月夜裏 野々香 小説の部屋

      

After Midway

 

 

第71話 1961年 『意地汚いのが普通?』

 アメリカ合衆国第35代大統領ジョン・F・ケネディ就任。

 ルワンダ暫定政府が王制廃止

 イギリス領カメルーンで住民投票。

   南部はカメルーンと合併、北部はナイジェリアと合併。

 コンゴ(ザイール)ムルンバ首相殺害。

 ラオス政府軍と共産ゲリラが交戦。

 国連改革で分担金上位14カ国が理事国(上位7カ国が拒否権) + 選任7カ国。となる。

 ドイツが拒否権付き理事国入り。

 

 国際連合

 チベット独立の採決。

 多数決でチベット独立承認を勝ち取り、

 しかし、ソ連の拒否権で否決。

 ラウンジ

 「ソビエトは無理して拒否権付きの理事国か、追い落とせると思ったんだがな」

 「分担金でソ連国内で何人の餓死者が出たか調べたいな」

 「悪趣味だな」

 「いやいや、イタリアが無理をしていたら何とかなったんだよ」

 「あそこも厳しいからな。肥え太っているのは闇経済だけ」

 「マフィアがチベットのために税金を支払うわけねぇ」

 「今年から拒否権付理事国7ヵ国、理事国7ヵ国、選任理事国7カ国にされちまったからな」

 「理事国落ちしそうだったイギリスとフランスの突き上げだろう」

 「アメリカもNATOとの兼ね合いがあって、どうにもならなかったんじゃないか」

 「どうせ、拒否権を持つ理事国以外は、分担金の差でどうにでもなるし」

 「まぁ 拒否権を出されたけど」

 「チベット内戦はチベット内の紛争でなく、中国からの独立戦争と国際的に認められた」

 「ソ連が拒否権を使ったことで、悪者であるというイメージも与えることが出来た」

 「それで、よしとしよう」

 

 

 カシミール

 始まりは、印パ両国が紛争地カシミールをどうするかで揉めに揉め、

 日本の提案でカシミールで混血優遇政策が施行されたことから始まる、

 ソ連・中国共産勢力が南アジアでヒンズー・イスラムの不和を増長させ、

 宗教対立を起こそうとしたのを日本が見破ったことから、

 印パ宗教連合と中ソ共産連合の小競り合い、

 イスラム・ヒンズー過激派と中ソ共産勢ゲリラの応酬が次第に大きくなり、

 報復テロ戦が止められなくなったといえる。

 ここに来て、チベット内戦が主戦場になってしまったことに

 印パ両国・中ソ両国とも少しばかり戸惑う。

 しかし、日本と印パ両国にとっては好都合だった。

 印パ両国は、民族、言語、宗教、文化など歴史的に争っており、

 日本の市民権、日本との貿易特権、混血優遇政策だけの印パ連合は弱かった。

 印パ両国は共通する敵と戦うため、

 チベット独立を助ける正義感で手を取り合ってしまう、

 印パ両国は、中ソ共産主義連合を悪者にして始めて結束できた。

 戦友であることが印パ紛争を和らげる特効薬であり、

 両国間の垣根は、カシミールを中心に次第に低くなっていく、

 

 一方、中ソ共産主義連合も印パ・イスラム教連合という外敵を作ることで、

 共産圏の主導権争いをチベット独立戦争で回避し、

 国内不和と不満を緩和させて挙国一致してしまう、

 さらに国内不満分子を徴兵して処分する目論見を立てる。

 敵に対する憎悪が国内の紛争と鎮静化させ、

 国外との衝突を回避させる予定調和であり、特効薬だった。

 

 両勢力とも戦う意義と目的も、ヒンズー・イスラムの宗教連合連帯のためであり、

 中ソ共産主義連合のため、という身勝手なものだった。

 戦場は、チベット内戦を中心にしていたものの、

 テロ・ゲリラ戦争の戦域は、南アジア、中央アジア全域に及び。

 敵国の首都や大都市にまで飛び火していく、

 

 カシミールにある大型航空基地は、印パ連合だけでなく、

 アメリカ、日本、イギリスの将校・士官まで常駐して南アジアの反共の拠点になっていた。

 アメリカにとってもキューバ共産化に対する格好の反撃拠点でもある。

 もっとも、チベット独立戦争の主導権は、宗教国家連合軍であり、

 アメリカ軍とイギリス軍も国軍として存在しておらず、

 ヒンズー・イスラム教を中核にした宗教義勇軍のキリスト教支援義勇軍であり、

 将校士官といっても客将で、オブザーバーに過ぎなかった。

 打ち上げられたばかりの偵察衛星のデーターの受信も、

 ここで解析していた。

 

