月夜裏 野々香 小説の部屋

   

仮想戦記 『青白き炎のままに』

   

 

第44話 1946/01 『心が、国際社会を・・・』

 停戦後、4ヶ月が過ぎようとしていた。

 同盟と連合の間で戦火が消えても武器弾薬が使われなくなっただけ、

 正義と友情で団結しつつ戦争未満スレスレの外交戦略が展開される。

 「同盟を仲違いさせて、大陸鉄道を妨害するぞ・・・」 連合会議

  ごにょごにょごにょ

 「連合の植民地運動で、気を逸らして、大陸鉄道を完成させて・・・」 同盟会議

  ごにょごにょごにょ

 外交戦略は、地獄に落ちやがれ的な、わ・る・だ・く・み、が多い、

 

 

 

 ダグラスAD1スカイレーダーが離着艦を繰り返す

 「・・・さすが2700馬力。時速518km。爆装3600kg良いねぇ」

 「日本機動部隊をいつでも海の底に叩き込めるな」

 「ええ、日本機動部隊は、いまだに隼V型と彗星ですから」

 「アメリカ西海岸が華寇作戦にやられていなければな」

 「日本機動部隊は、今頃、海の底で漁礁だったのに・・・」

 「はぁ あの空挺作戦でアメリカ機動部隊は、ポートモレスビーに誘導されてしまったからな・・・」

 「そのあとは、アメリカ西海岸の華寇掃討作戦に駆り出されて・・・」

 「くっそぉおお〜 運の良いだけ日本海軍め〜!」

 「日本軍は、運を引き込むだけの事をしたのだろう」

 「あの、卑怯者が〜!」

 「政府が停戦なんかするからだ。戦えば確実に勝てたのに・・・」

 「原子爆弾が怖かったからな」

 「豪州も降伏寸前だったし」

 「西海岸の華寇と風船爆弾の相乗効果で治安も悪化していたし・・・」

 「風船爆弾の実害なんて、ほとんどなかったのに同士討ちしやがって」

 「あれは華寇作戦と相乗効果があったんだ」

 「おかげで治安の悪化で合衆国の恥を晒した」

 「・・・・」

 日米機動部隊は、物量だけでなく、質でも決定的なほど差が開いていた。

 まともにぶつかれば、数と質で日本機動部隊を圧倒し、海底に叩き込める。

 もっとも日本海軍も、まともにぶつかる作戦は取らず。

 基地航空部隊、機雷、潜水艦を盾に粘り勝ちを狙う作戦しかなかった。

  

  

 ハルピンは吹雪に曝されていた。

 日本陸軍航空基地

 海燕、隼V型、彗星、飛龍は、地下格納庫で翼を休めていた。

 中国人に掘らせた地下空間は、そのまま格納庫として使われる。

 地上に出すときは、ワイヤをモーターで引っ張り上げ、斜坑から出さなくてはならない。

 「・・・結局、日本は、この4機種で戦いきったんだな・・・」

 「2000馬力エンジンは飛龍だけか」

 「数を揃えるだけで必死だったんだな」

 「涙ぐましいね」

 「質を目指せば数が減じ、量を目指せば質が減じだ」

 「自己満足で高性能機を開発しても数を揃えられなければ負けるよ」

 「高性能な小隊を揃えたからって勝てるわけじゃないからね」

 「1500馬力級でも怪しかったけどね」

 「ドイツ製の機体は?」

 「美意識の違いがな・・・」

 「ドイツの美意識は機能美の追求だから。日本のワビサビ調和な美学は関係ないよ」

 「たぶん、ホルテンHo229戦闘機を次期主力戦闘機にするだろうな・・・まだだけど・・・」

 「事故を起こしたんじゃ・・・」

 「航空機開発の事故は、珍しくないよ。ある程度、改修しているらしいけど」

ホルテンHo229 (ゴータGo229)
自重/全備重 推力(kg) 全長×全幅 (m) 全高 (m) 翼面積(u) 最高時速(km) 航続距離(km) 武装 爆装(kg)
4600/8500 1000×2 7.47×16.78 2.8 51.5 1000 1500 30×4 1000

 

