月夜裏 野々香 小説の部屋

    

After Midway

  

 

第76話 1966年 『宗教国家連合 VS 反宗教国家連合』

 01/13

 アメリカ、住宅都市開発省長官。初の黒人閣僚ウィーヴァーが任命。

  

  01/15

 ナイジェリアで軍部クーデター。

 イボ族のアグイ・インロンシ将軍が政権を掌握する。

  

  01/17

 アメリカ戦略空軍機B52がスペイン海岸上空で墜落し、水爆1個が行方不明となる。

  

  01/18

 早稲田大学で大規模な学費値上げ反対闘争。無期限スト突入。

  

 日本連邦の某所で、大陸間弾道弾“牙閃”の打ち上げに成功。

   

  01/19

 インド首相にネルーの娘インディラ・ガンジー(49)就任。

   

  01/24

 インド、インディラ・ガンジー内閣成立。

   

  01/31

 ソ連が無人月探査機ルナ9号を打ち上げ。

 03日 ルナ9号が月面軟着陸に成功する。

   

  02/15

 アメリカ国防長官マクナマラが、チベットで核の使用禁止発言

   

  02/20

 東シナ海でガス油田が発見される。

   

 キプロス

 その日、

 ホスト国で議事進行役の二人は、シドロモドロで議場に立った。

 ギリシャ系マカリオス大統領(大主教)

 トルコ系キュチュク副大統領。

  

 ギリシャ系とトルコ系で収拾の付かないキプロス。

 キレた日本(出雲)政府。

   

 キプロスで国際人権会議を開催させてしまう。

 まるで、学校で仲の悪い、悪ガキ二人を懲らしめるかのような会議。

 ニタつく欧米諸国代表。

 そして、喧々諤々。

 人種、宗教、民族、言語など、自己主張する諸国代表が集まる。

 もちろん、日本代表は、知らない振りを決め込む。

 キプロス国内の争いすら、お手上げ。

 そのキプロスが他の国の人権問題を調停できるはずも無いのだが・・・・

 キプロスのマスコミは、連日、会議の内容が一面の見出しに出してしまう。

 過去において、キプロスで国際問題が話し合われたことは無い。

 歴史的瞬間はギリシャ系、トルコ系を問わず、事の成り行きに注目する。

 議会は、キプロスの代表二人が何を言おうと取り繕うと、

 自己矛盾で論説が崩壊し、収拾が付かなくなっていく、

 主要国は面白がっているのか、口出しせずを決め込み、

 キプロス代表の二人は、全世界的に恥を晒してしまう。

  

 キプロスのカフェテラス。

 白人と日本人

 「・・・思惑通りかね? 日本代表」

 「キプロスには、いい加減、うんざりしていましたからね」

 「キプロスで人権問題なんて奇麗事。あと、何回ぐらい続けるつもりかね?」

 「国際会議は、予算を使いますからね」

 「しかし、捨て金にはならないでしょう」

 「こちらも大国抜きの会議がどうなるか」

 「分別のない中小国の連中に分からせる事ができて好都合だったよ」

 「結局、大国の力で国際秩序が成り立っているということですか?」

 「当然。キプロスだから、というわけではない」

 「我々が口を挟まなければ、小国ばかりの国際会議なんて、あんなものだ」

 「確かに小国ばかりでは、利害関係を収拾できそうにないですね」

 「・・・ところで、日本の核ミサイルの調子はどうかね?」

 「おかげさまで、何とか、射程6500kmいけますよ」

 「・・・ほう」

 「まだ、原子爆弾ですがね。水爆までは、なかなか・・・」

 「どうせ使い道なんて無いだろうな。持っているだけだ」

 「確かに・・・・」

 「東シナ油田と揃って、日本は、めでたし、めでたしだな」

 「少しばかり、地方格差を埋められるかもしれませんね」

 「ほう〜 油田の上がりを地方に?」

 「弱者切捨て。どうにも、これ以上、続けられそうになくて、収まりそうにありませんから」

 「・・・過保護は、人を腐らせてしまうよ」

 「その辺は、調整できるでしょう。イギリスの二の舞は、ごめんですから」

 「どの程度かな?」

 「日本刀の様に・・・・」

 「ふっ 諸刃で無いのなら、我々の関係は変わらないだろうな」

 「むろん、貴国とは良好な関係でやっていきたいですね」

 「ハネッ返りのフランスを何とか抑えたいが・・・」

 「植民地を失った代わりに玩具ですからね。危ない、危ない」

 「日本も他人事ではあるまい。出雲が圧力を受けるのではないか」

 「アメリカ第6艦隊とイギリス地中海派遣艦隊の基地が出雲にあるのに?」

 「・・・いい加減。あの反米感情には呆れるよ」

 「ふっ 欧州の位置関係からしてフランスは重要ですから」

 「さあねぇ フランスがどこまで期待できるやら」

 「ナポレオン時代は、世界最強だったのでは?」

 「天才一人の力だけで軍団を動かせる時代ではなくなったからな」

  

     

  03/01

 ソ連の金星探査船ビーナス3号が金星に突入。

  

  03/10

 南ベトナムのフェ、ダナン。親仏派の軍司令官解任で、仏教徒の抗議デモ。

   

  03/11

 インドネシア、スカルノがスハルト陸相に全権を委譲。

 チベット独立戦争への更なる支援を表明と共産党が非合法化が決定する。

   

  03/16

 アメリカのジェミニ8号が、アジーナ・ロケットと初のドッキングに成功する。

   

  03/18

 インドネシアのスハルト政権下、スカルノ時代からの左派閣僚が逮捕される。

   

 チベット

 その日、輸送機から期待の15t級M551シェリダン空挺戦車が降ろされる。

 152mmガンランチャーは、対戦車兵器として有用であり、

 戦車戦の劣勢を補う軽戦車といえた。

 

 チベット独立戦争

 冬季の間は、環境が厳しすぎるため、大規模な攻防戦になりにくい。

 しかし、少しばかり、暖かくなると、不承不承に戦闘が始まる。

 とはいえ、ソ連側には、はるかに心強い戦車があるわけで、

 苦労しながらエンストさせつつ、標高4000mまで、持って来たのは、十分に評価できた。

ソビエト T-62A戦車

ソビエト重戦車 JS3 スターリン3型

 

