月夜裏 野々香 小説の部屋

    

新世紀エヴァンゲリオン

『一人暮らし』

      

     

赤木リツコ物語

     

  

 惣流・キョウコ・ツェッペリンの手が大きく、

 自分の手がひどく小さかったことを覚えていた。

 「リツコちゃん。飴食べる?」

 「うん」 半泣きで頷く。

 キョウコがくれた飴は、リンゴの味がした。

 「お母さんが怒ったの」

 飴を舐めながら抗議する。

 「お仕事中だから我慢しようね」キョウコ

 「お仕事は、わたしよりも大事?」

 言葉にするとさらに悲しくなる。

 「リツコちゃんが一番だけど。お母さんは、リツコちゃんを信じているから、先に仕事をしているの。だから少しの間、我慢しようね」

 「・・・・・・・」 飴を頬張りながら頷く。

 キョウコが微笑むと少し嬉しくなる。

 「キョウコお姉ちゃん。わたしのお父さんの事。知ってる?」

 キョウコの顔色が変わる。

 すぅ〜 と自分が持ち上げられ見晴らしが良くなる。

 キョウコの香りとリンゴ飴の香りが混ざる。

 「リツコちゃんのお父さんは、立派な人よ」

 「そして、リツコちゃんがお母さんのように立派になれば必ず会いに来るわ」

 「可愛いリツコちゃんのところにね」

 「お母さんのようになる」

 「そう。おりこうさんね」

 キョウコが、頭を撫でて、もうひとつ飴をくれた。

 「キョウコおねえちゃんにみたいにも、なりたい」

 キョウコが微笑むと、もうひとつ、飴をくれた。

 そして、一緒に研究所の外にジュースを買いに行く。

 お母さんのジュース持ってキョウコと土手を歩く

 キョウコが歌い。いつの間にか覚えた歌

 「か〜ご〜め〜か〜ご〜め・・・・・か〜ご〜の〜中〜の〜鳥〜は・・・・」

 「い〜つ〜い〜つ〜で〜や〜る・・・・夜〜明〜け〜の〜晩〜に・・・・・」

 「つ〜る〜と〜か〜め〜と〜す〜べ〜っ〜た・・・・・後〜ろ〜の〜正〜面〜だ〜あ〜れ」

 

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 キョウコが欧州へ行った日は、一日、泣いた。

 風景が違って見える。

 帰り際に箱に入った猫を見つけ、キョウコに似ているような気がして持ち帰る。

 母 赤木ナオコは、放任主義だった。

 それでも与えられたカリキュラムをこなせば微笑み。

 声を掛けてくれる。

 そして、いつの間にか、お母さんの後を追っていた。

 

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 2005年

 第2新東京市

 第2東京大学・構内の食堂

 「葛城?」リツコ

 「そう、葛城ミサト。18。よろしくね」ミサト

 

 母へのメール 

 「お母さん。先日、葛城という娘と知り合いました」

 「出会いの切っ掛けは、彼女が酒の上での争いで実験室に逃げ込んできたからです」

 「なぜか私と話しても屈託がありません。他の人たちが遠巻きに私を見るだけです」

 「改めてお母さんの名前の重さを思い知らされました」

 「彼女は、例の葛城調査隊、ただ一人の生き残りと聞きました」

 「一時、失語症になったそうですが、今はブランクを取り戻すかのようにベラベラとよく喋ります」

 

 娘へのメール

 「りっちゃんへ。こっちは変わらず地下にこもりっぱなしです。支給のお弁当にも飽きました」

 「上では、先日、決定した第2次遷都計画による、第3新東京市の建設を着工しました」

 「今度来るときは、基礎工事が進んでいると思います」

 

 母へのメール

 「昨夜、ミサトと飲みに行って、酔っ払い四人に絡まれました」

 「ミサトが飲み比べて勝った方が相手を自由にするゲームを始めて。ミサトの一人勝ち」

 「わたしが持っていた催涙弾と臭気爆弾は使わずに済み」

 「男達四人は身包みを剥がされて路上に放置されました」

 

 「ミサトが実験室からキノコから抽出した笑いエキスを持ち出し、酒盛りをしました」

 「予算の関係で、ワインのビンに入れて冷蔵庫に入れていたのが原因です」

 「ミサトを含め8人が犠牲になり、4時間ほど笑い続け、そのまま、朝を迎えたそうです」

 「アルコールとの相乗効果が確認されましたが彼女にしてやられた感じです」

 「最近、予算不足でミサトの裸をダシに出資を募りました」

 「小部屋には、光の波長と特定の音波で記憶を失うような仕掛けを作りました」

 「途中、どこから聞き付けたのか、ミサト本人が覗き部屋に怒鳴り込んで大騒動です」

 「私もほとぼりが冷めるまで当分、追われる身です」

  

