月夜裏 野々香 小説の部屋

   

仮想戦記 『青白き炎のままに』

   

 

第45話 1946/02 『急がば、建前』

 日本の経済再建は、回りくどいことに中国を経由する。

 回りくどくない方法も確かにある、

 もっとも、その方法を居直り強盗という。

 日本民族は本土爆撃で塗炭の苦しみ。

 回りくどい方法をとったのは、良識が残っていたから、というより良心の呵責。

 居直り強盗は、もうやめようとか。

 列強に突け込まれたくないとか。

 荒事の疲労困憊で気落ちしているのが原因。

 ともあれ、資源、労働力、消費市場のどれをとっても有利で、

 金のためと中国大陸へと設備投資が流れていく、

 日本本土だと土地収用が煩わしい上に利益の回収効果が小さい。

 大陸だと領民を抹殺して進められるため費用対効果は圧倒的によかった。

 大陸鉄道と揚子江経済圏は、大動脈で、日本の利権があり、

 好むと好まざるとにかかわらず日本のドル箱となっていた。

 瑞穂半島も生産の拠点と資源獲得で有利であり、

 祟明島も、日本の直轄地として、中国の大動脈を押さえていた。

 利権で守られた鉄道沿線沿いに日本資本の進出が進み、

 日本の大陸依存は、ますます高くなっていく。

 元々、日本の産業は、列強の下請け組立工場に近く中進国だった。

 この国が曲がりなりにも列強として覇を唱えられるのは地政学的な要因があり、

 日本国民のモラルの高さと、勤労勤勉に頼って酷使してきたおかげといえる。

 そして、ドイツの技術と中国大陸の鉱物資源を利用し、

 市場を踏み台にしているからに過ぎなかった。

 戦後不況で食料が優先する。

 領土が増えたせいか、

 土地があると慣れ親しんだ農業で水田が広がり、

 就業人口が不足すると、日本の工業化を鈍らせてしまう。

 堅実な農耕民族の日本人を工員にするには、土地持ちを減らさなければならない、

 日本の停戦状態は中途半端だった。

 自分たちのやり方は間違っていなかったという者もいれば、

 間違っていたという者も出てきて混乱する。

 料亭

 民間業者も軍関係者を労い始める。

 「・・・閣下御歴々のご活躍で、この日本帝国が守られたこと」

 「私ども生涯、忘れるものではありません」

 「まぁ 停戦で日本の国体が守れて良かったよ」

 「いえいえ、ご謙遜を・・・」

 「どうでしょう。海軍艦艇の大まかな寸法など批評していただければと・・・」

 業者が図面を見せる。

 「まぁ 日本海軍の技術を結集させた大和がアメリカのミッドウェーで野ざらし」

 「艦内から自爆させたとはいえ、いまさら、寸法を隠しても・・・どうかね、大佐」

 「・・・1935年以前の艦艇であれば、良いのでは?」

 「やはり、日本男児の夢は海軍にありです」

 「我々は日本男児の夢を広げるため、可能な限り模型を実物に近づけたく思います」

 「今後も大日本帝国の繁栄のため大型艦の就航をよろしく、お願いします」

 将校たちが経験則で苦笑い。

 軍人が軍歴、出世栄達を求め大陸に深入りしていくのも、

 民間業者が売れる艦艇の建造を政府に求めるのも、

 大義名分がどうあれ、利己主義の結果で、

 私利私欲の含みがあって、さして変わらない。

 「紙の上でなら、いくらでもできる」

 「しかし、残念ながら戦後軍縮はしばらく続くよ」

 「そ、そうですか、戦場での御歴々の活躍も “詳細に!” 記すつもりですが」

 「やはり模型も、過去、現在、未来の栄光がなくては・・・」

 ほくそ笑む将校たち。

 「まぁ いうだけは言ってみるがね」

 「戦後復興中のことでもある。当てにしない方がいいかもしれないな」

 「いえいえ、目標があって人は初めて希望を抱き働くもの」

 「私たちは全力で、その日本海軍の象徴を具現化いたしますので、良しなに・・・」 手もみ、手もみ。

 「そうさのぉ・・・」

 「全ては、少年たちに、お国の未来に希望を与えるため」

 「ひいては、大日本帝国海軍のためにと・・・」

 「まぁ そうでは、あろうが・・・」

 「退役後は、後見人の椅子も用意しておきますので・・・」

 「ご親戚や縁のあるお方でも・・・」

 「そ、そちも、悪よの〜」

 「いえいえ、今の日本があるのは、御歴々の戦功の賜物。何なりとお申し付けください」

 誰も

 “この痴れ者が!”

