月夜裏 野々香 小説の部屋

   

仮想戦記 『青白き炎のままに』

   

1949年、武昌(ウーチャン)、漢水(ハンショイ) 漢口(ハンコウ)、漢陽(ハンヤン)が統合。

武漢になりました。

  

第08話 1943/01 『削る方が削られて・・・』

 中国大陸

 蒋介石・国民軍と毛沢東・共産軍が拠点に引き込んでしまうと

 中国民衆の意識も変化していく、

 汪兆銘・南京政府は、中国民衆の支持を受け、

 日本軍と南京政府軍は、共同して各地の軍閥を統制下に置き、

 正統政府として中国民衆を懐柔しつつ強圧的に押さえ込んでいく、

 中国民衆の労働力が加わると鉄道建設と資源採掘は加速し、

 砂の数、星の数ほどの人海戦術で鉄道が建設されていく、

 一人一人は、一生懸命に働いておらず、

 仕事ぶりは不承不承で日本人の5分の1程度でも

 10倍の労働力で総量は勝る計算が成り立つ大陸。

 相手が一騎当千なら、2千人ぶつければいいという大陸。

  

  

 大陸の某地。日本の山師たち。

 井戸・温泉・鉱脈・油田などの探索・採掘を業とする者たちがいる。

 当たり外れがありいろんな意味で見られやすい人たち。

 「もう少し、仕事振りが良ければ、効率がいいのに・・・」

 「中国人は、一人のときが一番、良く働く」

 「ソ連を中国に侵攻させれば良いんだ」

 「そうすれば反白人で、中国人は、日本人と結束する?」

 「それは無いね」

 「中国人は、白人と日本人を戦わせ、両方を消耗させる方を選択する国だよ」

 「現に日本は、やられている」

 「あはは・・・じゃ 無理やり、中ソ戦争をさせて日本が漁夫の利を得るのは?」

 「中国人を守ってやる義理はないよ」

 「日本人は、そういう卑劣な手段ができないよ。シードから戦うのを嫌うからね」

 「やれやれ、上の美学で戦争をされたら、かなわないよ」

 「現場の苦労がわからん連中だからな」

 つるはしを持った中国人が岩盤を突き崩すと岩肌の模様が変わる。

 「お・・・」

 「当たったな・・・・」

 「タングステン鉱だ」 にやり。

 

 

