月夜裏 野々香 小説の部屋

   

仮想戦記 『青白き炎のままに』

   

   

 第39話 1945/08 『殺す戦い VS 生きる戦い』

 アメリカ合衆国は、連合国全体の工場で武器弾薬庫でもあった。

 華寇軍500万人のアメリカ西海岸上陸により、

 西部出身のアメリカ合衆国軍将兵は浮き足立ち、

 士気低下はインド・太平洋戦線、欧州戦線の両陣営で影響していた。

 華寇作戦は、兵力と兵器・武器弾薬で計算する近代戦から抜け落ちていた。

 華寇の犯罪戦略は、兵站を準備し、陣営を組み立て、戦線を構築し、

 戦力を動かしていく戦術からも抜け落ちていた。

 北アメリカ大陸においては、白人の有色人種不信と不和が極度に高まって限界に達し、

 暴動と蜂起が相次ぎ、逃亡先の都市は、治安の悪化から大混乱に陥っていた。

 華寇作戦は、風船爆弾、細菌兵器の噂と相乗効果を高め、アメリカ全土を恐怖の渦に包み込んでいた。

 華寇軍は、アメリカ西部の住人にとって、戦うべき侵略者というより、歩く人間細菌化学兵器だった。

 生きた細菌は、恐怖の対象でしかなくなく、

 戦う意欲を失い、中部アメリカへ群れをなして逃亡していく、

 アメリカは、本土防衛に兵力、戦力、物資を引き抜かれ、

 生産と輸送に集中できなくなり、インド・太平洋戦線、欧州戦線向けの戦略物資が滞っていく、

 イギリスとソビエトは弾薬不足、食料不足など攻勢力に欠き、

 日本とドイツは、少しばかりの余裕を得ていた。

  

 

 華寇作戦は、アメリカ西海岸に華寇軍を上陸させても止まらない、

 アメリカ国民に華寇軍がロッキー山脈を越えたと思い込ませる必要があった。

 あるいは、華寇軍が風船爆弾で内陸深くに降下したでもよかった。

 深夜のアメリカ西海岸沖

 二式大艇に搭乗する華寇兵士は、中国軍でも精鋭で猛者で目つきが違う、

 百式短機銃、手榴弾、拳銃など、一人前の武器弾薬を装備し、

 風船爆弾で降下してきたかのようなアイテムを所持している。

 二式大艇は、伊号から燃料を給油すると、波を蹴立て滑走し、

 ふわりと浮き上がり、東に向かって飛んでいく、

 カリフォルニア半島のメキシコ国境から、アメリカの内腹へ潜入するコースだった。

 

 伊号

 「どこに運ぶのかな」

 「アメリカとメキシコ国境近くの海辺か、湖か、川だろう」

 「華寇軍が西海岸に大挙して上陸した割に沿岸警備隊は手薄だな」

 「いま上陸している華寇狩りに集中しているんだろうな」

 「10人足らずの兵隊に爆弾落とすより、1万人くらいの集団に落とすのが合理的だからね」

 「しかし、いい加減、敵艦隊とか、敵船団を狙いたい」

 「機雷敷設じゃなくて、狙ってドカ〜ン!」

 「Uボートが代わりにやっているだろう」

 「結局、インド・太平洋で輸送船を撃沈しても、大西洋の輸送船も減ることになるのか」

 「余裕があれば、いまの内に豪州なんだろうけどね」

 「日本は、輸送船も、輸送機もないよ」

 「じゃ 軍艦?」

 「まさか。輸送船がないんだから軍艦も前線まで行けないよ」

 「しょぼ〜」

 「それに豪州は、天然痘とか、炭疽菌が広がっているらしいから上陸しない方が良いよ」

 「やれやれ・・・」

  

  

 アメリカのとある海岸

 女が走って、男が追いかける。

 「あははは♪」

 「いやぁあ〜ん」

 「まてぇ〜♪」

 「だ、だめぇ〜」

 「つかまえちゃうぞ♪」

 「お願い、許してぇ〜!」

 「あははは まてぇ♪」

 「いやぁあ〜ん やめてぇ!」

 「泣くほど嬉しいんだな。愛しているよ〜♪」

 遠めで見ると恋人たちが海辺で、ふざけているように見える。

 少し近付くと違和感に気付く、

 男は、背が低い黄色人で服装が汚く、

 女性は背が高く、白人で身奇麗なこと、

 言葉が違うこと、

 そして、どちらも血走っていること、

 白人女性が本当に涙ぐんでいる事、

 はぁ はぁ はぁ はぁ  はぁ 

 はぁ はぁ はぁ  はぁ はぁ 

 そして、どちらも同じくらいの体力なのか、時々、立ち止まって休息する。

 「テカチュウ〜!! テカ! テカ〜!!」

 「いやぁああ〜ん!!」

  

  

 アメリカ西海岸   華寇軍 VS アメリカ軍

 爆撃機が爆弾を投下し、戦闘機が機銃掃射を繰り返した。

 砲撃が華寇軍の中央で炸裂し、戦車が人海に突っ込んで蹂躙していく、

 華寇軍のできることは圧倒的な数に任せ、ひたすら東を目指して逃げ惑うだけだった。

 アメリカ軍は、華寇軍を殺しすぎて、

 精神状態が最悪まで落ち込み、正気を失っていく将兵が続出していく、

 そして、アメリカ軍は夜になると人海に包囲される前に後退して行く、

 「・・・おっ♪ アメリカ軍が逃げたある」

 「い、いまのうちある」

 「「「「「・・・殺す・焼く・奪う〜! 三光作戦ある!」」」」」

 「突撃ニダ〜!」

 「「「「「・・・テカチュウ〜!! テカ! テカ〜!!」」」」」

 突撃する華寇軍

 アイヤ〜!! アイゴ〜!!

 地鳴りと地響きが伝わる。

 「なにあるか?」

 「わからないニダ」

 山間から濁流が押し寄せ、あっという間に華寇軍を押し流していく、

 アイヤ〜!! アイゴ〜!!

 「「「「「・・・テカチュウ〜!! テカ! テカ〜!!」」」」」

   

   

 川から生き残った華寇軍が這い出てくる。

 「「「「「・・・テカチュウ〜!! テカ! テカ〜!!」」」」」

 「・・・酷いめにあったある」

 「アメリカ軍は卑怯ニダ」

 「あとで補償を求めるある」

 「そうニダ。絶対に補償させるニダ」

 「ん・・・なんか・・・匂うニダ」

 「そ、そうあるか?」

 「油ニダ」

 !?

 「火ニダ〜!!」

 アイゴ〜!! アイヤ〜!!

