月夜裏 野々香 小説の部屋

     

After Midway

 

第94話 1984年 『面親腹背』

 01/

 日本ビクターがアメリカのゼニス社向けにゼニス社商標でのビデオ生産を行うと発表。

 

 三菱自動車とアメリカ・クライスラー社が小型自動車の合弁生産を決定。

 

 東証ダウ 1万円の大台に乗る。

 

 アメリカが、1867年以来途絶えていたローマ法王庁との外交関係を樹立する。

 

 日本ビクターがVHSビデオムービー発売を発表する。

 

 国連食糧農業機関(FAO)が「アフリカ24ヵ国の1億5000万人が飢餓状態にある」と報告。

 

 日本初の実用放送衛星「ゆり2号a」(BS−2a)が打ち上げられる。

 

 アメリカ主要都市で貧困層の暴動が起こる。

 

 アップルコンピュータ社が、マッキントッシュを発表。

 

 アメリカの対日貿易赤字は過去最高。

 日本の完全失業率が過去最高の2.4%となったことが判明する。

 経済関係者たち

 「・・・何で不況なのに対米貿易黒字が過去最高で、日本の完全失業率が過去最高になるのだ」

 「対米工場進出と技術交換を金に換算したための貿易超過分で、一時的なものと思われます」

 「国内失業率は、余剰人員を削減して、生産効率を高めたためだと思われます」

 「産業ロボットの比率は、さらに増える予定ですので失業率は、増加するかと」

 「安値高品質を追求した結果か・・・」

 「レベルの低い家電も後進国に移転していくかと思われます」

 「日本の中級産業は、さらに追い込まれることに・・・」

 「追い込んでいるのは海外派か・・・」

 「国際市場を広げているのも海外派なら、後進国の産業を底上げしているのも海外派といえます」

 「内需拡大は?」

 「不正腐敗の温床になると、海外派の牽制があるようです」

 「既に手の内は読んでいるわけか。箱物だって、それなりに経済波及効果があるんだぞ」

 「収益性のないのは駄目だと」

 「それで、妥協の扶桑州開発? ・・・・・収益性は、はるか先だよ」

 「両派の妥協だそうで・・・・」

 「海外派は、年々力を増してないか」

 「海外に出たくない者と出たい者と両極化。ですが出戻りの支援もあって拡大傾向かと・・・」

 「空母建造に反対も海外派に多いのは意外だな」

 「元々、軍艦抜きで国境を越えていく人間ですから」

 「ドメ派と海外派は、お互いに相乗効果があるのだから、あまり対立することもないのだろうが」

 「ポストと予算が絡むと良識は消えますから」

 「しかし、民間で失業者を吸収できなくなると、何か考えないと・・・政府が不信任されかねないな」

 「左様です」

 

 

 

 国防省

 赤レンガの住人たち

エンジン

形式

全長(mm)

空気取入口

直径(mm)

重量(kg)

推力(kg)

F4ファントム J79GE

ターボ・ジェット

5300 990 1747 8120
雷燕2型/瑞風 J79IHI

ターボ・ジェット

5300 990 1547 8200
F15イーグル F100PW

ターボ・ファン・ジェット

5290 1180 1621 12950
瑞風2型A案

F99IHI

ターボ・ファン・ジェット

5300

990

1300

9800

瑞風2型B案 F100IHI

ターボ・ファン・ジェット

5290 1180 1460 10640
F16ファルコン F110GE

ターボ・ファン・ジェット

4630 1180 1787 13035

史実となるべく同じに、それでいて、微妙に違います。

そして、やはり、アメリカ純正は、推力12950kgで、上。

 いくつかの可能性について、話し合われていた。

 しかし、最大は、航空機の性能を左右するエンジンといえる。

 J79エンジンの寸法をそのまま利用して、

 F100の技術を取り入れて、J99ジェットファンエンジンに換装する案。

 瑞風を改装しF100エンジンを入れてしまう案だった。

 どちらの方式もメリットがあり。デメリットがあった。

 汎用性が高いのは、J99案。雷燕2型、F4ファントムにも換装が可能な底上げ案。

 将来性という点ならF100案に軍配が上がるかわり、旧式は切捨て御免といったところ。

 単純な話し、J79系エンジンよりF100系の方がチタンが多いせいか、軽量。

 機体で無理をするか、エンジンで無理をするのか、の違い。

 結局のところ、予算しだいだったり.

