月夜裏 野々香 小説の部屋

    

架空戦記 『大本営特攻』

 

 

 第12話 1952年 『水、水・・・水・・・』

 大和大陸

 雨量が少なく塩害が酷く痩せた大地が広がっていた、

 気まぐれな渇水で小さい河川が干上がる。

 大陸東部をグレートディバイディング山脈が南北3500kmを連なる。

 最高峰のコシアスコ山は標高2228mしかなく、各大陸の中でもっとも低い。

 山脈を水源とする二つの川

 ブリズベン域を源泉とするダーリング川(全長2736km)、

 シドニー・キャンベラー域を源泉とするマーレー川(全長2575km)、

 は、大陸でもっとも大きく安定した水資源だった。

 問題があるとすれば、水が足りず、木を植えても自由に水も撒けない国。

 少ない飲料水、生活用水、農業用水は常に求められ。

 製鉄所、発電所、鉄道、工場の産業でも大量の工業用水を消費してしまう。

 物事が希少資源の水量と品質で決められていく。

 いくら燃料になる石炭、資材となる鉄鉱石があっても淡水化プラントは、水を高騰させる。

 オーストラリア人900万、ニュージーランド人200万の極東日本への移民は楽だった。

 しかし、豪州日本へと移民する日本人の総人口は8500万。

 宮仕えの官僚は動き。

 未来のない土地無しの小作人も動く、

 数世代先の未来まで保障された富裕層も金任せに動く。

 古から続く日本に思い入れの強い国粋主義者は腰が重く。

 林業地主、農地地主、温泉関係など土着の強い者は口実さえあれば泣き言を言ったりする。

 そして、例え大陸でも資本、資源、人材の集約がなければ近代化できない。

 沿線と河川沿いに雇用が興り、労働価値が増大し、賃金を向上させる。

 紙幣が増刷され貨幣価値が下がるインフレ。

 豊かな資源が加工され、大量生産が商品価格を引き下げるデフレ。

 史上空前の人工需要が興り、インフレとデフレが短いサイクルで繰り返される。

 極東日本の日本人が外資企業で働くのも金のためだったりする。

 首相官邸

 「引っ越しで強制的に需要を起こしたりするのってどうなの?」

 「自分で火を付けて自分で火を消す戦争経済よりマシだよ」

 「移民できるかな」

 「出来るでしょう。土地は一杯ある」

 「水がないじゃないか」

 「ケアンズから北のヨーク半島は熱帯雨林気候だろう。低地で朝鮮半島より少し小さいくらいだ」

 「8500万位ならなんとか・・・」

 「あそこな、逆U型に造成して川を塞き止め大河を南に流すとかいう算段もあるからな」

 「へぇ〜」

 「あそこに移民させるか、大陸全体に水を供給させるか検討中だから、土地配分が遅れてる」

 「ふ〜ん」

 極東日本と豪州日本は、需要と供給が増大、国民総生産が急速に拡大していく。

 株式市場は思惑で上がったり勘違い下がったり。

 日本人のほとんどが土地持ちとなってしまう。

 もっとも住居は別で利便性の良い公団住宅が沿線に建設されていく。

 貧乏人は苦労し不利な土地を開墾し、自分で家を建てて住むか、

 土地を売却して利便性の良い居住区画に移り住む。

 工場

 「アルミ構造の列車か、水を使い過ぎだな」

 「ステンレス構造も良いけどね」

 「材質が良くても加工が難しいし、構造体で作れないと・・・」

 「やっぱり、生産は、水の多い瑞穂・秋津か、ニューギニアだよ」

 「ニューギニアねぇ」

 「ニューギニアは、収穫が見込めるらしいよ」

 「ニューギニアの土地を配分してもらったら良かったかな」

 「風土病があるらしいよ」

 「こっちだって、毒の強さじゃ 負けてないよ」

 「毒が強くて土壌の悪い土地じゃな」

 「ニューギニアの土を運んで来るらしいよ。少なくとも用土は良い」

 「そんなもんじゃ、足りないだろう。水の方が深刻なんだから」

 「ニューギニアの山脈を削って、フライ川から水道橋を引くしかないかな」

 「水資源のある瑞穂・秋津に惹かれるかな」

 「大鑽井盆地は大陸の23パーセント。地下水があって悪くないよ」

 「井戸を掘っても塩水だよ」

 大鑽井盆地(176万ku) 地下塩水は64900立方キロメートルあった。

 「やっぱり、淡水化プラントは必要だな」

 「濃淡くらいは、何とかしたい」

 「んん・・・ダーリング川、マーレー川の河口に水車を作って内陸側に逆流させてみるか」

 「まぁ 塞き止めるのはさすがに問題になりそうだしな」