 「「「「「・・・テカチュウ〜!! テカ! テカ〜!!」」」」」

  

  

 白い家

 アメリカの上層部は思惑が外れ、意気消沈に落ち込んでいた。

 「大統領」

 「日本は風船爆弾に白人に化けさせた華寇兵士を潜入させたと・・・」

 「敵国に作戦内容を教える軍隊が、どこにいる?」

 「人心撹乱だろう。それとも裏の裏かな」

 「どちらにせよ。小規模な作戦の戦果など高が知れている」

 「人心撹乱による損失が主だよ。同士撃ちの被害の方が大きい」

 「舐めやがって・・・・」

 「西部から避難しているアメリカ人と中部域のアメリカ人の同士でいざこざが起こっている」

 「アメリカ合衆国の大部分は田舎だ。閉鎖的な村社会だから大変な事になるぞ」

 「避難民は、州兵が身元を確認済みと、ラジオを流してくれ」

 「しかし、そんな余裕は・・・」

 「臨時に雇い上げれば良かろう」

 「武器などいらん、パフォーマンスだけでも混乱を減らせる」

 「華寇狩りは?」

 「計算上、3ヶ月以内に華寇の9割以上を殲滅できるかと」

 「1割残っても50万人の犯罪集団ですから洒落になりませんが・・・」

 「少人数でバラけながら東海岸に向かって移動しているようです」

 「なぜだ?」

 「沿岸部より中部・東部が安全だと肌身で気付いているようです」

 「東海岸に辿り着ければ、日本と中国政府が報奨金と年金を出すと・・・・」

 「内陸部は沿岸部より監視が緩い。北アメリカ全土を監視できるわけもない」

 「・・・・大統領。シアトルに伊号が着岸したそうです」

 「すぐに撃沈しろ!」

 「哨戒機を出したときには消えていたそうです」

 「一体何を・・・」

 「思わせぶりな行動なだけでは?」

 「原子爆弾の投下に気付いて被爆地の確認に来たのでは?」

 「どちらも、あり得る・・・」

 「大統領。イギリスとソビエトの代表が話しをしたいと・・・」

 「連中の言いたい事など聞くまでもなくわかるよ」

 「しかし、それどころではない」

 「少なくとも対地爆撃の訓練地は困りませんがね・・・・」

 「我々は勝てると思うか?」

 「日本、ドイツ、イタリア共に国内産業は破綻していますから」

 「アメリカ西海岸の華寇を殲滅後、日本とドイツも圧倒できるかと」

 「ともかく、アメリカ合衆国は民主主義国家だ。戦争も、平和も、国内問題が優先だ」

 「採算割れを起こさない程度に。ですが」

 「アメリカ国内の雇用は確保されている。不況も消えた」

 「しかし、これ以上、アメリカ国内が混乱するのは不味い」

 「はい」

 

 

 北大西洋を飛ぶ哨戒機が雲間に船団を発見する。

 「緊急事態だ!! 敵艦隊発見! 北極航路を突破されたぞ!」

 「ちっ! 今頃になって。哨戒線が穴だらけだ」

 「低空で飛べて下を見やすい哨戒機は、華寇狩りで使いやすいから、そっちに投入されている」

 「こっちに回せる部隊が残っているかどうか・・・」

 「くそっ!」

  

 

 

 ポルトガル マドリッド

 数人の男たちが集まっていた。

 「・・・ドイツが連合国側と交渉を進めているとは思っていませんでした」

 「まぁ 華寇のこともあるから、どうしても日本と中国は交渉の席で必要でね」

 「アメリカ、イギリス、ソ連は、潮時と考えているらしい」

 「交渉は、上手く行きそうで?」

 「さぁ 相手次第だろうね」

 「連合国側は、まだ、余力がありそうですからね」

 「交渉前に大きな作戦をするかもしれない」

 「それは困りますね。日本は・・・・」

 「まぁ 最後の足掻きとか微調整というヤツだろうな」

 

  

 東部戦線

 ソビエト空軍のシュトルモビクが爆弾を投下し、

 152mm榴弾砲群が砲弾を撃ち出して前線を吹き飛ばしていく、

 T34戦車の大群とスターリン戦車とアメリカから供給されたM4シャーマン戦車群が戦線を突破してくる。

 ドイツ軍の縦深対戦車陣地と、トーチカに潜むイタリア・東欧軍は砲弾の雨に粉砕され、

 ソビエト機甲師団に文字通り磨り潰されて行く、

 ドイツ軍は、7度も司令部を移設しながら100kmも後退していた。

 戦線を見渡せる丘

 ドイツ軍将校たちが双眼鏡を覗いていた。

 「・・・・凄いな」

 「空陸一体。火力の一点集中で戦線突破。機動力で迂回と包囲は機動戦の基本だよ」

 「ソビエト軍は教えた通り、数倍返しでやっているわけか。やれやれだな」

 「・・・・しかも、食後の攻撃で、満腹のイタリア軍は怒りより恐怖。ヘタレのままだ」

 「ふ あいつら食べた後は天国で戦意低いからな」

 「スターリンのやろう・・・」

 「あとは、縦深対戦車陣地が、どこまで耐えられるかだな」

 「・・・しかし、イタリア軍と東欧軍はなってないな」

 「フランス人は、がんばっているみたいだが、後方の町に家族がいると違うな」

 「しかし、M4戦車が随分と多い」

 「大西洋より、北太平洋航路が安全だったときもある」

 「訓練と整備が終わって、大量投入なんだろう」

 「おっ! B17爆撃機とムスタングまで戦術爆撃に使っているよ」

 「ソビエトらしいな」

 「ドイツの大都市を爆撃すれば良いのに・・・」

 「パイロットが航法を知らないんじゃないか」

 「味方の戦線が見えなくなると戻れないとか」

 「それとも脱走防止で燃料が少ないか」

 「それ、航空機の使い方じゃないだろう」

 「いや、東部戦線が第二次世界大戦の常識だよ」

 「規模は、アメリカ西海岸の華寇戦線に負けそうらしいがね」

 「あれは軍隊じゃない」

 「そういえば統制の利かない犯罪集団だったな」

 「しかし、統制の利かない集団にドイツ軍が助けられてるのが皮肉だがね」

 「・・・・・」

 「そろそろじゃないか?」

 「・・・だな」

 「航空兵団を出せ。機甲師団を援護させろ! 出撃!」

 伊・東欧軍の戦線は、ソビエト機甲師団の突撃で突き崩されていた。

 ソビエト軍の大半は給油・給弾・整備・修理中で、隙があった。

 ドイツ空軍とドイツ機甲師団の突然の攻勢により、ソビエト軍の戦線は突き崩され、

 後方で整備補給中の主力ソビエト軍は、体勢を立て直す暇もなく、押し返されていく、

 

  

 バトル・オブ・ドイッチュランド

 迎撃機メッサーシュミットとフォッケウルフは航続距離が短い、

 米英戦略爆撃部隊は、ドイツ空軍に高度な欺瞞・陽動作戦を仕掛け、

 フェイント・フェイクを繰り返し、要衝や都市を一つ一つ瓦礫に変えていく、

 「・・・・げっ! 逃げた〜」  黒髪の魔女マイ

 「っぐ あの大編隊で逃げるなんて、卑怯者〜!!!!」  むっ!  金髪の女神アイリス

 「ずるい・・・」  ほっ

 ドイツ空軍迎撃機はどれほど高性能でも航続距離が短く、給油のために着陸しなければならない、

 米英戦略爆撃部隊は、もう一度、Uターンして都市爆撃に向かい、

 迎撃できるドイツ迎撃機は少なかった。

 

  

 西部戦線  戦線を見下ろす丘

 イギリス軍将校が観戦していた。

 互いの斥候が小競り合いを繰り返し、睨み合う戦線に変化は少なかった。

 「ちっ! アメリカ軍が浮き足立って攻勢が掛けられないか」

 「我が身かわいさだな。本音は撤収だろう」

 「家に残した家族が心配なんだろう」

 「華寇のお陰で、こっちまで皺寄せか。くそっ!」

 「豪州は、どうなんだ」

 「あそこは水が少ない」

 「パースとダーウィンから内陸を攻めて行こうとすると時間がかかる」

 「大丈夫なのか」

 「徐々に東海岸、南海岸に向かっているがね」

 「イギリス機動部隊で妨害しているから、それほどでもない」

 「日本機動部隊は?」

 「アメリカ機動部隊と同じだ」

 「本土決戦に艦載機を引き抜かれて機能不全。開店休業中だ」

 「国力比では勝っていたはずなんだがな・・・」

 「ああ、あのケチで貧乏臭い日本が船を捨てるとは・・・巻き返されたな」

 

 

  

