月夜裏 野々香 小説の部屋

   

仮想戦記 『青白き炎のままに』

   

第17話 1943/10 『正義の正体』

 中国大陸、漢民族の世界。

 重慶の一角に日本租界地がある。

 亜熱帯性気候で夏場は40度を越え、湿度が高く蒸し暑く、

 霧の日数は100日を越える。

 なぜここに日本の拠点が置かれ日本人が居座っているかというと・・・

 水資源、石炭、天然ガス、ストロンチウム、アルミニウム、マンガン、

 石灰石、大理石、方解石、石膏、石英石、水銀、塩岩などが採掘できた。

 重慶の街は、日本軍と南京軍が駐留し、

 成都の蒋介石・国民軍と対峙していた。

 治安は、日本の租界地が一番、安定している。

 しかし、外に出ると、かなり怪しく、

 勢力が曖昧な地域は、暴力が支配する無法地帯と化している。

 中国で徒手による拳法が発達するのも危険な場所だからともいえた。

 重慶 租界地

 揚子江を遡った船から降りてくるのは、朝鮮民族と台湾民族が多い。

 25mm機銃装備の98式軽戦車(ケニ)も、治安維持だけのため配備されている。

 「・・・・トゥチャ族、ミャオ族の取り込みは?」

 「採掘現場と工事現場で雇っています」

 「ですが漢民族の反発もあり、能力的に漢民族から選んだ方が無難かと」

 「先に雇ってしまえば後から来た漢民族を下にできる」

 「漢語がわかれば良いだろう」

 「台湾人は、それなりに上手くやっているようです」

 「ですが、朝鮮人は、何かと問題が多いようで」

 「朝鮮民族と少数民族を揚子江流域に誘導し日本の利益を守らせるか、検討すべきだ」

 「やはり、朝鮮人をこっちに?」

 「毒をもって、毒を制する」

 「人は石垣。朝鮮人を石垣代わりに日本の利権を守りたい」

 「なるほど・・・いい加減に朝鮮人の二律背反には、ウンザリしますから」

 「中には、皇民になろうとする者もいるからな」

 「本当に微妙ですからね」

 「彼らは、欲が深い。利己的だよ」

 「揚子江流域の豊かさを考えれば、こっちに惹かれてくるだろう」

 「ですが来て直ぐ、日本人様で王様気取りですから・・・」

 「朝鮮人は半島から離れると日本人になりきるからな」

 「日本にとっても、朝鮮民族が半島から離れた方が良かろう」

 「たしかに・・・揚子江では朝鮮人も創始改名で日本人に成り切る方が良いでしょうね」

 「しかし、漢民族を支配して自己満足に浸るのだから怖い」

 「後先、考えないと・・・・」

 「朝鮮人が日本人になりきって、揚子江で悪さをすると日本人が悪者になるな」

 「どうしようもないですね」

 「だが、資源は欲しい」

 「泣きたくなるような状況ですね」

 「日本という国は、そういう国だからな」

 「豊かな資源があれば平和だったものを・・・」

 「イギリスか、アメリカの植民地にされていたかもしれませんね」

 「それは、いやだな」

 日本人は、台湾・朝鮮人を呼び込み。

 この地域で10パーセントにも満たないトゥチャ(土家)族、ミャオ族。

 少数民族を用いて日本の利権を守ろうとする。

 日本と少数民族の相互保障が進み始める。

 町を拡大し、朝鮮人や台湾人を送り込み、

 少数民族の職場と住まいを確保していく、

 これを偽札でやっているのだから犯罪だった。

 南京政府軍の中国統一戦争で漢民族が “少し” 減っているのが幸いする。

 偉大な中国の人口で “少し” は、他の民族の人口を越えているか、同じくらいだった。

  

 

 北大西洋

 ストラスブールは、イギリス機動部隊とアメリカ機動部隊の追撃を逃げ切り、

 「全速!」

 「蛇行しながら回避!!」

 爆撃機が投下した爆弾がストラスブールを包み、時折、命中する。

 しかし、肝心の魚雷は、かわされていた。

 「雨雲に入り込むぞ」

 米英爆撃隊の空襲を天候に助けられ、

 「・・・・見えません」

 「この海域にいるはずだ」

 「爆弾をせっかく、持ってきたのに・・・」

 「・・燃料は?」

 「そろそろ帰らないと・・・」

 「・・・帰還する」

  

 そして、待ち伏せする英米旧式戦艦の砲弾の中を抜けていく、

 ネルソン 艦橋

 「ストラスブールの方が速いぞ」

 「正面から逃すな。北上だ。 撃て! 撃て!」

 「・・・艦長。ティルピッツの無線です」

 「北東から近付いています」

 「なんだと!」

 「イギリスの潜航艇がティルピッツに損傷を与えたはずだ」

 「・・・・ですが、周波数が・・・無理して出てきたのでは?」

 「・・・面舵!」

 欺瞞工作に引っ掛かる。

  