 南京

 日本軍駐屯地

 電話中の整備士

 「・・・もっと、まともなヤスリを送ってくれよ。これじゃ使い物にならないだろう」

 「・・・ニ、ニッケルって・・・・」

 「あのなぁ そっちの事情を聞いているんじゃないんだ。削る方が削れて、どうするんだ」

 「・・・い、いや、折れるより、曲がるぞ・・・ていうか、何とかしろよ」

 「・・・・だから、仕事になんねぇだろう」

 「・・・・とにかく。まともなヤスリを送るか。まともな部品とエンジンを送れ・・・・」

 「あ・・・いや、部品とエンジンは信用できんから、まともなヤスリを送ってくれ」

 南京政府軍に引き渡される武装商船と97式中戦車、95式軽戦車。

 日本は、武装商船や戦車を南京政府軍に売却し、資源を購入。

 南京政府は、武装商船で揚子江・黄河・西江など、河川を利用して体制を固めていく、

 結局、南京政府は、日本を排除した場合の損失が大きく、

 日本との連携を強めていた。

 石炭、鉄鉱石、タングステン、アンチモン、

 亜鉛、ニッケル、モリブデン、鉛、水銀・・・etc・・・

 中国の取り分が悪くても、

 日本と中国は欲する物を交換していくなら、戦いが起きない限り互いに強化されていく、

 利権や資源と交換で戦車群が南京政府軍に引き渡される。

 「南京政府に戦車や船を渡すのって、まずくない?」

 「鉄鉱石と石炭。希少金属と交換だから」

 「だろうけど・・・・・」

 「南京政府に地方を押さえてもらわないと、いつまでたっても、治安が悪いままだよ」

 「はぁ・・・・」

 カツカツの日本とバラバラの中国が組んだところでアメリカと有利に戦えるわけではない。

 中国大陸の膨大な労働力と資源に裏打ちされた利益も、

 中国との利権の振り分けで薄められる。

 日本は、程度の低い模倣しかできない手工業国家であり、

 生産力と資源も有効に使いきれない封建的で官僚的なシステムだった。

 それでも、中国大陸に行くのは近代工業にとって資源と市場が必要だったからだった。

   

  