 “己の才覚で消費者を喜ばせ”

 “市場を切り開くのが商いだろうが〜!!” と言わない。

 言わないのか、言えないのか、

 言いそうなタイプはポートモレスビー攻防戦で、ほとんど死んでいる。

 厚顔無恥な軍国主義が後退すると拝金主義が台頭する。

 後ろめたいことでもあるのか、

 名声を思って悦に入ってるのか、

 老後のことでも考えているのか、

 日本古来の伝統的な “和をもって貴しと成す” は、権威なところもある。

 キレがなく、ねちっこい。

 にやにやと、含み笑いが広がっていく、

 

 

 

 北アメリカ大陸

 停戦で戦争は終わっていた。

 記憶を辿りながら故郷へと続く道、

 我が家に向かう懐かしい風景と降り積もる雪原を一緒に踏み締める。

 帰還を伝える電報は既に送っていた。

 両親、妻、息子、娘。暖かい家族との楽しい団欒がよぎり、

 戦場の苦い思い出が片隅へ追いやられる、

 行く前と変わらない家が見えると足取りも軽くなり、早足になっていく、

 まとわり付く雪を払いのけ、

 扉を開けると暖かい室内の空気が歓喜を呼び、

 寒さに凍える頬が僅かに緩む。

 「いま、かえっ・・・」

 !?

 不意に脇腹に痛みを覚え、喜びに弾んだ声が凍りついていく、

 そして、歴戦の将校は、意識を混濁させ、

 そのまま、玄関に倒れこみ、床に血を広げて行く、

 2人の黄色人がピッチフォーク (鉄の熊手) で突き刺した男を見下ろしていた。

 アメリカ西海岸から星の数ほど押し寄せた華寇軍は、ほとんどが死に絶え、

 運良く生き残った華寇は人知れず山野に隠れ棲んだり、

 一家の男共を皆殺し、綺麗な白人娘をモノにして楽しんでいたり、

 人生、いろいろ。

 この時期、生き残った華寇軍と、

 凱旋帰国した元アメリカ軍将兵との狭間で起こった悲劇は相当数・・・

 華寇軍は降伏しても帰還できる保障がなければ、太く短く生きようかと開き直る。

 アメリカ西部で華寇軍生き残りが生きて行こうと思えば、

 治安を悪化させて無法地帯化するしかなく、

 秩序回復は最大の敵になった。

 「お腹、空いたニダ〜」

 「名前が満腹なのに変ある」

 「そっちこそ、順華なのに、どうして上手く行かないニダ」

 「でも少しは、英語を覚えたある」

 「難しいニダ」

 「英語は、中国語に似ているある」

 「女たちに一杯、教わったある」

 「じゃ 死んだ仲間たちの分も補償してもらって、もっと、一杯、教わってくるニダ♪」

 満腹は、部屋に閉じ込めた女たちのところへ行く、

 満腹と順華は、冬山で孤立した一軒家を不法占拠し、

 老人夫婦と子供を殺害、母親と娘を手篭めにし、

 ヨーロッパ西部戦線から凱旋帰還したアメリカ軍陸軍少佐を殺し、いまだ居座っていた。

 とはいえ、順華と満腹は、街中を歩き回って買い物もできず、

 こそ泥か強盗しかできない。

 女どもに英語を教わって、この国の暗黒世界と結託する。

 華寇の生き残りがアメリカ大陸で生存権を確立する道は狭められていた。

 キリスト教の善良さを当てにして教会の門を叩いても、魔女狩りにされてしまうだけ。

 暗黒世界で抹殺家業、

 他にない、

 踏み躙られた者が最終的に行き着く先は、殺される側か、殺す側。

 半農半盗の匪賊家業は絶対勝つときだけ、

 リスクが小さいとき限定の兼業強盗だった。

 しかし、殺人業のみは、リスクが大きく匪賊と言わない、

 順華は腕を組み、降り積もる雪を眺め。

 思い悩む。

 しかし、漏れ聞こえる啜り泣きで考えがまとまらない。

 「俺も行くある〜♪」

  

  

 揚子江

 科学は、理論。

 技術は、能力。

 工業は、可否。

 産業は、存続。

 産業は段階を追って始めて近代化する。

 E=MC2 を知っていても原子爆弾を開発できるわけでもない。

 さらに採算ベースに乗せようものなら相当な梃入れが必要だった。

 農家の息子では土台無理な話しといえる。

 日本がアジアで覇を唱えることができたのは、結局、善良さではなく。

 大義名分でもない。

 日本軍は怖い、という残虐性を発揮しただけ、

 漢民族と朝鮮民族も恐れさせ、利権体制と政治的バランスを構築し、

 パックスジャポニカとなってしまっただけ。

 とはいえ、大半の日本人は、比較的、善良で本土が焼け野原にされてボロボロなのか

 はぁ〜 と肩を落としていた。

 一方、第二次世界大戦の停戦でアメリカと引き分けて喜んでいるのは戦場にもならず。

 爆撃もされていない揚子江の住人たちで、

 “黄色人と白人は対等ニダ〜!”

 “違うニダ! 黄色人最高ニダ〜!!”

 “ウリナラ朝鮮軍万歳ニダ〜!!!”

 “華寇軍は人類軍最強ニダ。精鋭部隊ニダ〜!!!!”

 “華寇軍は、あと少しで北アメリカ大陸や豪州を占領できたのに日本はヘタレニダ!”

 と、盛り上がる朝鮮人だった。

 “アメリカ軍なんか、ヘタレばかりだったニダ♪”

 “そうニダ。同盟が負けなかったのは、華寇軍主力の朝鮮人のおかげニダ♪”

 “日本人は、華寇軍主力の朝鮮人に未来永劫感謝し続けるニダ♪”

 “今度は、ヘタレな日本抜きで、やるニダ♪”

 “そうニダ。今度は朝鮮民族がアメリカに勝つニダ〜!”