 

 満州

 空を埋め尽くすシュトルモビク爆撃機群が爆弾を要塞群に投下していく、

 反撃の対空火器は弾薬が少ないのか、落とされるがままだった。

 爆弾が炸裂するたびに爆炎と爆煙に包まれ要塞が振動する。

 日本軍将校たちは振動する要塞で青くなり、天井が崩れ落ちないか見守る。

 「・・・11時からソ連戦車群です」

 「やっぱり、そっちから来たか」

 「“木馬” “獅子” “麒麟” の小要塞に邪魔されていますからね」

 士官が地図を指していく、

 「直接、要塞を攻めようと思えば、このコースから迂回してくるかと・・・」

 ウメサイは砲弾が少なく、慎重に砲撃されていた。

 M4戦車とT34戦車は、本要塞に迫り、

 地上戦を諦めたくなるほど大地を埋め尽くしていた。

翼は脳内で消してください

 「少将・・・“木馬” 小要塞の阿室少尉からです」

 「なんだ?」

 『阿室。行きま〜す!!』

 「まて!」

 『と、止めないでさい。死んでも本要塞を守り抜きます』

 「行くな!」

 『行かせてください!』

 「駄目だ!!」

 『ぅ・・・ぶったな。親父にだって殴られたことがないのに・・・』

 「バカか。有線で殴れるか! そこで待ってろ!」

 『し、しかし、少将殿・・・』

 「俺が命令するまで動くな!」

 『はい』

 「ちっ! どいつも、こいつも死にたがりばっかりだ」

 「勇ましい士官は人気ありますからね」

 「っく、新興財閥の妾の子が、いい気になりやがって」

 「あの少尉。やっぱり、殴られた事なかったんですね」

 「皇軍の鉄拳制裁を切り抜けてくるとは・・・」 くらぁ〜

 「金の力は怖いですね・・・」

 「バカ親父にバカ息子か」

 「商才と躾けの能力は関連ないからな」

 「いまさら尉官を殴り付けるというのも、はばかれますし」

 「陸軍も地に落ちたな」

 「嘆かわしくて涙も出てこんわ」

 「たしかに・・・」

 「バカ息子は、ともかく」

 「4式戦車を突っ込ませて失うのは惜しい」

 「小要塞は、弾薬が少ない、迂回して直接、本要塞に突っ込んで来るなら好都合かも知れませんね」

 「要塞本陣を狙うとすれば、この進路しかない」

 「ええ」

 「・・・そろそろかな?」

 「はい」

 「・・・・第1陣。やれ」

 要塞本陣に向かうM4シャーマン戦車とT34戦車群の中央で爆煙が吹き上がり砂塵に包まれた。

 戦車部隊はズブズブと沈んでいく、

 地下の支柱に埋められていた250kg爆弾が次々に爆発し、地下凍土を崩落させていた。

 数メートルの崩落でもM4戦車・T34戦車にとっては、戦闘不能どころか行動不能になっていた。

 中の乗員は死傷者続出していく、

 漢民族、数百万の過労死と引き換えに掘った地下空間の戦果だった。

 「・・・小銃や砲弾より、ツルハシ、シャベルが頼もしく思えたのは、初めてだな」

 「こっちが発狂したくなるほどツルハシとシャベルを持ってきましたからね」

 「武器弾薬も作らずにな」

 「陸軍の魂を財界に売りやがって・・・」

 「少将。ソビエトの救出軍が集結しています」

 「バカだな。一番手前も落とし穴なのに・・・・」

 「漢民族の諜報員から聞いていないのでしょうか?」

 「あまりにも規模が大きすぎて信じられないのだろうな」

 「地下だから方向や距離なんて、わからないだろうし・・・」

 「そうかもしれませんね」

 後方のソ連軍は、崩落した凍土に落ちたソ連軍戦車隊を救出しようとする。

 救出部隊が要塞砲の射程内にあることを差し引いても、

 ソビエト軍の行為は勇敢で尊敬に値する・・・・

 「・・・・少将、阿室少尉からです」

 「なんだ?」

 『阿室少尉 行きま〜す!!』

 「まて!」

 『と、止めないでさい。いまが好機。死んでも本要塞を守り抜きます』

 「行くな! 少尉」

 『行かせてください!』

 「駄目だ!!」

 『ぅ・・・ぶったな。親父にだって殴られたことがないのに・・・』

 「だから、バカか。有線で殴れるか! そこで、待ってろ!」

 『し、しかし、少将殿・・・』

 「俺が命令するまで動くな!」

 『はい』

 「ったく・・・・そろそろ、後方も集まってきたかな」

 「はい」

 「そういえば、あいつじゃなかったか」

 「チャイナ服を着せた美女を山頂に立たせて歌わせればソ連軍が見惚れて油断するとか・・・」

 「そういえば言ってましたね」

 「アフォが!」

 「勝っても割腹もので、負けたら最後、一族郎党末代まで恥晒しだ。ばかめ!」

 「作戦内容と指揮官の名前は、戦史に刻み込まれますからね」

 「そんな作戦をするくらいなら、潔く負けて散る方を選ぶわい」

 「同感です」

 「しかし、だんだん帝国陸軍が腐ってきてるな〜」

 「ベテランがポートモレスビーで随分と死にましたからね・・・」

 「・・・お陰で出世できたが。そろそろ。かな」

 「ええ」

 「・・・・第2陣を爆破させろ」

 地下空間に仕込まれた250kg爆弾が爆発。

 ソ連軍の救出部隊も援護していた戦車部隊ごと凍土の大地が沈み込んでしまう。

 「・・・上手く行きましたね。少将」

 「また来るかな」

 「いくらなんでも今度は、用心するでしょう」

 今度は、用心深くソ連軍歩兵ばかり。

 恐る恐るやってきて崩落した落とし穴からソ連兵を救助していく、

 ソ連軍の戦車は後方で見守っている為、支援砲撃しても命中率は低かった。

 「雨が降っていたら、よかったのに・・・」

 「狙撃が難しくなりますよ」

 「そうだな。狙撃開始だ」

 「はっ!」

 「良く狙ってくれ弾薬が少ないから」

 「はっ!」

 数百両のM4戦車とT34戦車が落とし穴に落ち、もがいている光景は圧巻だった。

 そして、日本兵は、崩落した穴から逃げ出そうとしているソ連兵士を射的の的のように撃ち抜いていく。

 「・・・いいか、這い出そうなヤツと助けに降りてくるヤツを狙え」

 「無理に撃ち殺す必要はない」

 「はっ!」

 「足か腹を怪我をさせて、自力で穴から這い出られなくするだけで良いぞ」

 「6.5mmの38式小銃の方が良かったですね」

 「7.7mmの99式小銃だと難しいかもしれません」

 「そうだな・・・試しに戦車を捕獲して見せるか」

 「痺れを切らして、もう一度、ソ連軍戦車が来たら第3陣をやろう」

 「はい」

  

  

  

