月夜裏 野々香 小説の部屋

    

After Midway

 

 

第84話 1974年 『チベット独立、そのあと・・・』

 チベット独立戦争でチベットの独立と中立協定が調印されると、

 地球上で戦場らしい戦場がなくなる。

 もちろん、局地的な地域紛争で小火器による銃撃戦など行なわれていた。

 しかし、本格的な国家間戦争は止む。

 とはいえ、インド、パキスタン、中国、ソビエト・・・

 反政府勢力に運び込まれたトカレフとAK47の銃声は止む日がなかった。

 そして、中東から南アフリカ公国連合以北までの政府・反政府のゲリラ・テロ・・・

 南アフリカ公国連合とアンゴラ国境。

 公国連合領から見るとアンゴラの治安の悪さは酷く。

 国境付近で、アフリカ大陸の黒人解放政策を賛成する者は、少数派。

 同じ黒人だからといって隣人になるのは、ごめんこうむりたい者も多く、

 密入国のアンゴラ黒人たちが収容所に集められる。

 監視するのは、見栄えだけカッコいい軍服を着た公国連合の兵士。

 「・・・困るよ。密入国は・・・」

 「・・・・・・・・」

 互いに憮然と睨み合う。

 南アフリカ公国連合のアフリカ大陸黒人解放政策は、選挙でも公約で必ず出される。

 しかし、総論賛成でも各論で受け入れられず “ちょっと、待て” だった。

 そして、表向き国策で、黒人開放政策を進めるだけあって、

 どうしても、ソフトな対応が求められたりする。

 アンゴラは、資本主義側、共産主義側、公国連合側の三者で紛争中。

 口実は、紛争が解決するまで、といって、下駄をアンゴラ側に預け、放置したがる。

 アフリカ大陸黒人解放政策は、実行力のない、

 国内向けの選挙キャンペーン用の文句に成り下がろうとしていた。

 

 

  01/

 ジュネーブで第37回石油輸出国機構(OPEC)特別総会が開催。

 原油価格を4月まで据え置くことが決まる。

 

 韓国の朴大統領は大統領緊急措置法を発動し、改憲運動とその報道を全面禁止。

 

 南沙諸島をめぐって中国、南ベトナム、台湾の間の対立が激化する。

 

 プラウダがソルジェーニツィンを裏切者と非難する。

 

 

 南沙群礁

 戦後、日本は、島礁を埋め立てていた。

 理由は、金に任せてフィリピン、南ベトナムで利権を拡大するアメリカの圧力に抗するためだった。

 もちろん、日本がフィリピンと南ベトナムのアメリカ勢力を分断する見方もできた。

 日本本土と昭南州に向かう航路帯の確保も含め、

 南沙の埋め立ては、年々、規模が大きくなっていく、

 しかし、1969年に初飛行した4発ジェット機ボーイング747が登場すると事情が変わる。

 747は、時速900km以上で直接、日本本土と昭南州を結ぶ事ができた。

 一方、ジェットプロップ機の経済効率の上限は、640km/hで、

 狭い空間に長時間押し込まれる長距離飛行は不利になり、

 ボーイング747に軍配が上がる。

 南沙空港は、55年に完成したカリフォルニアのテーマパーク、

 ディズニーランドを参考に集客を模索。

 海洋レジャー施設などを増設して抵抗を試みるも路線客頼りで無理と宙に浮く。

 そして、日本の航空会社がボーイング747を採用すると、

 南沙空港も中継基地としての魅力が低下し、

 中短距離であれば利潤のいい彩風、彩凰も、この路線から撤退していく。

 

 そして、チベット独立戦争で一息ついた中国が目を向けたのもの海域。

 中国艦隊を見せ付け、

 海南国、日本、アメリカに政治的妥協を迫ろう、という示威が行われる。

 単純な戦闘能力でソビエト製は悪くなかった。

 しかし、スペックにない事柄もある。

 中国海軍は、チベット独立戦争と文革で海軍の成り立ちが遅れていた。

 水兵は、訓練課程の途上、船酔いなどレベルが低すぎて話しにならない。

 普通、海上生活で水の配分、使い方にもコツがあるが、それもままならず。

 無駄な消耗も激しいせいか補給で港に戻る期間も短い。

 アメリカ海軍と日本海軍は、即時臨戦態勢に移行でき、

 攻撃に対する即応性が高く、軍艦としての機能が高いレベルで常時維持されていた。

 しかし、中国海軍は、攻撃を受けた後、索敵し、

 準備しないと臨戦態勢に移行できないため、近代海軍として問題ありだった。

 これらを加味すると、中国海軍は見かけよりさらに弱くなり張子の虎。

 とはいえ、敵性国家でも同業者同士の連帯らしきものがあり、

 予算を得るため、それらしい演習を見せ合ったりすることもある。

 しかし、過度に反応し過ぎて、脅威論をぶちまけるとバカにされてしまう。

 逆に日本側の問題点を挙げてバランスを取るべきだろうか。

 油断して思考が単調になると真珠湾攻撃のようなことは起こりえる。

 ツキに見放されれば、幕下に転がされることもある。

 過小評価すべきではないという前提で、

 いろいろ、目を瞑ってもらって、スペックどおり判断していた。

 

 日本の巡洋艦 “もくせい” “もくれん”

 『あと・・・15年くらいかな・・・』

 “もくせい”の艦長が呟く。

 中国の軍備拡張に対する感想。

 海南国海軍、フィリピン海軍、南ベトナム海軍だとスペックどおり判断できる、

 下手をすると北ベトナム海軍が中国海軍より海に慣れていたりする。

 「・・・・空母でも建造しないですかね」

 「そういえばソビエトは、キエフを建造するよな」

 「どのくらいの脅威ですかね」

 「さあ、Yak38が12機だったな」

 「シミュレーションだと7機を撃墜して、被害ゼロだった。現実はどうかな」

 「あれは不味いですよ」

 「マスコミに知られたら本当に予算を減らされますよ」

 「F18のデータに書き換えて、やった方が良いな」

 「あれだと、こっちが撃沈ですよ。ECMも、ECCMも相当なものですからね」

 「キエフが役に立つとすると後進国が相手の場合だな」

 「脅威は、今のところ対艦ミサイルだな」

  

  