 世界不況にあって微妙といえた。

 アメリカの恐慌のおかげか、

 日本資本の流出は限定された形に終わり、国内投資に向かう。

 失業対策になった節もあるが失業率が過去最高であることに変わりない、

 今後の予算獲得予想表と振り分けられるであろう予算配分と睨めっこしながら頭を抱える。

 「J99案は既に研究が進んでいたんだし」

 「F100系の技術を導入できれば悪くないような気がするな」

 「悪くないがね。F100と規格が変わってくるから、当然、部品単価が高くなり」

 「いざというとき、流用はできなくなるよ」

 「そうなんだよな・・・それにF100より微妙に劣る」

 「だけど他の機体も一緒に底上げできるのは悪くないぞ」

 「それはいえるね。少しくらいの性能差なら数で押し切れる」

 「まぁ 元々、そのつもりでJ79のジェットファンエンジン化を進めていたからね」

 「流用できる技術があるなら話しは早い」

 「・・・・・・青写真ならできている」

 「ワンクッションおいて、次のエンジンで勝負も、ありだけどね」

 「次か・・・・開発費・・・・なさそう」

 「またかよ。そう都合よく、国際情勢は回らないぞ」

 「アメリカは、簡単にライセンスを認めないから」

 「自主独立なんか目指すからだ」

 「失敗するとクビが飛ぶから怖くて開発予算も出ないじゃないか」

 「そうそう、いい加減に折れたいよ」

 「属国なら、もっと楽にライセンスを取れるんだ。つまり、金次第」

 「まぁ 開発された物なら失敗してクビにならずに済むからね」

 「んん・・・小細工したって、結局、予算に勝てないんだよな」

 「だいたい、予算が少ないのは脅威が低過ぎるんだよ」

 「どうなってんだ。ソ連と中国は?」

 「んん・・・国民に言えんな。もっと減らされそうだ」

 「ソビエト軍の主戦力は欧州側で・・・」

 「中国は、これからかな」

 「キエフも、ミンスクも、ノヴォロッスィーイスクも北大西洋か」

 「モスクワとレニングラードくらい、太平洋に来たって良いじゃないか」

 「中国でモスクワの同型艦を建造していなかったか」

 「いつ完成するやら」

 「だいたい、目に見える脅威がないと、話しにならんよ」

キエフ型航空巡洋艦キエフ (36000t)

スラヴァ型ミサイル巡洋艦 (10000t)

 「せめて、見かけだけでも、やまぶき型より大きくないとな」

 「どちらにしろ。“さがみ” “かしま” のおかげで予算付かずだよ」

 「・・・音響測定艦は?」

 「代替艦に合わせて4隻かな。不況の煽りで、怪しいけどね」

 「不況か・・・厳しいな」

 「どっちかっていうと、対中ソ兵装というより。対米兵装だからね」

 「んん・・・強い方に備えるのが軍事的常識といえば、軍事的常識かな」

 「ソビエトが、もうちょっとしっかりしてくれれば空母だって・・・・・」

 

 

 議会での憲法改正によって、日韓国交回復が可能になる。

 

 02/

 サラエボで冬季オリンピックが開幕する。49ヵ国、1510人が参加する。

 

 アンドロポフ書記長が死去。69歳。後任にチェルネンコが就任。

 

 冒険家植村直己が世界初のマッキンリー冬季単独登頂に成功後、消息を断つ。

 

 第9号科学衛星「おおぞら」が打ち上げられる。

 

 

 アンゴラが南アフリカ公国連合に編入。

 ケープタウン

 「国連がアフリカ大陸の発生だからエイズ対策費は、公国連合で捻出しろってよ」

 「人の国の金で、なに言ってんだ。あいつら」

 「身の丈に応じて世界の役に立てよ、って、事だろう」

 「アンゴラ併合は、アンゴラが望んでのことじゃないか。何で、こっちでエイズ対策費持ちなんだよ」

 「やっかみ」

 「国が大きくなって迷惑しているのは、こっちなんだよ」

 「その上、エイズ対策費も、こっちもちかよ」

 「上手くいけば、ノーベル賞が出るとか、出ないとか」

 「上手くいって、それだけかよ。薬剤特許は、こっちだろうな」

 「アメリカが進んでいるし能力的に無理そうだ」

 「金だけ取っていくのかよ」

 「かな・・・」

 「これが国際社会かよ」

 「まあ、偉そうなこと言うより。偉そうなことをしてみせろ、って事だろう」

 「アメリカ人は、なに様のつもりだ」

 「「「「「・・・・・・・・・」」」」」 むすぅ〜

 

 

 

 

 イタリア政府とバチカン市国の間で「ラテラノ条約」が調印される。

 

 03/

 コロンビア警察機構が、コカイン秘密精製工場を急襲し、コカイン12.5tを押収する。

 

 「風の谷のナウシカ」封切り。

 

 

