月夜裏 野々香 小説の部屋

   

仮想戦記 『青白き炎のままに』

   

 

第46話 1946/03 『我を通して、選択が狭まれる』

 勝者のはっきりしない停戦後の世界、

 経緯から同盟と連合に分かれて冷戦中だった。

 もちろん、人種、民族、言語、宗教、思想、文化など、

 格差を埋める努力を怠れば反発しながら離散していく運命にある。

 私利私欲を優先する民族・国民は、派閥が作られ、

 派閥の利益誘導が進むにつれ、我田引水な国益主義に至る。

 国民感情と国益も矛盾する。

 しかし、一方が、一方を完全否定すると国は成り立たない。

 そこに権力闘争と利権抗争で、勝ち組の傲慢と負け組みの嫉妬が生まれ、

 やっかみが正道を狂わせ、ドラマが作られていく、

 個人にとっては、ともかく、

 民族と国益にとって不毛なことが多い、

 どこの国でも似たような権力争いで、派閥の集合離散が行われ、

 国際情勢を巻き込んで混沌としていく、

 

 

 旧フランス植民地 ヌーヴェル・フランス

 旧フランス植民地軍が支配する新世界は、列強各国の草刈場になっていた。

 各国とも望んでのことではなく、遠謀な戦略というより、

 済し崩し的な打算と妥協の結果。

 ここで行われているのは、おぞましいほど露骨な使役と虐殺だった。

 祖国を失ったフランス人は植民地に散って最大最強派閥となっていた。

 近代化のため、列強の工場が必要だった。

 フランス人も旧フランス植民地を開拓し、

 ヌーヴェル・フランスにまで開発できるか、不確定要素が大き過ぎた。

 フランス人の人口が増えていくにつれ、

 白人の町がアフリカの原野が作られていく、

 そして、同盟と連合の利害が絡んだ需要が生まれる。

 しかし、国の上層部が決めた事でも個人の力、実力がモノをいう。

 同盟が嫌いで連合も嫌いなフランス人が、この原野で力をつければ、

 それが、ヌーヴェル・フランスの声になっていく、

 「とにかく、発電所、製鉄所、造船所の発注は日本にしたい」

 実力不足の日本人は、どうしたものかと躊躇していた。

 本土が焼け野原にされ、

 何が悲しゅうて、このアフリカ大陸で建設事業を・・・

 と、農民出身が大多数の日本人は思いやすく。

 ただでさえ、建設技能者少数派の日本は、人手不足だった。

 アフリカ大陸に使える港があれば、

 国際戦略の観点から悪くないと思う日本人は少数派。

 当然、ヌーヴェル・フランスの利権に目が眩む各国は、

 圧力をかけて妨害工作をはじめる。

 「ど、どうでしょう。農業支援なら、いくらでも・・・」

 とりあえず。苦境を有耶無耶にして事態を調整する。

 フランスは国際力学上、

 近代化の基礎をアメリカ、イギリス、ドイツ、イタリア、ソ連に頼むのが面白くなく、

 フランス人の美学が許さない。

 交渉は、複雑に絡み、

 書類上、メイド・イン・ジャパンであれば良いことになっていく、

 ダカールの酒場

 アフリカでは珍しい日本人が2人がくさる。

 「ったく。なんなんだ。結局、調整役か」

 「フランス人は、同盟と連合も嫌いなんだろう」

 「そりゃ わかるけどさ」

 「しかし、列強のフランスが消えてしまうなんて、なんて戦争だよ」

 「ノルマンディは、残っているだろう」

 「あそこは、実質、アメリカとイギリスの橋頭堡だからな」

 「原爆があるんだから、いまさら、橋頭堡なんて、そんな時代かね」

 「原爆か。日本じゃ 当分、先だな」

 「材料は、揃っているんだろう」

 「揃っていても、まだ、理論だけって話しだ」

 「予算がなくて臨床実験に移せないらしいが」

 「どこまで進んでいるのか、わからん」

 「そういった事も、ある程度知っていた方が外交交渉も駆け引きしやすいんだがな」

 「日本人は、まだ、井戸の中の蛙」

 「目先の損得勘定で動くのであって、戦略で動いているわけじゃないよ」

 「そんな偽善な日本民族が、よく漢民族と朝鮮民族を磨り潰せたものだ」

 「華寇作戦なんて鬼畜だぞ」

 「時々、出るんだよ」

 「信長みたいに外道で酷いことができるやつ」

 「運がいいのか悪いのか」

 「ところで、農業支援は上手くいきそうなのか」

 「国民の大半が農民なら、それを利用するのが良かろう」

 「中国は、もっと酷いぞ」

 「近代化するため、奴隷を輸出したがっているし」

 「ふ 生き残った者で全世界的な華僑ネットワークか」

 「ああいう受精式に華僑勢力を拡大できるのは羨ましいね」

 「万に一人の成功でも良いんだから」

 「そういえば人間も億単位分の一で生まれたっけ」

 「人間一人にそれだけの運と実力と能力があるということか」

 「自惚れたくもなるな」

 「自惚れのしわ寄せが死体の山か」

 「数千万のフランス人が押し寄せるアフリカの大地は哀れだね」

 「近代化は犠牲が必要だよ。特にアフリカ人の女工はね」

 「未来はヌーヴェル・フランス合衆国か」

 「土地だけなら、十分。周辺には領土を拡大できる要素もある」

 「植民地軍が黒人主体だとヌーヴェル・フランスの勝ちだね」

 「ドイツは、どうするつもりだ」

 「日独連絡の拠点になるなら利用してよし、邪魔になるなら潰す。だろうね」

