月夜裏 野々香 小説の部屋

   

仮想戦記 『青白き炎のままに』

   

  

第10話 1943/03 『戦地で戦うのが、男ぞ!』

 日中同盟は、中国民衆5億の不平・不満に直面する。

 そして、不満のエネルギーの行き場で反白・反米・反英・反ソ政策を推し進めていく、

 5億の民衆が体制側に牙を剥いた恐怖は並々ならぬものがあり、

 歴代中国王朝が民衆から力を削ぐ、恐怖政治となったのも止む得ない。

 中国行政の苦慮するところでもある。

 元々、国民全て満足できるような社会制度は古今東西、一度も存在しない。

 そして、3つの鉄道が建設され、拡充されていく。

 一つは、日中同盟と東南アジア域の絆を深める上で重要なシンガポール−釜山の鉄道。

 一つは、対インド・イギリス戦略上重要なバンコク−ビルマの鉄道。

 一つは、対ソ連・共産軍戦略上重要な、ウィグルに向かっての鉄道。

 海洋・無資源・工業国の日本と、大陸・資源大陸の中国が手を組む。

 そして、日中同盟が必要としたのは95式軽戦車とトラックだった。

 

 

 その頃、日本の戦車開発は、海軍の砲と装甲で質的向上が見込めた。

3式中戦車 (無砲塔)

重量

全長×全幅×全高

装甲

空冷 馬力

速度

航続距離

武装

17t

6m×2.33m×1.8m

10〜50mm

240hp

45km/h

210km

98式60口径76.2mm×1

7.7mm機銃2丁

 日本海軍の設計技術者は17トン制限枠に苦しめられる。

 3式対戦車自走砲は240馬力。

 軽量でありながら低姿勢、傾斜装甲は、それなりに戦えた。

 少なくともM4戦車を撃破する主砲だけは持っていた。

 「潜望鏡がついとるぞ、潜水艦か?」

 「車高が低いので・・・渡河でも使えますよ」

 「それに出る前に周囲を見渡した方が安全でしょう」

 「・・・こんな地べたを這いずり回るような車両では勝てんわ」

 「少なくとも、M4戦車は撃破できるでしょう。後は数ですね」

 「まぁ 数を揃えられるのなら待ち伏せて、どうにかできるかも知れんが・・・・」

 「17トンですから数を揃えて、戦線に運べますよ」

 「大陸鉄道で?」

 「ええ。釜山まで持っていけば、ビルマ戦線まで鉄道で持って行けるでしょう」

 「鉄道は、いつ完成するやら」

 「鉄道を建設するか、この戦車を量産するかでしょうね」

 「両方とも、やらんか」

 「どっちに予算を投じるかでしょ。結局」

 「うぬぅぅぅ もっとマシな戦車は造れんのか」

 「400馬力のエンジンを開発しているので、それ次第でしょう」

 「それでもトン数制限によりますが」

 「トン数制限を上げる方法は?」

 「道路を広げて舗装して線路と橋を補強しないと」

 「あと港湾も整備して、船も特別に造らないと前線まで持っていけませんから、駄目でしょう」

 「インフラかよ」

 「インフラを整備しないと後進国のままでしょうね」

 資源の目星が付くようになるとジリ貧状態から微妙に抜け出していく、

 軍部だけでなく、民間へも設備投資が行われ、

 日本のインフラも微妙に進む、

  

  

 オード・ウインゲート准将指揮の英国空挺部隊ウインゲート旅団約3200が中部ビルマに潜入していた。

 空中輸送を受けながら破壊工作が始まる。

 鉄橋で銃撃戦

 「ちっ! 失敗だ」

 「何で日本軍が、こんなにいるんだ」

 「前線に中国軍で後方に日本軍か、厄介だな」

 「中国軍、インド軍、ビルマ軍の背後を突けば戦線を崩壊できると思ったのに・・・」

 「・・・くっ! 急いで撤収するぞ。このままでは、全滅だ!」

  

  