 “そうニダ。我が朝鮮民族軍に任せておけば、北アメリカと豪州を支配していたニダ”

 “日本人は、本土が爆撃されて怖気づいたニダ♪ びびりニダ”

 “日本人は、弱いニダ。臆病ニダ。志が低いニダ”

 朝鮮人は現実を直視するのを拒むかのように酔い潰れていく、

  

 揚子江経済圏の主人公たる朝鮮民族は、両班制度を復活させ、

 封建社会への回帰を望む、

 当然、近代化を阻害し、

 実力主義や能力主義を取り入れようとする開明派が反発する。

 しかし、元々の気質は強い、

 儒教は頑迷なほど保守的で権威主義であり、商業行為を潰しやすい傾向にあった。

 年功序列を増長し、権威・権力を守るため改革派の芽を潰してしまう。

 1才でも年上であれば “オッパ (お兄さん)” とか呼ばれ横柄な態度も許される。

 気分が、いいのだから年長者は止められない、

 幼少の頃から頭を抑え付けられ、

 性根から踏み躙られると心も捻じ曲がっていく、

 開明派でさえ、歳を重ねていくうちに子供の頭を思いっきり地面に擦り付けて悦に入る。

 礼儀作法は、人間社会全般で美しくもあり、大切だった。

 さらに上位者に対し、礼儀作法を身に付けていないと用いられることはない、

 能力があろうと、実力があろうと、杓子定規など存在せず。

 両班に贔屓にされないと殺される世界が作られていく、

 

 

 揚子江の少数実力派。

 日本人は停戦を聞いて安堵しつつ、日々の生活に煩わされていた。

 支配する側は現実に追われ、支配される側は夢を追う。

 揚子江の多数派、労働の主軸。朝鮮人たちの能天気な大騒ぎを傍観しながら行き交う。

 幸か不幸か、好き嫌いは、ともかく、日中朝で補完関係が構築されていた。

 「いい気なものだな。朝鮮人は・・・」

 「情の捌け口があると、あんなものだ」

 「あの陽気さは、日本人にないな」

 「日本本土の焼け野原を聞いても想像できないんだろうな」

 「日本が焼け野原にされて喜んでいるのさ」

 「本音を言えないから、ああやって誤魔化しているんだ」

 @ところで、満州の石油だが、どうも、怪しいらしい。これから大変だぞ」

 「そんなに酷いのか?」

 「粘土に近いそうだ」

 「そ、それ、燃えるのか?」

 「一応な。発電には支障ないらしい」

 「んん・・・社長は輸送費が安くなるとか喜んでいたから落胆するだろうな」

 「川の近くで資源を掘り当てないとな」

 「ドイツの掘削機械は遅れているのか?」

 「満州に取られたらしい」

 「やれやれ」

 「朝鮮人は機械の使い方が荒いから機械は他の少数民族に使わせようぜ」

 「あいつら、ナンバー2を気取って五月蝿いからな」

 「そういえば、この前、インドを征服すべきだったとか」

 「北アメリカ、オーストラリアを攻め続けるべきだったとか、言ってたぞ」

 「けっ! いつも、いつも、そうやって宗主国を疲弊させてきたんだよ」

 「そして、ドサクサにまぎれて自分の株を上げる」

 「まぁ 軍人にもいたよ」

 「現場を育てるより、擦り減らして自分の功績にして栄転していくやつ・・・」

 「いたな・・・残った現場は、ボロボロ」

 「バカ軍人だけとは、いわないけど。短期決戦バカは、いやだね」

 日本社会は、天災一つで権力者も逃げ惑う。

 格好が付かないのか、礼儀作法も簡略され、

 社長や目上に “様” は、付かない、

 天災による物損も酷いのか、

 技巧者は、高く評価されやすく、

 媚びへつらいは、ほどほど。

 今後、大陸と半島の悪癖が日本文化に浸透していく可能性は高かった。

 

 

 

 