 04/

 日米農産物交渉

 「日本人が南米諸国で農業改革だけじゃなく、流通改革をしているのは困るよ」

 「あれは、秋津州がやっていることで、政府がどうにかできるわけじゃないですから」

 「南米諸国は、生産力が流通段階で劣っていた」

 「だからアメリカ産の穀物をブラジルに持っていっても売れていたのに・・・」

 「はぁ 現地は住みよくなったと・・・・」

 「・・・・・・」 憮然

 「あはは・・・」

 「だいたい、なんだ。あのヤマハのエンジンは、アマゾンの川をスイスイ走らせやがって、いやみか」

 「ば、場所柄、河川経済は有望でしたね・・・・」

 「南アフリカ公国連合でもそうだよ。新幹線を引っ張るそうじゃないか」

 「そういえば、発注されていたような・・・・」

 「いいかね、新幹線には反対しない」

 「むしろ賛成だよ。しかし、農業はいかんよ。我々の肉や穀物が売れなくなるだろう」

 「たしかに・・・・」

 「それに朱雀の漁船が南アフリカ公国に魚を持っていっているそうじゃないか」

 「黒人は漁業というか、海が苦手のようで」

 「しかも、生産性に勝る我が国のハイブリット種を使おうともしない」

 「ハイブリット種は、環境を整えないと、それに農薬を慢性的に使わないと・・・・」

 「・・・・・・」

 「・・・・・・」

 「南アフリカにも肉と穀物を輸出したいんだ」

 「なるほど・・・」

 「まさか、南米の穀物をアメリカに輸出しようとか考えていないだろうな」

 「い、いや、そういうことは、南米諸国に言った方が・・・」

 「日本人が協力しなければ、こんなことにならなかったんだ」

 「2、3、ツテがあるので交渉してはみますが・・・・」

 「いいかね、今アメリカが不況で困っているのは分かっているだろう」

 「アメリカ経済が困るはアメリカ国債を購入している、全世界経済が困るということだ」

 「これが、どういう意味くらいは、分かっていると思うが」

 「も、もちろんですとも・・・」

 「というわけで、日本連邦は、もっと、牛肉とオレンジを買ってくれ」

 「し、しかし、需要が・・・それに牛に肉を食べさせているのは・・・」

 「そんなの全然、問題ない」

 「日本人は、菜食や鯨、魚なんか、食っているから第二次世界大戦で勝てなかったのだ」

 「肉をもっと食っていればカリフォルニアだって占領できた」

 「あ・・・」

 「だから、日本人は、もっと肉を食べるべきなんだ」

 「・・・・・」 呆然

 日本政府がアメリカの牛肉・オレンジの輸入で前向きな協力をすることが決まる。

 農林水産系の泣き声が聞こえそうなのだが軍事的な恩恵を受け、

 経済が削がれ、弱者側に皺寄せがいく。

 逆にいうと、弱者への皺寄せと経済的な取引損が軍事的な恩恵となっていく、

 

 

 ソ連でチェルネンコ書記長が最高幹部会議長に選出。

 クレムリンの広場で・・・・

 「・・・書記長就任。おめでとうございます」

 「悪くないな」

 「ベトナム連邦と日本連邦の社会制度」

 「検討していますが部分的にしか取り入れられないとか」

 「外圧を利用して作られた連合制度と、元々の民族気質を利用した制度だ」

 「ロシアには合わないだろうな」

 「ソビエト連邦内部の軋轢、これ以上広がるのは危険です」

 「わかっている。敵に対しても味方に対しても扇動家だった私だ。手応えは理解している」

 「もう、怠惰な失望感しか漂っていない」

 「共産主義の未来は?」

 「人間は、自由と平等を求める生き物だ」

 「富の平等と所有の自由は相反するとしても体制があるから存在するものではない」

 「元々、人間の内面に体現されていたものだ」

 「共産主義は、どの世界でも影のように現れるだろう」

 「参謀総長を解任するので?」

 「ああ・・・次席を小物に移すよ。私にできるのは軍組織を弱めることぐらいだ」

 「次の書記長に任せると?」

 「一度にたくさんのことをしようとすれば独裁にするしかなかろう」

 「それが無理なのであれば、一つ、一つ、やっていくしかない」

 「たしかに・・・」

 「ふ どうするかな・・・あの男」

 「期待しているので?」

 「いや・・・しかし、私は、この祖国が好きだ」

 「この凍る大地も吹き荒ぶ空も、ロシアの民も・・・」

 「ロシア人は、もっと幸福であるべきだ」

 「・・・・・・」

 「・・・・人身掌握、保身、権力闘争には、飽きたよ」

 「・・・・・・」

 

 

 

 スペースシャトル「チャレンジャー」が太陽活動衛星を回収し、

 宇宙修理を行い、軌道投入に成功する。

 

 ニカラグアへ右派反政府ゲリラが侵攻する。

 

 オーストラリアで核武装反対、ウラン鉱の採掘と輸出反対の集会が開かれ、25万人が参加する。

 

 日本鋼管がナショナル・スチール社の株式50%を取得。

 

 

 アメリカのレーガン大統領が中国を訪問し、両国の安定継続で一致。

 中国人二人が、その様子を見ていた。

 「アメリカは、中国によって、日本圧力と華僑資本を取り込みたがってるある」

 「・・・・どうする?」

 「東南アジア諸国の華僑資本は、昭南州の和橋資本との結びつきを強めているある」

 「どっちも、よそ者ある。生産力と販売力で結びつきやすいある」

 「だけど、資源と開発力でアメリカは強いある。中国の近代化は、どっちも必要ある」

 「どっちも利用したいある、できれば日米とも仲良く競り合って協力してもらいたいある」

 「疑心暗鬼にさせるある」

 「ふ 連中が中国を引き込もうとするだけ、ポケットが膨らむある」

 「好きにさせるある」

 「そうある」

  

  

 05/

 ローマ教皇ヨハネ・パウロ2世が韓国を訪問。

 

 ソビエトがロサンゼルス・オリンピック不参加を表明する(モスクワ五輪のボイコットに対する報復)。

 

 放送衛星「ゆり2号a」によるNHKのテレビ衛星放送がスタートする。

 

 国籍法、戸籍法が改正成立する。

 父母のいずれかが日本人であれば日本国籍が認められることになる。

 

 

 国防省 空軍基地

 技術交換が可能になると、余計にお金を出せば、余分な技術が手に入った。

 これは、アメリカ側もそうであり、

 日本は、よりおいしいといえた。

 経済の日本。軍事のアメリカで、逆の状態も起こりえた。

 倉庫内にコクピットのない旧式の雷燕1型が並んでいた。

 運ばれてきた巡航ミサイル・トマホーク。ハープーンを日本の技術者が囲む。

 「こんな小さな弾頭部に核を装備できるのか・・・・」

 「核の小型化でいうならアメリカは、10年ほど進んでいますね」

 「・・・日本は、最近、核実験をしていないからな」

 「ネバダの使用料。高くなりましたからね」

 「使いやすさでハープーン。射程でトマホークですかね」

 「連邦に近い敵性重要拠点を根こそぎ潰せますよ」

 「ですが射程120km。通常弾頭222kgのハープーンはともかく」

 「トマホークの射程2500kmで通常弾頭450kgは勿体無くないですか?」

 「ミサイルより、目標が安かったりして」

 「んん・・・核は、まだ無理だから・・・・バンカーバスターかな・・・」

 「3段ロケット方式で地中の装甲を撃ち破るんですか」

 「んん・・・・トマホークとハープーンでは、無理だろうな・・・」

 「まともなバンカーバスターだと、弾頭だけでもトマホークの大きさと重量で倍以上が必要だ」

 「目標に命中させたあと、無反動式に加速させ、成形炸薬弾で撃ち抜くか」

 「んん・・・それでも戦車以上、地下基地以下の貫通力か・・・・中途半端になりそうだな・・・」

 「それなら、トマホークより。155mm砲身をそのままミサイルの殻に使うのもありますがね」

 「トマホークは費用対効果がネックだな」

 「まず、ミサイルより高い目標を探さないと・・・・」

 「たしかに・・・・」

 シースパロー VS 牙鳳(対空)