 「日本製は駄目か。震電のジェット戦闘機型は悪くなかっただろう」

 「Ho229は、主翼幅が大きすぎる」

 「しかし、翼面積、翼面荷重とも艦載機としても戦闘爆撃機としても、悪くない」

 「金欠で開発費を抑えて数を揃えるあまり、ナショナリズムも発揮できないか」

 「ドイツ製の工作機械を使って外面だけナショナリズムを追求してもな・・・」

 「日本の現用機だと1500馬力の海燕が最強だとね」

 「開発途上の震電でも話しにならないよ」

 「ライセンス生産か、開発費をケチることができるのは助かるけどね」

 「しかし、戦争が終わったら急に予算をケチり始めたな」

 「予算もだけど人材がね」

 「車に乗ったこともない百姓の息子をパイロットにまで訓練する負担は大きいよ」

 「整備士もだ。元百姓だとプラグとベアリングの違いから教えないと行けないから」

 「スタートから負けているよ」

 「いまの日本の工業力でモータリゼーションは無理だよ」

 「木炭車を走らせたいのなら別だが油が足りない」

 「満州の油田は?」

 「粘土質でガソリンに向かないそうだ。ガソリンを精製できても高くつく」

 「一般車両に届かないから発電用か、製鉄用だな」

 「じゃ 中東の石油は?」

 「いまのところ、連合と同盟で抗争中・・・」

 「確実に確保しようと思えば、同盟全体を有利にできる大陸鉄道を通すのが早いか」

 「はぁ 発電用で電気自動車でも走らせるのが良いかな」

 「あはは・・・」

 「電動でも基地内でフォークリフトが使えると楽なんだぞ」

 「整備要員が減っても機体を維持しやすい」

 「ドイツ製石油精製所に期待したいね」

 「いくら、戦後軍縮でも航空戦力は確保すべきだよ」

 「ジェット機の時代か・・・」

 

 

 日本 某工場

全長(mm) 銃身長(mm) 重量 使用弾薬(mm) 装弾数 連射速度(発/分) 初速(m/s)
940 420 5.21 7.92×33 30 500 650

 これが何かと問われて、即答できる人間は、少ない。

 ドイツ帝国の突撃ライフルMP43(Stg44)

 同盟兵器の共有化で槍玉にあがったのが、これ。

 「百式短機関銃より重い」

 「百式短機関銃(8mm×21)と対比するならMP41(9mm×19)だよ」

 「まぁ 短機関銃だと、威力が大きいな」

 「MP43は、小銃と短機関銃の中間というところか」

 「ドイツは、小銃のサイズも7.92mmだから・・・合わせるのか?」

 「んん・・・」

 日本の将校を悩ませているのが重量だった。

 もう一つ、日本人とドイツ人は体格差が大きく、

 身の丈に合わず体力も違う。

 こりゃ駄目だ、も多い、

 いくらドイツが冶金技術、品質で優れても用兵側は頭を悩ませる。

 “こんなデカくて重い一物を持って行軍できるか” だった。

 「いくらなんでも、5.21kgは、駄目だろう」

 「そうだな、せめて3.50kgから4kgぐらいに抑えて欲しい」

 「縮小軽量化は希少資源を使わないと亜流コピーで性能が劣化するよ」

 「38式が6.5mm弾だったのは伊達じゃないよ」

 「だよな」

 「自動小銃も7.7mmから7.92mmにするのか?」

 「7.92mm×33は、ともかく。7.92mm×57は、さすがに辛いだろう」

 「弱装じゃないし、重くなるぞ」

 「多分、自動小銃化の段階で、7.92mmに変更される可能性が高いな」

 「口径変更か。なんか、いやな予感がする」

 「軍自体縮小しているし、戦後10年は、大丈夫だろうよ」

 「連合の厭戦気運は、当てにしたいけどね」

 「貫通力増しで、小口径が好みだが」

 「貫通力を低くしても大口径の衝撃力は、対人殺傷で捨てがたいよ」

 「どちらにしろ、用兵は気が重くないか?」

 「気は重いがモノは考えようだ」

 「侵攻作戦で行軍と突撃を行わないのなら、擲弾筒も使える大口径は有利だ」

 「重量は、安定性と信頼性につながるか」

 「弱装でないのが残念だが国土や租界を守るだけなら支障ないよ」

  

      初速 m/s 弾頭重量 g
日本 38式小銃 6.5mm×50 762 9
日本 99式小銃 7.7mm×57 732 11.34
ドイツ Kar98k 7.92mm×57 780 12.83
ドイツ MP43 7.92mm×33 685 8.1
アメリカ M1ガーランド 7.62mm×63 853 9.72
アメリカ M1カービン 7.62mm×33

602

7.13

アメリカ・イギリス 規格統合 1 7.62mm×51 830 9.72
アメリカ・イギリス 規格統合 2 5.56mm×45 960 4.54
ソ連 M1891/30 7.62mm×54 780 9.53
ソ連 AK47 7.62mm×39 710 7.9
         

      