  02/

 超能力者のユリ・ゲラーが来日し、民放テレビ各社の番組に出演する。

 

 パキスタンがバングラデシュを承認。

 

 インドとイランが経済協力協定に調印。

 

 エチオピア軍の反乱によりエチオピア内閣が総辞職。

 

 干ばつと売れない綿花栽培。餓死者が続出していた。

 

 

 エチオピア日本大使館

 「・・・日本人の把握と、安全な地域への避難場所の確保は?」

 「都市部は、231人を把握。避難を開始しています」

 「くっそぉ〜 だから綿花栽培は反対したんだ。欧米で、ごり押ししやがって」

 「日本人の居住者は、低地で農耕が多いですから心配ですよ」

 「襲撃されていなければいいが・・・・」

 「環境の悪い低地で開拓していたのに・・・・」

 「苦労して奪われてか。後進国では、良くある話しだな・・・・・」

 「エチオピア軍に保護を要請します」

 「エチオピア軍は、大丈夫なのか? 強盗より始末が悪そうだぞ」

 「一応、親日に対する協力支援ということですから大丈夫かと・・・」

 「皇帝も心配だな」

 「とりあえず、チャーター便を要請して日本人を避難させよう」

 「アメリカとソビエトも反君主制で共闘する気配がありましたからね」

 「気配はあったが干ばつがなければ、反乱など起きなかったよ」

 「綿花は食えませんからね」

 「国連に動きは?」

 「これからですよ」

 「やれやれ。たいして魅力ないところだ」

 「石油か、鉄鉱石でも、出れば、もう少し何とかなるのだが・・・・」

  

 

 ジェネラルダイナミクス F16ファイティングファルコンの初飛行。

 F16が滑走路に進入しパイロットが降りてくる。

 「・・・ど、どうかね、雷燕2型やMiG19型と比べて?」

 「勝てそうですね」

 「ファルコンが推力13154kg。雷燕2型が推力8200kg。MiG19型の推力は3330kgが2発」

 「最強の格闘戦闘機の座は、アメリカのものですよ」

 「よ〜し。これで双発、単発とも、日本とソビエトを抜いた」

 「しかし、雷燕2型に競り勝てそうですが手強いかもしれません」

 「機体重量比で倍近いので、多少の不具合が直ってからになりそうです」

 「元々、日本人は、軽戦思考で積載量が乏しいのが弱点だ」

 「その分が運動性能に跳ね返っている」

 「それだけのこと、と言えれば、良いんですがね」

 「チベット航空戦で雷燕2型は頼りになりましたよ。特にMiG19を相手にする時にね」

 「似てるからな」

 「どっちも積載量をケチって制空能力の比重を高めているのに過ぎない」

 「作戦能力は制約される」

 「運動性能を頼りに作戦を立てたこともありますよ」

 「これからは、空対空ミサイルの命中率も向上する」

 「そうなれば、積載力と電子装備の弱い軽戦は不利になっていくよ」

 「たしかに・・・」

 「とにかく、実戦経験者に教育をしてもらうのが確実だよ」

 「これで、アメリカ空軍の戦闘力も数段跳ね上がる」

 「日本の新型戦闘機の噂を聞いたのですが」

 「こっちにも伝わっている。双発機らしいがF15より、劣るだろう」

 「本当に?」

 「まだ開発段階のようだが雷燕2型と部品の共有も増えているから、大体の想像はつくよ」

 「エンジンは、雷燕2型のエンジンと同じ、推力8200kgが2基らしい」

 「当然、推力不足でF15と張り合おうとすると・・・・」

 「なるほど」

 「チタンの比率にもよるが機体重量を減らすことになる」

 「たぶん、侵攻型では能力不足だろう」

 「ということは、F14、F15のライバルは、あくまでもMiG25。スホーイ24」

 「そんなところだろうな。開発中のMiG31も、それなりにライバルになりそうだ」

 「また、日本にエンジンをあげるような事はないでしょうね?」

 「・・・・・・・」

 「あげるんですか?」

 「噂だな、ウォーターゲート事件で国家間の取引があるかもしれない」

 「そんな、国内の不正を国外勢力との取引を利用して何とかしようだなんて、許されませんよ」

 「売国行為です」

 「たぶん、大丈夫だ。アメリカ大統領は、国民によって選ばれる」

 「つまり国民が信任出来ない大統領が権力の座に着くような事にはならないさ」

 「不人気ですね」

 「真偽は、二の次だよ」

 「ただ、それを起こした時の大統領であるだけで十分な責任だな」

 「日本企業のアメリカ進出も?」

 「規制を下げたのは事実だがね」

 「アメリカ市場で日本製が増えているのは商品の実力だよ」

 「日本の工業レベルは、NC数値制御工作機械のせいでマザーマシンで欧米を追い抜こうとしている」

 「あれを開発したのは、アメリカでは?」

 「ボタンをすだけでいいのなら少なくとも生産効率は、同じスタート地点に立ってしまったな」

 「コンピュータ開発も手描きの図面でやっていた時代に同じように始めている」

 「新規の産業だと既存の人間関係に縛られず踏み躙れる労働力もある」

 「我々の不合理さを突いて追い抜くことも難しくないよ」

 「日本を組立工場と思っていたのは昔の話ですか?」

 「日本は、コンピュータと工作機械の融合」

 「そして、産業用ロボットは、もっとも進んでいる」

 「今後は、欧米諸国が日本のマザーマシンを買うことになるかもな」

 「やれやれ、どこにそんな金が」

 「空母と原潜を建造しないで設備投資しているんだ」

 「今に始まったことじゃないがね」

 「空母を建造させるとか、売るとかいう話は、どうなったんですか?」

 「いや、買うくらいなら日本で建造すると、なっているらしい」

 「あはは・・・・・」

 「なあに、難民が入ってくる。彼らの労働力で利潤を上げて持ち直せるだろう」

 「治安は?」

 「メキシカンより、いいだろうな」

 「少なくとも “ここは、アメリカだ。スペイン語を話せ” と、言われずにすむ」

 「本国に戻って驚いたのはそれですよ」

 「黒人が減ったおかげでメキシカンが入り込んでいましたからね」

 「黒人も随分と減ったな。ある程度、収入を得ると南アフリカ公国連合に移民していく」

 「そして、白人がやりたくない職業についていく」

 「あとは、お決まりの既成事実というやつですか」

 「そういえば、新興宗教も・・・・・」

 「君の戦友だろう。宗教は、麻薬よりマシかもしれないがね」

 「新興のプロテスタント系が多いようだが、一歩間違えば荒れるよ」

 「判るような気がしますね。チベット帰りなら・・・・・」

 「そんなに精霊体験が得られそうなとこなのか?」

 「ええ、ソビエト軍と中国軍が退いた要因の一つでしょうね」

 「ははは、そりゃ困るわ」

  