 娘へのメール

 「りっちゃんへ。こちらは相変わらずです・・・」

 「良い友達と良い思い出は不可分です」

 「そして、私の経験からも悪友と実験体は、さらに重要・・・・・・・・・・」

 

 母へのメール

 「悪友ミサトに彼氏が出来たようです」

 「このところ、大学に出てこない理由を白状させたら、バカみたいでした」

 「彼とずっとアパートで寝ていたそうです」

 「飽きずにダラダラと一週間も・・・彼女の意外な面を知った感じです」

 「今日、ミサトの彼氏を紹介されました。加持君といいます」

 「顔はいいのですが、あの軽い感じは馴染めません」

 

 娘へのメール

 「りっちゃんへ。むかしから男の子が苦手だったものね。やはり、女手一つで・・・」

 「いえ、ごめんなさい、ずっと放任していたのに母親面できないわね」

 

 

 2004年

 NERV本部 地下実験場

 赤木 母(ナオコ) 娘(リツコ)

 「・・もうすぐ、大学よ。お母さん」

 「リツコ。世紀の実験が始まるわ」

 「証人のために呼んだの?」

 「ええ、死海文書が正しければ、可能性がある」

 「死海文書?」

 「詳しくは教えられないけど、あなたに能力があればいずれは、身近なものになる」

 多くの機材と不気味な人型の巨人らしきものが白いシートが被せられている。

 シートの裏にある物は知っていた。

 禍々しさと嫌悪感しか感じなかった。

 しかし、その可能性は圧倒的だった。

 「なぜ、ここに子供が居る」 冬月

 リツコが自分の事を言われたのかとハッとする。

 しかし、よく見ると3歳くらいの男の子がガラス越しに実験場を眺めている。

 「碇所長の息子さんですよ」 赤木ナオコ

 「碇。ここは、託児所じゃない。オムツも取れていないような子供が来るところじゃないぞ」

 碇所長は、何も言わず黙っている。

 “ごめんなさい。冬月先生。わたしが連れてきたんです”

 ユイの声がスピーカから流れる

 「ユイ君。今日は、君の実験なんだぞ」

 “だからなんです。この子に希望を見せておきたくて”

 この実験の失敗でユイさんが消えた。

 その時の状況がスローモーションのように思い出される。

 喧騒の中。

 お母さんが慌てて機器を調整していたがどことなく、

 ホッとしていたこと。

 わけがわからず “お母さん” と呼び続ける男の子。

 この時を境に碇司令が変わったことが、母親のメールからも、

 その時の碇所長の態度からも見て取れた。

 

 

 2008年

 母へのメール

 「お母さん、マギの基礎理論完成おめでとう」

 「そのお祝いというわけでもないけど、私のゲヒルン正式入所が内定しました」

 「来月からE計画勤務になります」

 

 NERV本部建設現場 

 リツコ

 薄暗い廊下を地図を見ながら歩くがわからなかった。

 「誰だ?」警備員

 不意にライトを浴びせられた。

 「技術開発部・赤木リツコ。これ、ID。お母さんに会いに来たんですけど」

 警備員が確認すると丁寧な態度に変わる。

 「発令所の方に碇司令と赤木博士がいるはずですが・・・ええと・・・現在位置が・・・」

 警備員は、端末のモニターで説明する

 

 建設中の発令所

 誰もいないガランとした空間。

 足音が聞こえる 。

 そして、角の部屋から母ナオコの声が聞こえた。

 「・・・本当にいいのね?」

 「ああ、自分の仕事に後悔はない」ゲンドウ

 「うそ。ユイさんのこと、まだ忘れられないんでしょう。でも、私は、それでもいいの・・・」

 唇が重なる二つの影。

 抱擁しあう二人と巨大なシルエットがバックの影に映し出される。

 身動きがとれず固まるが、すぐにその場を離れた。

 

 2010年

 ジオフロントの天井ビルのフロア

 ナオコ、リツコ

 「・・・急がないと間に合わないわ」

 「ええ・・・お母さん」

 後ろにあるエレベーターが停まる音がした。

 「ごらん、あれが、ゲヒルン本部だよ」

 聴き覚えのある声に気付いた。母 ナオコが碇ゲンドウに近付く

 「所長、おはようございます」

 「お子さんをお連れになったんですね・・・」

 「あ、でも、男の子のはずですよね。たしか、シンジ君って・・・・」

 「シンジでは、ありません。知人の娘を預かることになりましてね。綾波レイといいます」

 「レイちゃん、こんにちは」声を掛けた。

 レイが無表情に見つめ返す。

 そして、気付く。

 青髪赤眼を除けば・・・・碇ユイ・・・似ている・・・・・・

 

 