 呉

 ドイツ艦隊リュッツォウ、アドミラル・シェーアほか、輸送船10隻が北極海を回って来日し、集結していた。

 華寇軍のアメリカ西海岸上陸作戦は、国家存亡の危機にあるドイツをして、艦隊を日本に派遣させた。

 ドイツ艦隊は、危険を冒して米英空軍と海軍の哨戒線の隙を突いて突破し、

 北極海の氷海を割って長駆し、日本に到着すると大歓迎される。

 もっとも日本は要衝を除くと一面焼け野原で目を覆うばかりだった。

 「・・・これほど、とは・・・酷いですな」

 「日本列島はウラジオストックからの戦略爆撃で満遍なく爆撃されたようです」

 「・・・・」

 「ここは、大丈夫ですか?」

 「ウラジオストック空軍基地は、ソビエト空軍に接収されてしまったようです」

 「最近は、戦略爆撃も減少しています」

 「それと、要衝への爆撃を控えさせる程度の迎撃機は配備できました」

 「なるほど・・・」

 「リュッツォウとアドミラル・シェーアはインド・太平洋戦線へ参戦しますので、よろしくお願いしたい」

 日本海軍の将官が苦笑いする。

 潰しが利く軍艦は嬉しいがポケット戦艦が活躍できような海域は限られていた。

 しかし、本当に嬉しいのは来航した時点で、かなえられている。

 ドイツの工作機械が、あれば日本産業の再建は早まる。

 そして、朗報が届く、

 「・・・提督、参謀本部より入電です」

 電報を見た提督の顔色が変わる。

 「満州で、油田が発見された・・・・」

  

  

 そして、ノルウェー沖

 護衛空母、大鷹、神鷹(シャルンホルスト)。

 香取、香椎、鹿島が北極圏を越えて欧州に到着していた。

 日本は、西アメリカ上陸作戦で大型優良商船を使い切っていた。

 長距離の輸送作戦に使える大型船は、護衛空母だけ、

 艦載機は、対潜哨戒機ばかり、

 満載されていたのは、希少金属・南方資源ばかりだった。

 そして、日本に来航していたドイツ輸送船8隻の護衛も兼ねていた。

 北部ドイツ、

 大都市フランクフルトは、瓦礫の山と化し、

 メッサーシュミット、フォッケウルフが交替で防空していた。

 こちらも希少金属が喜ばれたらしく大歓声、

 そして、日本人将校も瓦礫の山と化したフランクフルトに肝を潰す。

 香取 艦橋

 「これは、酷い・・・」

 「日本からの資源があれば、少しは盛り返せるはずです」

 「驚きました。戦線は大丈夫ですか?」

 「ええ、爆撃されたのは大都市と要衝だけ」

 「それにベルリンから東の大都市も大丈夫です」

 「そうですか。安心しました」

 「日本は、どうです?」

 「京都、奈良を除く大都市は、焼け野原です」

 「では似たような状況ですかな」

 「ええ」

 「ですが日本のアメリカ西海岸上陸作戦で大規模な戦略爆撃も地上軍の大攻勢も減少してますよ」

 「我が第三帝国ドイツも日本の華寇作戦のおかげで一息です」

 「そうですか」

 「本当に日本には感謝しているのですよ」

 「ええ、日本に送られた工作機械で、それは、わかります」

 「あとは、華寇軍が、どの程度、時間を稼いでくれるかです」

 「心から応援したいですな」

 「犯罪軍なんですがね」

    

 船団は、さらに移動してデンマークの東側へ

 シュチェチン港は、ドイツ北部で東よりの為、爆撃を受けていなかった。

 元々 絨毯爆撃は贅沢な爆撃方法だった。

 機体数と爆弾数も少ない貧乏な国は、精密爆撃を選択する。

 ドイツ将校は、爆撃されていない大都市があることを日本側に伝え、

 ドイツに継戦能力があることも見せ付ける。

 

   

 そして、ドイツ南部域。

ドイツ南部ベルヒテスガーデン

 ヒットラーの官邸ベルグホーフ

 日独伊晩餐会  

 「・・・これがタングステンの弾芯ですか。凄いですな」

 「日本も、どうです?」

 「いやぁ タングステンは、せいぜい工作機械で使うくらいで、まだ兵器には・・・」

 「まして、弾薬なんて、とても・・・」

 「これだけで良いので?」

 「ええ、インド・太平洋戦線で使って。日本がタングステン弾を作ったとアメリカに思わせれば良いだけですから」

 「ふっ ところで日本でも大都市が爆撃されたそうですが?」

 「はい、ウラジオストックから日本本土が満遍なくやられました」

 「中規模の都市は大丈夫でしたが・・・」

 「・・・イタリアは地中海とビスケー湾を結ぶ運河を計画しています」

 「な、なるほど・・・」

 「3000トン級の運河を計画しています」

 「成功した暁にはイタリアも大西洋と地中海を臨む国家となりましょう」

 「な、なるほど・・・」

 「実は、日本に学びましてね」

 「運河建設にソ連・東欧諸国の人間を動員しているのですよ」

 「はぁ〜」

 「それにアメリカ人が共産主義を嫌いなのを、ご存知で・・・」

 「ええ」

 「いま、潜水艦でソ連・東欧諸国民をアメリカ東海岸に送り込んでいるところです」

 『共寇? 露寇?』

 日本の将校は苦笑いするしかなかった。

 イタリアの運河建設は、潜水艦部隊の大西洋展開を前提にしている。

 そして、フランス人は東欧側へと強制移民させられつつあり、

 フランスは、ヴィシー国家どころか、祖国さえ失い、

 ドイツとイタリアに分割統治されていた。

  

  

 満州 油田地帯

 関係者が黒い液体を見て、ため息。

 日本は重油質の原油を精製する能力が低い。

 いや “ない” と言っても過言ではない。

 「やれやれ、大騒ぎしても、これじゃな・・・」

 「インドネシアのパレンバン油田より油質が重いよ」

 「ドイツが北極圏回りでパレンバン製油所の機材を運んできたはず。それが使えるよ」

 「人造石油よりマシだよね」

 「あははは、楽天的な視点だな」

 「北海道の人造石油の資材を、こっちで使うか」

 「ガソリンと軽油が無理でも」

 「精製と油送に成功すれば火力発電所、製鉄所、船舶の燃料になる。それだけでも大金星だ」

 「だけどソ連軍も攻めてきているし、この場所、やばくないか」

 「ああ、ソ連空軍がムスタングとB17爆撃機を使い始めているそうだ」

 「練度が低い間は良いが、いずれは押し切られる」

 「だけど、ソビエトもバカだぜ、アメリカ軍空軍に任せていたら日本の産業は壊滅だったのに・・・・」

 「瑞穂半島が安定すれば税収に跳ね返って戦力が増えないか?」

 「どうだか・・・日本本土爆撃でゴタゴタしているし、焼け野原で士気が低下している」

 「半島も爆撃されなきゃ良いけど・・・」

 「日本もボロボロだな・・・」

 「「「「・・・・」」」」

  

  

 ドイツ北部

 護衛空母 大鷹、神鷹

 空母といいながら艦載機は搭載されていなかった。

 全て資源。

 とはいえ、2隻とも20000トン級護衛空母でトン数だけなら蒼龍や飛龍より大きく、

 容積だけならエンタープライズ級並み、

 砕氷の為、補強されていることを加えれば、さらに重量を増している。

 大鷹の飛行甲板に軍服を着た金髪と黒髪の士官が立っていた。

 「・・マイ。大きいわねぇ」

 「そう?」

 「ドイツでカタパルトを取り付ければ使えるかもね」

 「どうかしら話しを聞いたら速度が遅いから資源を持ってくるだけだったみたいね」

 「2隻で60機くらいは載せられそうよ」

 「護衛の艦隊がないと無理だって」

 「じゃ 対潜哨戒と輸送船業務かしらね」

 「そんなところね」

 「でも日本もこれだけ大きな船を造れるんだ」

 「日本って、上下水道も、まともにない国よ」

 「げっ! そんなとこ、住めない〜」

 「くすっ♪」

  

  

  

 1945年08月04日 AM11:02。

   B29爆撃機(ボックスカー)がベルリンに原子爆弾ファットマン (インプロージョン方式)

   長さ3.25m、直径1.52m、重量4.5トン  破壊力 TNT火薬22キロトン。

   を投下した。

   ヒットラー死亡の噂が流れるが否定される。

   

