第74話 『そして、春』
春、希望の春。
出発の春。
碇シンジと綾波レイは、高校を卒業、大学入学を決めていた。
どこかの施設で・・・
碇シンジは、孤児や低所得層の生徒が勉強する教室を見つめる。
400万人近く失われた対ゼーレ最終戦争から5年も経っておらず戦災の残照を残している
セカンドインパクト後は少年兵が多かったらしい。
最終戦争・バウンドインパクト後は、宿舎付きの職業訓練学校が多かった。
お金持ちだからといって、孤児や社会的弱者を養う義理はない。
しかし、最終戦争が起きた要因に一部関わっていると他人事ではない。
可能な限り支援を検討するが
トリニティとロボット任せが多く、人間に頼ると不正腐敗、非効率など・・・
・・・ため息・・・
結局、己を養うのは、己自身の力量で下手に助けると、まったく利益が上がらず、
底なし沼のように散在浪費させられてしまう。
通常の企業でさえ、そういう人材がいるのだから教育の現場で手抜きするわけにも行かず、
トリニティ任せが増えてしまう。
トリニティとロボットは、宇宙の資源を取り入れつつ、
地球産業を活性化させ急速に成長させている。
とはいえ、世の中を近代化させても人間社会が上手く行くと限らない。
人間の就業率は微妙だったりする。
高度な社会を維持しようとすれば、高いスキルを人材に求める。
そして、どんなに高い教育費をかけ、
スキルを伸ばしてもトリニティを背景にするロボットに及ばない。
普通の事業主は信頼できて能力の高いロボットに仕事をさせたがる。
人間の雇用は重荷で法律でロボットと人間の就業比率が決められるほど。
かといって、アンチ・トリニティ需要は、人間臭い灰色な仕事で自尊心を保てず、
ゼーレ球行きが増えたりする。
『何のためにゼーレと戦ったのだろう・・・』
もし、世界が勧善懲悪なら正義が勝てば理想世界。
そもそも、人を善と悪を分けられるものだろうか。
世界は勧善懲悪にできているのだろうか。
勧悪懲善の間違いではないだろうか。
しかし、善悪混在の世界だと、どっちが勝っても不幸は残る。
・・・ため息・・・
後ろから、学園長に案内された綾波レイがくる。
今日は婚約者より秘書に近い。
「ありがとうございます。人材育成を支援していただけると思っていませんでしたから」
「I・S・Iの後援があれば、心強い限りです」
「いえ、まだ、碇シンジの個人資産による支援です」
「あ、本当に、ありがとうございます」
「トリニティ系施設ばかりだと、人権擁護団体の反発が強くなりますから」
「意欲、理想、熱情の高い方への投資は惜しみません」
高校卒業の門出を祝って、なんとなく慈善活動もしたり。
どこかの喫茶店
黒髪の優男と、蒼髪紅眼の女性が二人。
「シンジ君。ハネムーンは、月?」
「うん、アスカが宇宙行きを組み込めって」
「宇宙側を植民地にせず、将来的な衝突を防ごうと思えば、そうなるわね」
「ちょっと寂しいけどね」
「重力制御区画ができて住みやすくなったけど、まだ無機質が強いから」
「でも寂しい場所だと目移りしなくていいかも」
「目移りなんて・・・」
「いつまで、もつやら・・・」
「ハルカ。今の状況は?」
「それほど好転していない」
「そう・・・」
「私たちは、第1使徒アダム系で特異な存在よ」
「いうなれば、少数民族。数が増えれば、第18使徒リリン系人種と摩擦、軋轢、衝突も大きくなる」
「将来的に排斥される?」
「リリン系人種の度量次第ね」
「ゼーレ球も容認して融和主義的な方向に誘導しているけど、避難所は常に準備しておくべきね」
「綱渡りだね」
「秘密を知っている人達は、特殊な部屋でバウンドインパクトを迎えたから」
「精神感応世界でも曖昧な情報に過ぎない」
「レリエル系の人たちは?」
「レリエル系は、把握している」
「コアをバックボーンにしていないから、リリン系にとって、それほど、脅威にはならない」