 アメリカ軍将校は、基地司令官が印パ混血であるだけなのが気に入らない、

 戦略眼が優れているわけでもなく、訓練の程度も知れ、

 大学すらまともに出ていない人間だった。

 アメリカ軍将校は、指揮官の専断型で近代戦略・戦術の全てを研究し尽くし、

 優秀な成績と軍歴を持つトップダウン型軍隊だった。

 日本軍将校は、専門知識を有する参謀重視で、長はまとめ役といったタイプが多く、

 混血司令の能力不備に不備があっても、

 インド・パキスタンが結束して反共であれば良く、

 カシミールが守られ、インド洋が安全ならと良いと割り切っていた。

 「・・・・・」 白人将校は憮然とし、

 日本人将校はほくそ笑む、

 「チベットの戦況は、悪くないようだ」 日本人将校

 「戦況はな。ラサは守られている・・・だが、攻勢は無理だな」

 戦線を維持するのと、

 攻勢を掛けるでは、まったく違う資質が必要になった。

 混血総司令に攻勢を掛ける資質がなければ、どうにもならない。

 インド側とヒンズー側も、それがわかっていながら代わりの将校を見出せない。

 バラモン(ヒンズー)のお手付きの子で、

 相手が、イスラムの名門出は、それだけ、稀といえる。

 まだ、インド本国、パキスタン本国の方が優秀な将校も士官もいる、

 しかし、カシミールは、日陰の存在、混血系ばかりの部隊。

 これでは、チベット内戦で攻勢を掛けられない。

 中国軍やソ連特殊部隊が大攻勢を掛けてきたときの対処も怪しい。

 アメリカ軍将校と日本軍将校は、戦線維持のため迎撃プランを混血司令に提出し、

 それが、あまりにも見事なのか、代案がないのか、採用され。

 現地の部隊にマニュアルとして配布される。

 しかし、攻勢には使えない、

 無能な指揮官の下で攻勢を掛けるのは自殺するようなものだった。

 というわけで、あまり見せたくもない人工衛星の写真を作戦司令室に貼り付け、

 アメリカ軍エリート将校は、軍事教官の如く。

 戦略の初歩と、戦術のノウハウを何度も説明させられ不憫といえる。

 何しろ、宗教、言語、文化、人種、民族が違う上に識字率が低い。

 また、字が読めても相互理解が困難で、

 数人を介しての通訳では作戦もままならない。

 真っ当な将校なら、もっとも避けたい軍制で泣きたくなるような軍組織編成といえる。

 一方、共産勢力は、ソ連と中国の二系統だけで作戦が進められ、羨ましい立場だ。

 とはいえ、チベットを共産主義から防衛できるなら、

 これほど、有意義な拠点はなかった。

 

 

 

 西側諸国が戦略空軍基地をチベットに置くことが出来るなら、

 ソ連軍お得意の戦車戦略を考慮しなくても良く、

 特殊部隊の潜入か。航空戦力だけを考えればよかった。

 チベットの人口は、600万弱。

 中国人に比べれば少ないものの、高山病の心配はなく、

 戦略物資を送って生活を支え、

 軍編成と練度さえしっかりすれば、まともな軍隊になるだろう。

 もっとも平和になったとき、

 放り出されるチベット軍人がどうなるかは別の話し。

 結局、アメリカが、いくら負担できるかでもある。

 

 軍事と経済は連動しているのか、

 環インド洋経済圏は、環太平洋経済圏と並んで貿易量を急速に増大させていた。

 そして、不利と思われながらも、

 いくつかのポイントが西側のチベット介入を支えていた。

  1) チベット独立戦争であり現地民の協力が得られること。

  2) 宗教連合軍 VS 反宗教連合軍 の戦いになってしまったこと。

  3) チベットの地下資源の埋蔵量は潜在的に高く、宝石も確認されていること。

  4) アメリカ軍産複合体は、キリスト教団体の全面支援を受けられ、予算を獲得できること。

  5) キリスト教団体は、反キリスト教との戦いで、献金が得られること。

  6) 戦争状態になると国際連合での立場が悪くなるため印パ、中ソとも宣戦布告をしていないこと。

  7) 宗教防衛で西側全体を結束させやすいこと。

  8) 戦訓が得られやすいこと。

 他にも小さい項目があった。

 チベットは、内陸奥地であることから輸送が遅れ、

 空軍進出は両勢力とも遅れていた。

 特に冬は、環境が厳しく、戦局に間断が生じること、

 高山に慣れるまで地道に待たなければならなず。

 ソ連、お得意の電撃戦は、空気が薄く、内燃エンジンの出力が落ちて不可能なこと、

 中国、お得意の人海戦術は、高山病の恐れがあり、

 チベットの大自然の前では酷く脆弱になった。

 たとえ慣れても平地と同じようには動けず、体力も目減りする。

 人力も困難で機械は少しマシだった。

 兵力を揃えるためには、電力を確保しなければ話しにならず。

 火力発電所を建設するのも相当な労力と燃料を消費する。

 日本の風力発電技術が役に立つのか、その種の株が、急速に上がっていく。

  

 C130輸送機からM8装甲車(7.71トン)、M20装甲車(6トン)、

 M16対空自走砲(8.14トン)が降ろされ。

 そして、出来立てほやほやのM113装甲兵員輸送車(13トン)が降ろされる。

 高山地域の作戦で、乗員2名 + 兵員11名を収容できる利点は大きく。

 兵力増強にも直結する。

 

 軽戦闘車両ばかりで、情けないように見えても、

 このチベットでは、まとまった機甲戦力だった。

 キリスト教徒の資金力、動員力は、恐ろしいもので、

 キリスト教傭兵部隊 「白騎士団」 は、装備だけならチベット最強の精鋭部隊になってしまう。

 ヒンズー・イスラム義勇軍は、白人の装備を羨ましげに見詰める。

 しかし、最強なのは、グルカ傭兵部隊だった。

 グルカ兵は、ベテランのグルカ兵士が素質のある子供をスカウトし、

 子供のうちから訓練するという。

 志願制でも、徴兵制もない、選抜制。

 元々、チベットの山岳民族であり、

 高山病になる恐れは、まったくなく、動員もしやすい。

 敵として戦場で出会いたくない最悪の部隊といえた。

 欧州キリスト教連盟軍と付けられていたものの、

 欧州正面のソ連軍の圧力を少しでも南アジア側に向けさせたい意図があった。

 イギリス、フランス、イタリア、ドイツは、チベットの地下資源を狙っての投機も絡んでいた。

 中国軍とソビエト傭兵部隊にとって、グルカ参戦は悪夢といえた。

 どちらにしろ、宗教連合軍は、指揮系統に問題ありで、

 しばらく、防衛線の構築と要塞建設に着手することに・・・・

 

 

 ナミビア公国

 公国と付いてイメージが変わっても中身は、変わらない、

 日本は、義理と人情で入植を進め、日本人町が作られていた。

 この町は日本語が強く、次に現地言語、そして、英語。

 敗戦でドイツ本国で生きていけなくなったドイツ系入植者もいたりする。

 伝統がなく、新しいことは悪くない。

 伝統を重んじるあまり低迷中の欧州と

 新天地で合理的な価値観で新制度で築かれたアメリカ合衆国の差は大きい。

 もちろん、南米の様な先住民との融合劣化型もあり、

 アルゼンチンのような失速型など、新しいことが必ずしも良いわけでもなかった。

 

 若者が入植して、開拓し、環境を切り開く、

 場合によって、黒人労働者も雇ったりする。

 そして、結婚して、子供が生まれていく、

 若く、新しい家族。

 日本の伝統は、失われつつあった。

 日本のアイデンティティーは、なんであろうか。

 日本の伝統工芸品は人気がある。

 相撲や剣道、柔道、空手なども一般的には観る側だろうか。

 日本の伝統が黒人に浸透している節もある。

 最も収益を上げているのは、工業品。

 