 「水車でマウントロフティ山脈とフリンダーズ山脈まで持ち上げて、水路を増やす?」

 「そんなに高くない山脈だからいいけど、河口近くの河川だと、浄水処理した方が良いのかな」

 「内陸のフローム湖とエーア湖を満たせるかもしれないな」

 「あそこ塩湖じゃないの」

 「かまわないだろう、行きつく先が塩湖だって塩水濃度が薄まれば良しだし」

 「そうだけどね。問題は排水の行きつく先ということだよ。まぁ 塩湖の方が良いか」

 「浄化装置は、高く付くし・・・」

 「もっと、問題は大陸中央から西部だな」

 「ニューギニアから引っ張るか」

 「あとインドネシアから買って、タンカーで運ぶしかないかな」

 「港から送水管で消費しながら内陸まで運んで人工湖に溜めるか」

 「塩分濃度が低くなれば、それでもいいけど、国外に頼りっきりは怖いよ、死活問題だし」

 「輸入先を増やして、危険分散はしないとね」

 

 

 豪州日本

 瑞穂

 ドイツ風の建物に白人たちが集まっていた。

 窓からみる光景は、ヨーロッパ大陸を彷彿とさせる。

 会話の多くは、ドイツ語であり、日本人もいる。

 「こちらの敷地にドイツ公館を建てるのですね」

 「いや、正確には、ドイツ帝国所有ではない、個人名義の所有だ」

 「なるほど、個人名義の土地建物をドイツ帝国に貸与するわけですね」

 「そうだ」

 「わかっています。建設には、細心の注意を払うつもりです」

 「そうしてくれ」

 ため息。

 「・・・今年は、何もなければ良いがね」

 「総統は、支持されていると思っていましたが」

 「民族浄化ができる国家指導者は少ない」

 「それは、支持されると同時に暗殺の危険も高くなるからだ」

 「なるほど、勇敢ですね」

 「そうだな・・・」

 公共投資など資本、労力、資材の優先順位があった。

 しかし、より多くの資本が動き、さらに付随するいくつかの協定やライセンス認可などの国益。

 それらの誘惑で優先順位に割り込まれることもあった。

 独裁者は、身の危険を感じると緊急避難的な売国支出をする。

 ドイツ人高官は、泥を被る覚悟を決めた表情で雪の残る峰々を見上げる。

 マダガスカルに移民したユダヤ人は、現地民に対しドイツ人と同じことをしてるという。

 極東信託統治領のユダヤ人たちも似ていて、アメリカの後押しで満州を支配を企む、

 民族発祥の祖国を捨て、選択の自由と聖域を得るため大陸へ渡る日本人。

 神と契約した土地(パレスチナ)を見限り、新天地に根付こうとしているユダヤ人。

 ドイツ高官は、二つの民族が似ていると思いながらワインを口に含む。

 

 

 極東日本

 日本の法律が通用するのもあと9年、

 その後はアメリカ合衆国憲法と州法が極東Japan州を支配する。

 日本人が寺の周りに集まり、あれこれ話し合い、ノートに書き込んでいる。

 「・・・なんか、あんまり大した先祖じゃないな」

 「有名人と血縁だったら楽しかったのにな」

 「妾でも良いから大名とか、華族とか、皇族なら楽しかったのに」

 「そういうの別の男があてがわれるはずだから、意外と側近の家系ならありかも・・・」

 「結局、権力に付いた男の種が残りやすいのね」

 「ロマンがねぇ」

 「ロマンを追える年じゃないよ」

 「じじぃ、ばばぁは日本で死にたがるし」

 「俺んところは自分の墓を見てもらえる豪州日本で死にたいんだと」

 「無縁仏になるのはいやだけどね」

 「とはいえ、日本から離れることになるなんてな」

 「しょうがないよ。子供たちに腹いっぱい食べさせようと思えば、豪州に行った方が良い」

 「じじぃ ばばぁ は少なく、若連中が圧倒的に多い。行くのなら今なんだろうな」

 役所に行くと戸籍があり、寺に行くと過去帳がある。

 調べると先祖からの家系図を作る事が出来た。

 豪州日本に行く前に家系図を作っていく者は後を絶たない。

 家系図にも載せたくない無縁仏とか、

 閨閥に入りたいとか、自慢したいとかで買ったり。金が欲しいから売ったりとか、

 実は血統が違うとか、今と同じ。

 たまにあるものの、だいたいの家は、先祖をたどれる。

 先祖からの土地を離れるのだから、家系図くらいは、と思うのが人情と言える。

 そして、豪州への引っ越しが進むと寺と檀家の関係も切れてしまったりもする。

 墓を持って行ったり、自分が先祖だと潔く捨てられたり。

 いろいろ。

 

 

