解放されたいだけだ」
「「「「・・・・」」」」
資源がある国は強い、
日本は、望むと望まざるに関わらず。
インド・南アフリカ公国・東南アジア諸国との関係を深めていく、
しかし、日本より、はるかに脆弱な南アフリカ公国が対外的に強く出るのは気質の差といえる。
窓から見えるケープタウン港は、日本から購入した旧型艦が停泊する。
日本の南アフリカ公国需要は記録更新中だった。
イギリスが世界の海を維持できた要因の一つは、南アフリカだった。
くさる日本の師団長
機甲師団に戦車がなければカレーのないカレーライス。
ほとんどの戦車が半島に持っていかれ、日本の機甲師団は、名称だけ。
数十両だけ残った戦車を交替で使い回して訓練では、やる気も失せる。
戦車兵が草むしりや整地仕事、射撃訓練、体力つくりだけでは、いくらなんでも萎える。
5分前に軍を辞めると言い出した部下に、もう少し待ってくれと、なだめたばかり、
しょんぼり・・・・
本当は、自分の方が退役したいくらいなのだ。
試作戦車がキュラ、キュラと音を立ててやってくる。
バックの戦艦大和が印象的だ。
破砕された部分を危なくない程度に可能な限り残した戦艦。
それなりに整備されているが破損を見れば、戦争などするものでは無いと誰もが思う、
損傷を修復して元に戻すか、
そのままにするかで、国民の意見も分かれていた。
部下たちが新型の試作戦車を見に集まってくる。
M47パットン戦車に似ているというが、そうでもなさそうだ。
全長8.44m 車体長6.50m 全幅3.40m 車高2.40m 40t
空冷650馬力 45km 航続力270km 装甲25mm〜120mm 4人。
52口径90mm砲1門。12.7mm×1
師団長と技師
試作 54式戦車 “蔵王”
「・・・・少し低いようだな。オリジナルのM47戦車より小さくみえる」
「戦艦を作っていた設計技師と合流しましてね」
「素人は怖い。縦の物を横にね」
「その代わり、幅広でコンパクトですよ」
「全幅3.40m・・・・交通局と道路公団は、なんと?」
「・・・予算が降りたらしい」
「道理で予算が増えないのに幅が広いと思ったよ」
「これでもオリジナルのM47戦車より、狭くしたんですよ」
「配備は、いつから?」
「もらい物で済ませていたからラインが出来るのは、やはり来年になりそうだな」
「じゃ 計画通り54式のままか」
「そういうこと」
「T34戦車も、スターリング戦車も悪くない」
「もちろん、M4シャーマンも良い」
「その前の戦車が酷すぎたからね」
「ブルドーザーに改造したほどだからね」
「52口径90mm砲は強いのか」
「まあ、M47戦車を元にドイツ、ソ連の良い部分を足して、日本の風土・・・」
「というか、道路事情に合わせた」
「大砲は、アメリカの大砲をライセンス生産したよ」
「最大装甲は120mmだ。現状では、考えうる限りもっとも強固な防弾だ」
「そりゃ ほとんどオリジナルじゃないのか」
「そうともばかりはいえない」
「新型M47の基本設計は、全面的に流用させてもらっている」
「54式は応用編というやつだな」
「アメリカが開発中のM48戦車に戦闘力が近いかもしれない」
「・・・本土決戦のおかげで日本もソコソコの戦車を配備できるようになったな」
「というより、戦後の区画整備で戦車を移動させられる程度の道幅を確保したからだな」
「「「「・・・・」」」」
「国土交通省に予算を取られて、数量が納得できないがね」
「戦車を走らせられるように予算を取られたと思えばいいだろう」
「・・・・・・」 憮然
「コンクリートの厚みもだけど、誰だって、自分の土地を道路に削られたら嫌だろう」
「まぁね」
「量産型は、若干違ってくるかもしれないが、これで行くはずだ」
「もっと大きな大砲は載せないのか?」
「統合規格省がな。捕獲したものならともかく。新規格は、慎重だよ」
「90mmと127mmの間を埋めるなら、規格外で外された65口径100mmか」
「命数を考えると55口径か、60口径に落とすかな」
「90mm砲を採用は、命数の技術的な問題で」
「どうしてもライセンス生産しなければならなかったからだ」
「なるほど。統合規格省は、百花争鳴と性能重視主義も嫌う」
「そのまま、127mmまで引っ張らないだろうな」
「輸出分の生産が多いかもしれないから、そっち次第でもある」
「日本の戦車の数量なんて高が知れている」
「いまの日本連邦で戦車が必要とされる場所は少ないから」
「新旧で合わせて繋いでいくだろうよ」
「半島南岸も要塞化で済ませているから、日陰者は続きそうだな」
「政府は、戦争しない政策を掲げている」
「半島に介入しないのもそれだろう」
「介入したくないだろうよ。国民が望んでいない」
「空から爆弾を落とされたら、戦争なんてしたくなくなる」
「そういえば対米英戦が終わったのが45年、対ソ戦が終わったのが46年」
「まだ10年もたっていないんだな」
「条件付の負けで良かったよ」
「そうだな。関東が占領されて、原子爆弾を2発も落とされ、条件付降伏なら上々だよ」
日本は、人質である出雲、秋津に引っ張られるように、
途中の東南アジア諸国、インド、南アフリカの貿易が拡大していく。
独立国で主要な地位にいる者は、宗主国に教育を受けた者であり、
既存の王族と族長たちだった。
そして、独立運動家だった者たち、
その後、日本に占領され、独立条約によって独立。