 数百隻の艦船が周囲の海を囲み、ミッドウェー島が埋め立てられていく。

 座礁して半埋め立ての戦艦大和は、アメリカ軍が管理していた。

 一時は、解体という話しも上がる。

 しかし、結局、戦利品として晒す方が気分がいい、となった。

 技術的なレベルは、ほぼ把握して個々の部品は構造が古く、品質が荒い。

 ダメージコントロールで見劣りするなど批判的な視線も集まる。

 結局のところ日本は、同じ戦艦でもスポンジ状の科学技術・工業レベル。

 近代戦では、技術的な水準が高いだけでは足りない、

 芸術、美学、趣味、象徴にまで昇華され過ぎた軍艦は、価値以上の象徴になりやすく、

 投機的な戦場で捨て時を誤るため不似合いだった。

 運用できる程度、強い軍艦をたくさん建造し、

 相殺戦でぶつけることができる艦艇が適度によかった。

 国力に自身のある国は、こういう発想ができる。

 アメリカ兵の軍靴に踏み付けられる大和は見せしめで、

 一部修復され清掃されていた。

 「この小島が対日最前線になってしまうとはな」

 「ミッドウェーを真珠湾並みに埋め立て、直接、日本本土を叩いて見せますよ」

 「しかし、随分と大きな滑走路にするんだな」

 「開発中のB36ピースメーカーの基地にするそうです」

 「ほう・・・」

 「カタログ通りならミッドウェーから日本本土をやれます」

 「ウラジオストックを当てにすると、政治的に妥協させられるからな」

 「満州も取れないとは、ソビエトのヘタレが」

 「日本軍は、穴掘りだけで数百万から一千万の漢民族を酷使して殺したそうだ」

 「日本人は、負けないため、人間やめたな」

 「まぁ 数百万の民間人に爆弾を落とす方も人のことは言えないが・・・」

 「言えるぞ。こっちは、人間」

 「向こうは、トロール」

 「日本本土爆撃は正義の鉄槌」

 「しかし、停戦したんだろう」

 「いつ始めても良いのが停戦なんだ」

 「ドイツのジェット戦闘機が日本に配備されたって聞くぜ」

 「噂だろう。日本全部を防空するだけの国力はないよ」

 「それに全機が原爆を積んだら日本は滅ぶね」

 「生殺与奪権さえ握れば、どうにでもなるか」

 「ドイツは?」

 「あっちも同じだろう」

 「イギリスと、北アフリカからの爆撃で破壊できる」

 「しかし、こっちも、タダでは済まないだろう」

 「噂だとノルウェーに海底トンネルを掘削しているらしいぞ」

 「そういえば、誰か言ってたな」

 「スラブ系の反逆者を磨り潰して、掘ろうとしているとか」

 「一石二鳥だけど、本気かどうか・・・」

 「ドイツ人の人でなしの度合いも、日本軍と良い勝負だしな」

 「せっかく停戦したのだから、当分、戦争をしたくないよ」

 「イギリスも怖気づいているからな」

 「まぁ 原爆戦争はしたくないが、やれば勝てる」

 「しかし、アメリカとイギリスは中国アジア市場から追い出された」

 「イギリスはインドまで失って、今後の国際情勢は低迷だな」

 「連合は、まだ総合力で勝っているよ」

 「しかし、どうも政治が弱気だ」

 「一応、民主主義だからね、大統領は軍部でなく、国民を見ている」

 「大統領が軍部から選出されず、国民から選ばれるのなら健全なんだろうな」

 「健全でも人気職だと戦略眼に欠けるよ」

 「西海岸に上陸されたからね」

 「大陸の西側と東側で温度差が広がっている。国民をまとめる方が大切だよ」

 「はぁ 南北戦争の次は、東西戦争の危機か」

 「自由の国アメリカが捻じ曲げられなければ良いけど」

 「アメリカ国民がアメリカの自由を作っている」

 「アメリカ国民が自由を望まなくなればアメリカでなくなるかもな」

 

 

 

 

 同盟軍 新型巡洋艦 矛彩(むさい) (Nebelspitze) 計画

 求められるのは、長大な航続距離、作戦能力。

 兵装は、二の次とされていく。

 「・・・仕様でアメリカのボルチモアに負けそうだな」

 「発見されたらね」

 「ていうかドイツが対艦誘導ロケットを開発できたら負けないだろう」

 日本の艦砲が良いように見えても実のところ砲身命数は列強最低だった。

 もちろん、衝撃と熱による劣化、磨耗からくる精度も最低だった。

 最高なのは、やはり、冶金技術に勝るドイツ製。

 ここで艦隊運用と技能に長けた日本海軍将校と、

 技巧に走るドイツ海軍将校の間で衝突する。

 矛彩が優性遺伝で建造なら言うことなし。

 しかし、劣性遺伝の可能性もあった。

 もっとも、欧米諸国の大同小異の方がこじれやすく、

 小同大異の方は、明暗と長短がはっきりしており、

 あまり我を張っても仕方がないと結論が導き出されたりする。

 艦体構造。艦砲は、アームストロング砲系列の運用が勝ち、

 ドイツ側は仕様で妥協が見られていく、

 規格品質は圧倒的にドイツ製だった。

 無論、全産業構造に影響を与えかねない規格統合は慎重になっていく、

 形が日本で、質がドイツという

 新型巡洋艦 “矛彩” の設計が少しずつ、組み立てられていく、

 

 

 

