月夜裏 野々香 小説の部屋

     

After Midway

 

  

 

第74話 1964年 『東京オリンピック』

 スペイン

 戦後、独裁者フランコ将軍と西側諸国の関係は険悪だった。

 日本とスペインの関係も疎遠な関係といえる。

 これは、日本とスペインの二国間問題というより、

 国際力学上の問題で日本とスペインの接近は警戒され、

 政治的に利益より不利益が大きいと判断される。

 しかし、米ソ冷戦と日米英友好で世界情勢が安定すると、

 アメリカは、スペインを陣営に組み込むべきと判断し、

 1953年9月、米西防衛協定が結ばれ、

 スペインは孤立から抜け出し、独裁国家でありながらも西側についていた。

 そして、出雲(日本)の関係も周辺国に気を使いながら強まっていく、

 出雲州の存在が日本と欧州の関係を近付けさせ、同時に利害関係も強まっていく、

 

 出雲州

 しがらみのない新参の文化圏が国際的な場として有用な時がある、

 有色人種の日本が白人世界から奪った領土で国際会議開催は面白みがあるらしい、

 日本人に言わせるなら “人質なんだよ” と、

 優越感と自己満足に浸りたい人間は、都合の悪い現実を語っても耳に入らない、

 右から入って左に抜けていくだけ、

 シベリアと南アメリカのダイヤ市場調整も、この島で行われる。

  

 北アフリカ諸国で発見される油田の調整と、

 欧州諸国と北アフリカ諸国の交渉も出雲州を使う事が多かった。

 小国が国際会議で適当な席上になってしまうことは良くある話しで、

 アラブ・イスラムが白人と直接交易したくない場合も出雲を仲介することがあった。

 「日本政府は油田掘削に関する協定の前に、パキスタンの反共暴走を抑えられないだろうか」

 「我がアラブ・イスラムの総意は、ソビエトから供給される兵器技術が重要である」

 『よく言う。総意と言えないだろう、ソ連に頼まれやがって』

 「ああ、パキスタンは、独立国ですし。そのぉ〜」

 「ソビエト国内のイスラム教徒の困窮を思っての行動だと思いますが」

 「日本のパキスタンへの支援がソ連でのテロ活動につながり」

 「ソ連国内のイスラム教徒を苦しめていると考えます」

 「ですが、パキスタンは聖戦とか」

 「あのような。自爆テロは、聖戦と言えません」

 『この、うすらボケが! おまえらがイスラエルでやっていることと同じだろうが!』

 「・・・い、いや、しかし、困りましたな」

 「パキスタン人の働いている工場は、それで生活している家族が多いですし」

 「政府は、一民間企業に圧力を掛けたりのようなことは、なかなかできることではありませんし」

 「・・・ところで、日本の兵装は、費用対効果で優れていると聞きますが」

 「そ、そうですね」

 「しかし、関係諸国との兼ね合いもありますので・・」

 「利害が対立してしまうと、信用問題となってしまうので・・・」

 「日本は、有色人種諸国連合にとって、大きな指標ではないですか」

 「どうして、白人と妥協なさるのか理解できませんな」

 『どいつも、こいつも、日本と白人世界を戦わせて、漁夫の利を得ようとしやがって』

 「日本の主権と国益が脅かされない限りは、友好を維持したいと、もちろん貴国とも」

 「まぁ 日本の緑化プロジェクトには、感謝していますよ」

 「できれば、多方面でも協力し合えると期待しています」

 「油田が開発できれば、資金的な問題は、解決されると思いますので」

 「ええ、今後とも、協力関係を維持していきたいですな」

 「」

 「」

 日本が東シナ海油田と南シナ海油田を開発すると産油国同士は、ライバル関係になる。

 しかし、出雲が比較的近い北アフリカの油田を開発。

 というのは、費用対効果で、ありだろう。

 出雲経済は、欧州諸国、アラブ・イスラム諸国と上手く立ち回る事ができるなら成長していく、

 もし、敵対する状況が生まれると、地中海で孤立した小さな二つの島でしかなかった。

 生き残り策は、最重要であり、

 建設中の青函トンネル(広軌軌1676のため1兆円)と宗谷トンネル(1兆3000億)

 と同様に出雲・因幡トンネル(標準軌のため2200億)も建設が求められていた。

 技術的にはクリアされており、あとは金次第だった。

 新興企業は、資本力をつけると、土地価格の安い地方へと市場を広げているものの、

 大方の公共投資は面に向かわず、

 いまだ、線と点への投資が続いていた。

 当然、人の流れも点と線へと集まっていた。

 そして、出雲経済も小さいながらも状況が似ていた。

 

 

