月夜裏 野々香 小説の部屋

 

After Midway

 

 

第95話 1985年 『謀略の価値は』

 01/

 アメリカがユネスコを正式に脱退する。

 

 アメリカ全土で貧困層の暴動が多発的に起きる。

 

 フランスとイタリアで、出雲州に対する不買運動が起こり、

 仏伊首脳が

 “出雲製品がフランスとイタリアの産業に対し、重大な悪影響を及ぼしている”

 と共同で言及

 

 ハワイ州のアリヨシ知事が、この年を日本人移民百年の年にすると宣言する。

 

 西ドイツの米軍基地。新型中距離ミサイルのパーシングIIが爆発炎上、米兵3人が死亡。

 

 フランスが、ニューカレドニアに非常事態を宣言する。

 

 韓国の反体制派が新韓民党を結成する。

 

 

 東京湾の一角

 旧水上機の格納庫は使われなくなって久しい。

 秘め事を進めるには都合が良かった。

 格納庫の前で将校が二人、敬礼し向き合う。

 「・・・・藤堂中佐。全員、揃っております」

 「そうか・・・」

 遠くに見える外国の戦艦は日本の首都が外国軍に占領され、退かせた事実を後世に伝える。

 教え込まなくても日本軍が戦った相手が如何に巨大だったか、見せ付ける。

 戦後、苦し紛れの条件付降伏が諸事情で、そのまま、承認。

 名目上、日本の敗北となっていた。

 日本が条件付降伏した、と正確に記されている国は日本だけ。

 他の国は終戦と記されている。

 段階的な民主化。

 それが国家間の約束で自分で行ったことでも本意とはいえないだろう。

 戦後憲法は、日本民族を権威主義から拝金主義に変質させてしまった。

 自由は、親子と夫婦の絆を色褪せさせ、

 資本主義は、利己主義と仁義なき競争を育成し、

 和の繋がりを貶め離反を増長していた。

 古来から受け継いできた精神は軟弱化し、

 不正腐敗は社会を劣化させている。

 昔の方が良かったとは思わない、

 いまをもっと良くできたはずと思いたい。

 無論、国家制度としてメリットもあればデメリットもある。

 しかし、このままで良いのだろうかと疑いたくもなる。

 国際情勢は、日本の貿易黒字を妬んでいるのか、反日が強まっている。

 アメリカと欧州諸国は、日本への風当たりを強めていた。

 誰かが日本連邦と日本民族を覆う暗雲を吹き飛ばさなければならない・・・

 コツコツと高級な革靴の音が格納庫に響くと、数十人の水兵が一糸乱れず敬礼する。

 敬礼と行進の上手い軍隊は強いという。

 精悍で無機質、命令が絶対だと叩き込まれた表情。

 将校は一分の隙もない光景に感動しつつ所定の場所に立った。

 日本軍将兵は、世界でもトップクラスといえる。

 沈痛な将校は、顔を曇らせまいと無理に微笑んだ。

 「仙波中尉。準備はできているのだな」

 「はっ!」

 「藤堂中佐・・・これを・・・」

 シャンパンが渡される。

 「いいのかね」

 「はい、光栄です。命名をお願いします」

 「そうか。寝ずに考えた。艦名は、海凰だ」

 シャンパンが割られ、

 巨大空母100分の1サイズが台座を滑り降り港湾の一角にささやかな飛沫を上げる。

 歓声が上がり、何人かが涙ぐむ。

 海軍技術研究所の設計図を基にした本物志向の一品、

 「・・随分。うまく作ったな」

 「プラモデルが得意な新兵が入隊しましたから」

 「そうか・・・仙波中尉。苦労をかけるな」

 「いえ、今ある兵装で尽力を尽くす所存です」

 海上を自在に走り回る空母を発売されたばかりのソニー8ミリVTRが追う、

 そして、リモコンを持つ者の周りに水兵が集まる。

 「・・・俺にも操縦させてくれよ」

 「5分で交代だぞ」

 「分かっているよ」

 行列は微笑ましく、物悲しくもあった。

 

 

 インドネシア中部ジャワにある世界最大級の石造仏教遺跡が爆破される。

  

 軍事用スペースシャトル「ディスカバリー」が打ち上げられる。

  

 ニュージーランドが核積載のアメリカ艦船の寄港拒否を表明する。

  

 日本の某シンクタンク

 「・・・アメリカ上院の対日経済制裁は抑えられそうにないよ」

 「貧困層の暴動を日本に向けさせるつもりだな」

 「核ミサイルを撃ち込みたくなってきたよ」

 「あはは・・・」

 「・・・アメリカの暴動騒ぎは?」

 「元々、持っていない貯蓄を使い果たして」

 「社会保障からも、キリスト教団体からも、こぼれた連中が動いたかな」

 「貯蓄率が低いせいか、去年より増えているようだ」

 「アメリカは、国内と世界中から巻き上げたお金を治安維持で、慈善団体を通じて落としている」

 「しかし、生かさず殺さずでは、いつまで持つやら・・・・」

 「利己主義の結果だな」

 「アメリカ資本主義はピラミッドが高すぎるから、下層階層に行くまでに分配分が目減りしてしまうんだ」

 「日本に皺寄せが来るだろうな・・・」

 「ドル安の懸念はあるよ」

 「アメリカ国内の不況で貧困層は共産化を求めかねない」

 「国債の金利を下げればドルが魅力を失ってドル安だろうな」

 「冗談、アメリカ資本家層は、国債の分配で私腹を肥やしているんだ」

 「国債の金利を下げないでドル安だろう」

 「それはずるいよ。高利貸しじゃあるまいし、国債の利息が高すぎるんだよ」

 「これじゃ アメリカ国債を買い続けないといけなくなるよ」

 「海外派の状況判断だと各国で申し合わせて、円高ドル安への協調介入もありえる」

 「海外派は、現地主義で総合的判断に欠けるからな」

 「だけど、ほとんどの地域で、同じ意見だよ」

 「んん・・・酷いな、少しはアメリカ国債を買ってやったのに」

 「少しだろう。日本の買い物は、ほとんどライセンスだ」

 「いっそのこと、アメリカ共産化も面白いといえば面白いけどね」

 「駄目だよ。本当に物が売れなくなるし、他の国は経済破綻しかねない」

 「歪な経済でも、それで需要と供給のバランスができてしまうんだよな」

 「世界の常識を作るのは大国だからね」

 「あまり従いたくないな」

 「それは、日本が世界の非常識だからだ」

 「んんん・・・・だんだん、我を張りたくなってきた」

 「程々にな。45年前みたいに戦争はごめんだぞ」

 「じゃ 戦争未満で・・・・」

  