 ロンドン

 かって、七つの海を支配した大英帝国は、その威信と栄誉と名誉が失われていた。

 アメリカはシアトル、日本は東京、ドイツはベルリン、ソビエトはモスクワに原爆が落ち、

 イギリスは、原子爆弾を落とされていなかった。

 しかし、イギリス人の表情は、敗戦国家の如く失意に落ち、

 国民によって選出された国の上層部に責任の追及が向けられる。

 国の上層部に自浄能力がなければ市民革命が浮かびやすい国だった。

 民主主義は選挙で、政策を変えることができ、

 外圧による結果であれ、国民の総意であれ、

 保身と既得権構造を一掃し、

 国内外で気持ちを切り替えられる点で優れていた。

 もっとも深慮遠望な行政と外交政策が

 刹那的な扇動に歪められる可能性も秘めていた。

 カフェテラス

 「長年、欧州をバラバラにして統合させなかった勢力均衡外交も大失敗か・・・」

 「大陸のパワーゲームに干渉し過ぎたんだ」

 「ソビエト共産主義の防波堤として、ドイツ・イタリアファシズムを利用しようとしたからだ」

 「それが良かったのか、悪かったのか」

 「いや、ポーランドを救援するため、イギリスの国運を賭けたバカさ加減は常軌を逸しているな」

 「こういう結果になるとは思わなかったのだろう」

 「だが結果、イギリスは、アジアから弾き出され、インドの利権も縮小しつつある」

 「さらにアメリカ資本で建て直しか、イギリスの太陽は沈むな」

 「対アジア政策でも不明があったな」

 「日本人が、あれほど鬼畜非道になるとは・・・・」

 「華寇もそうだが、満州地下道建設も同じくらい亡くなっていたそうだ」

 「そういえば、機甲師団ごと落とし穴に落としたな。信じられんことをする」

 「それだけ犠牲を払った、ということだろう」

 「軍人は、武器弾薬で戦争するものだ」

 「ツルハシやスコップでやられてはな」

 「この第二次世界大戦自体。ソビエトの思惑とも重なっている」

 「乗せられたと言うべきかも知れないがね」

 「ソビエトは不満分子を挙国一致を兼ねて片付け」

 「邪魔なドイツと日本を叩き潰したい、か・・・」

 「思惑通り行かなかったようだが・・・」

 「戦争はアメリカの産業も望んでいた」

 「戦争がなければ需要が起きず、第二次大恐慌という可能性もあった」

 「アメリカは経済を持ち直した代償が西海岸への華寇上陸か」

 「こればっかりは、よくやってくれたと日本を褒めたいね」

 「確かに。アメリカ一人勝ちではパワーバランスを保てない」

 「英米関係が従属関係になってしまうのは困るな」

 「しかし、大陸のほとんどがドイツ帝国では、イギリス本土も窮屈だ」

 「カナダ移民が増えそうだな」

 「豪州は?」

 「原子爆弾が怖くても華寇も怖いからカナダ移民も微妙だな」

 「ところでインドの情勢は?」

 「最大派閥のガンジー派と、インド国民党のチャンドラ・ボース派は抗争中だ」

 「まだ、血を流すところまで行かない」

 「最大派閥、第二派閥がともに、独立派か・・・・」

 「両派閥とも、同盟、連合に対し、対等でありたいらしい」

 「もっともカーストでは割れてるようだが」

 「現実を直視するまで、いかないか」

 「あとは、ヒンズー系とイスラム系が、どっちに付くかだ」

 「藩王国諸国でも違うだろう」

 「結局、金次第だから内戦も有り得るね」

 「大英帝国の国力の根源的な源は、インドを植民地にしていたからだ」

 「それがなければ、カナダと豪州のみ、巻き返しは困難だな」

 「欧州大陸の緩衝は、ドーバー海峡と、僅かノルマンディーのみ」

 「イギリス本土は危機的状況にあるわけか」

 「ナポレオンの全盛期も、そんなところか・・・150年くらい前だったかな」

 「ノルマンディーとイベリア半島は残っているが、あの時より状況が悪かろう」

 「スペインは独裁で向こう側だろう」

 「んん・・・スペインが、このままなら良いが・・・」

 「さぁ スペインは、どっちについてもプラスとマイナスあるからな」

 「大英帝国は、カナダと豪州で上手く力をつけて巻き返さないと没落だぞ」

 「黄昏るな・・・」

 

 

 

