月夜裏 野々香 小説の部屋

   

仮想戦記 『青白き炎のままに』

   

 

  第24話 1944/05 『華寇の嵐』

 朝鮮半島

 深夜の森の中、朝鮮人たちがコソコソと集まる。

 手には、

 “アメリカ軍がサイパン上陸。日本機動部隊がマリアナ沖で全滅”

 “アメリカ軍の日本上陸近し。日本軍は敗北確実”

 “朝鮮独立万歳”

 と書かれた紙切れ。

 日本軍は、演習に出かけて不在、

 この地域一帯は空白地帯だった。

 「・・・・みんな、日本は、もうすぐ負けるニダ〜!!」

 「マンセー!!!」

 「マンセー!!!」

 「マンセー!!!」

 「日本を負けさせるニダ〜!!」

 「マンセー!!!」

 「マンセー!!!」

 「マンセー!!!」

 「サイパンが降伏したニダ!! 日本機動部隊は、全滅したニダ〜!!」

 「マンセー!!!」

 「マンセー!!!」

 「マンセー!!!」

 「日本は、なくなるニダ〜!!!」

 「マンセー!!!」

 「マンセー!!!」

 「マンセー!!!」

 「今度は、朝鮮が日本を支配するニダ〜!!!」 

 「マンセー!!!」

 「マンセー!!!」

 「マンセー!!!」

 「もうすぐ、アメリカ軍が日本に上陸するニダ〜!!」

 「マンセー!!!」

 「マンセー!!!」

 「マンセー!!!」

 「今度は、朝鮮人が日本人を支配するニダ〜!!!」 

 「マンセー!!!」

 「マンセー!!!」

 「マンセー!!!・・・」

 がちゃ! がちゃ! がちゃ! がちゃ!  撃鉄の音

 朝鮮人が集まりきると、隠れていた日本軍が現れる。

 「・・・アメリカ軍がサイパン上陸」

 「マリアナ沖で日本機動部隊全滅。良くできているだろう」

 日本軍将校が紙切れをヒラヒラさせる

 「「「「「「だ、騙したニダ!!」」」」」」

 「良く集まってくれたな」

 「君たちのような気概のある男たちを募集していたのだ」 にやり。

 「「「「「「アイゴォ〜」」」」」」

 「みんなに海外旅行をプレゼントするぞ〜♪」

 「「「「「「ニダ〜♪」」」」」」

    ※ 前のページと似たようなことが、繰り返されます。

 

 

 

 