 トマト栽培農家。

 トマトの原種は、意外に強く、ナミビアでも作りやすい。

 この農家も新しい夫婦を核に新しい伝統が作られようとしていた。

 土地を広げ、トマトの作地面積を増やせば利益が上がる。

 機械化も進んでいたが黒人もトマト栽培を学びたいのか、

 手伝わせたりする。

 

 “ち、ちーん”

 朝早くから聞こえる南無阿弥陀仏のお経。

 長男夫婦が事故で亡くなり。

 出張の多い次男夫婦は、不味いと。

 三男夫婦の所に身を寄せた母だった。

 始まった、お経は、いつもと違って、ステレオ。

 しかも不協和音で耳障り。

 布団を頭に被っても我慢ならず。

 「・・・・お婆ちゃん・・・朝から、うるさ・・・・ん・・・・・」 絶句する孫娘。

 いつもと違って、黒人労働者10人ほどが、一緒に “南無阿弥陀仏”。

 三男夫婦も起きて来て呆れる。

 『このババァ〜 なんもわからん黒人を巻き込みやがってぇ〜』

 と、三男息子が思っても口には出さない。

 日本から持ってきた資産も多く。

 むかしからのことで慣れている。

 妻は、神道系。

 違うのだが、こちらも慣れているようだ。

 少なくともお経が終わるまでは、口を出さないだけの思慮も良識もある。

 お経が終わると。

 黒人労働者たちも出てくる。

 手を合わせてお辞儀をされて “ナミアムダブツ” といわれれば、

 こっちも手を合わせて、お辞儀するのは、昔懐かしい。

 これから農作業なのだが、ちゃんと働けるのだろうかとか。

 これからも続くのかと思ったり、憂鬱になったりする。

   

 酒場

 日本人(トマト栽培)とドイツ人(ソーセージ職人)

 「ははは・・・」

 「いつから、日本人は、布教するようになったんだ」 ドイツ人

 「し、してねぇだろう」

 「そっちも、わかっているじゃないか」 日本人

 「ふっ」

 そう、秋田租界地から西ドイツ人に広がった日本の宗教もある。

 ドイツでも、日本の宗教が紹介されたりする。

 日本人は、受身で宗教を押し付けることはほとんどない、

 どちらかというと、冠婚葬祭で便利というだけの惰性で、

 生活の中での意義は弱い。

 とうぜん、クリスマスも祝う、

 お経の中に他宗教を否定する箇所がないのか。

 漢字が難しすぎて探せないのか。

 どうとでも取れるのか。

 自宗教の祝祭日より、

 他宗教の祝祭日を祝う日本は、世界の中でも奇異な存在といえる。

 仏法の祝祭日は、暦を見ないとわからなくても、

 キリスト教のクリスマスはわかる。

 無節操で無分別な国民性といえる。

 それが良いのか悪いのかいろんな評価が出てくる。

 西ドイツ国内に入り込んだ日本の宗教は

 “あんな教義は、敵ではないよ” で、軽んじられる、

 敵対関係にならないことが含まれていたり、

 共存できる可能性も秘めている。

 むろん宗教が悪いわけではない。

 人間の内面にある葛藤と、そこから生まれる社会のひずみ。

 諸問題を精神的に解決する手法として、宗教が生まれたといえる。

 結論で言うと宗教の理想は解決に至っていない。

 人間がロボットにでもならない限りは困難ともいえる。

  

 ともあれ。

 南アフリカ公国連合で仏具が売れ、

 “りん” と呼ばれる金の器を持ち歩く黒人が増えたのは不可抗力といえる。

 “ち、ちーん” と鳴らし、

 道端で南無阿弥陀仏や南妙法蓮華経が唱えられたり。

 それぞれの黒人集落で唱えられたりする。

 黒人は、日本人に何か、力があるのかと錯覚され、

 地場の土着宗教に取り入れたりする。

 たんに良いことがある呪文として、受け止められている節もある。

 とはいえ、日本人でさえ、お経に何が書かれているか、わかる者のは少数派であり。

 おかげで、

 “これは、どういう呪文(意味)なのか”

 と、聞かれて困る、

 あるいは、苦笑いする日本人が増えていく、

  

 

 

 ポルトガル海外州アンゴラにポルトガル政府軍が駐留していた。

 植民地なのだが名目上、海外州ということになっていた。

 そして、イギリス軍とフランス軍は南アフリカ公国の北進を防ぎたいと駐留していた。

 そこに隠然たる集団が産声を上げ、列強の後ろ盾を得て、勢力を拡大させてしまう。

 ソ連・キューバ支援のアンゴラ解放人民運動 (MPLA) 、

 アメリカ合衆国が支援するアンゴラ全面独立民族同盟 (UNITA)、

 南アフリカ公国連合は、内政の混乱でアンゴラを取り込むことは出来ない、

 しかし、なぜか、南アフリカ公国編入を目指す勢力が生まれ、

 アンゴラ黒人公国連合(ABDA) (Angola black dukedom alliance)が組織されてしまう。

 南アフリカ公国連合は武器供給できても、

 資源、人材、資金は国内向けであり、アンゴラに回せる余裕はなかった。

 とはいえ、闇経済(ブラックシンジケート)は、あるもので、

 思想は、どうでもよく、アンゴラの資源で回収できればよく、

 独立した後に回収できるのなら金を貸してもいいよ、と言う。

 もちろん、闇経済(ブラックシンジケート)とは言わない、

 彼らは、幾つもの巨大資本群の互助会でプールした運用資金をバックにしていた。

 早い話し、扱っているモノが軍事部門というだけで、

 武器シンジケートは、運用会社と同じ仕組みで成り立っており、

 軍需と無縁の企業でさえ、資金源となっていた。

 彼らは、両陣営が破壊されるまで供給し続け、

 権力基盤から金融、運有、交通、資源まで全て、親の総取りを狙う、

 そして、資本投資を行って経済支配を目論む、

 地獄に落ちやがれな人種といえた。

 そこで、最悪の事態を避けるため、

 金のない南アフリカ公国連合と、

 金と開発ノウハウを持つ闇経済と、

 現地代表のアンゴラ黒人公国連合(ABDA)が集まり、

 内戦を避け、公国連合で併合する為の落とし所を探り、

 アンゴラ独立後の採掘権と諸々の利権を含めた交渉が始まる。

 闇経済は、アンゴラの政治制度と政情が安定するなら、

 権力基盤は、南アフリカ公国連合でも良く、

 採掘権を含めたいくつかの利権で妥協し、

 南アフリカ公国は、アンゴラの利権に興味を示さない、

 というより、アンゴラ行政の負担を避けたがる体たらく、

 闇経済側は、南アフリカ公国側への浸透は諦め、

 アンゴラ権益に的を絞り妥協していく、

 闇経済側も南アフリカが目を光らせての行政は勝手が違うのか、

 最悪の内戦を避けられた南アフリカ公国連合は、運が良かったとも言える。

 