  

 チベット

 戦いが終わると、人間が普通にいることさえ、大変なところ。

 どうしてこんな場所で戦争になったのか、と思ったりする、

 最新兵器の実験場だと、適当で良いのだろうか。

 破壊された戦車をバックに記念撮影をする観光客は多い。

 チベット人には忌々しいが観光収入は貴重な財源になっている。

 それだけではなく、ポタラ宮でさえ、財源のため解放され。

 ホテルとして使われる始末。

 そして、先進国がホテルとして整備すると、

 かってないほど、綺麗になっていく、

 各国とも、資本回収のため、

 あれこれと頭を使い、チベット劇場型観光地と化していく、

 土産物は工業化され、より洗練されたデザインに変わり、

 そして、天に最も近いこの場所にそれぞれの教会、寺院、神殿が建てられ、

 宗教国家連合本部が建設されてしまう。

 「枢機卿、大丈夫ですか?」

 「なんで、こんな・・・息も・・・できないような・・・場所に・・・・」

 「世界中の宗教・宗派の支部がここに造られてしまったからじゃないですか」

 「バチカンに・・・すれば・・・いいんだ」

 「バチカンでは、他の宗派・宗派が納得しないそうですから」

 「宗教・宗派を超えて協力したこの地こそ、宗教国家連合の本拠地にふさわしいと」

 「分かっておるわい」

 「しかし、派遣された者は・・・みんな、文句を言ってるじゃないか」

 「確かに・・・・」

 「ったく」

 「神々しい場所なんですがね」

 「修道僧上がりを回せばいいんだ」

 「とりあえず、与圧室に行くほうが良いかと・・・」

 「ああ」

 宗教国家連合軍が国連とどの程度、連携できるかの会議。

 宗教人口や献金額によって票数にするのか。

 傭兵・テロ・ゲリラなど実行力で主導権を握るか。

 反共で実績のあるイスラム、ヒンズー、チベット密教など、思惑がチラホラ。

 ユダヤ資本、アラブ資本も資金力に任せて、どこまで介入してくるか。

 これからといえた。

 

  

  

  03/

 連邦大陪審院が、ウォーターゲート事件で大統領を除く7人を起訴。

 

 ビルマ連邦社会主義共和国が発足。

 

 「ユリ・ゲラーの超能力」が放映。

 

 東西両ドイツが代表部設置で合意。

  

 エチオピアで史上初のゼネスト、皇帝打倒のスローガンが掲げられる。

 南アフリカ公国連合が、エチオピアの政情が、アメリカとソ連に誘導されていると非難。

 

 イスラエルでメイア連立内閣が正式に発足。

 

 ポルトガルのゴメス参謀総長とスピノラ同次長が植民地政策を批判して解任される。

 

 ソ連、西ドイツ、スウェーデンなどバルト海沿岸の7ヵ国が、

 世界初の多国間公海汚染防止条約に調印。

  

 

 ルーマニアのマウレル首相が辞任。

  

 アメリカの水星探査機が水星表面から720kmまで接近。

  

 ルーマニアの首相にマネスクが任命される。

 大統領制が採用され、チャウシェスクが初代大統領に就任する。 

  

  04/

 韓国の朴大統領が「民青学連」関係者に緊急措置を発動する。

 

 

 エチオピア政府、皇帝、教会所有地の分配など社会経済改革を発表される、

 しかし、干ばつはエチオピア全土を襲って、

 国外からも食料供給が行なわれたが焼け石に水の状態で、後手に回った決断がされ、

 エチオピア低地で日本の支援の農耕地が作られていた。

 国連の綿花栽培事業が化学繊維とオイルショックによって打撃を受け、収入源が失われていた。

 エチオピア人は、食料を求めて暴徒と化し、トラックが暴徒の間を抜けていく、

 護衛のエチオピア兵士と共に日本人もトラックに乗せられていた。

 「・・あぁあ・・・酷いね。種まで奪っていったよ。来年はどうするんだ」

 「命あっての何とかだよ」

 日本人農業移民者・技術者たちが逃れていく、

 

 

 イラク

 イラクのクルド人反乱軍がイラク政府との全面戦争を宣言、

 余って行き先を失ったAK47とトカレフがクルド人へと流れていく、

 彼らは貧しい民だった。

 しかし、思想、政治的な思惑があると金がなくても武器が流れ込む、

 そう、ソビエト共産主義は天からでなく、地から湧き上がった正義の使徒だった。

 抑圧された者を解放する使命を持っていた。

 不平等感から憎しみを煽り、人と人を争わせ、

 国に対し反逆させ、血と粛清を傲慢な国家主導者に波及させていく、

 彼らを悪魔と呼ぶ者もいる。

 しかし、支配者と結託する取り巻きの人口は5パーセントに過ぎず、

 特権階級を除けば、大方の国民は貧困の中に喘いでいた。

 人々は人権を奪う支配者と戦う手段として悪魔と契約を結ぶ。

 この世界を作ったのは神輿に乗った為政者と、

 盲目的に支配者に媚びを売る血縁系の者たち、

 権力を振りかざし、富を貪る者たち。

 それが、より多くの犠牲を生むとしてもトカレフを持ち、

 搾取し抑圧する者に銃口を向け、引き金を引く。

 バァ〜〜ン!!