 湿り気のある大気が海面より暖かいと霧が生じやすい、

 春から夏にかけてのベーリング海は、特にそうなりやすく、

 荒海の上に濃霧ということもある。

 こういう海域で役に立つのは、レーダーを装備し、

 荒海でも命中精度が落ちにくい大型艦だった。

 霧を突いて日本商船がアラスカ州に突入していく、

 「・・・・そろそろ、行くぞ!!」

 「ああ」

 日本兵はロープを伝って商船から伊号へと降り下っていく、

 いくら練習しても失敗することはあり、海に落ちれば死ぬこともある。

 5月のベーリング海は、それほど冷たい。

 商船は、全速で海岸に向かって突き進んでいく、

 最後の最後になって、船倉の鍵が開けられる、

 しかし、中国人と朝鮮人は外に出ても何もできなかった。

 前もって聞いていた武器庫から武器弾薬出し、握り締めるしかなかった。

 アメリカの島々は、レーダーが配置されている。

 ベーリング海には、

 戦艦ネヴァダ、ペンシルヴァニア、テネシー、

 戦艦カリフォルニア、メリーランド、ウェストバージニア。

 が配備されていた。

 しかし、いずれも要衝に配備され、

 戦略的価値の低い小さな港町や河川沿いの町まで行き届かない。

 例え、世界最強の最大の国力を持つアメリカ合衆国でも、

 戦略的価値の低い海岸線を全て守る戦力はなかった。

 日本のオンボロ商船が囮で使われ、

 小船が西オーストラリア上陸作戦で使われていた。

 今度は、中型商船が使われる。

 中型商船は霧靄の時化を突いて海岸に座礁し、

 腹を空かせた漢民族と朝鮮人が生き残るには、武器弾薬を持って船を降り、

 凍える前、餓死する前に村を占領するより道がなかった。

 アラスカ側も華寇作戦の可能性を考え、準備していた。

 しかし、上陸してきた朝鮮人と漢民族は、村の人口の数倍を超えていた。

 程なく、朝鮮人・漢民族とアラスカ州軍、住民との間で銃撃戦が始まる。

 ハングリーな朝鮮人・漢民族は、村を占領するほか生きる術がなく、

 数に任せて、地の利を知る住民たちの銃撃を押し破っていく、

 緊急の通信が次々とアメリカ海軍へ伝えられていく、

 華寇作戦が行われた地点は、20ヵ所に達し、

 商船から降りた華寇軍は、潜水艦や飛行艇で潜入する華寇よりはるかに多かった。

  

 

 戦艦ネヴァダ 艦橋

 アメリカ戦艦部隊に対し、

 アラスカ州の各地からSOSが送られてくる。

 「提督、既に20ヵ所に日本の船が乗り上げています」

 「ユーコン川を遡上した商船も3隻」

 「くっそ!!」

 「どうしますか? 小隊では守りきれないかと・・・」

 「ベーリング海側に艦隊を分派するのは危険だ」

 「戦艦部隊が動けば、間違いなくアンカレッジがやられます」

 「ハワイの機動部隊は?」

 「通信管制中です」

 「・・・こっちに向かっていると考えて良いのだろうか」

 「はい」

 「どのみち、この霧だ。空母は役に立たない」

 「日本軍め、船ごと突入させて来るとは気前が良いな」

 「兵站を考えていないのですから、華寇兵を一杯詰め込んでいるのでしょう」

 「日本は3000トン級商船20隻。この作戦で船舶を60000トン捨てたという計算ですよ」

 「いくら、大陸鉄道が完成したからといっても限度があるわ」

 「もっと、捨てる可能性もありますが」

 「戦況は?」

 「天候の回復を待ってカタリナ飛行艇、コロネード飛行艇に海兵を乗せて救援を向かわせます」

 「無理だな・・・」

 「潜水艦や大型飛行艇の作戦ではない。中型商船による片道上陸だぞ」

 「烏合の衆です。確実なのは艦隊で支援するのが良いかと・・・」

 「それくらい、わかっておるわ!!」

 「・・・・・・」

 「艦隊の半分を上陸地点に向かわせて掃討作戦を行う」

 「残りの半分は、現在の海域を離れるな、待ち伏せしてやる」

 指揮官には重圧がかかる。

 副官は、情報を収集し、整理し、適当と思われる具申をすれば良かった。

 しかし、決断を下し、その責任を取るのは指揮官だった。

 勝ち戦での決断は楽であり。

 負け戦での決断は、苦渋に満ちて目が血走る。

 半数まで減らされた艦隊で日本艦隊と戦うのは、例えレーダー射撃ができても危険だった。

   

   

 アラスカ州 村

 2000人以上の華寇軍が人口500人程度の村を襲撃する。

 村を占領しなければ凍死か。飢え死に。

 住人たちも占領されたら全てを奪われて凍死。

 どちらも命を賭けた銃撃戦だった。

 仮に占領したとしても華寇軍は人数が多過ぎて生き残れない。

  

  