 アメリカ東海岸

 エセックス型空母1番艦エセックスと

 インディペンデンス型軽空母1番艦インディペンデンスが就役していた。

 空母エセックスが波を蹴りたて潮風を押し分けながら進んでいく、

 将校たちがエセックスの飛行甲板を歩いていた。

 「・・・これで、ようやく、日本に反撃ができそうだな」

 「太平洋ではサラトガも、ワスプも輸送船団の護衛ばかりだからな」

 「まとまった戦力があれば、逆襲もできるだろう」

 「しかし、ビルマ。ラバウル・ガダルカナルで、日本に消耗戦を強いることができなかった」

 「日本が戦力を温存しているとしたら、今後の戦局に響くのではないか」

 「問題は重慶が陥落したことだな」

 「日本の背後から対日作戦ができなくなった」

 「それならソビエトを煽れば良いのではないか」

 「ソビエトが何を欲しがると思う?」

 「中国と日本の権益」

 「ソビエトと権益を分けるのは面白くないし」

 「ソビエトに不凍港を渡すのは面白くない」

 「そうだろうがアメリカは日本までの距離が遠すぎる」

 「軍艦だけで日本を降伏させられるかどうか・・・・」

 「日本を落とすための足場が必要だが、いまのところ日本軍の侵攻は止まっている」

 「日本軍はポートモレスビーを諦めたのかな」

 「中国を落として、兵力の割り振りが利かなくなったようだ」

 「日本の国力で5億もいる敵対民族を押さえながら戦うのは困難だよ」

 「だけど、シンガポールから朝鮮半島の釜山まで鉄道を引っ張られると厄介なことになる」

 「通商破壊は効果が低下するだろう」

 「それだけじゃない。日本は輸送船団を太平洋側に振り向けることができる」

 「攻勢に出る?」

 「いや、日本の軍需と民需も必要な資源を集めるには船が有効だよ」

 「たぶん、攻勢より現状の島礁防衛の維持に費やされるだろうな」

 「では無理に攻めると、こちらの損害が増えるというわけか」

 「大統領は、こちらの損失をどの程度と?」

 「可能な限り少なくだろうが100万を超えたら継戦不能になるかもしれないな」

 「いまのところ、対日戦線は、足場のあるビルマ戦線が主流になりつつある」

 「ミッドウェー島攻撃とガダルカナル・ラバウル・ティモール攻撃は、損害が多いようだ」

 「ドイツ戦闘機と比べて、日本の隼、鐘馗、飛燕はキレがないと聞いているが?」

 「日本は高品質の大馬力エンジンを作れないから高々度を飛べない」

 「速度も遅いし、急降下も遅い」

 「しかし、日本軍機は手強く、キルレートで負けている」

 「最初はドイツ軍機かと思っていたほどだ」

 「当たらずとも遠からずだろう。中身でオリジナルは少ない、ほとんどがデットコピーだ」

 「なにより工作機械は外国製だよ」

 「デットコピーに負けたと思いたくはないがね」

 「日本機は、格闘戦に強い。それを生かした戦術なのだろう」

 「アメリカの戦闘機の評価基準が間違っていたと?」

 「いや、こっちの得意とする航空戦術で戦うと」

 「似たようなコンセプトの鐘馗、飛燕が割り込んできてな」

 「やり合っているうちに運動エネルギーを失う」

 「高度が落ちると隼に翻弄されるらしい」

 「合理的な対応策は?」

 「数を揃えれば凌げるよ」

 「輸送するのが難しくて、数的に不利なだけだ」

 「日本基地への攻撃が損害が多いようなら、戦力が揃うまで遅らせた方がいい」

 「夜間爆撃は効果があるようだ」

 「命中率が低いだろう」

 「それでも日本基地を爆撃した実績で士気を保てる。それが嫌がらせでもね」

 「日本の機動部隊は?」

 「引っ込んでいるようだ」

 「緒戦で無理をさせた反動だな」

 「整備改装とパイロットの育成に力を入れているようだ」

 「ミッドウェー海戦と中国大返し作戦で余剰戦力を使い果たしたのだろう」

 「攻め時なんだろうが戦力が足りないな」

 「このエセックスも慣熟訓練が必要だ」

 「艦隊運動で味方同士衝突されたら目も当てられないし、運用できるまで時間がかかる」

 「日本空母でエセックス型に対抗できる大型空母は4隻。中型空母は4隻」

 「同等の戦力が揃うのは半年以上先か」

 「慣熟訓練を入れると来年になるな」

 「あと2年あれば、3倍以上の戦力も揃えられるよ」

 「日本の空母建造は?」

 「扶桑、山城、伊勢、日向を空母に改造するらしい」

 「小型空母は、千代田、千歳、日進。ほか護衛空母が4、5隻だろう」

 「旧式戦艦を改造か・・・非効率だな」

 「元々、日本の戦艦は、連装砲装備で高速化しやすい。空母改造は、悪くないよ」

 「それに修理改造中の艦船から大砲や機銃を剥がして前線に送っている」

 「おかげで基地航空部隊の損失が多い」

 「日本の新造空母は?」

 「瑞鶴型4隻のようだが、いまのところ、見込み立たずというところかな」

 「ふん! 小汚い黄色いモンキーが歯向かいやがって、今に捻じ伏せてやる」

  

  

 航空開発局

 陸軍主導による開発と生産。

 陸海軍の規格の違いと取捨選択の混乱。

 指揮系統のゴタゴタ。

 2歩後退(生産低下、消耗品不足)。

 3歩前進(規格統合、品質向上、装備共有)といった様相になっていた。

 新基軸の疾風の開発が遅れ、

 隼、鐘馗、飛燕は、海軍の既存技術を流用して性能が向上し、

 隼V型、鐘馗U、飛燕Uの開発も早まっていた。

 そして、超ジュラルミンより軽量な超々ジュラルミンが部分的に採用され、

 同じ厚みで33パーセント強度が増す。

 もっとも、超々ジュラルミンは年月とともに強度が低下する傾向があり、

 主脚など余計に強化しなければならなくなっていた。

 そして、開発で、あぶれた海軍航空技術者が

 飛燕U型の水冷エンジンを空冷エンジンに換装し、

 空冷1500馬力エンジン装備の海燕を開発した。

 そして、機体に余裕のある飛燕と海燕は、開発しつつあった自動空戦フラップを装備する。

 (青白き炎のままに)

エンジン

馬力

速度

航続力

全長×全幅

自重/全備重

武装

    (hp) (km/h) (km) (m) (kg)  
隼V 甲 ハ115-2 1300 570 1100 / 2000 8.92×10.8 2050 / 2630 12.7mm×4
隼V 乙 7.7mm×6
鍾馗U ハ109 1500 615 1600 8.84×9.45 2106 / 2764 12.7mm×4