 中国大陸の揚子江は朝鮮人と少数民族など緩衝を置く事ができた。

 アメリカ、イギリスの直接の対中窓口は、華寇返還に関する部署だけ、

 大陸からアメリカとイギリスが後退すると、

 孤立した中国南京政府は日本になびきやすかった。

 しかし、満州国は、日本人と中国人の間で剥き出しな利権抗争が行われやすく、

 ソ連軍の侵攻を押しとどめた原動力は、漢民族の強制労働に帰結する。

 でたらめな動員と過酷な労働で人的損失は、極東ソ連軍の数十倍。

 おかげで、満州帝国の反日勢力は、粗方、挫かれたといえる。

 しかし、命があれば何とかなる現実は大きく、

 日本人が、舐められているとしたら、

 やはり、歴代王朝より穏やかな島国気質による。

 日本国民の気質がロバとすれば、漢民族は凶暴な荒馬といえた。

 日本人的な気質を捨てなければ漢民族を乗りこなすのは至難の業で不可能に近い、

 「満州の資本投下による利権の確保は悪くないと思うよ」

 「しかし、行政に日本人が関わるのは・・・・」

 「毒を食らわば皿までだよ」

 「しかしねぇ もっと満州人を使うべきだろう」

 「満州人も、ここでは少数派なんだ」

 「やれやれ、満州族の母体になった清帝国の八旗軍は一時、アジア最強だったのに・・・」

 「見る影もないか」

 「少数派でも漢民族がバラバラだと付け込んで大陸を支配できるのだろうな」

 「しかし、満州人は美人が多いな」

 「ロシア人の血が相当混ざっている」

 「むふっ♪」

 「とにかく、資本投下した利権を守ろうと思えば、清国と同じ」

 「最低でも行政の半分以上を日本人で占めないと」

 「そりゃ 日本人は満州人より人口が多いがね」

 「和をもって貴すとなす、か・・・満州じゃ無理だな」

 「関東軍をヤクザ代わりに配置するのがいいのかな」

 「日本軍は、それほど残忍とはいえない」

 「大陸で残忍性がないと反乱を起こして良いというサインになるんだよ」

 「あはは・・・半島に引き篭もりてぇ」

 「揚子江は、朝鮮人を緩衝にしているようだが、満州人は少な過ぎるからな・・・」

 人に “お前、性格を変えろ” は “個性を殺せ” とか “精神的に死ね” に等しい、

 “代わりにもっと良いものがあるよ” なら “ちょっと考えてみるか” でも

 “人でなしになれ” とか “冷酷になれ” とか。

 生殺与奪権を握って “冤罪をでっち上げ、時々、殺してしまえ”

 では、漢民族を大人しくさせることができても気が退ける。

 というわけで日本の満州支配は、体面とか、建前とか、良識のせめぎ合いになっていく、

 華寇兵狩りで漢民族を駆り立てさせるため、

 本性と偽善に満ちた性質は両立できず、

 五族協和。王道楽土は捨てていた。

 しかし、漢民族と朝鮮民族が民族を鼓舞するため、五族協和、王道楽土を引っぱり出し、

 スローガンで復活させ、戦後も維持している、

 いまさら綺麗事を持ち出しても、

 漢民族数百万を強制労働で酷死させた事実は消えない、

 日本民族は、満州国の潜在能力の高さと、

 復讐の恐怖に怯え更なる圧政を敷くか。

 段階的に利権を手放して和解を目指すかとなっていく、

 漢民族の復讐は、墓を暴いて踏み躙るにまで及ぶ、

 結局、被支配国と被支配国民が受ける扱いは、その国の民族性や国民性に帰一しやすく。

 和解は、有り得ず “圧政を敷く” に向かいやすい、

 「漢民族が復讐とか、墓を暴くとかなければ、もっと、やさしくできるのに・・・・」

 「無理・・・漢民族は変わらない・・・」

 「じゃ 中国歴代王朝と同じで虐げるのか・・・」

 

 

 

 日独伊枢軸同盟はユーラシア大陸の西の独伊東欧同盟諸国と、

 ユーラシア大陸の東の日中アジア同盟諸国に分かれ、

 利害衝突が少なく、遠交近攻の利には適っていた。

 しかし、共同作戦や連携が困難であり、

 定期航路の安全性と経済性が要求される、

 ユーラシア大陸鉄道は、同盟の共通利益をもたらすとして浮上していた。

 しかし、それでも足りないことに気付かされる。

 協定の信義は重要であり、

 領土や利権がなければ同盟の意義が薄れ、

 同盟そのものの価値が脆弱になっていく、

 