 極東日本

 東京湾に戦艦大和と戦艦モンタナが仲良く並んでた。

 大和艦橋

 「45口径410mm砲6門と50口径406mm砲12門か、大砲の差は、圧倒的かな」

 「戦後なら大和の方が経済性で有利では?」

 「少しばかりな。チャフ発射機でレーダー射撃を誤魔化せればいいがね」

 「まともに戦う気で?」

 「まさか、長門と同じ大砲では戦いたくないな」

 「豪州攻略で砲身命数を使い切るなんて・・・」

 「もう、大砲なんて製造しないだろうな」

 「命数が切れたらドイツ製47口径382mm砲か、イタリア製50口径381mm砲に換装するよ」

 「45口径360mm砲も残っているそうですよ」

 「4連装にしてもらいたいな」

 

 戦艦モンタナ 迎賓室

 「大統領。本当にいいので?」

 「天皇と直接対話と和解は必要だよ。互いに安心するためにね」

 「それに日ソ中立条約が守られている以上。アメリカも約束を守らねば・・・」

 「日ソ中立条約は自動更新。ソビエトにとって得のはず」

 「惰性で続きそうだな。厄介な事だ」

 「それに日本は力を付けていくはずです」

 「国土が増えて、土地無し農民に土地を分けている。第一次産業は大きくなるがね」

 「しかし、水という足かせもあるし、第二次・三次産業は伸び悩むはずだ」

 「総生産は伸びているのでは?」

 「土地があっても、金がないから、雇われて働いてるに過ぎない」

 「金が溜まれば、土地を開墾してくだろうよ」

 「そうなれば日本に第二次・第三次産業は・・・」

 「人手不足で低迷するだろうな」 にやり

 東京で日本の天皇・総理とアメリカ大統領が会談。

 親書が交換された事がラジオで流され、内容が公開されていく。

 講和条約の完全順守と講和執行後の太平洋・インド洋における平和を謳っている。

 そして、平和が面白くない者たちもいる。

 赤レンガの住人たち

 「ユダヤ人と東欧諸国人のマダガスカル入植で楊陸艦への改造費は出るかもしれないな」

 「豪州移民で大忙しだから、無理じゃないの?」

 「それに外務省がマダガスカルから他の極東信託統治領とかに変更させようと画策しているし」

 「ちっ! 害務省が余計な事を・・・」

 「まぁ 北太平洋のアメリカとインド洋のマダガスカルに挟撃されるのは面白くはないけどね」

 「でも、国防費を増やしたい」

 空母(飛鷹、隼鷹)、龍鳳、(千代田、千歳)、(瑞鳳、祥鳳)、龍驤

 「だいたい、アオガエルが離着艦できるのに予備役で輸送船扱いなのが嘆かわしい」

 「アオガエルを主力戦闘機にしている方が嘆かわしいよ」

 「冶金が技術低くてね。ジェットエンジンの寿命が短過ぎて話しにならないらしい」

 「それを言うならアオガエルも長持ちとは言えない」

 「ジェットエンジンよりマシだけどね」

 「エンジン直結でプロペラを回さないのだから、構造上の無理があるのはしょうがないよ」

 「ドイツは、MeP1110を主力戦闘機にしようとしてるというのに」

 「あの国はもう良いよ。性能比がファンタジーだから」

 「日本のファンタジーは?」

 「空対艦ミサイルなら重量600kg以内で開発中だよ。空対空ミサイルなら100kg以内」

 「対艦ミサイルの弾頭重量250kgは、小さくないか?」

 「トランジスターの開発はともかく、量産が微妙だからな」

 「赤外線・レーダーホーミングは、これからのファンタジーだよ」

 「夢があっていいなぁ」

 「夢が一番高くつくんだ。もっと人件費を減らせよ」

 「もう、根っから軍人ばかりだからな、土地を貰っても持て余す軍人は少なくない」

 「戦車、装甲車や機械化で誤魔化してるが兵力は削減だからな」

 「部署縮小で降格させられたら、辞めたくなるだろう」

 「逆に軍縮する政府を打倒して、軍拡させようと思うんじゃないか」

 「軍人は横暴過ぎた。もう国民から支持されないよ」

 日米両国とも国益のため講和条約順守と執行を優先していた。

 日米主導層の親書交換や経済協力、民間交流など、日米の戦雲を引き下げる事柄が続く。

 

 

 エジプト王国

 ムハンマド・アリー朝は続いていた。

 ドイツとイタリアはイギリスと同様、王政の方が近代化が遅れると考えただけ。

 エジプト王国は、イギリスの間接支配から、ドイツ・イタリアの間接支配に変わっただけ。

 独伊軍がエジプトに侵攻して米英軍を駆逐したとき、エジプト人はようやく武装蜂起する。

 米英軍は、足場を失い降伏する。

 もっとも、肝心のエジプト王はイギリス軍によって押さえられ動く事が出来なかった。

 結果的にエジプトの国政はドイツ・イタリアに牛耳られ、

 イギリスの間接支配より僅かにマシな程度、蜂起の功績で小さな自治が認められる。

 エジプト人は、独立を勝ち得たのではなく、独立の分け前を与えて貰ったと言える。

 他の列強もドイツ・イタリア勢力圏を撃ち破るだけの力を喪失し。

 エジプト人は数回、完全独立を目指したがドイツ・イタリア軍によって鎮圧されてしまう。

 スエズ運河を利用する船舶は、圧倒的に日独伊が多かった。

 ドイツ海軍 空母ロート・ブルグ(赤城)

