第14話 1943/07 『腐敗病』
南京
6.5mm小銃の入った木箱が届く、
5億の民を統制するには官僚組織だけでなく、
民を捩じ伏せる軍隊組織が必要不可欠だった。
政府・官僚の不正腐敗が少なく、国民のモラルが高く、
貧富の差が少なければ軍隊に頼る比率は減少する。
政府・官僚の不正腐敗が多く、国民のモラルが低く貧富の差が激しいと、
小手先の技巧や愛国教育は通用せず、
人口に比例して軍隊による制圧力が必要になってしまう。
この時期、大陸のモラルは低く、
日本の傀儡である南京政府は漢民族を支配する武器弾薬を必要とし、
その武器弾薬を供給できるのは日本だけだった。
日中同盟は好きで結ばれたわけではなく、
日本は資源と市場を望み、
中国は、国家統制と近代化を望む。
互いに必要とするモノを相手が持っていただけだった。
南京政府は昔ながらの親類縁者と子飼いと科挙で派閥と権力構造を固めていく、
日本の大陸進出受け入れは産業拡大に比例し、私腹を肥やすことができた。
日中不良官僚が支配圏を得るためでもある。
中国官僚は、裏切り者であり、不正腐敗の限りを尽くし、
日本を逃げ道にして資産を蓄積していく、
中国大陸のどこか、
水路を行き来する船から積み荷が降ろされていく、
何故か、南京政府軍に流れず、木箱が軍閥に流れていく、
日本の業者は納入書を再度確認し、
自国までの書類手続きが完璧なのを見て安心する。
違うのは中国側に手渡してからだった。
「・・・根こそぎだよ」
「さすが、大陸。とても真似できないね」
「シーメンス事件が、かわいく見えるよ」
「あの事件は、金を貰っても選択に問題ないと思うけど」
「大陸は選択肢が悪くてもいいのか、監査がないのかな・・・・」
「横領したお金を日本に持ち逃げか」
「本当に良いんだろうか」
「汚職も、ここまで堂々とやると、清々しくない?」
「まさか・・・」
「上層部には、もう少し、愛国心とか、モラルを求めたいよ」
「日本人で騙される業者も増えているし」
「5億の民がいて腐るほど資源があって近代化に失敗したんだ」
「これくらいの人災がないと、近代化に失敗なんかしないよ」
「倫理観なさ過ぎ」
「いや、あった方が怖いよ」
「そうそう、人口5億。資源もたくさん」
「日本人並みのモラルがあったら、世界を征服しているよ」
「そうだけど・・・・」
「中国の腐敗。万歳」
「日本に伝染しなければね」
「近代化を助けるは、やめた方がいいような」
「やめたいのは山々だけどね。日本は資源がないと・・・・実入りも良いし」
「中国系官僚は、麻薬と同じか、止められないね」
「まぁ ・・・とりあえず “免疫を付ける” ということで・・・・足も付かないし・・・・」
中国国宝のお宝が、ごっそり日本へと流れて行くのも・・・この頃。
伝染性の強い不正脈とか、腐敗病が日本へ伝わるのも・・・・・も、この頃だった。
日本 某工場
防潜網と捕獲網が24時間体制3交替で生産される。
対潜水艦だけでなく、
対水上艦艇にも効果があるとわかると増産が決まる。
ベーリング海と違う海域で、同じ手が通用するわけない。
既に対処法も考えているはず。
しかし、工作機械に精度を求められず。生産しやすいのだろう。
機雷を作るより割安なのか。
和紙とコンニャク糊の風船爆弾と変わらないレベルといえた。
日本という国は、その程度の工業国だった。
「・・・風船爆弾の製造に人員が欲しい?」
「数を増やしたいそうだ」
「いくつ?」
「10万個」
「10万個? 景気いいな」
「アメリカ本土を直接爆撃できる」
「本当にできるのか?」
「赤外線探知機が付いたら、熱源を感知すると爆弾が落ちる」
「そんなの作れるのか」
「誘導装置は難しいが熱源感知で爆弾を切り離すだけなら問題ない」
「和紙とコンニャク糊で届くのか?」
「本当は、丈夫なジュラルミン気球に水素を入れて作りたいが駄目だそうだ」
「当たり前だ」