  

 02/

 ニュージーランドが米駆逐艦ブキャナンの寄港を拒否、ANZUS体制が問題化する。

  

 アメリカ血友病財団(NHF)が血友病患者のエイズ予防についての勧告を決定する。

 「加熱製剤を使用すべきである」というもの。

  

 ミノルタカメラが自動焦点一眼レフのα7000を発表する。

  

 03/

 ウルグアイでジュリオ・サンギネッティが大統領に就任し、軍政が終わる。

 ウルグアイとブラジルの首脳が共同で 「秋津州の情報操作に対し遺憾の意を表明」

  

 世界最長の宗谷海峡トンネル(約90km)。

 津軽海峡トンネル(60Km)が相次いで貫通。

 九州から間宮までの日本縦断高速鉄道が完成。

 宗谷海峡の式典

 「・・・これで、日本列島は大陸と地続きか」

 「相手がソビエトなのが気に入らないがね」

 「もっと気に入らないのは、空母建造がさらに遠のいたことだな」

 「確かに再上陸するより鉄道で行ったほうが速い。破壊されなければね」

 「破壊されない程度、深いよ」

 「内部からなら破壊できる」

 「なるほど民間だからね」

 「少しは、空母建造に期待が持てそうだ」

 「さあ、空母の優先順位は低いから」

 「いま、高いのは、スターリングエンジン? 音響測定艦?」

 「海軍はね。だけど、非大気依存推進は、アメリカとの技術交換でも劣っていたし」

 「優先されているのは、電子兵装」

 「またかよ」

 「とにかく、陸海空軍で共有する電子兵装は負けられないらしい」

 「つまり、勝つという事だ」

 「民間資本で非大気依存推進は進まないのか」

 「・・・需要がないな」

 「くそぉ〜 余剰金をしこたま抱えやがって、社会保障なんか潰してしまえ」

 「あはは・・・・・」

  

  

 ソ連の共産党書記長チェルネンコ没。73歳

 ソ連、共産党書記長ゴルバチョフ就任。ペレストロイカが開始される。

 

 ブラジル民政移管(タンクレード・ネーベス大統領)。

 

 厚生省が日本初のエイズ患者確認を発表。

 患者は、その後も、非加熱製剤を投与され続ける。

 

 アメリカ連邦最高裁が同性愛者の権利を認めないと判決。

 アメリカ上院が対日経済報復決議を採択。

 ワシントンのカフェテラス。

 黄色人が二人がテーブルに着き、

 窓ガラスの向こうを物欲しげな白人が路頭を行き交う。

 「チベット戦争で宗教が強くなったせいかな」

 「アメリカの司法が個人の自由と権利を束縛か」

 「際どかったが、それは、それで良いんじゃないか」

 「職探しで忙しいから同性愛の権利なんて、どうでもよくなったのだろうな」

 「しかし、不況なのになんで麻薬が流れ込むんだ」

 「国債で流れ込んできた金で麻薬を買って、それを高値で庶民から吸い上げる連中がいるんだろうな」

 「信じらんねぇ〜 もっと、建設的なことに金を使えよ」

 「製造業で稼ごうと思っても、車で負けて自信を喪失している」

 「外国からの安い工業品に負けてしまう」

 「なるほど」

 「外国から買った製品を安く売ろうにも不況で売れ難くなってきている」

 「しかし、麻薬なら売れる」

 「ひどいねぇ」

 「日本も賃金の安い国に工場を移すと。いずれ、そうなるかもしれないな」

 「俺たちが工場を移しているんじゃないか」

 「仕事だよ」

 「確かにね」

 「・・・アメリカは強制的に円高ドル安に持っていくつもりだな」

 「国債の金利を下げれば自動的にドル安なんだよ。バカが」

 「国債の金利を下げると資金が入ってこなくなるだろう」

 「一度、作った循環を壊すのは勇気がいるよ」

 「金持ちの我田引水の循環だろう」

 「人の人生を踏み躙りやがって、一度、痛い目にあえば良いんだ」

  

   

 04/

 NTTと日本たばこ産業が民営企業として発足。

 

 千歳市に完全ロボット化した太陽電池工場が竣工していた。

 「・・・・どうです、カリフ」

 「太陽電池か。アラブで役に立つかもしれないが砂漠は砂嵐がある厳しいぞ」

 「無論、想定済みです。緑化計画も、含めて検討していますよ・・・」

 「んん・・・・」

 「それで、例の件は・・・」

 「アラーの御心のままにだな」

 「アラーによろしくお伝えください」

  

  

 スーダンでクーデターが発生、ヌメイリ大統領(55)追放される。

  

  

 

 南アフリカ公国連合 第1回国際エイズ会議。

 会議の内容は、南アフリカ公国連合の不機嫌さを煽るだけだった。

 エイズ対策と新たな殺人ウィルスのため国際赤十字に基地を提供し、経費まで負担せよ。

 というものだった。

 基地がアンゴラであるため、

 南アフリカ公国連合のアンゴラ併合は自動的に承認済みといえる。

 「本当にエイズは “痩せ病” なのかよ」

 「何でもアフリカ大陸発祥にして、こっちの負担にさせやがる」

 「んん、良く分からんが中央アフリカだからな。1950年代から報告されている」

 「良く分からんか・・・・南アフリカ公国連合の医者と同じレベルじゃないか」

 「アメリカの方が医療が進んでいるんだから追認するしかないじゃないか」

 「アメリカの生物兵器じゃないのか」

 「あいにく、証明するだけの力がない」

 「くっそぉ 国内は、暴動が起きているんだぞ。余計な予算を使わせやがって」

 「少しは、公国連合の医療技術も上がるだろうよ」

 「日本は?」

 「日本もアメリカより遅れているの」

 「もっと、医療に予算を投入しろよ」

 「投入させられるんだよ。これから」

 「腹立つな〜」

 「ほんとうに・・・」

 「何でこんなに、月影VTOLが必要なんだよ」

 「国連のお勧め。航続力も、速度も、十分だろう」

 「人の国の金を勝手に使いやがって、腹立つな〜」

 「アンゴラを認められたんだから、いいんじゃないの」

 「手放してぇ〜」

 「日本が条件付で月影を安くするとも、言ってるらしいが・・・」

 「へぇ なんで?」

 「実はな・・・・」

 「」

 「」

 