 「アメリカ、イギリス、ソビエトが中東に大量の武器弾薬を流しているらしい」

 「配備されているのは、M4戦車、T34戦車だ。スエズは守れるだろうな」

 「エジプトに武器弾薬が流れ込まなければね。シナイ半島・パレスチナを防波堤に戦える」

 「気になるのは、マダガスカルに建国したユダヤ・イスラエルだ」

 「アメリカとイギリスの支援を受けている、インド洋の代理人だろうね」

 「ちっ 偽ユダヤ人が」

 「それを言うとハザール人は、イエスキリストを殺した罪から外れる」

 「そうそう、なにしろ殺し過ぎた。ハザール人はユダヤ人じゃないとドイツが困る」

 「イエスキリスト殺害の冤罪じゃ ドイツ帝国は、正当性を得られないからね」

 「しかし “神が石ころからでもアブラハムの子らを起こせる” は事実だったわけか」

 「多少、問題ありのユダヤ人だがね」

 「拝金主義者でなく、気質が良ければイエスキリストの殺害を口実に虐殺しようなど思われないよ」

 

 

 マダガスカル島

 マレー系メリナ人。ベッチミサラカ人。ベッチレウ人。ツィミヘティ人など総人口400万の島。

 そこにドイツ・イタリアの強制でユダヤ人の入植が始める。

 もっとも、ほかの東欧諸国民もアーリア人化の皺寄せで強制移民が進められる。

 最強のパレスチナ入植支持者だった東欧ユダヤ人がマダガスカルに入植。

 歴史の歯車が回り出していく。

 そこにアメリカ、イギリスのユダヤ人も呼応しマダガスカル入植がはじまってしまう。

 ユダヤ人のアイディンティは、ユダヤ教(律法)とイスラエル(パレスチナ)しかない。

 しかし、パレスチナはドイツ・イタリア軍に占領されていた、

 妥協の結果、シオニストたちは、マダガスカルに入植する。

 マダガスカル島は、ヴィシー・南フランスの勢力圏に取り残されていた。

 これはイギリス東洋艦隊が全滅したためであり、戦後も惰性でそうなってしまう。

 南フランスがシオニストの入植を認めたのは、軍事力の行使が及びにくかった事。

 そして、ユダヤ資本。

 金だった。

 もっとも現実は甘くない。

 ユダヤ人が移民船から降りてイスラエル・ユダヤに与えられた区画に来る。

 異質なモノを見かける。

 「何で黒人がいるんだ?」

 「ユダヤ教徒だからだろう」

 「なんで中国人がいるんだ?」

 「ユダヤ教徒だからだろう」

 「なんでインド人がいるんだ?」

 「ユダヤ教徒だからだろう」

 ユダヤ教は、人種を問わず広がっていおり、理想を打ち砕かれた白人系ユダヤ人を混乱させる。

 またユダヤ人同士の権力闘争と確執は収拾がつかず、

 先住の現地人と衝突し、

 後続の東欧諸国民とも衝突する。

 そして、ユダヤ人もドイツと同じだった、

 ユダヤ至上主義に陥る状況が作られていく。

 そして、東欧諸国の白人系を欲しがる国は、ほかにもあった。

 南アフリカ共和国、北アフリカ、アメリカ信託統治領の満州・朝鮮・台湾などだった。

 

 

