月夜裏 野々香 小説の部屋

   

仮想戦記 『青白き炎のままに』

   

 

第32話 1945年01月 『もう、弾。ありません〜』

 肌寒いどんよりとした雲、雪が降りそうで、まだ降っていない。

 ドイツ空軍基地

 滑走路の脇

 こん! こん! こん!

 はぁ はぁ はぁ

 こん! こん! こん!

 はぁ はぁ はぁ

 年が明けたパリの空の下

 金髪の女神と黒髪の魔女が正月らしく、羽子板で遊んでいる。

 なぜ羽子板なのかというと

 “イギリスのテニスなんかイヤよ” と、アイリスが突っぱねたから。

 「・・・マイ。日本の男って、どうなの?」

 こん!

 「威張っている」

 こん!

 「威張っているんだ。似てる」

 こん!

 「強い者、金持ちに媚びるわ」

 こん!

 「そういうのは、あるかも・・・」

 こん!

 「長いものに巻かれて、事なかれ主義」

 こん!

 「・・・そこは、少し違うわね。自分の意見を言うもの」

 こん!

 「・・・良い男がいるの?」

 こん!

 「これでも金髪の女神なんだから選り取りよ。あんたもね。黒髪の魔女マイ」

 こん!

 「そう」

 こん!

 「なんなら、マイに身持ちの良い男を捜してあげようか」

 こん!

 「戦争しているのに?」

 こん!

 「戦争しているから刹那的に快楽を求めるのよ」

 こん!

 「そう」

 狭い空間で割安に遊べることから基地周辺に羽子板遊びが広がる。

 そして、空襲警報のサイレンが流れる。

 「正月ぐらい、休めば良いのに・・・」

 「そう・・・焦っているのね」

 科学技術力も物量も、運も、差があり過ぎると

 個人の努力と足掻きを徒労にしてしまう。

 Me262戦闘機は並みのパイロットでも、

 ベテランの駆るムスタングを撃ち落すことができた。

 背後に付かれたら教えられたように加速しながら上昇して旋回し、

 ムスタングの後ろに付いて標的をターゲットスコープの照準に合わせ、銃撃、

 30mm砲弾がムスタングの右翼が千切ってしまう、

 ムスタングは錐揉みながら落ちていく、

 「やったぁ〜 撃墜♪」

 「ええ、3機撃墜」

 「でも、マイ。良い男なのに・・・“もったいない” な・・・」

 マイが稚拙なドイツ語で1時間かけて説明した “もったいない” が使われる。

 「良い男と決まっているの?」

 「決まっているわよ!」

 「パイロットっていう人種はね。エリートなのよ」

 「そう」

 Me262戦闘機は、ムスタングより時速150km以上速く、加速性能もよかった。

 最強の戦闘機は戦術さえ間違わなければ撃墜されない、

 金髪の女神と黒髪の魔女は性能の差で航空戦技能を補って撃墜マークを増やしていた。

 それでも生き残って突進していくB17爆撃機の都市爆撃で瓦礫の山が作られていく、

 しかし、フランス本土は、フランス人を味方にしたいのか、

 戦略拠点だけが爆撃されていた。

 そして、アメリカとイギリスの戦略爆撃部隊の物量にドイツ空軍も圧倒されていく、

 質で勝つといわれるドイツ空軍も弾薬が尽きれば、ただの飛行機でしかなく、

 圧倒的な制空能力を持つMe262ジェット戦闘機と、

 Ta152戦闘機は、諸事の事情から主力になれず。

 メッサーシュミット、フォッケウルフは主力戦闘機であり続け、

 ムスタング、サンダーボルト、スピットファイアと良い勝負で、数で負けていた。

  

  

 黙示録 

 天で戦いが起こる。ミカエルとその御使たちが、龍と戦う。

 龍と、その使いたちは、応戦したが勝てなかった。

 そして、天に彼らのいる所がなくなる。

 この巨大な龍は、悪魔とか、サタンとか呼ばれた。

 全世界を惑わす年を経たへびは、地に投げ落とされ。

 その使いたちも、ともに投げ落とされた。

 

 

        ※ 戦線は赤線です。

 

 フランス戦線

 大陸反攻を果たしたものの、連合国の橋頭堡は、それほど伸びていない。

 連合軍は、地中海から戦力を割き、ノルマンディ上陸作戦に戦力を集中していた。

 ドイツ軍は冬季を利用し、東部戦線の戦力を西部戦線に転戦させる。

 さらにフランス南部の利権を代償にイタリア軍まで動員し、

 戦力を集結させてしまう。

 紆余曲折の攻防戦の後、

 ドイツ軍は、米英軍の進撃を押さえ込んで一息ついていた。

 