 アスロック VS 牙龍(対潜)

 ハープーン VS 牙蒼(対艦)

 スペック上の違いはあったものの、果断なく改良が進められ、

 同水準の科学技術の兵器であるとされていた。

 しかし、日本はまたトマホークに当たる高価な巡航ミサイルを保有していない、

 「まぁ 見劣りするが総合的に同じレベルの技術といえる」

 「早い話しが、お金の問題でしょう」

 「相対的な開発予算の差が基礎の性能の差として現れる」

 「価格の差が、ほぼ性能に比例しているなら優劣の差は、開発力と価格の差といえる」

 「また、一部。日本製の部品が使われている」

 「それほど技術的な差があるとは思えず」

 「日本の迎撃能力は、予算にしたがって向上すると思われる」

 「・・・あと、めぼしいのは巡航ミサイルのトマホークだな」

 「パイロットを無茶な作戦に投入するより良いですよね」

 「そうなんだよな。日本軍は侵攻作戦をほとんど考慮していないし」

 「最近、人件費も高くなったからトマホークは日本向きかな」

 「あとは、値段だけですかね」

 「無線・自立誘導のミサイルなら、こいつらの方が安上がりですよ」

 売れ残りの雷燕1型は無人の巡航ミサイルに改造されていた。

 目標をセットすれば途中まで無線誘導と、

 内蔵コンピュータのアルゴリズムで位置と航法を認識して目標に命中する。

 カタログスペックでいうならアメリカ以外の国は迎撃不能。

 「んん・・・値段はともかく、場所をとるからな」

 「トマホークも秋葉原で買った部品で作れるのなら安く上がりそうなんだがな」

 「だな・・・」

 

 