M551シェリダン空挺戦車

全長

車体長×全幅×全高

重量

速度

行動距離

兵装

機関銃 馬力 乗員
(m) (m) (t) (km/h) (km) M81ガンランチャー (hp)  

6.307

6.307×2.794×2.946

15.177

69.2/5.79

563

152mm×1

12.7mm×1

7.62mm×1

300

4
ソビエト T62A戦車

全長

車体長×全幅×全高 

重量

速度

行動距離

兵装

機関銃 馬力 乗員
(m) (m) (t) (km/h) (km) (hp)  

9.30

6.60 ×3.30×2.40

40.0

50

450

62口径115mm砲

12.7mm×1

7.62mm×1

580

4

ソビエト重戦車 JS3 スターリン3型

全長

車体長×全幅×全高 

重量

速度

行動距離

兵装

機関銃 馬力 乗員
(m) (m) (t) (km/h) (km)     (hp)  

9.73

6.77 ×3.07×2.44

46.5

37/19.2

240

46.3口径122mm砲

12.7mm×1

7.62mm×1

520

4

 まともに戦えば、シェリダンに勝ち目はなかった。

 ほとんどの敵戦車は、T34中戦車で、たまにT55戦車で、T62戦車は少数派。

 JS3に至っては更に希少な戦車だった。

 そして、標高が高く、気圧が低い、チベットは、いろんな条件が重なり、

 機動力が相乗低下してしまう。

 軽車両で馬力がある方が機動性を維持でき、戦場の主導権を握る事ができた。

  

 62式自走無反動砲

 印パ宗教義勇軍が好んで使う。

 というより、費用対効果で、これしかないという感じだろうか。

 日本は、チベットに対し直接支援しない代わりに印パ両国を支援していた。

 そのおかげで、ヒンズー・イスラム宗教連合軍がチベットにいる。

 チベットは、欧米諸国から直接購入する場合が多く。

 AMX13軽戦車。

 M8軽戦車。

 M56空挺対戦車自走砲スコーピオンになりやすい。

 62式自走無反動砲の問題点は、発射時に尽きる。

 後方に人がいると大変なことになる。

 もう一つは、砲身が固定され、微妙な調整しかできないため柔軟性に欠ける。

 それ以外は、誠に有益な火力で、やられても犠牲になる兵士は、二人だけ。

 時には、ゼロとなった。

  

 渓谷の合間

 支援砲撃を加えたいという衝動に駆られながら大地の色に合わせたシートを被せ、

 敵戦車を待ち伏せする、

 自走砲は射撃が煩わしく。

 初速600m/sと寂しいものの、

 低気圧で機動力が低下した戦車なら何とかなりそうだった。

 しかも、155mm砲弾と大口径になると敵戦車を選ばない。

 チベットでは、兵隊に突撃させると。途中で、へばってしまう。

 狙撃戦線を突破しようと思うなら戦車を使う。

 というわけで敵が攻めて来る時間は日が昇り、

 エンジンが少し温まる頃で時間もだいたい見当が付いた。

 爆音が峠に響き渡り、T34戦車の群れが押し寄せてくる

 「・・・T34戦車だけだな」

 「ああ、数が16両」

 「こっちが、9両か・・・・不味いな・・・・」

 「対戦車地雷が頼りだな」

 「当てに、できないよ」

 「MATは?」

 「狙撃されなければね」

 「遮蔽物がないと狙われ易くなるからな」

 「しかし、狙撃される外から攻撃できるのは、いまのところ、この車両だけだ」

 そこに敵の航空部隊が現れる。

 近くの基地から対空ミサイルが打ち上げられ、敵の航空部隊に吸い込まれていく。

 同時に敵航空部隊からも、対地ミサイルが発射され、互いのミサイルが擦れ違う。

 上空でも、地上でも、連続した爆発が起き、

 音速を超えた衝撃なのか、大気を震わせた圧迫を受ける。

 そして、峠の反対側からも砲弾が降り注いでくる。

 たちまち、渓谷一帯が爆音と硝煙で覆われ、中国軍が戦車を先頭に押し寄せてくる。

 現場の判断が優先され、目の前の敵を撃つ事で生き残る。

 「オムル少尉。T34戦車です。距離1500」

 「よし! やるぞ!」

 T34戦車は、吹き上がりが悪いのか、排気ガスが多い、

 渓谷は、どうしても通過しなければならない場所があり、

 射線は、そこに合わせていた。

 あとは、T34戦車が、その地点に来るかになる。

 集中するにつれ、辺りの喧騒が少しずつ意識から消えていく、

 命中率の関係で、震動は気になった。

 死線を通過するは、こういうときをいう。

 T34戦車が気付いて撃ってくれば、一巻の終わり、

 ・・・・ターゲットスコープにT34戦車が映り・・・そして・・・・

 発射すると。同時に62式自走無反動砲に衝撃走り、車体が揺すられる。

 間髪いれず。車体を動かし、次のT34戦車に自走砲を向ける。

 ダッシュ力は、軽戦車だけあって、それなり。

 もう一両、撃破できるなら戦車比で負けはないと信じたくなる、

 慌てて、次のT34戦車に砲身を向けた時、

 最初に狙ったT34戦車に砲弾が届いたのか、破壊される。

 次弾装填がなされ、

 そして、敵のT34戦車と正面から向き合う。

 互いに数刻を争う、射線が合うか合わないか、ギリギリの判断で撃ち合う。

 当然、T34戦車の初速が速く、

 衝撃と共に間の前が真っ赤になって意識を失う。

 

 意識を取り戻すと62式無反動砲は大破していた。

 生き残ったのが不思議といえたが車高の低さが幸いしたのだろう。

 屋根が削られ、二人の間にあった155mm砲身は消えていた。

 一瞬早く、しゃがみ込めたとしても、

 ヘルメットを被っていなかったら死んでいた。

 隣の部下も生きているようだ。

 どうやら、敵味方とも戦闘車両は壊滅したらしい。

 戦場は、小康状態になっているように思えた。

 戦線は、動いておらず、味方からも取り残されていない、

 しかし、すぐに状況が悪化した事がわかる。

 敵のヘリボーン部隊が上空を通過していく。

 どうやら、ここを脱出すべきだろうか。

 ソビエトは空挺戦車も投入していた。

   

ASU85空挺対戦車自走砲

 