 「そこまで冷徹になるかな」

 「結局、ヌーヴェル・フランスの需要は戦後再建の弾みにもあるし」

 「適当なところで妥協するとは思うがね」

 「フランス人も祖国を奪われて結束気味」

 「識字率が高過ぎて傀儡にできないと思うよ」

 「虐殺か・・・そういえばインドネシアは、どうするんだろうな」

 「中途半端に恨みを買うくらいなら華寇並にやれば良かったんだよ」

 「畏敬は得られる」

 「畏怖だろう」

 「華寇作戦は、片道作戦だし、船がなかったんだろう」

 「そういえば船も足りなかったったっけ」

 「600万トンもあったのに停戦時は、150万トンを切ってたんだから」

 「軍は作戦不能で民間需要にも足りない」

 「華寇作戦は滅茶苦茶だよ」

 「半島への移民と停戦で御の字だったな」

 「船の建造は急務らしいが軌道に乗るのは、もう少し先か」

 「アメリカのリバティ船を買い取りたいほどだが・・・」

 「アメリカも、本音は売りたいだろうな」

 「ふっ」

 「中国の鉄鉱石と石炭。南方の希少金属があれば作れるがね」

 「本当は、くず鉄から製鉄する方が採算が取れるが・・・・」

 「日本の産業は裾野が狭いから背伸びし過ぎだよ」

 「いい加減 “悪い子して、ごめんなさい。もう一度、取引してください” とか、ならないものかね」

 「ならんだろう。ここまで、やりあったんだから」

 「それに、いまさら国民に “政策を間違っていました。ご免なさい” とか、言えないし」

 「あははは・・・」

 「はぁ 中国の権益で我を張りすぎだよ」

 「大陸権益が大きいからだろう」

 「科学技術も、産業も、安い大量の資源に支えられている」

 「見境無くして自制きかなくなったんだろうな」

 「そりゃ 鉄と石炭。石油は、近代国家として最低限必要だからね」

 停戦後、力不足の技術は、同盟側と取引しながら国力を建て直し、

 中国・東南アジアを踏み躙り国家再建を進めていく、

 日本軍の勇戦で英仏軍を駆逐し、

 華寇作戦で、アジアに迫るアメリカ軍を退け、

 中国・東南アジアは、自主独立と自信を回復し、

 反日より、反米、反英、反ソが強かった。

 それでも治安維持費は高騰し、収益率も決して良くなかった。

 特に東南アジアは華寇作戦の高揚が小さく、

 日本への反発は大きかった。

 同盟 VS 連合 の対立軸が堅まるにつれ、

 小国日本は、さらなる近代化を要求され、

 貧富の格差を広げての近代化が必須であり、

 他国・異民族を踏み躙って荒稼ぎするか。

 自国民を余計に働かせて搾り取るかの選択枝を迫られていた。

 日本再建は、国体維持と独立の気概を保ち、迷いつつも進んでいく、

  

  

 インド

 日本領事館

 日本、ドイツ、イタリアの領事館は、インド政庁に近い場所にある。

 理由は、とにかく便利だからという以外になく。

 アメリカ、イギリス、ソ連も近くで集まって、それほど変わらない。

 同盟 VS 連合

 それぞれ、人種、宗教、文化、思想的な無理解で衝突が起こりやすく、

 一緒にいることが苦痛になる。

 しかし、一緒にいないと敵勢力の離反工作で切り崩し、

 そして、済し崩しな相互不信で同盟関係が空中中分解の可能性もあった。

 何が悪かったのだろう・・・

 独伊同盟国の領事館員と一緒に、

 昼食のカレーを食べる日本領事の領事官は、ぼんやりと考える。

 「・・・インドにおけるイギリス利権は縮小気味だ」

 「しかし、イギリスは、我々、同盟と比べてはるかに大きな地場がインドにある」

 「インフラの多くがイギリス製で成り立っているのも有利ですな」

 「当然、イギリスは、既存の利権を利用した利益誘導を進めて」

 「インド政策を連合側へと向けさせるだろう」

 「反イギリスを結集して足を引っ張るのは上策だが」

 「戦後の再建途上で露骨にやれない」

 「停戦したばかりで開戦は、士気が保てないでしょう」

 「日独伊同盟会議では、一、反イギリスを纏め上げる」

 「二、共産主義の浸透を利用し、米英ソ連合の解体を目指す」

 「しかし、反イギリス勢力の糾合と、共産主義の浸透で米英ソ連合の解体は矛盾していないか?」

 「それは、同盟会議で調整するだろう」

 「順番通りの優先順位で、いいと思うが・・・」

 「下手に離反工作を進めると連合が反発して結束してしまうのでは?」

 「それは、ありえるな」

 「我々も、連合の離反工作が発覚して結束が強まっている」

 「しかし、米英ソのワールドパワーと日独伊のローカルパワーの対立は苦しい」

 「危機感の強い同盟側の結束が強まり」

 「危機感の乏しい連合側は結束で弱いと思うべきだろうな、付け入ることはできる」

 「アメリカ、イギリス、ソビエトをインド攻めで疲弊させ」

 「その隙に日独伊同盟が国家再建という手もある」

 「連合が乗ればいいけどね」

 「逆に同盟をインド攻めに追い込んで疲弊させ」

 「連合が隙を突いて大攻勢というのもあるよ」

 「んん・・・えげつない」

 「問題は、戦中も、戦後も、やっていることが変わらないのは、どうもね・・・」

 「いや、いや、こういう謀略が三度の飯より好きだから外交官をやっているんだよ」

 「あはは・・・」

 『地獄に落ちやがれ』

 