 1964/01/30

 南ベトナムでクーデターが起こり、

 グェン・カーン少将が軍事革命委議長となる。

 バオ・ダイ帝(51)は、日本の勧めで北ベトナムへ亡命し、

 北ベトナム警備艦がハノイに向かうため、ホン川を100kmほど登っていく。

 「・・・北へ行っても、大丈夫でしょうか?」

 「ええ、北ベトナムは、建前上、君主制でして」

 「ホーチミン王は喜んで迎え入れるそうです。権限は何もありませんが・・・」

 「それでもいい。同じベトナムなのだから・・・・」

 「・・・・・・」

 広くて豊かな密林の川は、ベトナムの豊かさを象徴する。

 食料自給率は高く。

 日本からの工業機械も輸入し、程度の低い工業製品を生産できた。

 治安と内政も安定している。

 南ベトナム人が北ベトナムに移り住むほどだ。

 「・・・中国が攻めてくるようなことはないでしょうか?」

 「中国は、チベット独立戦争で北ベトナムに軍隊を送る余裕はないと聞いてます」

 

 南ベトナムの様子はかなり怪しい、

 アメリカのごり押しで南ベトナムは、自由民主主義へと改宗させられ、

 皇帝も退位させられていた。

 日本とバオ・ダイ帝は、二人三脚でベトナムをフランスから解放し、

 南ベトナム独立を勝ち取る。

 しかし、自由資本主義の優越性を信じるアメリカの工作でバオ・ダイ帝は追放され、

 アメリカは “我が国が意図したことではない” なのである。

 しかし、そういう誘導があったことは知られており、やる事がえげつない、

 南ベトナムと日本の独立条約がどうなっていくかは、調整中であり、

 これも、どちらの利益が多いかの力関係によって決まる、

 

 そして、バオ・ダイ帝は、南ベトナム客帝として迎え入れられた。

 有名無実の位。

 まったく権限の無い存在で飾り、

 ホーおじさんは、北ベトナム王という煩わしい冠を南ベトナム客帝に被せ、

 共産主義の理想を追いたがる、

 これほど国民に好かれている共産主義国の指導者は珍しい、

 不正腐敗を憎み、無私。

 日本にも、ああいう政治家が現れれば良いのだが、そうもいかない、

 世の中理念より、権益で、

 あそこに “あれ” を建設する、など、利害関係で票を入れる人間は多い、

 もし、アメリカが北ベトナムと戦って勝てないとしたら共産主義に負けたのではなく、

 この男に負けるだろう。

 どうやら、朝鮮半島とベトナムの南北問題は、あべこべらしい、

 共産主義者は、北ベトナムと南ベトナムを引き合いに出して優位性を語る、

 とはいえ、建前上、君主がいるのだから共産主義といえるかどうか・・・・・・

 アメリカ資本主義は、北ベトナム共産主義が上手くいっていなければ良く、

 上手くいっているとき労働運動増大と関わって来るのが大問題だった。

 アメリカに、ホーおじさんが死ぬまで待った方が良いと伝えているが、どうなることやら。

 北ベトナムのロシア人とアメリカ人は、謀略工作が上手くいかないのか、

 苦虫を噛み潰したような、似たような表情をする。

 搦め手でホーチミンを追い落とすことは、もう不可能だろう。

 

 

 パキスタン

 インドとパキスタンの国力差でいうならインドが上だった。

 しかし、パキスタンは、イスラム世界を代表し、

 イスラム圏でのパキスタンの発言力は強くなっていく、

 ソビエトと中国で圧制を受けているイスラム教徒を守護している大義名分は大きく、

 イスラム諸国は、自国のパイロットに実戦経験をつませる事を思いつく、

 実戦経験のあるパイロットと実戦経験のないパイロットの差は大きく、

 いくら飛行時間が長くても、戦力として本物なのか、わからない、

 実戦をつんだパイロットが教官になら数字に表れずとも部隊の実力は数段跳ね上がる。

 そして、そういう場を提供してくれるなら、金を払ってでも・・・

 大義名分なら “イスラム教徒守護” と、とってつければ十分だったりするのか、

 イスラム圏全域からパイロットが集まり、

 カシミールの印パ士官訓練生のパイロット勢力は各勢力が拮抗していく、

 

 

F4戦闘機

MiG21戦闘機

MiG19戦闘機

雷燕1型

雷燕2型

愛称

ファントム

フィッシュベッド

ファーマー

 

 

全長×全幅(m)

19.20×11.77

14.70×7.15

12.54×9.00

12.00×10.00

13.00×10.00

全高(m)

5.02

4.10

3.89

3.40

3.60

翼面積(u)

49.20

23.0

25.00

24

24

機体重量(kg)

14418/28030

5820/9800

5447/7560

4500/6500

5000/8500

速度(km/h)

M2

M2.0

1452

M1.5

M1.8

推力(kg)

7170×2

7100

3250×2

3600

8200

航続距離(km)

3184km (増槽使用)

1800 (増槽使用)

2200(増槽使用)

2400 (増槽使用)

3000(増槽使用)

 

20mmバルカン×1

23mm×1

30mm機関砲×3

リボルバーカノン

25mm×1

リボルバーカノン

25mm×1

 

 

 

ロケット弾×4

 

 

 

最大7250kg

最大2500kg

最大250kg

増槽 or ミサイル×2

最大2000kg

 

 

 

 

 

 

 

58年

64年

55年

56年

64年

 ※マッハ1=1225km/h

 