全長

車体長×全幅

全高

全備重量

乗員

最大出力

最大速度

航続力

兵装

装甲

 

8.435

6.24×2.97

1.935

15.5t

4

240hp

45km/h

360km

54.6口径85mm

7.62mm×1

7〜45mm

 その後は、かなり、ヤバイ状況になった。

 退却するチベット軍、印パ連合義勇軍と、

 峠を占拠して宗教連合軍を殲滅しようとするソ連軍が入り乱れる。

 上空に味方の戦闘機がやってきたのか、

 空中戦が行われ、撃墜された戦闘機が地上に落ちて爆発する。

 「オスカ。逃げるぞ」

 オスカは、使い慣れたAK47を担いで追ってくる。

 敵の武器も平気で使う無節操な戦線だった。

 当然、持っていることで誤射も、あるようだが宗教連合軍は、当たり前にAK47を使う、

 岩陰に隠れながら退却ルートを探るがソビエト軍の空挺戦車が邪魔している。

 一両の空挺戦車が味方のMATで撃破される。

 それでも敵の防衛線は強力に見えた。

 味方が押されている。

 こうなると、キリスト教、ヒンズー教、イスラム教の違いで、いがみ合うのを忘れてしまう。

 生き残る ため、最低限の協力が必要になった。

 苦戦が続く中、低空から爆音が響いて、ソ連軍が陣取っていた峠に火の雨が降る。

  

 そして、戦況は、ますます混乱し、いつの間にか、弾薬も乏しくなる。

 「オスカ。弾は?」

 「・・・あと、10発」

 舌打ちしたくなる状況だった、

 しかし、敵も混乱している。

 岩陰から、出会い頭に敵兵4人とぶつかる。

 「ぐっ!・・」

 「・・・・・・」

 一瞬の差で身を守ろうとする者と、命を守ろうとする者の差が出る。

 相手が強いと特にそうだ。

 部下は、一瞬で、致命傷。

 自分は、致命傷になる部分をAK47を盾にして守る、

 しかし、すぐ、ナイフで腹を刺され、組み伏せられてしまう。

 こうなると、時間の問題だった。

 そこに、味方が二人現れ、ナイフでロシア兵二人が倒される。

 互いに2対2。

 互いにナイフ持って睨み合う、

 こっちは、虫の息の傍観者でしかなかった。

 ナイフを見ただけで味方がグルカ兵とわかる。

 対峙している者同士がナイフで戦うが、グルカ兵のナイフの方が大きい。

 ソビエト兵は次第に追い詰められていく、

 次の瞬間、ソ連兵の向けていたナイフの刃が予備動作もなく飛び出す。

 グルカ兵が体を捻って刃を避けながらソビエト兵の首を切りつけ、血が噴出す。

 二組とも、ほぼ同時に行われた曲芸に痛みを忘れて魅入る。

 「・・・一人は、死んでるな」

 「・・・・・こっちは、大丈夫そうだ」

 グルカ兵が言う。

 「・・・どうして、・・・・ナイフが・・・・飛び出すって、・・・・わかったんだ?」

 「飛び道具を隠しているやつは目でわかる」

 「ナイフが飛び出すとは、思わなかったがね」

 「・・・・・」

 「」

 「」

 次に気が付いた時は、病院だった。

 どうやら、無事に帰還できたらしい。

  

   

  04/01

 南ベトナム、反政府・反米運動。

 

 

  04/08

 ソ連共産党第23回大会

 党規約の改正で書記長制が復活。

 満場一致でブレジネフ書記長が選ばれる。

  

  04/14

 郭沫若が、文化革命支持と自己批判を表明する。

   

  04/16

 北京日報に、トウ拓らを批判する論文が掲載される。

   

  04/18

 解放軍報が社説で 

 「毛沢東思想の偉大な赤旗を高く掲げ、社会主義文化大革命に積極的に参加しよう」

 と掲載する。

   

  04/19

 第70回ボストンマラソンで君原健二が優勝、

 4位まで日本人が独占する。

   

  04/26

 IOCが、1972年冬季五輪大会の開催を札幌に決定する。

   

  04/26

 アメリカ国防総省が、チベット独立戦争に聖域なしと確認する。

  

  04/30

 周恩来が、社会主義文化大革命の意義。

 反資本主義。反宗教主義。反帝国主義を強調する。

    

  05/04

 ソ連が、イタリアのフィアット社と自動車プランント輸入協定を締結。

   

  05/04

 タイがチベットに宗教義勇兵の派兵を決定する。

 

  05/09

 中国が、第3回の核実験に成功。

   

  05/16

 中国で、反資本主義。反宗教主義。反帝国主義が高じて、文化大革命が始る。

 中共中央委が各級機関に対し、

 彭真らの「2月提綱」批判と中央文化革命小組設置の決定を通達する。

 粛清逃れのため、チベット独立戦争へ出征する中国人が急増。

 中国政府の狙いが的中する。

  

  05/26

 ガイアナ独立。

  

 

 チベット

 この時期、中国(ソ連)空軍は、MiG19、MiG21が主力だった。

 しかし、新型ソ連戦闘機が初飛行を終え、試作量産に入っているのか、

 実験的にMiG25とSu15が戦場に姿を見せる。

 新型機は、機動性が高く、

 F100系は馬力がよくても格闘戦になると不利だった。

 F4ファントムは鈍重で苦戦し、

 F5フリーダムは馬力不足だった。

 早期警戒管制機に誘導されても、

 優位なのは、緒戦の相対位置関係と、最初のミサイル攻撃と、勢いに乗った強襲だった。

 その後は、それぞれの機体がロッテ戦法で有機的に連動し、戦えるなら互角、

 しかし、多種多様な宗教国家連合軍は、足並みが揃わず、

 乱戦模様になりやすかった。

 