 

 アムステルダム港

 2人の寂れた白人紳士が失われた祖国を見つめる。

 港に入港する日本の軍艦は日本国国権の延長、

 日本とドイツ帝国は対等な関係にあり、

 港街を歩く日本海軍将兵は、オランダ人より、よほど主人然としていた。

 「さ迷えるオランダ人か・・・」

 「4月に咲き乱れるチューリップ畑も、心を和ませてはくれないな」

 「オランダはアジアの土地を奪い」

 「奪った土地を守ろうとして本国まで失った・・・」

 「最初からムッサートのようにドイツ側に付けと?」

 「いや、感傷だよ」

 「自分自身が国を失う痛みを知るまで、祖国のない人間の痛みに気付かない」

 「どうかな自分の痛みは、弱者に押し付ける」

 「インドネシアが残っていたら売り渡しても本国を守ったはずだ」

 「大多数の人間は、人に痛みがあることすらも感じないか」

 「インドネシア人は人ではない。そう思うことにしているよ」

 「ふ 俺たちがドイツ人に、そう扱われなければいいがね」

 「国のないユダヤ人が金に命を賭けるのは良くわかるな」

 「そうだな」

 オランダの与党と野党の代表。

 国家社会主義派、自由民主党派の違いがあっても、

 主権、国土、国民は、民族のよりどころ。

 オランダ本国の保全のためナチと妥協するか。

 植民地の権益のため米英よりを貫くか。

 互いに政策の違いがあり、足を引っ張り合い、妨害した結果と言える。

 支配欲に駆られたとはいえ、程度の差こそあれ、

 オランダが置かれた立場を考慮してのことだった。

 本国は、最悪でも確保したかった独立さえ奪われる。

 連合側が勝てば、独立を回復できる可能性もあった。

 それでも植民地は失われるだろう。

 権力の覇を競い潰し合った仲も、いまとなっては・・・・

 権力闘争の離合集散で貴重な時が失われ、

 大航海以降の努力が無に帰し、蓄えられた国家財産が奪われてしまう。

 失われた時は巻き戻すことができず、民族の誇りも失われた。

 己の不明と、地政学的な不運を呪っても、

 懐かしい営みは戻ってはこない、

 全てが手遅れだった。

 生まれ育った祖国オランダ。

 祖国オランダの栄光の歴史は、最初からなかったように消えていた。

 国家に保障されていたオランダ人の権利は、全て失われていた。

 財布の中身は、マルク札であり、

 ギルダー札は紙切れと化していた。

 ドイツ資本の下で働かなければ、収入はなかった。

 生まれ育った大地は、己の全存在を否定していた。

 ドイツ人に奪われても、騙されても、何をされても、

 守ってくれる国も、訴えるべき場所もなく、泣き寝入りするしかない。

 祖国の大地と法がオランダ人の敵となった。

 運命にあがらわずドイツ人になるか、

 オランダ人として逃げるか、

 アウトローになるしかなかった。

 もう一つ、南米オランダ領ギアナ(16万3265km²)に行く者も多い、 

 オランダ人が、ユダヤ人、ジプシーの気持ちを理解したのは停戦が決まったとき、

 既得権を全て失ったオランダ人は、ドイツ帝国に組み込まれていた。

 伝を頼って、アメリカ合衆国に逃げ出す者も少なくない。

 

 