 

 世界初の有人宇宙衛星船ボストーク1号が打ち上げられて地球を1周。

 ガガーリン少佐は “地球は青かった” と報告。

 しかし、日本で意識されなかったことも言っている。

 “神はいなかった” という報告は宗教国家群を怒らせる、

 ソ連の宇宙開発関係者が自爆テロされ、

 しばらく、報復・応酬テロが激化してしまう、

  

 日本の少年たちは、無頓着に喜ぶ。

 大人は、新しい時代を迎えたと前向きに考える者もいれば、

 国際力学の関係から、複雑な表情をみせる者も少なくない、

 人類は、宇宙に出ることが可能なのか?

 一番、困難なのは、前人未踏の不可能を切り開くことといえた。

 人によれば人間が宇宙にいけるわけがないであり。

 飛行船が作られる以前、人間は飛べるわけがないである。

 普通の人間は前人未踏の世界を否定したがるもので、

 ソ連の統制力、科学力、技術力、工業力、資金力。勇気を評価すべきといえる、

 しかし、人類が宇宙にいけるとわかればしめたもので、

 日本でも宇宙開発が検討されたりする。

 「予算は?」

 「「「「・・・・・」」」」

 オリンピックの後回し。

 ソ連の実行力は、評価すべきだろうか。

 

 

 アルジェリアの首都アルジェ。

 反ドゴール派のスランス軍退役将軍の反乱。

 フランスのドゴール大統領が反乱に対する非常大権を発動する、

 

 カストロ首相がキューバは、社会主義国家と宣言。

 

 リベリアで、英仏穏健派諸国会議

 

 

 

 儒教社会は、封建社会の主従関係を至上とする宗教思想といえた。

 儒教の影響を受けた国は、多かれ少なかれ、

 年長に対し、礼儀が求められ、

 権力者に対し、忠誠が求められ、

 両親に対し、孝行が求められた。

 往々にして幼少より訓練することは、無分別であるよりよく、

 一定の規範は必要と思えるものの、

 度を超えると人格を押し潰し、捻じ曲げ、

 必要以上に卑屈にさせてしまう傾向も否めない、

 そして、不自然で度を超えるほど、儒教の強い社会が存在し、

 その地域は、主従関係の軋轢が強過ぎる為か、

 生きていくには辛過ぎる社会といえた。

 また、秩序を重んじる割には、犯罪が多い、

 その根底には、生活苦と老後の安寧のため男子を求め、

 男尊女卑と絡み、

 男女比率で男子の人口が目に見えて多いことが挙げられた。

 男子が圧倒的に多いことから性犯罪が起こりやすく、

 権威に押さえられた事も含んで、

 社会全体で殺伐とした空気が作られてしまう、

 朝鮮民族の内面的な背景と、

 歴史的な趨勢と世界情勢の潮流の中にあって、

 朝鮮民族は軽はずみともいうべきか、

 共産革命に加担し、引き起こした。

 アメリカ合衆国は、利権を守るため共産蜂起と、

 引き続き起きた朝鮮内戦で、

 共産軍と加担する朝鮮人を文字通り叩き潰した。

 38度線以南の韓半島は、アメリカの勢力圏に収まり、

 戦後復興は、外資によって立て直されていく、

 しかし、以前より、はるかに生活は苦しく、社会は混乱していた。

 欧米資本、華僑資本、東南アジア資本、

 インド資本、南アフリカ公国資本により、韓国資本は押さえられ、

 国民たる韓国人は借家住まい、

 民族資本の生産品は、昔の日本がやっていた綿製品であり、

 設備投資された社会基盤の持ち主は外国資本であり、

 労働の成果と稼いだ金と利益は外国へ流れていく、

 そして、我慢すれば以前の様な生活水準になるものを、

 これ以上は我慢できないとストライキが発生する、

 そして、学生運動で北朝鮮と通じようという勢力が急増し、

 共産主義運動にまで発展しつつあった。

 暴動と蜂起が繰り返され、外資資本家を慌てさせる、

 高台の別荘地帯、

 外資のお金持ちたちは、事の成り行きを傍観していた。

 「・・・なに考えているんだか」

 「ヘリは?」

 「いつでも逃げ出せるよ」

 「韓国は、北朝鮮になびくのかな」

 「韓国人に北朝鮮の状況は伝わっていないのか?」

 「伝わっても現実の困窮生活の前では、色褪せるのだろうな」

 「やれやれ、投資先がうまくやってくれればいいがね」

 「信用できそうなのか?」

 「まぁ〜 結果にもよるよ」

  

 韓国で朴正煕(44)の軍事クーデターが起こり、

 反共・親米。腐敗と悪習の一掃と経済再建を宣言する。

 韓国のクーデターで張勉内閣は総辞職、

 朴正煕は、洪将軍指揮下で玄界灘を渡り、

 朝鮮軍と戦った将校として名高い。

 政府に押さえられて、軍職に殉じた洪将軍(72)が亡くなり、

 韓国政府にバラバラにされ、押さえつけられていた洪軍団一派が立ち上がる、

 “韓国の病巣は、韓国民族そのものにある”

 “これを処方する方策はない”

 洪将軍の遺言は、朴正煕に伝えられていた。

 もしあれば、洪将軍自身がクーデターを起こしていた。

 韓国を再建する方策は韓国民族資本の自立だった。

 クーデターを起こしても一朝一夕で変わるものではない、

 しかし、あまりの不正腐敗に耐えかね。

 軍事クーデターが起きたと言える、

 この頃の社会基盤は全て外国資本下であり、

 韓国資本は、外資と韓国人・資産との仲買、

 ポン引き、人身売買、小売、売国でしかない、

 人間を誘拐して叩き売りもある。

 それでも北朝鮮より生活が楽らしく、

 統一すれば・・・・

 韓国が共産化し、南北統一すれば、もっと悲惨になると思われた。

 韓国は、軍事クーデターによって、共産化の危機から救われたともいえる。

 完全に破壊され、本当に磨り潰される状態から、

 手段はともかく、韓国は、とりあえず西側諸国で残ることになった。

 少なくとも戦前の日本軍朝鮮人部隊の関係者が大量に政界入り。

 日本との絆も強まりやすかった。

 