「そうか? 無人の飛行船に600馬力のエンジンを装備」
「電探や逆探。赤外線探知機を装備。陸地や熱源を探知して、爆弾を落とせば・・・・」
「できるの?」
「・・・まだ」
「できてから言えよ」
「しょうがないから、和紙とコンニャク芋の増産」
「アメリカまでどのくらいだ?」
「さぁ 偏西風で時速200kmくらいだから2、3日」
「無線機付きをまず飛ばして逆算するか」
「い、いい加減だな」
「アメリカが “ごめんなさい” するまで、風船爆弾を作り続ける」
「10万個でも、100万個でも、1000万個でも・・・・」
『女学生に作らせた風船爆弾でアメリカが “ごめんなさい” するか、ボケが!』
「・・・風船爆弾と防潜網で攻守揃えるのか、大日本帝国万歳だな」
白レンガの住人たち
真珠湾
戦艦が居並んでいた。
ノースカロライナ、インディアナ、マサチューセッツ、アラバマは、
太平洋で最強の戦艦部隊だった。
日本海軍の武蔵、長門、陸奥、金剛、榛名、比叡、霧島と十分に戦える海上戦力だった。
しかし、時代は戦艦を置き去りにしていた。
海戦は航空戦力によって支配され、
立体・即時・飽和的な攻撃で勝敗が決してしまう。
雷爆撃機50機に攻撃されたら35000トン級戦艦も撃沈される。
潜水艦も戦艦を一撃で大破させる魚雷を装備し、
時代とともに性能が向上させて脅威が増大していた。
最新鋭戦艦の群れでさえ、
絶対的な存在から相対的な存在にまで転落させられていた。
戦艦は、もはや、海軍の主役はではなくなっていた。
「強そうに見えるんだけどな」
「強いよ。最強だよ」
「日本海軍にも気の合うやつがいるんじゃないか」
「ふ 飲み交わしてぇ」
「傷を舐め合う相手も減ってきたからな」
「キスカのアレがなければ戦艦は、やっぱり戦艦だったのに・・・」
「あれは、まずいよ。艦隊ごと防潜網に引っ張り込まれたなんて」
「ちくしょ ちくしょ イギリス海軍だけじゃなくて、ソ連海軍にまでバカにされたんだぞ」
「だけど空母戦力がアレじゃ 戦艦も勇ましく見えるよ・・・・」
真珠湾
エセックス型ヨークタウンU。レキシントンU。
インディペンデンス型軽空母プリンストン。
英空母イラストリアス、ヴィクトリアスが威並んでいた。
器こそ立派なのだが慣熟訓練中で練度も怪しかった。
「・・・だいたい、罠に気付かないやつが悪い」
「防潜網は、レーダーに映らないからな」
「だからといって、漁船を避けて罠に入るなよ」
「レーダーが逆用されたんだよ」
「いやらしい作戦だな」
「列強なら近代兵器と近代兵器の衝突で戦うものだろう」
「そうだ、そうだ。互いの国家の威信を賭けて技術体系を構築」
「国力を挙げて生産した戦力を戦略、知略、戦術を駆使して戦うものだ」
「それをなんだ?」
「防潜網でスクリューを破損させた〜」
「子供の落とし穴か。ふざけやがって」
「そういえば、あの環礁のダミー船にも参るよな〜」
「あれは、潜水艦を近付けさせなければいいだろう」
「だけどねぇ 潜望鏡で覗いたら洋上に日本商船が1隻で浮かんでる」
「さぁ どうする? って、普通は攻撃するよな」
「近付いたのは無線輻射の計測とか」
「ソナーで音を拾ったとか」
「煙突から煙が出ていたからだろう」
「怪しいって思えよ。まして洋上に停まっていたら」
「いや、あの辺の海図って詳しくないから」
「環礁に商船を座礁させているなんて、わかりにくいよ」
「無駄な魚雷撃たされる方は、ちょっとな」
「で、浮上して砲撃すると敵の航空機が飛んで来るだろう」
「ミクロネシアとか。ソロモン諸島とか。トラップを仕掛けやすい日本が有利だよ」
「ぅぅ 紛らわしい」
「だけど、せっかく不発魚雷を解決したのにな」
「こうも潜水艦の損害が増えたんじゃ・・・」
「陰湿なやつらだ」
「大西洋からイギリス艦隊を回して貰ったが、まだ足りん」
「もっと空母がないとな」
「日本海軍が攻めて来ないのが救いだね」