 インドのグジャラート州、カースト派の反乱が発生。

 

 ニカラグアのオルテガ大統領がソ連を訪問、ゴルバチョフ書記長と会談。

 書記長はニカラグア支援を約束する。

 

 05/

 ボン・サミット開催

 ラウンジ

 「・・・対独戦終結40周年で西ドイツでサミットか。いやみだね」

 「歴史的な決着を付けたいんだろう。アメリカとドイツも」

 「来年は、日本かな」

 「キリが良いからね」

 「力ずくでねじ伏せて、自分の言い分だけを通して、何が歴史的な決着だよ」

 「結局、人の記憶が薄れてしまうから、どうにでもなるんじゃないか」

 「厚顔無恥め」

 「ドイツはどうするって?」

 「TRONを制限しないそうだ」

 「ふ ざまぁみろ」

 「これでアメリカ国内でもJIS規格の工場が建設できそうだな」

 「見てろよ、ドミノを逆に倒してやる」

 

  

 インド各地でカースト派の同時多発爆弾テロが発生。

 「全力で壊滅せよ〜!」

 包囲され、自作自演の罠にはまった不穏分子・カースト派集団が殲滅されていく。

 不穏分子が集まって武装し、首相官邸を襲撃しようとしていた連中、

 計画を立て武器を準備し、集めさせたのは政府側。

 K大佐が散々用いた戦法で擦り切れているものの、少し技を捻ると効いたりする。

 犯罪を誘発させ、捕らえる。

 囮捜査は、犯罪を誘発させるとして禁止されている国もある。

 しかし、インドは主権のある国。上が決めてしまうと、どうにでもなった。

 誘う方も悪いのだが誘われる方も悪い。

 あとは、子供を親から引き離して教育。

 不満分子を片付け、言語的な集約も目的としていた。

 あまり、やりすぎると、国連や欲求不満なアメリカに付け込まれるため。

 ソフトな方式を採用する。

 合法的に灰色なら国際的に介入できないという発想だった。

 養育は、虐殺より予算が必要だったものの、一つずつ潰していく方針だった。

 ルルとヤマトが安全圏から双眼鏡で覗き込む。

 「・・・ルル。ちょっと、非人道的だね。良心が咎めない?」

 「残りの人生を奪うのと、どっちが非人道的か、だろう」

 「エゴと慣習を潰してもインドの近代化を進める必要性は理解できるけどね」

 「もっとも無難な手段だよ。国連の介入は避けたい。宗教国家連合も・・・・」

 「カースト派が残りの人生に価値を見出しているか、にもよるけどね」

 「人生を捨てているようにも見える」

 「カーストがカーストを奪われたら・・・・当然といえば、当然かな」

 「まだまだ、カーストが高く、命が安いか」

 「ここは日本じゃない。インドだ」

 「日本の薄っぺらなヒューマニズムと常識は通用しないよ」

 「人口の多いインドと多数決で常識を争いたくないけど・・・・」

 「いずれ、国連も分担金比率だけでなく、人口比率も取り入れさせてやる」

 「中国は賛成するだろうね」

 「あんな、人口調査も満足にできない国は除外だ」

 一番、手っ取り早いのは、向こうに撃たせて、抹殺してしまうこと。

 しかし、降伏した者は捕らえられていく。

 「・・・今度は、あいつらを撒き餌にカーストの反乱を煽るか」

 「だれか、適当に探して脱出を助けさせろ」

 「脱走のとき、銃が下手な人間だと当たることもあるし」

 「上手い人間を使わないと真実味に欠けるから・・・・」

 「最近は、騙されにくくなったからな・・・・」

  

 中国 副食品が公定価格から市場価格制に切り換えられる。

 この結果、副食品価格がいっせいに上昇する。

  

 ソ連が、アルコール追放の総合的措置を発表する。

 

 厚生省が、帝京大学症例を含む血友病患者のエイズを初めて認定する。

 

 06/

 アメリカ半導体工業会は、米通商代表部に日本の不公正取引について提訴。

 電話中の男

 「いや、こっちじゃないぞ・・・核実験の延期だろう」

 「通商代表部が軍の核実験に圧力をかけるわけないだろう」

 「・・・・だから・・・」

 「いや、日本と一緒の核実験だと非核団体を抑えやすいのは、わかっているが・・・・」

 「・・・日本が出すといっているのは聞いたことがある・・・・って・・・・違うよ・・・・」

 「違うと言ってるだろう。別のルートだ・・・・知らなっ!」

 ガチャッ!

 「・・・・ふぅ・・・参ったよ。非核団体も、金次第なんだが、金もない」

 「・・・・・」

 「・・・・あぁ・・・何だったかな」

 目の前の男が睨む。

 「・・・・アメリカ国内に日本のTORNを入れさせるわけにはいかない」

 「それは、IBM・Windowsは、TORNに勝てないということかな」

 「そうではない」

 「アメリカは英語がメインなのだからJIS・TRONのように多国語仕様でなくてもいいということだ」

 「しかし、アメリカ国内では、JIS規格での製造を望んでいる企業も多い」

 「そ、それは・・・」

 「不況なのだ。どこかが失業者を吸収せねばならない」

 「それにJIS規格の工場進出を拒んでもJIS規格のコンピューターはアメリカ国内に入ってくる」

 「他の国が製造したROMを使うのは危険だよ」

 「もうすぐ円高になる」

 「その前に日本に高い金を使わせてアメリカに工場を建てさせたいのだよ」

 「わかった。じゃ 今のうちに安い円を買っておくとしよう」

 「・・・内緒だよ」

 「わかっている」

 去っていく男。

 「どいつも、こいつも・・・・」

  