 アムステルダム港

 巡洋艦 大淀が停泊する。

 ドイツ人の軍関係者、外交官、財界関係者など客人を乗せていた。

 大淀型は、矛彩型の雛形として流用する予定であり、

 軍艦も外交交渉の材料だった。

 もっともドイツ人の体格から日本の軍艦は不都合が多い、

 それでも設計と運用上の利点は、日本海軍が強かった。

 巡洋艦 大淀 艦橋

 「・・・お客さんたちに不備は、ないだろうな」

 「ええ、接客は一流どころを集めましたし」

 「これでもか、というほど磨ききりましたからね」

 「こんなに綺麗なのは新造艦以来ですよ」

 「オランダは、ドイツ本国より爆撃の被害が小さいな」

 「連合は、戦後のことを考えながら戦争していたようです」

 「おかげでドイツ再建は早いかもしれないな」

 「日本との関係にも影響が出るかもしれません」

 「矛彩型は、どうなるやら・・・」

 「最悪でも砲身はドイツ製がいいですね」

 「口径は、ともかく、命数が段違いですから」

 「訓練でも安心して撃てますよ」

 「砲塔の機構は、アームストロング系の方が良いが」

 「その辺の融合が手間取りそうだ」

 「どちらにしろ、建造は予算付かずですからね」

 「問題は、領土交換かな」

 「安心し得停泊できる港は、嬉しいですが人質のようなものでは?」

 「戦国時代で言うと飛び地が同盟の証明」

 「最低でも、300kuくらいだそうだ」

 「大きいようで小さいようで微妙ですな」

 「小さすぎて足りなければ意味を成さないだろう」

 「確かに・・・」

 「不足があっても規格統合なら支障もないだろう」

 「日本人の方が小柄で有利な面もあるのですがね」

 「まぁ その辺は支障がない程度、変えるかもしれないがね」

 「大は、小を兼ねるだろう・・・」

 「あれは?」

 「!?」

 「連合軍?」

 M4戦車。ジープ。

 アメリカ軍装備のアメリカ兵が居並ぶ。

 「・・・映画のようですね」

 「映画か・・」

 「アメリカ軍は、オランダで戦っていないだろう」

 「お得意のプロパガンダでオランダ人に見せ付けているのでは?」

 「イギリスも近いですし、東方移民を進めていますし」

 「ドイツのプロパガンダは露骨過ぎて、どうも性に合わんな」

 「アメリカとか、イギリスのプロパガンダは、ソフトで好感が持てますね」

 「それでもヒットラー時代と違って刺々しさが減ってるそうだ」

 「ゲッペルスも退陣だそうですからナチ風のプロパガンダも、これで最後でしょう」

 「ヒットラーの噂、本当だったのかもしれないな」

 「そうですね。首都ベルリン直撃ですから」

 「東京とベルリンに原子爆弾か・・・」

 「それで日独結束が強まったようなものだ」

 「上の方は、少し混乱しているようでしたが・・・」

 「停戦で米英と和解しそうになったり。やっぱり同盟維持になったり。混迷だな」

 「お互い様ですかね」

 「日本政府も米英と戦前の関係に戻したい風でしたし」

 

 

 インドネシア領が失われるとオランダに残された植民地。

 南米オランダ領ギアナ(16万3265km²)に集まる。

 オランダ祖国が3万3880km²なので移民するのなら余裕だった。

 しかし、文化的な生活は望めない。

 フランス領ギアナと隣同士で油断できず、

 オランダ人のオランダ領ギアナ移民も増えていた。

 

 

 