 ミグ25 戦闘機

 無線から雑音だけが響いていた。

 ソ連パイロット ミハイルが苛立つ。

 「・・・ちっ! 駄目だ、無線が妨害されている」

 さらに試作機の強度を試したいと政治将校にいわれており、

 不機嫌さが増していた。

 『・・・空中分解したらどうするんだよ』

 と言いながら機体の限界を肌で感じたりもする。

 敵の早期警戒管制機の妨害電波で、

 味方の航空部隊だけが妨害されていた。

 決められた周波数に変えるが、すぐ妨害され、まったく、通じない。

 ソ連は、電子技術で遅れていた。

 こうなると、大局的な見地からの編隊誘導は困難となり、

 頼りになるのは僚機のアル・バハロフだけ、

 会話ができないため、相互援護しかできない。

 敵の周波数に合わせようとしても、ランダムに変動しているのか、無理だった。

 このことは、何度も経験し、実のところ想定済み。

 なんとなく戦場の雰囲気で苦戦しているのがわかる。

 数十機のジェット戦闘機が空中を切り裂きながら錯綜し、

 状況が掴みにくい、

 戦況がわかるのは、あの憎たらしい早期警戒管制機だけだろう。

 正面からF4ファントムが突っ込んでくる。

 すぐに擦れ違って銃撃もまともに当たらない。

 こうなったらと、早期警戒管制機に向かって突入しようとするが、

 やはり、雷燕2型が2機。回り込んでくる。

 互いにアフターバナーを吹かしながら後方に回り込もうとする。

 こうなると、通信しながら、作戦を練る事ができるほうが優位。

 それでも、事前に決めていたバンクで合図を僚機に送り、

 死のダンスが始まる。

 雷燕2機が混乱する。

 どうやら、通信ができると勘違いしているらしい。

 そして、こういった錯誤が戦術機動を狂わせてしまう。

 2機のミグ25が白いスモークを流しながら分かれて上下に背面飛行、

 追撃してくる雷燕2型の銃撃を受けながら大空に8の字をスモークで描き、

 中央で僚機と捻り込みながら擦れ違う。

 雷燕2型2機は、追い駆けていたはずのミグ25が、

 正面から来るミグ25と入れ替わる。

 一瞬の判断ミスが死に繋がり、雷燕2機が撃墜され、

 大空に8の字のスモークが残される。

  

 早期警戒管制機で敵戦闘機の周波数だけを妨害。

 それでも、足並みの揃わない宗教国家連合空軍と

 稚拙ながら数を揃える中国空軍機の空戦は、状況次第でどちらにでも傾く。

 特にソビエト軍パイロットが混じっている場合は脅威で、

 いい勝負ができたのは戦闘機に特化している雷燕2型だけ。

 おかげで雷燕2型は、毎年、生産が伸び、

 消耗品だけでも日本側は嬉しい悲鳴だった。

  

   

 チベット航空基地

 売店。

 「マッコス。なんだか、弾の値段が上がっていないか?」

 「スレッガー。景気の悪いこと言うなよ。勝ったんだろう」

 「はぁ〜 大局的に勝ったけどね」

 「戦場で、あんな曲芸をやられたら。どうもな・・・」

 「なっ! ジンも、そう思うだろう?」

 「そうだな」

 「通信は、妨害していたはずだがな」

 「最初から、いくつかパターンを決めていたんだろう」

 「しかし、不味いぜ。早期警戒管制機が被弾して、しばらく使えないとよ」

 「・・・ああ・・・」

 「ジンが、突っ込んで追っかけてなかったら、本当に撃墜されていたな」

 「・・・・・・」 ジン

 「あれ。高いからな♪」 にやり

 「マッコス。目がドルマークになってるぞ」

 「あはは」

 「しかし、スモークとはね」

 「ロシア人に派手好きがいるとは意外だな」

 「目くらましと動揺は誘えるな」 ジュダット

 「ジュダット。空挺部隊は出るのか?」

 「どうだろうな使い古された手しか、思いつかねぇ」

 「それにソ連側も空挺戦車を投入するから。カウンター食らうよ」

 「ったく。ヒマラヤ越えする方は主力戦車を使えず、不利になっていくな」

  

  

  05/27

 アルジェリアで、鉱山・保険会社等が国有化される。

  

  05/28

 国連、世界の人口が32億人に達したことを発表。

  

  05/28

 中国で、陳伯達、江青らの中央文化革命小組が成立。

  

  05/30

 横須賀

 アメリカの原子力潜水艦スターク号は、反対運動もなく横須賀に初入港。

 核の好き嫌いに関わらず、非核三原則がなく、

 アメリカの原子力潜水艦の入港を差し止める明確な口実がない。

 日本近海に潜っている方が危険な存在であり、

 港にいる潜水艦など人畜無害で、自殺的な攻撃でもしない限り、安全といえる。

 安全保障上の理由だけで入港拒否は弱過ぎた。

 物珍しそうな、観客が見ている。

 「あれが、アメリカの原子力潜水艦か・・・・いいなぁ〜」

 「なんだよ。シービュー号と違うぞ。インチキじゃん」

 「ゴジラ、キングギドラと戦ったやつは、どこに行ったんだよ」

 「ったく。夢の無い国だな」

 「そうそう。せめて色くらい似せれば良いのに愛想悪いな」

 日米両国とも力関係で差があっても利害関係が絡んでくると、

 いろんな分野で国民同士を共感させ友好関係を築こうとする。

   

   

  06/01

 中国で、北京大学党組織を批判した聶元梓らの大学報が公表。

   

  06/02

 05/30打ち上げのアメリカのサーベイヤー1号が月面軟着陸に成功。

         

  06/03

 中共、党北京市委員会の改組が発表され、第一書記彭真が失脚。

   

  06/05

 アメリカのジェミニ9号のサーナン飛行士が、2時間5分の宇宙遊泳を行う。

 

    

  06/22

 チャド民族解放戦線が結成される。

   

  06/27

 アルゼンチンで軍部クーデターが起こる。

   

  06/30

 ソ連訪問中のドゴール大統領が、ソ連との共同宣言を発表。

 ヨーロッパからアメリカ軍勢力を排除すること、外国軍隊のベトナム撤退など。

   

  07/01

 フランスが、NATO軍を正式に脱退。

 

   

  07/01

 イギリスの海員全国組合のストが、組合側の勝利で終る。

   

  07/01

 ユーゴで、共産主義者同盟中央委員会総会が開かれる。

   

  07/02

 フランスが、ムルロア環礁で地下核実験。

   

  07/05

 スカルノ大統領が終身大統領の称号を剥奪される。

 スハルト陸相が大統領代理として実権を握る。

   

  07/12

 シカゴで、黒人暴動が起こる。

   

  07/12

 ジョンソン大統領が、アメリカを「太平洋国家」と規定する。

   