 ワシントン ホワイトハウス

 大統領は世界地図を忌々しげに睨みつける

 「キチガイ猿がアラスカに上陸しただと!!」

 アメリカ大統領は、ノルマンディー上陸作戦を目前に水を差され、何度も吼える。

 「華寇軍は武器弾薬をほぼ消費し切っています」

 「戦車を付けた小隊を送り込めば殲滅できるかと」

 「なぜ、この情報が先に入らなかった!」

 「成都の国民党は何をしている」

 「まともな、訓練がなされていないのかもしれません」

 「村を占領できなければ生き残れない場所ですから・・・・生存本能で・・・」

 「おのれぇ〜!」

 「議会は日本を先にと・・・・」

 「空母戦力が揃っていないのに攻勢をかけられるか」

 「しかし、攻勢をかけなければ・・・・」

 「わかっておるわ!」

 日本海軍の艦隊とアメリカ太平洋艦隊の駒が太平洋の図面の上に並べられている。

 アメリカ太平洋艦隊は、総数で互角以上なのに外線で分散されて不利だった。

 アメリカ海軍が慣熟訓練で遅れていることも引かなければならない。

 日本海軍は内線にあって戦力で融通が利いて優位に思える。

 そして、日本海軍が攻勢に出られないのは、燃料不足、艦載機パイロットの不足。

 何より中国大陸の権益確保優先で戦争などしている暇はない。というところ。

 日本経済や物流など、かなり正確に予想されている。

 その多くが蒋介石・国民党を経由した情報だった。

 アラスカ上陸作戦も中国からの情報が間に合わなかっただけといえる。

 「イギリス機動部隊は?」

 「まだ、ドイツ戦艦を警戒しています」

 「さっさと爆撃して沈めれば、いいのだ。イギリス海軍のヘタレが!!」

 「北海の、この季節は発艦が困難です。もうしばらく、時間が必要かと・・・」

 「・・・・・」

 「それとノルウェーは、ティルピッツ、シャルンホルスト、ストラスブールを守るため」

 「防空戦闘機が配備されているようです」

 「ちっ! あんな、満足に爆撃もできないような場所においているのに何で迎撃機が必要なんだ」

 「戦艦を3隻も集めているからでしょう」

 「前回はメッサーシュミット30機以上に迎撃されて失敗したとか」

 「日本軍といい。忌々しいことばかりだ」

 「イギリスはジブラルタルで使うはずだった。大型爆弾を検討しているようです」

 「なぜ使わないのだ」

 「これから製造しているようです」

 「・・・エセックス空母で始末してやろうか」

 「まだ、慣熟訓練が進んでいません」

 「・・大陸反攻は?」

 「独ソ戦を検討してからですが華寇軍のアラスカ上陸作戦も視野に入れなければ・・・・」

 「おのれぇ〜 日本人め、根絶やしにしてやる」

 

  

 アッツ島

 視界の狭い薄靄の世界、

 備長炭の小さな火が唯一の暖房だった。

 テーブルに海産物の煮物が載せられていた。

 「これから白夜になっていく、作戦が吉とでるか、凶とでるか・・・」

 「吉は、村の占領で。凶は、降伏ですか?」

 「降伏すれば餓死だろう。食べて行けないだけの華寇を送り込んだ」

 「それに商船を60000トンも捨てたのだ」

 「戦果を出してもらわねば捨てた甲斐もない」

 「船主に合わせる顔もない」

 「痛手ですからね」

 「潜水艦用の罠で囮のオンボロ船舶を使い切っている」

 「小船も西オーストラリア上陸作戦で使った」

 「アラスカ上陸作戦は比較的まともな商船ばかりだ」

 「肉を切らせての戦いだな。骨かどうかわからんが」

 「骨というより皮膚だな。民主主義国家では致命的だが」

 「しかし、朝鮮・中国軍の奮戦を心の底から祈ることになるとは長生きするものだな」

 「次の作戦は?」

 「敵の出方、次第だ」

 「アメリカ艦隊がアンカレッジを離れれば、すぐに出撃するそうです」

 「潰しが利いて帰還を考えないで済むハングリーな兵隊が、これほど有効だとはな」

 「ですが日本も商船を失います」

 「商船なら建造できるよ」

 「中国大陸から、それだけの資源が送られてくる」

 「日本は、オンボロ船を一掃できて良いかもしれませんね」

 「こうなったらアメリカが “ごめんなさい” するまで華寇作戦を続けてやる」

 「時間稼ぎのためにですか?」

 「アメリカを怒らせているだけかもしれないが」

 「北アメリカ大陸の過疎地に旅団と戦車部隊を配備させてやる」

 「アンカレッジは、戦車が配備されていると考えられます」

 「アンカレッジの人口は、8000人弱だそうだ」

 「戦車の数次第だ。戦車砲で餓えた華寇軍を止める事はできないよ」

 「それも、アメリカ海軍次第ですね」

  

  

 