 ブラジル

 同盟・連合の停戦後、南米諸国は急速に同盟側と和解が進む、

 アメリカが嫌いだからと、

 アメリカ西海岸上陸作戦を行った日本人が反動で好かれることもあった。

 もっとも、アメリカの経済植民地でしかない、

 南米諸国は政治的な決断で制限がある。

 反米意識が強くても同盟と、どこまで結託できるか不明だった。

 仮に彼らが風船爆弾を欲しても、

 南米大陸から北米大陸に向かう風はない。

 ブラジルは、戦中、アメリカ側に立ったものの、

 停戦後、同盟側に近づき始める。

 これは、国際バランスのセンスでアメリカの威信が低下したため、

 ゆすり、たかりのアメリカ側にいるより、

 中立の方が金になると考えたのか、

 南米諸国全体が大同小異の似たもの同士で、

 せがみ根性なのか、同盟との絆を深める。

 村社会的な思考だと海外の日本人は、日本人ではなく棄民と思われたり。

 そのくせ海外に出ると頼りにされたり、

 とかく、ご都合主義的な精神構造があった。

 日本人は、人口の大半を農民が占めるため鎖国的な引き篭もりが多く、

 閉塞的で排他的な精神構造の打破が求められた。

 それができるのは、見境のない欲望のまま、

 日本民族を侵略へと誘導した政治家であり、

 侵略を強行した軍部、

 侵略へと誘導し駆り立てた軍属だけ、

 彼らがいなければ瑞穂半島は日本ではないとか、

 言い出しかねないほどだった。

 ともあれ、海外移民の日本人は戦争で負けず。

 日本民族としての誇りを保ち結束できた。

 サンパウロ。日本人街リベルダージ

 「アメリカ資本の地歩と経済的な制約は強い」

 「しかし、ブラジルは、一応、独立国だ」

 「反米感情を利用して反動で一気に同盟側もあるだろう」

 「問題は、南米諸国が同盟側として信頼に足るか、では?」

 空気が淀む。

 信頼し合える国民性なら資本投資が活発に繰り返され、

 もっと近代化している。

 信頼関係がないから資本投資が停滞し、近代化が遅れる。

 泥棒に金を貸すバカはいない、

 後進国は後進国になる資質と背景があった。

 得をするのは小賢しい悪党、損をするのは人の良い善人、

 しかし、善人が少ないと国全体が寂れていく、

 こんな国に投資するのは、どぶに金を投げ込むようなもの。

 資源を買い、

 製品を売り込む、

 それ以上の人間関係を求める価値のない国が多かった。

 「モラルの高い人間はいるけどね」

 「ああ、いるよ」

 「しかし、見出す苦労は、先進国のそれを数十倍」

 「大規模事業には向かないね」

 「どいつも、こいつも、袖の下を要求しやがる」

 「そのくせ、法律通りに事を運ぼうとすると敵対関係だからな」

 「アミーゴ社会だからね」

 「普通の後進国だと法律通り杓子定規でやる相手は敵」

 「お目こぼしすると味方ということだよ」

 「ふ 死にやがれ。と思うのは、俺だけか?」

 「いや」

 「キリスト教の精神は、どうしたのかな?」

 「キリスト教は問題があっても適当な代わりがないから否定しないよ」

 「死後の世界なら善人と悪人で分けられる」

 「現世だとモラルの高い人間と低い人間が混在して一緒に生活する」

 「見分けが付きにくいからね」

 「カトリックに問題があるのでは?」

 「イタリアのカトリックは、近代化の障害になっていないぞ」

 「元々、人間は、先天的に利己主義が強い生き物だ」

 「自己犠牲より、他者の犠牲を選択する」

 「キリスト教は後天的だが一定の歯止めになるよ」

 「精神的に?」

 「人間の精神は程度の差こそあれ、善悪混在だし」

 「社会は善良だけで成り立っていないよ」

 「社会規範を宗教抜きで法律だけだと、予算を警察に取られ過ぎる」

 「日本では罪の文化でなく」

 「自意識過剰を利用して恥の文化とかで抑えていますよ」

 「神経質でシャイな国民性には丁度いいよ」

 「プロテスタントとカトリックは、だいたい自己主張だからね」

 「罪と罰。神と地獄を精神的な縛りにしている」

 「まぁ 地獄の信憑性は人間社会の歪を埋めてくれますからね」

 「悪党は地獄。善人は天国」

 「ふ じゃ 我々の社会の治安は、天国の存在より」

 「地獄の存在で保たれているわけですかな」

 「宗教的な勧善懲悪は有用ですよ」

 「法律だけで犯罪を抑制対処だと本当に警察国家ですからね」

 「未犯罪の半分を宗教で達成できるのであれば有益でしょうな」

 「しかし、この南米は、どうしたものか・・・」

 「組むには信用できず」

 「敵対勢力へ追いやるのは悔しい」

 「聖書で言うところの “熱くもなく、冷たくもなく。吐き出される” というやつでしょう」

 「吐き出しても南米が存続しているのが問題では?」

 「どういう結果であれ、自業自得ですよ」

 「もっとも人のせいばかりで、自分のせいにした事のない連中ばかりでしょうがね」

 「自分が悪いとか。自浄能力があるなら南米は近代化できるでしょう」

 「少なくとも南米の鉄鉱石は大きいですからね」

 「採算を考えれば、原料が安い方がいい・・・・」

 「戦車の価格にも跳ね返りますからね」

 「まぁね」

 「ドイツの新型戦車は、よさそうですね」

 「日独伊同盟の統合戦車ですよ」

 「そうでしたね」 苦笑

 「日本は、まだ予算付かずですか?」

 「欧州と違って、直接、陸地で接していないので・・・」

 「まぁ あの規模で落とし穴を掘れる国は、世界中で日中同盟だけでしょうからね」

 「同じ手は、通用しないでしょう」

 「日中同盟に支障があるので仮に中国側が望んでも。もう、できないでしょう」

 「戦車はドイツ主導でも、よろしいので?」

 「そりゃもう、道路港湾の整備が済むまでトン数制限があります」

 「開発費をケチられるのでしたら喜んで・・・」

 「ふっ 海軍とは違いますかね」

 「海軍は、運用でもベテランが多いですからね」

 「対ソ戦は、質より、数です」

 「レベルが同じなら、数を揃える方が、いいでしょう」

  

 

 アメリカ中部

 春が近付くと雪が解け、生き残った華寇軍も狩り出される。

 数台のジープに乗る州軍の兵士たちが地図を確認しながら郊外へと向かう。

 それとは別に町の保安官がライフルを手に住人たちを集めて鼓舞する。

 政府からの命令は華寇兵を捕らえることだった。

 しかし、集まった群衆の表情に迷いは感じられず。

 躊躇するような。雰囲気は、見られなかった。

 アメリカ政府も、外交的に言ってみただけ、

 アメリカ国民も、聞いただけ、

 馬上の保安官が追跡隊に向けて号令を発す。

 「よ〜し!!! 野郎ども・・・・・・ん?」

 「ハンソン。お前、弁護士だろう。なんで銃を持っているんだ。困るよ」

 「み、見逃してくれ、ディーズル保安官。な!」

 「あいつら、ハイスクール以来の友達をやったんだ」

 「・・・留守を守ってくれ」

 「この前のポーカーの貸しは無かったことにするから。頼むよ」

 「一応、政府から捕まえるように来ているが・・・」 ちょっとだけ後ろめたい

 弁護する人間が狩りに出るのは建前上、処理上、支障があった。

 「わかっている。わかっているから。あいつらは、人間じゃない」

 「しかし、俺たちは、人間だ。不可抗力で引き金を引くこともある」

 「・・・だから、それを弁護するのが、お前の役目だろう」

 「大丈夫。みんな友達だろう。口裏を合わせれば大丈夫だから。な!」

 「「「「「・・・・」」」」」

 事故とか、正当防衛で処理される手はずになっていた。

 

 