 綾波レイに関するファイルは、全て抹消されていた。

 葛城調査隊に物理学者で碇所長の唯一の友人、綾波タケオ、独身。

 DNA検査からも因果関係はない・・・・お母さんも知らなかった。

 綾波レイ・・・・

 わかったのは、彼女のDNAと初号機、リリスのDNA配列に因果関係があるという事。

 そして、そのこと自体、マギも偽装されていた。

 

 

 発令所

 ナオコ、リツコ

 「いよいよ。明日、マギが起動する」 ナオコ

 「理屈屋メルキオール。博愛主義者バルタザール。良いカッコしいのカスパーね」

 「悪く言わないで、科学者としてのわたし、女としてのわたし、母としてのわたしでもあるんだから」

 「そのまんまね」

 「リツコ!」

 「くすっ。お母さん、先に帰るわ。ミサトが一度、帰ってくるの」

 「・・・そういえば。葛城博士の娘もゲヒルンに入所していたわね」

 「ええ、ドイツの第3支部勤務」

 「彼氏と結婚したの?」

 「別れたそうよ。ミサトの方から一方的に」

 「・・・そう、お似合いだと思ったけど」

 「ロジック通りにはいかないわね」

 「あなたのその冷たいところ、何とかしないと自分の幸せまで逃がしちゃうわよ」

 「お母さんが幸せの定義を発見してくれたら考えてもいいけど・・・」

 「久しぶりに彼女と飲み明かすことになりそうだから行くね」

 「お疲れさま」

 

 

 翌朝

 マギの上で母 赤木ナオコの遺体が発見され。

 その日、ゲヒルンが解体。

 国連直属の特務機関NERVとして創設される。

 最大の功績者である母を除いて・・・・

 

 わたしは、母が死んだ原因が碇司令にあると思って遺品を整理。

 自分自身が母、赤木リツコのクローンであることを知ったのは、その時だった。

 わたしが情緒不安定になった時、支えてくれたのが碇司令だった。

 碇ゲンドウは、恐ろしく人見知りする性質で、本来なら受身で大人しい性格。

 そして、知れば知るほど。碇ゲンドウに惹かれていく。

 互いに秘密を知る二人が求め合うのは自然に思えた。

 セカンドインパクト後の世界は、一様に自国国益主義で使徒来襲に対し無責任であり、

 準備を強行できるのは良し悪しに関わらずゼーレだけだった。

 碇司令は、世界を相手に精一杯、張り合って、背伸びしていた。

 無理をしているのがわかると慰めたくなる。

 彼を突き動かしているのは人類という抽象的な存在が閉塞状態にあるという事実。

 そして、サードインパクトの恐怖

 彼がいなければ、第2使徒来襲でサードインパクトが起こり。

 人類リリン系人種は滅んでいた。

 綾波レイの正体を知った時。

 人類は生き残るため禁断を犯し、

 未知の領域をここまで深くこじ開けていたのかと、人間の探究心と挑戦する気概に震えた。

 一時は、パンドラの箱を開けてしまったゼーレを恨んだ。

 しかし、同時に希望を持つことも出来た。

 徐々に第3東京市が要塞都市としての機能を持ち始めると。

 それを可能にした碇ゲンドウの手腕に驚嘆する。

 人類の反撃の狼煙が形作られていく。

  

 

 母の死。

 消されて廃棄された監視カメラのハードディスクをマギで解析・・・

 擦れ雑音混ざりの映像が鮮明になっていく。

 わたしが帰ってすぐ・・・

 母ナオコが人影に驚いて振り向くと、レイがいた。

 “あら、レイちゃん。何か御用?”

 “道に迷ったの?”

 “じゃ、わたしと一緒に外に出ようか”

 “いい”

 “一人で帰れないでしょう”

 “大きなお世話よ、ばあさん”

 “・・・何?”

 “一人で帰れるからほっといて、ばあさん”

 “ばあさん? 人のことをばあさんなんていうものじゃないわ”

 “だって、ばあさんでしょう”

 “・・・怒るわよ。碇所長に叱って、もらわなきゃ”

 “所長が言ってたのよ”

 “あなたのこと。ばあさんはしつこいとか、ばあさんは用済みだとか”

 ニッと笑う表情が碇ユイと重なる。

 母が衝動的にレイの首を絞める。

 く、く、く、と苦悶の声が漏れた後、ぐったりとするレイ。

 はっ と我に返った母は、フラフラと立ち上がる。

 そして、青ざめたまま、下の階層に投身する。

 しばらくした後、ゲンドウが現れ、倒れているレイを発見し運び出した。

 

 誰が悪いわけでもない。そう思いたかった。

 母がレイを殺したのは変わりなかった。

 母ナオコが悪いのか?

 母が愛した碇司令が悪いのか?

 碇司令が本当に母のことを言ったのか?