 東部戦線

 最前線であるにもかかわらず。イタリア陣地から湯気が出ている。

 「・・・ランランララ♪ ランランラン♪ ランランララ♪」

 「スパゲッティは、アルデンテ♪ スパゲッティは、アルデンテ♪」

 嬉しげなイタリア軍兵士たちが彼女の写真を見比べ、

 シラミを潰しながら昼食を待っていた。

 爆音が近付き、ウンカの如くシュトルモビク爆撃機が押し寄せ、爆弾を投下し、

 カチューシャと呼ばれるロケットランチャーが独伊・東欧軍防衛線に撃ち込まれた。

 爆風でスパゲッティの鍋が引っくり返り、

 イタリア軍将兵が総毛立ちし顔色が変わる。

 敵の夕食前、昼食前に襲撃するのは戦術で理にかなっている。

 普通の軍隊であれば食事が駄目になれば士気が低下しやすい。

 しかし、相手にもよる。

 スターリンは、間違いなく優れた戦略家だった。

 しかし、イタリア人の気質を読み違えた。

 地面に散らばったスパゲッティを見詰めるイタリア人兵士は、味方のドイツ人兵士を数歩退かせる。

 そして、T34戦車がイナゴのように押し寄せる、

 

 ソ連軍将兵が軍隊アリのように迫る。

 爆撃と砲撃が止み、前衛のイタリア軍将兵が頭を出した時、目の前にソ連兵が・・・

 といった戦況、

 対戦車壕が碁盤の目のように掘られていたが、

 T34戦車を改造した架橋戦車が即席の陸橋を掛け、

 T34戦車は、薄紙を破るが如く後方の塹壕まで突破し、

 イタリア軍陣地を蹂躙していく、

 しかし、縦深陣地は伊達ではなく、相互支援射撃は激しく、

 異様なほど鬼気迫るイタリア軍将兵の反撃を受け、

 爆撃と砲撃から生き残ったトーチカーとキングタイガー戦車を核に

 3号・4号戦車が反撃を開始した。

 ドイツ空軍も五月雨に襲撃を繰り返し、ソ連軍機を効率良く撃墜していく、

  

 

 キエフ

 ドイツ軍 司令部

 「始まったようだ」

 「いよいよですね」

 戦線から送られてくる通信を聞き、

 図上の駒が取り除かれ、あるいは動かされていく。

 シュトルモビク爆撃機がどんなに脅威でも航続距離800km。

 T34戦車の行動距離300km。

 例え、車掛かり的に押し寄せたとしても、

 飛行場は、前進させなければならず。

 T34戦車も補給しなければならず、移動距離に比例して整備も増える、

 ソ連軍の進撃は、ドニエプル防衛線に近付くまでに疲弊していく、

 「・・・イタリア軍は思ったより、粘るじゃないか」

 「前線から至急、スパゲッティとピザを送るようにと・・・」

 「そりゃ ドイツ料理より、イタリア料理が美味しいだろうがね」

 「その方がイタリア軍の戦意が保てるとのことです・・・・」

  

  

 米英戦略爆撃部隊の1000機爆撃が昼夜問わず、都市爆撃で押し寄せた。

 カムフーバー・ラインの警戒レーダーが爆撃部隊を補足すると、

 対空砲火が撃ち上げられ、コンバットボックスが切り崩されていく、

 夜間であれば、サーチライトが爆撃機を照らし、夜間戦闘機ハインケルHe219が飛び立ち、

 昼間であれば、メッサーシュミット、フォッケウルフが必死の防空で飛び立っていく、

 アメリカとイギリスは、圧倒的な飽和攻撃でドイツ空軍をねじ伏せようとし、

 ドイツ空軍は、数倍の戦略爆撃部隊に対し、突撃を繰り返した。

 数十条の黒煙が地上に向かって棚引き、

 都市は燃えていた。

 

 1機のメッサーシュミットがB17爆撃機を撃墜すると、僚機にバンクしてみせる。

 「引き揚げるぞ」

 『中尉・・・』

 「もう、弾が無い」

 『・・・・・』

 被弾しても無理をすれば戦える。

 しかし、燃料と弾がなくては補給するしかない。

 無差別な都市爆撃は、市民生活を破壊していく、

 家、橋、職場が破壊され、

 通信、食料、水などの社会生活が営めなくなっていく。

  