「ビスマルク・ソロモン航空戦も、ビルマ航空戦も戦力不足で損害が増している」
「ハワイ防衛のために配備している航空機は遊軍にされている」
「・・・なんで、アメリカ軍が消耗戦に引き摺り込まれているんだ」
「大丈夫だ。損失比1対4でも、アメリカ軍は、十分に勝ち残る」
「そんな、ソ連みたいな戦い方を続けられるか」
「たしかに」
「だけど、あの防潜網は反攻作戦を困難にするだろうな」
「島礁への上陸作戦で、あれが沖にあったらLST(揚陸艦)のスクリューを止められる」
「敵前上陸で上陸用舟艇のスクリューを止められたら狙い撃ちだぞ」
「機雷なら点だ。避けるなり、破壊すれば良い」
「しかし、防潜網は線だから避けるのが難しい」
「切るしかないな」
「艦首に刃を付けるのが良いと思うが」
「防潜網の向きと量にもよるよ」
「それに刃をつけても、スクリューに絡みつかない保障はない」
「まして、二重、三重に仕掛けられていたら、お手上げだよ」
「ぅぅ・・・こうなったらプロペラボートで上陸だ」
「高ぁ〜 戦車用のLSTをプロペラボートで走らせられるか」
「日本人め、余計な金を使わせやがって、罪状に自然破壊を加えてやる」
ビルマ戦線
戦場に近い場所にも中華料理店があり、
南京政府の派遣軍将校が昼食を摂っていた。
「・・・やっぱり、広東料理ある」
「違うある中華料理は、上海料理ある」
郷土意識が強かった。
他にも四川料理や北京料理があった。
「思ったより、米が美味いある」
「東夷がタイに水田を教えているある。それが流れてくるある」
「東夷も、たまには良い事するある」
「・・・東夷と組むのは、いやある」
「仕方がないある」
「東夷が中国本国と東南アジアの華僑を繋げているある」
「そして、南京派遣軍の台所を華僑が支えているある」
「東夷と利害が一致して華僑も増えたある」
「儲け話は、ないあるか?」
「香料を中国に持っていくと高く売れるある」
「大陸鉄道が欲しいある」
「そうすれば、東南アジアは中国だけの物ある」
「いま、東夷は強いある。無理ある」
「それに東夷と同盟を結んでないと東南アジアを維持できないある」
「東夷が負けるか、消耗したら、大陸鉄道を取り返せばいいある」
「でも東南アジアの大陸鉄道から追い出されたら華僑が困るある」
「その時は中国と東南アジアが組むある」
「東夷は太平洋で孤立ある」
「その後、中国は、ソ連とアメリカを抱き込んで東夷を打倒ある」
「それ、いつごろあるか」
「わからないある」
「東夷は中国から資源を持っていったから、いま、強いある」
「東夷に協力して、ビルマで戦うのは面白くないある」
「だけど、日本軍は中国の囚人と賊を集めてるある」
「あんなの使ったら日本人の評判が悪くなるある。バカある」
「朝鮮人の囚人と賊も集めているらしいある」
「東夷が、なに考えているあるか、わからないある」
「でも、華僑は市場が増えて喜んでいるある」
「華僑は市場をインドまで広げて欲しいある」
「では、このまま、東夷と組んでインドを落とすあるか」
「インドを落としたら贅沢するある。インドは牛が、いっぱいある」
「それは、美味しいある」
世の中、好き嫌いでなく、利害関係が優先してしまう。
好むと好まざるに関わらず。善悪に関わらず。
一度、勢いが付いてしまうと、しばらく、そっちへ行ってしまう。
日本人は、戦力で国防を考え。
中国人は、外交戦略で国防を考える。
中国人が兵器を作れないだけなのか。元々そうなのか。
日本人のように戦力に振り回されていない。
日本を小日本と蔑むのは地理的な意味だけでない、
視点の高さ、視野の広さで当たらずとも遠からずだったりする。
※東夷・・・・中国側の日本の蔑称
欧州戦線
米英軍の北アフリカ上陸作戦に対し、
ドイツ軍はツーロン港ヴィシーフランス艦隊の接収を強行する。
フランス艦隊の半分を接収したドイツ海軍がイタリア海軍と連合し、