 そして、ストラスブールは、アルタ・フィヨルドのティルピッツと並ぶ。

 無事に帰還できたのは、アメリカ機動部隊の練度の低さと、

 そして、イギリス機動部隊の艦載機の少なさと燃料の給油、

 ローテーション上の疲労だった。

 Uボートの支援攻撃と、運も良かったといえる。

 ティルピッツは、英特殊潜航艇2隻の攻撃で破損して戦力外だった。

 ティルピッツ 艦橋

 「ついにイギリス機動部隊の大西洋へ回航か、日本海軍め、なにやっているんだ」

 「大西洋への回航は、インド洋でなくパナマを使ったのでしょう」

 「忌々しい」

 「まずいですね。これで米英は、北アフリカへの輸送が可能になります」

 「ジブラルタル対岸に輸送物資が運ばれ、ジブラルタルは危機に陥ります」

 「ストラスブールは、ジブラルタルに向かわなかったのは、どうしてだ?」

 「北アフリカの対岸にアメリカ爆撃部隊が配備されたからです」

 「ジブラルタルは防空戦闘機と対空砲が強いですから戦えますが」

 「ストラスブールはまともに空襲されると撃沈されますよ」

 「いっそのこと日本に回航させれば良かったんだ」

 「たしかに・・・・」

 「一時的にでもUボートとストラスブールで大西洋の輸送を半減させた戦果は大きいでしょう」

 「まぁ その間、ドイツ本土爆撃ができなくなっていましたし」

 「ティルピッツは、いつ出られるかな」

 「このまま、フィヨルドの底に沈むということはないだろうな」

 「燃料が厳しいですからね」

 「まったくだ」

 「日本海軍にがんばってもらうか」

 「米英とも通商破壊で音を上げてくれれば良いが」

 

 

 インド・太平洋戦線

 エセックス型空母ヨークタウンU、レキシントンU、バンカー・ヒル、3隻、

 インディペンデンス型軽空母プリンストン、ベロー・ウッド、カウペンス、モンテレー、4隻、

 が真珠湾とニューカレドニア島に配備されていた。

 空母7隻でインド太平洋全域を守っているというより、

 日本の国力の低さでインド・太平洋が守られていた。

 日本は、金、銀、綿製品を売って稼いだ金で工業化の物真似ができていたのであり、

 戦力は、国力の表層面に過ぎなかった。

 日本産業全体は、軍需産業によって歪められ蝕まれ、ボロボロになっていた。

 日本の継戦能力は、花火が爆発して輝きながら消えていくように、

 満開した桜が散っていくように、衰えていた。

 近代兵器は、高度な材質と構造の部品によって組み立てられる。

 現状でもハードルが高過ぎて維持が困難なほど水準が高い、

 技能者の絶対数が不足し、模倣すらできない部品もあった。

 こういう貧しい国が自ら物を捨てさせられる。

 また、民間から生活の糧である船を徴用し取り上げる。

 拠出しなければ非国民・売国奴で一家離散だった。

 「天皇陛下、万歳〜! 天皇陛下、万歳〜!」 船主 泣き

 それが旧式木造の機帆船であっても

 持ち主にとっては生活の糧であり断腸の思いだった。

 

  

 伊勢、日向、扶桑、山城の空母改造が終わると、艦隊編成も変わる。

 改装や改造で速度が向上していた。

 作戦能力と艦隊速度(34ノット、32ノット、26ノット、25ノット)で振り分けられていく、

 第一機動部隊

 空母 改装中

 戦艦 比叡、霧島

 重巡 利根、高雄、愛宕、摩耶、鳥海

 軽巡 長良

 駆逐艦 

  秋月、照月、涼月、初月、

  嵐、萩風、野分、舞風。風雲、夕雲、巻雲、秋雲。

  初風、雪風、天津風、時津風。

  

  

 第二機動部隊

 空母 赤城、加賀、

 戦艦 金剛、榛名

 重巡 筑摩、最上、三隈、鈴谷、熊野

 軽巡 神通

 駆逐艦

  長波、巻波、高波、大波。

  早潮、黒潮、親潮、夕風。霞、霰、陽炎、不知火。

  海風、山風、江風、涼風、

 

 第三機動部隊

 空母 伊勢、日向、扶桑、山城

 重巡 妙高、那智、足柄、羽黒

 軽巡 川内

 駆逐艦

  清波、玉波、涼波、藤波、

  吹雪、白雪、初雪、叢雲。磯波、浦波、敷波、綾波。

  天霧、朝霧、夕霧、白雲、

 

 

 第四機動部隊

 空母 飛鷹、隼鷹、龍鳳

 戦艦 長門、陸奥

 重巡 衣笠、青葉、加古、古鷹

 軽巡 由良

 駆逐艦

  浦風、磯風、谷風、浜風。

  村雨、五月雨、春雨、夕立。朝雲、山雲、夏雲、峰雲。

  有明、夕暮、時雨、白露、

 