飛燕U

ハ140

1440

620

1600

9.16×12

2700 / 3500

20mm×2

12.7mm×2

海燕

ハ112-2

1500

590

1400 / 2200

8.82×12

2525 / 3500

20mm×2

12.7mm×2

 海燕の開発は、海軍をして喜ばせることになった。

 しかし、翼面積20u/全備重3500kgは、175kg/u。

 コルセア並み翼面荷重で艦載機化は困難だった。

 赤レンガの住人たち

 「・・・海燕を開発してみたけれど。というやつかな」

 「元々、艦載機は考えていなかったよ」

 「しかし、陸軍主導のゴタゴタで思わぬ副産物だ」

 「考えるべきは基地航空部隊の防空だからね」

 「第一段階で、基地航空部隊の航空戦力でアメリカ機動部隊の艦載機パイロットを漸減」

 「第二段階で、機会があれば機動部隊で強襲をかけて逃げるのは?」

 「漸減作戦は各個撃破の恐れがあるよ」

 「飽和攻撃は敵を混乱させられるし、火力を分散させることができるからね」

 「機動部隊と基地航空部隊の共同作戦か、上陸させて疲弊した後、反撃するか、だな」

 「どちらにしろ、陸上機で割り切って性能を追求するのは正しいよ」

 「しかし、米軍機の速度は700km/h台だろう」

 「日本は、いまだに570km/hから、620km/h台だ」

 「厳しいな」

 「そういえば疾風の件は、陸軍がむくれていたぞ」

 「あれは、海軍というより、工作機械の規格調整だろう」

 「規格は簡単に合わせられないし、合わせるときは相応の工員を割かないとな」

 「新規開発が遅れるのは仕方が無いよ」

 「それに隼の性能向上型を開発しても生産は、ずれ込む」

 「だが生産体制は整いつつあるし、中国資源も見込みが付きそうじゃないか」

 「だけど、中国に隼と工作機械を輸出するってどういうことだ」

 「旧式のものだよ。有利な資源取引ができるそうだ」

 「資源でつりやがって、そんなに有利な取引なのか?」

 「そりゃあ、もう・・・・」

 パラパラとめくられる。書類

 「「「「・・・・・・・・」」」」

 「まぁ 何だな。日中友好の範囲じゃないか」

 「そう・・・言えなくもないな」

 「いいよな。潰しの利く労働者と腐るほど資源がある国って」

 日本は、資源が欲しくて戦争したようなものだ。

 真珠湾攻撃の前に重慶を落とせば良かった。

 と思うほどの資源が入ってくる。

 

 

 南京

 「・・・戦車を動かすには燃料が必要ある」

 「大陸鉄道が完成すれば燃料も安くなると思いますが」

 「協力するある。漢民族は起こすのが大変な巨大獅子ある」

 「大陸統治のため戦車が欲しいある」

 「それなら、南京政府軍がビルマ戦線に参戦」

 「反米英で中国民衆を結束させるのが良いかと・・・」

 「それ良い考えある」

 「我が南京政府が白人と敵なら、日本と手を組んでいる事を正当化できるある」

 「中国が味方してくださるのであれば心強い」

 「鉄道の管理も手伝うある」

 「・・・あ、いや、それは・・・・」 汗々

 「遠慮は、いらないある。日中友好ある。漢民族も積極的に働くある」 にや〜

 『積極的に働かせるの間違いでは・・・』

 『それで強制労働を日本人のせいにする気だな・・・・』

 一番、用心しなければならないのは、敵より味方だった。

 苦笑いの日本人と含み笑いの中国人、

 『日本の生命線を握って盾にしてアメリカを消耗させるある。漁夫の利ある♪』

 あ・り・じ・ご・く

 

 

 呉

 海軍工廠

 まっ平らにされた扶桑、山城、伊勢、日向が並んでいた。

 装甲を減らして平甲板を載せていく、

 4隻とも解体し、瑞鶴4隻を新規建造した方が良いのだが戦艦派のエゴといえた。

 合理的な判断力を喪失している気もする。

 それでも硬直した戦艦派が空母改造に妥協したのは評価すべきだろう。

 扶桑型75000馬力。伊勢型80000馬力。

 高速空母への改造を省いて30000トン級に軽量化。

 球状艦首を取り入れると、28ノット程度になった。

 また加賀、赤城も20cm砲を剥がし、

 球状艦首を採用して、軽量化しつつ、速度を向上させていく、

 