 本当は、共産主義も奇麗事で理想なのではなく、

 人を結集させ、権勢を奪って取って代わるための方便。

 現実は下克上で、革命の後も血で血を洗う階級闘争と粛清が待っている。

 しかし、多くの民が子供が上、餓死するならば・・・

 

 

 ニクソン大統領が秘密録音テープの速記録を下院に提出。

 

 

 敷島(台湾)州

 日本連邦は、それぞれの地域で温度差が違う。

 そして、敷島州は、中国大陸を真正面に対しているため、

 やはり、対中政策で過敏に反応してしまう。

 これは、安全保障上の問題であり、

 チベット独立戦争の日本人義勇兵も敷島出身が多い、

 敷島(台湾)州は、海南島と北ベトナムとも独自の交渉ルートを持ち、

 日本政府も、そのルートからの情報が一番正確だと認識する。

 場所柄、抽象的な平和主義や盲目的な軍備拡張といった風潮はなかった。

 その気になれば、大陸側の戦力と配備をおおよそ知る事ができる。

 そして、敷島側の戦力も同様。

 あとは、簡単な比較。単純な数遊びでランチェスターの法則といえた。

 過剰でもなければ、不足というわけでもない。

 敷島州の周囲は、SOSUS網が張り巡らされ。

 電子管制機、給油機、雷燕2型など250機で防空。

 上陸させなければいいだけ。

 陸上兵力は10万と、少なめだが火力があって、

 予備役を招集できれば、なんとかなるだろう、という算段だった。

 そして、中国は、敷島に侵攻するくらいなら。

 陸続きで攻めやすい北ベトナム、海南国に行くのが普通の発想といえる。

 問題になりそうなのは、第5列 (特殊部隊)なのだが先住民の多くは既に日本民族に帰属。

 日本語を話し、文化的にも日本人、いや、敷島人といえる。

 そして、敷島の9割は日本民族と、その混血になっていた。

  

  

 国際間で上級官僚同士の突合せが事前に行なわれたりもする。

 よくいわれる、事務レベル協議。

 これが上手く行っている国同士はギクシャクしなくて済むので、

 いくつかの問題を抱えても、やってしまう。

 簡単な会話で機密に近い国家の思惑が行き来してしまう。

 しかし、それが信頼関係に繋がったりで、戦略眼と同時に公正な取引能力が問われた。

 「・・・ったく、軍人は、あれも、これもと五月蠅い、予算内で守れよ。きりがない」

 「どこの部署も予算獲得で躍起だからな」

 「余計に吹っかけるもんだよ。要は手綱の取り方次第だね」

 「核を持っている国に攻め込んだりしないよ。普通」

 「中国が口減らしを考えていなければだろうね」

 「ったく、非常識な国だ」

 「国境を接している方は、気が気ではないですよ」

 「それでも戦前のようにはしたくない。それで大陸の方は?」

 「大陸全土の統制は、取れていない」

 「しかし、文化大革命とチベット戦争を利用して邪魔者を消したから以前より良くなっている」

 「じゃあ、対外侵略もできると?」

 「そこまでいってないが組織的に中央の意向が強まっている」

 「しかし、一度は、戦力が西に振られて戦争で殺がれ弱体化している」

 「その辺の判断になるな」

 「チベットを基地にウィグル解放戦線ががんばっているが数で負けている」

 「そして、中ソ蜜月。チベットに戦力が分散されても海南国は圧力を受けることになるよ」

 「相対的には良かったといえるのかな」

 「んん・・・・・」

 「中国は、T62戦車、MiG25か、MiG23のライセンス生産をするだろうな」

 「んん・・・それは、厳しいな・・・って、戦車はともかく、戦闘機のライン造れるの?」

 「核になるものはソビエト製だろうけど・・・」

 「ソビエトの技術者が入り込んで、何とか軌道に乗せたらしい」

 「はぁ〜 ロシア人もロクなことしないな」

 「たぶん、中国をけしかけさせて、日本と海南国をすり減らさせるつもりだろうな」

 「やれやれ、国防省が喜びそうなシチュエーションだな」

 「これじゃ 国交回復は後回しか」

 「日本とアメリカも中ソ連合で引っ付いていたら、統制貿易しかできないね」

 「それでも、資源は欲しい」

 「タングステンがなければ優良工作機械は作れないよ・・・・・」

 「民間の突き上げ?」 にやり

 「そりゃね、採算ベースの地下資源なんて、そうそう、あるものじゃないよ」

 「間に入る海南国は、都合がいいのかな」

 「あはは・・・主義主張に関係なく、金が欲しければ、地下資源も売りますよ」

 「共産党は国民を飢えさせても、家族にいい思いをさせたがりますからね」

 「共産主義は、国民を全て抱え込んでしまうからな」

 「実態は、農民層を磨り潰してますけどね」

 「中国は、自由資本主義の様に不良を不良として切り捨てて放り出せないし」

 「企業を緩衝に置くことで功罪を分散することもできないはずだが・・・」

 「人間も、企業も、国も同じだよ」

 「国も、新陳代謝を繰り返して、その国が滅ぶまで成長していく」

 「新陳代謝を拒んだり、新しい勢いを押さえ込めば、病気にもなる」

 「問題は、国内の癌や疾病をどこまで抑制できるかでしょうね」

 「健全な政府であれば国も長生きできるし、体外的にも良い顔できる」

 「しかし、アメリカのウォーターゲート事件は、ある意味、好都合だよ」

 「何か取引でも?」

 「まあ、海南国側とも幾つかすり合わせをしたいね」

 「それは喜んで・・・・」

 「」

 「」

 

 

  05/

 パキスタンのブット首相が訪中、毛沢東主席と会談。

 既に決着がついていたものの、一応、首脳同士で確認する。

 「分かっていると思うが・・・・」

 「被害の度合いは違います。しかし、苦しみは同じ」

 「武器弾薬の密輸は、やめるべきでしょう。お互いに・・・」

 「チベットが中立であるのであれば、武器弾薬の密輸もするつもりはない」

 「これ以上の犠牲は、望んでいない」

 「お互いに酷い目に遭いましたからね」

 「」

 「」

 パキスタンはチベット独立戦争で国際的地位を押し上げ、

 中国もチベット戦争で中ソ蜜月を維持しながら近代化。

 文革で国内の不安分子を取り除いて一息。

 建前と社交辞令の話し合い、

 体制側、権力者の本音も見え隠れしていた。

  

 

 イトーヨーカ堂が、初のコンビニエンスストア「セブンイレブン」を開店。

  

  