独立運動家と日本の軍官僚から転身した行政官や警察機構が、
現地民を雇用しながら官僚体制を構築していた。
この中で日本に留学した者は有望だった。
さらに日本の市民権を購入した者。
しかし、国家体制が形成されるにつれ、利害関係で部族間抗争が起きてくる、
部族紛争、民族紛争、宗教紛争、土地紛争。
紛争の激しい地域は、どちらの勢力ともいえない混血児を公職につけることで、
民族主義や過激派の動きを和らげ、抑制していく。
大きくなっていくと行政区画として認められていた。
独立諸国は日本との交易上、日本人町がある方が有益で、
日本人町は、貿易業、開発企業、建設業などを中心に形成され、
日本の市民権を持つ人間が保護していた。
そして、治安が良いのか利便性なのか、
日本人町に住みたがる現地民も増えていく、
タイ王国
日本の貿易会社 社長室。
目の前にムエタイ選手がいる。
タイ王国でも強い選手で5本の指に入る。
日本の市民権が欲しいらしい、
日本の市民権があれば日本にムエタイの道場を作って広めたいらしい。
タイの田舎は、貧困だった。
抜け出そうと思えばムエタイ選手か、
娼婦になるしかない。
日本の市民権があれば日本のパスポートも作ることが出来た。
実力さえあれば、どこの世界にもいける。
日本で成功すれば、お金持ちにもなれる。
そのため独立国の有望な人材が日本に流れやすくなっていた。
面白いことに独立国の有望な人間が日本に行きたがり、
日本人の野心家は海外でチャンスを掴もうと、
東南アジアやインド、南アフリカ公国に行きたがる。
日本人の雄飛の時代とも言われる
おかげで日本の国際化が進み、
日本と東南アジアの文化的垣根も低くなってきている。
日本人町があるおかげで日本語習得率も早い。
子弟に日本語を覚えさせようと日本人町の学校に入学させたがる現地民は多い。
そして、後進国の庶民は、日本人街で売られている価格で安い日本製品に飛びついた。
日本の工作機械で作ったものを市場に流すことで独立国の工業化も進む、
日本との貿易で中国や韓国より近代化しやすい土壌が作られていく、
「・・・わかりました。外務省と話してみましょう」
「しかし、異種格闘技という形で、何度か戦ってもらうことになるかもしれませんね」
「ええ、構いませんとも。よろしくお願いします」
MEGURI-NET Creator's WebDirectory
///////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
月夜裏 野々香です。
朝鮮戦争
史実では、1950年6月25日 - 1953年7月27日(1128日)停戦ですが。
『ミッドウェー海戦のあと』では、半島全土がアメリカ軍政下。
朝鮮民族の武装蜂起の後、
満州朝鮮族軍の侵攻は、鴨緑江が凍ってる
1950年12月24日(日曜日)クリスマス・イブに始まりました。
本当は、川が凍って、すぐが良かったのですが、
朝鮮民族の共産革命が激しくなった時期に合わせて、が優先されました。
というわけで、スターリンが死んで共産圏の再構築が進んでいますが、
半島内部から発生した共産革命。
史上稀に見る無節操な民族内戦は、1954年01月25日まで続くことになります。
ヨハネ黙示録
火のように赤い馬が出て来た。
これに乗っている者は、地上から平和を奪い取ることが許された。
人々が、互いに殺し合うようになるためであった。
また、彼に大きな剣が与えられた。
黒い馬であった。
これに乗っている者は量りを手に持っていた。
すると私は、一つの声のようなものが四つの生き物の間で、こう言うのを聞いた。
小麦一枡は一デナリ。大麦三枡も一デナリ。
オリーブ油とぶどう酒に害を与えてはいけない
キリスト教圏が白い馬で、
赤い馬が共産主義で、
黒い馬が資本主義でしょうか。
次の青い馬が飢餓でしょうか。
結局、人間のやることですから、清濁あって白い馬も純白ではないようです。
という感じですが、赤い馬か、黒い馬のどちらを選べといわれても渋々という感じです。
朝鮮戦争は、半島の南北を行きつ戻りつです。
アメリカ軍は、朝鮮半島が共産化されると遼東半島も危ないと考えているのか、必死。
中ソは、いい加減疲れているのか、“遼東半島は、そのままでもいいから”
なのですが、条約破りの常習犯を信じるほどアメリカは甘くなく、
徹底的に武器弾薬を半島に注ぎ込みます。
弾薬に対する死傷者の比率は、さらに小さくなっていきます。
戦争が割に合わなくなってきていると、数字で証明されつつあるのですが、
軍産複合産業によって、
雇用が支えられているアメリカ経済は平気です。(本当は、良くない)
ということで、白い馬、赤い馬、黒い馬、青い馬は、相互に関連して影響し合います。
南アフリカ公国。
ジーク・アフリカン〜!!!
と。なりかねないような、軍民合わせた設備投資を日本資本がしているようです。
同じ公国でもザクやガンダムは出てきませんが、
ちょっとヤバ系です。
黒人も民衆レベルで豊かになれば “戦争なんて・・・” と思うのでしょうが、
国家の成長期で、この時期、貧富の不満を外に向けさせたり、
自信が付いて、自己主張が黒人の選民意識に変化したり、
日本の “なだめ” 調整能力が問われそうです。
よろしくです。
第62話 1952年 『修羅半島』 |
第63話 1953年 『戦争している間に・・・』 |
第64話 1954年 『平和はいいねぇ〜』 |