  

 インド・カースト派がアテネ発のアメリカの旅客機を乗っ取る。

  

 07/

 厚生省が、血友病治療のため開発されたミドリ十字など5社の加熱第8因子製剤を承認する。

  

 ソ連共産党が、反ゴルバチョフのグレゴリー・ロマノフ政治局員を解任する。

  

 ゴルバチョフ書記長がグロムイコ外相を幹部会議長に選出する。シュワルナゼが新外相になる

  

 中国が、インドネシアと直接貿易に関する覚書に調印する。

  

 ロンドン、フィラデルフィア、史上最大の慈善救済ロックコンサート「ライヴ・エイド」開催。

 フィラデルフィア、コンサート会場 「ウィー・アー・ザ・ワールド」

 「・・・いい曲だねぇ 世界の貧困層への慈善救済か。お金は、どこに流れるのかな」

 「アメリカで世界といえばアメリカのことだから、半分は取るんじゃないか」

 「いやだね。大国の傲慢さは」

 「日本みたいに、しがらみがなくていいよ。自分本位で生きられる自由がある」

 「特にお金持ちはね」

 「そう、そう。外でホームレスが餓死しても気にしない」

 「インドじゃあるまいし・・・」

 「だけど、犯罪率は増えているし、貧民層への救済を歌で煽らないと、どうしようもないのかな」

 「アメリカは、権利と自己主張の国だから制度を従わせようとする」

 「アメリカ人は、世界で一番のお金持ちなんだけどな」

 「・・・それも怪しくなってきたな。資源も、モラルも、治安も、低下している」

 「目に見える科学技術、教育、資本、情報の優位性は」

 「目に見えない規範、信頼、統制の集約があってこそだ」

 「・・・日本は、突っぱねるのかな」

 「どうだろうな。少なくとも、日本は国債の大量買いをしないと打診している」

 「その結果が上院の経済制裁決議か」

 「バカが輸出相手はアメリカから他の世界にシフトしている」

 「いつまでも臥薪嘗胆しているわけじゃない」

 「アメリカが攻めるとすれば人質にとっている出雲と秋津だろうな」

 「それも自分の手を汚さず・・・・」

 「フランスとイタリアで出雲に圧力をかけさせ」

 「ブラジルとウルグアイに秋津に圧力をかけさせてか」

 「そのあと、正義の味方でアメリカが仲裁に入って、利権を拡大」

 「いやぁ〜 実に良くできた筋書きだね。目に見えるようだ」

 「日本政府が、どっちの筋書きに乗るか微妙だな」

 「日本人は、ルールを作るのが臆病なんだ」

 「ルールに上手く乗るのが好き。自分から世界を構築する気概は小さいからね」

 「アメリカみたいにルールを変える相手には、勝てないよ」

 「いやだね。政治、経済、軍事に疎い。戦略と謀略にも弱い」

 「人身掌握が得意なだけの軍曹に、議員や将官をやらせるのは・・・・」

 「ふっ その上、想像力が欠如しているから、直ぐに自分で戦争したがる・・・・・・」

 「それでも日本は、上手くやってきたさ」

 「市民権の売買で外国人慣れ。そして、海外派の誘導でね」

 「浮遊霊扱いされているのが辛いがね」

 「資本に縛られた浮遊霊と土地に縛られた地縛霊と、どっちが良いか、なんて、わからないだろう」

 「日本は、外圧を利用するだけじゃなく」

 「漁夫の利を得るという発想を身に付けられない限り、国際社会では生き残れないよ」

 「謀略には、謀略か」

 「問題は、エゴとエゴのぶつかり合いは最終的に戦争ということだ」

 「びびるなよ。謀略は戦争未満で優位性を確立するためさ」

 「こっちが意思をはっきりさせれば、それが修正されたとしても少しましなルールになる」

 「どちらにしろ、世界最強のアメリカが、こんなにたくさんのホームレスを抱えているなんて恥だよ。恥」

 「夏は犯罪の時期、冬は凍死の時期だな」

 「・・・まともなピラミッドに戻してやるよ」

 「チベットの爺さんたちは、どっちで、介入するかな」

 「お金は集めるが施しはケチケチだからな」

 「宗教も形骸化すると駄目だな」

 「だけどこちらの意図は、話しとしては伝わっているんじゃないか」

 「たぶんね」

  

  

 南アフリカで、部族間の格差から暴動が多発。非常事態が宣言される。

  

 この日、非加熱製剤を投与された患者から採血した血清からエイズウィルス遺伝子が検出。

  

 JIS規格系の工場建設がアメリカで、認可され。調印される。

  

 インドのルル首相とシーク教徒穏健派アカリ・ダルのロンゴワル総裁が会談。

  

 中国の李先念国家主席がアメリカを訪問する。

  

 ワシントンで、米中原子力協定が調印

 「・・・・これで中国の資源は?」

 「ええ、協定通りある。かまわないある」

 「放射能で少しぐらい死んだ方が中国の発展に、つながるある」

 「残念ながら、わが国の原子炉は安全ですよ」

 「しかし、1000年単位で国家戦略を立てられる国は、羨ましいですな」

 「日本への圧力は約束通り、進めるある」

 「頼みますよ。アジアの盟主、中国が味方に付けば成功したも同じですから」

 「華僑資本にも協調してもらえるように働きかけるある」

 「東南アジア諸国は、昭南州、和橋の影響が強くなっているようですが?」

 「なあに、同郷を祖とする血の契約ある。血は水より濃い安心ある」

  

  

 インドで、ルル首相とロンゴワル総裁がパンジャブ州の自治権拡大で合意。

  

 日仏海洋底調査で、日本海溝5600メートルの海底に世界最深の生物コロニーを発見する。

  

 ウガンダでクーデターが起こり、オボテ大統領が国外に逃亡する。

  