 開発中の同盟規格の自動ライフル7.92mm×57は、大戦の経験則で開発段階で廃れ、

 携帯兵器は小銃の威力、破壊力、命中率の問題より、

 人間の身体能力から導き出される。

 歩兵同士の一般的な射撃距離は400m以下だった。

 射程400mを超えて的に命中させられる兵士は稀。

 歩兵戦闘の射程は、突撃ライフルMP43(7.92mm×33)で足りる。

 それなら自動ライフル7.92mm×57でなくても良い。

 狙撃兵は狙撃用ライフルを別途開発すべきと理屈が成り立ち、

 結局、開発中の自動ライフル7.92mm×57は、

 突撃ライフルMP43(Stg44)7.92×33に負けてしまう。

 「アメリカは、7.62mmだったな」

 「次期開発で小口径を匂わせているようだが真偽は不明だよ」

 「華寇軍と戦うと威力より弾数を揃えて身を守りたくなる」

 「相手を動けないようにしたくなるから、38式の6.5mmは伊達や酔狂じゃない。そう思うよ」

 「そりゃ 一発命中すれば、あとは、素手でも・・・とか、思えるけどね」

 「どちらにしろ狙撃用スコープの最高峰はドイツ製だよ」

 「狙撃兵のおもちゃなら7.92mmが射程も延ばせる」

 「しかし、体格が合わないのだから、何から何まで規格統合といかなくても、いいだろう」

 「ドイツ製が使えるのはいいよ」

 「熟練工がヤスリがけで修理するより部品を交換する方が早い。稼働率も高い」

 「そりゃ 95式軽戦車や97式戦車がドイツの2号戦車だったら」

 「日中戦争は泥沼化しなかっただろうよ」

 「戦中は、用兵側の言い分を通して、えらい目にあったからな」

 小銃は歩兵の命と身を守る上で重要で最良の物を・・・という要求は強かった。

 しかし、同時に数も求められる。

  

  

 “それは、それ。これは、これ” という言い回しがある。

 圧倒的な正義、正論、民族激情に直面したとき、逃げ口上として使われやすい。

 相互に原子爆弾の被爆検証をする、

 という名目でアメリカ代表団が東京近郊に立つ。

 帝都東京、原子爆弾の爆心地でカメラが回り始める。

 被爆された側は、腹も立つだろう。

 しかし、原子爆弾の開発と配備は、同盟、連合にかかわらず進んでいく。

 “原子爆弾の被害が及ぼす影響を相互に確認し検証する”

 は核戦争の抑止に繋がる。

 当然、相互なので日本とドイツ代表もシアトル近郊で爆心地の検証をする。

 シアトルの犠牲者99.9パーセント以上は、華寇軍であり、

 モスクワを除けば、被爆者の多くが同盟側、

 それでも各国の代表団は爆発した高度、溶けた鉄骨、焼けた大地、人影が残る岩など、

 凄まじい威力に震える。

 第三者は、他人事で包括的な判断から自らの所業を正当化する。

 当事者は良心の呵責が常に纏わり憑く、

 米英が日本やドイツをトロールと、その親玉の様に思い込んでいるだけで、

 日本が鬼畜米英と思い込んでいるだけで、

 相手が人間であると自覚しているからに他ならない、

 ドイツとアメリカは、原爆投下の爆撃機乗員を療養を名目に病院にいれている。

 彼らが公の場で “後悔している” と一言漏らせば、原爆投下の正当性が失われかねない、

 原爆を投下した当事者が良心の呵責を覚え、

 被害者が経緯を無視、感情的に “悪魔の所業” と叫ぶ。

 原爆を投下した国の住人が大局のためと自己正当化し、誰しも保身で体制に組する。

 己の欲望と野望で墓穴を掘り、

 祖国の名誉と、民族の誇りの為、権勢者を庇い、他国を貶めていく。

 結局、人間の資質は、戦前も、戦中も、戦後も、それほど変わらない。

 当事者の良心の呵責が一番、真っ当で人間らしい心理状態といえなくもない。

 

 

 同盟と連合の外交戦略上の焦点がインドから中近東にかけて集中していた。

 ユーラシア大陸鉄道は、投資に見合うだけの戦略的利益があるのか

 と怪しまれ、疑心暗鬼。

 誰しも思うのが困難で。考えるのが挫折と徒労。

 負担の大きな持続的な建設より、

 互いの大陸鉄道の夢と希望を打ち砕く方が楽だった。

 安直、安易、安上がりな妨害工作と、

 破壊工作、足の引っ張り合いは世の常で世間の常識、

 トランプを積み上げるより壊す方が楽、

 相手に採算割れを起こさせれば勝ちで漁夫の利の可能性もある。

 国家間の抗争もヤクザな家業も忌み嫌われながらも存続する。

 それは、安易な破壊を選択する心の闇に他ならない。

 

 

 商業ベースに乗るか、

 それは、人にとって需要があるのか、供給する価値があるかに他ならない。

 集団心理と錯覚を突いて一時的に利益を上げたり、

 詐欺紛いに騙し盗る場合もあるものの、メジャーになりにくい、

 安全第一、信用第一、健康第一、などなど、

 成果の追求の本音より、建前に惹かれやすいのも人間で、

 それは、焼け野原から再建しようとする日本も同様だった。

 日独伊同盟諸国にとって、

 中国の消費市場、資源、労力は希望だった。

 無論、搾取され、踏み躙られるのは大多数の漢民族であり、

 それは、有史以来の中国史で綿々と続いてきた事で、

 異邦人が上に立つこと以外変わらない、

 逆に産業が興れば、物流、金融が増大し、

 余計に生きていける漢民族も増えていく、

 南京中国政府は、ドイツ製の最優良印刷機を並べ、

 人口分に足りる元札の造幣が可能になっていた。

 そして、旧札を含め日本の偽札を金融市場から一掃していく、

 日中同盟は、重要視され、端的にいうと

 “偽札はなかった事にしましょう”