「・・・・」
「一番の脅威は、第17使徒タブリスの渚カヲル君」
「そして、知られていないけどアダム・ゼルエルの二つのコアをバックボーンにしている碇シンジ君ね」
「・・・・」
「どちらも、ロンギヌスの槍に狙われたら終わりよ」
「うん、あれは怖い・・・」
「いまは、宇宙開発と平行次元世界に人の目を向けさせている」
「渚カヲルも、レリエル系も、トリニティとゼーレ球の対抗策として認知されて状況は悪くない」
「しばらくは大丈夫なの?」
「意識が外向きで、私達の数が少ないうち間はね。でも、敢えて事を荒立てることもない」
「味方とかは?」
「お金持ちが道楽や偽善で孤児や低所得者の学校や職業訓練所を作っても上手く行くものじゃない」
むすぅ〜
「反発があっても完全にトリニティに任せるか」
「もっと、善意に身を捧げられる人間」
「偽善に甘えることなく力量を証明できる人間に投資すべきね。シンジ君」
「・・・・」
「でも、目の付け所は悪くない。半分は恩知らずでも、半分は中立」
「10人に1人は味方になってくれる、100人に1人くらい優秀なはず」
「そういう人間が出てから投資すればいいわ」
「裏切られて、不正腐敗が摘発されて巻き込まれても、面白くないでしょ」
「ロボットを査察で付けたから、大丈夫だと思うわ」
「そういえば、キール議長も慈善投資で子飼いの逸材を見つけていたけど」
「シンジ君のお父さんも、その1人ね」
「・・・・・」
多数派に理解できない悩みが少数派にあった。
海岸の豪邸 昼下がりの午後
冬月副司令、碇シンジ、綾波レイ、惣流・アスカ・ラングレー、霧島マナ。
5人の共同生活は、合理性と惰性で続いていた。
豪邸だけあって、一緒にいても気にならない感じで、他にも別荘があるためだろう。
それぞれ、適当にやっている。
碇シンジと綾波レイが食事を終えて、くつろいでいた。
「食事を片付けますか?」
「うん」
「ええ」
「おいしかったよ。綾波」
「マナに負けている」
「そんなことないよ」
「そう・・・」
綾波レイ、霧島マナが料理を作り、香取が補佐と片付けを行うことが多い。
トリニティにとって精神感応世界から外れた二人の人類は、研究素材の一つ。
ロボットメイドの運用でトリニティの人間研究はさらに進んでいた。
精神感応がなくても表情、仕草、視線、言動、体温で何をたくらんでいるのかわかる。
“綾波、結婚式が終わったら、ど、どうしよう”
“碇君の好きにしていい”
“じ、じゃ 僕が夜、綾波の部屋に行くよ”
コクン
“いつでも好きなときに入って”
“やった♪”
“・・・・” ぽっ
“あ、綾波。タン塩ってさ。人間の舌に塩をかけたら、タン塩みたいな味になるのかな?”
“それは、やってみないと、わからないわ”
“や、やってみない?”
“ええ、いいわ”
碇シンジは、綾波が出した舌に塩を振り掛けると。
ぱくっ! 銜え込む。
ペロなめ ペロなめ ペロなめ ペロなめ ペロなめ ペロなめ ペロなめ
ペロなめ ペロなめ ペロなめ ペロなめ ペロなめ ペロなめ ペロなめ
もうすぐ、結婚式だというのにキスに口実がいるらしい。
心身感応の重複率0.0008パーセントの高さと、心の壁、ATフィールドの強さの関係だろうか。
一つになりたいという衝動と唯我独尊で他者を排斥する人間の矛盾に呆れる。
もっとも、トリニティのメルキオール、バルタザール、カスパーも、
それぞれ、パラメータの強弱で特性を持たせ、
矛盾する結論を衝突させながら結果を導き出している。
ロボットの聖人・賢者プログラムも、
それぞれのパラメーターで強弱を変えて個別化させていた。
トリニティやロボットの方が整理されて人間より矛盾が少ない。
自己矛盾や個別化による混乱は群れとしての活性化を作り、行動原理の動機を作ってしまう。
“どう? 碇君?”