 インド

 クシャトリア(藩王)の邸宅を襲い、

 逃げた10人もの男たちがトカレフを持って木陰に潜む。

 インド兵は、10倍以上の規模で捜索。

 56式突撃銃 (6.5mm弾×50)

  全長990mm、銃身長600mm、重量4.3kg、装弾数30発、初速760m/s、700発/分。

 インド軍将兵は日本の突撃銃をライセンス生産したものを構えている。

 AK47を圧倒的に生産しているのに

 インド正規軍で採用されているのは、56式突撃銃という困った国だ。

 そして、チベット独立後、インドは余ったAK47とトカレフを “拾った” とソ連に叩き売ったという。

 白々しくも、厚顔無恥な国としても有名で、

 ソ連側は国内のテロ・ゲリラ勢力に渡されては困ると、泣く泣く買い取ったという。

 トカレフしか持っていないゲリラにとって、一番困るのは、剥き出しの歩兵ではなかった。

 M113APC装甲兵員輸送車が1台あることだろうか、

 「ルル・・・どうする?」

 「・・・ヤマト。おれは、カーストをぶっ壊す」

 「撃っていいのは、撃たれてもいい覚悟があるやつだけだ」

 バラモンの落としだねと噂される。ルルは、18歳。

 『普通、撃つ覚悟はあっても。撃たれる覚悟は、ないような気がするけど・・・・』

 「じゃ 計画通りだな」

 「ああ」

 ソビエトと中国が密輸から退いて、武器弾薬の補給ルートが断たれ、

 ダリット解放戦線は孤立していく、

 今あるトカレフは、貴重であり、

 弾丸1発、1発の消耗が自分の命をもすり減らす。

 『『『『『くそぉ〜 あの、へたれで根性無しのロシア人と中国人がぁ〜』』』』』 多数のダリット

 いくつかの合図を送ると銃声が遠くに聞こえる。

 そしてインド軍の中隊が動き出す

 中隊の規模として100人は少ない。

 しかし、ダリットの戦いで定員割れは珍しくない、

 補充もされずに残されているのだろう。

 さらにインドの国情カースト制が軍編成を邪魔していた。

 そして、小なりとはいえ、クシャトリア(藩王)を殺されて選択肢が限られている。

 インド軍は訓練されているように動いた。

 マニュアル通り斥候を出し、状況報告を受けながら本隊が移動を開始する。

 「ふ マニュアル通り動きやがって」

 「可もなく不可もなく、膠着した世襲制で一番多いタイプだ」

 本隊が用心深く街道に入り込んだとき、

 ピアノ線が引っ張られ、

 数十本の丸太が装甲歩兵車を襲って、身動きを取れなくしてしまう。

 そして、上がる火の手、

 中隊を丸焼けにできるなどと思っていない。

 また、そんなに燃料が、あるわけでもなく、下手すると臭いだけでばれてしまう。

 しかし、周囲の木が燃え始めると、

 縄袋から解き放たれた無数の蛇が火を恐れるという生存本能を発揮。

 蛇の群れが谷側の中隊に向かって、一斉に押し寄せていく。

 蛇であれば何でも良かった。それが毒蛇でも、毒蛇でなくても。

 浮き足立ったインド兵は、蛇の襲撃に怯えて、恐慌を起こして、ムダ弾を撃つ。

 毒蛇の毒も強弱がある。致死性の毒もあれば致死に至らない毒もある。

 一人が蛇に咬まれて気持ち的に諦めたのか、断末魔を上げる。

 恐慌が広がって錯乱する兵士が続出、

 兵員装甲車から機関銃が撃ち出され、辺りを掃討。

 しかし、谷底から谷の上に隠れているゲリラを当てるのは困難だった。

 谷の上から投げ込まれる包みが空中で開かれた。

 蛇が装甲車の周りにドタドタと落ちると、銃撃していた兵士も車内に隠れてしまう。

 「あはははは・・・壊滅せよ!!」 ルルが叫ぶ。

 中隊は数千の蛇に襲撃され防戦一方となり、

 辺りの火の手が消えると、蛇は、餌を求めて散っていく。

 あとは、数100人のダリットで中隊を包囲し、降伏させる。

 「ようやく、まともな武器弾薬を手に入れた・・・」

 「これから、俺たちの反撃が始まるな。ルル」

 「ああ、君のおかげだ。蛇使いのヤマト」

 「ダリットには命を助けられたからね」

 「そして、この能力は、インドでの修行の末。お礼だよ」

 「義理堅いな。あの傭兵崩れとは、違う」

 「カースト側についた傭兵部隊“K”か。韓国人は事大主義が好きなんだ」

 義理堅く、損する側についた日本人。

 恩も忘れて、あっさり強い側、体制側についた韓国傭兵部隊。

 「あのやろう・・・」

 貧乏くじを引いたヤマトは、星空を見ながら、ため息混じりに呟く。

 インド空軍や増援部隊が来る前に移動しなければならなかった

  

 そして、バラモンの屋敷。

 “あのやろう・・・” は、ワインを飲みながらダリット殲滅部隊を教育していた。

 「いいかあ!」

 「アチュートは、××××××・・・・・(とても書けない。省略)・・・・×××ニダ〜!!!」

 おぉぉぉおおおおお!!!

 別名、×ね×ね旅団の気勢が上がる。

  

  

  