 

 第五機動部隊

 戦艦 武蔵

 空母 龍驤、瑞鳳

 軽巡 阿武隈、多摩、木曽、名取、鬼怒、五十鈴、球磨、天竜、龍田

 駆逐艦

   雷、電、響、曙。初春、子の日、初霜、若葉、

 

 建造・予備・修理・改装・解体

 瑞鶴、翔鶴、飛龍、蒼龍

 千代田、千歳、日進

 北上、大井、

 新月、若月、早波

 

 

 

 

 西オーストラリア海岸

 目的の為には手段を選ばない外道な戦い方がある。

 西オーストラリア上陸作戦は日本からリークされた情報だった。

 アメリカとイギリスは、日本軍のブラフか、フェイクかで思い悩み、

 中国の裏付けが取れても、

 先に日本が意図してリークしているため疑心暗鬼に陥る。

 アメリカ海軍とイギリス海軍は、無駄な戦力を振り分けたくなかった。

 戦力を不必要に分散すれば各個撃破の恐れがあり、

 戦力集中の法則は、アメリカとイギリスの我が侭ではなく、

 古今東西万国共通の軍事常識だった。

 ダーウィンやパースなど要衝には、それなりの戦力がある。

 しかし、それ以外の場所、

 戦略的には、なんらの価値もない地域に戦力を振り分ける余裕はない。

 日本軍の西オーストラリア上陸作戦は、広範囲な海岸に対し、唐突に開始される。

 事前に上陸作戦が行われる情報が流れていたにもかかわらず。

 なぜ、唐突だったか、というと

 スラバヤ港に集結していた船が小型船ばかりだったからだ。

 往復と作戦による燃料消費を考えるなら、上陸作戦は行われないと計算できた。

 ダーウィンとパースから飛び立った戦闘機が機銃掃射で機帆船に穴を開けていく、

 しかし、木造船は穴があいても簡単に沈まない。

 また、数が多かった。

 機帆船300隻と東南アジアの海賊が西オーストラリアの海岸線に点々と乗り上げた。

 そして、中国南京軍3万が上陸する。

 機帆船から中国南京軍将兵がバラバラと降りて村の中に入っていく、

 それだけではなかった。

 「行くある」

 「・・・攻めるある。白人の物を奪うある」

 「白人女も、いっぱい、責めるある」 にや〜

 銃撃戦になるときもあれば無血占領の村もある。

 中国軍は航空支援もなく、後方支援もない。

 携帯する武器は、小銃。

 軽機関銃と迫撃砲は、少ない、

 起こるのは、略奪と暴行。

 兵站をまったく考えていない自殺作戦だった。

 それに対してアメリカ機動部隊は手も打てずに見守る。

 日本機動部隊が後方にいることは、わかっていた。

 下手に艦隊で蹴散らせば、間違いなく、

 日本機動部隊の先制攻撃を受ける。

  

  

 パース沖 

 アメリカ機動部隊 (ヨークタウンU、カウペンス、モンテレー)

 ヨークタウンU 艦橋

 「まさか、本当に来るとは・・・・」

 「冗談かと思っていました。どうするんでしょうか?」

 「まさか、何もない海岸線に小型機帆船で片道攻撃は、誰も考えんよ」

 「それも、戦略拠点でもない、数十ヵ所」

 「略奪と暴行。まるで、海賊ですね」

 「日本軍の後続部隊は?」

 「・・・輸送船団を準備している情報はまだ入っていません」

 「わからんな、これから輸送船を集めるのか」

 「虚を突いた良い作戦ですが後が続かないようでは・・・・」

 「中国南京軍が村を占領した後、何をするか予測しやすいな」

 「住人には、家財を持って逃げるように通達しています」

 「家と土地を奪われてオーストラリア人が、おとなしく、するだろうか」

 「わかりませんが戦略拠点でもない地域を占領しても・・・・・」

 「長くは持たないな」

 「無茶苦茶な作戦です」

 「日本軍め、なんてことしやがる」

 「サルの分際で白人を未開人を扱うように扱うなんて・・・」

 「あれは、白人だけに許された神聖な行為なのだ」

 「とんでもない、野蛮ザルです」

 「日本民族をサルからトロールに昇格させてやる」

 「その代わり・・・根絶やしだ!」

 「それが良いですね。世界平和のためです」

 「ニューカレドニアから、レキシントンUとベロー・ウッドの機動部隊が着たら攻撃するぞ」

  

  

 リンガ泊地

 第二機動部隊 (赤城、加賀)

 第三機動部隊 (伊勢、日向、扶桑、山城)