 06/

 ルル首相とシーク教徒の関係は、次第に大きくなっていた。

 シーク教は、パキスタンとインドをまたぐパンジャーブ州を発祥とし、

 信徒数1600万はインドの総人口で少数派、

 教理は、ヒンドゥー教を基礎に輪廻転生を肯定しつつ、

 イスラム教の影響でカーストを否定する中間派とだった。

 成立時から富裕層が多く、教育水準も高い、

 このためインドでも官吏や軍人として登用されやすく、

 パキスタンとの経済的な関係が強く、インドでも強い影響力を誇っていた。

 ルル・ヤマト反乱軍のインド革命では、思想的に近いせいか、

 日のあたる場所で敵対し、影の部分でバックアップ的な役割を果たし、

 最終段階ではルル・ヤマト反乱軍の中核になっていた。

 後進国らしく、敵も味方も信義に劣る関係は同じ、

 最後の最後まで二股をかけ続けた勢力だった。

 ルル・ヤマト反乱軍の首都制圧後、

 カースト崩壊が確定すると判断したシーク教は、当たり前のように反乱軍に擦り寄り、

 インドの中枢を占めていく、

 そして、これも、たまたまであるが、

 日本・パキスタン・シーク教・ルル首相というラインも強化されていく、

 カースト制を完全否定したルル・ヤマトも宗教では玉虫色に妥協させられる。

 少数派を登用するなど平等とは程遠く、新たな階級が作られ、

 世襲で固定された階級でないことが救いだろうか。

 ルルとヤマトがインドの地図を見ながら、

 「「・・・・・・・・・・・」」 ため息。

 大国、資源もある。

 人口も多過ぎるほど多い。

 程よく資財が再分配、再構築されつつある。

 外資の導入で経済成長も約束されている。

 しかし、インド人自身の近代化が遅れていた。

 ダリット革命でカースト制を破壊しても人種の坩堝。

 革命の余波で800種から700種にまで減少した言語も、まだ多過ぎる。

 他国の人間なら “それでも、いいじゃん” で済むのだが、

 インドは、それが足かせになって近代化が進まない。

 反乱を起こす側にとって有利だった条件も、一旦、体制側になると不利な条件になった。

 ヒンズー語、英語、地域多数言語、現地語で何とか社会制度を維持している。

 しかし、より近代化を望むのなら滅ぼさなければならない言語がある。

 人間は、地位、名誉、財産を得れば少しぐらい深刻でもツケを後回し、落ち着きたくなりやすい。

 覇王なら間違いなくそうする。

 しかし、魔王であるルル首相は、その気がないらしい、

 「・・・インドの言語を100種以下に減らしてやる・・・」

 「だけど、国連が注目しているぞ」

 「宗教国家連合と国連もカースト制に賛成できず日和見で、強圧的な言語統合に反対か」

 「利権拡大の口実は、与えない方が良い」

 「では、ソフトにやるとするか」

 カーストの崩壊で統制を失ったインドの混乱を押さえ込むため利益配分で押さえ込み。

 最終的に力でねじ伏せていた。

 官邸から出るルル首相の公用車に向けて銃弾が撃ち込まれる。

 銃弾の多くは、装甲版によって食い止められる。

 「・・・・さすがドイツ製だな」

 「それ以前の問題だよ。サブマシンガンじゃ・・・」

 「無知が! インド人の程度が知れる」

 銃撃した者が警備の兵士に狙撃されて倒れる。

 「背後を調べた方がいいだろうか」

 「サブマシンガンの使い方を知らないような連中だ」

 「武器を売りたいだけの連中と、不満分子のはねっ返りの組み合わせに過ぎん」

 「そういえば、K大佐は気を逸らすためだけに囮で使ってたっけ。紛らわしかったよ」

 「カースト側だったのに、韓国の雑誌でインド革命の立役者になっていたな」

 「用済みで追い出されたことになっているけど」

 「ドサクサにバラモンの屋敷から根こそぎ持っていったくせに、よく言うよ」

 「そういえば日本は、韓国と国交を結ぶんだよな」

 「らしいね」

 「近いと大変だろう」

 「あははは・・・・」

   

   

 第10回先進国首脳会議(ロンドン・サミット)が開催。

 世界経済は、日本の高い工業力と安い商品。

 世界資源の低価格設定。

 借金王のアメリカの贅沢と搾取によって回っていた。

 しかし、不健全な経済は破局。

 世界恐慌後はアメリカも贅沢できなくなり、搾取ばかりが目に付くようになる。

 とはいえ、同盟国と後進国にとって、ソ連・共産主義の脅威は事実であり。

 不健全とは知りながらもアメリカへの経済支援が行われる。

 アメリカも不況下では国民の支持も得られないと、いくつかの妥協を求められ、

 特に政治・経済・軍事で自立している日本に対し、幾つか妥協させられる。

  

  

