第23話 1944年04月 『熱情の行方』
香港
日本、中国、東南アジアの代表が集結している。
「総理。本当に独立させるのですか?」
「利権さえ得られれば要衝を押さえて独立させるのが良い」
「アメリカが南米諸国でやっている方法だ」
「確かに、それ以外の妥協は困難ですね」
「日本が頭脳と骨格。中国が神経。それ以外が体というところかな」
「やはり少数民族を利用して中国を押さえるというのは困難で?」
「そうしたいよ」
「しかし、日本語と中国語でやると楽でアジアも安定してしまう」
「好ましいとはいえないがね」
「中国も東南アジアの利権を失いたくなければ日本と共同歩調をとるということですか?」
「揚子江経済圏の朝鮮族に分断された漢民族は、東南アジアの代償が必要だよ」
「東アジア諸国も面白くないでしょうね」
「どの道、華僑資本は実力で優遇を手に入れていく」
「彼らは、そういう人種だよ。もう我が国は蛇の道しか残されていない」
「戦うより金ですか」
「ふっ 今後は、権威主義と拝金主義の戦いになりそうだな」
「権威側としてはアメリカと戦争している方が気が楽です」
「拝金主義は雲のように掴み所がない」
「そして、誰しも金も欲しいから簡単に豹変する」
「権威主義という名の蛇と拝金主義という名の蛇の戦いになりそうです」
「醜い拝金主義者はなぜ消えないのだ?」
「それは、胴体の私利私欲の部分で繋がっているからでは?」
「双頭の蛇かよ」
「忌々しいことに、この宣言も妥協の産物だよ」
「いつもの如くですか?」
「そうだ」
「しかし、日本軍が植民地解放軍だった、という建前だけは保てるな」
香港植民地宣言
東南アジア諸国独立準備機関が創設。
ベルリン上空
P51ムスタング戦闘機が出現していた。
高性能で十分な航続距離を持った護衛戦闘機の出現は戦略爆撃の効果を高めた。
対するドイツ空軍はメッサーシュミット、フォッケウルフで迎撃する。
そして、ランチェスターの法則に従って苦戦する。
連合軍は、ムスタングとB17爆撃機の数を揃えられるなら、
ドイツ空軍をねじ伏せることができた。
しかし、不安材料もあった。
ジブラルタル防空の為、
戦闘機として開発されたMe262戦闘機がベルリンに配備されつつあった。
ベルリン上空をMe262の軌跡が駆け昇るとコンバットボックスに戦慄が走る。
空戦技能、飛行時間などマンパワーで補える性能差ではなかった。
Me262が舞う度にムスタングが撃墜され、
コンバットボックスの防御壁が削られていく、
メッサーシュミットとフォッケウルフが隙をついて、コンバットボックスに突入し、
B17爆撃機を撃墜していく、
生産に入ったMe262は、まだ、数が少なかった。
しかし、世界最良の戦闘機ムスタングを次々と撃墜していく、
パイロットと弾薬と燃料が続く限り、
Me262は最強の戦闘機。無敵の猛禽でありえた。
ドイツ軍参謀本部
「・・・やはり、Me262戦闘機は、有用だよ」
「有用だがエンジンの寿命が短すぎる」
「パイロットが一人前になるまでジェットエンジンをいくつお釈迦にするか、計算したくもない」
「一人前のパイロットを乗せるのなら問題はなかろう」
「一人前のパイロットは、バトルオブブリテンでたくさん死んだ」
「大戦を一年遅らせたかったよ」
「総統は、イギリスとフランスがポーランドを守る為、自国民を死なせると思わなかったのだろう」
「もう、一度、過去に戻ったらイギリスとフランスは、宣戦布告するかな」
「宣戦布告しないだろうな」
「それ以前に、ドイツは、ポーランドに侵攻しないな」
「ソビエトとポーランドを分けたのに、ドイツばかりが仇にされてしまう」
「ソビエト軍の動きは、今のところないがジブラルタルが落ちたのは痛いな」
「イタリアが動揺すると、戦力の振り分けが難しくなる」
「イタリア軍が、がんばってくれるだろう」
「ウクライナの西半分の利権は魅力的だよ」