 首相官邸

 「馬鹿野郎!」  田中新一少将 作戦部長

 「何をいいますか・・・・」  東條首相

 立場が違うと言うことも違ってくる。

 戦争中だからといって戦争だけに予算を注ぎ込めない。

 公共施設の修理・改装、設備投資など庶民生活の予算も配分されていく、

 鉄鉱石や石炭を採掘しても運ぶためには、相応の設備と機材が必要だった。

 戦車で鉄鉱石と石炭を運ぶバカはいない。

 トラックが戦略レベルで求められる。

 また庶民生活も食料がなければ飢え死にだった。

 この時期の日本は絶望的なほど貧しく、

 戦争しなければ、軍部が半減させられるほどだった。

 軍事活動を支えているのは民間であり、

 民間は戦車よりトラックが有用だった。

 この時代、尻を拭く紙すら貴重だった。

 ましてや国家危急存亡の時、好きで中国投資をしたい者など一人もいない、

 しかし、日本列島を掘り返しても資源がなく、

 大きなリターンが中国大陸で見込めるのなら大陸に投資するよりなかった。

 東條首相は、戦略眼の低くい人心掌握が得意なだけの小心者と評判だった。

 しかし、大日本帝国は、東條首相より、さらに戦略眼の低くい小心な将兵が多く、

 東條首相は平均な日本軍将兵より少しばかり上であり、

 東条英機は相対的な意味で逸材だったといえる。

 この一件で狂信的な軍国主義系の人材が外地へと送られていく、

 もっとも東條首相より頭が良くて、やっかまれる人材も戦地に送られていく、

 さらに正論を吐く将校も戦地に送られ、功罪ありだった。

  

  

 しがらみと馴れ合いの某工場

 下町の小さな工場は、材料の搬出と搬入も安定せず、待ち時間は増えていく、

 電力も不安定だった。

 生活品配給も滞り、配給待ち時間も就業時間を割り込む、

 食糧不足で結核が蔓延し、家族に病人が出たら面倒を看なければならず、

 工員も徴兵され、無理、無駄、ムラで品質は維持できなくなり、

 生産性と品質の向上は見込めなくなっていく、

 別の場所に大型工場を建設しても人材が集まるか怪しく、

 強制立ち退きで工場を拡張する手法は、既得権の抵抗があった。

 人は、環境が変わることを恐れ、冒険を恐れる。

 己自身の固持・固守のあまり幸運が他者へと向かうと、ひがみ、やっかみ、妨害する。

 しかし、戦時下ともなれば、そうも行かない、

 非国民、売国奴と圧力をかけて強制的に土地を収用し、工場を増築していく、

 そして、陸軍主導になった事で設備投資が加速していく。

 陸軍の功罪の罪の部分で戦地に必要だからとベテラン工員を引き抜いてしまうところがあった。

 技能軽視より前線重視で、前線で機械を修理できなければ飛行機は飛ばない、

 希少金属をケチった陸軍の必要悪だった。

 しかし、功の部分もあった。

 土地収用・工場拡大など強行しやすく、無理やり大量生産向きの工場を作ったりする。

 この辺の損益収支は計りがたく、

 海軍系の工場も煽りを受け、強制的な合併と拡張が行われる。

 村の土地収用と町工場の合併が署名され、

 「「「天皇陛下、万歳〜! 天皇陛下、万歳〜!」」」

 農民は泣きながら、

 零細企業主は自棄になって叫ぶ。

 下町の工場は一回り、二回りと大きくなっていく、

 そして、中国戦線は終息したことで治安維持軍を置き、

 大半の部隊は日本に帰還して予備役として、民間の工場や農家へ吸収されていく、

 これは強制的な工場拡大で人員を必要としたからであり、

 中国向けの製品を製造する工場も必要とされ、

 電力不足からダム建設が進められていく、

 しかし、元々、ナイナイの小日本だった。

 資源が港に運び込まれても若者100人集めたところで何かできるものではない、

 実現可能な想像力に裏打ちされた目的が必要であり、

 管理、運営、設計、行程などのノウハウと機構を構築し、

 能力を発揮させる人事管理も必要だった。

 計画を進めるための基礎工業力と技術。人材と資本も日本になかった。

 近視眼な軍国主義将校を外地に追いやり、

 やりくりできる人材で官僚を少しずつ再構築していく、

 「で、何をするんです?」

 「女子供ばかりで・・・」

 「風船爆弾だ。農閑期は、これ!」

 「アメリカは広いですよ」

 「熱源を感知したら爆弾が落ちるケ号誘導爆弾を開発できたら何とかなる」

 「まだ、開発できていないじゃないですか」

 「い、今は運任せの通常爆弾だ」

 「当たるんですか? ケ号誘導爆弾でも、町とか、油田を通過しないと・・・・」

 「数撃てば当たるのが軍事的常識」

 「一発必中なのでは?」

 「・・・あれは、気持ちだ」

  