西フランス  アメリカ航空基地

 パイロットと整備士が集まっていた。

 「容姿で選んだだけあって美人だよな」

 「金髪も良いけど、黒髪はミステリアスだよな」

 中立国を経由してプロパガンダ雑誌が入手できた。

 「“漆黒” って、言うんだぞ」

 「“漆黒?” 良く知っているな。ニコル」

 「こういう色合いの黒髪を “漆黒” というんだ」

 「日系アメリカ人が言ってたぞ」

 「あいつら大丈夫か?」

 「この写真見て里心出さないだろうな」

 「親類縁者が人質だろう」

 「親類縁者より、黒髪の女だったりして・・・」

 「後進国は、総じて身内意識が強いから、そこまで行かないだろう」

 「それに日本人が魅かれるのは金髪の方だよ」

 「そ、そうなんだよな」

 「あいつら華寇作戦なんてやりやがって殺してやる」

 「西海岸の連中は、とんぼ返りしたらしいな」

 「そりゃ そうだろう」

 「華寇軍の一部は、中央アメリカにまで足を伸ばしているって言うし」

 「だけど、俺たちもジェット戦闘機が欲しいな」

 「サンダーボルトがいくら頑丈でも撃墜されるよ」

 「シューティングスターって、あるんじゃないか。前線に持ってくれば良いんだ」

 「技術をドイツに教えたくないんだよ」

 「ドイツ人は、技能に酔って 世界一〜!!! だからな」

 「アメリカ人は、採算優先だから兵站が揃うまで後回しじゃないか」

 「合理的に味方を殺すなよ」

 「採算取れないと、会社が潰れるし・・・」

 「実験機だろう」

 「気がついたら欠損で大量のベテランを事故死させたら引責問題になるからね」

 「ぅぅ・・・パリは、遠いなぁ」

 「フランスのパルチザンも根性ねぇな」

 「フランス人は、ベラルーシとか、ポーランドに強制移民させられているんじゃないか」

 「それにイタリア軍が南フランスをしっかり押さえている」

 「イタリア半島がロンメル軍に押さえられているのに、なに考えているんだか」

 「だけど・・・やりてぇなぁ〜」

 「ん・・どっちと?」

 「どっちも〜♪」

 「じゃ 間違って彼女たちを撃墜しないようにしないと」

 「間違って殺したら、味方に復讐されるぞ」

 「「「「・・・・」」」」 くすっ

 「大丈夫だろう、離着陸のときか、事故以外で、Me262が墜落することないから」

 「よ〜し、戦争が終わったら〜♪ 求婚しようかな」

 「おいおい。ニコル」

 「こういう美人に求婚しないのは犯罪だぞ」

 「そういうものか〜 性格は?」

 「性格が悪かったら使い捨て」

 「あっ そう」

 『『『『『『『『おまえの性格は〜!!!』』』』』』』』

 

  

 

 

 国力が小さいは “何も” できない現実を突き付けられる、

 仮に “何か” をできたとしても時間が必要で、

 さらにタイミングすらも失いやすく、計画はずれ込んでいく、

 その間に有力な相手に予測され、

 手の内を調べられて、不利な状況へ追いやられていく、

 国力が大きい事は選択の自由が得られるということに尽きる。

 弱小国の日本は、華寇作戦、風船爆弾で時間稼ぎをしながら反撃を準備していく、

 もっとも時間稼ぎで国力が削がれてしまうのも、小国の悲哀といえる。

 その上、東南海地震で軍需産業がやられて泣きっ面に蜂、

 もはや天運も尽き果てた心境になりやすい、

 農業国で少ない資本、少ない人材、少ない資材が戦線の拡大とともに薄められ。

 戦いで摩り減らされ消耗していく、

 農民上がりで教育も受けていない若者に、

 船を動かせといっても早々できるものではない。

 「これ、くれっさ」

 「コンプレッサー」

 「ポ、ポンプ」

 「おう」

 「んん・・・シ、シャフト」

 「おう・・さ、触るな! あぶねぇ」

 「バブル」

 「バルブだよ!」

 「ぼくら」

 「ボイラーだって」

 「ぅ・・・・酔った・・・」

 !?