 

 ベルリン 日本大使館

 数人の男たちが空を見上げていた。

 爆撃の音が響いてくる。

 そして、時折、戦闘機と爆撃機が撃墜され、都市に落ちて爆発する。

 「・・・凄いな」

 「大使。日本は、大丈夫ですか?」

 「・・・いまのところ日本の防衛線は、維持されているようです」

 「日本は、防衛線どころか、アラスカに上陸したとか」

 「小さな村です」

 「それに上陸したのは、朝鮮人と漢民族」

 「それも同族からも鼻つまみ者、厄介者ですよ」

 「アラスカの村人たちを皆殺しにしていると聞いてますが」

 「住人たちどころか、住人たちの3倍くらいの人間を上陸させたのですから」

 「これから気候が良くなっても全員が生きていける可能性は低いはずです」

 「じゃ・・・・・」

 「食料を巡って、味方同士でも、いさかいが起こるでしょう・・・・」

 「そういった兵隊が欲しいですな」

 「囚人ですよ。そして、元敵兵」

 「もっとアメリカ大陸へ上陸させていただきたいです」

 「できるのであれば、そうしますが工作機械が不足気味でして、なかなか」

 「可能な限り、日本に工作機械を供給できるように手配しますよ。技術者と職人もね」

 「それは助かります」

 「しかし、東部戦線が大変なのでは?」

 「アメリカ本土上陸作戦ができる日本に投資するのです」

 思想、人種、民族、宗教、文化、言語、歴史で、アメリカとドイツは同根といえる。

 しかし、日本とアメリカの関係は全てにおいて異質、

 そして、最悪の状態で憎しみ以外の感情が入り込む余地はなかった。

 ドイツ人は、アメリカが日本憎しで見境がなくなれば、講和を結べるかもしれないと計算する。

 もちろん、この計算は、枢軸国だけでなく、連合国側でも計算されていた。

 そして、可能性だけならあった。

 要は、国民感情など、パラメーターの数値次第。

 問題は、数値をどう判断するかによって戦略が変わってくる。

 「問題は、日独連絡が困難なことでしょうか」

 「確かに・・・ですが、不可能ではない」

 「まぁ 日本は、ドイツの工作機械が、あれば、巻き返しも、できるでしょう」

 「そして、有能な技術者と職人がいれば、それだけ日本は強国になるということですな」

 「しかし、国家の優劣を決めるのは科学技術ではない」

 「資源ですか」

 「いや、想像力だよ」

 「そして、日本軍は科学技術と資源で劣勢であるにもかかわらず」

 「想像力で戦線を維持している」

 「買い被りですよ」

 「国民の勤勉・勤労と重い負担」

 「そして、アメリカとの距離が遠いだけでしょうか」

 「ドイツの科学技術で支援すれば、その距離は、さらに広がるでしょう」

 「しかし、ドイツが苦戦するのでは?」

 「アメリカ本国に敵兵が上陸していれば、欧州反攻は、それだけ遅れることになるでしょう」

 「確かに」

 日本側も、ドイツの意図に気付いている。

 しかし、どういった支援であれ。

 米独講和は、難しく、

 日米講和は、さらに困難と計算していた。

 

 

  

 アラスカ州の村

 村を占領した朝鮮・漢民族のすることは決まっている。

 住人の多くが殺されるが、朝鮮・漢民族の死体の方が多い。

 男の断末魔と女の悲鳴が村に響く、

 残っているの女ばかりで略奪と陵辱と殺戮・・・

 「もっと食料が必要ニダ」

 「もう、弾薬が、ほとんど残っていないある」

 「シャケを獲るニダ」

 「日本人ケチある。もっと武器弾薬が欲しいある。弓でも作るあるか」

 「熊を狩るニダ」

 「!? 熊と、する、あるか?」

 「な、何を言うニダ」

 「朝鮮人は、熊にヨモギとニンニク20個を100日間、食べさせて」

 「太陽の光を見せなければ人間になると信じているある」

 「そ、そんなことないニダ」

 「朝鮮人なら熊とやって見せるある。グリズリーがいるある」

 「こ、殺されるニダ、駄目ニダ」

 華寇軍

 それらしい人間に階級が付いてるが統制力や強制力は弱く

 軍としての組織や統率はなかった。

 数に任せた自分本位な戦いで村を占領していた。

  