 チベット上空

 中ソ本国と陸続きで国境に近いだけあってMiG19、MiG21の数は多く、稼働率も高い、

 時折、Yak28ファイアバーやSu9/11フィッシュポットも現れる。

 アメリカにとってチベットは、地球の裏側で、ソコトラ島の兵站では弱く、

 F100系。F4Fファントムも苦戦していた。

 もっとも、苦戦の理由は、航空機開発の仕様の問題であり、

 西側の電子戦能力が、まだ航空力学の優位性を覆せなかっただけといえる、

 MiG19、MiG21は、乱戦に持ち込むことができると、格闘戦で勝るため、

 機体の特性を生かして、F100系。F4Fファントムを追い詰め撃墜できた。

  

 カシミール 印パ航空士官訓練基地。

 雷燕2型は、雷燕1型の重量バランスを取りながら機体を延長し、

 空いたスペースに電子装備を付け足し、タンクを増やし、

 倍以上の推力を持つ推力8200kg(アフターバーナー使用時)を装備した機体だった。

 なぜこの機体が開発されたのかというと、需要に従っただけともいえる。

 雷燕2型が思ったより早く誕生した背景は、推力5600kg級戦闘機の開発があったこと。

 コンピューターの計算能力が上がったことが上げられた。

 最初に仕様ありきの開発でなく、

 現状のモノを最良最善な形で組上げたといえる。

 開発費をケチっただけあって費用対効果が良く、

 蒼空を自在に駆け巡る雷燕2型は、印パ両パイロットに喜ばれ、

 F4ファントム、F100系を駆るキリスト教系パイロットに羨望の眼差しで見たりする、

 しかし、戦争に使うのなら、タダ制空のために飛ぶ戦闘機より、

 積載量のある戦闘爆撃機であり、

 対地攻撃力で余裕のあるF4ファントムだったりする。

 

 日本空軍は、雷燕2型の戦訓を経て、まともな機体を新規開発する気になっていた。

 そして、日本機は、アメリカ機をカシミールとチベットまで輸送するより近く、安上がりだった。

 アメリカと日本の関係者たち

 「日本人は相変わらず。軽戦志向か、変わらないな・・・」

 「アメリカとソ連は、いくら大国だからって、開発が早過ぎですよ」

 「もう少し、余裕を持って開発したらどうです?」

 「西側は、このチベット独立戦争で勝てば中ソに対し戦略的優勢が見込める、退けないな」

 「それが空母建造計画を縮小した原因ですか?」

 「12隻もあれば、十分だ」

 「なるほど」

 「日本は、空母を建造しないのかね」

 「我が国の高度な戦闘集団を失業させる気か?」

 「守備しなければならない海域が広すぎるのです」

 「隻数を揃えようとすると。予算上、足が出てしまうので空母は後回しですな」

 「エセックス級なら安く提供できるはずだが」

 「そうですね。海洋国家で、敵性国家を見出せないので、落としどころが弱くて・・・・」

 「困るよ。大所帯を維持するには、相応の理由が要る」

 「インドと南アフリカ公国に空母を輸出したはずですが」

 「んん・・・まだまだだな。潜水艦を接近させても気付かないとは・・・」

 「領海に近付こうとしただけで哨戒機が飛んでくる日本海軍とは偉い違いだ」

 「海軍の縮小。続くので?」

 「ソ連次第だな」

 「ソ連海軍が拡大してくれれば良いのだが連中もチベットに比重を移している」

 「イスラム過激派は、ウィグル地区に比重を移しつつあるようですが」

 「ソ連領カザフ側のテロは、アラブ・イスラムとの関係がこじれて、少しばかり退いたようだ」

 「なるほど」

 「ソ連側も共産テロで少し退くから、イスラム側もテロを控えてくれと、内々で話し合ったらしい」

 「信用できるので?」

 「どちらかが約束を破るまでか、嘘が見つかるまでかな」

 「イスラムと中国は、テロの応酬が続いているのだから線引き自体が怪しいものだがね」

 「そういえば、中国内で大きな爆発テロがあったとか」

 「軍事工場だな。ヒンズー寺院を爆破するから仕返しされたんだ」

 「中国国内も武器を流され、人民軍と農民が銃撃戦を始めている」

 「上手くいけば中国大陸は、バラバラだな」

 「潜在能力の高さで中国は最強ですからね」

 「遼東半島の安全も確保できるのでは?」

 「遼東半島は、要塞化されているとはいえ、中国と北朝鮮に挟まれている」

 「利益率は良いのだが防衛で不安がある」

 「まさか。核を配備しているような場所を攻撃したりしないでしょう」

 「北京も核弾頭を落とされたら洒落になりませんから」

 「核か・・・なかなか、使えない兵器だな」

 「62式自走無反動砲といい勝負だ」

 「62式は使われていますよ。評判は悪いですがね」

 「空輸できて、T55やT62を撃破できるからだ」

 「正気なら待ち伏せ戦術しか使えない上に。あんな危ない自走砲を使うものか」

 「シェリダンは、まだで?」

 「・・・・・・・・・」

 「レイラ・ミサイル・・・上手くいかないので?」

 「・・・今のところはな」

 空輸で輸送された軽戦闘車両と軽戦車で、

 ソビエト主力戦車とまともに戦えるはずもなく。

 比較的装備のいいキリスト教系傭兵部隊でさえ、

 ゲリラ戦に近い戦闘を強いられる。

 それでも互角以上に戦えるのは航空戦の優勢と、

 地の利と電子装備の優越性にあった。

 