 

 クウェート独立。

 

 イラク軍がクウェート侵攻

 

 イギリス・サウジアラビア軍がクウェートに進駐。

 

 チュニジア独立で、フランス軍との衝突。

 

 カメルーン連邦共和国が成立。

 

 ケネディ大統領が日米共同核実験再開を発表。

 年々強くなっていくナガサキ、ヒロシマ、オワフの非核団体の攻撃に、

 やはり日米共同で対応する。

 これなら、日本との相乗効果が得られ、足を引っ張られずに済む。

 そして、核実験が出来る日本政府も一息だった。

 とはいえ、大型ジェット機開発を含めて妥協もさせられ、

 大人の駆け引きがなされた。

 ネバダ実験場。

 日本製の原子爆弾が地下深くで爆発する。

 大地が割れ、爆発のエネルギーが地上に噴出す。

 きのこ雲が立ち昇った。

 計測器のデーターが確認され、専門家による解析が進む。

 アメリカ側にも漏れてしまうのだが原爆の威力が減るわけでもなく、

 どの道、日本は、水爆の前段階であり、

 アメリカの原子爆弾技術の方が進んでいる。

 日米の将校。

 「よう、日本は、新型戦車を作ったんだろう」

 「61式? M48パットン戦車とM60戦車と同じ要領だよ」

 「54式戦車は40トンあるからね」

 「基礎になる車両で余裕があるから。エンジンを750馬力に強化して」

 「51口径105mm砲を載せただけだ」

 「多少改良したから重量は、40トンのまま、抑えられたよ」

 「これで、西側は105mm砲で揃い踏みか」

 「まさか、輸出用で日本で配備されるのは、いまのところ、秋津州くらいだよ」

 「みみっちいな」

 「オリンピックが終わるまで設備投資が続く、だろうな」

 「ふっ スウェーデンのS戦車は参考にしなかったのか?」

 「参考にしたよ。S戦車は悪くないね」

 「もちろん戦車でなく、突撃砲、駆逐戦車、自走砲という使い方だけどね」

 「・・・なるほど・・・作るのか?」

 「まさか、そんな、予算はないよ」

 「ははは」

 「S戦車は固定砲で不便だが62口径105mm砲で自動装填」

 「員数が一人でも戦えるのがいい」

 「秋津州配備なら、S戦車でも悪くないが輸出主導だからね」

 「日本なら同じ要領で155mm榴弾砲を載せて自走砲にするよ。乗員は2人で済む」

 「・・・あまり、61式に期待してないようだが」

 「輸出主導の戦車だろう。10対1で国内にも回ってくるらしいがね」

 「100両輸出して10両配備では、当てにしてないよ」

 「南アフリカ公国とインド、パキスタンと東南アジアか。随分、儲かりそうだな」

 「M60もだろう」

 「こっちは、国内主導だよ。まぁ、輸出もするがね」

 「ところで、日本は戦闘機をどうするつもりだ」

 「・・・んん・・・・・」

 「雷燕は、悪くないよ。ジェットエンジンの径と重量比は、驚嘆に値する」

 「我が軍のF11Fタイガーと良い勝負だ」

 「本当に?」

 「・・・微妙に負けているかもしれないな」

 「ふっ」

 百家争鳴に走るアメリカ航空産業と。

 失敗のリスクを背負いながら、

 二の太刀を考えない示現流方式の日本航空産業の差。

 資金力の少ない日本は、小型高出力エンジンで、一機種開発に集中し、

 無理やり成功させていた。

 大元は、ノースアメリカンF86セイバーの

 ジェネラルエレクトリック社製J47ターボジェットエンジンで、

 推力2680kgを推力3600kgにまで進化させたのだから、

 相当な労力だがチタン部品を増やしただけ、

 「・・・軽戦闘機の優劣など。些細なことだよ」

 「確かに」

 「マクダネル・ダグラスF4ファントム。どう思うね」

 「エンジンは、興味ありますね」

 「相変わらず。軽戦志向か」

 「国情には勝てませんね」

 「ジルコニウムの融点は、1852℃。チタンは1812℃だったかな・・・・」

 「硬度はともかく、原子力発電所の燃料棒に使われているとか・・・」

 「」

 「」

 ジルコンの産地ブラジルを押さえているアメリカは取引を申し出やすい。

 互いのカードを使って取引を始める。

 もちろん、カードの枚数が多い方が有利に決まっている、

 それでも取引をすれば原子力発電の目安が付き、国力が大きくなる。

 目に見えて、納得いかない買い物もあったりする。

 しかし、シーメンス事件やロッキード事件のような汚職でなければ、

 双方とも国益を最優先に交渉する。

 そして、双方とも複雑な駆け引きで意図しない方向で決着してしまう場合もある。

 日米協議で、日本の核実験がネバダで出来るようになると、

 国連総会で核兵器使用禁止宣言とアフリカの非核武装地帯宣言が可決され、

 アフリカ大陸の非核化が進んでいく、

 

 タンガニーカ(タンザニア)独立。

 

 アフリカ植民地が独立すると有力な国が資源を求め、

 政府機関とビジネスマンが入っていく。

 独立した国が一番注目されたのは、南アフリカ公国連合と日本連邦だった。

 南アフリカ公国連合は、黒人国家独立のモデルであり、

 日本の皇族から爵位を貰って、国政を安定させられるか、検討される。

 日本から爵位を貰うことが

 南アフリカ公国連合の成功に繋がる部分が不透明に思えた。

 多くの独立国が独立後、政情の不安を抱えている、

 あっという間に派閥や利権構造が作られ、

 信用できない黒人(内患)に任せるより、

 まだ信用できる外資(外憂)に国内資源が売られ、

 外資を権力者の権力基盤に組み込んでしまう。

 早い話しが国内資源が外資に叩き売られ、

 黒人の一部で私腹が肥やされる。

 公僕が財欲に目が眩み、国益を売り渡す。

 これは、人種に関係がなく、力関係と言えなくもない、

 日本に売るべき資源帯がなかったとはいえ、

 幕末の幕府と維新後の明治政府は、曲がりなりに同族を信頼し、

 国益を守ったのは偉業といえる。

 