 中国大陸

 アメリカ合衆国は、極東日本併合の履行。極東信託統治領の安全のため画策する。

 日本と違い資源、資本を自前で準備できるアメリカ合衆国は中国に依存しない。

 アメリカは、引っ越しが終わるまで中国大陸の混乱を望み。

 そして、蒋介石を首班とする国民党、毛沢東を首班とする共産党の内戦は続いていた。

 国内の統制と治安は国家と国民の自己責任であり、他国に責任を追及するに及ばない。

 他国の悪意や画策を排斥できるだけの民族自決能力がなければ、滅びるしかないのである。

 アメリカ合衆国は太平洋、大西洋をまたぎ、世界最大の市場圏を押さえようとしてた。

 その市場勢力圏は、アジア、西欧、南米にまで及ぶ。

 豪州日本は勢力を拡大したとはいえ、接ぎ木したばかりで根付いておらず。

 ドイツ帝国も版図を広げたと言え、戦災と異民族問題を抱え込み。

 イタリアも経済不況が続いていた。

 事実上、アメリカ合衆国は、第二次世界大戦の勝利者としてアジアに臨む、

 中国大陸の不正腐敗と混乱は、太平洋の支配、極東の主権と付属する利権の利害と直結し、

 アメリカの望むところだったのである。

 アメリカ商船は、揚子江を遡っていく。

 国民軍向けの武器弾薬と共産軍向けの生活物資を送り届け、資源を載せ変えて帰還する。

 国民軍は、攻勢をかけながら擦り切れていき、

 共産軍は、守勢の状態でも人民が集まっていく。

 そして、各軍閥は資金繰りのためアヘンを密売し、中国民衆を中毒化させ。

 匪賊に出回る拳銃類は、どうしても治安を悪化させていく。

 国民軍にも共産軍にも、中国大陸を統制できるだけの力はなく。

 次第に無法地帯と化していく

 アメリカは、情報処理能力、生産力、資金力を発揮すれば容易なことであり。

 軍事力を行使することなく、中国の内戦と混乱のバランスをコントロールしていた。

 上海港

 日本の外交使節団を載せた巡洋艦 那智 が停泊し、外交使節団が降りていく。

 日本の巡洋艦が上海に停泊したのは、国民党政府に呼ばれたからであり。

 日本は、アメリカと敵対する意思がないことからリップサービスに徹する。

 結果的に日中会談は、中身のない雑談で終始。

 艦橋

 日本の居残り官僚とアメリカ大統領補佐官が上海の街並みと民衆を眺める。

 「いや、おみごと!」

 中国大陸の混乱振りに日本の外務官僚が感嘆の声を上げる。

 軍事力を行使することなく、物資の配分だけで漢民族同士を殺し合わせ、

 アメリカは必要とする資源を得ていた。

 これだけの情報処理能力は日本になかった。

 「出来れば、引っ越しが終わるまで、この状態が好ましいのですが・・・」

 「もっと長くても構いませんよ」

 「「・・・・・」」 にま〜

 漢民族の利己主義が内憂外患を呼び込み、中国大陸を混乱させていく。

 

 

 フィンランド 

 ヘルシンキ・オリンピックがフィンランドで行われたのは、政治的意図と切り離せなかった。

 ドイツとアメリカのソ連に対する認識を暗に伝えただけともいえる。

 “これ以上、フィンランドに手を出すな” である。

 アメリカ、イギリス、南北フランス、ドイツ、イタリア、日本、ソ連が一堂に会した国際議場でもあり。

 国際連盟の会議も行われる。

 金融、通信、交通、為替、貿易などいくつかの協定が国家代表によって調印されていく。

 「ストックホルムも、ヘルシンキも近いから大して変わらないか」

 「もっと、小国の意見とかまとめるべきでは?」

 「必要なら呼べばいいと思うよ。どうせ、小国の意見なんて聞く耳持たずだし」

 「偽善的ではあるが賛同されれば、大義名分になるけどね」

 「いらないよ。五月蠅いだけだし、力がつけば仲間に入れていいけど」

 「まぁ いいか」

 「マダガスカルにユダヤ人と東欧諸国人の移民なんて不安だな」

 「アルジェリアでも良いよ」

 「イタリア領北アフリカアでも良いよ」

 「極東アメリカ信託統治領で引き取っても良いけど、ユダヤ人なら中国人の毒気にも耐えられそう」

 「まぁ ドイツ圏にいないのなら、どこでも良い、というのが本音だけどね」

 

 