 赤城 艦橋

 「・・・小沢提督。中国南京軍が上陸に成功しました」

 「こういう作戦は誰が考えるんだ」

 「某参謀かと・・・・」

 「あいつ、死んだら地獄行きだな」

 「中国兵を弾薬みたいに使い捨てにしやがる」

 「大和の参謀が全滅してから、日本海軍は、ろくなことがありませんね」

 「陸軍に主導権を奪われますし」

 「重慶占領で燃料だけは、融通が利くようになったがな」

 「油送船の都合が付かないと話しにならんよ」

 「今回は、ドイツ側の要請でしょうか」

 「さあな」

 「だがイギリス海軍不在なら、それほど真剣に守らないだろう」

 「第二機動部隊と第三機動部隊なら、例え、イギリス機動部隊でも勝てますよ」

 「ですが、隼V型は、ともかく99艦爆も、97艦攻も古い機体です」

 「彗星は?」

 「現在34機。それも、試作生産機体です」

 「使えるのだろう?」

 「ええ、空冷ですから稼働率は良いです」

 「500kg徹甲爆弾をお見舞いできますよ」

 「そうか、たぶん、今後は、隼V型と彗星だけになるだろうな」

 「天山は、駄目ですか?」

 「取捨選択で外された。規格が合わんよ」

 「工作機械一台に部品一つにしようなんてキチガイ沙汰ですよ」

 「それは言えるな」

 「工作機械が足りなくなる上に工員も足りなくなる」

 「いくら素人が増えて調整が難しくなったからって」

 「単機能工作機械を並べてって、机上の空論ですよ」

 「時代とともに一定の性能向上が求められる。飛べば良いわけじゃないからな」

 「陸軍の悪癖には呆れます」

 「しかし、第二・第三機動部隊で空母6隻か、南雲長官の真珠湾攻撃以来だな」

 「信濃を止めたおかげでしょうか」

 「それもあるが、やはり、中国の資源だろうな」

 「・・・やはり、そうなんでしょうね」

 「面白くなくても認めなければならないこともある」

 「無視するくらいなら・・・・」

 「無視すると陸軍省を砲撃したくなる」

 

  

 漢口

 路地裏

 一人の男が数人の中国人に囲まれる。

 「・・・や、やめるニダ。助けてニダ」

 ボコッ! バコッ!

 「うるさいある。もう、我慢できないある」

 バコッ! バキッ!

 「そうある。おまえは、散々、威張って俺たちを搾取してきたある。死ぬある」

 バキッ! ボコッ!

 「日本人ニダ! 日本人を殺してはいけないニダ!」

 バコッ! ボコッ!

 「うそある。おまえ、朝鮮人ある。死ぬある」

 ボコッ! バコッ!

 「うぁあああああ!! 日本人ニダ!! 日本人ニダ!! 山田太郎ニダ!!」

 バキッ! ドスッ!

 「・・・本当の名前を言ったら助けてやるある」

 「・・・・金ヨンス・・ニダ」

 「やっぱり、死ぬある」

 バキッ! ボコッ!

 「うそつきニダ!!」

 バコッ! ボコッ!

 「うそつきは、おまえある」

 ドスッ! ボコッ!

 「中国人は、鬼ニダ!!」

 「中国人は、心やさしいある。おまえ、自分の名前で死ねるある」

 「・・・うぁあああああ〜!! アイゴ〜 ニダ〜!!!!」

 

 

 日本の某工場

 「・・・この旋盤が調子悪いげな」

 「日本製は、わや、駄目だべ」

 「そうばってん、作れって言われとうけん」

 「合えば良いども、合わなかったらどすべ」

 「最近は規格で固定させて、一つの物しか作らんけん。どげんもならん」

 工員が山の様に部品を揃えて合わせていく。

 海軍の規格が減り、

 陸軍式に工場が大きくなり、

 工作機械の集約で余裕ができると様子が変わる。

 1台の工作機械で多種多様な部品を調整させながら製造せず。

 1台の工作機械で単一の同じ物ばかりを作らせるようになる。

 生産工程に合わせて工作機械を分けることになるが質も、量もと開き直る。

 おかげで規格外機体は、あっという間に飛べなくなり、

 新規格が遅れ、新型機の開発も遅れていく、

 

 

 

 インド洋

 (ヨークタウンU、カウペンス、モンテレー)

 (レキシントンU、ベロー・ウッド)