 と大人な解決がされ関係者は口を塞いでしまう。

 日本の国家的犯罪な偽札事件は暗黙の了解のまま、闇の中に消えていく、

 中国政府が人口分の紙幣を供給可能なのであれば、

 日本は、これ以上のごり押しは不可能であり、

 それでも日本の権益は残っていた。

 中国市場は、戦後復興・再建を図る日本経済の踏み台になっていく、

 特に満州の大慶油田の効果は大きく、

 日本、満州国、中国の産業にとって追い風で発電所建設が進んでいく、

 祟明島は、揚子江経済圏の出入り口を押さえ、

 大陸鉄道の要として大規模な工事が続いていた。

 

 

 ワシントン

 日独伊同盟 VS 米英ソ連合。

 それぞれの陣営で調整が行われていた。

 日独伊同盟がローカルパワー同盟で利害が衝突しにくく、

 米英ソは、ワールドパワー連合で利害が衝突しやすかった。

 「連合にとって重要なのは、B29爆撃機なのでは?」

 「確かにB29爆撃機の数を揃えれば、日独伊同盟の生命線は、いつでも破壊できる」

 それは “ソビエトが” という前置詞が付く。

 対日独伊同盟の主導権をソビエトに取られると

 “まずい” と思うのは正常な発想だった。

 当然、アメリカも、イギリスも渋る。

 「日本がドイツのパンター戦車をライセンス生産すると」

 「ソビエトは東西で軍事的圧力を受けます」

 「日本がパンター戦車をライセンス生産するのは噂ですよ」

 「現実は、捕獲戦車で次期主力戦車まで繋いで軍事費削減では?」

 「聞けば、捕獲戦車さえ、動かす燃料に事欠いているとか」

 「今は、そうでも数年後、より強力な師団が満州と中国に配備される」

 「そうなれば連合は、欧州と極東で、ソビエト軍を当てにできなくなりますよ」

 「・・・・」

 「ソビエト空軍で日独伊同盟の本土を空襲するのが適当なはず」

 「それには、やはり・・・武器貸与法以来の借款を払ってもらわなければ」

 「わが国の産業は危機的な状況です」

 「我がソ連が対独戦で数千万の生命を失った弱みに付け込み」

 「希少資源を安値で買い叩き、その上、借款の返済ですか?」

 「連合国全てが血を流していますよ」

 「産業は配当があり、採算がなければ資本投資が行われないものです」

 「ソビエトは、わが国の産業を停滞させ、潰す気でしょうか?」

 「そういうわけではないでしょう」

 「ファシズムとの戦いは人類全体。連合全て共有すべきもの」

 「ロシア民族の血に対し、アメリカとイギリスに情けがあるのなら」

 「我がロシア人の血の代価。見積もっていただきたい」

 「それは、お互い様ですよ」

 「わが国の国民も血を流している」

 「血の量で判断すべきでは?」

 「無論、判断の材料にはします」

 「しかし、我が国の産業が受ける打撃は、ソ連にも跳ね返るということです」

 「それでB29爆撃機のライセンスを渋るわけですか?」

 「まあ、ムスタングとB17爆撃機でも日独伊同盟にとって十分な脅威になると思いますよ」

 「現代は、ジェット機の時代では?」

 「ジェット機は、まだまだ、未成熟な段階、研究開発途上です」

 「ご存知ですか?」

 「わが国は、モスクワに原子爆弾を投下されたのですよ」

 「核兵器は、連合だけでなく、人類全体にとっても脅威ですよ」

 「核技術の供与。検討していただきたいですな」

 「検討だけならしていますよ。結論は出ていませんが・・・」

 「物は言いようで・・・」

 「ところで共産主義の伝播は困るのですがね」

 「対日独伊同盟戦に必要な外郭協力員を育てているだけですよ」

 「アメリカとイギリスは、黒い世界を望みません」

 「しかし、赤い世界も望んでいないのですよ」

 「協力的な体制は、構築できると思います」

 「こちらに敵対しないのであれば、という条件付で」

 「少しばかりは譲歩できるかもしれませんが」

 「歩みよりは検討に値しますよ」

 「あまり駆け引きに時間を取られては、同盟諸国に後れを取ることになりかねませんな」

 「無論、急いで検討しますよ」

 

 

 