 レイが言ったことを真に受けたのは母ナオコだった。

 あの年頃の子供は、やっかみでウソを付くことはある。

 真実は、わたしを不快にさせただけだった。

 同じ真実でも無機質な公式の方が、人を幸せにする。

 そういえば・・・原子爆弾も公式から生まれた・・・・

 

 

 2015年

 NERV本部 発令所

 リツコ、ミサト

 『お母さんか・・・』

 「リツコ・・・」

 「え、何?・・・・ミサト?」

 「え、何じゃないでしょ。ボーとして・・・」

 「ごめん、ちょっとね」

 「もう〜」

 「今日は、もう、退けるわ・・・」

 「ええ、飲みに行かないの?」

 「遠慮しとく」

 

 

 NERV本部、入口

 数日後、死んだはずのレイがNERVの現場をうろついていたのを思い出したとき。

 私は、レイの秘密を予測できた。

 そう、レイは、わたしと似た存在。

 その時は、碇司令と私は・・・引き返せなくなっていた。

 秋風が寂しく吹きつけ、コートのすそが風にめくられる。

 そう、男と女はロジックではない・・・・

 

 

 シンジ君の逃亡と復帰が碇司令の追放に繋がった。

 それも第14使徒ゼルエル襲来中。

 初号機がレイを拒絶。

 ダミープラグも反応しない。

 二号機が負け。

 零号機は特攻。

 状況は人類存亡の瀬戸際、最悪。

 人類を人質にとって碇司令と息子のシンジが我を張り合う。

 客観的に見れば、迷惑な親子喧嘩だ。

 部外者の愛人は、口出しできる言葉も出る幕もない。

 碇ユイなら父と息子の仲立ちに立つことが出来るるだろう。

 せめて碇司令と再婚していれば反応できたかもしれない。

 天秤は、息子の碇シンジへと傾いてしまう。

 まるで戦国時代劇の一コマの様に息子に追放され、

 碇司令は戦自に連行されていく。

 彼の口元が緩んでいたのに気付くと、少しばかり冷静になり。

 何をすべきか考えた。

 生き残るか、滅ぶかでなく。

 生き残った後、何をすべきか。

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 第14使徒ゼルエル殲滅。

 状況は、その場凌ぎ。

 初号機がS2機関を捕食して、使徒アダムとして再生。

 シンクロ率400パーセントを越えた碇シンジは人としての形は失われ。

 初号機に取り込まれているはずだった・・・

 

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 碇シンジは初号機に取り込まれず帰還する。

 初号機も大人しくしていた。謎。

 人類は生き残った。奇跡。

 細い釣り糸の上を微妙なバランスで立っている。

 初号機は、ゼルエルのS2機関を取り込み、自らのS2機関も完全に再生させていた。

 使徒アダムは記録にあるものより雄々しく。

 自らの意思で動き出してもおかしくない状態だった。

 半身不随にされ去勢された使徒アダムが人類に戦いを挑めば太刀打ち不可能・・・・。

 

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 碇シンジ。

 父親を追放したのに彼の心理状態は、計算外に安定していた。

 綾波レイの正体を知った直後の言動。

 レイを受け入れた度量の大きさ。

 惣流アスカと二号機に対する提案。

 碇シンジは、自分が知らない “何か” を知っている。

 父。碇ゲンドウの片鱗が見え隠れしていた。

 かといって追求する気概は、自分の拠り所である碇司令の追放と共に失われていた。

 碇司令も碇シンジも人類にとって、かけがいのない存在。

 零号機は大破。

 二号機は、首と両腕を失ってこれも大破、切断面が綺麗であることだけが救い。

 NERVのエヴァ技術は、あまりにも突出しており、毒が強過ぎた。

 日本政府・戦略自衛隊の支配と干渉は、最小限に抑えられる。

 

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 深夜

 二号機から現れたのは、惣流キョウコの面影を持った女の子。

 レイと背丈がほとんど変わらない。

 ・・・怪しすぎる・・・

 彼女の記憶は、惣流キョウコ本人そのものだった。

 詐欺に遭っているような気がする。

 彼女は、朝霧ハルカという名前を選択。

 彼女のおかげで仕事の効率が数段進み、誤りを正される。

 しかし、同時に彼女は、わたしの私生活を散々に乱してくれた。

 NERVも戦自もわたしを見る目が変わっていく。

 迷惑千万、過去の恩義と年のせいだといわれれば、敢えて逆らう気力も失せる。

 

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 惣流キョウコの記憶を持つハルカは、綾波レイの才智まで引っ張り出した。