  07/17

 北ベトナムのホー・チ・ミン大統領が、南ベトナムからの撤退を要求。

   

  07/20

 アメリカのジェミニ10号が初の2重ランデブーに成功。

   

  07/28

 核禁会議が、初のアジア核禁会議を開く。

  

   

 出雲州

 出雲の生活は、日本風でありながらフランス、イタリアの影響を強く受ける。

 フランスパンとナポリタンに抵抗のない日本人が多く。

 また、水がタダで無いことも慣れてしまう。

 食事に安物ワインが付いても不思議ではない。

フランスパン

ナポリタン

 とはいえ、ご飯と味噌という和食も根強く、

 降水量が寂しいのだが、それでも品種改良して、何とかしてしまう。

 小麦畑の方が多いが段々畑に水田があるのが出雲・因幡の風景だった。

 やはり、得意な農産物を作ってしまいやすく、

 フランスとイタリアに日本の作物を輸出していたりする。

 家は和洋折衷。

 第一外国語は多く。

 英語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、スペイン語、アラビア語から選択できた。

 フランス海軍の軍艦がNATO脱退したためか、水平線上に見え隠れしていた。

 イタリアは、闇経済が強く、マフィアが暗躍し、共産主義が根強く蔓延っていた。

 テロとゲリラは日常に近付き、

 アウトローは、政府機関と銃撃戦を繰り広げる、

 日本人は、フランスよりイタリアに親しみがもてるのか、

 イタリアの方に行きやすい。

 が、この年のFIFAワールドカップだった。

 イタリアはサッカーで北朝鮮に負け、史上最悪の年。

 ラテン系は、サッカー熱が高いだけあって、

 それだけで敗戦直後といった雰囲気が漂う。

 かなり乱心気味で、黄色人の日本人は、イタリアに行かない方が無難だった。

  

 因幡

 純和風旅館があったりする。

 塀の内側に日本庭園が作られ雰囲気だけは日本だった。

 日本人が数人集まっている。

 「新型コンピュータは、上手くいっているんだろう」

 「何とか、システム360に追いつけそうだよ。倍は高いがね」

 「倍かよ」

 「大きさは、1.5倍」

 「大きいのかよ」

 「2バイトだから1.5倍の大きさに抑えて性能で追いついて値段が倍なら、褒めるべきだろう」

 「まあ、コンパクトに抑えたというところか」

 「すまんな、出雲州でも使ってもらわないと・・・・・」

 「しょうがないな」

 「少なくともハードが壊れない限り、OSが壊れることは無いよ」

 「・・・いいけどねぇ」

 「途中、イタリア人とフランス人がケンカしていたな」

 「いまは、機嫌が悪いんだよ。どっちもな」

 「困るのは、NATOを脱退したフランス人の方だがね」

 「・・・ったく。フランスは、何を考えているんだ」

 「反米じゃないのか」

 「ったく。迷惑な連中だな。同盟国同士で、いがみ合ってんじゃないよ」

 「フランスも核ミサイルを持ったから、いい気になっているんじゃないか」

 「わかるけどさぁ それより、チベット戦線。やばいんじゃないか?」

 「MiG25とSu15だったかな」

 「数が多いF4ファントムが苦戦するとなるとやばいな」

 「F4ファントムは、戦闘爆撃機みたいなところがあるからな」

 「ああいうのが相手だと厳しいだろう」

 「早期警戒管制機は良いが、せいぜい目視距離圏での妨害だろう」

 「戦場が広がると。ひっくり返されるよ」

 「雷燕2型なんて、中途半端な開発するからだよ」

 「双発戦闘機にすればよかったんだ」

 「って、間に合わなかっただろう。だけど増産するらしいぞ」

 「またか」

 「死ぬのが日本人じゃないから、遠慮が無いな」

 「日本人パイロットも傭兵で行っているんだろう」

 「まぁ〜 ベテランは必要だよ。特に実戦経験者は、どこの国の空軍でもね」

 「それで、次期主力戦闘機は?」

 「一応、双発ということに、なっているけど予算次第だな」

 「まじかよ。油田が出たら、回すんじゃなかったのか」

 「・・・まず、地方かな」

 「お、遅れてたからな・・・・」

 「VTOL機に予算、掛け過ぎたんだよ。民間じゃ 元取れないだろう」

 「チタン工場?」

 「ったく。戦闘機の工場ならわかるが双発ジェットプロップの工場じゃな」

 「ははは、少なくとも、物を運ぶ点は、評価できるからね」

 「政府専用機で、あれで飛んだらカッコいいとか、思ったんじゃないだろうな」

 「まぁ カッコいいかもな」

 「ソ連のミル6フックの大きさには負けている」

 「あれは、でか過ぎだよ」

 「性能では、負けてないさ」

 「価格が高すぎる」

 「戦闘機じゃあるまいし。収支をプラスにするのに何機造るつもりだ」

 「ははは、西側諸国が買ってくれたら行けるかもな」

 「チタン工場は、応用が利くだろう」

 「少しはな」

 「まったく、他で手抜きしているんだから戦闘機だけでも、まともなのが欲しいよ」

 「だよね」

  

  

  08/01

 ナイジェリアで、ゴウォン政権成立。

   

  08/03

 イギリス軍がマレーシアのサバ・サラワクからの撤退を決める。

   

  08/08

 中国共産党第8期11中全会で、プロレタリア文化大革命についての16箇条の決定を採択する。

  

  08/19

 江青が党の序列で24位として天安門の上に立つ。

   

  08/20

 中国で、紅衛兵が四旧打破を要求して街頭に進出する。

   

  08/26

 政府が閣議で100円札の廃止を決定する。

   

  08/26

 紅衛兵運動が中国全土に広まり始め、

 北京市内のカトリック系聖心学院を閉鎖し外人宣教師らを吊るし上げる。

   

  08/28

 人民日報が、規律を守り暴力をやめよ、と紅衛兵に呼びかける。

   

  08/31

 北京で紅衛兵50万人の集会が開かれ、周恩来首相らが演説する。

 林彪国防相は「武闘」より「文闘」で権力派を打倒と演説する。

 各地区紅衛兵代表が毛沢東万歳を繰り返す。

   

  09/01

 カメルーン民族同盟が結成される。

   

  09/12

 人工衛星ジェミニ11号が打ち上げられ、

 アトラス・アジーナ・ロケットとのドッキングに成功。

 