「イタリア軍60万を注ぎ込ませる口実にはなるよ」
「しかし、士気がな・・・・」
「ドイツ軍の兵装があれば、それなりに戦ってくれるだろう」
「イタリア軍とソビエト軍が消耗した後にドイツ軍の遊撃軍を出せば良い」
「地中海から連合軍が反攻作戦を始めると厳しくなりそうだが予備兵力は?」
「ロンメル軍を増強した」
「あの男には、一日に使う弾薬の制限をかけているんだろう」
「話しは伝えているよ」
「できるかどうか、わからないがね」
「後先考えず、あるだけ使ってしまうガキだからな」
「しかし、北アフリカより補給しやすい」
「だからって限度がある」
「米英軍がイタリア半島から攻めるか、わからないだろう」
「大陸反攻なら西フランスか、南フランスからだろうな」
「イタリア半島は山がちで攻めにくい」
「そのつもりで戦力を配分している」
「戦略爆撃が、また激しくなってきたからな」
「Uボートに頑張ってもらうのが一番では?」
「護衛空母を配備した護送船団は、強力だよ」
「だが輸送船ごと沈めてしまうのが、一番効率がいい方法だよ」
「日本との往復も悪くないよ。希少金属が入る」
「・・・希少金属の使用は鉄に対して5パーセントほどだ」
「仮に鉄10tなら500kgになる。既に2000トン以上が運び込まれた。悪くない」
「同盟国の日本でなく。中国を支援し、武器弾薬を輸出したのも希少金属欲しさ」
「今は日本が中国の資源を押さえている。これで日独連絡が万全なら万々歳だよ」
「例の作戦は?」
「日本を支援するのは、良いと思うがね。そこまで日本を信用できるのか」
「日本が強靭になれば、裏切られたときの反動が怖い」
「日本が強靭になれば、黄禍論噴出でドイツの講和の可能性も大きいと思うがね」
「それを期待してのことだ・・・・それに・・・どうせ拾い物だ」
東部戦線
キングタイガー戦車がオデッサに降ろされる。
イタリア軍兵士たちが史上最強の戦車を囲む。
イタリア軍は、軍服を除き、ドイツ軍の装備で一新され、
数度にわたってソビエト軍を撃退していた。
これなら戦えるという気概も膨らむ。
ローマ帝国最大の版図を越えた衛線に立つ誇りも生まれ、
山国育ちのイタリア人は地平線の彼方に地平線が広がる光景は驚くばかり、
『『『『欲しい』』』』
ラテン系は、己の欲望に正直で相当な戦意をみせる。
しかし、ソビエト軍は、独伊東欧軍を全て合わせた戦力より倍以上も大きく、
現状のソビエト軍の攻勢も、
どの戦線が脆いか調べているだけの前哨戦に過ぎなかった。
ドイツ軍は、ソ連の攻勢をイタリア軍で受け止めさせ、
勢いを殺いだ後、航空戦力と戦車部隊で反撃する計画を立てていた。
塹壕と盛った土塁を利用したトーチカが作られ、
防衛線に沿って対戦車陣営が構築されていく。
要衝にキングタイガーを置き、
3号戦車・4号戦車が遊撃戦を展開できるように配置していく、
ドイツ軍 IV号戦車H型 後期生産型 (1943年4月〜1944年2月)
そして、ドイツ機甲師団と予備兵力が後方に控える。
そして、さらに後方のドイツ軍航空基地
冬季明けと共にメッサーシュミットとフォッケウルフが機体を増し、配備されていた。
「天候が回復すれば、ソ連空軍が上がってくるぞ」
「ソビエトは、航空戦力の使い方を間違ってないか」
「戦術爆撃は悪くないと思うがね」
「まっすぐ目標に向かって飛んできて爆弾を落として回れ右して帰る」
「離着陸しかできないパイロットだろう」
「生き残った者が歴戦のつわものになるな」
「大編隊で爆弾を落として大混乱した戦線を戦車の大軍で襲う」
「実に素晴らしい力技だな」
「まだ前哨戦のはずだ」
「それだけ、航空戦力があるということだろう」
「なんか、西側で落とした撃墜マークと同じように並べたくないな」
呉
建造中の一等輸送艦と二等輸送艦は輸送船としてみると不経済で、
非効率この上ない艦艇に見える。