ツーロン港で独伊連合艦隊が再編成され、
戦略的な要件で米英の戦艦・空母が太平洋へと回航され、
欧州海軍のバランスが狂っていく、
欧州 東部戦線。
ロンメル軍団はイタリア半島を軍事的に押さえムッソリーニ政権を支えていた。
ソビエト軍はスターリングラード戦の余勢を駆って進撃していたものの、
対日戦の影響で輸送が滞り動きが鈍り、
独伊同盟軍の余剰兵力も東部戦線の突出部クルスクへの攻勢に影響を及ぼしていた。
ドイツ南方軍集団司令官マンシュタインは、拠点に囚われない機動防御で、
ソ連軍の戦力を削ぎ落としていた。
ドイツ軍前線司令部
「・・・ソ連軍は、突出したクルスクの両脇から攻勢をかけてくると思われるが」
「強靭な防衛線を構築するか」
「マンシュタインの柔軟な機動防衛を継続するかだ」
「機動防衛は後退しながらの反撃で、総統は好まれない」
「だがソ連軍は輸送が滞って攻勢の限界だ」
「ソ連空軍の進出の遅れを待って反撃する方が損害が少なく、反撃も容易だろう」
「しかし、東部戦線で予想以上の損失を出せば、米英の大陸反攻を許すことになる」
「いまのところ、米英の大陸反攻は遅れると思うが」
「希望的観測だな」
「だが、インド・太平洋における日本潜水艦の通商破壊戦術は効を奏し始めている」
「そうかも、しれんが・・・」
日本陸軍が主導権を握って南京政府に中国統一させ、
ドイツ軍を信奉する日本陸軍の要望で
日本海軍がインド・太平洋で通商破壊を行った結果、
連合国軍は、護衛艦と輸送船の損失が増大する。
ドイツ軍は、東部戦線の突出部クルスク攻撃が見送り、
ソ連軍の反攻を挫いて反撃、追撃戦を行う迎撃戦略が進められる。
ローマ 某所
教会の礼拝堂
私服の男たちが信心深く手を合わせて祈り・・・
「ムッソリーニを失墜させると駐留するロンメル軍が動くぞ」
「だがドイツとイタリアは同盟国だ」
「イタリアは、北アフリカ喪失の責でロンメル軍団を排除する事ができるだろう」
「しかし、イタリア軍の多くが東部戦線へと派兵されている」
「イタリア半島はドイツ軍に占領される」
「イタリア海軍も捕獲されるぞ」
「しかし、イタリア海軍の方が強かろう」
「次の作戦でドイツ海軍兵士がイタリア艦隊に乗り込んでいるらしい。動けんよ」
「ムッソリーニめ、運の良いヤツだ」
銀座のクラブ
真っ青な顔をした男がいた。
「・・・どうしたの?」
「中国人に騙された」
「まぁ 最近、増えているから」
「ベアリングの工作機械を輸出しても代金が振り込まれない」
「直接、行ってみると別の中国企業になっていた」
「まぁ 酷いですわね」
「もう、信用できん」
「噂だと、日本の工作機械を買って中国に残っている白人の技術者に改良してもらっているんですって」
「くっそぉ〜 今度から代金と交換だ」
「それも高値で売ってやる。頭にきた」
日本のD級工作機械も、
白人技術者が本国から部品を取り寄せ手を加えると化けることがあった。
とはいえ、個々の民間業者の損失分を埋めるほど大量の資源が日本に流れ込み、
日本経済は上向きで生産量が増えていく。
不安要素は、日本に中国の不正腐敗が流通する事といえた。
日本の零細工場、中小の工場の工員が大型工場に組み込まれていく、
陸軍が接収した土地に建設された大工場で、
ベテラン工員を前線に引き抜いた功罪も含めるならややプラスといえた。
そこに海軍の技術が導入されると性能が上がり、生産性も向上してしまう。
また、戦地で陸海軍の部品が共有できたことで稼働率も向上していた。
南の島の航空基地
ミクロネシアの小さな島、
環礁に海防艦2隻。2隻の輸送船が停泊していた。
1隻は、ダミー船。
もう、1隻は、本物の輸送船だった。
「ようやく、たどり着いたよ。このおんぼろ船」
「この輸送船も囮で仕掛けるので?」
「ああ、空にしたら、そのまま、予定の環礁に捨てていく」
「綺麗な船なのに・・・・」