 

 そして、独立するより、植民地の頃がマシだった事態も少なくない、

 その中で、南アフリカ公国連合は、少なくとも植民地の状態よりマシといえた。

 識字率は向上していた。

 英語、日本語、ドイツ語が顕著で、

 英語は、アメリカ系黒人から、

 日本語とドイツ語は、日本人町から、

 そして、予算の多くが教育に割かれ、

 日本本土決戦で英雄になった者達が政界入りすると保身のためか、

 日本語圏を強くしていく、

 結局、アンチ白人で適当な文明を探そうとすると国内で見出せず。

 日本文化に落ち付いてしまうのだった。

 

 

 アフリカ大陸 某新興独立国。

 ツエツエバエ。

 振り払うのも億劫になるほど飛んでいる。

 病気を運ぶ困ったハエで、

 トリパノゾーマ原虫を媒介するハエに刺されると厄介だった。

 人間が刺されると “眠り病”。

 家畜が刺されると “ナガナ病”

 牛を倒すのだから相当なハエといえる。

 他にも風土病などの奇病が確認されている。

 しかし、ハイリスクは、ハイリターンでもあるのか、

 日本政府もアフリカ大陸の資源に関心を持っていた。

 カイロ・チャゴスからケープタウンまで新幹線を走らせたら良いなど、景気の良い話もある。

 しかし、現実問題になると、政情が不安定て難題となってしまう、

 なにより、日本も高度成長のため、国内の余力を失いたくない。

 どんなに実入りが良くても回収が遅くては苦しい、

 日本大使館

 「・・・皇族からの爵位。考えていただけましたでしょうか?」

 「もう少し、国内の勢力を安定させていただけませんか」

 「爵位を与えた。潰された。では、皇族の威信にも関わりますから」

 「勢力を安定させるために、爵位が欲しいのですよ」

 「も、もちろん理解していますが、もう少し、安定させていただきたい」

 「共産ゲリラ、某国工作要員など、不安定要因が多すぎますし」

 そう、まだ時期早々と思われる。

 南アフリカ公国連合の爵位贈与は、緊急避難だった。

 ナミビアは仕方なし。

 他の公国もズルズルとだった、

 ここに来て、南アフリカ公国連合も内政を見詰め足踏み。

 日本政府にすれば、ホッと一息だろうか。

 南アフリカの公国連合の北進は、なるべく、抑えたいところ。

 アメリカがエセックス型空母を南アフリカ公国とインドに売った理由も読めてくる。

 

 

 秋津州

 南アフリカ公国連合海軍 エセックス型ズールー(ヨークタウンU)改装

 この改装で、排水量32000トン、

 全長290m×(艦幅28.4 m or 全幅46m)×吃水8.8m。

 最大速33ノット。兵員3500名。艦載機80機。

 ジェット機仕様の大改装。

 実は、訓練や言語の問題で傭兵がいなくなると艦隊乗員が揃えられず。

 それなら大改装。という事になったらしい。

 おかげで、エセックス型と思えない艦型で細身のミッドウェー型に近くなる。

 そして、日本の造船業界も儲かる。

 状況は、インドでも同じだった。

 昭南州(シンガポール)で、

 インド海軍の空母ヴィラート(イントレピッド)が同様の改装を受けていた。

 両国とも改装で時間稼ぎをしている間、

 艦隊乗員や艦隊パイロットが育てば良いものの、

 大量の熟練乗員が必要で梃子摺っていた。

 そして、黒人とインド人の造船工員も育てるという、交換条件もあった。

 

 

   

 海南国

 国土は海南島、雷州半島、遼東半島と分かれていた。

 国情から小日本と言われたり、

 西側の中国人国家という位置づけでもあった。

 海南国は、中国大陸への反攻を諦めてしまう、

 海南国と中国は、国際連合に同時加盟し、

 中国との関係は独立国同士で対等だった。

 国民で最も多いのは台湾人とも言われるが、

 福建省出身の多い華僑の総本山という見方も出来た。

 反中・反共、新米・親日のおかげか、

 西側諸国を中心に貿易量も増えていく、

 特に遼東半島はアメリカ資本によって作られた工業化社会であり、

 朝鮮半島が共産革命を起こさず、

 戦争していなければ、こうなっていたはずと、

 アメリカとアメリカ資本が当て付けがましく投資しており、

 日本に次ぐアジア第二位の工業力にまで成長していた。

 さらに華僑資本の総本山でもあり、民族資本も拡大している。

 アメリカ駐留軍も韓国と並んで大きく、

 アジアのアメリカ支店でもある。

 問題は、中国大陸に張り付いている状態で危険な状態にあることだった。

 少なくともチベット独立戦争で、一番、喜んでいるのは海南国だった。

  

 