しかし、この種の艦艇は、敵国に地上戦の備えを強要する。
速度が速く武装もある。
付加価値の高い物資輸送も比較的安全に輸送できた。
「・・・役に立たないと思うけどな」
「この艦艇でアメリカ本土は防衛線の構築を強要されるだろう」
「いや、無理だろう」
「片道でも足りないし、二式大艇と潜水艦による潜入ならあるがね」
「あまりやりたくない作戦だよな」
「北アメリカは中国兵を12ヵ所ほど上陸させたけど半分くらい殲滅されたらしいよ」
「二式大艇で山岳湖に降ろした方が粘っている」
「捨石だな。本当に」
「捨石でも構わんよ」
「武装した中国兵600人がアメリカ本土に上陸して蜂の巣を突付いたような大騒ぎだ」
「ざまぁ 見ろ」
「日本人は、できないね」
「でも中国兵だけにやらせるのは格好が付かない」
「全部、犯罪者だろう」
「アヘンを中国に蔓延らせた欧米諸国に対する鉄槌だろう」
「中国では救国の英雄にされているよ」
「日本人にも犯罪者はいる。いて欲しくない人間なら・・・」
「日本人だと殺さないで捕虜にして恥さらしに遭うだろうよ」
「差別だな」
「中国人だからできるのであって、味方の兵では犯罪者でもできないよ」
「・・・アメリカに海岸線防衛のお金を使わせただけでも良しとするか」
「上陸部隊で、今残っているのは5分の1くらいだろうか」
「多分ね。孤立した村を占領しているからアメリカ軍も梃子摺るだろう」
「上層部は、アメリカ軍を分散させるため、もっと送りたいらしいよ」
「潜水艦と二式大艇じゃな・・・・」
「水上艦だと途中で撃沈される」
「二式大艇がマシかな」
「撃墜されなければね」
「二式大艇は航続力が長い」
「潜水艦で燃料を補給すれば、どこにでも行けるよ。ドイツにもね」
「またドイツに行ってるのか」
「資源が欲しいだと」
「日本も工作機械が欲しいよ。迎撃されていないのか」
「中東の防空は、穴が開いている。成功率は高いらしい」
「ジブラルタルが落ちてるからな、いつまで日独連絡ができるやら・・・」
「北アメリカの内陸に中国軍を下ろすしかなかろう」
「防空網がしっかりしてきているし、沿岸防衛も強力になってきている」
「最近は成功せんよ」
「二式大艇が足りないな」
「陸軍がケチを付けたからだ」
「二式大艇は、陸軍も乗せることで生産ができるから、今では増えているだろう」
「そうだがね」
「ところで船の準備は?」
「んん・・・船か・・・船はいいけど、良心の呵責がな・・・」
「大陸鉄道が完成したからといって倫理観まで、なくすことないだろう。良識を疑わうぜ」
「倫理観と良識で勝てるのなら、いくらでも倫理観と良識を投入するよ」
海燕
この戦闘機であれば、勝てるという機体ではない。
少なくとも、数を揃えて、抵抗すれば、何とかなる、というレベル。
隼V型
この隼Vも既に時代遅れになっていた。
無論、海燕や隼V型を越える機体を開発できないこともない。
しかし、既に工作機械は限界に達していた。
生産機を縮小しても稼働率を維持するので、やっとの状態。
戦線は三つ、
ビルマ戦線のヤンゴン VS チッタゴン
ラバウル VS ポートモレスビー
ガダルカナル VS エスピリットサント
アメリカ航空部隊は、2000馬力級が主力になっていたものの数が少なく。
日本航空部隊は、数に任せて、迎撃に徹しているなら何とかなるレベルだった。
将兵の手で水田が作られ、
南洋作物が菜園され鶏と豚が飼育されている。
海岸の近く、兵士は釣った魚を干物にしていた。
塩田もある。
ガダルカナル航空基地から見渡す風景は戦場のはず、
しかし、どこか、のどかで牧歌的。
日本軍将兵は土着化しつつあった。
ヤシの木陰
技術者が墜落したムスタングの主翼を見つめる。
「・・・見事な層流翼だな」
「日本は、できないのか?」
「水上戦闘機で開発していた強風は、そうだったけど翼表面の仕上がりが、こうも違うとな・・・・」