 

 この頃、ソ連海軍は徐々に沿岸海軍から外洋海軍へ移行していた。

 その戦略は、潜水艦が中心でドイツのような通商破壊を目的としていた。

 もう一つは、核弾頭を装備した潜水艦による示威だった。

 モスクワ級ヘリコプター巡洋艦14950t

 キンダ(グロズヌイ)型巡洋艦5500t

 カシン型駆逐艦4390t

 K-19 4030トン、

 エコー級原子力潜水艦 4500t

 ゴルフ級潜水艦 2794t

 ノヴェンバー級原子力潜水艦 4300t

 ホテル級原子力潜水艦 4040t

 主要な戦力が北大西洋と地中海に集結していた。

 これ以外にも旧式艦艇や通常潜水艦が存在し、

 中国海軍へと売却される動きがあった。

   

 

  09/13

 東シナ海 天然ガス油田掘削メガフロート “飛鳥”

 日本石油開発会社の創立総会が開かれる。

 全長2000m×全幅500m。

 津波や台風がきても大丈夫なように海面から10mほど高く、

 階層が区切られて、ちょっとした海洋都市の風格があった。

 ガス油田掘削基地と併設されたメガフロート飛行場であり、

 この基地は、まだ途上であって増築される予定になっていた。

 日本連邦が石油産出国になった瞬間といえる。

 そして、水産技術研究所も併設され、

 海洋漁業など水産資源の開発基地でもある。

 もっとも、日本海軍のSOSUS網との兼ね合いがあって、一波乱起こる。

 莫大な投資が行われるのなら、便乗施設が作られやすい。

 そして、恒久型メガフロートなら海洋ホテルも建設させろと民間の圧力も強くなる。

 日本海軍が、もっとも頼りにしているSOSUS網は、最高機密にもなっている。

 当然、総論でメガフロートが賛成でも、それぞれの部署の各論で衝突する。

 4発の彩凰、2発の彩風が悠然と着陸してくる。

 

赤ポツ “飛鳥”

 中国大陸と北朝鮮に挟まれている遼東半島。

 そこに至るコース上。

 そして、適当な距離に石油採掘基地が建設される。

 アメリカと海南国にとって、心強いことで。

 日本・アメリカ・海南国の利害関係が一致してくる。

 この時期、中国は、チベット独立戦争で忙しく、

 中国海軍は、日本海軍どころか、海南海軍より劣り、

 東南アジア諸国の海軍よりも劣っていて、

 東シナ海の日本のメガフロートどころでなかった。

 もっとも、キューバ危機の経験から、

 ソビエトは、中国に旧式艦艇を売却し、

 海日米海軍に圧力を掛ける動きを見せていたものの、

 脅威と呼べるレベルではなかった。

     

 メガフロートにテラス風の釣り場が出来ていた。

 プライベート釣り場もあれば、公共の釣り場もある。

 数人の釣り人が並んで釣竿を立てていた。

 「なあ、こんなに大規模に作って、大丈夫なのか?」

 「台風や波濤の問題があるから。これくらいが必要な大きさになるんだよ」

 「・・・中国のミサイルにさらされそうだな」

 「石油採掘分で、防衛できるだろう」

 「それにミサイルで狙うなら、標的の大きな敷島(台湾)だろうな。あっちの方が近い」

 「道理で敷島系議員の対中姿勢が厳しいと思ったよ」

 「感覚的に海南国と一番近いのが敷島州だよ」

 「チベット義勇軍が多いのも敷島だな」

 「敷島系は、扶桑系の議員といがみ合っている」

 「中共の怖さをほかの州に押しつけられたら、たまったものじゃないからね」

 「海南国ほどじゃないけど、中共の恐怖は、敷島にいないとわからないだろうな」

 「対空ミサイルの牙鳳と対艦ミサイルの牙龍は、終わったのかな?」

 「それがな、ったく。民間も強くなったからな。見晴らしのいい場所も欲しいだと」

 「それで、ごねていたのか?」

 「そりゃ ごねるわ」

 「見晴らしのいい場所は、軍関係や航空管制関係がとるに決まっているだろう」

 「ふふふ、民間も、ずうずうしいな〜」

 「笑えんよ。油田が発見されたなら、いくら投資しても損はない」

 「第二の軍艦島かな」

 「軍艦島より有望だよ。石油だから金も掛けているし・・・」

 「・・・・おっ! 来たぞ」

 一機の双発機 “彩風” が、着陸コースに入る。

 プロペラが異様なほど大きく見えた。

 次第に主翼の付け根から傾いていく。

 滑走路があるから、無理して、垂直着陸しなくても良いのだが、

 主翼とプロペラは、ほぼ垂直となり、

 滑走路に風圧を押し付けてホバーリングし、着陸する。

 結局、日本は、彩風のVTOL機化にヘリコプター開発費を全て注ぎ込み、

 成功させてしまう。

 航空関係者は驚くものの、驚嘆するような技術は少なく、

 むしろ力技で解決していた。

 エンジンを8000馬力に強化し、

 トン当たり10倍以上の価格になるチタン部品を増やしただけ、

 その気になれば、アメリカの空母にも離着艦できるという、

 “そんな物に金を掛けるというなら、戦闘機開発に掛けろ!”

 という意見も、あった。

 しかし、各国は、高いと文句をいいながら買う事になる。

 何しろ全長32mもの輸送機が空母に離着艦でき、

 積載量も大きく、便利なこと、この上ない。

 

 日本海軍は、やまぶき型に着艦できる小型艦載ヘリが良いのだが、

 アメリカは、価格分に1割足して好きなヘリと好きなだけ交換してやるという。

 アメリカが何を考えているのかというと、空母用輸送機だけ、とも思えず。

 だいたい想像が付くものの、長じれば通ず。といえた。

 もっとも、先に作られたのは、民間機のVTOL機“彩風”で、

 軍用のVTOL“月影”は、もう、しばらく後になった。

   