 元々、レイは、碇ユイのニューロン・シナプスを初号機からサルベージしたのだ。

 忌避していただけで可能性があり、才覚を証明する。

 ゼーレは、量産型エヴァ12体、ロンギヌスの槍12本でリリスを奪取。

 サードインパクト起こした。

 全ての物体の結合が消えうせ、LCL液状化していく。

 バウンドインパクトは、初号機、零号機、2号機のATフィールドで包囲し、逆流させる。

 リリスからさらなるエネルギーを奪いリリスそのものを消失させる。

 一石二鳥、一石三鳥・・・

 ゼーレを無力化するだけでなく、LCL液状化した人類を再結合させ、

 サードインパクトで消耗し切ったゼーレとリリスをも消滅させてしてしまうものだった。

 碇ユイの人類補完計画原案の遂行で精神感応社会の到来。

 綾波レイ(碇ユイ)の知性とセンスに嫉妬を覚える。

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

    

 

 碇司令のジオフロントへの復帰は、隠れてだった。

 加持リョウジの裏工作だけでは困難であり。

 ゼーレのキール議長と碇ゲンドウの関係は、ロジックだけで計れない何かがあった。

 碇ゲンドウは最後の時、懐かしそうにリリスを見詰めていた。

 

 いまここにいるのは、碇ユイでも母ナオコでもなく。

 赤木リツコだった。

 止めたくなって銃の安全装置を外した。

 ・・・・・・ガチャッ!・・・・・・

 ・・・・・・・・・・・沈黙・・・・・・・

 「シナリオとは違うが、想定のうちだ」

 ・・・見向きもされない・・・・

 「どうしても行くのね?」

 「ああ・・・」

 「ゲンドウ・・・さん」

 「君には済まない事をした」

 「わたしをクローンと知って受け入れてくれたのは、あなただけだった」

 涙が溢れてくる

 「良い思いをしたのは俺の方だ」

 ゲンドウは、一歩、リリスへ近付く

 「シンジ君に伝言は?」

 「あいつが辛い思いをするだけだ」

 ゲンドウの後ろから抱きつく

 「シナリオを変えてまで、行くの?」

 「ゼーレの人類補完計画を修正するよりワンクッションおくのも良いだろう」

 「間に合うかどうか運任せだが・・・」

 「・・・行くのね」

 「君の幸せを祈るよ。息子たちもな」

 「それが地球資源の枯渇と直結していても、そう願わざるを得ないな」

 腕に力が入る。理屈では、わかっていても・・・

 「赤木博士・・・人類が再建できる目処がついたら。俺のことを思い出してくれ」

 見て欲しくなって正面に回る。

 そして、ゲンドウを抱きしめてキスをする。

 涙が頬から落ちていく。

 「・・・・・・」

 「本当に・・・酷い人・・・」

 ズシンッ。

 上の方で音がする。

 「時間だ」

 「あなたと・・・行きたい」

 「君への伝言は・・・人類と地球を頼む・・・だ」

 「酷い人ね」

 「ふっ・・・そうだな・・・」

 「息子たちには、頃合を見計らって “よくやってくれた。ありがとう” と伝えてくれ」

 「・・・ええ・・・」

 ゲンドウが異形化した右手をリリスに付けると。

 次第にリリスへと取り込まれていく。

 腕が入り、肩が入り。ゲンドウの頭と体全体がリリスに取り込まれた。

 後ずさり。

 そして、ヘブンズドアを出て行く。

 

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 サードインパクト&バウンドインパクトが終わって1ヶ月。

 対使徒戦と対ゼーレ戦に勝利したNERV。

 第18使徒リリン系人種の星の相続が決まったものの、

 最終戦争で世界中が大打撃を受けて再建途上。

 種の生存への戦いが始まっていた。

 

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 年が明け

 シンジ、レイ、アスカ、マナは、毎日の生活に追われながら学校に通う準備をしていた。

 最終戦争は人類最後の悲劇だった。

 (NERV+日本)側と(ゼーレ+国連)側の戦い。

 互いにネットワークを介したウィルスの攻防戦が行われ、

 産業、金融、情報、交通、通信のプログラムが支配され、あるいは破壊されていく。

 航空戦力、海上戦力、海中戦力が潰し合い。

 電磁弾道弾の砲撃戦となった。

 世界中の主要都市が破壊され。

 わずか数時間の砲撃と爆撃で数百万の死傷者を出した。

 大災厄だった。

 それでも60億から20億に人口が減少したセカンドインパクトよりマシ。

 バウンドインパクトによる再生で戦いが終決すると人類再建の模索が始まっていた。

 平和は遠い。

 

 

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 セカンドインパクト&バウンドインパクトで南半球のオゾン層が再生し。

 海流も、気候も安定していく。

 日本が東南アジアと豪州。

 アメリカ合衆国が南アメリカ。

 欧州がアフリカ。

 中国とソ連がインドと中東域を分担。

 開発することが決まっていた。

 開発といえば聞こえはいいが占領、統治、併合。

 