 

M113A2 デザートワゴン

M8 グレイハウンド

   

 

 まともに地上戦力を移動させられるなら、

 中ソ連合軍が優勢だったりする。

 しかも、潰しの利く中国軍は多く。高山病も克服されつつあった。

 

ソビエト T62A戦車

ソビエト T55A戦車

 

 

 

 チベット  

 M577コマンドポスト

 地図に敵の位置が次々と書き込まれていく、

 「・・・敵は、三つのルートから接近。2つのルートに斥候を出しているようです」

 傭兵部隊は、最新兵器の実験部隊として機能しており、

 要衝に集音マイクや赤外線探知機など配置し、敵の動きを掴んでいた。

 とはいえ、敵兵力が多すぎる。

 中国軍は、朝鮮戦争で普通の国なら降伏してもおかしくないほど死んでいる。

 それが、10年も過ぎると兵力が回復し増えていた。

 何のために戦っているのか。

 アメリカは、作り過ぎた武器を処分し、新しく武器を作るため?

 中国は、食い扶持を減らし人口抑制すため?

 「そんなに人口が多いなら一人っ子政策でもすれば良いのだ。はた迷惑な国だ」

 「えっ! 中隊長。何か?」

 「あ、いや、なんでもない。ナパームを使って焼き払う」

 「斥候は、必ずしとめる。敵戦車は、62式無反動戦車で潰すぞ」

 景色の広いチベット高原では、携帯兵器より射程が長く、

 戦車を確実に破壊力できる30口径155mm自走無反動砲は不評ながらも使われた。

 「場所は・・・・ここと・・・ここだな」

 「ここは、後方がすぐ崖です」

 「噴射の反動を受けて渓谷に落ちるかもしれません」

 「ロープでも使って固定させろ。落ちても構わん」

 「どうせ使い捨てだ。敵戦車と1対1の交換なら得だな」

 ひゅるるるるるる〜

 空気を切り裂く音、

 着弾する前に傭兵たちの大半が大地に伏せ、

 数秒後、あたり一帯が砲撃に晒される。

 「どうした! 発見されたのか?」

 「い、いえ・・・・敵のヘリボーン作戦です」

 ミグ戦闘機が高空を飛び、中空を輸送機。

 その更に低空をヘリコプター部隊が編隊を組んで現れる。

 「本部は、何か言っているか?」

 「・・・別命あるまで現状を死守せよ、です」

 別の渓谷から地対空ミサイルが発射され、敵の編隊に向かっていく、

 

 

 キプロスで憲法改正を巡ってギリシア・トルコ系住民の紛争が始まり、

 イギリスが、キプロスに軍隊を派遣する。

 

 

 02/08

 南ベトナムにグェン・カー内閣が成立。

 

 02/23

 国鉄が電子式座席予約装置MARSの使用を開始する。

 

 キプロスへの国連軍派遣が決定する。

 

 マルコムXが、アフロアメリカン統一機構を結成する。

 

 早川電機とソニーが初の電卓を発表する。50万円。

 

 03/31

 ブラジルでクーデター(軍政時代の始り)。

 

 04/02

 クーデターの起こったブラジルでグラール大統領が辞任。

 ジャカルタで、第2回アジア・アフリカ準備会議が開催される。

 

 04/11

 ブラジル大統領選挙で、カステロ・ブランコ元帥が当選する。 

 

 

 赤レンガの住人たち

 御通夜状態

 “オリンピックが終わったら”