 韓国

 アメリカ空軍基地

 F15イーグルが並び、離着陸訓練が頻繁に行われていた。

 世界でもっとも飛行時間が長いのは、アメリカ軍パイロットだった。

 そして、本国の部隊と駐留部隊は、時々、人事で交換したりもする。

 「・・・いいか。お前ら、ここは、アメリカ本国ではない。極東だ」

 「お前たち一人一人がアメリカを体現していると思え」

 「・・・・・・」

 「・・・さっそく、だが諸君らの仮想とする相手、共産圏は残念ながら面白みに欠ける」

 「本国で教わった通りだろう」

 「そこで、日本の雷燕2型」

 「そして、最近、開発された瑞風を仮想敵機として考えてみよう」

 「戦闘機の質は、偏っているが迎撃システム全体として考えた場合、非常に強力な戦闘機になる」

 「アメリカ国防省も日本の有機的な迎撃システムを分断できない限り」

 「日本攻撃は失敗すると判断している」

 「電子戦能力で劣る瑞風は、それほど強力だと思えませんが?」

 「日本空軍は、戦闘機同士の空中戦は全体の一つとして捉えている」

 「つまり我々が相手とするのは日本全体の迎撃システムであって、単体の日本の戦闘機でないことだ」

 「カタログ通り考えると撃墜されるぞ」

 「日本側のレーダーサイトや早期警戒機を撃破しなければF15イーグルに勝ち目がないと?」

 「シミュレーションで見る限り。そういうことになる」

 「F4ファントムの空対空ミサイルでさえ脅威となるだろう」

 動揺が広がる。

 紛れもなく世界最強のF15イーグルが負けるのは信じがたい、

 少し詳しい人間がカタログスペックを見比べると、

 攻守とも全天候型F15イーグルの圧倒的な戦闘力がわかる。

 しかし、それも日本の迎撃システム圏内に突入した後は状況が変わる。

 「・・・そして、事情があって日本にF15イーグルと同じF100系エンジンのライセンスを認めてしまった」

 「瑞風にこのエンジンを組み込むのか不明だ」

 「しかし、将来は、瑞風の推力が強化されると推測される」

 「なぜ、日本に技術を渡したんです?」

 「ああ・・・反対したが押し切られた。政治的判断としかいえない」

 「不利になると思うのですが。合衆国が日本を味方と認識している、ということでしょうか」

 「少なくとも敵と考えていないようだ。時折、日米模擬訓練が行われる」

 「瑞風は、転換訓練中で手合わせしていない」

 「通常1対1ならF15イーグルは瑞風に勝つだろう」

 「しかし、早期警戒機が随伴していた場合の勝敗になると残念ながらスペック通りいかない」

 「苦戦を強いられる?」

 「そういうことだ」

 「こちらの電子管制が妨害され、メクラの状態のまま、有視界で戦わなければならない」

 「雷燕2型でさえ、手強い相手になってしまう?」

 「そうだ。後手に回った状態で有視界で戦わされてしまうと、そうなるだろう」

 「日本の迎撃システムに弱点は、ないということでしょうか?」

 「そうとも言えない」

 「あまり考えたくない戦略だが犠牲を考慮しなければ、力技で捻じ伏せることもできるだろう」

 「もう一つ、日本は、限られた予算を有効に使おうとするあまり」

 「有機的な迎撃システムを構築していて、重複している部分が少ない」

 「精悍で効率的といえるが余裕がない事が弱点になる」

 「無論。代替基地、早期警戒機、電子管制機、巡洋艦で穴を埋めるだろう」

 「しかし、一角を潰すことができれば迎撃システムの死角を突き、一気に形勢を変えられるだろう」

 「そして、揺さぶれば被害を最小限にしながら押し切れる」

 「我がアメリカ合衆国の戦闘機パイロットは紛れもなく、世界最強ではある」

 「その強みはパイロットの飛行時間、戦闘機の性能と数によるところが多い」

 「何より強いのは電子戦だ。通常、相手の機体を見ることもなく撃墜できるだろ」

 「しかし、世界で唯一。日本は、電子戦でアメリカと良い勝負になる」

 「互いの電子管制機、早期警戒機が妨害し合うと、第二次世界大戦並みの有視界航空戦になる可能性は高い」

 「日本の戦闘機は、そういう航空戦を前提に設計された機体であり」

 「飛行時間を補えるだけの機体性能だろう」

 「そして、もし、電子戦となった場合は、むしろ、脅威なのは早期警戒機と電子管制機といえる」

 「こいつに発見されたらF4ファントムの空対空ミサイル、基地の地対空ミサイル、巡洋艦の艦対空ミサイルが飛んでくる」

 「無論、こちらの艦隊、基地のミサイルもある」

 「互角のキルレートで相殺戦になっていくだろう」

 「そして、最後に切り込んでくるのが雷燕2型か、新型の瑞風だ」

 「つまり、日本の迎撃システムは、電子戦、非電子戦ともに考慮されたものだと分かるだろう」

 アメリカ軍パイロットは平均的なレベルで世界のトップレベルのパイロットといえた。

 機体設計、推力と質量から割り出せる機体の性質は、本能的に理解する。

 日本の防空システムは、迎撃戦闘でアメリカ空軍を凌げると認識される.

  

 

 アメリカ陸軍が大陸間弾道ミサイルの大気圏外破壊に成功したと発表する。

  

 中南米11ヵ国が先進国に対して利子の引き下げを要求する。

  

 農水省の農業調査で農家戸数が450万戸を割ったことが判明する。

  

 厚生省が、日本人の平均寿命が女79.8歳、男74.2歳となっていることを明らかにする。

 

 

 07/

 フランス空軍が最新鋭戦闘機の実戦配備を開始する。

「ミラージュ2000」

 

 

 新潟の病院が、日本初のエイズ患者を発表する。

 

 西ドイツの民間銀行が、東ドイツに3億3000万ドルの借款を供与する。

 東ドイツはこれに対して人的交流制限の緩和措置をとる。

 

 アメリカ銀行監査当局が経営危機のコンチネンタル・イリノイ・ナショナル銀行を事実上、

 国家管理下に置く救済策を発表する。

  

 

 ロサンゼルスで第23回オリンピックが開催。ソ連圏15ヵ国が不参加。

  

 

 08/

 静止気象衛星3号「ひまわり3号」が打ち上げられる。

 

 平壤放送が、金正日書記を金日成主席の「唯一の後継者」と放送する。

 

 日本マクドナルド、1ヵ月の売り上げが初の100億円を突破。

 赤レンガの住人たち

 机の上にハンバーガーの山。

 「・・・消費し切れないんじゃないか。肉」

 「缶詰にして、保存食にして、一定期間過ぎたら安値で後進国に持っていくか」

 「だから後進国は肉が売れなくなるからアメリカが嫌がるって」

 「アフリカで飢餓が起きているんだから、そっちに持っていけばいいんだ」

 「あれだって、アメリカが資源欲しさで金や売れない物をばら撒いたからだよ」

 「あとは土地を買い上げて、生産力を奪って」

 「じわじわと食料品と日用品を値上げしていくんだ」

 「そして、資源が減ったら引くだろう」

 「んん・・資源の価格を高騰させやがって、暴利はどこに行ったんだ」

 「アメリカのお金持ちの金庫」

 「製造は賃金の安い外国に任せてしまうから貧乏人は、仕事もなくて収入もない」

 「とことん、集約型の資本主義だな。いっそのこと世界征服すればいいんだ」

 「自国の人権を守って。他国の人権を蹂躙して、暴利を貪るんだ」

 「世界を征服すると、それができなくなる」

 「奇麗事を守るのも大変だな」

 「向こうはパテントと資源を押さえ」

 「こっちは、頭を働かして付加価値をつけているのに・・・・」

 「日本の百姓さんを潰して、日本の食料自給率を下げさせて、生殺与奪権を握るつもりなんだよ」

 「・・・だからって、俺たちが何でハンバーガーを食べさせられるんだ」

 「・・・あいつらの言い分だと “お前たちのせいで、余計に肉を買わされたから” だろう」

 「恩恵だけは受けたけど。それは、国同士の取引だろう」

 「それでも農林水産省は怒っているんだろう」

 「いやだねぇ 国防は国の根幹だよ」

 「食料もだろう」

 「だよな・・・・」

 「日本も賃金の安い海外に工場が取られているからアメリカに近くなっていくんだろうな」

 「アメリカを真似て、周辺国を脅迫しながら糧を得るか」

 「脅迫するなら空母造らないと」

 「韓国が共産化すれば造れるんじゃないか」

 「なんか、アメリカとヤクザのシマ取り戦争になりそう」

 

 

 風俗営業等取締法が改正成立する(施行は85年2月13日)。

 

 国鉄再建監理委員会が、国鉄の分割・民営化を初めて明示する。

 

 健康保険法が改正公布される。本人負担が1割となる。

 

 中印貿易協定が30年ぶりに調印される。

 

 コロンビアで、政府と左翼ゲリラが停戦協定に調印する。

 

 ソ連が、地上発射長距離巡航ミサイル実験に成功したと発表。

 

 ソ連の国営銀行が5000万ドルの変動利付き債を発行する。

 

 