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 太平洋戦争末期

 日本大本営が建設されていた長野県の山に囲まれた狭い土地。松代。

 第3東京市のNERV本部が破壊され。

 松代のNERV日本支部にNERVの主要な機能が移される。

 そこに日本再建省が併設。

 日本再建と人類再建が始まろうとしていた。

 

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 赤木リツコは、イライラしながらマギの試算を待っていた。

 人類の再建計画と日本の再建計画が矛盾していく。

 双方を代表する者たちの表情が強張る。

 一度、人類全体がLCL化して融合した後。

 バウンドインパクトで修正しながら人類をLCLから還元。

 碇ユイの人類補完計画の原案で人類は、再構成され不完全な群れに戻された。

 人類補完計画による精神感応率。重複率は、0.0001パーセント。

 人間は、個性を保ちながらも相互コミュニケーションと犯罪抑止で絶大なる効果を発揮した。

 もちろん功罪はあった。

 それまで深く信頼されていた者が駆逐され。夫婦が壊れ、家庭すらも破壊された。

 反面、敵対し信頼されていなかった者が用いられる。

 そして、ある者たちは、あっさり結ばれるなど社会全体が混乱していた。

 これは喜んでいいのか、悲しんでいいのか、微妙だった。

 ゼーレのような極端な人類補完計画は、嫌悪感を感じる・・・

 碇ゲンドウのゼーレ案を修正した人類補完計画なら個性になる部分が残され・・・

 もう少し許せる・・・

 過去、碇ユイ、赤木ナオコ、惣流キョウコが人類補完計画原案でシミュレートしたプログラムを応用できた。

 資源の枯渇は人口と一人当たりのエネルギー消費量で割り出せる。

 当然、人類の再建は人口増加とエネルギー消費の増大につながり。

 地球資源の枯渇と直結。

 「菜食主義者になれって、いうのかしら」

 リツコがため息をついた。

 リツコ自身、菜食主義に反対ではなかった。

 しかし、現時点で人類にそれを強要することは不可能だ。

 最後の隣人が餓死している時でさえ。

 隣の家の隣人が肉を食っている可能性もあった。

 現に地球規模で平気で行われている。

 せめて菜食を9割になれば、もう少しエネルギーの消耗を減らせる。

 しかし、深刻なのは、食糧よりも資源。

 人口増加と地球資源の枯渇をマギで推測できた。

 月、火星、金星、小惑星帯の開発シミュレーションが同時並行で数値を弾き出していく。

 リツコの頭では、人類の人口/地球という概念ではなく。

 地球/人類の人口に裂かれていた。

 「理想的に事が運んでも・・・間に合いそうにないわね」

 リツコの脳裏に悪魔の囁きが聞こえる。

 ・・・あと10億減らせれば・・・と・・・・・

 「・・・・先輩・・・それは不味いですよ・・・」

 伊吹マヤがコーヒーを置くと呟く。

 精神感応で負の感情に敏感に反応する職員が周りにいる。

 組織の長は、注目され、ばれやすい。

 少しばかり非難気味な空気が漂う。

 だからといって、南半球の穀倉地帯の土壌がすぐに再生されるわけではなかった。

 海流の流れがもっと安定すれば、漁獲量が増えるだろうか、

 リツコは、少しばかり苦笑いしながらコーヒーを飲む。

 

 「気持ちは、わかりますけど・・・」マヤ

 リツコは、さらに苦笑いする。

 マヤも随分、合理的になったと、

 「現実に出来るわけじゃない。でも、マギもヒート気味ね」

 「理屈屋メルキオールと理想家バルタザール、偽善者カスパーの戦いですか?」 マヤ

 「・・・ちょっと、不利かな」 リツコ

 「・・・先輩が、どっちの味方をしているのか良くわかりました」

 マヤが少しムッとする

 『まだ割切れないか・・・・』

 リツコはぼんやり考えた。

 「でも政府の人たちって、どうしようもないですね」

 マヤは、嫌悪感を露にする。

 彼らの目論見は、精神感応で丸見え。

 それでいて利権を分配している有力者の支持を得ていた。

 人類の病巣は、人間そのものにある。

 ゼーレの解決案は、単純明快と言えた。

 「ふっ そうね・・・」

 「総論として人類再建に賛成でも、各論で日本再建を優先したいとおもうのは道理だけど」

 「でも、あそこまで近視眼のセクト主義だとね・・・」

 「マギの理想的なシュミレーションすら認めようとしない頑迷さ、N2爆弾を落としたくなるわね」

 「・・・」

 マヤが想像したのか、ほくそ笑む。

 彼女も腹を立てているのが良くわかる。

 独り善がりな欲望が他者に犠牲を強い、人類を窮地に追い詰めていく。

 このまま、地球資源が枯渇すれば、江戸時代より少しましな生活でジリ貧になっていくだろう。

 そして、それでも絶望的なほど人類は増えていく・・・

 そう・・・セカンドインパクトは、人類にとって最悪ではなかった・・・・

 少なくとも人類自身が奪い合いで殺し合わずに済んだ。

 人類自身を責めずに済むのは、神の恩恵を含んだ審判かもしれない。

 ・・・・人類が恒久的な発展を望むなら宇宙開発は、必然であり。

 その前提として、エントロピーの法則。熱力学の法則と戦わなければならなかった。

 俗な言い方をすれば永久運動機関の開発。

 もちろん、それ未満でも良かった。

 