 と計画していた国防大綱は、ブラジル軍国主義化の影響を受けつつあった。

 もちろん、ブラジルの軍国主義が即、秋津州侵攻に繋がるわけではないものの、

 ブラジルの政情は、秋津州の安全保障と直結する、

 予算内で軍事力が整備されるため、軍内の派閥力学で描かれていたバランスが狂わされ、

 喜ぶ部署と落ち込む部署に明暗が分かれた。

 秋津州の軍事力がどの程度必要かというと、

 ブラジルが広い国土から軍を引き抜き、秋津州に向けられる戦力は決まっている。

 南米諸国の軍事バランスからすると現状5分の1から4分の1。

 これ以上だとブラジル全体の国防が危うくなった。

 おのずと秋津州の国防戦力も定まってくる。

 ブラジル軍の侵攻を挫く程度で、且つプラスアルファでなければならない、

 ブラジル軍の損失が大きくなればアルゼンチンを味方につける事ができる。

 しかし、秋津州の損失が想定より大きくなると、

 アルゼンチンは、ブラジル側につく可能性も出てくる。

 問題なのは手抜きしていた戦力を手抜きできなくなった事だった。

 秋津州の主力戦車は54式戦車 “蔵王” であり、

 そして、輸出用61式戦車 “蔵王改” の上澄み分の計上が求められていた。

 日本戦車の数量は、日本連邦すべて合わせて1200両ほどで、

 国土面積からすると、たいしたことはないものの、

 主力戦車は61式戦車に更新されつつあった。

 90mm砲から105mm砲への移行は、時代の流れであり、

 しかし、南米諸国だと相応に強力な装備といえる。

 赤レンガの住人たち

 「・・・どうするんだよ。秋津州?」

 「アメリカは?」

 「エセックス型と揚陸艦を売ってやるそうだ」

 「けっ! 中古買っても改装で高くつくんだよな」

 「チベットが戦場だと空母は使わないからな」

 「原子力空母が1兆円だろう、戦車が3億なら3000両作れるぞ」

 「秋津州に戦車を3000両も並べたら、間違いなく侵略だと思われるよ」

 「まあ、戦車という形ではなく、地下要塞という形だろうけど」

 「どちらにしても予算足りねぇよ。何で装備品の価格が、こんなに上がっていくんだ」

 「物価高騰だろう。設備投資した分が部品価格に跳ね返っている」

 「それを税金で補填すると、必然的に物価も上がる」

 「ちゃんと物価統制しろよ」

 「軍票やら戦時国債が残っていたからしたくないんだろう」

 「頭いてぇ〜」

 

 

 坂本九のスキヤキ(上を向いて歩こう)、アメリカでゴールデンディスクを受賞。

 

 アメリカ大統領ジョンソン、トルコのキプロスへの軍事介入を制止。

 

  07/02

 ジョンソン大統領が新公民権法に署名、人種差別を禁止した法律が成立。

 

  07/06 マラウイ独立。

  07/18

 ニューヨークのハーレムで黒人が暴動

 (この暴動で新公民権法の後も、黒人の南アフリカ公国への移民が更に増えていく)

  

  

 チベット戦線

 中国軍が渓谷を縫うように押し寄せる、

 T34戦車、T55戦車の周囲に中国兵の縦列が延々と続く、

 人海戦術が面で使えないのは、チベット戦線のいいところだった。

 渓谷を通過しようとすれば、どうしても縦列になってしまう。

 中国軍は、人海戦術の弊害で補給も大変だった。

 当然、戦力的に劣勢な、宗教連合軍の作戦も中ソ軍補給基地を叩く戦略が有効になった。

 もちろん、戦法として有力なのだが損失比もあった。

 MiG19ファーマーとMiG21フィッシュベッドは、迎撃準備しており、

 地対空ミサイルも強力な警戒網を敷いていた。

 損失が大きすぎると、やりたくない、

 それでも、チベット人の地元情報もあったりする。

 補給基地の近くに大きな洞穴があるらしく、

 こういった情報は、監視衛星で知りえない、

 侵攻ルートに無い孤立した山岳の洞穴は、中国軍に知られていなかった。

 いくつかの戦略が検討される。

 この洞穴を利用して補給基地を叩く、

 いくつかのフェイクを展開し、複雑な作戦を立てると言葉が違い、

 戦略眼も違うため折り合いがつきにくい問題が生じる。

 それどころか、なんでうちの部隊が犠牲になるのとか、

 もっと権益でうまみが欲しいとか・・・etc・・・

 しかし、金に目が眩んだキリスト教系傭兵たちは、主キリストの名において、やりたがる。

 そして、紛糾する内輪争いを収拾し、連合軍をまとめると陽動作戦が始まる。

 クリスマス・ウィグル。

 何のことはない。

 ウィグル族へ時期外れのクリスマスプレゼントだった。

 

 チベット上空で航空作戦が繰り広げられる。

 ソ連の監視衛星もそちら側に集中したりする。

 E2ホークアイが電子戦を開始すると、

 レーダーに中ソ連合軍機の機影が映し出される。

 

 E2ホークアイが電子の目で先に敵編隊を発見し、

 F4Fファントムを誘導し、空対空ミサイルが発射されていく、

 空対空ミサイルが数十条の細い雲を引いて、敵編隊へ向けて吸い込まれていく、

 空対空ミサイルの接近を知ったMiG1919、MiG1921は編隊を乱し、

 ミサイルを回避しようと機動する。

 この時期、ミサイルの性能は敵味方とも当てにならず、外れることもよくあった。

 それでも蒼空に爆炎が点々と彩られ、

 「うぁああ・・・なんて数だ。こりゃ不味いぜ。ジン」

 「ちっ! 頼りは、あいつか」

 数の劣勢は、質で補うか、作戦指揮に頼るよりなかった。

 不利になると、直接、航空戦を指揮するE2ホークアイは注目される、

 F4ファントム、雷燕、ミラージュは、混乱するMiG19、MiG21編隊に切り込んでいく、

 そして、ソ連軍陣地から地対空ミサイルが発射される。

 「・・・3番機・・・ジン。下からミサイルが来るぞ!」

 「ちっ!」

 機体を捻りながら、ミサイルを避ける。

 

SA6 (だけどSA3にしておいて)

 