 08/

 F15イーグルとB52爆撃機の編隊80機が日本の領空線に沿って北上、

 そして、日本領空側に電子管制機1機、早期警戒機2機。雷燕80機が同じ方向に向けて飛んでいた。

 B52爆撃機 4番機

 「・・・なんで、こんなに日本領空の近くを飛ぶんだ」

 「誰がルートを決めた。これじゃ 戦争だぞ」

 「さあ、何でも雪解けのソビエトを刺激したくないとかで、このルートを決められたそうです」

 「・・・第7艦隊も三陸沖で日本の巡洋艦隊と対峙しているそうじゃないか」

 「なに考えているんだ上は・・・・」

 「さぁ」

 「上は日本の戦力の報告がいってるはず。戦えば勝つとしても半分以上を失うぞ」

 「生きた心地がしませんね」

 「日本の地対空と空対空、艦対空ミサイルの射程内です。200発以上飛んできますよ」

 「・・・本当に日本に通達しているんだろうな・・・」

 「ええ、ミーティングを一緒に聞いていたじゃないですか」

 「そうだが・・・・」

 

  

 地中海の出雲島沖を遊弋するフランスとイタリア艦隊。

フランス海軍

クレマンソー級航空母艦

イタリア海軍

ジュゼッペ・ガリバルディ軽空母

全長×全幅 (m) 265.0×31.7 180.2 / 30
排水量 (t) 24200 / 32780 10000 / 13850
出力 (hp) 126000 82000
速度 (kt) 32 30
航続距離 (浬 / kt) 7500 / 15
艦載機 44機 ハリア16 / H18

武装

マトラ・サドラル

近接防御ミサイルシステム

6連装×2基

アスピーデSAM

2基48発

10cm単装砲×4門 40mm連装機関砲×3基
30mm機関砲×2門 3連装短魚雷発射管 
12.7mm機銃×8門

 フランス海軍 24200t級クレマンソー級航空母艦 艦橋

 「・・・出雲の領海に入るな。撃沈されるぞ」

 「わかっています」

 「ったく。上は何を考えているんだ」

 「出来立てほやほやのイタリア空母まで引っ張り出して。艦隊ごと自殺させる気か」

 「日本のSOSUS網の上にいると思うと生きた心地がしませんよ」

 「ああ、それに日本の衛星が通るたびに冷や汗が出るよ」

 「アメリカ海軍なら楽勝でしょうけど」

 「電子装備で劣るフランス海軍やイタリア海軍が出張っても、勝てませんよ」

  

 出雲の領海線を挟んで、日本の巡洋艦6隻が遊弋していた。

 やまぶき型巡洋艦

  “さつき” “すすき” “とぼしがら” “かすまぐさ” “つくしはぎ” “すずめうり”

 巡洋艦 “さつき”

 提督と背広の男が双眼鏡を覗き込む。

 「やっぱり、空母は、格好良いな・・・」

 「だが、睨み合いに向かない。155mm砲の射程内だよ」

 「どうする気かな?」

 「さぁ どっちでもいいけど・・・・」

 「強敵なのは、10000トン級ジャンヌ・ダルクと3550トン級駆逐艦ジョルジュ・レイグ型4隻」

 「4550トン級アルディート型2隻と3040トン級マエストラーレ3隻か」

 「・・・なんか、血が騒ぐな・・・」

 「本当だな」

 なんとなく面白がる出雲艦隊側、

 この時代、大砲の大きさは効果が低下している。

 それでも日本の巡洋艦は、有視界で大きな大砲を積んでいるせいか、

 味方に安心感を与え、敵に脅威を与えてしまう。

 

 

 09/

 カンボジア議会の権力抗争が日本の爵位で収束していく。

 「・・・何で日本の爵位なんだ」

 「シアヌークが王様だと納得できない人間がいるんじゃないか」

 「だからって、自分まで爵位持ちになることないだろう」

 「もういい加減に血生臭いことからオサラバしたいんだと」

 「だけどさぁ もうちょっと品性が欲しいよな。爵位を安売りしちゃ いけないだろう」

 「一応、議会政治が始まっているし、血生臭いことはしないらしいよ」

 「それを信じるのかよ」

 「まぁ いろいろある、みたいだな華僑資本との取り決めとかもあるみたいだし」

 「華僑ね・・・・」

 カンボジア公国連合成立

  

  

 チリで軍政に抗議する騒乱が激化。

 日本人が宮殿から出て行く、

 「・・・・日本人は何をしに?」

 「ああ、仲介だよ。こっちが必要とするブツと交換にドルを持っていった」

 「なんか、どっちの陣営にも安売りしているな。後進国でもダンピングかな」

 「まさか。売れ残りだろう」

  

  

 ワシントンで行われた国際学術連合会義。

 米ソ全面核戦争が起これば「核の冬」が訪れて人類が滅亡するとの報告書を出す。

 「・・・とりあえず。これでアメリカの核が世界を守っていることを印象付けられる」

 「または、アメリカが世界の生殺与奪権を握っているということかな」

 「アメリカ無しに世界は、生きていけないということだ」

 「大衆から腰砕けにして、各国政府を誘導していく」

 「あとは協調介入で利益を上げるだけだ」

  

 アメリカ空軍が衛星攻撃兵器「ASAT」の実験に成功する。

  