 熱力学の壁。

 

 第1の法則(保存できない)でも

 

 第2の法則(高温→低温)でも

 

 第3の法則(絶対零度、到達不可)でも、

 

 一つでも抜け道があれば良かった。

 

 エヴァ技術がまさにそれだった。

 そのエヴァ技術をエヴァとして形にする段階で数億の餓死者を出した、

 人類に残された資源は底を尽く。

 腹を空かせた赤子を抱えた母親に来年の種を植えないといけないと言うのは辛い。

 

 ・・・・使徒戦の方が楽かも・・・・・・

 育てるより、戦う方が楽だ。

 「ドイツは、生活統制を行うようです」 伊吹マヤ

 「自らを律することに関していうと、ドイツ系が優位ね」 リツコ。

 ユーラシア大陸の対極に位置する大ドイツは、江戸時代より少しマシな道を選択していた。

 「生き難いと思いますが」 伊吹マヤ

 「エントロピーの法則で熱力学の限界を超えたS2機関に頼るしかないわね」

 「ですがエヴァは、一体建造するのに日本の年間予算を超えてしまいます」

 「経済的に何百万もの犠牲が出ます」

 「下手をすれば革命か、クーデター。バルタザール、カスパーも反対しています」

 「加速器や自己増殖でなくてもエヴァ光質を増殖させられる人間がいるでしょ」

 「シンジ君ですか?・・・・それを計算しても足りないと思いますが」

 伊吹マヤは、シミュレーションのグラフを見て呟いた。

 「もう一人いる・・・でしょ」

 ・・・?・・・?・・・?・・・・

 マヤの顔色が変わる。

 そして、この部屋の職員にも伝わる。

 精神感応は便利だ。

 「せ、先輩・・・か、彼は・・・」

 「使徒の渚カヲル君」

 「彼は、純正の使徒です」 マヤが青くなる

 渚カヲルは、ゼーレとNERVの戦いが終わるまでインパクトを待つことにした。

 その結果。

 リリス消滅。

 第17使徒タブリス系人種の誕生を永遠に逃してしまう。

 今では、シンジ達と仲良く冬休みを謳歌している。

 「・・・計算してみて」 リツコ

 「係数は?」 マヤ

 「シンジ、レイの組み合わせと同じでいいわ・・・」

 「たぶん、それ以上かもしれないけどね」

 「政府や議会が賛成するでしょうか」

 「政府も議会も、このままでは間に合わないとわかっているはず。彼らに選ばせればいいわ」

 そして、この試算が余剰分の人類を宇宙に放り上げるだけのエネルギーを確保した瞬間であり。

 宇宙開発を前倒しすることに繋がる。

 そして、タブリス系人種

 渚カヲルとの融合をリリン系人種に容認させた瞬間。

 使徒化したシンジとレイも社会的に保障させた瞬間にも繋がる。

 

 

 政治家と官僚。

 財界の癒着による捻じ曲げ工作は、近視眼的で辟易する。

 碇ゲンドウから貰い受けた遺産(脅迫情報)がなければ、押し潰されるところだ。

 生殺与奪を思いのままに出来る。

 紛れもない脅迫。恐喝。の類。

 そして、加持リョウジを筆頭にした執行部隊が彼らの圧力を分散させていく。

 彼らの支配欲と保身は、理屈や理想には、屈しない。

 しかし、死の恐怖には、屈する。

 

 人類の希望になった第15使徒アラエルが静止軌道上に漂い。

 天の川が瞬いて天空を横切っていた。

 赤木リツコは、松代基地の屋上にいた。

 背後でヨハン・シュトラウス(子)のワルツ音楽が流れる。

 碇ゲンドウの遺志を継ぐ。

 これは、碇ユイも赤木ナオコも出来ないことだ。

 それが赤木リツコの愛の形だった。

 『ゲンドウ・・・さん・・・』

 