 09/

 ヨハネスバーグ郊外で暴動が発生。

 黒人同士の差別で暴動が発生する。

 アフリカ大陸では、珍しくはなく、生きるか死ぬかのレベルで生存権を得る戦いといえた。

 南アフリカ公国連合の暴動が珍しいのは、要求が他の国より贅沢になっている点だった。

 生存権というより、我が部族より、あの部族が予算と公職に就ける人間の数が多いとか。

 アメリカ系黒人を制限しろとか・・・生活レベルの比重が大きいとか。

 それでも、頓死するか、生皮で絞められるかの違いで相応の要求は必要なのだろう。

 南アフリカ公国連合は、あくまでも公国の連合体であり、

 国家の統制力は、それほど強くない、

 それぞれの地域と部族で生産力が違い、

 国全体の国策で使える予算も限られている。

 モザンビークで一息ついたあと、

 予算がアンゴラへ流れ、不平不満が大きくなっていく、

 アフリカ大陸黒人解放統一政策に賛成しても予算配分に納得しない者は多い、

 合併推進派は、明らかに搾取目的だった。

 しかし、併合する以前なら搾取できても、

 同じ国内で搾取はないだろうと良識派が優勢を占める。

 「・・・・なんで、そんなにアンゴラに予算を注ぎ込むんだ」

 「併合に賛成するときに条件で出しただろう」

 「んぬぬぬ・・・・・」

 そして、良識派のほうがアンゴラ併合に最後まで反対していたのも

 予算を取られたくないからであり、想像力の差といえる。

 モザンビークで散々懲りたはずなのに・・・・

 人間というのは、人種に関係なく懲りない。

 

 韓国の全斗煥大統領来日。日韓国交条約調印。

  

 東南アジア諸国連合(ASEAN)の常設委員会が、東南アジアを非核地帯とすることで原則合意する。

  

 イギリスのチャールズ皇太子とダイアナ妃の間に次男ヘンリー王子が誕生する。

  

 隠岐島沖

 煙を出して漂流しているソ連の潜水艦が発見される。

  

  

 ベイルートのアメリカ大使館に爆弾トラックが突入、死傷者56人。

 もうもうと噴煙が空を覆い騒乱で人々が混乱し入り混じる。

 キリスト教マロン派とイスラム教スンナ派の血の抗争は、国際的な仲裁にもかかわらず収まらない。

 「アメリカは、横暴だよ」

 「大国が横暴になのは昔からだよ」

 「アメリカが白人系ユダヤ人の味方をし、中東で地位を確保させるわけにはいかない」

 「イスラエルの議会勢力で言うと東洋系と白人系の議員数は、ほぼ互角だからな」

 「アメリカにしゃしゃり出られると、形勢が変わる」

 イスラエルの白人系ユダヤ人と東洋人系ユダヤ人の相関関係も複雑で同居していても、

 他の勢力を利用しつつ血の抗争を続けていた。

 

 

 イスラエル。東洋系・白人系の連立内閣が始めて作られる。

 

  

 10/

 アメリカ血友病財団(NHF)が血友病患者のエイズ予防に関し、

 「加熱製剤への切り替えを強く考慮すべきである」と勧告する。

 

 ソ連国防省が、戦略爆撃機と潜水艦に長距離ミサイルの実戦配備を開始したと発表する。

 

 イギリス。ボライトン市内のホテルがアイルランド共和国軍に爆破され、貿易相ら36人が死傷する。

 

 中国共産党12期3中全会で「経済改革についての決定」が採択される。

 

 レーガン大統領が貿易関連包括法(オムニバス法)に署名する。

 

 

  

  

 11/

 日銀が15年ぶりに新札を発行する。

 最高額紙幣(1万円)には慶應義塾の創始者の福澤諭吉の肖像が印刷される。

 

 フランスとリビアの両国政府が、チャドからの両国軍同時撤退が完了したと発表する。

 

 メキシコシティのペメックス石油公社の液化ガスタンクが爆発し、500人以上が死亡する。

 

 鳥取大学の調査で、血友病患者が輸血によりエイズに感染したことが判明した。

 という資料を作成される。(1996年発見)

 

 伊丹十三監督の「お葬式」が封切られる。

 

 イギリスがユネスコ脱退通告を決定する。

 

 板門店で、ソ連人が南側に亡命する。

 亡命の際、銃撃戦で南北合わせて3人が死亡する。

 

 ウルグアイ大統領選挙

 中道コロラド党のフリオ・サンギオッティが当選して11年間の軍政に幕が下りる。

 

 ソ連の翌年度の国防予算が前年度比で11.7%増となる。

 

 

 12/

 フランス領ニューカレドニア

 社会主義カナク民族解放戦線が独立を宣言。武力衝突が続く。

 

 インドにある米ユニオンカーバイド社系工場で有毒ガスが漏出し、

 一つの町が全滅し死者2600人を出す。

 

 中国の「人民日報」がマルクス主義の限界を指摘する。

  

 ソ連のミサイルがノルウェーの領空を侵犯し、フィンランド領に墜落する。

 

 乗っ取られたクウェート旅客機の乗客2人が射殺され。犯人が逮捕される。

  

 

 横須賀

 アメリカ原子力空母カールビンソンが入港していた。

 横須賀の某公園のカップル

 「なんで、アメリカの空母が日本に来るの?」

 「アメリカは空母の自慢」

 「日本は空母を作って欲しい人たちが国民を啓蒙するため」

 「ふ〜ん・・・・どうするんだろう」

 「さあ、1兆円を何に使うかって事だろう」

 「・・・マイホームがいいな」

 「だよね・・・住宅公団か・・・・」

 「ほら、最近、子供とか減っているでしょう」

 「やっぱり、家が大きくないと子供なんか作らないわよ」

 「こ、子供ね・・・・・」 汗々

 「庭付きで、5LDKとか、6LDKね。1兆円だったら何軒できるかな?」

 「あはは・・・・・・2500万だったら4000軒くらいかな・・・」 汗々

 「あと、鉄道よ。やっぱり、駅の近くじゃないとね。あと、商店街とか、学校も・・・」

 「あはは・・・・5000万で2000軒かな・・・」 汗々

 「」

 「」

 男が誠実か、不実か見破る方法は、子供や将来設計を出すのが適当だったりする。

 