“んん・・・違うような、似ているような”
“私がやってみるわ”
“うん”
綾波レイが碇シンジの舌に塩を振り掛けると、
ぱくっ! 銜え込む。
ペロなめ ペロなめ ペロなめ ペロなめ ペロなめ ペロなめ
ペロなめ ペロなめ ペロなめ ペロなめ ペロなめ ペロなめ
同じ事を何度も繰り返す。
惣流・アスカ・ラングレー、霧島マナが仕事から戻るまで続けるつもりなのだろう。
午後の紅茶を出して尋ねる。
「何をされているので?」
「いや、ちょっと、実験」
「私の舌も人間と、ほとんど同じ機能ですわ」
「あ、い、いや、綾波と僕だけで十分だから」
「そうですか」
大人しく引き下がると。碇シンジと綾波レイは、同じことの繰り返し。
小さいなチョッカイを掛けると盗られまいとして、二人の絆が強まる現象も確認されていた。
ぱくっ!
ペロなめ ペロなめ ペロなめ ペロなめ ペロなめ ペロなめ
ペロなめ ペロなめ ペロなめ ペロなめ ペロなめ ペロなめ
トライデント型アルファ機が大気圏へと降下する。
エヴァ系光質とタブリス系光質が混ざり合い、
就航時とまったく違う別モノになっていた。
地球連邦軍で唯一、空間転移できる宇宙戦闘艇は、価値の大きさだけなら、
レリアース2番艦 “飛龍” 、シュルツ艦と同等であり、
常軌を逸した速度で地球と火星を往復して帰還する。
渚カヲルと洞木ヒカリは、ダブルエントリーで幸せ一杯な気分で、ゆったりと宇宙港に着陸する。
「ご苦労だったね。二人とも」
「お疲れ様でした」
「もうすぐ結婚だね。おめでとう」
「ありがとうございます」
「碇家庭と一緒にやるのかい?」
「ええ、同じ日に時間を分けて」
「そうか、大変だな」
「いえ、結婚式は、どっちも100人ぐらいで、こじんまりですから」
「そうか、披露宴しか呼ばれなかったのはそれだな」
「済むません」
「まぁ 有名人だから寂しがる人間も出てくる、当人同士、結婚式ぐらいは、という気にもなるだろうね」
「ええ・・・」 苦笑い
使徒戦の英雄で、I・S・I財閥当主、碇シンジと、
バウンドインパクトによる人類補完計画原案遂行の綾波レイ。
第17使徒タブリス、宇宙開発の立役者の渚カヲルと、アルファ機専属パイロットの洞木ヒカリ。
二組の結婚は社会的な関心を呼ぶ。
社会的地位のある人間の冠婚葬祭に招待され参席するのは、有力者の誉れ、特権。
当然、参席者どうしで等級も分かれて人間模様も色々だったり。
主催者側の都合で人数を制限すれば、それだけ希少価値も大きくなり、
参席者も踏ん反り返りたくなったり。
呼ばれないと、眠れる森の美女に出てくる魔女と同じで、
僻まれたりで派閥の派生にも繋がるため、気を使ったり。
社会的地位に比例して冠婚葬祭が大きくなるのは当事者の好みより、妥協の結果だったりする。
レリアース2番艦 “飛龍”
山岸マユミは、アイドリング状態で “飛龍” の調整を繰り返していた。
レリアースは、虚数空間の向こう側にある平行次元世界を切り開く原動力で、
可能性の大きさで宇宙開発に並ぶ。
“飛龍” 艦内にも、トリニティの監視が及ばない、プライベートな場所があった。
艦の脆弱性に繋がる。
しかし、そういう場所がないとやってられないのが人間だったりする。
「ああ〜 綾波さんにシンジ君を取られちゃったな」
「マユミちゃん。ATフィールド通信で、こっそりシンジ君を誘惑していたでしょ」 朝霧ハルカ
「えへへ」
「ったく、碇君がパターン青でバレたら大変なのよ」
「反省してます」
「少数派だっていう認識が足らないから・・・」
「レリエル系はばれているし、そんなに脅威じゃないから」
「コアを背景にしている私達は、人類にとって、十分な脅威よ」