「ガラスみたいにスベスベだな」
「層流翼を採用すれば速度は上がって、代わりに揚力で不利になって失速しやすくなる」
「格闘戦で不利になるよ」
「いま、速度が遅いから既に不利だよ」
「しかし、本土は、機関車と貨車をたくさん作らないといけないらしくてな」
「工作機械の都合が付かないそうだ」
「良い機械は、エンジン部品に取られてるから層流翼に回らないだろうな」
「機体より、エンジンが良い方が助かる」
「少なくともガダルカナルまで飛んでこられるからね」
「ミッドウェーから退いたから、輸送は、もう少し増えるかもしれないな」
「だと良いがね。いくら自給自足が進んでも武器弾薬は難しいよ」
「ラバウルは弾薬を製造しているらしいが」
「火山があるから材料があるんだろうな」
「ニューブリテンは島も九州より少し小さいくらいだ。食糧自給なら何とかなりそうだな」
「中国の作戦が終わったのだから自給自足より攻勢に出るべきじゃないのか」
「華寇作戦なんて学校で子供に教えられんぞ」
「確かに民間人を襲わせるのは非道だな」
「なんで日本機動部隊は出撃しないんだ?」
「燃料がないんだろう」
「というより物資が足りなくて、これ以上戦線を広げられない」
「ここでも戦闘機よりクワとツルハシが有用だ」
「機動部隊は、アメリカ機動部隊の反攻作戦を挫く為に待機しているようなものだし」
「本当は、艦載機パイロットも、いないとか、聞いているぞ」
「いや、いるのは、いるんだがね。パイロット養成にかかりっきりだよ」
「それと自給自足策は継続だろうな。輸送船は、ほかで使うらしい」
「だんだん、船が減っていないか」
「減っているよ。戦争しているからね」
「アメリカは、増えているんだろう」
「・・・アメリカは、そういう国なんだよ」
ホワイトハウス
「大統領、北アメリカ大陸に潜入した中国兵は、ほぼ鎮圧しました」
「州軍とレーダーと防空戦闘機を配置しましたので安心かと」
「だが、欧州大陸反攻に反発する者も増えている」
「欧州へ行っている間に中国人と朝鮮人に妻と娘が犯されては泣くしかありませんから」
「おのれぇ〜 日本め〜 余計な金を使わせやがって、この償いは絶対にさせてやる」
「機動部隊の慣熟訓練は、まだかと」
「わかっておる。潜水艦による通商破壊は?」
「大陸鉄道のおかげで日本の対潜作戦は強力になったようです」
「戦果は上がっていますが損失も増えています」
「んん・・・・・」
「日独伊連絡が進んでいるので相互に強力になってるようですが」
「空母の準備ができていなければ、対日作戦は無理だ。ドイツ本土爆撃に集中しよう」
「地中海は?」
「適当に揺さぶりを掛ければ良い」
米英軍は、ジブラルタル要塞を無力化させ、
地中海航路を抉じ開けることに成功していた。
米英輸送船団は、地中海作戦を容易にし、
北アフリカに長距離戦闘機とB17爆撃を配備し、
長距離飛行艇による日独伊連絡を困難にさせていく、
クレタ島の港湾
二式大艇が着水すると、戦略物資が降ろされ、
ドイツの部品・機材が乗せられていく、
シンガポール港
ドイツ製機材は日本の勢力圏に到着すると、すぐに振り分けられていく、
中国権益で拝金主義が増すと、優秀なドイツ製工作機械で兵器を作れなくなる。
かといって民間ばかり使うと軍部の圧力がかかる。
大まかな優先順位は、力関係で決まり、
妥協の産物で軍民共有部品の製造が優先されていく、
ビルマ戦線の日本航空基地
海燕と隼V型が着陸し、パイロットが降りてくる。
「いや、まいった。ムスタングは、何で、あんなに速いんだ」
「やっぱり、2対1で迎撃しないと遅れを取りますよ」
「2対1でも厳しいな。向こうから見たら、こっちはカモだ」
「逃げ回るだけでやっとです」
「ムスタングが少ない間は4対1くらいで押さえ込むしかない」
「最近はエンジンの調子が良いので助かってます」