「中身は、ボロボロだよ。ペンキを塗り替えたばかりだ」
「ここまで、辿り着いたのが奇跡だな」
「速度が遅いから狙われなかった可能性もある」
「あはは・・・・」
「廃船にして解体するのと、どっちが良いのか、わからんがね・・・」
「あのダミー船を狙ってきたアメリカ潜水艦を1隻撃沈していますから、元は取れているかと」
「同じように、おんぼろ小型船に大砲を載せて、護衛艦に見せかける計画もある」
「思いっきりのいい作戦です」
「陸軍は船に愛着を持たない将兵が多い」
「こういう作戦を考えるのも大陸鉄道に日本経済を傾倒させる為だ」
「日本陸軍の傲慢は相変わらずですな」
「まったくだ」
狭い島、
指揮系統が違う陸海軍が滑走路を挟んで飛行場を使う。
しかし、友軍なので要請ができた。
そして、陸海軍の取り決めで大陸・東南アジアが陸軍指揮で、
太平洋が海軍指揮という根回し付いていた。
おかげで部品共有が進み、補完し合えるのか仲が良くなっていく、
飛行場の運用上の支障は少なくなっていた。
海燕が滑走路に並び、陸海軍の整備士が集まる。
「・・・・最果ての航空基地にも、ようやく海燕が回ってきたか」
「後回しにされていたからな」
「よ〜し。アメリカ機動部隊の強襲は、こいつで迎撃できるぞ」
「でも、ベテランパイロットを引き抜かれたら洒落にならないよ」
「・・・本当に、洒落にならないよな」
「中国戦線が終わったんだから、もう少し、割り振りが良くなっても良いと思うけどな」
「なんか、カツカツだな」
「・・・使わない資材を海防艦に載せて本土に回収するくらいだからな」
「貧乏くさぁ〜」
「日本は貧乏なんだよ」
「中国大陸を制しているのに?」
「点と線だけで守れないだろう」
「それに資源が入っても加工するまで時間がかかるよ」
「たぶん、東南アジアの利権を餌に中国から搾取するんじゃないかな」
「いつまで持つやら」
「中国人が欲張って利権を拡大しない限り大丈夫だろう」
「東南アジアの地場勢力が、どう動くかでも変わるよ」
「中国と組むのは見通し暗そうだな。やめた方がいいよ」
「資源がないと海燕が作れないだろう」
「ぅぅ・・・足許、見やがって」
朝鮮半島
田舎のとある民家、
「・・・日本軍に入るよ」
「日本軍なんか、入る必要はないニダ」
「あいつらは、我が朝鮮民族の言葉を奪い。名前を奪ったニダ」
「日本民族のために戦うことなどないニダ」
「だけど、朝鮮は日本に併合されたんだ」
「日本人は酷い民族ニダ」
「むかしから、朝鮮人を襲撃して奪ってきたニダ」
「アボジ・・・もうやめよう」
「朝鮮人から奪ってきたのは朝鮮人じゃないか。ヤンバンだよ」
「違うニダ!」
「アボジ。大声で嘘をついても駄目だよ」
「いまの朝鮮人を苦しめているのは日本人より朝鮮人だよ」
「違うニダ!」
「日本人は朝鮮の石炭を奪っているニダ」
「アボジ。この家の電灯。むかしは、なかったよね」
「・・・・・・・」
「水道もなかった。川に水を汲みにいったんだ」
「・・・・・・・」
「橋もなかった」
「・・・・・・・」
「鉄道もなかった」
「・・・・・・・」
「働いても収穫をヤンバンに取られる田畑だけ。職場もなかった」
「・・・・・・・」
「朝鮮の店は弱い者に高く売りつけてばかりだった」
「・・・・・・・」
「日本の店なら相手が誰でも同じ値段で売るよ」
「・・・・・・・」
「・・・むかしは強盗も多かった」
「・・・・・・・」
「ヤンバンは漢字を教えない」
「女子供が使うようなハングルばかり押し付けて差別する」
「・・・・・・・」
「田んぼも収穫するそばからヤンバンが奪っていくから荒れてばかり」
「・・・・・・・」
「娘もヤンバンが奪っていったよ」
「・・・・・・・」
「ほんの20年も前の事だよ」
「日本は、奪ってなんかいないじゃないか」
「・・・・・・・」
「に、日本軍は朝鮮人から土地を奪ったニダ」
「荒れた土地を売ったんじゃないか」