 東京は、まだ、再建が始まったばかり、

 原爆の後遺症が残り、焼け野原が広がっていた。

 中小都市が爆撃されなかったおかげか、

 大都市の区画整理は、比較的、早く進む。

 赤レンガの住人たち

 数人が無線機の周りに集まり、あれこれ、ぼやいている。

 費用対効果で悪くても多くの人命が失われ、

 死傷者を出した戦後で、思い付くのが無線誘導の無人モノだった。

 視線が小型の荷台のような、大八車に似た三輪車に集まる。

 「・・・音は静かだな」

 「蓄電池だから・・・一応、有線で送電もできる」

 「そりゃ 音で位置がバレないのは良いけどね」

 「満州の粘土質油田で発電所が作りやすくなったからな」

 「幸か、不幸か、電気自動車の時代ではある」

 「しかし、役に立つのか、これ?」

 「無人にする必要があるの?」

 「いや、分隊の歩兵支援だから」

 「それに、いっぱい死んだから無人化は、仕様だし・・・」

 「いや、死んだ98パーセントは、漢民族だから・・・」

 「有人の方が良くないか」

 「せっかく作ったんだから・・・」

 「なんか、産業側のゴリ押しじゃないのか」

 「小型の方が発見されにくい」

 「専用の布を被せれば岩のようにも偽装できるし」

 「引っ張れば犬のように付いてくる」

 「おい! 引っ張ってくれ!」

 一人の兵士が車両の先端にある紐を引っ張ると上手についてくる。

 「おい。重くないか!」

 「いいえ!」

 なんともカッコ悪い光景で寒い空気が広がる。

 軍人にとって見栄は士気を保つ上で重要な要素だった。

 「ひっくり返らないのか?」

 「ゼロ戦と同じ、超々ジュラルミン仕様で軽量で丈夫です」

 「タイヤは大きく悪路でも使える」

 「超々ジュラルミンって、げっ!」

 「資源を無駄にしてないか?」

 「いや、下を支える部分は、贅沢だが周りは網目。それほどでもない」

 「民間の土木作業用か・・・」

 「・・・・」

 「いや、いいけど」

 「一応、前線までは、大型トラックで運んで」

 「その後、斥候部隊を支援させる電気運搬車だな」

 「何で、三輪?」

 「四輪は、重量を載せられるが小回りが利かない」

 「二輪だと本当に大八車だろう」

 「重量が制限されバランスを保てない」

 「消去法で三輪車」

 「人は?」

 「物資運搬の荷台だから、乗り心地は悪い」

 「しかし、負傷兵を後方に下げるのにも使える」

 「そりゃ 補給物資が余計にあれば、派手に撃てるかもしれないが・・・・・」

 「歩兵支援で一個分隊(10人程度)の水、食料、武器弾薬を載せられる」

 「走行距離105km。時速25km。無論、平地使用」

 「時速25kmって、走った方が速くないか?」

 「何より嬉しいのは、分隊なのに擲弾筒を余計に運べて重機関銃も使える」

 「パンツァーファウストも運べるぞ」

 「「「「ふ〜ん」」」」

 日本産業の土台を支える主力運搬車両の大八車よりマシに見えた。

 日本産業にとって、隼V型10000機より、よほど、プラスになりそうだった。

 しかし、軍用品で、見栄えは士気にも関わる問題で気が進まない、

 「・・・ところで、本当に日独間で、ツェッペリン飛行船の定期船を飛ばすのか?」

 「領土交換の話しと抱き込みで持ち上がっているよ」

 「そりゃ 欧州に拠点があれば便利だよ。わかるけど・・・・」

 「航路でアメリカを抜きにすると採算が怪しくなるよ」

 「しかし、日本も焼け野原ならドイツも瓦礫の山、飛行船なんて、よく余裕があるな」

 「ヒットラー総統の引退で貴族的な企業が息を吹き返したんじゃないか」

 「焼け野っぱらの日本より、瓦礫の山の方が余裕があるんじゃないの」

 「しかし、全長360mの飛行船の建造なんて正気かね」

 「そりゃ ユーラシア大陸の両端を繋げての定期飛行船就航だろう」

 「それくらい必要だけど。安全性は?」

 「ヒンデンブルグ号の炎上は水素じゃないって、本当か?」

 「さぁ 出火時の火の色だと違うらしいけど」

 「採算ベースを考えないのはドイツらしいというか・・・」

 「ジュラルミンとエンジンも大型だな」

 「こりゃあ飛行機と飛行船の中間?」

 「どうせ、また、ドイツの技術は、世界一とか言って無理やり作って自慢にするんだよ」

 「褒めたら喜ぶよ」

 「そりゃ 嬉しかろうよ」

 「ドイツの工作機で作れない機械や部品はない」

 「ドイツの工作機で作れない機械や部品は、この地球上に存在しない、とか言う連中だから」

 「一度で良いから言ってみたいぜ」

 「採算が怪しくても独立採算とかじゃなくて、トータルメリットって、あるんじゃないの」

 「いくら官僚仕事でも戦後再建中だぞ」

 「投機で、どんぶり勘定は、やばくない?」

 「漢の夢だろう」

 「イナゴの天ぷらは、食えても。漢の夢は、食えねぇ」

 「貧しい国は、気持ちを集約させてモチベーションを高める見せ掛けの象徴が必要なんだ」

 「だけど、後先、考えないで国潰しな大和じゃ 頤和園と変わらないぞ」

 「頤和園はいいぞ。綺麗だし」

 「そうなのか」

 「うん」

 「しかし、爆撃機の特攻で指揮不能で座礁した大和は酷かった」

 「酷いといえば、海軍が大型空母の建造して欲しいってよ」

 「アホが空気読めよ」

 「普通、戦後は、再編縮小だろう」

 「まぁ しばらくは、やめようよ」

 「停戦で平和になったんだし、また戦争準備と思われて警戒されたくないし」

 「どうせ、どこぞ利権団体に煽られているんだな」

 「アメリカの軍備増強は?」

 「停戦で縮小中かな」

 「正面装備とかじゃなくて、品質とか、規格だけは合わせようぜ」

 「熟練工に頼って戦争なんてしたくないよ。酷い目にあった」

 「部品交換一発で即が良いね」

 「そりゃ ありふれた部品一つに1時間も、2時間も時間をとられ」

 「結局、飛ばないなんて、ざらだったからな」

 「もう、ドイツの工作機械ばかりになるか」

  

  

  