 アメリカ機動部隊は日本機動部隊を捜索するが発見できず、徒労に終わる。

 「・・・日本機動部隊は、どうした!!」

 「発見できません」

 「どういうことだ。上陸した中国軍への輸送は、どうするのだ」

 「見捨てられているのかと・・・」

 「なんだと!!」

 「そんなバカな戦略があるか!!」

 「機帆船も帰還していませんし」

 「最初から、そのつもりだったのでは・・・」

 「ダーウィンとパースの陸上部隊は?」

 「中国軍は小銃、武器弾薬、食料だけを持参していたようです」

 「兵士を使い捨てにしたのか・・・」

 「提督、この戦法なら、アラスカ、アメリカ西海岸に対しても使えるはずです」

 「まさか・・・・・」

 「成都からの情報は?」

 「西オーストラリアへの上陸作戦が行われるかもしれないとだけ」

 「片道の上陸作戦とは聞いていないぞ!!」

 「中国軍も知らなかったのでは?」

 「そんな・・・でたらめな・・・」

 「このまま、放置するとアメリカ太平洋艦隊の信頼が失墜するかと」

 「海岸線の中国軍を掃討する」

 「太平洋艦隊司令部に護送船団の護衛空母を回すように司令部に要請してくれ」

 中国軍は、北西オーストラリアの海岸線に上陸し、

 村々を制圧しただけだった。

 オーストラリア軍は、ダーウィン、パースから出撃する、

 たった1両の戦車と小部隊だけでも中国軍は降伏するか、逃亡していく。

 まるで大昔の海賊のような所業にオーストラリア軍が憤る。

 しかし、略奪された被害は大きく、損失は多く、傷痕は深い、

 そして、ダーウィン、パースからの移動だと輸送路で脆弱だった。

 どうしても海からの再上陸が求められた。

 ボートで海岸に上陸したアメリカ機動部隊の水兵の装備でも中国軍を撃退できた。

 「・・・逃げるある。逃げるある」

 アメリカ兵が銃撃すると中国軍は民家に火をつけて逃亡する。

 アメリカ軍水兵がガーランドを構え、

 全滅した村に入っても悲しみと怒りしか湧いてこない、

 「ひどい・・・」

 「中国兵め。皆殺しにしてやる!!」

 北西オーストラリア救出作戦は広範囲にわたり、

 アメリカ機動部隊は護衛艦を沿岸線に振り分ける。

 アメリカ空母部隊は危険な状況に置かれていた。

 しかし、非道な中国軍に対する憎しみは理性を上回り、

 この状態を放置すれば、アメリカ太平洋艦隊は存在意義を問われかねない。

 ヨークタウンU 艦橋

 「提督」

 「やむえないな」

 「提督・・・」

 「分かっている」

 「護衛艦の一部を切り離し、戦闘機を出撃させ上陸した中国軍を掃討する」

 「しかし、日本機動部隊が・・・」

 「わかっているだろう」

 「この状態で待機は、出世が閉ざさるだけでは済まない」

 「更迭や左遷の対象となり予備役行きで、地位すら失う」

 「・・・日本軍に、はめられたということですね」

 「そうだ」

 艦隊から派遣できる水兵の火力で簡単に中国軍を撃退できる事実、

 それがアメリカ機動部隊を窮地に陥れる。

 さらに艦載機も飛ばして上陸した中国軍を掃討しなければならず。

 アメリカ機動部隊が危惧し、最悪の状況で最悪の予測がされる。

 そして、現実に起こってしまう。

  

  

 日本第二機動部隊

 赤城 艦橋

 「上陸した中国軍が掃討されているらしい」

 「アメリカ機動部隊の反撃は弱まるな」

 「小沢提督。良いんですか。こんな作戦。中国南京軍は同盟国では?」

 「欲の深い中国南京軍が決めたことだ」

 「中国南京軍は “日本の傀儡だった” と言い訳するだろうがね」

 「中国南京政府が金で国軍を売った証拠は持っているそうですよ」

 「だが、こちらの良識も疑われるよ。中国軍兵士を買ったのだから」

 「こちらも某参謀の傀儡ということで・・・」

 「そういうことにしよう。同盟国への信義にも反する」

 「出撃させますか?」

 「そうだな」

 「いくらベテランが減っていても、この距離で出撃させて最大戦速で接近すれば何とかなるだろう」

 「本当にベテランが減りましたからね」

 「ああ 角田提督に信号を送れ、発艦だ」

 日本の第二・第三機動部隊が護衛艦隊の乏しいアメリカ機動部隊を強襲する。

 (赤城、加賀)

 (伊勢、日向、扶桑、霧島)

 日本機動部隊から攻撃部隊(隼V型90機、99艦爆90機)が発艦していく、

  

 もちろん、アメリカ機動部隊とオーストラリア空軍もインド洋側に索敵機を出撃させ、

 日本機動部隊の接近を知る。

 しかし、元々 要衝から離れた海域であり、

 陸軍機の支援攻撃は制限され、

 ヘルキャットとヘルダイバーが中国軍を掃討して帰還中だった。

 日本機動部隊を発見しても発艦前で着艦できず。

 むなしく不時着水していく、

 ヨークタウンU 艦橋

 「やはり、きましたね」

 「海岸で掃討させている護衛艦を戻せ」

 「水兵の収容は後からする」

 「はっ」

 「日本の空母機動部隊は2群で6隻か」

 「日本海軍は、まともに戦う気はないようです」

 「タダでさえ有利で、さらに相手を不利な状況に追いやるか、くそトロールどもが」

 「急いで出撃させましょう」

 「中国軍の掃討から戻る機体は機銃弾が残っていないはず」

 「距離が遠いな」

 「最大戦速で接近すれば・・・」

 「そうだな」

 (ヨークタウンU、カウペンス、モンテレー)