 ベルリン

 日独伊同盟会議

 日独伊同盟海軍は、国力の総力で不利なため、

 水上艦艇より潜水艦に力を注ぎたいと考える。

 これは、通商破壊と華寇作戦で経験則と戦訓が得られていた。

 戦後軍縮の煽りを受けた同盟国海軍は潜水艦の規格を検討する。

 「戦前は、贅沢で高性能な大型潜水艦」

 「戦中は中型潜水艦を建造するのが合理的だろうな」

 「連合は、作戦海域が大きい」

 「連合に対戦哨戒機と対戦護衛艦を余計に配備させれば、国土は安全になる」

 「問題は、まだ予算上、建造できないことと数を揃えるのが大変ということだな」

 「しかし、規格さえ揃えれば、全地球的な作戦も可能になる」

 「ローカルパワーも結束すれば、ワールドパワーになれるということか」

 「ディーゼル機関より、ワルター機関を進めたいが」

 「ワルター機関はメリット・デメリットがある。問題点が多いと思う」

 「補助機関として緊急避難的に使用するのであれば有利であろう」

 「原子力は?」

 「あれはメリットも大きい」

 「しかし、放射能は過酸化水素より毒性が強い」

 「静粛性、価格、生産性だとディーゼルエンジンだがね」

 「それは中型潜水艦でも良かろう」

 「平時の示威行動で潜水艦は有用だが」

 「いざ戦いになれば核兵器の応酬になるのでは?」

 「核兵器は、化学兵器、細菌兵器と同じ」

 「互いに怖くて使えないというのが正直なところだろう」

 「相手が持っていればな」

 「核兵器の規格は?」

 「核は過渡期なので別枠がいいでしょう」

 「もう一つ、対中政策上、陸軍も手が抜きにくいことでしょうか」

 「まぁ アジア域での権益は重要ですからね」

 「対中政策上、中国の押さえになるのであれば中国大陸のドイツ権益は、有用でしょうが・・・」

 「中国の識字率が向上しつつあるようですが?」

 「富農が増えて急速に資本投下が進んで大陸鉄道沿線沿いに商業が拡大」

 「いずれは工業化に弾みがつくでしょう」

 「日本にすれば痛し痒しですかな」

 「そりゃ 市場が大きくなることですから」

 「不買運動は?」

 「華寇作戦後、国策上でも、表向きでも反連合が強いので対日不買運動はありませんよ」

 「大陸鉄道は?」

 「チベットか、ウィグルからパキスタン、イランを抜けて、ドイツ・イタリアと連結するか」

 「ビルマからインド、パキスタンかでしょう」

 「インドは混乱中ですが」

 「イギリスの勢力が縮小して、さらにひどくなった」

 「あそこは、世界の縮図だね」

 「人種、藩国、階級、言語、宗教で、バラバラ」

 「混沌とし過ぎて話しにならない」

 「良しに付け、悪しに付け。イギリスがインドをまとめていたのでしょう」

 「カースト制だけでも取り払えば、近代化まっしぐらなのに植民地にされるのも自業自得だ」

 「他人の人生を虐げ陵辱し踏み躙るのは、尊大な精神が刺激されるね」

 「しかし、同じ人種、民族で階層を固定させて才能を潰してしまうのは、大損だな」

 「まぁ 少なくともドイツ人も、イタリア人も日本人を差別するつもりはないよ」

 「それは、どうも・・・」

 黄色人種の日本人は、面白くない存在だった。

 しかし、ドイツ、イタリアは対連合政策上のため、

 人種、文化、宗教、言語を超えて日本との同盟を強化する。

 

 