 そして、自らの死期を悟った男たちは、それぞれ、精一杯、サバイバルを楽しみ、

 自らの生を演出しようと思い始める。

 一台の車が荒野を走っていた。

 自動車の運転を覚えた二人は、少しだけ楽しげで少しだけ困っていた。

 「腹が減ったニダ」

 「満腹なのに変ある」

 「そっちこそ、順華なのに上手くいかないニダ」

 「もうすぐ、燃料がなくなるある」

 「はぁ このままではアメリカ大統領をぶん殴れないニダ」

 「同胞がたくさん殺されたある。本当は大統領を殺したいある」

 「駄目ニダ」

 「ぶん殴って朝鮮人の “根” を一生、刻み込んでやるニダ」

 「心の残りだが命だけは勘弁するある。中華は寛大でやさしいある」

 「どうせ殺されるなら大統領を折檻して泣かして、跪かせて、命乞いさせてやるニダ」

 「アメリカ国民の気持ちも全部、踏み躙って死んでやるニダ」

 「良くそこまで人の気持ちを逆なでできるある」

 「アメリカが我々、朝鮮民族の自尊心を傷つけた報いニダ」

 「当然の権利ニダ。朝鮮民族は主体主義ニダ」

 「言葉に受身がないのは、それだけ独善、自己中、自分本位だからある」

 「かまわないニダ。自尊心が第一ニダ。他人の事は、どうでも良いニダ」

 「奪われた自尊心は10倍にして奪い返すニダ」

 「・・・自分自身の気持ちに束縛され過ぎある」

 「気持ちを自分自身から解放した方が自由ある」

 「そんなことないニダ」

 「自分の気持ちに正直な方が幸せニダ」

 「他者の人権を認めた民主主義は、土地も、領民も、俺のモノの封建社会より近代化が早いある」

 「自尊心は抑圧され続けた朝鮮民族の自我。最後の最後の砦ニダ」

 「朝鮮人は、みな、そういうある」

 「正しいからニダ」

 「そういえば、俺たちを虫けらみたいに思うことが正しいと思っていた白人が怯える顔も見れたある」

 「あの娘も、この娘も、随分、楽しんだある・・・・ん?」

 「なにニダ?」

 「太陽が背中から西から昇っているある」

 「!? ま、間違えたニダ〜! アイゴ〜!!!」

 「アイヤ〜! そうある」

 「日が昇る方に向かって進まないといけないある」

 順華、満腹の珍道中は続く。

 「太陽に向かって走る (ある & ニダ) 〜!!!!」

    

 渓谷で待ち惚けの保安官たち。

 「こっちに向かっているんじゃないのか?」

 地図を睨む。

 「やつらは、東に向かう」

 「我々が、無線で連絡を受けたのが、この時間だろう」

 「距離と時間と速さを計算すれば、ここを通るはずだ」

 「んん・・・北か、南に迂回したのではないか」

 「いや、州軍が周回パトロールで間道は全て塞いでいるはず」

 「んん・・・・」

 「保安官!」

 「ん? 少尉」

 「州軍は、これから、前進する」

 「ここは、お前たちだけになるが絶対に動くな」

 「あいつら迷っていると?」

 「さぁあな。しかし、遅すぎる。絶対に! 動くなよ」

 「わかりましたよ」

 

 その頃、女子供ばかり町で満腹と順華は大喜びで暴れていた。

 「アメリカ合衆国を祝福しに来たある」

 「この世の天国ニダ」

 「愛の伝道師 (ある & ニダ) 〜 !!」

 

 