 「げっ〜!」

 「「「「・・・・」」」」

 たとえ、新型商船が出来上がっても、すぐに船はすぐ動かせない。

 機関室のやり取りは、悪夢でなければ、三文芝居か、ドタバタコメディか、という光景で

 上層部を呆れさせてしまう。

 「・・・駄目だ、こりゃ」

 「貧乏だと余計に人を雇えないから精鋭化する」

 「徴兵すると士気が低下しモラルも失いやすくなる」

 「精鋭化すると練度が高いが、やられたときの打撃が大き過ぎる」

 「いまが、そうだな」

 「作戦不能だよ」

 「軍艦と鉄道に比較的マシな人材を取られ過ぎているからね」

 「軍艦より、人や物を運べる輸送船を優先して欲しいな」

 「そういえば、鉄道の本数を増やすとか、言ってたな」

 「大陸に資本投資するからだろう」

 「酷い地震だったからね」

 「大陸にしか日本の未来が無いんだよ」

 「金に目が眩んでいるだけじゃないか」

 「そういうのは戦争が終わってからやれよ」

 「未来を塞がれて絶望したから戦争になったの」

 「戦争で勝って初めて未来を切り開けるの」

 「そんなに金が欲しいのか」

 「江戸時代に戻りたいか?」

 「そこまではイヤだけど」

 「ハルノートが、それだよ」

 「大陸からの上がりは物凄く大きいから日本も国運を賭けたくもなる」

 「勝てば良いけどね」

 「負けないだけでも良かったりして」

 「エゴと面子だけで戦争するなよ」

 「むかしから、エゴと面子で戦争してきたのに、いまさら、やめられるか」

 「臥薪嘗胆しろよ」

 「政治家は臥薪嘗胆できるけど、軍事政権は戦うのが本懐。無理」

 「ところで地震からの再建策は?」

 「んん・・・・」

 「見込み立たずか」

 「ドイツ製の工作機械が東京と呉に集まっているのが幸いしたね」

 「資源が得やすい、半島への移転も進んでいたし」

 「ふっ 不幸中の幸いで慰められるか」

 「良いんだよ。負け犬は引き篭もって自己満足で拗ねたって」

 「アメリカ軍に占領されなければね」

 「半島の完全接収は?」

 「もう、ヤクザな朝鮮人しか残っていなかったからね」

 「軍隊で押し切った」

 「やれやれ」

 「どちらにしろ工業力の底上げどころか底揃えかな」

 「ふっ」 涙

  

  

 呉港

 ドイツの新型Uボートが来航していた。

XXI型

排水量(t)

(水上/水中)

全長×全幅

(m)

吃水(m)

馬力(hp)

最大速力(kt)

航続力(kt)

最大潜航深度

魚雷 乗員

1621 / 1819

76.7×8.0

6.32

4000 / 4400

15.6 / 17.2

15500 / 10

340 / 5

280

6 × 23本 57〜60

 「・・・凄い潜水艦なのかな」

 「凄いと思うよ」

 「水中速力と行動力、最大潜航深度。どれも、生存性が向上する」

 「建造するのか?」

 「そりゃ 潜水艦として、一つの理想だからね」

 「乗り気じゃないね」

 「日本海軍が必要なのは、通商破壊ではなく華寇軍の輸送艦だからね」

 「たくさんの燃料と人を乗せられる。伊号がいいか」

 「斬減作戦で主力艦も狙えず、通商破壊で卑怯な輸送船狙いも止めて」

 「さらに卑劣な華寇作戦で海賊紛いの手伝いか」

 「モラル保てねぇ」

 「陸軍が主導権を握ってから、ろくなことが無い」

 「しかし、いずれは、伊号サイズで、XXT型の拡大改良型だろうね」

 「潜水艦は数で飽和攻撃、群狼作戦が基本だろう」

 「数に作戦行動時間をかけないと」

 「それと数を揃えるだけの工業力が無いのが悲しいね」

 「しかし、コレだけの性能なら護衛艦隊を出し抜いて輸送船や空母を撃沈できないか」

 「そうだな・・・」

 「華寇作戦ばかりやっているから伊号撃沈は少ないし」

 「乗員は、それなりにベテランが残されている」

 「華寇作戦から通商破壊作戦に切り替えるのもアリかもな」

 「んん・・・」

 「大地震で工場がやられたとか言ってたし」

 「もっと卑劣な作戦に切り替えられたりしないだろうな」

 「さぁ・・・」

  

  