 不意に人の気配がして振り返る。

 綾波レイと朝霧ハルカが立っていた。

 サードインパクト & バウンドインパクトの時。

 初号機のシンジ、レイ。2号機のアスカ、朝霧ハルカの4人は、精神感応能力が無く。

 気配で察するしかない。

 しかし、4人は、精神感応ができない旧人類ではなく。

 ダブルエントリーの心身感応で数段上。

 綾波レイと朝霧ハルカとも青髪紅眼で肌が白い。

 綾波レイは、碇ユイに似ている。

 朝霧ハルカは、惣流・キョウコ・ツェッペリンに似ている。

 朝霧ハルカは、第14使徒戦以降、碇シンジの提案で2号機から引き出された。

 綾波レイと違うのは、14歳程度の肉体で惣流・キョウコ・ツェッペリンの記憶を持ったまま引き出されたこと。

 惣流・キョウコには、幼少の頃、世話になった。

 おかげで、エヴァ技術研究所の所長でありながら・・・

 「リツコちゃんの試算通り。渚カヲルを使うしかないわね・・・それで間に合いそうよ」 朝霧ハルカ。

 ちゃん付けにも慣れた。

 「そう・・・・レイ。あなたの計画通り、人類補完計画の原案で人類は再構成されたわ」

 「気分は、どう?」 リツコ

 「・・・問題ありません」  レイ

 思ってた通りの返事が返ってくる。

 「もう、レイちゃん。シンジ君次第なんだから」 朝霧ハルカ

 「ええ」  レイ

 「シンジ君が喜んでくれたから嬉しいのね」

 レイが頬を赤らめて頷く。

 リツコは、レイが苦手だった。

 たとえ、レイに碇ユイの記憶が無くても碇ユイの知恵を持ち。

 碇ユイに似ている。

 自分が碇ゲンドウの愛人でしかないことを思い知らされる。

 そう、満月(みちげつ)であった時でさえリツコは、碇ゲンドウの愛人以上ではなかった。

 碇ゲンドウがリリスと共にいなくなったとしてもゲンドウの妻は、碇ユイだけ。

 碇ユイに似た綾波レイの計画で碇ユイの人類補完計画原案を実行する程度の低いピエロ。

 それでも、仕事は、山済みだった。

 マギによる政治、財政、官僚、金融、物流、交通の制御。

 そして、マギの後継機 トリニティ の開発。

 遅れれば、それだけ人類は、地球上に押し込められる。

 下手をすれば宇宙開発をする前に地球資源を浪費してしまう。

 「・・・レイ。いつまで手伝えるの?」

 「明日。連休明け前に戻らないと・・・」  レイ

 「学園生活は、楽しまないとね。レイちゃん」

 「そう・・・」

 「本当は、シンジ君と一緒に居たいだけだけどね」

 「ええ」

 レイは、否定しない。

 シンジと婚約したレイは、精神的にも安定。

 無表情から微笑むことが多くなった。

 もっとも微笑む相手はシンジだけだ。

 「そう」

 

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 世代交代した東洋の3賢者はデータをやり取り事業を進めていく。

 第15使徒アラエルを核に宇宙開発しなければならないことから。

 アラエルに宇宙開発の本部が移転する。

 マギは、

 合理的(メルキオール)。

 人情的(バルタザール)、

 偽善的(カスパー)の三者の合議制で予算配分をしているはず。

 「リツコちゃん。いつまでも黄昏ていないで社交ダンスをしないと・・・」

 「男と踊れる機会なんて無いんだから」

 ハルカに引っ張られて、苦笑いする。

 幼少の頃、惣流・キョウコ・ツェッペリンに遊んでもらった記憶が二人の関係を決定付けていた。

 そして、社交ダンスも慣れた。

 効果は確かにある。

 ある意味、似たもの同士の3人だった。

 赤木ナオコのクローンのリツコ。

 碇ユイの代わりに初号機から出てきた綾波レイ。

 惣流・キョウコ・ツェッペリンの記憶を持って二号機から出てきた朝霧ハルカ。

 そして、復活した東洋の3賢者が人類を再建させようとしていた。

 

 

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 この話しは、一人暮らしの後編で、赤木リツコを主役にしたものです。

 ちなみにシンジとレイは、婚約。

 マナが割り込んでシンジとラブラブになりたがり。

 アスカは、一歩退いたところで、初々しくシンジに想いをよせています。

 第17使徒 渚カヲルは、シンジとの友情と

 洞木ヒカリとのラブラブ状態が気に入って。

 自分の戦いをゼーレとNERVが雌雄を決した後にすることにして、高みの見物をしていました。

 ところが肝心のリリス本体を消滅させられて、フォースインパクトが出来ず。

 取り残されて、シンジ達と戦後の学園生活に馴染んでいきます。

 そのうち、敗戦直後ともいえるような環境でチルドレンたちの生活も書き綴って生きたいと思います。

 

 

 

 

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一人暮らし 『赤木リツコ物語』
第51話 『コア世界』
登場人物