  

 黒部ダム 建設現場

 おじいさんが毎日のように来る

 「こら!」

 「「「「・・・・」」」」

 「いい若者が、こんなところで何をやっている。この非国民」

 「戦地へ行け、戦地へ。この非国民」   ヾ(`□´)ノ

 「お、おじいさん。困るよ」   (´・⊇・`)

 「そうそう、邪魔したら。危ないし」   ┐(-_- )┌

 「なんじゃとぉ〜!」

 「老いぼれだからといって誤魔化されんぞ。戦地で戦うのが男ぞ!」   ヽ(`Д´)ノ

 「そう、そう。わかったから・・・」  (´;ω;`)

 戦地重視が過度になるほど国力の基礎になる社会基盤が犠牲にされ、国力が落ちる。

 やくざな人間が戦地へ行くとは決まっておらず、

 兵站で有用な人間が最前線に回される、

 お金持ちは適性が低くても上官になって後方に下がり、

 どこの世界でも程度の問題で起こることで、

 あまり酷すぎると利己主義が蔓延していく、

 ひがみ、やっかみで国民のモラルが低下していく、

 愛国心を育てるのは、モラルの高さ、犠牲的な英雄であり、

 不正・腐敗・不平等が限度を超えて多いと、愛国心が薄れ、

 反政府が育っていく、

 

 

 北アフリカ戦線

 ミッドウェー海戦と中国大返しは、アジア・太平洋の戦いに留まらず、

 欧州・地中海の戦いにも影響を与える、

 北アフリカのアルジェに上陸した米英軍は制海権を守る艦船が不足し、

 ドイツ軍はツーロン港のフランス艦隊の半数を自沈させながらも半数を接収していた。

 ツーロン港のドイツ艦隊と、イタリア艦隊が合流し、

 米英連合軍は容易ならざる状況に追い込まれていく、

 巨大な米英艦隊でさえ、ローテーションに狂いが生じ、

 西地中海の制海権に隙が作られる、

 北アフリカで苦戦していたロンメル軍団とイタリア軍の一部は北アフリカを脱出し、

 米英海軍は追撃しようとしたものの、

 ドイツ・イタリア艦隊との戦力比に気圧され、断念させられていく、

 イギリス戦艦ネルソン 艦橋

 「駄目か」

 「提督、水雷戦隊だけでイタリア戦艦部隊を追撃するなんて命知らずですよ」

 「そうなんだが、どうも負ける気がせん」

 「普通なら、こっちが全滅なんですがね」

 「そうなんだがな」

 「雨天を狙いやがって、航空戦力を投入できれば勝っていたのに・・・」

 「残念です」

 その後、北アフリカに取り残されたイタリア軍が米英軍に降伏する。

  

  