 深緑色に赤い円が描かれたMe262戦闘機が日本の空を飛ぶ。

 日本人パイロットは狂喜するものの、現実は甘くない。

 諸事の事情から量産不可認定が出されていた。

 同様に送られてきたTa152戦闘機も量産不可認定。

 どちらもエンジンが製造できず、

 機体のいくつかの重要な機構も製造不可だった。

 無尾翼全翼機設計Ho229の設計図まで来ていた。

 こちらも同様の理由で製造不可。

 日本のドイツ製工作機械は工業基盤の底上げに使われ、

 先鋭化に回すだけの余力も数もなかった。

 「この機体なら勝てるのにな」

 「妄想じゃ 勝てんよ」

 「現実に飛んでいるじゃないか」

 「作れたら現実。作れなければ、それは妄想という」

 「アメリカは、P80シューティングスター。F8Fベアキャットを試作生産しているそうだ」

 「隼V型じゃ 絶対に勝てん。海燕もカモだ」

 「ジェット機に乗ると。もう数とか言うレベルじゃないな」

 「まず、航空機より工作機械と工員を増やすことだな」

 「それ以前に発電機、設備投資、インフラ」

 「日本の夜明けは遠いな」

 「地震で遠のいたからな」

 「戦争に負けたときが日本の夜明けだったりして」

 「違うね。軍事政権が崩壊したときが夜明けだよ」

 「戦争に負けるくらいなら軍事政権に投げてもらいたいね」

 「あいつら権力に意地汚く、しがみつくからな」

 「権力を手放すくらいなら日本を道連れに潰すよ」

 「だんだん、抹殺してきたくなった」

 「一応、愛国心で、お国を守る為に働いている軍人さんなんだけどね」

 「ふ 冗談、アレルギー反応を超えてアトピーが癌化しているんだよ」

 「しかし、軍事政権が倒れても反動で拝金主義じゃな・・・」

 「日本人って、政治家、財界、官僚、暴力団で癒着するから」

 「わかっちゃいるけど、保身と地位を守ろうとすると癒着するんだよね」

 「最悪でも中国・華僑資本の侵蝕は防ぎたいがね」

 「それ無理」

 「新興企業とか、日本国内で金を借りられないと、当然、中国・華僑資本を頼る」

 「なんか、いやだな」

 「制度的に押さえようとすると本当に中国・華僑へ流れていくよ」

 「水は低きところへ流れ、か」

 「日本が、これだけ工業化したのも欧米に対して同じ事をしたからだろう」

 「それ以上のうまみがあったとしても侵蝕されるか、吸い取られるかだね」

 「7割勝ち、くらいなら許せるよ」

 「取引としては、かなり悪どいな」

 「あいつら商魂たくましい上に人口5億も抱えている」

 「搾取出来る人口も10倍以上」

 「同じレベルでやってたら、こっちが押し潰されるよ」

 「少なくとも地震のおかげで日本の再構築に国力が注がれて良いじゃないか」

  

  

  

 

 寒いところもあれば熱いところもある。

 赤道付近は、やはり暑かった。

 二式大艇が港湾を滑走しながら着水する

 航空機で届けられるモノは、付加価値が高く貴重なものが多い。

 「例の物は?」

 「コレです」

 「本当に役に立つのかね」

 「ビルマ戦線で確認済みです」

 「・・・そうか」

 シンガポールから厳重に包装された秘密兵器が届いた。

 将校たちが期待を込めて見詰め、

 そして・・・開いた・・・

 「ちっ!」

 「くっ、腐ってやがる」

 「ぅ・・・だ、駄目だ」

 ・・・うぅあああ!!

 将校たちが兵舎から飛び出していく、

 “つわもの” と、評価されている将校たちも、いやなものは、いやなのだろうか。

 「・・・なぁ コレ本当に植えるのか?」

 「だ、駄目だったら駄目で良いんじゃないか」

 「まぁ 木が大きくなる頃には、平和になっていると思うけど」

 「食生活の充実は重要だけどね。好き嫌いあるよ」

 「普通の人間はタマネギの腐ったような果物はイヤだよ」

 「少なくとも室内では食えないよね」

 「そうだよ。敵に即バレじゃないか」

 「いや、沿岸部に植えて、上陸してくる敵の戦意を削ぐって」

 「なんて卑劣な」

 「中国軍が考えたんだろう」

 「ろくなこと考えないな。あいつら」

 「アメリカ軍が毒ガスと勘違いして毒ガス攻撃したら、どうするんだよ」

 「いや、普通、臭いの元くらいわかるだろう」

 「普通にパイナップルとか、パパイヤとか、マンゴとか、バナナとかが、良いんだけどね」

 「だから沿岸部に植えて防衛の足しだろう」

 「次点が本土行きのコーヒー豆。ほかは、次いで山岳部に植える」

 「でも道路沿いにドリアンは不味いよ。反撃するし」

 「道路沿いは爆撃でやられるとイヤだし、検討中じゃなかったかな」

 「姑息に平和だね〜」

 それなりに大きな島は、自給自足が進み、飢餓と無縁だった。

 しかし、食で多様さを求めるのは、人間の欲望で、

 まともな意見であれば通り、便乗も通ったりする。

   