「他人が騙し盗って日本に売った土地もある」
「いまじゃ 日本人の田んぼの方が収穫が多い」
「自尊心が傷つくニダ!!」
「その自尊心を同じ朝鮮人に押し付けて、朝鮮人を惨めな国にしていったんじゃないか」
「いつ、俺が自尊心を押し付けたニダ!!」
「いま、押し付けているじゃないか」
「・・・・」
「売った土地や騙して売られた土地を日本人のせいにして」
「学校も、橋も、鉄道も、電灯も、日本人が作った事も言わない」
「そして、ヤンバンが朝鮮人から奪ったのに」
「自尊心が傷つくからと日本人のせいにしている」
「違うニダ!」
「おじいちゃんも、おばあちゃんも、子供に嘘の歴史ばかり教え込んで」
「本当ニダ!」
「嘘ばっかりだ!!」
「自尊心が傷つ・・」
「その自尊心が朝鮮を滅ぼしたんだよ!!!」
重慶制圧後、半島の一進会は、さらに皇民化を進めていく、
権威で押付けられた正義が歪められ、
自尊心で虚飾された虚構が捻じ曲げられる。
朝鮮に正義はなく。
日本にも正義はない。
もちろん、世界にも・・・
体制が都合のいい虚構を正義と呼んで塗り固めていく、
そして、人は作られた世界で生きていくしかなかった。
弱者は力をつけるまで見向きもされず奪われ続ける。
朝鮮人は刹那的になりやすい環境にあった。
「・・・・自分を滅ぼしても自分の尊厳を守りたいニダ」
「民族を滅ぼしても民族を誇りたいニダ」
「それが、何で悪いニダ・・・・・」
「・・・・・・」
月夜裏 野々香です。
戦地では、生死を賭けて戦っている兵士がいるかと思うと。
ある階層の役職官僚は美味しい思いをしたり、
人の世は、エゴの万華鏡でしょうか。
人間は、平等だ〜 で、人生のあり方に悩むもよし。
人間は、不平等だ〜 で、開き直るもよし。
見ザル・聞かザル・言わザル、もよし。
やれやれ、です。
史実の風船爆弾の生産個数は、およそ9300個。
アメリカ合衆国本土到達は、9300個のうち、1割強の1000個、異説で300個
『青白き炎のままに』は、がんばって風船爆弾を製造することになりそうです。
数にして、史実の10倍以上。赤外線感知装置付の爆弾。
被害は、史実の10倍以上って、すくな!
なんと、ビルマ戦線は、日中軍 VS 英印軍ということに・・・・・・・
『ミッドウェー海戦のあと』とは、逆・・・・・
無節操な組み合わせになってしまいました。
朝鮮半島
自尊心は、己の尊厳を保つ上で大切でしょうか。
しかし、過剰になると他者に害を与え自らを狂わせていく。
現象としては、自己矛盾、支離滅裂、誇大妄想症・被害妄想症(パラノイア)などなど・・・・
個人も国家も同じで悪化すると、虚妄に振り回されて現実を直視できず、
自暴自棄に犯罪でしょうか。
日本人も、嘘ばかり。
一部の功績、技術、戦力を針小棒大。
本音は資源を欲し。
人口・食料問題を解決する為。利権の為。半島から大陸に向かっただけ。
王道楽土は、奇麗事の嘘。スローガン。
五族協和は、建前。
大東亜共栄圏も自己正当化の方便。
他人や他国を搾取するのは楽で。
己や自国を犠牲にできても。己や自国を否定するのは、難しく。
正義も、事実も、虚構で覆い隠されていく。
虚栄心と自暴自棄で国策を追い詰めて、自画自賛で臥薪嘗胆できず。対米参戦。
日本人も、朝鮮人も、50歩100歩。
個人や民族を貶めて喜んでいるわけではありませんが、自尊心も程々に。
数字で嘘をつくな。もう少しエゴも正直に。というところでしょうか。
欧州戦線も変化してきそうです。
ミッドウェー海戦後の空母戦力の差が、
大西洋での米英海軍の大規模な縮小という形になったようです。
この辺は、『ミッドウェー海戦のあと』と違うところでしょうか。
ランキングです ↓ よろしくです。
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第15話 1943/08 『ジブラルタルの嵐』 |