6000トン級 やまぶき型 巡洋艦

第一次 やまぶき あかしや あじさい あすなろ さざんか しもつけ ねむのき ろうばい 56年度艦
第二次 しゃくなげ さるすべり ゆきやなぎ はなみずき はなずおう うめもどき こむらさき かくれみの 60年度艦
第三次 ゆきざさ ゆずりは えにしだ くちなし くましで みずなら もくせい もくれん 64年度艦
第四次 えのきぐさ からすむぎ からすうり くまやなぎ ひめうつぎ もみじがさ つくしはぎ すずめうり 68年度艦
第五次 あかまつ つめくさ つゆくさ かまつか あかしで しらかし しらすげ とだしば 72年度艦
第六次 やぶつばき やまざくら さねかづら しろよめな つるまさき とねあざみ とぼしがら かすまぐさ 74年度艦
第七次 さわしば せんぶり やまうり あわぶき かさすげ おにすげ あおみず あおすげ 76年度艦
第八次 むくげ やつで のぶき みずき みつば よもぎ さつき すすき 78年度艦

2500トン級 やまひめ型 潜水艦

第一次 やまひめ おおひめ たかさご おにひげ こしなが このしろ むぎつく ひらまさ
第二次 しいら ひめじ あしろ やつめ めじな やまめ あまご いさき
第三次 くさやむろ おあかむろ あかひめじ よめひめじ くろさぎ わかさぎ ひいらぎ かわはぎ
第四次 あかむつ くろむつ ばらむつ やせむつ かわむつ ぬまむつ たかはや しらはや
第五次 あかえそ おきえそ しまそい くろそい おいかわ まつかわ あかいさき しまいさき
第六次 あおはた あかはた あざはた きじはた るりはた にじはた あかはぜ さびはぜ
第七次 やりぬめり ほろぬめり せとぬめり そこぬめり やいとはた おおめはた いやごはた ほうきはた
第八次 ゆめかさご みのかさご ふさかさご しろかさご ぎんあなご くろあなご しろあなご おきあなご

 この時期の日本海軍 巡洋艦

 1) 北極圏・ベーリング海 2隻

 2) 北太平洋 2隻

 3) 日本海、 4隻

 4) 東シナ海、 4隻

 5) 南シナ海、 4隻

 6) 南洋・瑞穂(ミクロネシア)、 2隻

 7) インド洋、 2隻

 8) 南大西洋(秋津)、 2隻

 9) 地中海(出雲)  2隻

 9つの海軍管区が作られていた。

 扶桑海(オホーツク海)は、ソ連海軍が入らない代わりに警備艦艇ばかり、

 両国とも財政難で軍艦を配備したくないのか、

 ソ連が自分で魚を獲るのが面倒になったのか協定は、毎年、延長されていた。

 やまぶき型も、まだ、24隻しかなく、それぞれに振り分けられていく、

 残りは、まだ、大戦で使っていた軍艦ばかりで、

 一度、改装していたが退役を待つばかり。

 担当海域が、あまりにも広い割りに就役艦が少なすぎるものの、

 昔の戦艦の射程を越える6000トン級巡洋艦が24隻。

 そして、ようやく精度が向上し、

 使えるようになった牙鳳(対空)・牙龍(対艦)ミサイルを装備。

 SOSUS網、潜水艦、航空部隊ともリンクされ、手強い布陣となっていた。

 太平洋では、アメリカに次ぐ、第2位の海軍戦力だった。

 航空戦力も月影に続き、幻鳳が配備されると。

 幻凰も対艦攻撃型、対潜哨戒型、早期警戒管制型、

 空中給油型、輸送型が派生していた。

  

  

 宇瑠島

 幻凰が哨戒で離陸していく、

 月影より性能は良いのだが軍事力は、相対的な関係で考える。

 管制室

 「ベア爆撃機に負けてるな」

 「ソ連空軍は空中巡洋艦隊という感じですからね」

 「ソビエトは、太平洋方面で使える海軍基地が制限されているからな」

 「航空戦力に艦隊の代わりをさせてるのだろう」

 「太平洋のシワ寄せが出雲だと派遣艦隊の友人がぼやいていましたよ」

 「いまのうちだろう」

 「ソビエトは、中国に軍艦を輸出して儲けて」

 「中国海軍で日本海軍とアメリカ海軍を牽制する気なんじゃないかな」

  

  

 東シナ海

 メガフロート近海の海の底。

 敷設されたばかりのSOSUS網・海底補給基地と連結していた。

 電力は供給され、空気も十分に送られてくる、

 連結されている間は、原子力潜水艦並みの生活ができる。

 有線で飛鳥と連結されているため、閉塞感がある割りに孤立感に至らない。

 水上艦艇より通信が自由で、SOSUS網のおかげで外の様子もだいたいわかる。

 これで食料が自給できれば、本当に海底基地になるだろう。

 もっとも、そうなる可能性は、かなり低い。

 これは、科学技術的な問題より、

 狭い空間に閉じ込められるのは耐えられないという人間の問題で世界共通といえた。

 どちらにしろ、ディーゼル機関電気推進型潜水艦の場合、作戦海域が限られる。

 しかし、SOSUS網の中に限っては・・・

 日本海軍 潜水艦 “しいら”