「しかし、ムスタングの数が増えると厳しいですよ」
「こっちも新型機が欲しいよ」
「上層部は、数で勝負とか、大陸鉄道で海燕と隼V型を運んで来るそうですよ」
「速度差が違いすぎる」
「いつまでも同じ戦法は出来ないだろう。上層部は、なに考えているんだ・・・」
整備士がやってくる。
「機体の調子は、どうです。中尉」
「振動が減った。助かるよ。迎撃に上がれる機数も増えて、やりやすい」
「最近来る工具は、折れない、曲がらないで効率が良いようです」
「ほう、日本も、少しは、まともな工具を作るようになったか」
「良い加減、敵の工具を使うのも考え物だな」
「いえ、まだ、アメリカ製には、負けているようですが」
「「「「・・・・」」」」 ため息
「あと、ベアリングとプラグも良い感じですから、もっと振動を減らせると思いますよ」
「助かるよ。性能で負けても、せめて数だけでも揃えないとな」
整備効率が上がると稼働率が向上して墜落事故も減っていく、
数を確保できれば、性能で負けても凌げる時は凌げた、
中東を経由した日・独伊連絡が困難になると、
パキスタン沖で潜水艦から燃料を補給し、
イラン−コーカサス−黒海−ブルガリアの日独連絡便が検討される。
アメリカ、イギリスと違い、レーダーで劣るソ連空軍は迎撃できなかった。
伊号 艦橋
「・・・急いで燃料を補給するんだ。いつまでも、ここにいられないぞ」
事前に定められた海域、定められた時間で二式大艇と伊号が合流する。
しかし、イギリス海軍の哨戒艇と哨戒機が巡回していることから安心できない、
二式大艇の主翼が潜水艦に届きそうなほど接近する。
「・・・艦長、最近、輸送ばっかりですね」
「通商破壊より華寇作戦ばかりだな。中国人、朝鮮人、インド人の輸送任務ばかりだ」
「戦略拠点を外した上陸作戦は、アメリカに痛手がないはずです」
「戦略拠点を狙えば確実に撃沈されるよ」
「さして重要でない海岸線でなければ上陸作戦などできないだろうな」
「今後は対日参戦した国々にも上陸作戦を行うとか」
「大本営は本気で世界を敵に回すつもりですか?」
「日本に宣戦布告したのだ」
「その時点で被害を受けるべきだ」
「し、しかし・・・」
「アメリカ海軍は、同盟国が被害を受ければ、同盟国の海岸を守る為に護衛艦と哨戒機を配備することになる」
「・・・・・」
「なるほど・・・」
「しかし、世界中で反日を増大させてしまうのでは?」
「世界中で増大するのは反中だよ。それと反朝」
日本の潜水艦と大型飛行艇による華寇作戦は、オーストラリアだけでなく、
ニュージーランド、合衆国、カナダ、インドに対して行われ、
さらに南ア連邦、エルサルバドル、コスタリカ、ニカラグア、
グァテマラ、ホンジュラス、パナマ、メキシコも行われようとしていた。
これは、更なる参戦国の増加を防ぐ目的も兼ねていた。
「ハイリスク・ハイリターンですかね」
「日本に対して宣戦布告するということは、そういうことだよ」
「遊び半分で宣戦布告されてたまるか」
「艦長。燃料の補給。完了しました」
「そうか」
二式大艇がエンジンを回し、
飛沫を蹴立てて洋上を滑走、浮上すると空へ駆け上っていく、
少しばかり温かく肌寒い季節、
ここ朝鮮半島の春も恋の季節、
日本軍が駐留する朝鮮半島は、その種の産業も当然のごとく存在する。
しかし、日本人移民が増えてくると白い目で見られやすくなった。
日本軍駐留地は、数回の転売を繰り返された後、縮小しつつ分散され、
戦線の情勢に応じて日本軍は撤収していく、
傷心の日本人の未亡人が一人、
地方の村に取り残されたりすると実に自然なことが起きる。
夜中に十数人の男たちが館に忍び込んで・・・
世間一般に “夜這い” と言われる。
「・・・・おい、行くニダ」
「母と娘だけニダ」
「とっても綺麗で、かわいいニダ」
「いっぱい補償してもらうニダ♪」
「財産も、貰うニダ」
略奪と・・・・・・
きゃ〜!!!