「使徒並みだものね」
「他に良い人見つけなさい」
「普通の人って、なんか、食指が動かないから・・・」
「それはあるわね」
「だいたい、ゼーレの人体実験で無理やり少数派にされたんだから、賠償モノなのに・・・」
「訴えてみたら、ゼーレ球は知的財産多いから、利益の一部が入ってくるかも、余生は安泰よ」
「いやよ、裁判なんて・・・」
「日本人って、波風立てるの嫌いだから、そういうの気が進まないのよね」
「でも、ゼーレに知的財産があっても、使い道ないような気がするけど」
「それでも、あるのよ」
「ゼーレ球に入った人が子孫とか、代理人を立てて資産運用しているし」
「それがゼーレ球産業を活性化させている」
「お墓代わりだけじゃないか・・・」
「中に入ると死なないから、人口に比例して累積で増えていくわね」
「死期が近付くと “俺は、そんなモノには入らない” とか綺麗ごと言ってた連中も入っちゃうのよね」
「ふ なぜ、人類補完計画なのか、わからない人間なんて、そんなものよ」
ゼーレ球は独立採算性で莫大な利益を上げようとしていた。
地球軌道エレベータ
アラエル要塞。
ゼーレ球は、時が満ちて進む儀式を眼の当たりにして思いふける。
人は、健康を保ち努力し向上し、
他者と競合、離合集散しつつ、自らの成功、栄耀栄華、立身出世を望む。
希望を持てる人間になれるか、希望を与えられる人間になれるかによって、可能性も変わる。
信じられる人間になれるか、信じられる仲間を見出せるかによって、人生も変わってくる。
成功率を上げるため共同で成果を上げようとしても裏切られることもある。
また常に付きまとう運・不運、疾病を遠ざけようとして、
幸・不幸・健康はままならなず人の不安は解消しない。
人間は、個に過ぎず。他者に依存する不安定な生活を避け、
自己完結な自由を求めて、一人者で生きようとしても摩擦と軋轢が生じる。
一人なら独り善がりで金に汚く妥協も小さくて済む。
しかし、敵が生じやすく、異物や異端者を排斥して衝突し、
出し抜こうとすれば、足を引っ張られる。
二人で生きようとすれば、刺激で寂しさが薄れるが摩擦や軋轢が生じ、
自己完結と自由が失われ、相手に人生の成功を委ね依存する事になる。
生物として対極的な男女が共に生きることを選択し、
愛が破壊されないことを望めば、互いに妥協を強いられる。
自己完結な生活も捨てなければならない。
二人が一緒になったとき考えるのは、制約からの解放で一人で自由になること。
二つの個性の軋轢と衝突で愛や創造が生まれるなら、
愛と憎しみ、創造と破壊は表裏一体で
愛と創造は、憎しみと破壊を内在させてしまう。
世界は、破壊と創造を繰り返して自己修正しつつ再構成しながら回る。
愛と創造だけの世界は存在するのか。
憎しみと破壊のない世界は成功するのだろうか。
信念もなく、信頼もなく、忍耐心もなく、経済力もなければ、愛情も育たない。
強い信念と信頼の絆で忍耐し、経済力で、愛情を保ち、幾多の障害を乗り越えた者。
甘く狡猾な罠を跳ね除けた者が得られる栄冠と栄光がある。
信頼を得られず、苦難を乗り越えられない愛情に価値があるだろうか。
目の前の碇シンジと、隣を歩く蒼髪紅眼のレイは、いくつものハードルを越えて絆を証明したらしい。
しかし、老練な思考で、まだ、始まりに過ぎないと考える。
「宇宙だと、春とか、あまり関係ないね」
「桜ぐらい生えているわよ。あんたの立場だと、宇宙でやらないと、進み具合が落ちるのよ」
「そうなの?」
「スペースノイドとアースノイドで戦争したい?」
「そ、それは嫌だけど・・・」
「シンジくん〜 本当にレイと結婚しちゃの?」
「うん、ありがとう」
「ぅ・・」 涙々
ダー!!