 

 満州

 薄暗い部屋

 テーブルを挟んで、二人の男が向かい合っていた。

 一人は、一人を恨めしげな目で見ていた。

 「酷いニダ。日本人は、朝鮮半島を侵略したニダ」

 「いや、それは違う、元々、日韓併合は・・・」

 「侵略したニダ!!!」

 「いや、だからね。朝鮮側の一進会代表が・・・」

 「違うニダ!! 違うニダ!!! 日本人が、侵略ニダ!!!」

 「い、いや、違うから」

 「違わないニダ!!」

 「朝鮮人を半島から追い出したら日本人にしてくれるといったニダ!!」

 「日本人が騙したニダ!! 騙したニダ!!!」

 「だ、だから大東亜共栄圏をね。五族協和圏をね」

 「嘘ニダ!!! 騙したニダ!!! 日本人嘘つきニダ!!!」

 そこに、もう、一人の日本人が部屋に入ってくると 

 がたっ!! どたっ!! がたっ!! どたっ!! 

 朝鮮人を蹴り倒す。

 「い、痛いニダ!! 侵略民族の日本人が蹴ったニダ!!」

 「やかましい! 侵略したんだよ! 日本は朝鮮を侵略したんだよ」

 「ひ、酷いニダ!! 侵略したニダ!!」

 「そして、半島から朝鮮人を追い出したんだ。文句があるか!」

 「ひ、酷いニダ!! 奪ったニダ!!」

 「自分の国を守れなかった。おまえたちが酷いんだ」

 「先祖が泣いてるな」

 「バカな子孫で、ごめんなさいと先祖に謝るんだな」

 「酷いニダ〜 ご先祖様に申し開きができないニダ〜」

 「酷いのは、おまえだ!!」

 「日本の女ばかり狙って強姦しやがって」

 「そ、そりは・・・ニダ・・・・日本の女が誘ったニダ・・・」

 「ほぉ〜 さぞ、喜んだだろう」

 「それは、もう、泣いて喜んだニダ〜♪」

 「金持ちや旧華族のご令嬢を狙いやがって玉の輿にでも乗るつもりだったか?」

 「そ、そうニダ〜♪ 男の魅力で捻じ伏せたニダ」

 「ふざけんな。このバカたれが!! 3人も自殺させやがって!!」

 「ふ、腹上死だったニカ?」

 「・・・わかった」

 「おまえの様な豪傑が行く、ふさわしいところに送ってやる」

 「地獄は、いやニダ!!! 地獄は、いやニダ!!! 地獄は、いやニダ!!!」

 「天国だよ」

 「天国も、いやニダ!!! 天国も、いやニダ!!! 天国も、いやニダ!!!」

 「・・・要塞建設」

 「要塞も、いやニダ!!! 要塞も、いやニダ!!! 要塞も、いやニダ!!!」

 「じゃ アメリカはどうだ」

 「行くニダ〜♪」

 「あ・・・そう・・・」

 「連れて行ってやれ、最近は、2、3日、一眠りで、アメリカに着けるそうだ」

 「う、嬉しいニダ。自由ニダ。白人女性ニダ」

 「きっと生まれる子供は、日本の総理大臣ニダ。アメリカ大統領ニダ!」

 「良かったな」

 「嬉しいニダ♪」

 看守に連れられ、朝鮮人は、嬉しげに去っていく、

 「万に一つは、生き残りますかね」

 「さぁ〜 50時間くらいだから、仮死状態で運が良ければな」

 「まぁ 少なくとも朝鮮人は、日本人に復讐する権利くらいあるだろう」

 「結局、日本人は半島を奪うのですから。そうでしょうけどね」

 「ここまで来たら奇麗事抜きで、ねじ伏せるしかないか」

 「この満州国も、ですか?」

 「はぁ〜 大陸に利権を持つということは、そういうことなんだろうな」

 「半島ならいいようにできても、満州国だと、どうもね」

 「まだ、奇麗事だからな。ここは・・・・」

 「奇麗事を言っているうちは漢民族にも、朝鮮民族にも付け込まれますよね」

 「だよな・・・」

 「漢民族が、うじゃうじゃいやがる」

 「要塞建設に動員している割に増えてますよね」

 「気が進まないが、ドイツ将校や武官の報告だと、そうなってしまうらしい」

 「毒を食らわば皿まで、って、日本人に合いませんね・・・」

 「ふ 日本民族は大陸の毒について行けんよ。ナイーブ過ぎて・・・」

 中国大陸は、匪賊の国と言えなくもない。

 中国の大半の農民そのものが農民と強盗を足して2で割ったようなもので極悪、

 普通は農民で苦しくなると匪賊なので半農半賊とか、半農半盗とか・・・

 多数決で、それを生きる知恵と言ってしまえば、そう言えなくもない、

 日本人のように諦めやすければ良いものを、

 死ぬまで生きるのだから始末に負えない。

 中国人は、有史以前から歴代王朝に対し、半農半賊で強かに生きてきた。

 新参者の日本軍が何を言おうと、いまさら、やめられるわけもない。

 中国拳法が強くなっていくのも、そういった背景があった。

 こういう世界に日本人を送るのも勇気がいる。

 行く日本人も、また勇者といえる。

 満州北端は、この時期寒く、下手に平原で迷えば凍死、

 トーチカは、ドイツ軍将校の指導で改良されていた。

 ソ連軍の大攻勢時、現場にいた日本陸軍武官によって戦訓も届いていた。

 平野部でソビエト軍と戦うことの愚かさは確認されている。

 ハイラル要塞、虎頭要塞、勲山要塞などなど・・・・

 結果、慌てた日本陸軍は、満州国で増え過ぎた漢民族を遠慮なく大動員し、

 無慈悲に酷使した。

 動くことのできないトーチカと塹壕も、

 ソビエト軍の電撃作戦にあっては著しく不利でしかなかった。

 ひたすら対戦車塹壕を深く掘り、壁を厚くして耐えるのみ、

 ほぼ全てのトーチカが凍土の下を堀り、地下道によって連結していく、

 地下道掘削は漢民族、朝鮮民族の強制労働で熱気を帯びていた。

 攻撃に耐えて何とかなるのであれば嬉しいものの、補給路の地下道しだい、

 下手をすれば、そのままジリ貧が決定しそうだった。

 ドイツ軍が防衛線で使っているのが対戦車塹壕とトーチカを組み合わせた縦深陣地防衛線だった。

 T34戦車の53口径85mm砲。スターリン重戦車の46.3口径122mm砲の威力を計算し、

 トーチカの厚みを増やし、戦車壕の距離を離していく、

 もっとも、これは別の問題も出てくる。

 対戦車壕が離れすぎると、日本軍の大砲もソ連戦車を撃破できなくなる。

 戦車砲の威力で破壊できないほどトーチカの厚みを増やせば、

 対戦車壕の距離を広げずに済む。

 トーチカーは、戦車と違って重すぎて困ることもない。

 そして、要塞砲であるなら不都合はないと、

 海軍砲の76.2mm砲、127mm砲、140mm砲、25mm機関砲が増えていった。

    

 というより陸軍主導になって、ようやく海軍砲の優秀さに気付き、

 海軍砲を使い始めたといえる。

 3式自走砲は海軍砲60口径76.2mm砲を装備した固定砲で使い難くても、

 ソ連軍戦車を十分、撃破できるはずだった。

 