 アメリカ信託統治領 満州

 大慶油田は、巨大な最新鋭の精油所が建設され、油送管が伸ばされていく。

 燃料は、満州・朝鮮・極東日本の発電を起こし、電力を供給しつつあった。

 東欧諸国で非アーリア人と認定された白人がアメリカ経由で満州に降りていく。

 彼らは将来的には、極東信託統治領の中間管理職となる予定といえた。

 アメリカにとっても、ドイツのアーリア人優良人種政策は、追い風だったのである。

 巨大な土木建設機械が路線を広げ、農地を合理的に分割していく。

 造成され高台となった路線が満州を大きく分断し、

 路線の向こう側に行くにはトンネルを潜らなければならない。

 漢民族の交通は制約され、犯罪を起こせば逃げ道が狭められる。

 そして、いくすじもの水路が平原を横切って牧畜と農作物を合理的に作らせていく。

 日本の農耕型統治は失敗し。アメリカの牧畜型統治は成功しつつあった。

 双方とも背景となる国力から導き出された国策であり、失敗の言い訳にはならない。

 そして、信託統治領には大義名分も人権も存在しない。

 日本人がアメリカ式の合理的なプランテーションを見物していた。

 以前の原野は、穀倉地帯となっており、アメリカの国力を思い知らされる。

 満州原野を粗方耕した後、土木建設機械は日本に売られていく予定だった。

 「これほど水路が羨ましいと思った事はありませんよ」

 「オーストラリアは水不足でしたな」

 「清水をタンカーで運びたいくらいですよ」

 「あははは・・・」

 「この広大な信託統治領をどうされるつもりです」

 「満州だけで、一億くらいの人間は、生活できるはずですからね」

 「朝鮮人は、全部こっちに来てもらうつもりですよ」

 「それで、朝鮮半島にもアメリカ人が?」

 「ええ、将来的には独立させて、防波堤にするつもりです」

 「どこかで聞いたことがあるような計画ですな」

 「ふ もっとも、独立できるだけの力があるかどうか?」

 「漢民族と朝鮮人になにか疑問でも?」

 「あははは・・・」

 「アメリカ人は成功した後にパーティを開きます」

 「漢民族は成功するためにパーティを開きます」

 「朝鮮人はパーティを開く事が出来れば成功です」

 「まぁ・・・むかしは中国も朝鮮も独立していたのですよ」

 「でしょうな。しかし、むかし、独立していた国なら歴史の本に一杯ありますよ」

 「朝鮮人の識字率を低下させているとか?」

 「ええ、彼らは、英語表記の名前に変えて、立派なキリスト教徒になろうと努めていますがね」

 「あまり理不尽に扱い過ぎて、敵意を持たれると共産主義に走るのでは?」

 「彼らは労働者か農民ですから、立派な共産主義の世界ですよ」

 「なるほど、流通と販路もアメリカが押さえていましたね」

 アメリカ合衆国は極東信託統治領を労力、市場、資源採掘地としか見ていない。

 その意図も英語圏にすることであり、識字率を低下させることだった。

 DC3貨客機が空を横切っていく。

 極東日本と信託統治領の満州・朝鮮・台湾の間ならDC3貨客機は楽に移動することができた。

 まさに適当な機体と言えた。

 そして、機体数は、急速に増えていた。

 極東日本はアメリカ人の入植と資本投下が進む。

 産業は急速に拡大し、高度成長期に移行しつつあった。

 

 

 パレスチナ

 聖地エルサレムは、ドイツとイタリアの国旗が翻っていた。

 独伊共同統治となったのは防衛しやすいからであり、

 ドイツは、中東に対する足場として認識したからに過ぎない。

 東部国境は北のシリアと南側のヨルダンがあり、

 アメリカ・イギリスから武器弾薬の供給を受けていた。

 独伊駐屯地

 大型輸送艦から物資が降ろされていく。

 キングタイガーVは、世界最強と噂されていた。

 しかし、それも、怪しくなっていた。

  重量 全長 全長×全幅×全高 馬力 速度 航続距離 武装 乗員
タイガーV 50 10.29 7.26×3.76×3.08 1080 60km 400km 71口径88mm×1 7.92mm×2 4
IS3 46 9.85 6.67×3.2×2.45 600 40km 190km 43口径122mm×1 12.7mm×1

7.62mm×1

4
T54 35.5 9.00 6.37×3.27×2.40 520 50km 450km 56口径100mm×1 12.7mm×1

7.62mm×2

4
M26 41.9 8.65 6.33×3.51×2.78 500 40km 161km 50口径90mm×1 12.7mm×1

7.62mm×2

5
M46 44 8.48 6.35×3.51×3.18 810 48km 130km 50口径90mm×1 12.7mm×1

7.62mm×2

5

 アメリカ、ソビエトとも新型戦車を有し、キングタイガーVを撃破可能な状況を作り出していた。

 そして、重視されるのが数であり、

 ドイツは、数を揃えるだけの国力を有していなかった。

 「ようやく、キングタイガーVが来たか」

 「戦後になって、軍事力の展開が遅いですね」

 「積極財政で借金先送りのツケが回ってきたかな」

 「国債を発行で税金を企業に注ぎ込んでも採算が合わなければ破綻する」

 「国債を踏み倒すか。インフレを起こすか、税金を引き上げて弱者を踏み躙るしかない」

 「あと、採算が良くなるまで国債を発行し続けてクラッシュするとか」

 「戦争もありますよ」

 「まぁ 得た土地を振り分ければ、とりあえず誤魔化せるが一時凌ぎにすぎないよ」

 「確かに」

 「ところで戦争する予定はあるんですかね」

 「いや、まだドイツ本国は瓦礫が残っている、それはないだろう」

 「アメリカも、いまのところ、しかける気がないようです」

 「アメリカも極東の新領地開発で忙しいはずだ。無理して介入する気もないのだろう」

 「それにヨルダンとシリアに配備されているのはM4戦車ですから、問題はないと思います」

 「ふ キングタイガーVなら蹴散らせそうだな」

 「ええ、砲弾の数だけ仕留められますよ」

 地の利と人民の数で負け。

 航空戦力、質、練度で勝っていた。

 アメリカとイギリスは、石油資源を確保したいため、

 そして、中東を独伊同盟、ソ連のいずれにも渡したくないのか、介入していた。

 