 プラザ合意。

 各国で協調体制がとられ、円高ドル安が始まり、円高・ドル安が始まる。

 電光掲示板の1ドル235円から、ドルの数字が徐々小さくなっていく、

 ・・・・・思惑通り進んでいく・・・

 99パーセントの勝率。

 1パーセントの不確定要素のスリルを楽しむ、

 この不確定要素1パーセントは、万能の神が持ち得ない人間だけの楽しみ、

 為替市場をニヤニヤとしながら見つめる一団がいる。

 自分が店で何かを買うと、

 その利益の何割かが自分のポケットに転がり込む者たち、

 アメリカのお金持ちは、この世の王だった。

 前回、株下落で落ちこぼれた世襲の者たちではなく、

 本物の実力者たち。

 金融為替、株市場、先物市場の増減を操作する者と、

 その情報を知る者がトップであり、

 予知能力者が続き。運が良い者と聡い者が続く。

 そして、少し、計算高い者と愚か者が追随しても手遅れの損したり得したりの人間、

 あとから知った者が慌てて、ドルを放出するが利潤は小さいか、逆に損をする

 ワインの味が格別な風合いで喉元に絡み、

 笑いが込み上げていく、

 ・・・・

 満面の笑みが、不意に翳り始める。

 「・・・・・・な、なんだ・・・」

 ・・・・・・1ドル210円・・・・・・・・・

 「そ、そんな・・止まらないぞ」

 ・・・・・・・・・・・・1ドル195円・・・・・・・・

 1ドル235円からドル為替が一気に暴落していく。

 「と、止まらないじゃないか」

 ・・・・・・・・・・1ドル184円・・・・・・・・・

 「じ、冗談じゃない。どこがドルを売っているんだ」

 「日本のドル放出。止まりません」

 ・・・・・・・・・1ドル176円・・・・・・・・・・・・

 「・・・・・宗教国家連合が、ドルを売却しています」

 ・・・・・・・・・1ドル163円・・・・・・・・・・・・

 「・・・まさか」

 「中華資本もドルを放出」

 「なに?」

 ・・・・・・・・・1ドル155円・・・・・・・・・・・・・

 「欧州諸国もドルを放出し・・・・ア、アラブ資本も・・・」

 ・・・・・・・・・・1ドル150円・・・・・・・・・・・

 「バ、バカな。国際基軸通貨だぞ・・・・」

 1ドル150円の値をつけたとき、アメリカが慌てて介入し、

 ドル買いで、買い支えようとするが、それを上回る勢いで売られていく、

 ・・・・・・・・・・・・1ドル145円・・・・・・・・・

 「ド、ドルを紙くずにしてしまうつもりか」

 ・・・・・・・・・・・・・1ドル140円・・・・・・・・

 「日本は?」

 「約束どおり、協調介入に応じていると・・・」

 「ふざけるな。買い支えろ!!」

 「日本にドル買いを要求しろ!」

 「株、先物が買われ始めました」

 「なっ!」

 「」

 「」

 「」

 その日、アメリカのもっとも長い日といわれた。

 プラザ合意とプラザ事件、

 強制的にドル安を起こす計画がドルを実力以下にまで落とされ、

 日本資本だけでなく、世界中の資本がハゲタカの如くアメリカ市場の優良株と先物を買い占める。

 どこにそんな金があったのか、というほどの資本なのだが

 日本の貯蓄率の高さを背景にしたマネーゲーム。

 それに気付いた世界の資本家が便乗する。

 ここに至って、アメリカ政府とアメリカ資本家は慌てふためき、

 ようやく、自分の財布から、お金を放出。

 ドルを買い支えながら

 同時に国家に必要な基幹産業の株を買い戻し、133円で止まる。

 白い家

 「はぁ〜 まるで、40年前の1945年08月15日だな」

 「あの時は日米とも痛み分けだったが、今回は、アメリカの負けだな」

 「アメリカが世界中から蓄積していた富が失われただけだ」

 「生産力を失っているわけじゃない」

 「横柄に利幅を稼ぐじゃなく、堅実に働いて生きればいいだろう」

 「似合わないな」

 「泡銭が吹き飛んだだけだろう」

 「建国頃のアメリカは、何もなかったが希望があった」

 「希望か、まぁ ドルを回収する楽しみはあるがね」

 アメリカ資本が株とドルを買い戻すため、

 世界中にドルを放出した資本は、プラザ合意以前に得た利益を消失させ、

 1ドル240円にまで戻ってしまう。

 ニューヨーク 酒場

 「・・・円安に戻ってしまったじゃないか」

 「アメリカ政府とアメリカ資本の株の買い戻しの結果だろう」

 「最安値にされたドルで株の買い戻しなんか、するものじゃないよ」

 「やれやれだな」

 「株の価格を上げて250円ぐらいまで円安にしてやればよかったんだ」

 「そんな。いくら、お金が有り余る連中でも、かわいそうじゃないか」

 「半分くらい使わせたかな」

 「あははは・・・」

 「だけど、円安になるよね」

 「アメリカの自業自得だよ」

 「元々、日本の賃金は低いわけじゃない。アメリカの賃金格差が大き過ぎたんだ」

 「そうだな・・・・しょうがないよ。アメリカは、国債の金利を下げるだろう」

  

 翌日

 アメリカは、最安値にされたドルで株を買い戻すため。資本を世界中に散在させてしまう。

 アメリカ大統領が公定歩合引き下げ、

 国債の金利を14パーセントから5パーセントに落とすことを宣言。

 ドルの魅力が低下して、円が買われ、

 実力相応に円高・ドル安になっていく。

 ニューヨーク カフェレストラン

 「・・・大統領も憔悴しきってたな」

 「これで、アメリカのピラミッドも低くなった」

 「もう、一度、ピラミッドを持ち上げられるか、見ものだな」

 「・・・・日本は、円高不況を避けるため、公定歩合を引き下げ、不動産や株投機に誘導するだろうか」

 「いや、輸出の道は、アメリカ以外にもあるよ」

 「実質的には、円が基軸通貨みたいなものだし、こっちが資源の値段を決めるようなものだ」

 「余剰資金があるのは良いね。こういうゲームは楽しい」

 「アメリカが空母を建造し、日本が空母を建造していなかったからできたゲームだよ」

 「アメリカの不正腐敗を掴んでいたのと、日本に核兵器があったからできたゲームだよ」

 「で、どうするんだ」

 「さあ、利益の一部をアメリカの貧困層に還元するんじゃないか、それで収まるだろう」

 「それって、日本製の売れ残りじゃないだろうな」

 「バーゲンだよ」

 「本当にアメリカの製造業を潰す気か」

 「世界宗教国家連合を通じて、買えない連中にあげるだけだよ」

 「儲けさせてもらったお礼に日本製品をね。信者は喜ぶだろう」

 「それで、新製品が作れるわけか」

 「新陳代謝が必要なんだよ。日本もね」

 「最近、耐久年数が長くなったからな・・・・」

 「資本主義って、製品の質や価格というより需要と供給なんだよな。持っていたら買わない」

 「機械とかは、レンタル制にすればいいんだ」

 「交換するだけ?」

 「んん・・・ベトナムで試してみるか」

 「そうだね・・・・共産主義向きかな」

  

  

 ソ連のチーホノフ首相が辞任する。ルイシコフが新首相となる。

  