 海南(海南島)国 - 敷島(台湾) - 済州島 - 海南(遼東半島)国

 海路と航空路線は、海南本土と離州を繋ぐ最重要で要素であり、

 アメリカと同様、日本との関係も緊密としなければならなかった。

 海口港

 アメリカ艦隊と海南艦隊が停泊し、商船の数も年々増えている。

 軍需はアメリカで、

 民需は日本の比率が高くなっていた。

 二人の東洋人が港湾を見ていた。

 情報交換は、双方とも情報を知っていて、確認のために行う場合もある。

 それは、交換条件でもあり、

 付き合っても良いだろうの関係を維持するために・・・・

 「チベット独立は、どういった状況でしょうか?」

 「冬は戦争になりませんね。夏は狙撃戦ですよ」

 「航空戦力の進出は、遅れています」

 「ですが対空火器は、十分に送れているようです」

 「宗教連合側は兵力数で負けています」

 「ですが中国側は、高山病対策で集結が遅れているようです」

 「キリスト教傭兵部隊が軽戦車を持ち込んでいるので防衛線は維持できそうですよ」

 「ではチベットは、独立?」

 「まだ、どちらも戦力を準備している段階です」

 「何しろ、標高4000mですから・・・」

 「そういった山岳で、戦争する気が知れませんね」

 「西側は、これまで共産主義のテロ攻勢を受けていたので」

 「宗教連合で反撃できる非正規戦力を結集できたと思います」

 「チベット独立戦争は、その旗印のようなものでしょう」

 「日本としてもチベット独立で反共、反中、反ソなら好都合です」

 「同感です。日本と海南国は、外交戦略上、利害が共通する事が多い」

 「今後とも手を取り合って行きたい」

 「そうですね」

 「海南国観光も悪くないでしょう」

 「ルートの一つに入れても差し支えないでしょうな」

 「ありがとうございます。海南国の日本人町も進めていけそうです」

 「・・・北ベトナムの件。協力していただけるのでしょうな」

 「もちろんですとも北ベトナムが現状政策であるなら」

 「海南国は、手を出すまでも無いと考えています」

 世の中、思想より、利益を追求してしまう方向に流れやすい。

 国内に日本人を住まわせる。

 この手法は、秋田にドイツ人租界地を作り、

 日本の工業力を延ばしたことからも証明され、

 日本人町がある国は、一様に経済が活性化していく傾向にあった。

 海南国もアメリカの軍事保障だけでなく、日本の経済保険も欲しく、

 海南国は、アメリカと日本が作った国とも言われ、親米だけでなく、親日も多かった。

 そして、海南人・華僑資本は、日本人にまぎれ、

 東南アジア市場、印パ市場、アフリカ市場、

 南米市場、地中海市場に参入できれば利益も膨らむと考えていた。

 また日本と協調し、有色人種諸国連合の一角に入り込むなど、

 いろんな面で好都合であり、

 日本・海南は資本連携しながら海外へと勢力を拡大していた。

 「・・・ところで、アメリカのチベットへの投入は、どの程度に?」

 「軍事バランスもありますが。どの程度、利権が確保されるかです」

 「アフリカのダイヤモンドとアジアのサファイアは、日本が強いですから」

 「宗教連合を隠れ蓑にチベットの地下資源を狙っているようです」

 「無論、ダライラマ14世次第ですが、まだ、はっきりとは・・・・」

 「宗教は、あくまでも建前か。軍事バランスと利権が本音でしょう」

 「チベットは独立を維持する事ができても。戦後、権益が根こそぎでは苦しいでしょう」

 「中国は、チベットに大攻勢を掛けるほど」

 「チベットの権益が印パ、アメリカ、欧州へ流れる」

 「何のために侵攻しているのか、わかりませんね」

 「・・・・・・」

 「日本は、チベットの利権は?」

 「印パの利権で、いいでしょう。いまは、国内経済が厳しくて」

 「チベットは、日本との取引を求めているのでは?」

 「実力不足ですかね」

 「そうですか」

 「ところで、ベルH1イロコイと、カマンH2シースプライトは?」

 「何とか、入手しましたよ」

 「日本は、ヘリの分野で遅れてますからね」

 「そういえば、月影のVTOL型を試作しているとか?」

 「・・・どこの情報で?」

 「アメリカ側です」

 「ちっ!」

 「大丈夫なので、飛行機なのに」

 「ソ連のミルMi6は、自重26500kgでエンジンが4100馬力」

 「月影は、18000kgでエンジンが5200馬力が二つ」

 「単純に考えたくもなるでしょう」

 「なるほど」

 「」

 「」

 たまに知られていないネタが入ったりする。

  

  

 赤レンガの住人たち

 旅客機は、長距離の場合、速度の速いジェット大型旅客機が都合良く、

 中短距離の場合は、彩風でも問題なさそうで住み分けが出来た。

 輸送機の場合は、ジェットプロップエンジンでも構わない。

 ライセンス候補は、現在、最高傑作・最優秀のロッキードC130Hハーキュリーズ輸送機。

 しかし、日本には、もう少しいい良いエンジンがあった。

 彩雲で使われている5200馬力エンジン。

 「C130並みの名機になるかな」

 「できたらアメリカで開発中のYP3V-1(P3C)風がいいね」

 「海上防衛のほうが重要だよ」

 「仕様書だと彩風の拡大改良型だからな・・・」

 「結局、新規開発する予算がないから原型機で仕様に近くないと・・・・」

 「いまは、民間需要が強くなってるだろう」

 「仮に東京-福岡間だと」

 「ジェット機の1時間より遅くてもだ」

 「ジェットプロップ機の1時間半で新幹線の4時間よりも速い」

 「しかもジェット機より燃費がやすいから儲けやすい」

 「お客は軍だけじゃないのよ、か」

 「彩風で儲けているからだろうな」

 「民間は、同じ形式で大型化するつもりだな」

 「困るよ。V/STOL機能も欲しいし、重たい兵器も載せたいよ」

 「アメリカから買うジェット機に載せるか」

 「旅客機あがりだとな」

 「C130輸送機の性能を良くしたやつが欲しいな」

 「あのままで速度を速くしたやつ」

 「輸送機より、旅客機の方が儲かるからな」

 「別途開発だと足がでるし、買うのも割高で癪だし」

 「アメリカのカーゴマスターC133は、7500馬力でいいよな」

 「ジェットプロップエンジンで追いついたと思ったら、また引き離されか」

 「ソ連のベア爆撃機15000馬力だろう。非常識なエンジン作りやがって」

 「機体を頑丈に作らないと軍用輸送機は厳しい」

 「アメリカはいいよな」

 「C130輸送機で、かっこよくチベットに武器弾薬を降ろしているんだから」

 「そりゃ 元が彩風だから、いくら月影を改造しても、お嬢様って感じだな」

 「基礎になる設計が違うよ」

 「しかし、対潜哨戒機、早期警戒機、給油機なら」

 「別に彩風の拡大改良機でも構わないが」

 「そ、そりゃ 対潜哨戒機、早期警戒機、給油機なら」

 「高速旅客機の方が改装しやすい。そっちの方が役に立つ」

 「じゃ 輸送機は、C130を買うか」

 「予算がな・・」

 「チベットを除けば絶対に必要というわけでもない。小物なら月影でもいいよ」

 「海軍は、それなりだがな」

 「第2次6000級やまぶき型8隻か・・」

 「退役艦を引いて、本当にそれなりだな」

 「アメリカ海軍が強すぎだよ」

 「もっと海軍を減らしてチベットに戦力を送ればいいのに・・・」

 「ははは」

 日本は、アメリカの大型ジェット旅客機をライセンス生産する事が決まっていた。

 そして、大型ジェットプロップエンジン旅客機も、彩風の拡大改良機で行く事が決まる。

 が、ここでも綱引きが始まる。

 国内旅行を新幹線で集めたい国鉄と

 ドル箱路線を維持したい航空会社。

 国鉄は、広軌1676mmなら営業速度で時速350kmを視野に入れており、

 航空会社は、少しばかり頑丈に作って、軍の仕様に近付いたりもする。

 