 日本国防省海軍局

 戦争が終わると軍事費は縮小されていく運命にある。

 しかし、軍官僚と関係者は、一度、会得した利権を手放したくない、

 駄目元でも抵抗をしたくなる。

 宴会

 「諸君! 戦いは、停戦で終わったか?」

 「否! 戦いは、終わっていない。止まっているだけだ!」

 「「「お〜!」」」

 「我々は、断固として、日本海軍の次世代に繋がる超大型空母の建造を要求する〜!!!」

 「「「お〜!!!」 パチパチ パチパチ パチパチ

 「これが、新型超大型空母の想像図だ〜!!!」

 「「「お〜!!!」」」 パチパチ パチパチ パチパチ

 総トン数70000トン。

 全長300mを超える巨大空母が図面上に描かれていた。

 「漢なら、これに乗れ〜!!」

 「「「お〜!!!」」」 パチパチ パチパチ パチパチ

 「これは、決して、私心からくるものではな〜い!!」

 「全ては、日本国海軍の明日のため、ひいては大日本帝国の未来のため〜!!!」

 「「「お〜!!!」」」 パチパチ パチパチ パチパチ

 「そして、アメリカ側と話しがついた」

 「向こうが先に艦隊建造計画を発表してくれることになった〜!」

 「「「お〜 万歳〜! 万歳〜! 万歳〜!」」」

 「この追い風を生かして、大型空母建造を進めたいと思う!」

 「各員一層の粉骨精神と緩みない努力と結束を求めたい」

 「「「お〜!」」」 パチパチ パチパチ パチパチ

 「予算を取るぞ〜!」

 「「「お〜!」」」

 「予算を取るぞ〜!!」

 「「「お〜!!」」」

 「予算を取るぞ〜!!!」

 「「「お〜!!!」」」

 パチパチ パチパチ パチパチ

 「「「「日本帝国海軍。万歳〜! 万歳〜! 万歳〜!」」」」

  

  

 日本国防省陸軍局

 宴会

 陸軍は、大陸鉄道の利権と深く関わっているだけあって、

 趣味に走りやすい海軍の宴会とは趣が違った。

 「線と点の支配は、装甲列車と河川砲艦」

 「後は、飛行機と警備車両だな」

 「守備隊の規模が大きいと採算割れ起こすと思うが言語が違い、民族も違う」

 「現実問題として朝鮮民族と少数民族を緩衝にできればいい」

 「日本語と中国語の二カ国語で仕切った方が合理的なんだがね」

 「それだと、中国人に付込まれやすくなる」

 「経験からだと、そうなるな」

 「んん・・・」

 「中国もアメリカ、イギリス、ソビエトを利用して対日包囲網を構築するより」

 「日本と共存する道を選択しつつあるから、状況は悪くない」

 「好都合なのは、漢民族が反日より、反朝が強くなっていることだな」

 「いや、朝鮮人も日本人に化けて悪さしているから、どっちとも言えないぞ」

 「普通、性格で気付くだろう」

 「あはは・・・」

 「しかし・・・あんまり、朝鮮人を追い詰めると、本当に瑞穂民族と改称するかもしれないぞ」

 「そ、それは、まずい」

 「揚子江と大陸鉄道では、朝鮮人と少数民族を緩衝にしながら日中関係を模索すべきだろうな」

 「問題は、利権を採算ベースに載せるため相当な投機が必要になるな」

 「日本は本土爆撃で焼け野原、この状態で投機は、まずかろう」

 「しかし、これ以上、居直り強盗は日中同盟に支障がある」

 「とりあえず、現状の利権を守って、後は、交渉ということだな」

 「しかし、電気機関車は、問題ないのか?」

 「満州の油田がアレだと発電所から送電した方が良いそうだ」

 「ふっ そんなんで、よく、アメリカと停戦できたな」

 「普通、油田が発見されたと情報が入ったら粘土状じゃなく」

 「液体状のモノを想像するだろう」

 「アメリカ人の逞しい想像力がアダになったな」

 「あとは、車両の軽量化を進めて・・・武装は?」

 「機関銃と擲弾筒・・・大砲は、あった方が良いよな」

 「そりゃ あった方が匪賊の意欲を削ぐことができるよ」

 「んん・・やっぱり、朝鮮人を緩衝に入れないと」

 「大陸鉄道も、揚子江経済圏も採算が怪しいか」

 「難があるとすれば、どいつも、こいつも信用できないことだろうな」

 「軍は飾りで地元の匪賊と組んでが、歴代王朝からの仕来たりだけど?」

 「んん・・・もう、軍の威厳とか言うやつは少数派だし」

 「日中同盟にヒビを入れるより、地元の人間に殺しあってもらうべきだろうか」

 「本当は、治安維持が大切なのにな」

 「体制側が悪党と結託してどうするんだよ〜」

 「杓子定規で比較的穏健な治世が無理なら。郷に入れば郷に従えだろう」

 「「「「「はぁ〜!」」」」」

 島国気質の者にとって、大陸は、息苦しい世界だった。

  

    

 


 月夜裏 野々香です。

 日本も、アメリカも、軍産複合体で書いていくと笑えなくなるので、

 模型屋で・・・

 日独伊統合規格は、今のところ、図面上だけのようです。

 華寇軍の内、朝鮮人は数パーセントでした。

 しかし、妄想は飛躍的に膨らんでいきそうです。

 知り合いに年下の朝鮮人がいるのですが オッパ と呼ばれた事はありません。

 因みに、その朝鮮人は自分より年下を見つけると、

 相手が日本人でも礼儀作法を伝えて オッパ と呼ばせようと・・・

 美しい民族性は、かなり不公平で民族内に引き篭もっているようです。

 もっとも、日本民族も積極的な統率力に欠けて和を重んじるあまり、

 馴れ合いや、事なかれ、内向き内罰的だったり。

 個性を殺して集団に埋没したり、かと思えば、自暴自棄に暴走したり。

 いい加減にせえよ、とか思ったり。

 先天性とか、後天性とか、

 あと、取捨選択の結果とはいえ、そういう民族性なのでしょう。

  

 

 

   

   

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第44話 1946/01 『心が国際社会を・・・』
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第46話 1946/03 『我を通して、選択が狭まれる』