 10/

 国勢調査が実施される。人口は1億4804万8923人。

  

 韓国のソウルでIMF世界銀行合同総会が開催され、

 149ヵ国の蔵相らが参加する。

  

 閣議が、国鉄の6分割・民営化を決定する。

  

 ソ連共産党中央委員会総会

 ゴルバチョフ書記長は、24年続いた綱領を修正。

 所得倍増15ヵ年計画と5ヵ年計画を発表。

 ソ連軍将校は、憮然としていた。

 「・・・なぜだ。アメリカはボロボロじゃないか」

 「なぜ? モスクワの町を歩いてみろ。もう、限界だ」

 「せ、世界赤化すれば・・・・」

 「世界赤化だと。どこの国も世界赤化なんか、望んでいない」

 「だがアメリカが共産化すれば・・・・」

 「その前にアメリカが共産化したら、どうして、ソビエトとが豊かになれるのか、教えてくれ」

 「・・・・・」

 「まさか、共産化したアメリカに恵んでもらおうと思っているのか?」

 「・・・・・」

 「我がロシアは、乞食ではないぞ」

 「・・・・・」

 「我が国は、SDIに対抗するだけの資本も技術もない」

 「・・・・・」

  

  

 アメリカ国防省が、全兵士にエイズ検査を実施すると発表する。

  

 ソ連が新大陸間弾道ミサイル「SS20」の配備を開始する。

  

 11/

 コロンビアで左翼ゲリラが最高裁を占拠する。

  

 コロンビアの最高裁を占拠したゲリラに対して政府軍が突入し、長官ら100人余りが死亡する。

  

 ロン・ノル没。カンボジアの元大統領で軍人。

  

 厚生省が献血血液のエイズ検査は不要との見解を出す。

  

 拡大EC12ヵ国と中米6ヵ国が協力協定に調印する。

  

 コロンビアのネバドデルルイス火山が噴火し、死者2万5000人。

  

 ジュネーブ。レーガン・ゴルバチョフ会談

 失望した超大国 VS 絶望した超大国

 「・・・・景気は、どうだい? 大統領」 絶望した超大国の男

 「ふ アメリカ風の言い回しか」 失望した超大国の男

 「ハリウッド映画は面白いよ。ビデオは日本製だがね」

 「・・・気分は最低だよ。アメリカ富裕層の私財半分が消えた」

 「冷戦で勝ったのは、日本だったな」

 「日本が貧困層に仕事を作らなければ、アメリカは共産化していたよ」

 「こっちが生かさず殺さずの状態にされてしまった」

 「日本の陰謀に気づかなかったのか」

 「いや、日本自体は、そういう動きがなかった」

 「秋津州・出雲州・昭南州の海外州が動いたらしい」

 「土壇場で切り返された?」

 「信じられんよ。大勢は間違いなく、勝っていた・・・」

 「モスクワで日本を研究していた学者が日本で勝ち戦が、ひっくり返ることがあるらしい」

 「“関が原の合戦” だったかな」

 「・・・わが国の学者は “根回し” といってたな」

 「どちらにしろ、共産主義は、もう、終わりだよ。今は、調整中だがね」

 「そうか、できることは支援しよう」

 「ふ 反体制派を根こそぎにするからランボーを貸してくれよ」

 「あははは・・・」

 相互訪問、戦略核50%削減、核不戦の決意などで合意した共同声明が発表。

  

 東工大のグループが、金属と絶縁体による高性能トランジスタの理論を発表する。

  

 12/

 フィリピンのアキノ暗殺裁判が行われるが、全員が無罪判決となる。

  

 イギリスがユネスコ脱退を正式に通告する。

  

 アメリカ、イギリス、日本、西ドイツが戦略防衛構想(SDI)に参加を表明。

  

 南アジア7ヵ国が、南アジア地域協力連合(SAARC)を結成する。

  

 ゴルバチョフが間宮から日本縦断鉄道に試乗、

 特別車両は、内装が施されて贅沢なものだった。

 「3500kmが一日もかからないのか」

 「ええ、平均時速280kmですから、13時間、かかりませんね」

 「時速280km・・・・・」

 「広軌ですから・・・もっと速く走れますが安全のため、少し速度を落としています」

 「こんな物を作っているのか・・・」

 「リニア化されれば、もっと速くなるはずです。時速500kmは出せるはずですから」

 「素晴らしい」

 「・・・・・」

 「どうやら、日本と、もっと良く話し合うべきだろうな」

 「きっと無駄にはなりませんよ。日露両国にとっても・・・」

 「・・・・そうだろうな」

  

  

 印パ連合条約調印。

 「・・・これで、ますます。シーク教が強くなるということでしょうな」

 「シーク教は、両国の間に立って利益は上げるでしょうが還元はされますよ。お互いのポケットにもね」

 「ふ 印パ両国の風通しを良くした方がインド洋を見据える上でも、有用ですよ」

 「南アフリカ公国連合海軍と東南アジア諸国連合がライバルですかな」

 「カスカスと寄せ集め海軍か。米ソともに困窮状態。売れるものは何でも売るはず」

 「そして、売れるものは、限られている」

 「確かに日用品は、日本製を買えばいいですから、あとは、掃討用の兵器・・・・」

 「ええ・・・・」

  

  

 天安門広場で、新彊ウィグル自治区出身の学生が、ロプノールでの核実験に抗議してデモを行う。

  