排水量 (t)

全長×全幅×吃水

(m)

馬力

(hp)

最大速度

(kt)

航続力

(kt / 浬)

武装

艦載機

赤城

38000

250.36×31.32×8.71

131200

33

16 / 8600

60口径76.2mm×16

25mm連装×16

100

加賀

40000

240.30×32.5×9.48

125000

32

16 / 10500

60口径76.2mm×16

25mm連装×16

100

伊勢

32000

219.62×32×9

80000

28

16 / 10000

60口径76.2mm×12

25mm連装×16

62

扶桑

30000

212.75×32×9

75000

27

16 / 12000

60口径76.2mm×12

25mm連装×16

60

 

 

 

 

 

 

 

 

 赤レンガの住人たち

 「・・・やれやれ、名前だけでも戦艦で戦いたいということかな」

 「駄々、こねやがって」

 「愛着と執着で戦争されても困るんだがな」

 「とはいえ、空母建造より潜水艦と海防艦の建造なんだけどね」

 「本当は済し崩しに戦艦を解体して、海防艦でも作りたかった」

 「中国の資源が入ってきてもタイムラグがあるからね」

 「兵器自体、ピラミッドの頂上のようなものだ」

 「産業の総量が大きくなっても裾野に取られるから、兵器は増えないからね」

 「戦略物資で民需関連は喜んでいるよ」

 「そりゃあ、そうだろうよ。特に料亭関係」

 「料亭は、好きだからね」

 「しかし、希少金属が増えれば工作機械の耐久性も増すだろう」

 「精度さえ合えば言うことないんだがな」

 「問題は、アメリカの通商破壊をどうするかだな・・・・」

 「「「「・・・・」」」」 ため息

  

  

 南の海

 満潮になると水位が増す。

 空船の輸送船が船底を傷付けながら名も無い小さな環礁に入っていく、

 日本軍は、廃船にペンキを塗って新型船のように見せかけ

 輸送船を小さな環礁に置いた。

 後は、時折、無線を発するように細工して引き揚げる。

 大和艦橋で失われた人材の代わりを繰り上げ埋めていくと、

 変わったアイデアを持った将校が現れる。

 囮船作戦は、その中の一つだった。

 アメリカ潜水艦が無線に気付き、

 気になって近付けば発見しやすく、撃沈しやすい、

 仮に魚雷を撃っても環礁にぶつかり、偽装船までとどかない。

 時折、水上機を降ろし、

 夜に灯火させれば無駄な魚雷を撃ってくれた。

 アメリカが日本の暗号を解読しているとわかれば、

 この海域に呼び寄せるのは難しくなかった。

 時折、無線が発信され、夜に灯火する船が洋上に泊まっている。

 アメリカ潜水艦の艦長は、好奇心に勝てなかった。

 アメリカ潜水艦が浅瀬のサンゴ礁に近付く、

 

 珊瑚礁、

 零式水上偵察機が廃船のそばに漂っている。

 パイロットと乗員が主翼に座って釣竿を垂れる

 「・・・釣れたか?」

 「釣れねぇ」

 「・・・やっぱり、投網だろう」

 「この前、岩に引っ掛けたじゃないか」

 「ぅぅ・・・刺身が食いたいよ」

 船から乗員が降りて来る。

 輸送船の煙突を見ると、それらしく煙が出ていた。

 「・・・二人とも無線を打ち終わったぞ。出発だ」

 「「やれやれ」」

 後は、潜水艦のソナーに引っ掛かりやすいように、ハンマーで船を叩くと、上空で待機する。

 ガーン! ガーン! ど〜ん!