 警戒機と一緒に作戦をする場合、機動性のいい雷燕は有利だった。

 近くにいた僚機のF4ファントムが逃げ切れずミサイルが命中して撃墜される。

 「ゲイル!!」

 F4ファントムの射出座席が二つ飛び出し、間一髪で脱出していた。

 下は敵地。撃墜されれば捕虜にされるだろう、

 「ジン、そのまま、2時に向かってくれ、MiGに狙われた!」

 「ちっ! 立ち上がりが悪いな」

 ミサイルを撃ち尽くすと、西側の戦闘機は苦戦する。

 そして、乱戦模様になると、やはり数がものをいう、

 MiG19がE2ホークアイに向かって、突っ込んでいく。

 ジンの雷燕が機体を捻り込みながら、横合いからMiG19を撃墜。

 MiG19の残骸がバラバラとE2ホークアイに当たっていく、

 「ふぅ〜 危なかった。助かったよ。ジン」

 「ああ、こっちは僚機がやられた。誰か付けてくれ」

 「4時にミラージュのミッシェルが追いかけられている。行ってくれ!」

 ジェット戦闘機同士の空中戦は展開が早い。

 全周囲に敵味方が散らばり、どこから攻撃されてもおかしくない、

 E2ホークアイからの通信が周囲の味方戦闘機に流れ、統制していた。

 レーダー範囲の枠が小さい雷燕の命綱だった。

 大型索敵レーダーを装備したF4ファントムも作戦に参加している、

 しかし、ルックダウン・シュートダウン能力で死角があり、

 地対空ミサイルの攻撃を受けると弱く、

 全天球で監視し指揮できるE2ホークアイは強力な存在だった。

 F8クルセーダー(別称・サザンクロス)が渓谷を縫いながら、

 地対空ミサイル基地を爆撃して潰していく、

 そして、その後方から輸送機より生存性の高いB52爆撃機がウィグル側へ侵入し、

 所定の場所にウィグル人向けの武器弾薬を投下し、とりあえずの作戦成功。

 攻撃部隊は、MiG戦闘機の追撃をかわしながら撤収していく、

 作戦機の損失比は1対6で悪くない。

 投下した武器弾薬が有効に使われれば、特典が増すだろう。

 そして、給油機と接触する。

 雷燕の航続力は短く、順番に給油し、後退していく、

 

 宗教連合軍

 そして、真の狙いは、ウィグルクリスマスでなく、別にあった。

 ハリアとヘリ部隊がレーダーに引っ掛からないように低空で山間に沿って飛ぶ。

 戦場から少し離れた場所で、

 敵の索敵レーダー引っ掛からないよう低空で侵入し、

 「「「「・・・・・・・・・」」」」

 無線封鎖中で誰も話せない、

 既に先行した部隊は、洞穴を確認しており、

 作戦は、発見されなければ、9分どおり成功といえる。

 そして、渓谷の影になった場所に洞穴があり、

 ハリアーとヘリ部隊は、そこに向かって、入っていく。

 ここなら、ソ連空軍の巡回索敵を受けても発見されない、

 よくまあ、都合のいい場所に、都合のいい洞穴があったものだと感心する。

 奥行き百数十メートルの空洞は、ハリアーとヘリ部隊で一杯になる。

 「・・・・これはなんだ?」

 「トニーか・・・化石だろう。洞窟を少し広げた時、出てきた」

 手足、足指の骨、牙歯の骨が散らばっている。

 「・・・・しかし、洞穴じゃなくて、鍾乳洞じゃないか。ここ」

 「現地民が、洞穴と言ったんだ」

 「持ち帰ったら、売れるかな」

 「呪われなければな」

 ポトッ!

 「・・・・・」

 十字。

 パイロットは、意外と縁起かつぎだったりする。

 

 作戦が始まれば敵補給基地の航空戦力は、迎撃に駆り出される。

 あとは、後方に回り込んで爆撃すればいいだけだった。

 成功すれば中国軍は、食糧不足に陥って半分くらいが後退する。

 ・・・それでも多いが・・・・・

 

 

  08/13

 グリヴァス将軍が、キプロス駐在ギリシア軍司令官に就任。

 

  08/16

 南ベトナム軍事革命委が暫定憲法を採択。

 グェン・カーン首相が大統領に就任する。

 

  08/24

 南ベトナムで反グェン・カーンのデモが全国に広がる。

 

  08/25

 南ベトナムで、カーン大統領が辞任。

 

 

 モザンビーク解放戦線のゲリラ闘争が開始。

 