 

 ヨルダン王国

 ヨルダン王国・シリア・サウジアラビア軍事援助アメリカ・イギリス連合軍司令部。

 アメリカ・イギリスの軍事顧問団を核とする部隊がヨルダンとシリアに到着していた。

 「ドイツ、イタリア、ソ連に中東油田を渡したくないだけで、ここにいるとはね」

 「中東が米英連合側に付いてくれるのなら悪くないだろう」

 「たんに他と組むよりマシだっただけだろう」

 「しかし、配備されている機体がサンダーボルトとA26インベーダーじゃ泣けてくるよ」

 「まず信用できないから仕方がないよ」

 「それに戦車部隊の訓練が終われば航空支援主体だからね」

 「ドイツ機甲師団からヨルダンを守れると思うか?」

 「ドイツ軍は一個機甲師団だろう。大丈夫だよ」

 「イタリアの機甲師団もある」

 「イタリアは考えなくていいんじゃないか」

 「ドイツ製を装備しているよ」

 「まぁ ちょっとは怖いがな」

 

 

 パリ・ドゴール北フランス VS ヴィシー・ペタン南フランス

 ドイツ軍の撤収の条件で両国とも20年間、兵力を10万に抑えられていた。

 パリのある北フランスが国力が経済力が強く。

 南フランスはアルジェリアを基盤を広げ国力で巻き返そうとする。

 双方の国境は平穏無事、フランス人は国境を県境のようにまたぎ行き来する。

 これは地続きの国同士では、ありがちな事であり、

 いちいち柵を作っては不便この上ない。

 第一次世界戦後のドイツとある意味似ていた。

 南北に分断されている状況は悪く。

 海外領地が残されている点は、マシと言えた。

 両国とも似たような共和制を敷きながら、北のドゴールと南のペタンの不和。

 そして、利権を統廃合する不利さで、いまの体制のような状況が続いていた。

 どちらにしろ、統一する気があれば強行し、

 再軍備をしようと思えば、不可能とも言えない。

 ドイツ・イタリア軍がフランス国土に突撃する方が米英軍がフランスに上陸して来るより速いだけ。

 南北フランスは微妙な国際バランスの上に成り立っていた。

 国境線近くの北フランス監視所

 南北フランス両国の監視兵が立っている中、

 二人の背広男が橋の縁に腰掛け、釣り糸を垂れる。

 一人はマジノ線を作った男であり、選挙を経て国家指導者になった男。

 もう一人は、脱走した将官であり、選挙を経ずして国家指導者になった男だった。

 どちらも支持基盤は、強くなく、次の選挙で落選する可能性があった。

 「フランス再軍備は65年から。あと14年か。期限を区切ったのは狡猾な気がするな」

 「待てばいいという気になる。ドイツは有利だ」

 「どうかな、ドイツの国土の東欧拡大は基幹産業の投資を求められ、利益の回収率が低下する」

 「また、人口の分散はサービスと産業効率の低下を招く」

 「そして、軍事力を維持しながらの財政再建は困難であるし、労働力が削がれ、負担も増える」

 「当然、ドイツ経済が立て直されるまで年月がかかり、フランスは逆に国力を再建しやすい」

 「まぁ 軍事力が少ない方が財政再建は有利だからね」

 「問題はフランス人の労働意欲か」

 「やられた腹いせに働くんじゃないかな」

 「負けて、いじけなければ良いけどね。あと無気力になったりとか」

 「そこまで落ちぶれないだろう。仮にもフランス人だ」

 「ワインを飲み過ぎなきゃいいけどね」

 「まぁ そういうのは、あるかもしれんが・・・」

 不意に一人の神経が集中する。

 「であっ!」

 竿がしなり、魚が釣り上げられる。

 「元上司に花を持たせてしまったようで」

 「実力だろう」

 「運でしょう」

 「だから実力だよ」

 

 