 空母 飛鷹

 隼V型が艦尾から進入して着艦する。

 ゼロ戦より小型に見えるものの速度で勝り、

 評価は高い、

 弱点は主翼桁が薄く、火力が弱いことにあった。

 着艦した隼V型がエレベーターで降ろされ、

 さらに後方の隼V型が着艦しようと向かってくる。

 「・・・良さそうじゃないか」

 「自動空戦フラップは手のひらサイズの機械なのか、凄いな」

 「難があるとしたら胴体の12.7mm機銃4丁か、7.7mm6丁だろうな」

 「ん・・・どっちが良いともいえないが」

 「同調が問題ないのなら、12.7mm機銃でかまわないだろう」

 「いや、ないわけじゃないよ」

 「胴体だと4丁とか、6丁あっても発射速度で良いともいえないし」

 「発射速度は許容範囲だろう」

 「しかし、同調がね。隼の初期型が二枚プロペラを採用したのは納得だな」

 「結局は、カムとの連動だろう」

 「弾薬の品質精度と自己発火もある」

 「あまり加熱させないように点射するのが良いね」

 「弾薬の品質は厳しいからな」

 「7.7mm機銃6丁が安全かな」

 「ソ連は、20mmを装備しているそうだ」

 「寒冷地は、金属的な熱収縮が少なくて精度が安定するのかな」

 「いや、少しぐらい飛行機が落ちても大丈夫だと考えているんじゃないか」

 「乗りたくねぇよ」

 「お国柄かな」

 「それよりアメリカがエセックス型大型空母。インディペンデンス型軽空母を建造したらしい」

 「じゃ いよいよ。空母を量産してきたか」

 「大丈夫か?」

 「いま、赤城と加賀は改装中だから第一機動部隊と第三機動部隊でやるしかないか」

 「それより、パイロットだろう」

 「んん・・・養成が遅れている」

 「・・・どこも、かしこもベテランを欲しがりやがる。機体も足りない」

 艦載機パイロットの養成は、地上配備パイロットより飛行時間を必要とする。

 今後、空母建造と配属も含めてパイロットを養成しなければならず。

 予備パイロットも必要になった。

 ミッドウェー海戦と中国大返し以降、消耗戦は避けられていた。

 しかし、戦域が広がれば機体とパイロットだけで済まなかった。

 相応して整備士、機材、消耗品、燃料も膨れ上がっていく、

 「・・・陸軍はビルマで攻勢をかけようとしているのか?」

 「中国に兵力を取られて守勢だったからな」

 「南京軍の増援で兵力が持ち直しているらしい」

 「よく、それだけの兵力を支えられるものだ」

 「南方域は米どころだ。食料だけは何とかなる」

 「中華料理屋が増えそうだな。おれはベトナム料理が好きだがね」

 「南京軍の増援は、東南アジア地域で華僑拡大も含んでのことらしい」

 「まぁ 当然だろうな」

 「日本政府も華僑に利用されているのに日中で二人三脚か。のんきなものだ」

 「利用し利用されはどっちもどっちだよ」

 「双方の弱者が不憫なだけだ」

 「資源が入れば、何でもするんじゃないか」

 「資源は入っているのか?」

 「まだ工場建設が多いから目立たないけどね」

 「民需に資源が回されるとは珍しいな」

 「東條が陸軍の強硬派を外地へ送っている」

 「もっとも自分に逆らう者も送っているから良し悪しだがね」

 「今度は海軍の強硬派も出して欲しいね」

 「バランス的には、それもいいかも」

  

  

 八幡製鉄所

 鉄鉱石・石炭・石灰石が山積みされていた。

 製鉄所を増築しながら生産を拡大し、

 工場を大きくしても人材は、これからで、

 ベテランを振り分けると生産力が薄まっていく、

 そして、重要な役職だけあってエゴも強かった。

 自分の強い立場を利用する人間は少なくない、

 相手が一旦弱くなると下克上にもなった。

 熟練工は、工場拡大で存在価値と社会的地位を相対的に低下させていく、

 足を引っ張ったりするが戦時になると徴兵逃れも絡む、

 しかし、量と質がモノをいう総力戦では、そうも言ってられない、

 「中国でも製鉄?」

 「そうだ」

 「アメリカの通商破壊は激しい」

 「今後、日本まで鉄鉱石と石炭を運ぶのは鉄道と船腹の関係から難しくなっている」

 「銑鉄で日本まで運ぶ方が楽でいいに決まっている」

 「それは、国家100年の計で?」

 「好きで、そうしたいわけじゃない、経済的な理由だ」

 「もちろん、そうでしょうとも」

 「国家存亡の戦争中なのだ」

 「そう思っていますよ」

 「なあに譲渡地で行うつもりだ。それほど心配することもなかろう」

 「譲渡地の代償もあるのでは?」

 「・・・まあ、日中友好だよ」

 「・・・やれやれ、これで負けたら目も当てられない」

 

 

 南京で日中和親条約が調印される。

 日本は奪ったアメリカ・イギリス・フランスの租界地を中国へ返還する、

 まどろっこしいが日本に責任を押し付ける中国の画策だった。

 また、東南アジア大陸鉄道利用で華僑優遇が確認され、

 日本は、南京政府から満州国と遼東半島の領有で承認を受け、

 大陸鉄道、石炭、鉄鉱石、希少金属の権益が保障され、

 崇明(チョンミョン)島、香港(旧イギリス租借地)が割譲される。

 上海 イギリス・アメリカ租界(後に合併して共同租界)、フランス租界

 天津 イギリス・フランス・日本・アメリカ・ドイツ・オーストリア・ベルギー・ロシア・イタリア租界

 漢口 イギリス・フランス・日本・ドイツ、ロシア租界

 広州 イギリス・フランス租界

 鎮江 イギリス租界

 九江 イギリス租界

 アモイ イギリス租界、共同租界(鼓浪嶼)