 (レキシントンU、ベロー・ウッド)

 アメリカ機動部隊からも日本機動部隊に向けて攻撃部隊

 (ヘルキャット40機、ヘルダイバー55機、アベンジャー32機)を発艦し、

 海上航空戦が始まる。

  

 日米の爆撃部隊が擦れ違う。

 艦隊上空では、それぞれ、隼V型60機。ヘルキャット35機が迎撃に上がっていた。

 そして、攻撃部隊来襲とともに海上航空戦が繰り広げられる。

 この時、日本機動部隊に電探が備えられていたものの、あまり役に立たず。

 すれ違った爆撃部隊からの通信や

 上空を哨戒していた零式水上偵察機の通報が早かった。

 艦隊上空で隼V型60機と、

 ヘルキャット40機、ヘルダイバー55機、アベンジャー32機の航空戦が繰り広げられ、

 赤城 艦橋

 「・・・悪くもないが良くもないな。電探」

 「改良の余地が、ありですね」

 「ベーリング海でアメリカ戦艦を拿捕していたらレーダーも手に入ったのに・・・」

 「報告では、上陸した沿岸に電探があったとか」

 「中国軍も、よく無事に上陸できたものだ」

 「小船が乗り上げてきただけですから、米豪軍も見逃したのでしょう」

 「ふっ 小さいから漁船と思ったのだろうな」

 「まともな軍隊なら片道上陸なんてしませんよ」

 「だな・・・・」

 隼V型の機銃掃射でヘルダイバーとアベンジャーが蜂の巣になっていた。

 日本機なら撃墜されているものの、強靭な防弾で輪形陣に突入してくる。

 艦隊の弾幕がヘルダイバーとアベンジャーに収束し、

 時限信管の砲弾が炸裂し、

 25mm機銃弾がヘルダイバーとアベンジャーを掠め、

 ヘルダイバーとアベンジャーの12.7mm機銃弾が艦に吸い込まれていく、

 相対距離が縮まり弾道が集束し、

 ヘルダイバーとアベンジャーが被弾し、

 燃えながら海面に叩きつけられ、水柱を吹き上げる。

 弾幕を突破して空母を爆撃する機体も少なくなかった。

 アメリカ機動部隊の第2波は、もっと少ないだろうという計算が働いていた。

 隼V型が逃げていくアメリカ攻撃部隊に追いすがり、

 12.7mmと7.7mmの機銃を撃ち込んでいく、

 赤城 艦橋

 艦首側の飛行甲板が濛々と赤黒い煙を上げる。

 「損害は?」

 「赤城1発命中。加賀1発命中です。発着艦はできます」

 「二次被害に気をつけろ! 誘爆を防げよ!」

 「はっ!」

 「先行する第二機動部隊だけを狙ったか」

 「こちらの攻撃部隊は?」

  

 日本の攻撃部隊

 隼V型90機、99艦爆90機は、迎撃するヘルキャット35機を数で圧倒していた。

 隼V型にとっては、3対1から2対1という、楽な空中戦だった。

 空襲は、3隻の軽空母に集中していく、

 護衛の戦艦と巡洋艦は西オーストラリア沿岸の掃討に向かっていた。

 空母の周囲は、4〜5隻の駆逐艦で隙間だらけの弾幕で、孤立している。

 ヨークタウンU 艦橋

 「護衛艦隊は、まだ戻らないのか」

 苦々しげな提督が呟く、

 「あと1時間です」

 250kg爆弾がインディペンデンス型カウペンス、モンテレー、ベロー・ウッドに命中し、

 飛行甲板を突き破って炸裂した。

 練度が落ちていたとはいえ、戦闘機による迎撃もわずか。

 艦隊からの弾幕も弱く、手ごろな爆撃条件だった。

 カウペンス、モンテレー、ベロー・ウッドは大破炎上していく、

 

 日本機動部隊から

 第2波、隼40機、彗星45機、99艦爆50機、97艦攻75機が出撃していた。

 アメリカ機動部隊に掃討に向かっていた艦隊が合流しようとしていたときだった。

 ヨークタウンU、レキシントンUは合流して迎撃機を増やし、

 駆逐艦を周囲に集めて弾幕を強化するが焼け石に水だった。

 先行する99艦爆50機が駆逐艦4隻を爆撃し中破させ、

 弾幕の隙間を掻い潜ってた97艦攻がヨークタウンUとレキシントンUに突入する、

 被弾した97艦攻が海面に叩きつけられる直前、魚雷を投下した。

 並んで飛ぶ97艦攻も魚雷を投下していく、

 ヨークタウンUに魚雷が3本。レキシントンUにも魚雷が3本が命中して大破、

 さらに彗星爆撃機45機が襲い掛かり、

 とどめの500kg徹甲爆弾を投下していく、

 この攻撃で、ヨークタウンU型に2発、レキシントンに3発が命中して炎上していた。

 この時、日米機動部隊は、艦載機を収容しようと全速航行していた。

 日米機動部隊の距離は、100km程度、

 戦艦インディアナの射程が38kmくらいだから近い距離といえる。

 ノースカロライナ 艦橋

 「・・・逃げても。空襲を受ける」

 「それなら突っ込むべきではないか」

 「確かに」

  