  

 白い家

 「ヒットラーが死んだというのは?」

 「いえ、生きているようです?」

 「確認しているのか?」

 「口調と表情は、違和感がなく、アメリカの非道を非難しています」

 「んん・・・・」

  

  

 B29爆撃機は欧州戦線に投入され、

 太平洋は少数が哨戒任務のみ配備されていた。

 仕方がなく、コンソリデーテッド社のB32爆撃機ドミネーターに爆弾を搭載し出撃していく、

 1945年08月06日 AM08:15

   B32爆撃機(エノラ・ゲイ)は航続距離61115kmがミッドウェーから4200kmを長躯し、

    

   片道攻撃で東京に原子爆弾リトルボーイ (ガンバレル方式)

   全長3.12m、最大直径0.75m、総重量約5トン。

   TNT換算で約15キロトンを投下した。

   日本は、首脳以下、上層部が根こそぎ。

   しかし、皇族は、たまたま、訪問中の松代にて生存。

 

 

   B32爆撃機ドミネーター10機が洋上を漂う。

   「少し時化てるな・・・」

   ガトー級潜水艦3隻が浮上する。

   「やっと来たか」

   「急げ、もっと酷くなるぞ」

  

   

 白い家

 「総理大臣以下、軍上層部は死亡・・・」

 「天皇と皇族は生きているのか・・・」

 「はい」

 「混乱は?」

 「帝国議会を召集、立て直しを図っているようです」

 「日本は、軍政で無力化していたので、これで議会政治が回復するかと」

 「・・・・」

 「良いのか・・・悪いのか・・・」

 「まだ、不確定要素が多すぎるかと」

 「マドリッドの交渉は?」

 「日本とドイツは、ふてぶてしいですね」

 「雑談ばかりで講和の “こ” の字も言いませんよ」

 「喉まで “講和” が出掛かってるクセしやがって、やせ我慢か」

 「ですが、これを・・・・」

 電文が渡される。

 「はあ〜 東海岸とハドソン湾沿岸にロシア人だと・・・」

 「まだ、未確認ですが」

 「どうやら日本の真似をしているかと」

 「目指しているのは西のようです」

 「華寇と合流しようとしているのか?」

 「わかりませんが内陸は、安全だと思ってるようです」

 「・・・・規模は?」

 「潜水艦ですので、たかが知れていますよ」

 「R級潜水艦は、600トンの余剰格納庫があるそうですが人間となると・・・・」

 「日本のように大型飛行艇を使えば、もっと多くの人間を運び込めますよ」

 「カナダは湖が多いですから」

 「白人なら華寇よりマシですから、拒絶反応は低い」

 一人の士官が執務室に入ってくると電文を渡し去っていく、

 「・・・・満州で油田が発見されたそうです」

 「なんだと!」

 「日本では大騒ぎのようです」

 「ど、どうなるのだ?」

 「計算が根底から変わります」

 「け、計算のやり直しを急がせろ!」

 「ですが情報不足で・・・」

 「極東の諜報員を全て使え!」

 「と、とりあえずパレンバン油田と同じで、やってみせろ!」

 「それならば、だいたいの概算は済んでいるそうです」

 「見せろ!」

 「・・・・・・・・・・・・」

 「ん・・・日本は、核兵器の技術もあるのか?」

 「ドイツから導入されたようです」

 「もっとも金も、人材も、資材も、設備の余裕はなさそうですが」

 「ですが時間の問題かと・・・」

 ため息・・・・

  

  

 ドイツ某飛行場

 4発爆撃機は、大きいだけあって目に付きやすい。

 「これは?」 日本軍将校

 「B29爆撃機2機。ランカスター爆撃機4機。不時着した機体を修復したものです」

 「ほう〜 これがB29爆撃機ですか。大きいですな」

 「Me262戦闘機は、ムスタングを片付け」

 「メッサーシュミットとフォッケウルフは、ランカスターとB17爆撃機を撃墜します」

 「・・・・・」

 「ですが、このB29爆撃機は、Me262戦闘機をぶつけてますよ」

 「お陰でドイツの大都市防空は押し切られて、この様です」

 「この爆撃機を、どうするんです?」

 「ちょっとした作戦に使用するつもりです」

 B29爆撃機2機とランカスター4機と、捕獲ムスタング8機の編隊が飛び立っていく、

 14機編隊のドイツ爆撃隊が小振りなコンバットボックスを構成する。

 「調子は?」 ムスタング

 「Ta152をぶら下げている割には良いな」 捕獲ランカスター爆撃機

 「ぶら下げないとパイロットが休養を取れないだろう」

 「羨ましいぜ。休養がとれてな」 捕獲ムスタング

 「たった1機のB29爆撃機を守るために、これだけの準備とはね」

 「アメリカとイギリスの爆撃機を使ったのがミソらしいな」

 「本当に? ドイツ爆撃機じゃ 目的地まで届かないのだろう」

 「当たりだ」

 B29爆撃機1機・ランカスター4機の下部にTa152戦闘機が5機が、ぶら下げられていた。

   

  

    

 1945年08月13日 AM08:15。

   捕獲B29爆撃機(ユミール)がモスクワに原子爆弾 (ガンバレル方式) を投下。

   

   全長3.12m、最大直径0.75m、総重量約5トン。

   破壊力はTNT換算で約15キロトン。

   スターリン死亡に付き。

   ソビエトは軍閥が覇を競い混迷期に入っていく。

  

  

 白い家

 「・・・ドイツは、核を持っていたのか・・・」

 「そのようで・・・」

 「・・・・・」

 「枢軸国側と連合国側。今後の試算の結果です。大統領・・・・」

 「・・・・私の政治家としての直感も同じ結論だよ・・・」

 「では?」

 「ああ」

  

   

  

 1945年08月15日 AM12:00

 ポルトガル・マドリッド停戦条約

 連合国(アメリカ・イギリス・ソビエト)  VS 枢軸国(ドイツ・日本・イタリア・中国)の間で停戦協定調印。

 枢軸国は、現在の領土が承認され、

 独立を公約した地域は、独立させる。(日本・ドイツ不利)

 連合国は、現在の領土が承認され、

 独立を公約した地域は、独立させる。(イギリス不利)

 デンマーク領グリーンランドはアメリカ合衆国・イギリスの共同統治。(アメリカ・イギリス有利)

 旧フランス・ノルマンディ地区はアメリカ合衆国・イギリスの共同統治。(アメリカ・イギリス有利)

 旧フランス植民地は、連合国・枢軸国の共同統治とする。(枢軸・連合国、有利)

 停戦期間は、5年ごと自動更新される。

 開戦は、更新1年前に停戦の停止を通告すること、

 相互軍縮に関する協議を行うこと、

 華寇軍は、連合国側の負担で祖国へと帰還 (中国有利)

 華寇軍が応じなければ戦争犯罪人として執行権は当事国に一任(アメリカ・豪州・中国協定)され、

 枢軸国・連合国は相互に賠償を求めず。捕虜を速やかに返還する。が決まる。

   