 杭州 日本租界

 蘇州 日本租界

 重慶 日本租界

 南京政府は、あることないこと歴史を捏造し、

 米英仏の権益没収を正当化する。

 大陸で、全国規模の反白・反米・反英・反ソ政策を加速させ、

 反動で日中友好が進んでいく、

 

 

 崇明(チョンミョン)島

 数人の日本人が揚子江の流出土砂が堆積して造られた中州に立っていた。

 「砂地じゃ 地盤が安定しないよ」

 「人海戦術で補強すれば港、発電所、製鉄所も整備できるだろう」

 「いつやるんです?」

 「まぁ 準備が整えば労働力はあるよ」

 「中国人ですか?」

 「もちろん。まだ、資材が足りないがね」

 「発電所と製鉄所は、いつになるやら」

 「戦争が終わってしまいますよ」

 「港と地盤の造成は、おいおいやっていけるだろう」

 「・・・・」

 「ここから日本に資源が入って来るよ」

 「だと、いいけどね」

 「中国人を信用できないと?」

 「利益がある間は信用しますよ。しかし、上手くいかなくなると・・・・」

 「まぁ そうだろうけど苦境に立たされると逃げるのは日本人でも珍しくないよ」

 「要は人材を見つける目だろう」

 「そうでしょうけどね」

 「崇明島譲渡と東南アジアの大陸鉄道は、日中相互保障条約だからね」

 「日中関係は、日本、中国、東南アジアの華僑資本の相互依存が進めばもっと進むよ」

 「・・・・だと、いいんですがね」

 要塞砲一発で、製鉄所が破壊されかねない中州、

 利権を人質にされるようなものだが選択の余地も少ない、

 同時に日本にとって崇明島は、中国に対する楔だった。

 大陸奥地から鉄鉱石、石炭、石灰石が揚子江を降る、

 この崇明島の製鉄所で銑鉄し、

 鉄道と船で銑鉄にされたものが日本へと送られ、鋼に加工されていく、

 この島で全部やってしまう方が合理的だった。

 中国・汪兆銘政府も大陸鉄道で東南アジアに進出しやすくなり、

 日本との絆は強まっていく、

 しかし、それは太平洋の戦いしだいであり、

 敗北すれば中国の対日政策が変わる賭けでもあった。

  

  

 満州

 満州総司令部

 師団長が電話中

 「なんだと!」

 「3式対戦車自走砲は、旧式機と97式戦車を中国・満州国に売却してからだと?」

 「ふ、ふざけるな!」

 「ドイツ軍がスターリングラードで降伏しているのに航空機と戦車を手放せるか」

 「か、閣議決定だと・・・・」

 「資源がない?」

 「戦車を売らないと新型が造れないって・・・おまえら、なにやってんだ!・・・」

 「中国の鉄や石炭はどうした!・・・」

 「し、所用って、なんだ!所用って・・・」

 「こっちに鉄をよこせ!」

 がちゃ!

  

 


 月夜裏 野々香です。

 3式対戦車自走砲・・・また、Sタンクモドキで、やってしまいました。

 トン数制限と、華奢な空冷エンジンが悪いんです。

 油圧で車体を上げ下げできませんが砲身だけは、少しだけ上下に動かせます。

 火力支援に使うには、仰角不足。

 因みにM4戦車は、52口径75mm。

 待ち伏せすれば、何とかなりそう。

 本当は、もっとマシな戦車を開発したかったのですが、

 17トン以下で240馬力では・・・・・・

 

 

 史実、ケ号誘導爆弾は、赤外線によって標的に誘導されていく

 弾頭600kgの対艦用爆弾。

 この戦記では、赤外線を感知すると落ちるだけの簡単機構の陸上爆弾です。

 

 

   

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第09話 1943/02 『一緒に東南アジアを守るある』
第10話 1943/03 『戦地で戦うのが男ぞ!』
第11話 1943/04 『ベーリング海の罠』