 モスクワ

 ゴルバチョフ書記長と中国の李鵬副首相の会談。

 「日本の成長は、目を見張るものがある」

 「今回のプラザ合意で日本の勢力が増してしまった」

 「アメリカ・ユダヤ資本は自分の資産を投機で失って茫然自失ある。好機ある」

 「日本と組んで、アメリカの国際的地位を押し下げる方が良いだろうな」

 「パックスアメリカーナは崩れたある」

 「バトルロイヤルでは、一番強いやつを潰すのが鉄則ある」

 「サル山のサルと同じだな」

 「NO.1が弱体化すると、NO.3と組んで、NO.2を牽制ある」

 「当然、NO.2は、NO.3。NO.4と組んで、NO1を押さえ込むある」

 「利用できるものは利用するよ」

 「しかし、配分は、それほど有利にはならない」

 「互いに欲しいモノが相手にあるのだから」

 「それは認識している。中国は商売の国ある」

 「あれ、強盗の国だったのでは?」

 「ふ まさか、強盗できる国と、できない国くらいは心得てるある」

 「儒教は問題ありだな」

 「欧米を縛っているのは契約ある。中国は契約ではなく権力ある」

 「むしろ暴力といった方がいいある」

 「法を利用し、いくらでも曲げることができるある」

 「法を縛るものと解釈するのは、危険だな」

 「欧米諸国は、法が人の権利を保障し発展した」

 「この世に真理と正義は存在しないある」

 「虚々実々の騙しあいある。誰しもが権力に平伏ある」

 「あまり世界に悪徳を広めないでくれ。世界には欲しいものが多いのだ」

 「わかっているある。貴国とは同じ物を欲しているある」

 『無法な獣は、得られまいよ。欲しいものを壊してしまうのだから』

 『違法な龍は、得られないある。欲しいものを変質させてしまうある』

 にんまりと微笑むと互いに握手。

  

 レバノン内戦終結のため、

 キリスト教とイスラム教2派の軍事組織がシリアのダマスカスで包括的終戦協定に調印する。

  

 パキスタン

 パキスタン空軍基地のバンカー

 日本は、もう直ぐ年が明けるがパキスタンは、まだ4時間あるので夜の8時。

 テレビをつけると日本の映像が見れるのは、パキスタンまで光ケーブルが続いているからといえる。

 「・・・中森明菜の「ミ・アモーレ」が第27回レコード大賞か・・・かわいいな。この娘」

 「・・・おい、仕事なんだから、そろそろ、こっちを見ろよ」

 「へいへい」

 「ったく。まだ新作のF99エンジンなんだぞ」

 「わかってますって、でも、労働基準法違反ですよ」

 「日本人みたいなこと言うな」

 「それに日本じゃ この程度の残業は当たり前なんだよ」

 「そうでしたね」

 「日本人は仕事の為に、アメリカ人はお金の為に、ヨーロッパ人は伝統の為に」

 「パキスタン人は幸せの為に生きているんですよね」

 「・・・ったく。何の為でもいいから信頼を失う様なことは、しないでくれ」

 「へいへい」

 「基本的には本体側の改修が終われば付属品ごと、すっぽり入るようになっている」

 「ファンが付いているだけ。問題無しですね」

 「あのなぁ〜 チタン加工で・・・・もういい」

 パキスタン人でも、ベラベラ日本語を話す者がいる。

 日本人とパキスタン人は永遠に分かり合えないのでは、と思いたくもなる。

 チタン加工を理解できるレベルに達するのは、まだ先のようだ。

 F99は、F100の技術をJ79に押し込むため、特殊な細工が必要だった。

 そして、日本の技術者と工員が苦労した一品がパキスタンにあるのは理由がある。

 パキスタンは国内にカシミール・チベット・アフガニスタンの3ルートを走らせる流通が大きく、

 経済力も強い。

 国も大きな余剰資金を持っていた。

 保有する雷燕2型も少なくない。

 雷燕2型のエンジン換装と電子装備の底上げを確認し、

 次の主力戦闘機を決めるという。

 ライバルは、性能不足の軽戦闘機F5。

 整備の関係で躊躇している戦闘爆撃機F16ファルコン。

 雷燕2型もエンジン換装で性能が上がる。

 それでも、相手がF16ファルコンだと負ける。

 しかし、F16を1機買うより、雷燕2型4機を底上げする方が良いかもしれないと、誰しも考える。

 F16の電子装備は、雷燕2型よりも強力だった。

 それでも索敵範囲に死角が多い。

 先制のミサイル攻撃が成功するかは運しだい。

 いくらF16ファルコンが強くても、雷燕2型4機に袋にされたら勝てないのが道理。

 パキスタン空軍は、攻守万能のアメリカ型空軍か、

 攻撃をミサイル、守りを迎撃機で割り切っている日本型空軍の戦略で揺れる。

 アメリカも、日本に旧型F4ファントムを売って、

 パキスタンに新型戦闘爆撃機のF16ファルコンを売るのだから意地が悪い。

 とはいえ、パキスタンが、アフガニスタンの内戦に対し、

 ある程度の影響力を持つためには、迎撃機仕様の雷燕2型では不足。

 攻守万能のF16ファルコンが良いに決まっている。

   

  

   

A8.net

駄文同盟.com     続・小説の主張   ファースト ナビ

 ///////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////

 月夜裏 野々香です。

 史実では、1ドル235円から約20円下落しただけでした。

 『ミッドウェー海戦のあと』は、アメリカ・ユダヤ資本が、ぽしゃって、しまいました (笑

 貧富の階層で程よいピラミッド状になれば、いいのでしょうが、

 しばらくは、おとなしくなりそうです。

 インドの固定された階級制度も、没、

 アメリカの定着した富裕層も、没。

 再構築しなければならない世界で・・・・・・・・・・

 どうなっていくんでしょう? 汗

 

 新型巡洋艦・潜水艦は、KBが大きいので来年のページで紹介します。

 

 この世界のランボーは、チベット帰りの傭兵。

 反戦映画というより、現代社会の欲望と無理解に対する反抗でしょうか。

 拝金主義の社会とコンクリートのに馴染めず。ドロップアウト。

 田舎に向かった途中で・・・・あと適当に脳内補正してください。

 

 

 1985年

 ・・・・んん・・・タッチです。

 人と人の距離感が好きです。銀杏星雲のジルは、タッチとか、H2とかの雰囲気で作りました。

 次は、スケバン刑事かな、ツンデレより。綺麗怖が好き。でも、マゾじゃないけど・・・いや、ちょっとだけ。

 レイズナーは、良かったような気もするけど、忘れた。

  

     

 

     

 

 

HONなびランキング

Wandering Networkランキング

NEWVEL ランキング

よろしくです。

 

1985年 昭和60年 誕生酒 (楽天)

誤字脱字・感想があれば掲示板へ

第94話 1984年 『面親腹背』
第95話 1985年 『謀略の価値は』
第96話 1986年 『うんじゃだめよ』