 重慶 日本租界

 漢民族がウジャ、ウジャといる。

 日本人の感覚だと華寇作戦で随分と死んだはず。

 しかし、漢民族曰く “たいして、死んでいない” らしい。

 間引きの “ま” 程度。

 中華恐るべし、

 日本の業者組合が中華飯店に集まる

 「蒋介石の国民軍と毛沢東の共産軍は、戦争が終わっても抵抗しているらしい」

 「停戦した後でも、どこからか支援を受けているんだろうな」

 「ソ連軍は満州で。アメリカは西海岸上陸で華寇軍に痛い目に遭っている」

 「支援も縮小気味だとは思うが・・・」

 「アメリカは、日本人と違って感情に左右されにくいだろう」

 「国益を優先すれば日中離反工作は進めるよ」

 「そりゃ 日本だって米ソ離反工作を進めたいが金がないだろう」

 「離反工作といったら買収だからな。金だよ金」

 「いや、恐喝とか、弱みを握ってとか、女を使ってとか」

 「恐喝は、強そうな白人が有利だし。女だと白人女が有利だな」

 「そりゃ そういえなくもない」

 「しかし、中国人のバイタリティには呆れるね」

 「華寇作戦が終わっても人の海だ」

 「女性の比率が微妙に多いのが嬉しいね」

 「ドイツ人とイタリア人も、一緒に租界を作っていくそうだが・・・」

 「行政と警察権力で公平であれば、いいだけだろう」

 「それが難しいから大問題なんだろう」

 「どこの世界でも弱者が排斥されるからな」

 「じゃ 朝鮮人?」

 「数が多いからな・・・」

 「じゃ 中国人?」

 「もっと数が多いだろう」

 「そういえば、日本人も少し増えたんじゃないか?」

 「中国人と朝鮮人も、米英ソ連合を当てにできないからね」

 「反日感情も棚上げで治安が、少し、良くなったからだろう」

 「日中同盟維持なら投資も進む」

 「金に惹かれて人も、物も、集まる。言うことなしだ」

 「しかし、中国人も、朝鮮人も、なんだろうな」

 「日本人同士で争っていると嬉々として面白がる」

 「ふっ 同じだろう」

 「日本人も、中国人と朝鮮人がケンカしていた方が助かるし」

 「蒋介石と毛沢東が中国政府とケンカしていた方が日本人は助かる」

 「そりゃそうだ」

 「租界が城塞都市化しても経済活動は租界の外も含めてだ」

 「結局、漢民族の不和に付け込む隙がなければ利権を伸ばせない」

 「それに中国人も所得が増しているから」

 「綺麗事を言えるようになって裏切り者が減っている」

 「そういえば、同族を売り渡すような真似ができるかとか。言うヤツが増えたな」

 「大陸鉄道で日本の利権以上に稼いでいるんじゃないか」

 「妨害は?」

 「いや、それやると鉄道収益が落ちて回収資金が回らなくなる」

 「んん・・・」

 「利益を上げようと思えば公平な善政を敷くしかないか」

 「その方がいい」

 「租界の外でも中国警察より日本人が信頼される」

 「中国のモラルが回復するにつれて利幅が減るが薄利多売で収益は上がるか」

 「そういえば、日本はセメントが欲しいそうだが」

 「セメント? ビルでも建設するのか?」

 「ドイツがアウトバーンを作れだと」

 「建設機械を余計に売るつもりか」

 「戦車も大型車両にできる」

 「非常時の滑走路とかも兼ねるらしいから陸軍も悪くないと思っているらしい」

 「満州油田があるんだからアスファルトで作れよ」

 「戦車が走れないだろう」

 「そっちか!」

 「パンター戦車は、いいぞぉ〜」

 「気持ちが良いがね」

 「予算の範囲だと満州に地下街を掘ることを進めるね」

 「波及効果で実入りが良くなる」

 「それは言えるな」

 「それにアスファルトは、ともかく。満州油田は、粘土じゃないか」

 「土木建設費とか、ガソリンの値段からすると採算が悪すぎる」

 「モータリゼーションは無理だろう」

 「いや、発電所を建設して電気自動車ならいけるそうだ」

 「電気自動車ねぇ〜」

 「大陸鉄道も、電気機関車に切り替えだろう」

 「利益を回収してからだろう。いつになるやら」

 「利権の取り合いが見苦しいからね」

 「自分の命を天秤に賭けて奪いに来るヤツもいるし」

 「ふ 命がけで来る覚悟があるのなら潰してやる」

 「いざ死ぬ段になって後悔する軟弱な連中ばかりだ」

 「しかし、こうも人間関係が恨めしいとニューギニアあたりが羨ましくなるな」

 「あっちは軍主導で規律良くだからな」

 「軍国主義的な権威主義と節度は眩しいくらいだ」

 「軍国主義は困るよ」

 「高圧的な権威主義には辟易だし、羽目をはずせないから」

 「そうだな」

 「しかし、整然と町並みが広がっているそうだ」

 「あっちは既得権もないし」

 「個人の損得勘定が入り込む余地がないからね」

 「本土じゃ 土地が絡むと同族でも殺したくなるほど煩わしいからな」

 「いやだねぇ 一所懸命は見境がなくなるから」

 「東京は原子爆弾が落ちたし、このまま遷都なら既得権も、やり直しになるかも」

 「陛下は、京都に入られるのだろうか」

 「それとも長野の松代大本営に残留?」

 「命拾いしたのが松代訪問だったからな」

 「運が良かったというべきだろうね」

 「運が良かったのは軍官僚を根こそぎできた事だろう」

 「で、議会政治が権力を取り戻したことだろう」

 「それで見たくもない議員の集散離合を見せられるわけか」

 「それ、世の理だし」

 「陛下が、どこに居を構えるかで首都も変わってくるよ」

 「京都でも良いような気がするぞ」

 「瑞穂半島に近付いて権威の重心が安定しやすい」

 「朝鮮人はいないし」

 「政治・経済・金融の重心は資源、消費、大陸鉄道の繋がる半島側へと移っていくよ」

 「だよな・・・」

 「しかし、日本本土は、寂れていくかもしれない」

 「伝統的な日本文化を温存する意味で大陸の毒気にあまり触れない方がいいかも」

 「しかし、いずれは平均賃金が逆転する」

 「半島は、地震もないし。津波も少ない」

 「資源、消費、物流を考えたら大陸側が有利だからな」

 「大陸は、点と線で大変な利権収益だがハイリスク・ハイリターンでもあるよ」

 「ドイツ・イタリアの租界が増えたら面白くはない」

 「しかし、大陸権益は安定するだろう」

 

 

  

 東京

 焼け野原、東京は原爆も落とされていた。

 しかし、徐々に活気を取り戻しつつあった。

 日本は、自衛戦争で宣戦布告したのが始まり、

 宣戦布告した側が自衛戦争というのも変な話しで嘘、

 停戦後、半島と大陸の利権確保を見れば単純明快。

 既に生存権を確保していた米英ソ連合と、

 生存権を欲した日独伊同盟の衝突に過ぎない。

 日本の政界、財界は、白人世界の傲慢、大国への面従腹背な下僕外交、

 人種差別で歯噛みし、資源確保で四苦八苦し、

 キレた軍部が良識派に耳を傾けず、国家戦力を妄信して暴走しただけ、

 日本国と日本民族が正当性を追求し、

 立ち上がって勝ち取った大陸の利権であり、

 本土が焼け野原で停戦し、辛うじて引き分けた。

 それでも、日本国軍は面目躍如、

 しかし、戦後、日本は、英霊が、どうたらと言えなくなっていた。

 「なぜ、こんなことに・・・」

 「独り善がりを追求した結果、自業自得では?」

 「まさに人の業」

 「日本は、なんて事をしてしまったんだ」

 「きっと、ミッドウェーの祟りだな」

 「霧で遅れた南雲と通信管制を理由に連絡を取らず。先行してしまった」

 「世界最強の戦艦に乗って主力戦艦が勢揃いだぞ」

 「空母部隊が不通で予定より攻撃が遅れているから、後退できるわけもない」

 「ふ 確かに大活躍している機動部隊に対して、いい笑いもの面目が潰れるな」

 「作戦通りでなくて良かった。といえなくもない」

 「アメリカ航空部隊は日本主力艦隊を相手に消耗した」

 「南雲機動部隊の鎧袖一触で疲労したアメリカ機動部隊を壊滅なら取引として悪くない」

 「しかし、ミッドウェーの大和の残骸が哀れでならんよ」

 「アメリカが空母3隻だと、逆にやられていた可能性もあるか」

 「大和が座礁させられたんだ。全滅ということもあるよ・・・・」

 千代田区の靖国神社は、原爆のおかげで灰燼に帰し、再建途上だった。

 8月15日までに、ある程度、形にしておきたいところ。

 焼け野原で国民が飢えて死んでいるのに神社再建とは、これ如何に・・・

 日本人は、自らの伝統精神文化を食べ物より価値があると証明していた。

 食べ物より価値のない伝統と精神文化など滅んでも良いと言わんばかり。

 日本の伝統は、命より価値があるとしてしまう。

 しかし、気持ち的に認めたくなくても、

 孤高な精神で譲れない一線もあったりする。

 “靖国神社は、近代以降、朝廷・日本政府側で国内外の事変・戦争で戦役に就き”