 

 ニュージーランドの労働党政権がアメリカの核艦船の寄港拒否を表明する。

 

 イギリスと中国が1997年香港返還に正式調印する。

 

 

 アメリカがユネスコから1985年1月1日の脱退を確認する。

 ニューヨーク 国際連合のラウンジ。

 「イギリスに続いてアメリカも脱退か・・・どうする?」

 「分担金で票を占めているのは先進国だけど、偽善が政治化しているからだよ」

 「貧しい国を助けましょうか・・・確かにいえているけどね・・・・」

 「不況だから日本も脱退したいね」

 「だいたい、アメリカとイギリスは国民の底上げ発想を全部、共産主義と思うのが変だよ」

 「実力主義だからね・・・」

 「競争原理が人を育てる発想は、わからなくもないけど・・・」

 「一定のレベルの教育は必要だよ」

 「最近、日本式は画一すぎるとか、反発するからな」

 「物珍しさから反発。そして、ねたみから反抗期なんだよ」

 「まぁ、やり方が違うのであってメリット・デメリットは、どっちにもあるんだから」

 「そんなに色眼鏡で見ることもないだろう」

 「日本連邦とベトナム連邦のせいだろうな」

 「資本主義と共産主義の関係を見直す勢力が増えて荒れているんだよ」

 「いやだねぇ〜 主義者って物事を膠着させるし、柔軟性に欠けるから」

 「一定レベルの知識があれば共産主義の欺瞞も資本主義のエゴも限界だと気づくよ」

 「適当なところで折り合いをつければいいんだけどね」

 「主義は、目的ではなく、手段だと気づけばね」

 「ベトナムが一番気づきやすいんだろうけど」

 「・・・だけど、負担だよな。ユネスコ」

 「まあ、旧枢軸国で、やるというのも良いかもね」

 

 

 電電公社民営化法が成立する。

 

 イタリアのボローニャで特急列車で爆弾テロがあり、17人が死亡し120人が負傷する。

 

 北京で、中国とソ連が経済・貿易・科学技術分野での協力協定に調印する。

   

 IBM社がPC/ATを発売。ATバス、VGAなどの技術がパソコンの世界標準規格の基礎となる。

 

 坂村健によってTRONが提唱される。

  

  

   

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 月夜裏 野々香です。

 1942年から始まった仮想戦記が84年です。

 やれやれです。

 ぼちぼち終わろうかと思うと、題材が尽きないので・・・・・・・・

 史実と最大の違いは、日米関係でしょうか。

 微妙に不利ですが、それでも、経済と軍事で取引をしているようです。

 戦前よりマシなのは、経済。

 軍事は、核になる部分がライセンス頼みで、戦前より、少しマシなようです。

 日本は、同盟国や共産国を利用しながら軍事費を押さえ込んで、

 国際的地位を保ちながら国力増幅を図り。

 アメリカは、日本の軍事力を肥大化させて、国力を削ぎ落とそうとしている節もあるようです。

 

 印パ関係も史実と違って安定。チベットも独立。

 中東も、紛争だけで収まっているようです。

 南アフリカ公国連合は、部族・言語単位の公国、侯国、伯爵領という。

 大きいようで小さい群小貴族国家連合という感じです。

 ベトナム連邦も自由資本体制と共産主義体制の連合体として、

 世界に強い影響力を持っているようですし、

 日本の海外州も元気なようです。

 

 中国は、中ソ蜜月のまま、対日米独関係を修復。

 チベット戦争で、史実より余計に人口が減って、さらに隠然と力をつけていきそうです。

 

 日韓国交回復で、新たな日韓関係が造られていきそうです。

 日本は、政治、軍事、経済で自立しているため大国(ソ連、アメリカ、中国)カードなどトラの威が使えず。

 また “共産化するぞ” という自殺脅迫も通用しないというところです。

 日本の某省は、予算が増えるため、楽しみにしていたりです。

 

 

 TRON

 ようやく登場です。

 JIS規格では、IBM規格に名前負けだったので、よしよし、という感じです。

 技術交換で仕様こそ違いますがコンピュータの世界も一部横並び。

 今後は、TRON VS Windows VS MACの熾烈な戦いが・・・・・

 Windowsは、市場の支配力で、

 MACは、画像処理など質面で、

 TRONは・・・・・・・多国語とハード・ソフト一体で、ウィルスに強いかな・・・・

 負けてもボーナスカット。給料引き下げ。

 工場閉鎖とか。社員がクビとか。一家路頭で、一家離散とか。

 あと、コアなファンからの罵倒、罵詈雑言くらいでしょうか。

  

  

 1984年

 やはり、トップは、風の谷のナウシカでしょう。

 因みにこの世界のナウシカは、こっちでしょうか。てへぇ!

 次が、超時空要塞マクロスか、重戦機エルガイムでしょう。

  

  

 

 

 

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よろしくです。 

1984年 昭和59年 誕生酒 (楽天)

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第93話 1983年 『世界史上空前の詐欺?』
第94話 1984年 『面親腹背』
第95話 1985年 『謀略の価値は』