「へっ、へへへ、ニダ〜」
・・陵辱・・・・・・
いやー!
「補償するニダ〜」
やめて!!!
「叫んでも無駄ニダ〜」
「それは、どうかな」 男の声
「「「「「ニダ!!」」」」」
ガチッ! ガチッ! ガチッ! ガチッ!
撃鉄の音と共に隠れ部屋から日本軍兵士が現れる。
v(^・^)v 「「♪残念でした〜♪」」 v(^・^)v
「・・・・引っ掛かったな」 にやり
「「「「「・・・・アイゴォ〜・・・・」」」」」 ショボ〜ン
朝鮮半島全土から軽犯罪を犯した数万人の朝鮮人男性が集められる。
「・・・諸君は、男として」
「いや、皇軍」
「いや、人類の至宝とも言うべき、選ばれた勇士である!!」
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「・・・・・・!?・・・・・・・・」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
「実に立派な男の中の男である」
「その尊い、熱情と熱血を日本国のため! いや、朝鮮のため!!」
「いや、人類全体のために生かさないのは、もはや、罪である!!!」
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「・・・・・・!?・・・・・・・・」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
「諸君は神より与えれた人類の至宝とも言うべき一物を持ち」
「それを生かす気概を持ち合わせている!!」
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「・・・・・・!?・・・・・・・・」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
「君たちは、男の中の男、素晴らしい朝鮮男児の誉れである!!!」
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「・・・・・・ニダ・・・・・・・・」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
「そして、海の向こうには男の中の男」
「君たち朝鮮男児を待ち焦がれている白人女性が大勢いる!!!」
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「アイゴォ 〜!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
「無知な白人女性たちは、男の中の男!!」
「朝鮮人男性を知らない、かわいそうな女たちである!!!!」
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「ごっくん!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
「諸君は、朝鮮民族の男として白人女性を屈服させた」
「男の中の男と称えられるのである!!」
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「アイゴィオオオ〜!!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
「立て、朝鮮男たちよ!!」
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「アイゴィオオオ〜!!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
「立て、万国の勇士!!」
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「アイゴィオオオ〜!!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
「アメリカに行きたいか!!!」
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「アイゴィオオオ〜!!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
「金髪が待ってるぞ!!」
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「アイゴィオオオ〜!!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
「金髪が呼んでるぞ!!」
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「アイゴィオオオ〜!!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
「白人女をねじ伏せろ!!」
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「アイゴィオオオ〜!!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
「白人世界に朝鮮を突き立てろ!!!」
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「アイゴィオオオ〜!!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
「白人世界に朝鮮を突き立てろ!!!」
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「アイゴィオオオ〜!!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
「白人世界に朝鮮を突き立てろ!!!」
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「アイゴィオオオ〜!!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
月夜裏 野々香です。
史実では、イタリアが降伏。ドイツも、日本も苦戦中。
『青白き炎のままに』
戦線は、何とか維持されているようです。
ミッドウェー海戦で勝ってしまうと、
ランチェスターの法則が働いて、少しは延命できそうです。
ランキングです ↓ よろしくです。
第23話 1944/04 『熱情の行方』 |