 “戦没した軍人・軍属を顕彰・崇敬。祭神として祀る神社である”

 当然、華寇軍は靖国入りの資格と権利があった。

 この場合、一番、多く死んだのが漢民族、

 朝鮮民族でさえ、日本人より多く死んでいた。

 近代以降の日本人の戦死者を全部合わせても華寇軍の足元にも及ばず。

 多数決だと彼らこそ英霊となってしまう。

 コソコソと話すのは日本人の方で、

 『華寇軍を神として拝礼するのか・・・・』 涙

 『なぁ 華寇軍だけでも分祀しないか』

 『出雲神社みたく。中華神社とか、朝鮮神社とか』

 『日本側で言い出すと拗れるよ』

 『じゃ 日本人を分祀・・・』

 『そりゃ まずいだろう』

 『日本民族限定にしとけば、よかったんだよ』

 『いまさら変えられるか。国際信義にも劣る・・・と弔いでもあるし』

 『拝みたくねぇ』

 『俺も・・・』

 はぁ〜

 日本の関係者は、日中同盟の手前、祖国に引き揚げさせてくれ、とも言えず。

 死人の数がモノを言うのか、

 日本人は、大手を振って闊歩する中国人と朝鮮人に道を譲る。

 『日本に恩を着せるある』

 『精鋭の華寇軍は、中華の栄光の為に犠牲になったある』

 『日本で神として祭られたある。良かったある♪』

 中国人は、綺麗に整地された靖国神社を見て安心したのか、

 同盟国だし、このまま、と、いうことになっていく、

 『日本人に永遠に恩を着せるニダ』

 『日本女性に補償してもらうニダ』

 『お土産を持って帰るニダ♪』

 朝鮮人も日本で神なら悪くないという心境で、

 靖国神社は、幸か、不幸か、民族宗教を超え、

 アジア宗教化してしまう。

 

 

        


 月夜裏 野々香です。

 近攻遠交は、戦略の基本でしょうか。

 史実の日米同盟と違ってナショナリズムな国産戦車より。

 戦訓慣れして優秀なドイツ製で身固めです。

 どうせ工作機械はドイツ製。

 負かされた国の兵器でなく。同盟国の兵器。

 少しばかり誇りを捨てて体格が違う不具合を除けば開発費をケチられて数を水増し、

 問題は、小さいような気もします。

 仮定としては、レオパルド1型150両と、74式戦車100両の、どっちがいいか。という気もします。

 15トン級97式中戦車2000両 + 7.4トン級95式軽戦車1500両

 時代は微妙に違いますが8.9トン級2号戦車3500両の方がマシ。

 太平洋戦争が始まる前に日中戦争は終わりです。

 日本は、まだ17トンという重量制限があるので、しばらくは無理。

 60口径50mm砲装備の11.74トン級重装甲偵察車 SdKfz234の改良型とか。

 48口径75mm砲を装備した16トン級駆逐戦車ヘッツァーの改良型とか。

 7.81トン級装甲兵員輸送車Sd Kfz 251 (2人+兵10人)とか。

 ソ連軍に勝てません。

 なんと、20トン級3号戦車も使えないとは・・・涙・・・

 戦車より、架橋・鉄道・道路整備と港湾整備で設備投資しないと、

 日本は、17トン級の陸戦機動兵器シリーズになりそう。

 とはいえ、今後、兵器全般で、日独伊同盟の共有化が、進んでいきそうです。

  

  

 日独の領土交換300kuは、一ヶ所でまとまって、です。

 在日米軍の専有面積312kuを目安にしています。

 イメージしやすいのは、マルタ島(316ku) 西表島(289ku) 香港(1102ku)

 どうなるか、交換場所、期日など、まだ未定です。

  

  

 この時代 “人の命は、地球より重い教” は広まっておらず。

 “自分の命は、地球より重い教”

 “死んでも、我欲を貫き通す教” が、全盛期。

 利害の衝突で、人が死んで殺伐としています。

 時代的背景だと、こんなものでしょうか。

 “愛は地球を救う” の精神が生まれるのは、戦争を忘れた頃、

 物質的に豊かになるまで、お預けです。

 

 

 史実通り負けても、史実と違って負けなくても日本は、タカられる運命。

 その上、華寇軍、数千万の英霊が靖国に・・・

 くらぁ〜

 負けた方がマシだったか・・・・

 いや、このまま、自己満足を貫き通した日本で引っ張っていこう。

 −−漢民族−朝鮮民族−日本民族−−−−−

 東洋だんご3民族で・・・・・・orz

   

 

 

 

   

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第45話 1946/02 『急がば、建前』
第46話 1946/03 『我を通して、選択が狭まれる』
第47話 1946/04 『戦後の枠組み』