「おめでとう。シンジ君。随分、質素な結婚式ね」
エビちゅうで頬を紅く染めた女性がコップにエビちゅうを継ぎ足していく。
「結婚式は、ひっそりと。披露宴は、数に合わせてか・・・」
主役は、結婚式も、披露宴も、ひっそりとやりたかったらしく苦笑い。
偉くても、偉くなくても、世の中、思い通りにならない。
普通なら見逃されることも見逃されなかったり。
好むと好まざるとに関わらず、
相応のことをしないと後で面倒なことになったりするらしい。
碇シンジも、綾波レイも、天涯孤独の身の上の割りに成功している。
綾波レイのバウンドインパクトによるリリス・ゼーレの量産型エヴァ12体の破壊と、
人類補完計画による再構築がなければ、別世界になっていた。
惣流・アスカ・ラングレーに父の遺産を任せていなければ、いまのI・S・I財閥は存在せず。
政官財の統合もできず地球再建は遅れ混乱していた。
碇シンジが第17使徒タブリス 渚カヲルと友達になれなければ、
リリスを破壊しなければ、いまの宇宙開発もなかった。
いくつかの偶然が重なって、
いまの第18使徒系リリン世界は、人類補完計画原案 精神感応世界で続いている。
ゼーレ球のおかげで死の恐怖が薄れ。エヴァ光質の研究も進んでいる。
トリニティの統制で治安も良い。
宇宙開発の進捗も早く、平行次元世界への可能性も高く、
人類が自尊心を保てないことを除けば、前途は悪くなかった。
ゼーレの虚像。キールローレンツの映像が新しい夫婦の門出を祝福する。
個を捨て、群れを選択したゼーレ球は、人間社会の軋轢を解消する一つの手法だった。
どれほど唯我独尊で個性を尊び、
綺麗事で死を受け入れると反発する人間も余命、幾ばくもなくなれば、ゼーレ球行きを望み始める。
ゼーレ宮に入りたがるのは、老人ばかりでなく、
“ゼーレ球” より “ゼーレ宮” が一般的になっていた。
碇シンジと綾波レイは、旧態依然の夫婦という形を取って、ゼーレ宮に祝福してもらう。
不完全な群れの代表が、より完全な群集精神体に挑戦しているのに近い。
シンジとレイが選択したのは、自己完結な変化の小さい日常で一人で生きていくことでなく。
二つの個性が軋轢で衝突し、愛と憎しみ、創造と破壊を秘めた結婚だった。
似たもの同士でも男女は別の異性。
軋轢と衝突は大きく。愛と憎しみ、創造と破壊も相当なもの。
個人の生きるベクトルが違えば、相手に犠牲と強制を強いてしまう。
軋轢が大きくなれば家族も崩壊する。
二人の生きるベクトルが近ければ、犠牲も強制も小さく、共に生きやすかった。
“健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも”
“これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くしますか”
「「はい」」
“二人の婚姻に異議のある者は?”
・・・・・・・・
“それでは、誓いの指輪の交換とキスを・・・”
・・・・・・・
“碇シンジ、綾波レイの二人は、ここに夫婦として契約したことを宣言する”
オメデトウ
パチッ! パチッ! パチッ! パチッ! パチッ! パチッ!
披露宴
行ったり来たり、社交辞令。
行ったり来たり、社交辞令。
行ったり来たり、社交辞令。
行ったり来たり、社交辞令。
右往左往。右往左往。右往左往。
オメデトウ
パチッ! パチッ! パチッ! パチッ! パチッ! パチッ!
その夜、満天の月が淡い光を窓に投げかけていた。
「綾波・・・」
「碇君・・・」
「えい」
「あっ・・・」
・・・し・あ・わ・せ・〜・・・ × 2
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月夜裏 野々香です。
オメデトウ
パチッ! パチッ! パチッ! パチッ! パチッ! パチッ!
学生時代、もてなかった作者の怨念で、
碇シンジと綾波レイは、結婚まで、お預けさせられていました。
Hな描写は避けているので省略です。
無事結婚したので 『一人暮らし』 は終わりです。
第73話 『冬も・・・・』 |
第74話 『そして、春・・・・』 完 |
登場人物 | |||