  

 赤城 艦橋

 第1波、第2波が着艦して格納庫は、大騒ぎになっていた。

 第3次攻撃隊の準備が始まる。

 アメリカ艦艇の単艦当たりの対空砲火は激しく、

 機体の損傷も少なくない、

 なかなか落ちないアメリカ機に対し、機銃弾は撃ち尽くされやすい、

 攻撃部隊出撃直後から、格納庫では補用機を組み立てていた。

 しかし、改装と改造で、各空母とも補用機は3機分の18機。

 再出撃できる機体と合わせて出撃準備を急がせていた。

 「アメリカ戦艦部隊か・・・」

 「イギリスの伝統。見敵必戦に従えば攻撃なんだろうが」

 「イギリス海軍は、世界最強、資源がたくさんあるから、そうできるのだと思います」

 「いや、見敵必戦で世界最強、資源を得て伝統になったと考えるべきだろう」

 「攻撃しますか」

 「山口提督に比叡と霧島を貸してもらっているので金剛型4隻です」

 「改装中の第一機動部隊から燃料と戦艦を借りて、おめおめと逃げ帰ったら」

 「なに言われるか、わからんな」

 「そうですよ・・・撃沈させても言われそうですが」

 「アメリカ戦艦部隊は?」

 「ノースカロライナ、マサチューセッツ、アラバマの3隻、ほか30隻が向かってくるようです」

 「向かってくるなよ。逃げろよ」 泣き

 「しょうがないですよ。山口提督に後で謝るしか・・・」

 「こっちは、金剛型4隻。勝てんよ」

 「ですが航空攻撃で支援すれば何とか・・・」

 アメリカ戦艦部隊は、まっすぐに向かって来ていた。

 逃走する日本機動部隊から99艦爆100機、彗星24機、97艦攻50機が発艦。

 日本機動部隊から戦艦部隊が編成されていく、

 

 

 日本戦艦部隊は、空母を逃がすため、

 アメリカ戦艦部隊に対し、斜めから切り込んでいく、

 戦艦が主砲を発射するときの衝撃波は凄まじく、

 射手がやられるため防壁のない機関砲は撃てなかった。

 アメリカ戦艦部隊の対空砲は半減しており、

 日本の爆撃部隊がアメリカ戦艦部隊上空を旋回しながら爆撃し、

 そして、雷撃を繰り返した。

 アメリカ戦艦部隊から弾幕が上がる。

 ノースカロライナ 艦橋

 「・・・・使えるのは12.7cm砲だけか、空母の仇をとらないとな」

 「空母ばかり狙われましたからね」

 「まさか、空母5隻が全滅するとは」

 「日本の空母も撃沈しないと割に合わないな」

 「扶桑型は、空母改造時に軽量化されているようです」

 「速度は、それほど変わらないかと・・・・」

 「少しくらい軽量化したところでボロ船がいつまでも全速で走れるものか」

 戦艦を軸にした3列縦列は、輪形陣より突入しやすいとはいえ、

 苛烈な弾幕を突破しなければならなかった。

 アメリカ戦艦部隊の対空砲が99艦爆を撃墜した。

 アメリカ艦隊の周りにいくつもの水柱が立ち上がり爆発が轟く、

 99艦爆、97艦攻は矢継ぎ早に突入し、

 日本の艦載機は被弾しつつも、

 ノースカロライナ、マサチューセッツ、アラバマの3隻の未来予測地点に向かって、

 軌道を修正し、機体を回り込ませていく、

 99艦爆が爆撃を繰り返し、

 97式艦攻が雷撃を加える。

 アメリカ戦艦部隊は、雷爆同時攻撃を受けて直撃弾を受け、

 被雷して水柱を上げ、ボロボロの状態になっていく、

 「・・・・提督。本艦は、魚雷1本、爆弾3発」

 「マサチューセッツは、魚雷1本、爆弾4発。アラバマは、魚雷2本、爆弾3発です」

 「まだ戦えるか?」

 「はっ!」

 比叡、霧島、金剛、榛名の砲撃が

 ノースカロライナ、マサチューセッツ、アラバマに集中していた。

 赤黒い砲弾が空から降ってくるのが見える。

 そして、色取り取りの水柱がアメリカ戦艦の近くで吹き上がる。

 海水を雨のように降らし、周囲を霧に包ませ、艦体を海水で濡らした。

 「・・・日本戦艦に随分と切り込まれたな」

 「空襲の隙を突いて射程内に入り込んだようです」

 「ボロ船が!」

 「先頭艦を狙え、引導を渡してやる!!」

 同航戦に移行していくノースカロライナ、マサチューセッツ、アラバマから反撃が始まる。

  