 ノルマンディ区

 人口の多くがフランス人であるにもかかわらず、

 自由フランスの闘士ドゴールは人気がない。

 アメリカ、イギリスは軍事、経済、政治でノルマンディ区の支配を強め、

 大陸反攻の楔として要塞化していた。

 国境警備の管制塔からドイツ支配地の旧フランス北部を見渡せた。

 「フランスの栄光も地に落ちたか」

 「自由フランスは旧フランス植民地と抱き合わせで、体面だけは取り繕っている」

 「しかし、希望は、あまりない」

 「このまま、列強の飼い犬に成り下がるか。旧フランス領で巻き返しを図るかだ」

 「フランスの人口3800万人か、可能なら、そうしたいが・・・」

 「フランスをフランスにした知性、意欲、芸術性が健在なら旧フランス領で再建可能だろう」

 「ヌーヴェル・フランスか」

 「独立の意欲や能力より文化を捨て野蛮な生活ができるか、だろうな」

 「アメリカに資本誘導されて、なし崩し式に民族自決の意欲まで失われるかも」

 「結局、フランスだけじゃなく、イギリスも、ソビエトも対米借金苦で身動きが取れないよ」

 「儲けたのは、アメリカだけか」

 「いや、華寇作戦の後遺症が、ひどいらしい・・・」

 「後遺症って黒人狩りやインディアン狩りの口実か?」

 「生き残った華寇が雪で孤立して閉じ込められている家を占領している」

 「取り返しにいけば?」

 「行っている間に自分の家が別の華寇にやられるかもしれない恐怖は本物だよ」

 「じゃ そこで一冬を過ごして?」

 「女性がいたら完全にはらまされるな」

 「それは酷い。いやアメリカ人ならいい気味」

 「しかし、戦争が終わっても同盟と連合の確執は続く」

 「国民感情は簡単に変わらないだろう」

 「相互不信が強ければ利権の関係で支障になる。何よりノルマンディ区が困る」

 「最前線だと資本投下も大きいからね」

 「やっぱり、金には弱いか・・・」

 「北アフリカにも相当量の資本投下が行われているようだが」

 「地中海支配と対イタリア圧力がかかっているからアラブ・イスラムの反発も強い」

 「イスラムは、むかし、ピレネーやウィーンまで勢力を伸ばしていた」

 「立場が逆になっただけだよ。いい気味だ」

 「アメリカ人も華寇アレルギーで有色人種に残忍になっているからな」

 「お互い様ともいえなくないね」

 「というか、フランス政府の失策のせいでフランス人は後進国行き、未開地行きだ」

 「ポーランドをドイツにくれてやれば良かったんだ」

 

 

 日本民族の大半を占める農民は土地に縛られる。

 土と作物を作って生活の糧とする。

 義務教育制度が進んで近代化しても売買や取引という観念は弱い。

 土地の細分化を防ぐため、

 長子が取ったり縁者同士の縁組が行われたり、

 地域で信奉される長老格も庄屋とか、

 大地主の延長が大半で、時代を創るより流れに乗る。

 流れ乗るより惰性とか、

 その時の長いモノに巻かれるとか、損得勘定で判断し、

 処世術がある、知恵があるとひけらかす。

 しかし、こういった時代背景も近代化が進み、

 義務教育を受けた者が増え、領土が拡大し、

 産業が多様化し、利権が複雑怪奇となると判断が出せなくなっていく、

 次男以下の海外雄飛が進み、成功するにつれ常識が崩されていく、

 本土空襲の混乱と軍政の後退、

 拝金主義の台頭で日本人の意識も変化していく、

 近代化と開発に伴い土地収用と売買が増え、

 先祖からの愛着の強い土地にしがみ付き、

 一生懸命であるほど、恨みがましく、

 ねたましい関係が作られていく、

  

   

 瑞穂半島

 半島は地震がなく、大陸と地続きで大陸鉄道と繋がっていた。

 条件的に最良の工業地として、開発が進んでいく。

 これが大陸であれば、さらに人権と権利が踏み躙られ、

 人海戦術で大規模開発が可能だった。

 瑞穂半島は、日本と大陸の中間であり、

 日本よりも合理的に区画整理が進み、

 一生懸命が少しばかり弱く、有利な土地への移動も煩雑で、

 次男坊以下の新しい世界といえた。

 明治以降、日本は人口を増大させ、

 領土と利権拡大を機に余剰人口を移動させ、一気に雄飛が進んだ。

 雄飛の9割が瑞穂半島に集中し、

 瑞穂と日本へ利益誘導のため満州の権益と大陸鉄道を利用した。

 結果、アジア大陸全域へと日本民族が広がっていく、

 この時期、大地主は手足となる水飲み百姓を失い、

 代償に農作機械を求めやすくなっていた。

 領土が増えたことで農民人口が減りにくい環境が作られ、

 堅実な日本民族は、異業種より慣れ親しんだ農業を選択する。

 いくら土地の収用と分配が成功しても労働人口がなければ産業は育たない、

 元退役軍人も、わかりやすく馴染みやすい農業を選択することが多く、

 工業人口は不足する。

 官僚達

 「近代化は、それしかない状況に国民を追い詰めない限り堅実な人生を選択するか」

 「農業じゃ 食べられても戦争に勝てんよ」

 「戦後、直後なんだから食べるのが第一だよ」

 「いや、農業で決まれば、そのまま、数世代は農業だから」

 「工員で引き抜こうと思えば、高額賃金か・・・」

 「それ以前に本土と瑞穂で工業が育ってもソ連空軍の航続距離内だ」

 「日本の生存権は厳しい」

 「そういえばニューギニアは?」

 「あそこか・・・密林が多くて軍が整備していたな」

 「日本軍って、半軍半農だから華寇の匪賊を笑えないね」

 「ポートモレスビーの基盤整備が一番、進む可能性があるから否定できないか」

 「天然痘とサリンは収まったのだろう」

 「天然痘は用心しないといけないらしいよ。サリンは聞かないな」

 「サリンは毒性が強い」

 「しかし、化学式が脆くて無毒化は時間の問題だよ」

 「それは良かった」

 「強面の下士官と士官が、ほとんど戦死したおかげで、だらけられるのが良いね」

 「化学兵器と細菌兵器が唯一使われた戦場だし」

 「有用に利用できれば良いんだけどね」

 「公にしないという密約が合ったんじゃないか」

 「あれだけ大規模に使われて密約もあったものじゃないだろう」

 「いや、知らずとはいえ、日本軍が使ったことだし」

 「本当に知らなかったのか?」

 「知っていた士官が戦死した」

 「そして、知らない下士官の命令で兵士が撃ったのだろう」

 「そういえば、ドイツもサリンが7000トンぐらいあったそうだが、結局、使わなかったらしい」

 「それだけあれば白人を絶滅できるな」

 「狂人ヒットラーのイメージも変わる」

 「日本本土爆撃でも使われなかったぞ」

 「風船爆弾でも使わなかったか」

 「結局、報復を恐れて、化学兵器と細菌兵器は使えなかったんだな」

 「戦争が終わると何でと思ったりするんだが」

 「正気が残っているのは人間として誇れるよ」

 