 赤レンガの住人たち

 新型双発戦闘機の開発事情

 「単発の雷燕2型は、ミサイル2本で開き直ったからな」

 「ECMとECCMで、無理やり格闘戦に持ち込んだ」

 「しかし、いまは、ミサイルの性能も向上している」

 「それに双発戦闘機になると、そうもいかない」

 「ソ連の論説でステルス技術の可能性が示唆されているとアメリカから情報があったが?」

 「んん・・・形状的にレーダー反射を減らすことはできるかもしれないが運動性能が犠牲になるよ」

 「アメリカは、その手の方向が好きだからな」

 「いっそ、外装を鏡で作るかレーダーに映っても見えにくい」

 「音速以下の月影や幻凰ならともかく、音速を出すと外板が溶けるよ・・・・」

 「いや、機体が重くなりすぎて駄目だろう。輸送機なら面白いがね」

 「レーダーに映ったら、少しくらい見えにくくてもやられるよ」

 「だよな・・・・」

 「・・・ミサイルを増やすと、どうしても機体重量が大きくなる」

 「幻凰にフェニックスミサイルを積んで長距離攻撃をさせてみるのもありかな」

 「空中巡洋艦?」

 「んん・・・効率悪いか」

 「電子管制機のままで、地対空ミサイルの誘導の方がいいかな」

 「対空ミサイルの牙鳳は、随分、性能が良くなったけどね」

 「欲を言うと射程を延ばしたいね」

 「たしかに、地対空ミサイルの射程は、100km、60km、10kmだろう」

 「価格据置で射程を延ばしたいな」

 「無理」

 「っで、双発戦闘機のミサイルは4本?」

 「んん・・・基本的に幻凰、艦隊、基地のECMとECCMで優位な状況を作って戦うだろう」

 「雷燕が単体性能で不利でもF15、F14と良い勝負ができるのは、領空限定だからね」

 「エンジンで劣ると、どこか、しわ寄せが行くんだよな」

 「2本か・・・」

 「ライセンスは?」

 「機体ごとライセンスじゃないと、イヤだってさ」

 「ケチめ」

 『どっちが?』

 「空対空アクティブ・レーダー・ホーミング・ミサイルは?」

 「予算が降りてからね」

 「いつ降りるんだろう」

 「さあ」

 「CCVで予算を使うからだ」

 「母体を先に金かけてからだろう。あれもこれも言うなよ。頭いてぇ」

 「F16に妙なものをつけるからだ。アメリカが悪い」

 「だけど、CCVって、かなり不自然だよな。大丈夫か?」

 「大丈夫なように設計するんだろう」

 『『『『いつになるやら・・・・』』』』

 「アメリカが悪い」

 予算が少ないと、実績で証明されていないと冒険できなくなってしまう。

 CCVは、確認され。

 ステルスは、まだ、確認されていなかった。

 そして、予算不足のあまり、

 不自然な飛行をするCCVの信憑性すら疑いたくなる。

  

  

 06/

 イスラエルで、ラビン新内閣が成立する。

 アメリカとサウジアラビアが経済軍事協力協定に調印。

 ニクソン大統領が中東を訪問。

 ニクソン大統領がソビエトを訪問。

  

 

 エチオピア

 陸軍第4師団がアジス・アベバの主要施設を占拠し、全土を掌握したと発表。

 ソマリ人の反政府運動。

 干ばつによる餓死。オイルショック。全国的なデモに乗じ、陸軍が反乱。

 南アフリカ公国連合がエチオピア皇帝擁護で機動部隊をアデン湾沖に出撃させる。

 28000トン級エセックス型 ズールー(ヨークタウンU)、コーサ(フランクリン) ハリア40機×2

  ズールー(ヨークタウンU)

 6000トン級やまぶき型8隻

 黒人国家南アフリカ公国連合が他国に対して機動部隊を投入したのは史上初といえる。

 世界最古のアフリカ黒人皇族を守れ、

 ハイレ・セラシエ1世を守れと立ち上がる。

 宇宙戦艦ヤマトの音楽が流れ、

 沖田艦長風の制服を着た黒人提督が海を睨んでいる。

 ソコトラ島にアメリカ軍基地があることから、ある意味、危機的な状況。

 アメリカは、君主制が面白くないことから日和見か。

 南アフリカ公国連合との関係をどうするかで揉め始める。

 というより、公国機動部隊は、給油艦は、あるが、

 揚陸艦もないのに何しに来たのだろうか、という感じだろうか。

 南アフリカ公国連合も懐事情が厳しいのだが、

 それで国民の意識が統合されていく、

 吾妻・ククルス少尉とタリーシャ軍曹のハリアがエチオピア領空に沿って飛ぶ。

 エチオピア側は、満足な航空戦力もなかった。

  

  

 マクダネル・ダグラス F18ホーネット初飛行

 日本人が着陸するF18ホーネットを見ていた。

 なぜ日本人がいるのかというとF18の部品の一部を日本企業が納入していた。

 単純に部品調達の物流を知るだけでも、日米戦争は起こりにくかった。

 純正品を作ろうと思うと設備投資が必要であり、代用品では性能が落ちる。

 当然、日本側もアメリカから幾つかの部品を購入しており、

 日米の機体で共有する部品も少なくない。

 そして、これらの部品も部品メーカーが争い、

 より軽量なチタン、複合樹脂、カーボン、グラスファイバー素材を開発し、生産、

 そして、切り替えられて性能が向上していく、

 これも時代と経済的な要求といえる。

 特にいくつもの開発を抱えているアメリカにとって、

 いくら市場と予算が大きくても過当競争気味であり、下手をすると会社が潰れてしまう。

 当然、少しでも性能がいい機体にするため、

 それが、日本企業の部品であっても使ってしまう。

 そして、日本の航空機も同様だった。

 これで本当にメイドインアメリカ、メイドイン日本の戦闘機なのだろうかと思えたりする、

 規格さえ合えば機械は、人種差別もせず、国籍も関係なく動く、

 「・・・日本は、歩留まりが良くて助かるよ」

 「いや、何とか間に合わせましたよ」

 「いやぁ 助かった。ところで、日本の新型戦闘機の開発は、どうかね」

 「やはり、偵察衛星、早期警戒機、地上基地、艦隊の相互支援で」

 「防空システムを構築する方向になりそうですね」

 「・・・残念だな。万能戦闘機は、侵攻型で良いと思うがね」

 「確かにそうでしょうが、今のところ、侵攻作戦は予定していませんから」

 「まぁ 戦闘機に装備したとしても、ECMとECCMのイタチゴッコだからな」

 「効率の良い電子装備で、あとは、防衛システム全体で補完してもらいますよ」

 「その気になれば、幻凰に出張ってもらうことになりますがね」

 「・・・まぁ、そちらの欲しい部品も、こちらで供給できるし、たぶん支障はないだろう」

 「歩留まりの方は、よろしくお願いしますよ」

 「あはは・・・最優先で回すよ」

 「しかし、日本の工業力も強くなったものだ」

 「機体にもよるが共有部品の15パーセントは日本製が強い」

 「さらに割合が増えようとしている」

 「いやあ、いまだに欧米の組立工場ですよ」

 「しかし、賃金が高くなれば程度の低い仕事は、東南アジア諸国、インド、南アフリカ公国になりそうだ」

 「ええ、人間、楽をするために苦労しますからね」

 「それは、先進国だろう。後進国は楽をしようとして苦労する」

 「確かに・・・」

 「それでも、日本民族の権利に対する欲求の低さが羨ましいよ」

 「アメリカで同じようなことをすれば確実に裁判。そして、確実に負ける」

 「資源で貧しい国ですから」

 「しかし、資源の多いはずの国のほうが貧しい」

 「結局、人間の差、信頼関係の差というやつだな」

 「アメリカは、十分に信頼できる国ですよ」

 「それは嬉しいね。ウォーターゲート事件で人間不信に陥っていたところだ」

  