 比叡 艦橋

 相対距離は15000m。

 アメリカ戦艦部隊は水柱に包まれていた。

 爆炎と大音響で砲弾が命中しているのがわかった。

 それでもアメリカ戦艦の強靭さは、呆れるほどで撃ち返して来る。

 「もっと近付け、撃ち抜けん!」

 「こっちも、やられますが」

 「ようやく巡って来た戦艦の砲撃戦だ」

 「ここで逃げたら戦艦の価値は消えてしまう」

 「たとえ、懐古趣味といわれても刺し違えても戦い切る」

 「向こうの指揮官と気が合うかもしれませんね」

 「そうだな」

 「味方より、殺し合っている相手の気持ちの方がわかりやすい」

 「最近の上層部は権謀術数で、うわばみに見えますからね」

 「武人らしく戦うという気概に欠けるからな」

 日米の戦艦は急速に近付き、砲撃戦でズタズタになっていく、

 ノースカロライナが撃沈され。

 続いてマサチューセッツ、比叡、アラバマ、霧島が沈んでいく。

 生き残った金剛と榛名も誘爆で炎に包まれ、ボロボロ。

 浮いているのがやっとの状態だった。

 甲板近くまで海面が近付き、艦橋は13度近く傾いていた。

 金剛 艦橋

 「・・・ひどいな」

 「砲弾を撃ち尽くしたのが幸運でしたね」

 「これ以上は、誘爆しないはずです」

 「とにかく消火を急がせろ」

 「はっ!」

 「アメリカ戦艦部隊は全滅です」

 「アメリカ海軍も無茶をする」

 「中国軍に西オーストラリア上陸されて退けなかったのでしょう」

 「あんな、捨駒の為にアメリカ海軍は、艦隊を危地に追い込んだのか」

 「危地でも、これだけの損害ですからアメリカ海軍は強いです」

 「とにかく逃げよう。こんなところにはいられない」

 「ええ、8ノットは、出せるそうです」

 「近距離で40cm砲弾3発受けて撃沈せずか、運が良い」

 「幸運を日本に持ち帰りませんと」

 「そうだな」

 (比叡、霧島)、(鈴谷、熊野)、(海風、山風、吹雪、白雪)が沈没していた。

 残った巡洋艦と駆逐艦も、武器弾薬を使い切って、金剛、榛名と同様にボロボロ。

 日本機動部隊は、後退していく、

  

  

  

 日本 某所。

 球体の物が空に上がっていく、

 和紙とコンニャク芋で作った風船爆弾、第一号。

 「天皇陛下、万歳〜! 天皇陛下、万歳〜!」

 黄色い声援、

 女学生たちが嬉しげにハンカチを振って見送る。

 それを見つめる大人たちの表情は複雑だった。

 年端も行かない女学生に人殺しをさせるとは、日本陸軍も罪作りといえる。

 総力戦とはいえ、人間性の喪失といえなくもない。

 しかし、アメリカ軍が上陸してくれば、女学生も、どういう運命をたどるか、わからない。

 日本が負ければ、チョコレート1個の為、アメリカ軍兵士に体を売るような事もありうる。

 人権を蹂躙されても陵辱されても、暴行されても泣くしかない。

 国が負けるは、そういうことだった。

 西オーストラリアでは、チョコレートも渡さず奪われ、暴行が行われている。

 それに比べれば、マシかもしれない。

 どちらにしろ国家同士のエゴがぶつかった結果といえた。

 爆弾を装備した風船爆弾が空の彼方へと消えていく、

  

 


 月夜裏 野々香です。

 やってしまいました。

 大陸鉄道に続き、揚子江経済圏の確立・・・するかな?・・・・・・

 綱渡りしながらアメリカと戦争している日本です。

 

 血税で建造した戦艦も、日米海軍将校の懐古趣味で沈められてしまいました。

 戦う口実さえあれば、武人の本懐なのでしょうか。

 やれやれ、でしょうか。

 

 揚子江

 利己主義で罪悪感を感じながら、やっているのでしょうか。

 渡る世間は鬼ばかりです。

 悪徳が栄え、良心家は殺されるだけ。

 しかし、良心家がいないと、民族も、国も、バラバラ、

 相互不信で集団を作れず植民地。他国に支配されそうです。

 民族も、国も、精神的な器の大きさ以上に、大きくなれない。かもです。

 日本人の正義。

 アメリカ人の正義。

 中国人の正義。

 朝鮮人の正義。

 陸軍の正義。

 海軍の正義。

 たくさんのエゴ・・・・・

 いや、正義が、どんよりと、ぶつかって渦を巻いていきそうです。

 

 

   

   

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第16話 1943/09 『大海のストラスブール』
第17話 1943/10 『正義の正体』
第18話 1943/11 『もう、開き直り』