 「艦長。潜水艦です」

 「報告にあったソビエト潜水艦のようです・・・隻数7・・・です」

 「航路を離れてこっちに近付いているのは “飛鳥” が気になるんだろうな」

 モニターを見ると、SOSUS網に潜水艦の影がくっきりと映っている。

 「基地から月影を飛ばすそうです」

 「そうか、探信器を落とせば引き揚げるだろう」

 「潜水艦は、見つからなければ、どこにでも行きますからね」

 「そういえば “ひめじ” と中国沿岸にどこまで近づけるか競争した事があったな」

 「でも、岸に接舷するのは不味くなかったですか」

 「まったく気付かれなかったから仕方なくだな」

 「今度は、こっちがやられますよ」

 「あはは、中国向けの潜水艦か。東シナと南シナも五月蠅くなりそうだな」

 「・・・アメリカの潜水艦が1隻追跡しているようです」

 アメリカの原子力潜水艦は、大きいはずなのに影が薄い。

 それだけ音が小さいということだった。

 少なくともソ連海軍の通常潜水艦よりも推進音が小さい。

 こうなると、数の問題ではない。

 ソビエトの通常型潜水艦7隻の方が簡単に撃沈される。

 「・・・シャークのようです」

 「スキップジャック級原子力潜水艦。3000トン級か・・・・・」

 「海中を自由に動けるのは、いいですね」

 「そうだな・・・・」

 「しかし、原子力機関で3000トン級は少し狭いかもしれないな」

 「やはり、原子力は抵抗がありますから。もっと余裕が欲しいですね」

 「飛鳥のおかげで原子力発電所建設は分が悪くなったからな・・・」

 「油田があるなら、火力発電所という気にもなりますよ」

 「当然、原子力発電所の建造も遠のくだろうな」

 「それは、不味いですね」

 「まあ、一基ぐらい造るかもしれないが建設場所でごねそうだな」

 「ヒロシマ・ナガサキ・オワフ連合ですから相乗効果抜群ですよ」

 「フランスの核実験も地下実験にさせてしまうし」

 「キューバ危機以来、凄みが増して怖いからな」

 「じゃ 潜水艦作戦用に無人島に・・・・・」

 「予算があればな」

 「飛鳥がそうですけど、他省の予算に便乗しようという風潮は、どうなんでしょうね」

 「開発費が高騰しているからな」

 「少しでも、他所の金で乗り切りたいのさ」

 「それでもアメリカのライセンス生産が引き下げられて楽になったがな」

 「艦長。月影が探信機を投下するそうです」

 「・・・・これで、引き揚げてくれれば良いがな」

 探信器が投下されると強力なアクティブソナーが発信され、

 飛鳥に接近していた潜水艦の存在が明るみになる。

 これは撃沈できるという警告であり、

 発見されたソビエト潜水艦は、すごすごと引き揚げていく。

 「シャーク。依然として、海底に着床しています」

 「ソナー投下に気付いて、すぐに海底に着床か。位置は?」

 「精確には、わかりませんが、この範囲のはずです」

 海図に数百メートルの円が描かれる。

 アメリカ潜水艦が日本のSOSUS網の力を知りたがっているのがわかる。

 軍事機密を教えるわけには、いかない。

 急速潜航で海底に着床できる操艦技術は相当なもので動き出すまで睨み合い。

 哨戒機を出す頃合いも軍事機密で、こちらの実力を教える必要も無い、

 「・・・艦長。“ひめじ” からです」

 日本のSOSUS網が便利なのは、これだろうか。

 僚艦とも自由に連絡が取れる

 『・・・・速水少佐。どうやら居座られそうだな』

 「深町少佐。アメリカ潜水艦の遊び相手ができるのは日本海軍ぐらいのものだ」

 『ソビエト潜水艦と遊べば良いのに』

 「ソナーより。ガイガーカウンターで探す方が早いかもしれないな」

 『あはは・・・今度は、こっちの方が遠いようだ』

 『あまり長い間、居座るようならエスコートに行くよ』

 「潜水艦に後ろを付けられない限りは動かないか」

 『追い駆けても、こっちが先に息切れするがな』

 「ふっ 確かにエスコートする方が息切れするのは、みっともないな」

 『日本も原子力潜水艦を建造すれば良いんだ』

 「まったくだ」

 

   

  09/30

 ボツワナ独立。

    

  10/03

 コスタ・イ・シルヴァ元帥が、ブラジル大統領に選出される

     

  10/08

 東(あずま)化工が松川に地熱発電所を完成、送電を開始

   

  10/27

 中国が、初のミサイル発射実験に成功。

   

  11/03

 イスラエル・ヨルダン国境で衝突が起こる。

   

  11/09

 ソ連とフランスがホットラインの設置コミュニケに調印。

   

  11/15

 アメリカが、「ジェミニ12号」の飛行を最後にジェミニ計画を終了。

      

  11/28

 ブルンジで王政が倒れる。

   

  11/28

 人民大会堂の「文芸界プロレタリア文化大革命大会」で江青が解放軍文化工作顧問となる。

   

 映画館の前

 一般人の会話、

 ここは、日本ではない。

 「・・・いやぁ〜 やっぱり、ゴジラは、最高だよ」

 「でも、モスラ、キングギドラ、ラドンもイケた個性があるよ」

 「独立して映画を作れるんじゃないか」

 「日本の怪獣がハリウッドスターになってしまうなんて大きく育ったな〜」 泣き。

 「シービュー号も役どころとしては、悪くないけどさ」

 「やっぱり、ゴジラとキングギドラの戦いがメインだよ」

 「そうかな、キングギドラの暴れているところまで引っ張っていくところは手に汗、握ったぞ」

 「でも核魚雷は、止めようぜ」

 「あいつら、パナマ運河拡張で使っているから。抑制無いんじゃないか」

 「「「うんうん」」」

 「・・・今度、インドでも、やりたいってよ」

 「インド?」

 「インドも、映画が好きなんだと」

 「いや、知っているけどさ。ゴジラに歌と踊りは似合わないだろう」

 「そうそう。ゴジラが踊ったら幻滅だよ」

 「ウルトラマンは、どうだろう?」

 「んん・・・・インパクトは、ゴジラだよな」

 「そうそう、正義の味方は、いいけどね。ウルトラマンは、子供向けかな」

 「確かに、いい大人がウルトラマンじゃ 辛いな」

 「うんうん、破壊に美学が感じられないよ」

 「でも、南アフリカ公国が特捜隊の服を元に軍服を作ろうとしているらしいよ」

 「げっ! 軍隊がネクタイするの? オレンジで?」

 「ははは、色違いで、ネクタイは外すだろうけど」

 「カッコ良い軍服で愛国心を煽るんじゃないか。あそこ部族がバラバラだから」

 「あはは、笑える。あいつら戦争する気ないな」

 「できないんだろう。あ、そうそう、鉄腕アトム。死ぬんだよな・・・・」

 「いい作品だったのに・・・・」

 「死ぬから、いい作品だろう。ダラダラ続いても締まりがな〜」

  

  

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 月夜裏 野々香です。

 んんん・・・・シービュー号。年齢がわかります。

 

 MiG25戦闘機。

 うっかり、初飛行が1964年だから、そろそろ大丈夫と思ったのが、早とちり。

 掲示板で指摘されてしまいました。

 試作量産中で強度試験も兼ねて出撃しました。

 怖い怖い。

 さすが、労働者の国。ウラー!! です。

 

 

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よろしくです。  

1966年 昭和41年 誕生酒 (楽天)

誤字脱字・感想があれば掲示板へ

第75話 1965年 『外憂内患』
第76話 1966年 『宗教国家連合 VS 反宗教国家連合』
第77話 1967年 『平和を作り出す者は・・・・』