  

  07/

 少年マガジンで手塚治虫の「三つ目がとおる」の連載が始る。

 

 

 アメリカ

 下院司法委員会でニクソン大統領が弾劾決議案を読み上げられる(ウォーターゲート事件)。

 最高裁がニクソンにテープ提出の命令を下し、

 アメリカ下院司法委員会がニクソン大統領の弾劾が27対11で可決される。 

  

 

  08/

 ウォーターゲート事件でニクソン大統領(61)が辞任し、

 フォード副大統領(61)が第38代大統領に就任する。

  

 ポルトガルがアンゴラの2年以内の独立を公表。

   

 

 エチオピア上空

 公国連合機動部隊のハリアと、アメリカ海兵隊の月影VTOLが舞う

 サウジアラビア、ソコトラのアメリカ軍が南アフリカ公国連合に協力した形が取られた。

 アメリカから緊急で食料が供給され、

 エチオピアの反乱軍は、人心を失って粛清されていく。

 ア・南連合軍は、アジスアベバを制圧。

 吾妻・ククルス少尉、タリーシャ軍曹のハリアは、アメリカ陸軍の月影VTOLを護衛し王宮に着陸する。

 「・・・タリーシャ軍曹。なんか、いかにもヤマト的な活躍じゃないか」

 「あはは・・・・・そうですね、吾妻少尉」 苦笑い。

 ヤマト系の制服は、一応、迷彩されているものの、

 アメリカ海兵隊の軍服より栄えて見えるらしい。

 エチオピア人の注目を浴びる。

 アメリカ海兵隊も、南アフリカ港国軍の軍服を面白がって見ていた。

 こんな見かけだけの軍服で銃撃戦はしたくない。

 しかし、運良く、空挺作戦は、アメリカ軍がやってしまう。

 エチオピア人は、食料さえ配給されるなら文句がなさそうだった。

  

 運が良かったといえる。

 アメリカが味方でなければ、この勝利は、ありえない。

 公国連合の軍事行動は、いくつかの幸運に恵まれた。

 軍事的には、タダの呼び水になっただけに過ぎない。

 アメリカが南アフリカ公国連合と組んだ方が良いと判断しただけ、とも言える。

 南アフリカ公国連合は、自己満足が解決されて国威高揚。

 アメリカは、南アフリカ公国連合と共同作戦を取ったことで友好関係を構築。

 前ニクソン大統領の置き土産で、

 新フォード大統領の外交上の得点となった。

  

 喜んでいるのは月影VTOLが売れる日本商人だったりする。

 チベット独立後、売れ行きが落ちそうになったところを今回の空挺作戦で実績が増して逆転。

 世界で200機近い追加発注が決まろうとしていた。

 

 そして、今回の公国とアメリカとの共同作戦はエチオピアだけにとどまりそうになかった。

 アンゴラの公国連合派は強くなり、独立の動きも高まっていた。

 アンゴラは資本主義派、共産主義派、公国連合派の内紛が激しく、

 抱え込めば巻き込まれ損は確実だった。

 アメリカは公国連合とエチオピアの利益配分で協定を結ぼうとし、

 同時に自信を深めさせた公国とアンゴラ権益協定を結びたがっていた。

 アンゴラの公国連合編入は賛否両論で公国の国論を二分する、

 アメリカ出身のタリーシャ軍曹は、アメリカの意図が推測できるのか、面白くない。

  

 

  09/

 ワシントン・ポスト紙がチリのクーデターのCIAの工作を報道。

  

 フォード大統領がニクソン前大統領に特赦を与える。

  

 アメリカのラロック退役海軍少将が米議会で

 「核を装備していない軍艦だけが日本に寄港している」と証言する。

 「・・・本当に?」

 「半島にいると息がつまるので、観光、息抜き用の軍艦ですから」

 この証言は問題になったが視察団が韓国に派遣され、

 戻ってくると “気持ちは分かる” で認知されてしまう。

   

  

 エチオピア

 ハイレ・セラシエ皇帝が憲法改正を発表。

 日本と同じ要領で立憲君主制を進めて段階的な民主化。

 3000年のエチオピア王室を維持。

 南アメリカ公国連合軍とアメリカ軍の駐留が進む。

 「・・・公国連合も、揚陸艦を持っていないのに海外に進駐なんて、良くやるぜ」

 「一度、空母で駐留軍を運ぶんじゃないか、あれが一番乗りそうだ」

 「だけど、アメリカ軍も、ようやく、日の目が見れたよ」

 「宗教連合軍にばかり、いい格好させていたからな」

 「大統領の変わり目なのに、随分、対応が早かったな」

 「宗教連合軍に主導権を取られたくなかったんだろう」

 「コプト教はカトリックやギリシャ正教と並ぶ歴史があるからね」

 「ここでアメリカが貸しを作っておけば宗教連合に発言力が得られる」

 「それに伸び盛りの南アフリカ公国連合と関係を良く出来る」

 「アメリカだけだと人種戦争扱いされるからね」

 「しかし、南アフリカの先行なら、それもない」

 「軍にも、予算が付きそうですし」 にやり

 「ああ、月影VTOL。あれは、強襲作戦に良い」

 「輸送ヘリだと、こういう作戦は、難しいな」

 「海兵隊は、あれで、部隊を編成したがっていますね」

 「陸軍もだ」

 「高いんですよね」

 「チタンが多いからジェット旅客機並みだよ。制空だけのF15より、使えそうだがな」

 「作戦能力だけなら、コブラや開発中のアパッチより、良いですからね」

 「値段以外はな」

 「アメリカは、開発しないんですかね。VTOL機」

 「ベル社が開発していたらしいが、電子制御に懲りすぎて遅れた」

 「日本は、チタンの大量使用とジャイロコンパスで無理やり姿勢制御させたよ」

 「設備投資や材料が高くても開発期間が早ければ、開発費も安く上がる」

 「いまでは、元をとって黒字になっているんじゃないか」

 「そういえば、ソ連のハインドは、どうなんですかね」

 「ヘリは、いくら凝っても、ヘリ以上の性能にはならんよ」

 「月影VTOLは違う。こいつが100機あれば、たいていの町は制圧できる」

 「飛行場を確保すれば、あとから輸送機で増援もできる」

 「後進国に対して主導権を握ろうと思えば、F14やF15じゃなく。月影だな」

 「たしかに」

 