 

 結局、ミッドウェー海戦で日本空母が残りアメリカ空母が全滅すると、

 ランチェスターの法則で対日反攻作戦が遅れる。

 その後、通商破壊と対潜囮作戦。華寇作戦と風船爆弾。

 Uボートの通商破壊が相まって対日侵攻作戦の延期が続き。

 ポートモレスビー空挺作戦と、

 その後のアメリカ西海岸上陸作戦で対日反攻作戦は実行されず。

 アメリカは、ソビエトと妥協し、

 日本本土爆撃で対日作戦の目的を達成する。

 皮肉なことに対米最前線で日本の防波堤になるはずの拠点が、

 南洋の楽園として取り残されてしまう。

 ラバウル

 「このまま、南洋に居残りで区画整理と整地作業なんだと」

 「ひでぇ〜」

 「日本陸軍って相変わらず人でなし」

 「赤紙一枚で徴兵だからね。命も労働も安いもんだ」

 「それでも補給なしで敵前上陸の華寇軍よりマシなんだと」

 「まぁ 自給自足が進んでいるから別にどうという事もないがね」

 「かなり早いうちから自給自足を進めてきたし、衣食住は足りるけどな」

 「ここを兵站にアメリカとオーストラリアの分断ができるように、だろうな」

 「ニューギニアだけで?」

 「瑞樹州に改称だと」

 「いやみか!」

 「いやになるほど木が生えとるからな」

 「まぁ 気合入れて整地すれば、それだけ設備投資しやすいということか」

 「本当は、鉱物資源を当てにしているらしいがね」

 「鉱物資源か。赤道で近代化というのは期待できそうにないな」

 「近代化は火を使うからな」

 「暑いと ぼぅー として、頭使いたくないから赤道に近いと不利だ」

 「高原地帯が、いいのか?」

 「酸素が少ないと、これまた不利だろう」

 「んん・・・じゃ・・・いま掘ろうとしているオーエンスタンレー山脈トンネル?」

 「火山が怖いのと湿気が篭りそうだな」

 「やっぱり、不利か・・・」

 「赤道付近で近代化している国はないからね」

 

 

 オーストラリア

 表向き、パースも、ダーウィンも返還という事になっていた。

 しかし、統制の取れていない華寇軍の引揚げ費用は連合国もち。

 実質的に “実力で奪い返せ” で、アメリカ軍の支援を得ない限り不可能だった。

 オーストラリア大陸は今後の対日作戦で重要な地位を占め、

 アメリカ海軍の艦隊基地も整備され、

 B29爆撃機、ムスタング戦闘機の配備が進む。

 「ダーウィン、パース、ケアンズの航空基地だけでも十分に日本軍を壊滅できると思うがね」

 「B29爆撃機とムスタングの数を揃えれば、そうだろうが」

 「ドイツのジェット戦闘機を配備するかもしれないな」

 「それは、まずい」

 「それに華寇作戦もだ」

 「オーストラリアは攻撃を受けない限り、次は参戦拒否もある」

 「ヘタレが!」

 「実質、停戦しなければ、オーストラリアは、単独でも講和を求めただろう」

 「弱腰だな」

 「それも最悪。パースとダーウィンも失いかねないほどだ」

 「オーストラリアが、それだと核頼みだな」

 「ニュージーランドも華寇で犠牲者を出している」

 「華寇への恐怖心は本物だよ」

 「戦う力がある国と戦う力のない国の差か」

 「力がないと覇気も意欲も失うな」

 「それより、インドの様子は?」

 「藩国によって温度差がある」

 「インドで覇権を握れるのなら同盟と組みたくなるのは、道理だな」

 「最大のガンジー派は、自主独立」

 「第二勢力チャンドラボースは、同盟側」

 「だけど、どっちも衝突を避けているよ」

 「どっちが制しても連合は、不利か」

 「インド最大のイスラム・ハイデラバード藩王国が同盟側に付く動きがある」

 「ん・・・イギリス最大の協力者じゃないのか」

 「インド大陸の真ん中にイスラム圏だからな」

 「外国勢力を利用して伸し上がったのだろう」

 「ヒンズーの方が多いだろう」

 「イスラム教徒は、12パーセントくらいだ」

 「インド大陸は荒れそうだな」

 「利害関係が複雑で、わけがわからないそうだ」

 「同盟は、何か、工作しているのか?」

 「それぞれの勢力にエージェントを送って情報収集だそうだ」

 「こっちが一歩も、二歩も進んでいるな」

 「英語が通用しやすいからな」

 「失敗しなければ、いいのだが利害が絡みすぎて、お手上げだな」

 