  10/10

 東京オリンピック(第18回オリンピック)の開会式が行われる。

 93ヵ国5533人が参加した。

 祭りは始めるまでが楽しく、

 始まってしまうと予定通り進むか、成功するか不安になるもので、

 結果は、史上最大規模の祭典となり、大成功を収めてしまう、

 各国とも日本との関係を維持か、より緊密になる方が良いと判断したようで、

 アジア・アフリカ諸国も一部の国交を結んでいない国を除き、

 有色人種国家の希望・・・

 そして、日本本国の美しさと同時に工業力の大きさを見せ付けられる。

 新興の独立国は、羨望の眼差しでしかない、

 また、欧米諸国からの入国も多く、便乗で安く席が取れれば良いと。

 オリンピックがついでの観光客も少なくない。

 客船のルートの多くが、この時期に合わせて日本の港に寄港する。

 パナマ運河を原子爆弾で広げただけあって、

 大型客船もすんなりと大西洋から太平洋へ入り、地球一周航路も人気があった。

 間宮半島のキリスト像も人気があるのか、この時期集まる。

 ソ連もチベット独立戦争で、金が欲しいのか。

 シベリア鉄道も臨時列車増発。欧州からの観光客を乗せる。

 ウスリー川対岸は、チベット独立戦争で使われている戦車が並べられ、

 国境警備隊の交代式と合わせて観光の目玉になっていた。

 同じ戦車がチベット独立戦争で殺し合い使われいることを思えば、地域の温度差は大きい、

 そして、シベリア鉄道は、なぜか日本人のマネージャが乗っていたりする。

 最低限の客室案内と礼儀だけでも教えればリピーターが見込め、

 おかげでシベリア鉄道沿いに外国人用のコテージ集落区画が作られ、

 シベリア特産物が売られ、地域経済を活性化していた。

 

ボルシチ

ピロシキ

 

 苦々しいのは、資本主義の区画を作らなければならないソビエト首脳と

 結果的にソ連経済を助けて軍事費に転用されてしまう欧米諸国の首脳だろうか。

 

 なぜこんなことになってしまったのか?