 ・・・んっ?・・・

 ひゅるるるる〜 ドカーン。

 輸送船の反対側に砲弾が命中して水柱が吹き上がる。

 こういう場合、潜水艦は吃水線を狙って砲撃する。

 吃水線より下に穴が開けば海水が流れ込む。

 真っ当な商船であれば自らの重みで沈むはずだった。

 「敵だ!!」

 「げっ!」

 慌てて、零式水上偵察機のエンジンを回して滑走させる。

 「はやっ!」

 「どうやら、近くにいたらしい」

 零式水上偵察機が波を蹴立てて、滑空・・・・

 ふわりと浮上すると急旋回しながら上昇し、

 アメリカ潜水艦に向かっていく。

 潜水艦が慌てて機銃を撃ち上げ、大砲を撃っていた船員が艦内に入っていく。

 偵察機は艦尾側から爆撃しようと回りこむ。

 潜水艦の急速潜航と水上機の爆撃は、双方とも秒を争って機動する。

 「てっ〜!!」

 零式水上偵察機から60kg爆弾4発が投下され、

 一発が海中の潜水艦に命中し爆発、

 そして、魚雷が誘爆したのか、大音響を上げて、海水を吹き上げた。

 「「やった!」」

 「よ〜し♪」 ガッツポーズ。

 水上機が足りない時は二式水上戦闘機を使うときもあった。

 二式水上戦闘機は、爆弾を使うより20mm機銃と7.7mm機銃を撃ち込む。

 潜航できなくしたあと爆弾を落とす、

 一定の戦果が確認されると日本海軍も面白がって廃船を環礁に配置する。

 日本海運は、旧式船が多く、古い順に罠を仕掛けていくと罠が増えていく。

 無線の発信場所や灯火する不審船が増え、アメリカ潜水艦部隊を混乱させていく。

 アメリカ潜水艦も用心深くなり、

 洋上で停泊している船舶を攻撃しなくなっていく、

 

  

 無論、日本の対潜水艦狩りに対し、アメリカ海軍も同様の作戦を始める。

 そして、伊号も好奇心に負けてしまうのか、

 同じに手に引っ掛かって撃沈されたり、拿捕されたり・・・

 潜水艦は万国共通で視野が狭く、

 浅瀬に大型船を置いて監視していると引っ掛かる習性があるらしい。

  

  

 


 月夜裏 野々香です。

 大和が1億4000万円。

 95式軽戦車が87000円だと1600両分。

 これだけあれば重慶を落とせたかは不明。

 総生産数は、約1500両なので、大和分は作られているらしい。

 もう少し、中国戦線で有利に戦えただろうか。

 97式中戦車は、17万円。総生産数2000両以上。

 使いやすいのは進攻でも治安維持でも95式軽戦車のような気がする。

 因みにゼロ戦は30000円。隼が25000円。

 この時代、鉄量の比重が価格で大きいのだろうか。

 どちらにせよ。お金の使い方を誤ると、ろくなことがない。

 

 『青白き炎のままに』

 中国戦線が収束していきます。

 97式中戦車・95式軽戦車は、時期を見ながら南京政府軍に売却されることになりそうです。

 国家間の利害さえ合えば、大戦中でも日中友好がありえるという空恐ろしい・・・・

 いや、日中友好といえるかどうか・・・

 日本は、南京政府に工業品を売った代わりに資源を入手。

 新型車両を模索しますが、どうなることやらです。

 因みにミッドウェー海戦で空母4隻とも残存。

 おかげで、空母建造計画は、少しばかり、余裕を見せることに・・・・

 高射砲は、98式76.2mm砲です。

 初速900。射程13000、射高9000。発射速度28発/分。

 

 

   

ランキングです ↓ よろしくです。

NEWVEL     HONなび

長編小説検索Wandering Network

 

誤字脱字・感想があれば掲示板へ

 
第07話 1942/12 『気持ちだけ、入れたある』
第08話 1943/01 『削る方が削られて・・・』
第09話 1943/02 『一緒に東南アジアを守るある』