  

 アメリカは、民主主義の国だった。

 戦略拠点でないからといって、国民が殺戮され凌辱される

 といった状況を放置できない国家であり軍隊だった。

 上陸作戦部隊が編成され、華寇軍が上陸した地点へ救援に行く、

 仮に手遅れだとしても国民から選出される大統領と議員は納得しない、

 そして、アメリカ軍将兵も同じだった。

 そのことがアメリカ海軍に隙を作らせ、追い詰め、

 対日反攻作戦を遅らせてしまう。

 補給をまったく考えない片道特攻の華寇作戦と、

 輸送と補給を綿密に計算しなければならない上陸作戦は、負担が、まったく違う。

 そして、政治的に受ける圧力もまったく違った。

 

 建前的に華寇軍は、アジア救世軍。救国の英雄兵士。

 本音は、華寇軍が全滅しても、元々、反動分子や犯罪者ばかり、

 いなくなって嬉しい。

 少しばかり良識と良心が痛むだけ、

 日本・中国南京政府ともに痛手がなかった。

 「おまえたちの尊い犠牲は無駄にしないからな!♪」

 「君たち救国の英雄兵士のことは、永遠に忘れないある!♪」

 人間性を捨てた作戦だった。

  

  

 日本軍の攻勢は、華寇作戦と風船爆弾に集約されていた。

 女学生の作った風船爆弾が黄色い声援とハンカチに見送られて空に上っていく、

 後ろの方で数人の技術将校が見上げる。

 「試作したケ号爆弾は上手く作動するかな」

 「一応、確認はしたんだろう」

 「熱源感知器は進行方向側に向けている」

 「速度と放物線の計算は適当だが、たぶん当たるかもしれないな」

 「たぶん、か・・・・・心もとないな・・・」

 「元々、そういう、兵器だから」

 「そういえば最近、コンニャクを食ってないな」

 「戦地で、作っているそうだ」

 「コンニャク芋?」

 「ああ、南の方は自給自足が進んでな」

 「軍組織で階級差別は大きいが貧富の格差は少ないそうだ」

 「良いような、嫌なような」

 「アラスカ上陸でアメリカの反攻は北を向くかもしれないな」

 「北海道が前線になるかもしれないぞ」

 「それなら武蔵が使えるかもしれないか」

 「陸軍が燃料をくれたらな」

 「いや、油送船の都合がつかないんだろう」

 「何か作戦をやるたびに燃料がなくなるからな」

 「ところで独ソ戦は何か言ってきたか」

 「ドイツ軍が後退しているとしか、聞いてないな」

 「東部戦線は、史上最大の陸戦だそうだ」

 「そりゃ凄い」

 

 