 ポルトガル マドリッド

 数人の男たちがいた。

 負けずにホッとしている者も少なくない、

 停戦の原因は、華寇作戦とも満州油田の発見とも、ドイツが製造した原子爆弾とも言われる。

 それらを総合したモノであろうと考えられるが、

 再建するまで、どの程度の期間を必要とするのか、わからないほど得たもの以上に失ったものの大きな戦争だった。

 枢軸国同士は国家再建のため、さらに密接になっていた。

 これは好き嫌いというより、利害関係次第といえる。

 できれば、このまま完全講和と移行したいくらいだった。

 しかし、国民感情など、幾つかの事柄から難しいらしく、ドイツは、国家再建のため資源を欲し、

 日本は、中国市場を踏み台とし、赤字財政を立て直させなければならなかった。

 中国は華寇軍の引き揚げ協力と、資源を売却することで近代化を目指そうとしていた。

 イタリアは南フランスとオデッサに至る利権を利用し、列強としての面子を保ち。

 イギリスは、インドの独立を公約させられ、

 本土はボロボロ、残された植民地を踏み台に立て直さなければならなかった。

 アメリカは華寇軍の残党狩りと国内治安の回復を目指しつつ、

 戦争特需と得た利権を利用し、国家再建を目指していた。

  

  

 停戦後の歓談。

 日・独代表

 「・・・フランスは、ノルマンディ区だけ」

 「大半はドイツとイタリアに分割統治でフランスは消えてしまうのかな・・・」

 「フランス国民はドゴールに騙された、ということでしょう」

 「しかし、国家の為とはいえ、居直り強盗をさせられるとは外交官僚の人生も辛い」

 「国民は、今頃、万歳ですからね」

 「ところでソビエトは?」

 「スターリンが死亡し、中央集権の中心が消えてる」

 「フランス植民地の席があっても意思統一がされていないだろうな」

 「アメリカとイギリスは、なぜソビエトに席を?」

 「貸与した兵器・武器弾薬の支払いをさせる呼び水なのでは」

 「ソビエト海軍は貧弱だ」

 「配当も、一番、小さいし」

 「まともな、代表が来るまで、たいした発言力はないだろう」

 「それでも停戦では、言うことは言うのだから、たいしたものだ」

 「あれは、ロシア人の気質だな」

 「それに血の代償だよ。負けない限りは言えるだろう・・・」

 「問題は中国人の膨張ですかね」

 「漢民族のフランス植民地への進出は、困るな」

 「船がないはずですよ」

 「アメリカは船ごと華寇軍を中国に凱旋させるらしい」

 「リバティ船は余っているから。計算上、200万トンは越えそうだ」

 「やれやれ、日本は、のどから手が出るほど船が欲しいというのに・・・」

 「日本は中国の資源を押さえているのだろう」

 「ええ、なんとか」

 「今後とも、よろしく、お願いしたいね」

 「ええ、ドイツの技術は当てにしていますよ」

 「日本の資源と政治外交力もね」

 「外交は、あまり得意じゃないのですがね」

 「それは気質以上に弱点が、あるか、ないか、の差ですよ」

 「たしかに国力以上の外交は奇跡の様なもの。一度や、二度は、あっても続けられないでしょう」

 「今後、日本が、強国になっていけばアメリカとソビエトの国力が削がれて好都合です」

 「ええ」

 「今後、アメリカの外交攻勢を受けるはず」

 「たぶん、日本と中国。ドイツとイタリアの離反工作でしょうか?」

 「ええ、金に任せて片方にアメ。片方にムチ。離反工作は簡単ですよ」

 「気をつけるべきでしょうね」

 「時に陛下は、ご無事だそうで?」

 「はい、たまたま、松代におられまして」

 「原爆は軍国主義者を一掃してくれました」

 「それは、それは、こちらも気の弱い方の総統がたまたま、残られ」

 「軍国主義者も一掃してもらったので、丁度良いかと・・・」

 「原爆投下には参りましたが、それは、それでしょうか・・・」

 「そうですな」

 「原爆の被害より軍国主義の害が大きいですからね」

 「まったく」

 「しかし、日本は中国。ドイツはイタリア。負けない為とはいえ高くつきましたね」

 「民族を磨り潰した代償でしょう」

 「相関関係で考えても厳しいですな」

 「停戦はどのくらい、続きますかな」

 「足並み揃えて開戦は困難です。事実上の終戦でしょう」

 停戦後、ドイツ第3帝国は、ヒットラー総統が退陣。

 カール・デーニッツ元帥が総統に選任。

 日本は、議会制民主主義を再建させ、

 軍国主義的な要素を排していく、

  

 

 ポートモレスビー

 日本の兵士たちがアメリカ製の機械部品の殺菌・清掃に明け暮れる。

 細菌兵器はともかく、

 それが化学兵器に効くのか、定かでないらしい。

 しかし “死んでもやれ” なのだろう、

 日本にすれば米軍製資材は宝の山であり、

 放っておけば錆びて使い物にならなくなる。

 兵士の命は、二の次なのか囚人兵の増員がされている。

 アメリカ機動部隊の爆撃と、

 艦砲射撃を免れたM4シャーマン戦車、大砲、航空機が並び、

 死んでも良い囚人兵が集められていた。

 「・・・戦争が終わったってよ」

 「緘口令が出るんだと」

 「ふ〜ん 例の砲弾か」

 「色つきの砲弾とか、使ったのは誰だ?」

 「さぁ 死んだんじゃないか」

 「あの爆撃と艦砲射撃、酷いよな・・・・」

 「アメリカ軍も証拠隠滅で滅茶苦茶撃ったからな」

 「生きた心地がしなかったよ」

 「色つきの砲弾と爆弾が、あったら、すぐに狼煙を上げて欲しいそうだ」

 「日本の戦後外交の切り札か」

 「それだって怪しいもんだ」

 「私腹を肥やすヤツが多すぎる」

 「日本とアメリカも、なあなあ、でやっていこうとしているのだろうな」

 「権力者の保身で国益を損なうこともあるし」

 「国民感情に振り回されて国益を損なう事もあるからな」

 「バカを見る善人が減ると、人間不信が強くなって社会経済が停滞する」

 「不況になるだけだ」

 「小賢しい、おりこうさんが私腹を肥やしながら社会を駄目にするからね」

 「日本人も、そのうち中国人や朝鮮人みたいになるぞ」

 「中国の利己主義と朝鮮の自尊心か、日本も影響受けそうだな」

 「日本は原子爆弾のおかげで軍国主義が後退する」

 「権威主義が揺らいで、拝金主義が強まっているらしい」

 「実力主義と能力主義が強くなっていくかもな」

 「能力とか、実力は、善良でなくてもいいから利益を上げられる者になるからな」

 「社会が荒んでいくよ」

 「戦争が終わると法律を知っているやつが強いんだよな」

 「暴力よりマシだよ “法律使い” になりたいね。ハッタリかましながら儲けていくの」

 「法律を知っているやつが庶民のわからない呪文を唱えてか」

 「それを知的暴力というんだよ」

 「そう、戦争が終わったらペンは強し、無知は弱し」

 「あはは、もう少し知的な顔に生まれて来ないとな」

 「善人にもバカにも信用されてないぜ」

 「ちっ! もっと、人の良い顔で生まれてきたら囚人にならずに済んだのに・・・・」

  

  