 

 日本 某研究所

 日本は、IC(集積回路)のライセンス生産でアメリカと、こじれていた。

 独自にIC(集積回路)設計図を引き始める。

 巨大な床一面に設計図が描かれていく、

 あるいは、これを見せれば、ライセンス生産が可能になる場合もある。

 まったくもって、経済は、根性が悪いというか、意地汚く出来ている。

 毎度のことなのだが技術が追いつきそうになると

 ライセンスを認めるのだから、いやらしい。

 とはいえ、日本も後進国に対し、そうするのだから責めてもいられない。

 お互い様なのだ。

 良く言われるのは、ICは、インド(開発)とチャイナ(市場)の略という。

 インド人は、数学的なセンスで能力を発揮する。

 そして、日本の市民権を持つ優秀なインド人も集まっていた。

 おかげで、仕事もはかどったりする。

 天才がIC(集積回路)を作り。

 秀才がRAM(メモリー)を作る、という感じだろうか。

 IC設計は、日本人が苦手な分野になる。

 コンピューターの構造で言うと、

 ICの処理速度は、RAMで落ち、ハードディスクで落ち、

 テープ磁気ディスクでもっと落ちる。

 それなら、費用対効果で効率を考えてしまう。

 得意のRAMを質と量で速度を補う方法もあるだろう。

 しかし、ICがアメリカ製だと都合が悪い場合もある、

 2バイト圏ICの国産で意地を通すか、IBMの軍門下るか、選択を強いられる。

 コンピュータ自体の予算割り振りもあった。

 微細加工だというのに巨大な工場が必要になり、

 回収も見込み薄だった。

 当然、予算を持っていかれた国防省と、ほかの省も注目する。

 「集積回路は、上手くいきそうかね」

 「まぁ〜 基本の設計図もですが微細加工能力とも兼ね合いがありますから」

 「加工能力に合わせた設計図になってしまいますね」

 空気清浄機も、浄水器も、土台の建築物も、工作機械も、

 とんでもない予算が注ぎ込まれ、

 作ろうとしているのは空母でなく。

 指に乗るような小さな基盤。

 この工場。

 官民で大枚はたいて建設したものの、

 アメリカ最大の民間工場と比べると小さいらしい。

 前途多難といえる。

 「まともなミサイルを飛ばしたいものだ。命中するやつ。頼むよ」

 軍事用ともなれば衝撃、熱、など酷使される。

 配線と配線の間を注意しなければならず、

 制御部品も機械も、年々 高価になっていた。

 「・・・・わかっています」

 国防省の役人が設計図に目を凝らす。

 理解できないのだろうか。去っていく。

 「やれやれ、近視眼だな」

 「コンピューターが軍事用だけと思っているようだ」

 「他の省からも、いろんな要望がありますからね」

 「ディジタル・イクイップメント社がミニコンピューターPDP1を開発している」

 「官庁や大企業だけでなく、中堅企業でも購入できるかもしれないな」

 「そうなれば数の力で、あっという間に差がついてしまう」

 「ただでさえ不利ですからね」

 「質はともかく、数だけは揃えたいものです」

 「多国語は大丈夫かね」

 「ええ、主要国の言語は大丈夫なはずです」

 「・・・そうか」

 

 

 

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 月夜裏 野々香です。

 智に働けば角が立つ。

 情に棹させば流される。

 意地を通せば窮屈だ。

 兎角この世は住みにくい

 夏目漱石の「草枕」の文。

 短い文で人間社会の本質を現し、

 国境を越えて、通用する内容だと思います。

 立場によって言い分も構築される戦略も変わります、

 人間の個々の知情意の比重は違うので、

 何かをしようと思えば仲間同士で摩擦が生じたり。

 何もしないと、世捨て人なのか、世捨てられ人なのか。

 今風に言うとニート?

 事なかれ。

 で、戦わない人間は増えているようで不戦は、負けないともいえるし。

 既に負け犬という気がしないでもない。

 どこに行っても “戦うな” “ケンカするな”。

 奇麗事の教え通りなら引き篭もるニートが正しい。

 人間、衣食住で満たされてしまうと受身になってしまう。

 生存本能が少し脅かされている方が普通で良いかもしれない。

 矛盾しているからこその進歩といえる気がする。

 とはいえ、奇麗事にあまり縛られて、

 ニートがあまり増えてしまうと国が傾いて困る。

 もちろん、感情的になって戦われたり、

 ケンカされたりも争乱を起こされて困りますが、

 どちらかというと、ニートは小事で、

 隠れ蓑にされている気がしないでもない。

 若い芽を潰してニートの土壌を肥やし、

 保身と利権を守ろうとする者たち。

 国潰しのような気がする。

 

 

 「ミッドウェー海戦のあと」

 史実と違って、社長(アメリカ)と支社長(日本)という関係でなく。

 巨大企業(アメリカ)と

 中堅優良企業(日本)の関係に近いです。

 国内に弱みを握られていない分、搾取は無しで施しもありません。

 日本は、政治・経済・軍事で独立こそしていますが、

 国益を守るためには、不利でも取引に応じたりです。

 ・・・一般的にありがちな関係で弱者は我慢です。

 

 

 第一世代ジェット機時代。

 この時期の旅客機は、

 ボーイング707 (885km/h。航続力9200km)。150-220人 

 DC8 (880km/h。航続力9600km)。165席

 コンベア880。(895km/h。航続力5120km)。110席

 など4発大型ジェット機が主流になっていきます。

 彩風 (640km/h) 70席。2500km。

 は、ジェットプロップエンジンで双発。

 燃費は良いのですが長距離は負けます。

 日米総括取引は、どうなっていくでしょうか。

 収まるところに収まれば良いのですが。

 

 

 1976年

 アフリカのザイール。スーダンでエボラ出血熱。

 アフリカ大陸は、かなり怖いです。

 世界最強の機甲師団でも壊滅か、敗走です。

 南アフリカ公国連合が、もう少し近代化して、

 医療技術が高くなればよいのですが、

 無知は怖いもので、

 それ以前に北進してしまう可能性もあるかもです。

  

  

 

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よろしくです。

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第70話 1960年 『アフリカの年』
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第72話 1962年 『キューバ危機』