 ブラジル

 アマゾン川は水量世界一を誇っていた。

 世界一は他にもあった。

 しかし、この際、水そのものが死活問題にかかわる貴重な資源のため省く。

 注水装置を使えば、タンカーのタンクに河水を濾過しながら引き入れることができた。

 アマゾン川で日本人が河水調査をする。

 これだけで豪州日本の水事情を端的に説明できた。

 とはいえ、アマゾン川をそのまま飲んでも腹を壊すだけ。

 実のところ、アマゾン川は、そのまま飲めないため飲料水不足だったりする。

 「濾過しやすい河水とは言えないね。もう少し上流に行くべきかな」

 「飲料水じゃなくてもいいよ。ここに来たのは土壌を再生させるためのミネラル水だからね」

 「川の養分が大きければ、海に流れるミネラルも増えて、漁獲量も上がる」

 「限度があるよ、水送管を流すとき、詰まると困るだろう。それに緊急を要するのは飲料水」

 「ほんと、日本って飲料水が湧いて出てたんだな。土壌も良かったし」

 「豪州は、珊瑚があるから濾過できるけど」

 「あと繊維、石灰石、木炭・・・」

 「ガンジス川は、駄目だって?」

 「駄目でしょう。チグリス・ユーフラテス川も良いんだけどね」

 「氷山とかは、海底に当たるとそれ以上、接近できないからな・・・」

 「氷山用の水路を掘って内陸まで運ぶか?」

 「いや、もう水道で飲料水という形で通さない。各家庭で最終的な濾過をさせるべきだろうか」

 「んん・・・溜めるのなら塩湖の方が汚水になり難くて良いけどね」

 「まぁね」

 

 

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 月夜裏 野々香です。

 大本営特行、引っ越しまであと9年です。

 豪州移民は水の関係で渋られ。

 瑞穂・秋津移民は好まれるが土地は少なかった。

 信託統治領ニューギニア移民は劣悪な環境ながらも区画割り当てが大きく好まれる。

 まだまだ、戦後の平和な時期です。

 インド洋の隣人国家マダガスカルのユダヤ・イスラエルは史実より大きくなりそうです。

 世界中からユダヤ人が集まってしまうと1000万以上でしょうか。

 東欧諸国民もここに集まって白人国家になるかもです。

 ちょっと不穏なので日本の外務省は、アメリカ信託統治領入植か、北アフリカ入植を画策中。

 豪州日本に引っ越し後、死ぬ前に一度は極東日本に行きたいと日本人が考えるとしたら・・・

 仮定として、人口一億 / 平均寿命70年 = 年間142万8571人が極東日本へ。

 

 再建された国際連盟は、事務レベル協議にまで縮小。

 常任理事国無し、列強だけの国際調停機関になってしまいました。

 史実の連盟とサミットを足して2で割ったような国際機関です。

 

 史実の戦後は

 牧場主アメリカ、

 牧童・牧羊犬、日本、イギリス、西ドイツ、イタリア

 牛・羊、中進国・後進国

 熊・狼、ソビエト、共産圏。

 の構造は崩れそうです。

 

 この戦記の戦後は、サル山のサル

 NO.1 アメリカ、極東確保で大忙し

 NO.2 ドイツ、民族浄化と異人種の追い出しで忙しいよ

 NO.3 豪州日本、一億総雄飛政策で涙目。

 NO.4 ソビエト、

      ベラルーシ・ウクライナの半分取られた。

      極東にアメリカが取り付いた。が〜ん!!!!

 NO.5 イギリス、

      豪州盗られた。

      げっ! インド・東南アジア独立。

      植民地が暴れてる。ブツブツ、ブツブツ・・・・

 NO.6 イタリア、

      北アフリカの維持が高過ぎる〜!!!!!!

 NO.7 南北フランス、

      南北に分断された〜!!!! 悔しいよ、悔しいよ、悔しいよ・・・・

 その他、中進国・後進国

 きぃ! きぃ! きぃ! きぃ! きぃ! きぃ! きぃ! 

 です。

 本命はアメリカでしょう。

 対抗は・・・・

 大穴は・・・・

 

 

 

 オーストラリア大陸

 西オーストラリア州 鉄鉱石鉱山 マウントトムプライス、パラバード、マウントニューマン

 西オーストラリア州 金鉱 スーパーピット山 

 西オーストラリア州 金・ニッケル鉱山 カンバルダ

 クイーンズランド州 炭鉱 グーニエラ・リバーサイドー、モーラ、

 ニューサウスウェールズ州 炭鉱 マウントソーレーイー

 ノーザンテリトリー(北部準州) ウラン鉱山 ジャビル

 クイーンズランド州 ボーキサイト鉱山 ウイパ

 

 

 

 

日本連邦
オーストラリア (大和) 北ニュージーランド (瑞穂)
ブリズベン 広島 オークランド 旭川
シドニー 東京 ハミルトン 札幌
    ウェリントン 函館
キャンベラ 京都    
メルボルン 大阪 南ニュージーランド (秋津)
アデレード 仙台 クライストチャーチ 高松
    ダニーディン 高知
パース 福岡    
    信託統治領
ダーウィン 沖縄 ポートモレスビー ポートモレスビー
    ラバウル ラバウル
タスマニア (八島)    
ホバート 豊原    
       

  

 

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第11話 1951年 『不毛の大地』

第12話 1952年 『水、水・・・水・・・』

第13話 1953年 『信賞必罰は無理』