 アラスカに配備されたアメリカ戦艦部隊の半数が分派し、

 華寇軍を掃討していた。

 しかし、主力艦隊は、アンカレッジなど要衝から動けない、

 龍田、

 球磨、多摩、木曾。

 長良、五十鈴、鬼怒、阿武隈。

 那珂、川内、神通。

 夕張。

 日本海軍の旧式軽巡12隻は、霧の中、

 海図とコンパスと定規で計算しながら突入していく。

 濃霧で時化模様でも高速である方が望ましかった。

 レーダーで霧の中を走る軽巡を追撃し、

 撃沈できる艦艇はアメリカ海軍艦艇でも限られる。

 日本艦隊は、アメリカ機動部隊と基地航空部隊を陽動と天候を利用して煙に巻き、

 アメリカ戦艦部隊の警戒網を霧と時化を利用し掻い潜っていく、

 軽巡の艦内は華寇軍が詰め込まれ、

 アラスカ太平洋側の海岸線へと突進していく、

 元々、1隻や2隻、撃沈されても構わないといった作戦だった。

 艦橋

 霧と時化の中、明かりを照らす突起物を見つめる。

 「・・・艦長・・・予定の海域で、伊号を発見しました」

 「そうか、速度を落として伊号と併走。乗員を乗り移らせろ」

 「了解」

 「陸地まで近いぞ、訓練通り潜水艦に乗り移るんだ」

 「はい」

 潜水艦と大型飛行艇で上陸できる人数は100人以下、

 そして、アラスカ太平洋岸の村は、100人以下の華寇軍に備えられていた。

 しかし、船で片道上陸させられた華寇軍は、その十倍以上の兵力であり、

 村々は、華寇軍によって占領されていく、

  

       

 揚子江

 朝鮮学校 朝鮮文化歴史教科書

 朝鮮人が鼻歌交じりに教科書を創作していた。

   「・・・朝鮮民族は、欧米諸国に抑圧されたアジア諸国と黄色人種を解放を目指したニダ。

   日本民族・漢民族と共に豪州・北アメリカ上陸作戦に自主的に参戦したニダ。

   華寇軍主力として勇戦したニダ。

   華寇軍は、アジア救世軍。アジア諸国最強の精鋭部隊として組織されたニダ。

   華寇軍の選考基準は高く、エリート中のエリート、ニダ。

   日本民族より、肉体的優位性が認められる漢民族と朝鮮民族が多数を占めたニダ。

   朝鮮民族は、アジアの誇りと黄色人種全体の自尊心を守る為。北アメリカと豪州に上陸したニダ。

   このことは、朝鮮民族史の自尊心と誇りニダ」

 「・・・・・むふっ♪ で〜きたニダ♪」

 「い、いいのか。これ」

 「子供たちは、目を輝かせているから良いニダ♪」

 「・・・・なんか、日本人が肉体的劣勢というのが気に入らないな」

 「自尊心は大切ニダ。書かないけど日本人の頭脳的優勢は認めるニダ」

 「書けよ」

 「朝鮮民族史に干渉しては、いけないニダ」

 「・・・ず、ずるいな」

 「良いニダ。朝鮮半島のことは、不問にするニダ」

 「・・・・」

 『嘘付け』

 大国と準大国の国民は、持ち前の国力を振り回しやすく力の心棒者になりやすい。

 しかし、小国は、大国と準大国の覇権に翻弄されやすく、

 他力本願なバランス感覚を自然と学び利用する。

 朝鮮民族は、揚子江で独自勢力を形成しつつ、

 漢民族と日本民族の間で駆け引きを感覚的に掴み始めていた。

 そして、朝鮮民族存亡と直結する揚子江開発は予想より進んでいた。

 揚子江沿の鉄道もトロッコが多かった路線に機関車が増えていく、

  

   

 アラスカ太平洋岸に乗り上げられた軽巡から餓えた華寇軍が降りてくる。

 食料は村にしかなかった。

 軽巡に仕掛けられていた爆弾が爆発し、

 華寇軍は、急き立てられた様に村に向かっていく、

 

 


 月夜裏 野々香です。

 史実は、航空機による特攻でした。

 『青白き炎のままに』では、商船による特攻です。

 因みに乗っているのは爆弾ではなく。華寇軍。中国人、朝鮮人ばかり。

 華寇作戦が成功するか・・・・

 要衝でない海岸に突入ですからアメリカ軍も守りにくそうです。

  

  

 日本の商船喪失

 輸送作戦中の商船損失より、

 囮船、西オーストラリア上陸作戦、アラスカ上陸作戦の乗り上げ船が多いようです。

 このため、史実とほぼ同じくらいのトン数を失っています。

 大陸鉄道があること、

 優良商船が比較的多く残っているのが救いでしょうか。

 そして、史実より、戦時標準船で大型が多く、

 建造数も多いことでしょうか。

  

 

  

      

 

 

   

 

ランキングです ↓ よろしくです。

NEWVEL     HONなび

長編小説検索Wandering Network

 

誤字脱字・感想があれば掲示板へ

 

第23話 1944/04 『熱情の行方』

第24話 1944/05 『華寇の嵐』

第25話 1944/06 『さだめに、はむかうニダ♪』