 人海戦術で、漢民族・朝鮮民族を文字通り磨り潰すように建設した要塞は見事といえた。

 頭を悩ませるのは土木建設具・掘削道具が多く、

 武器弾薬の数量が足りないことだった。

 高台から見下ろすと激しい吹雪が吹き付けて昼間でも暗く、

 真っ白になれば視界ゼロという事もあった。

 重要な重砲は、長門と同じ41cm砲であり、

 ハバロフスクとウラジオストックを結ぶイマン迂回鉄橋を破壊し、路線を遮断することができた。

 従深陣地のトーチカ群が周りを囲み、

 数人の将校が従深陣地防衛線の設計図を見ている。

 「・・・・これは、やり過ぎじゃないのか」

 「ピラミッド型は合理的といえるよ」

 「砲弾と爆弾を受けても形から壊れにくいし」

 「んん・・・冬季明けと同時に数百万の漢民族に作らせるとしてもね」

 「数作れば何とかなるよ」

 「空襲で狙い撃ちかな」

 「いいよ、どうせ中央で目立つのは、土を盛って通路だけの飾りだし」

 「っで、この区画の “木馬” って付けたのはなんでだ?」

 「虎頭だろう」

 「虎でも良かったんだがピラミッドの前にいる獅子を模倣したら華民族が木馬にしたんだ」

 「・・・言葉が通じないと笑えるな」

 「虎や獅子なんて見ないから。イメージするものが、それだったんじゃないか」

 「良いけどね。どうせ目立って敵砲弾を集める的だから」

 「まぁ どうせ、獅子も、虎も、建設するけどね」

 「しかし、肝心の対ソ戦準備に華寇が使えないのも考え物だ・・・・」

 「逃げちゃうだろう」

 「問題は、武器弾薬だよ」

 「結局、地下道を掘る道具と爆薬を作るか。武器弾薬を作るか」

 「予算の振り分けだからな」

 「ふ 武器を作ると穴を掘れない。穴を掘ろうと思えば、武器が作れない」

 「だけど、もう少し軽くて丈夫な掘削道具を作らないと作業効率がはかどらないな・・・・」

 「そりゃ、ニッケル、クロム、モリブテンを混ぜれば軽くて丈夫にはなるがね・・・・」

 「国力の少なさと来たら、泣きたくなるな」

 「とにかく、7.7mmの小銃と機関砲と、25mm機関砲」

 「それと、76.2mm砲だな。数を揃えるべきだろう」

 「地震で、こけなかったっけ?」

 「泣きたくなる」

 「冬で良かったよ」

 「しかし、満州の漢民族も、随分と減ったな」

 「そりゃ 要塞建設で磨り潰したからだろう」

 「冬季明けの動員も思いやられるな」

 「・・・・・・」

 

 