 日本漁船が日ソ条約にしたがって、ウスリー川を遡上し、

 オホーツク海の魚介類を納品していたからか。

 日本の外交政治的な手段であったキリスト像が観光の目玉になってしまったためか。

 ウスリーの魚市場に日本の食堂が作られたからか。

 フルシチョフが平和共存を選択したからか。

 そして、平和共存を証明するためか、

 アメリカ人がシベリア鉄道に乗っている。

 また、経済の恐ろしさなのか、

 需要があれば国民感情も踏み躙ってしまう。

 シベリア鉄道 客室

 白人と東洋人が乗っている。

 「どうやらキプロスが日本軍に監視団を派遣して欲しいそうだ」

 「キプロス?」

 「はて? ギリシャ人は西洋文明の骨子である地中海文明を日本人に任せられないと」

 「それは、ギリシャ本国のギリシャ人だろう」

 「だいたい。当時のギリシャ人と現代のギリシャ人は混血が進み過ぎて毛並みが違う」

 「また、面倒に巻き込もうと思っていませんか?」

 「トルコ側の意見が強くてな」

 「対ソ包囲網でトルコ側の意見は無視できない」

 有色人種諸国は日本を利用する。

 それが、もっとも適当で反白の宣伝にもなり、国民受けも良い、

 出雲州の経済力がついてくると。さらに顕著になった。

 最近は、人質に取っている気安さもあるのか、

 欧米諸国も出雲を介して対有色人種政策で利用する。

 「はぁ〜」

 気の無い返事。

 「混血優遇政策。キプロスで試すのも悪くなかろう」

 「あれは、失敗したのでは?」

 「イギリスがやったからだ」

 「独立国ですから望んでいるのなら、国策で出来るのでは?」

 「国策で出来るのなら、国連軍など派遣する必要も無い」

 「第一、憎み合っている者同士で、いまさら混血優遇政策なんて、いえるわけがない」

 「日本軍が強制したことにすれば、どちらも納得するそうだ」

 脳内に警報音が鳴る。

 中国大陸で似たようなことを言われているのだから、当然だろうか。

 「日本連邦は、少しばかり身の丈が大きくなり過ぎたようで」

 「その上、地域差が大き過ぎて、すぐ、返答できませんね」

 「相変わらずの根回し政治か」

 「いい加減、うまみを損なうとか、考えないのかね」

 「功罪はありますがね。民族的な気質ですよ」

 「しかし、日本の国力をキプロスで擦り減らすのを嫌がる部署もありますからね」

 「日韓国交を見送ったのだから、少しくらい国際貢献でバランスをとってもいいだろう」

 「東シナ海のメガフロート。アメリカ艦艇の寄港で十分なのでは?」

 「我が国とすれば遼東半島へのルートを確保できれば良いのだから」

 「それは、それで日本の外交政策を批判するものではないよ」

 「南ベトナムも?」

 「独立条約は維持されているし、あれは我が国が意図したものではないよ」

 「しかし、共産主義の南進は困る」

 「南ベトナムの民衆はホーチミンの行政を望んでいますよ」

 「共産主義の南下は認められない」

 「バオ・ダイ帝を南ベトナムに戻しては?」

 「ホーチミンほどではないとしても、南ベトナム独立で彼の手腕もありました」

 「少なくとも混乱はやみますよ」

 「南ベトナムの民主化は、ベトナム民衆が望んだものだ」

 「いまさら君主制になど戻るものか」

 『このクソたれが民主化は出来ない。共産化も嫌。君主制に戻すのもいや?』

 『このお馬鹿が、いったい、何がしたいんだ! 滅茶苦茶しやがって!!」

 「・・あ〜 北ベトナムが現状であれば特に介入する気はありませんが」

 「いや、南ベトナム。日本の監視軍と選挙監視団も必要だろうな」

 『このやろう〜 やっぱり、尻拭いさせる気だな』

 「しかし、以前は、南ベトナムに介入するなと」

 「いや、日本は、上位理事国なのだから国際協力が常識でないのかね」

 「西側諸国として、当然の義務だよ」

 「負担が大きいので・・・」

 「できれば、ブラジルの軍国主義化を何とかしていただきたいものですな」

 「あれは、我が国も困っている」

 「兵器が売れて良いのだが民需品がどうも売りにくくなる」

 「日本が軍事的な圧力を受けているのなら、エセックス級を売ってもいいが?」

 「揚陸艦もあるぞ」

 『このやろう。やっぱり、そういうつもりだったな』

 『利益率のいい軍需品で煽りやがって』

 「・・・いやぁ なかなか、予算がつきませんからね」

 「ところで、どうかね」

 「雷燕2型とF4ファントムのライセンス交換は?」

 「単発戦闘機と双発戦闘機。いい組み合わせだ」

 「日本もまともな戦闘爆撃機が、もてるのなら良いだろう」

 「ジェット機の飛ぶ時代に、月影などというプロペラ機に頼っていても仕方があるまい」

 「お互いにライセンスフリーなら安く上がる」

 「いや、最近は、幻凰という4発機がありますから」

 「プロペラ機でソ連空軍には勝てないだろう。時代はジェット爆撃機だよ」

 「はぁ〜」

 シベリア鉄道に乗って対ソ戦略も乙なもの、

 もっとも、日ソ関係は、それなりに雪解けしている。

 いまさら、軍事的脅威を煽るというのも、緊張ばかり高まり、

 日本のシベリア黒字が減るだけだった。

 アメリカにすれば軍産複合体でうまみが大きくても、

 日本経済は民需転換されており、軍事費を抑えたいところ、

 「B58ハスラーでもいいぞ」

 「なんなら、A6イントルーダーもある。新型で艦載機にもなる。一石二鳥」

 「あはは、まぁ、本国で検討してみますよ」

 「それは、そうと。モザンビークとアンゴラ。南アフリカ公国の取り込みが始まっているぞ」

 「あれは、日本と関係ありませんよ」

 「関係ないとは言えないだろう。公爵夫人は日本人だ・・・」

 「そして、爵位を与えるだけで公国連合だろう」

 「南アフリカ公国は主権国家ですので、こちらの意図した通りになりませんよ」

 「例え主権国家でも日本の影響力は大きかろう」

 「しかし、不拡大には同感なのですが黒人の民衆が望んでいるともなれば・・・・」

 「日本も困っているなら、これ以上の南アフリカ公国連合の拡大は抑えるべきであろう」

 「確かに黒人解放政策は混乱するばかりで政情不安を煽ってしまいますからね」

 「まぁ アメリカの黒人が南アフリカに行ってしまって、ある意味、悪くないがね」

 「それが公民権の承認ですか?」

 「黒人の数が減れば、憲法上の自由と平等を守るのも悪く無いよ」

 「なるほど・・・」

 「しかし、アメリカ系黒人は、アフリカ大陸黒人解放統一政策に真剣なようですが?」

 「憂慮しておるよ・・・」

 白人は、そういうと外の景色に目を移す。

 『それだけかよ!!』

 

 

  10/14

 黒人解放運動の指導者マーティン・ルーサー・キング牧師に、

 ノーベル平和賞が与えられることが決まる。

 

  10/15,昭和39/10/15

 フルシチョフ首相が解任される。コスイギン首相、ブレジネフ第1書記が就任する。

 

  10/16

 中国がタクラマカン砂漠で初の原爆実験。

 

  10/17

 国連で中国が原子爆弾を使用した場合。

 人類の敵として、報復(核)がされるという決議がなされる。

 

 

  10/24

 東京オリンピックが閉幕。

  

  11/03

 ボリビアで軍部クーデターが起こる。バス大統領が亡命。

 

 クーデターの起こったボリビアでバリエントス将軍が大統領に就任する。

 

  11/08

 パラリンピック(国際身体障害者スポーツ大会)東京大会が開催される。

 

 ソニーが家庭用テープレコーダーを発売。

 

 アメリカ・ベルギー軍がコンゴで空輸作戦を開始する。

 

 

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 月夜裏 野々香です。

 日本政府とホーチミンの関係は、かなり微妙と言えます。

 明治政府が清水の次郎長を利用したことからも、

 ある程度、民衆の支持が強ければ、取り込むほうを選択。

 

 しかし、自由民主主義のメッカたるアメリカは、そうもいかないようで。

 自分たちの正しさ、正義を証明しようと欲望に突き動かされています。

 日本は、自由資本主義を借り物の制度、手段として、利用している意識が強く、

 他国の制度がどうであれ、

 日本が無理に変えるのは、ないと思われます。

 

 史実と違って 『ミッドウェー海戦のあと』 の冷戦は、自由資本主義と共産主義の戦いより、

 宗教連合と反宗教連合で行われそうです。

 いったい誰のせいで、こうなってしまったのでしょう (笑

 

 トンキン湾事件。起こりませんでした。

 

  

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第73話 1963年 『チベット独立戦争』
第74話 1964年 『東京オリンピック』
第75話 1965年 『外憂内患』