  

 郵政省が全国2万1000の郵便局のオンライン化に翌年度から着工すると発表する。

  

  11/01

 日本、キプロスからの駐留軍撤退決議案を採択。

 ローマで世界食糧会議が開催される。

 フォード大統領がソ連を訪問し、ブレジネフ書記長と会談。

 米ソ首脳会談の最終日、第2次戦略兵器制限交渉(SALTII)が大筋で合意。

 9月9日に衝突したLPGタンカーを海軍がミサイルで撃沈。

  

  

 12/

 パキスタン北部でマグニチュード6.2の地震が起こり、5000人が死亡。

 日本の耐震構造ビルが地震に耐えた事で、

 日本系の耐震構造建築がパキスタンでも評価されていく。

  

 インテルが、8ビットMPU「8080」を発表。

  

A8.net

  

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 月夜裏 野々香です。

 50年の雷風5型(機体重量3500/5000 推力1800kg)。

 56年の雷燕1型(機体重量4500/6500 推力3600kg)。

 64年の雷燕2型(機体重量5000/8500 推力8200kg)。

 エンテ・カナード型で発展して、単発。

  

 見かけで、一番近いと思ったのが掲示板であったように

 88年のサーブ JAS39 グリペン (機体重量6622/12974 推力8210kg)でしょうか。

 86年のラビ (機体重量7030/18370 推力8430)の機体も、この系統といえます。

 もっとも、機体の重量、積載量、推力などで、なんとなく、性能と性質が違うとわかります。

  

  

 ということは、その双発機で、開発中の次期主力戦闘機となると・・・・・・・

 

86年のダッソー ラファール (機体重量9060/14000 推力7450kg×2)

 

 94年のユーロファイター EF2000タイフーン(機体重量9750/21000 推力9200kg×2)

 が近いかもです。

 見かけは、垂直尾翼が二つで、それが大きく違うくらいでしょうか。

 とりあえず、雰囲気だけですかね。

 絵が描ければ良いのでしょうが、ほんと、残念。

 因みにアメリカ。

 58年のF4ファントムII (機体重量14418/28030 推力8119×2)

 70年のF14トムキャット (機体重量19051/33067 推力10478×2)

 72年のF15イーグル (機体重量12973/30845 推力10637×2)

 74年のF16ファルコン (機体重量8627/19187 推力13154)

 74年のF18ホーネット (機体重量10455/23541 推力7330×2)

 アメリカ、凄すぎです。

 日本、イギリス、フランスとも航空技術で、15年〜20年くらい遅れているのでしょうか。

 64年のMiG25 フォックスバット (機体重量20000/41000 推力11000×2)

 67年のMiG23 フロッガー (機体重量10200/14700〜17800 推力13000×2)

 70年のスホーイ24 フェンサー (機体重量21537/35970〜39700 推力11200×2)

  

  

因みに彩風・月影が近いのは、これかも・・・・DHC8・・・

He219ウーフの影響が、もう少し、あるかも・・・・絵が描けなくて残念・・・・・

 

 

   

 日本は、過度な右翼も左翼も存在しないため、

 日本赤軍がなく、ハーグ事件はありませんでした。

  

  

 ☆ チン     ∧_∧   
  ヽ ___\(\・∀・)< 日本の空母と双発戦闘機は、まだぁ〜 原潜は?
      \_/⊂ ⊂_)_
    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/|

 史実と違って、戦力差など比較公開された状態で政策論争が行なわれたりする。

 ランチェスターの法則も利用され、

 キルレートも収まるところに収まってしまう。

 これぐらいあれば、国防ができて、

 あとは、設備投資や福祉に回せるだろうという。

 単純な見方もできる。

 マスコミの作ったシミュレーションが、

 あまりにも良く出来すぎていたこともある。

 よほど幸運な戦術的勝利が続かなければ、

 侵攻側の望む状態にならないことを国民に教えてしまって、

 「あれ〜 空母要らないじゃん・・・原潜も・・・」

 「って、いうか、敵が、弱っ〜」

 「・・・・・・・・」 制服組 たら〜

 国内外で問題になったり。

 『ミッドウェー海戦のあと』のマスコミは、史実のマスコミより、普通だったりする。

 救いは、伸びていく中ソの軍事力だろうか。

 しかし、南アフリカ公国連合の機動部隊がエチオピア皇帝擁護で活躍。

 日本に、程よい刺激を与えてしまいそうです。

  

  

 ルル・・・虹・・・・・・・出来心でやってしまいました。

 映像の世界か、現実なのかは、ご想像に、お任せいたします。

  

  

 74年です。心の故郷、宇宙戦艦ヤマトです。

 ヤマトがなければ、わたしの青春は、もっと暗かったでしょう。

 思わず、仮想戦記『ミッドウェー海戦のあと』の宇宙戦艦ヤマト(二次)を考えたくなります。

  人生を豊かにしてくれました。    

西ドイツ レオパルドA4

74式戦車

 あと600万ドルの男もこの頃でしょうか。

 チベット独立戦争のおかげで、

 ヘリコプターの進歩が遅れ。

 パワードスーツが進歩したかもです。

 しかし、600万ドルの男より、

 サイボーグ009が先だったとは・・・・・天才・・・・

 

 

 

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よろしくです。 

1974年 昭和49年 誕生酒 (楽天)

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第83話 1973年 『平和の条件』
第84話 1974年 『チベット独立、そのあと・・・』
第85話 1975年 『カレーの肉は?』