 揚子江

 「「「「勝ったニダ〜! 万歳ニダ〜!」」」」

 「アメリカ西海岸に上陸した朝鮮軍が勝ったニダ〜!」

 「「「「万歳ニダ〜!」」」」

 朝鮮民族は有頂天になって喜ぶ。

 揚子江の朝鮮自治区は爆撃されていない。

 浮かれて、飲めや、歌えの大騒ぎ・・・

 朝鮮民族は、教科書を編修していく。

 「・・・我が朝鮮軍精鋭を中核とする華寇軍は、雄々しく北アメリカ西海岸に上陸したニダ」

 「アメリカ軍の執拗な攻撃にもめげず・・・」

 「我が朝鮮民族軍は砲弾と爆撃の雨なか、自尊心を高め」

 「雄々しく突撃を繰り返したニダ・・・」

 「アメリカ軍は、恐れをなして原子爆弾を落としたニダ・・・」

 「アイゴ〜 補償するニダ・・・」

 「朝鮮軍は、爆撃も、砲撃も、機銃掃射も、恐れず、突撃を繰り返し」

 「シアトルを陥落したニダ、アイゴ〜♪」

 「恍惚ニダ〜」

 「さらにアメリカ西海岸全域を制圧するが如き朝鮮軍の戦士ニダ」

 「敵国の女性すらも、ひざまずかせたニダ・・・」

 「アメリカは朝鮮民族の偉大なる自尊心に恐れをなし停戦を申し入れたニダ」

 「偉大なる朝鮮民族は寛容な心を持って受け入れたニダ・・・」

 「朝鮮民族の歴史に残る大偉業ニダ〜!」

 「アイゴ〜 涙が出るニダ・・・」

 「この戦争の主役は輝かしい栄光の自尊心に包まれた朝鮮民族軍ニダ」

 「中国軍は脇役。日本軍は運送屋ニダ・・・」

 「我が朝鮮民族は揚子江という世界の中心・源流・聖地で安らぐニダ」

 「そして、世界の求めに応じて指導し教育していくニダ」

 「・・・・で、できたニダ〜!!」

 「真実の歴史ニダ♪」 うっとり〜

  

  

  

 白い家

 世界各国の国勢調査と、そこから弾き出される国力比などが予測され、

 戦後国際情勢が描き出されていた。

 戦争中なら恐喝や強奪ができても、

 平和になると商業上の取引に頼ることになった。

 アメリカの経済成長は貧富の格差拡大と、国内の治安悪化のマイナスで暗い影を落とした。

 「ソ連、ドイツ、イギリス、日本、イタリアとも本土はボロボロといえます」

 「再建まで時間が必要になるかと」

 「まともな工業力が残っているのはアメリカだけだ。悪くない」

 「ただ、アメリカ国内は、華寇と、インディアン、黒人などの少数民族の武装蜂起で不穏な動きがあります」

 「戦争のドサクサにまぎれて華寇と一緒に黒人とインディアンも片付けたかったがね」

 「ドイツは核を所持していましたし」

 「モスクワに原子爆弾を落とされた状態でしたから」

 「イギリスの泣き言に付き合わされて儲けたがね」

 「相当な利権です」

 「しかし、純粋に戦争が終わっての経済活動が行われると・・・・」

 「アメリカが必要とする戦略物資の幾つかは、中国と東南アジアにある」

 「日本との取引は応じるしかないかと」

 「結局、アメリカ太平洋艦隊は動けずか」

 「陸軍機どころか、艦載機も総出で西海岸の華寇狩りでしたからね」

 「しかし、随分と殺菌消毒したはずなのに華寇軍は、全然、減らないじゃないか」

 「250万減らしても250万は残っていますから・・・」

 「・・・人間は、恐ろしいものだな」

 「あれは、トロールでは?」

 「そうだった・・・」

 「日本は東南アジアの主要な地域と独立を公約しているので、ほとんど独立します」

 「しかし、ポートモレスビーが取られたな」

 「豪州は、外交戦略で日本に妥協を強いられるかもしれません」

 「あとは、金に任せて、ドイツ・イタリア・日本・中国の離反だな」

 「可能でしょうか?」

 「わけないな。NO.1とNO.2が入れ替わる恐怖は、人も国家も耐えられない」

 「では中国と、イタリアを支援すれば・・・」

 「これまで通り自動的に仲違いを始める」

 「サル山のサルと同じ、そういうものだ」

 「しかし、イタリアは直接取引きは可能ですが、中国は・・・・」

 「船をやれば良かろう」

 「華寇を帰還させた船が中国の船になれば、中国人は普通に取引を始める」

 「そういえば大陸鉄道と揚子江が利権分けされていても日中同盟でしたね」

 「日本が邪魔をすれば日中同盟に亀裂が入る」

 「後は、亀裂を広げていくだけだ」

 「人も、国家も、欲望を自制するのは難しいからな」

 「確かに・・・」

 「日中同盟が核でも満州国、タイ王国、ビルマ、朝鮮自治区は利権闘争でバラバラ・・・」

 「国際外交は、戦争か、平和か以前に経済で戦っている」

 「戦争を起こすのも止めるのも経済戦略次第だよ」

 「しかし、日本が押さえた資源で自給自足できるので十分な量では?」

 「弱点が、あるとすれば科学技術だが、それもドイツとの連携で改善されていくだろうな」

 「日本も富豪が増えれば教育に金が掛けられて知的水準も向上します」

 「あとは最先端技術を支えられるだけの、総合力を大きくするだけだ」

 「そうなると中国・日本の成長は大きいかと・・・」

 「識字率が大きくなっても儒教文化は、上意下達だ」

 「子供を型にはめて、芽を潰し、陰に篭もらせ易いし」

 「競争より癒着をするから近代化の邪魔をする」

 「キリスト教も、個人主義で自己主張が強すぎて、意思統一の弊害になるかと・・・」

 「社会は、個人の欲望を原動力にしているのだ」

 「メリットもあればデメリットもある」

 「要は、それを理解しているか、だな」

 「ええ、無知は死の影ですから・・・」

 「そういうこと、大なり小なり、長所を最大限利用し、短所を可能な限り押さえ込む」

 「個人も、国も、変わらんよ」

 「・・・この各国の成長グラフの信憑性は?」

 「相互不信を増大させて行くとしても離反工作の出来次第で差が出るかと」

 「あとは、経済成長の差でしょうか」

 「やはり、満州の油田次第で成長に差が出そうだな」

 「そのうち原油の質と量がわかれば逆算修正できると思います」

 「問題は中国だな。気質次第で、こうも変わるとは・・・」

 「中国人は一人で水桶三つ。二人で水桶一つ。三人では水桶を一つも持ってこれない」

 「人災の差があり過ぎですね」

 「人口が減って、成長が増すのか?」

 「一応、香港の中国人を最高値にして、あとは人口、国土、資源で試算しましたから」

 「結局、善人気質のモラルと、教育水準で社会基盤が決まっていく・・・」

 「状況的に、悲観も、楽観もできませんが計算上は不確定要素が大きいかと・・・」

 「たとえ、計算が狂っても意地とプライドで戦争が始まったり、終わったりしないだろう」

 「アメリカ国民は、疲労気味です」

 「それも加味しているよ」

 「戦争が始まる理由が経済と保身なら、戦争が終わる理由も経済と保身だよ」

 「今後は殺す戦いから生きる戦いになっていくかと」

 「直接、銃で撃ち殺すから、間接的に生皮で絞め殺す、になるだけだ」

  

  

  

 国の上層部は、理の宮になりやすい、

 国の庶民層は、情の捌け口を求めやすい、

 「父と兄と弟を殺した日本人が憎いある」

 「母と姉と妹を奪った日本人が憎いある」

 「数千万の同胞を殺した日本人が憎いある・・・」

 「日本人を殺すニダ。先祖の土地を奪った日本人を殺すニダ」

 「幸福を奪った日本人を殺すニダ。同じように奪い返すニダ・・・」

 「華寇が憎い。華寇が憎い。華寇が憎い」

 「中国人と、朝鮮人と、ついでに日本を根絶やしにしてやる。殺してやる・・・」

 「「「原子爆弾を落としたな。くっそぉ〜 あいつら・・・」」」

 「「「殺してやる。殺してやる。殺してやる。殺してやる・・・」」」

  

  