 揚子江

 この地に朝鮮人人口1500万が移動してきていた。

 半島の朝鮮人は僅か。ほとんど残っていない。

 炭鉱、炭坑、探鉱など、穴を掘るか、物を運ぶ仕事で漢民族を監督する。

 厳密には日本軍の後ろ盾で何とか、やっている。

 しかし、日本軍の後ろ盾がなくなると5億以上の漢民族に両岸を囲まれた弱小民族。

 他の少数民族と結託しても厳しかった。

 朝鮮民族存亡の危機感は、事大半島どころの騒ぎではなく、

 下手をすれば、5億の漢民族によって飲み込まれてしまう。

 この揚子江の地に白人がいるのは珍しい。

 しかし、いないわけでもない。

 教会とは、そういうところだった。

 そして、国家的背景を持つ教会も存在し、

 そこで事務レベルで折衝も行われたりする。

 なぜ、事務レベルでの折衝が行われるかというと、

 人間社会は、コミュニケーションが重要であり、

 たとえ、国家間であれ、利害関係者であれ、

 意思疎通が適度に行われていないと、心と心が離れやすい性質があった。

 そして、カトリック教会のどこにでもある懺悔室。

 人間は独善、傲慢、驕慢になりやすい生き物で、

 利己主義が過ぎると社会生活が不可能になってしまう。

 そういったわけで懺悔室は、悠久の時を越えて残っている。

 「・・・神よ。朝鮮民族をお救いくださいニダ」

 「心を強くお持ちなさい」

 「この地は、我が民を滅ぼす敵に囲まれているニダ」

 「憎むべき者に頼らなければ、生きてはいけないニダ」

 「神は、朝鮮民族の困窮を知っております」

 「必ずや救いの手を差し伸べるでしょう」

 「ですが、神父様。神は太平洋の果ての海の彼方ニダ」

 「その御手は、この揚子江の地へ届くニカ?」

 「神は、揚子江に降り立った朝鮮民族を祝福されるでしょう」

 「生めよ、増えよ、この地を治めよと・・・・」

 「本当ニカ?」

 「もちろんです」

 「朝鮮民族が、この地に降った事は悪魔の所業です」

 「ですが神は、朝鮮民族を数倍に祝福するとのお告げです」

 「アイゴ〜・・・」

 「あなた方、朝鮮民族に言うべきことがあります」

 「はいニダ」

 『右の手と、七つの星を持つ者。金の七つの燭台の間を行く者が、次のように言われる』

 『わたしは、あなたのわざと労苦と忍耐とを知っている』

 『あなたが、悪い者たちを許すことができず』

 『使徒と自称している者たちを試み、偽者と見抜いたことも知っている』

 『あなたは、私の名ゆえに耐え忍び』

 『私の名ゆえに忍び通し、弱り果てることがなかった』

 『しかし、あなたに対して責める点がある。あなたは初めの愛から離れている』

 『そこで、あなたは、どこから、この地に落ちたか、思い起こし』

 『悔い改め初めのわざを行いなさい』

 『怠惰にまかせ、悔い改めなければ・・・』

 『わたしは、あなたのところにきて、あなたに与えられた燭台をその場所から取りさろう』

 『しかし、こういうことはある』

 『あなたは、ニコライ宗の人々のわざを憎んでおり。わたしも、それを憎んでいる』

 『耳のある者は、御霊が諸教会に言うことを聞くが良い』

 『あなた方のうちで勝利を得る者は、神のパラダイスにある』

 『いのちの木の実を食べることをゆるそう』

 「神父様。朝鮮民族の神に対する忠誠は変わらないニダ。ありがとうございますニダ」

 「朝鮮民族を信じていますよ」

 「神が忌むべき者の代わりに揚子江の朝鮮民族を保護するニダ」

 「全身全霊を尽くして応えるニダ」

 「うむ。心安きに勤めると良いでしょう」