  

  

 ベルリン上空

 Ho229戦闘爆撃機が高高度を飛ぶ、

 黒髪の魔女マイは、ドイツ空軍在籍のままだった。

 この新型戦闘爆撃機と一緒に日本に一時帰国が待っている。

 ジェット機は、過渡期的な機体だった。

 技量の差を埋められるHo229は、日独伊同盟の主力戦闘爆撃機になるらしい、

 日本人パイロットでジェット戦闘機の実戦経験者はいない。

 欧州に派遣された日本人パイロットでも飛行経験者は数えるほど。

 黒髪の魔女マイは上手く守られ、経験を積む事ができたにせよ。

 単独で50機以上を撃墜し、

 ドイツ空軍の航空戦術も実戦で習得し、

 B29爆撃機とシューティングスターも撃墜している。

 やれやれなことにマイは、日独同盟の象徴で国家高揚の宣伝も兼ねて華々しい、

 日独航空戦術の技量を埋める役目も名聞として素晴らしい、

 問題は飾りでなく、名実ともにエースだったことにあった。

 若い娘の士官を日本の将兵がどう見るか想像しやすく、

 総論賛成、各論反対で、

 まだ、日本男児を体格で圧倒するアリエスは有利、

 日本男児が自尊心を捨て、

 年端もいかない娘に技能を教わるなど、よほどのことで、

 ありえないに近い、

 面子と自尊心を保って独立独歩、遠回りする方が容易だった。

 最初、日独両国も上っ面の宣伝つもりであり、

 マイとアリエスを利用していただけで、期待していなかった。

 しかし、ヒョウタンからコマ、

 中身のない飾りのつもりが龍に化けてしまったという話し、

 敵国に与えた被害総額を計算し、戦績から階級も決まってくる。

 いくら体面を重んじる男尊女卑の日本国でも、

 信賞必罰の原則を無視することもできず。

 ドイツ空軍の少佐をそのまま使う。

 「マイ。どう、この機体?」

 「な、なんか、ちょっと違うかなって感じだけど、いけると思う」

 「尾翼がないのは寂しいけどね」

 「日本か・・・」

 「京都は、爆撃されていなかったみたいだから案内してあげるね」

 「やっぱり、祖国は嬉しい?」

 「どうかな、本土爆撃で焼け野原らしいから、ちょっとね」

 「確かに戦災の跡は気持ちが荒むわ」

 「停戦で敵がいなくなると現実が大きくなってしまうから」

 「冷戦を続けたくなる気持ちもわかるわね」

 「でも歌うのは無しね。ゲッペルスのやつ〜 ドイツ女を舐めやがって」

 「あはは・・・レコード、売れているって」

 「アメリカみたいな無分別で無節操な宣伝しやがって」

 「あいつも原爆で墨になればよかったのに」

 「デーニッツ総統になってゲッペルスも立場が微妙みたいよ」

 「いい気味。少し雰囲気も和らいできたし、当分は戦争しなくてすむかもね」

 「弾幕に飛び込むって、ちょっと、したくないわね」

 「うん」

 

        

        


 月夜裏 野々香です。

 作者は、戦争が始まるとお邪魔虫、

 下手すると、一兵卒、捨て駒、弾除けにされそう。

 やっぱり、世界平和です。

 とはいえ、人間、自暴自棄になると混乱と戦争で出し抜こうと思ったりでしょうか。

 国際情勢で、あまり追い詰め過ぎると自暴自棄どころか集団自殺。

 日本も一息ついたいのだから

 内政充実を目指して欲しかったりです。

 

 

  

昭和18年度の給与令(月給)の抜粋
大将 中将 少将
550円 483円 416円
 
大佐 中佐 少佐
370円 310円 220円
 
大尉 中尉 少尉
155円 94円 70円
 
軍曹 伍長 兵長
30円 20円 13円
 
上等兵 一等兵 二等兵
10円 9円 6円

 

 切手代一銭五厘の赤紙もコネや金次第で、どうにでもなったそうで・・・

 戦地増額が別にあったようですが下っ端は思うところ色々あり、

 格差が酷く、不公平感が漂い。

 さらに上層部が酷いとモラルが低下、リンチなど日常茶飯事。

 敵国を滅ぼすより、自国を滅ぼしたくなるような、でしょうか。

 これでは、共産主義を恐れ、敵意旺盛も仕方のない国情です。

 今の自衛隊より不公平感が大きく、

 最大多数の二等兵は辛いよ、という感じです。

   

 

   

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第43話 1945/12 『映し鏡』
第44話 1946/01 『心が、国際社会を・・・』
第45話 1946/02 『急がば、建前』