 おじいさんと孫息子

 川原は酷く荒れて焼け跡が残っていた。

 死体が時折、流れてくる。

 物が流れているような目で、誰もが荒んでいた。

 「・・・戦争終わったね」

 「ああ」

 「お父さん。戻ってこないね」

 「ああ」

 「あいつらが憎いよ」

 「そうじゃの・・・」

 「神様っていないよね」

 「そうなのか?」

 「だ、だって、いるはずないじゃないか。お父さんが帰ってこないんだもの」

 「・・・欲望も、喜びも、憎しみも過分な欲望を適えようとすると人から呪われる」

 「幸福な者がいると足を引っ張る者が出てくる」

 「だけど・・・お父さんは帰ってこなかった」

 「人の心を自由にさせている神なのじゃ おまえも心が自由なのが良いじゃろう」

 「だけど・・・」

 「憎しみをバネに力を付けていくのも自由」

 「そして、憎しみに囚われて見境をなくしてしまうのも自由なんじゃ」

 「あいつらが憎いよ・・・・」

 「好きにするのがええ、おまえが人から尊敬されるのも、人から憎まれるのも自由なのじゃ」

 「・・・おじいちゃんは、どっちが良いの?」

 「どっちかの・・・」

 「人は怠惰で欲張りじゃ 憎しみを持つ者が偽善者を怯えさせ、奇麗事を言わせるようになる」

 「そうなの?」

 「善人を騙しても、奪っても、殺しても、良心が痛むだけ」

 「時に刺激が心地良くなってしまう。善人は怖くないからの・・・」

 「なんか、酷い」

 「人間は欲望に駆られ、見境がなくなると醜い生き物になる、人でなしじゃな」

 「僕は、どうしたら良いのかな」

 「そうじゃの。立派な人間になって欲しいの・・・」

 「・・・・・」

 「お父さんも、そう思っているじゃろう」

 「うん・・・」

  

  

 アメリカ西部

 ジープが走り回る、

 『こら〜! 漢民族なら大陸に戻って両親と兄弟の敵を討つある』

 『日本人の復讐を考えるある〜 それが漢の道ある〜!』

 『そうニダ! 朝鮮民族なら揚子江に戻って半島を奪え返すニダ!』

 『日本人に復讐するニダ〜! それが民族の誇りニダ!』

 満腹と順華が逃げ回る

 「いやある〜! 大陸には、帰らないある〜! 北アメリカ大陸の方が良いある〜!」

 「いやニダ! 揚子江には、帰らないニダ〜! 民族の誇りより。自尊心ニダ〜!」

 「そうある〜! 犯罪も、自由の表現! 欲望の追求も、人権の一表現ある〜!」

 「この燃えたぎる熱情。ほとばしる、性欲は、絶対に止まらないニダ〜!!!」

 「この大陸に生きた証しと痕跡を残すある〜!!」

 「民主主義アメリカ万歳ニダ〜!」 

 「自由アメリカ万歳ある〜!」

 「そうニダ〜! 人間には犯罪を犯す権利が認められるニダ!」

 「死んでも止めないある!!!」

 利己主義が強過ぎると、わが身可愛さ。

 民族と身内の復讐に囚われない人間もでてくる。

 「アメリカは自由恋愛ある〜!!!」

 「アメリカは自由恋愛ニダ〜!!!」

  

 

聖書 ヨハネの黙示録 

“わたしは、あなたの業を知っている。あなたは、冷たくもなく、熱くもない”

“むしろ、冷たいか、熱いかで、あって欲しい”

“熱くもなく、冷たくもなく、なまぬるいので、あなたを口から吐き出そう”

   

復讐に囚われず。前向きに生きようでしょうか。

身勝手な利己主義と博愛的な利他主義は、

究極で吹っ切れているところが似ているかも・・・

  

  

  

        


 月夜裏 野々香です。

 戦争は終わりました・・・・・

 世界地図を塗る気力・・・当分、なし・・・

 因みにTOPにも記載していますが

 白黒ハッキリの勧善懲悪は作者的に嫌いです。

 勧善懲悪が好きな方には何を書いているのかわからないかも、申し訳ないです。

  

 世の中、不合理というのは起こりうるもので真珠湾攻撃時の油槽タンク。

 インド洋作戦。

 ウラジオストックからの対日戦略爆撃。

 不徹底から、後々、大損というところでしょうか。

  

護衛空母 神鷹(旧ドイツ貨客船シャルンホルスト)

   

   

 京都。

 華寇の腹いせに真っ先に爆撃されるはずが、後々、凱旋観光にと迷って後回し。

 結局、爆撃できず、史実通りの京都です。

  

  

 原子爆弾。

 お気付きの方は、お気付きだと思います、

 東京に落とされた物とモスクワに落とされたものは同じです。

 疑いは、ありますが公式的に認められていないようで、

 たまたま、同じということで・・・・

 それは、おかしい、ありえない。

 と思われたら、脳内でリトルボーイ (インプロージョン方式) と書き換えてください。

 被爆者が増えるかもです。

  

   

 阿室少尉とチャイナ服の美女、

 また、やってしまいました。

  

  

  

 単独講和など出し抜きがなかったのは日本・ドイツの力不足。

 日本の華寇・風船爆弾作戦とドイツの原子爆弾のプラス・アルファでしょうか。

 停戦協定の間は世界平和です。

 国際社会は アメリカ・イギリス・ソ連 VS ドイツ・日本・中国・イタリア という構図のまま。

 旧フランス領植民地共同利権という薄氷によって、

 連合国 VS 枢軸国 の冷戦が平和裏に維持される。

 “まぁ 大陸鉄道と揚子江で懐が暖まれば軍国主義じゃなくても良いし、邪魔者も死んだし・・・” by 日本

 “とりあえず。北フランスとリトアニア、東ベラルーシで国家再建かな・・・・” by ドイツ

 “むっふふふ、棚ボタ、棚ボタ。北アフリカは失ったけど南フランスと西ウクライナの利権で・・・・” by イタリア

 “華寇撤収に協力して船を貰うある〜 血の代価で、GDPも増えて、近代化ある〜” by 中国

 “・・・・・・・・・・・・” ぶっすぅぅうう〜 by アメリカ

 “・・・・・・・・・・・・” 泣き by イギリス

 “バイ、バイ。スターリン〜♪” by ソビエト

  

  

 史実。

 1943年11月5日〜11月6日

 大東亜会議

 独立国(フィリピン、ビルマ、ラオス、カンボジア、ベトナム、満州国) 傀儡

 汪兆銘政権(中華民国) 半傀儡

 この時点でマライ、インドネシアは日本の占領地。

 もう立派な侵略です。

  

  

 戦記 『青白き炎のままに』

 大陸侵攻(重慶占領)。大陸鉄道。揚子江経済圏。

 日本・華僑連携など事態が変わりまして紆余曲折。

 大東亜会議。

  (タイ王国。中華民国。フィリピン、ビルマ、ラオス、カンボジア、ベトナム、満州国) 半独立

 タイ王国と中華民国の間で熾烈な次席争いとか、利権闘争があったり、

 日本の舵取りは、東南アジアの利権を揚子江。

 華僑の利権を東南アジア全域にと交差させて安定化を図ります。

 日本の利権は、点と線だけ、

 マライ、インドネシアも、華僑との利権分けで収益は、大幅に目減りです。

 民族対立を調整していくことで利権の上澄みを浚って行くような感じでしょうか。

 日本本土爆撃で軍事的圧制が不可。

 ニューギニアも日本の支配地に入っています、

 とはいえ、ポートモレスビーは、かなり怖いところです。

 負けないためとはいえ、意識が遠のいて行くような日本の妥協でしょうか。

  

 

ランキングです ↓ よろしくです。

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第38話 1945/07 『まだ、講和未満』
第39話 1945/08 『殺す戦い VS 生きる戦い』
第40話 1945/09 『情けは人の為ならず』