 聖書の語句を引用しただけだった。

 いくつかの単語を脳内で返還すれば、

 どうにでも受け取れる内容があって重宝されている。

 日本の特高も引用された語句の表面に囚われてしまう。

 もっとも、その深い意味に気付いても聖書の内容に近いと付け入れなかった。

 

 

 

 ビルマ戦線。

 英印軍と日中軍は川を挟んで睨み合う

 何で睨み合っているのか、

 と問われれば、両軍とも余計な弾が無かったからといえる。

 日本軍は地震と、

 その他、諸々諸事全般、民間など

 工業国家足らんとゴタゴタしたものに資源が使われ、

 連合国は、通商破壊作戦、華寇作戦、風船爆弾など、

 兵器や武器弾薬が分散されていた。

 このビルマ戦線まで、ようやく、武器弾薬を持って来ても、

 戦線を維持する為だけに消費されていく。

 密林

 インド国民兵、ビルマ兵、中国兵、タイ兵が最前線に並んでいる。

 それ以外にも穴掘りや対戦車壕造成など、あれやこれや、やらされていた。

 そして、日本軍は、機関砲や大砲で少し後方から睨みを利かせている。

 洗濯が重要か、というのは、いろいろあるが、ろくに風呂にも入れない、

 少し後方でも戦場なのだからスコールは神の恵み。

 スコールが来ると交替で軍服を脱いで体を洗い軍服も洗う。

 綺麗好きでもない人間も、ここに来ると綺麗好きになってしまう。

 連合国より医療技術で劣り医療品で劣る。

 その上、衣料も少ない。

 日本軍は衛生に気を使わなければ早死にする。

 「なぁ イギリス兵って、どうやっているんだろうな」

 「なにが?」

 「“あれ” だよ」

 「インド人の女じゃないのか」

 「良いのかよ。それ?」

 「襲っても良い階級があるって言ってたな」

 「良い国だなぁ〜」

 「勝った国は問題にされなくなって、負けた国は問題にされていくんだろうな」

 「イヤだねぇ。諸行無常で・・・」

 「おっ! 士官だ」

 川を越えた密林の向こう。

 「どこ?」

 「・・・ほら、あそこ」

 「んん・・・見えないぞ」

 「・・・動いた」

 「・・・・あれか、・・・葉っぱを被ってやがる」

 「こっちと、同じだろう」

 「よーし・・・・見てろよ・・・・・・・」

 短い数発の射撃。

 「・・・当たったよ」

 武器弾薬が少なくなると貴重になるのが狙撃兵だった。

 99式短小銃   (7.7mm×58R)

 99式軽機関銃 (7.7mm×58R)

 92式重機関銃 (7.7mm×58R)

 いくつかの不具合が認められる武器だった。

 しかし、貧乏国の銃器だけあって命中率だけは良く、

 両軍で余剰な弾薬が無くなると、日本製銃器は光るものがあった。

   


 月夜裏 野々香です。

 寒くて、縮こまった戦線です。

  

 南国は、いろいろあって、反撃が遅れているのか、それなりに元気なようです。

 

木馬? 脳内で、翼を取ってください

 「少尉。左翼からTサヨ3機 (T34戦車3両)!!」

 「ちっ! 左舷、弾幕薄いぞ! なにやってんの」

 「もう、弾。ありません〜」

 「・・・・・」

 という感じでしょうか。

 やっぱり、最初のガンダムが好き。

   

   

 

   

 

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第31話 1944/12 『小さなことからコツコツと・・・』

第32話 1945/01 『もう、弾。ありません〜』

第33話 1945/02 『新兵器で ぶゎああ〜! と』