第06話 1937年 『ユダヤ資本イスラエル艦隊』
鉄、石油、石炭などの資源消費量は年ごとに増えていた。
近代化は工業化であり、利益になる市場が重要になった。
大量生産するほど収益が増え、
余剰資本によってさらなる設備投資と市場支配が可能になった。
そして、競争が激しくなるにつれ、国内市場だけでは足りなくなり、
列強の産業を維持するには、海外市場に依存しなければならなくなった。
しかし、国際力学は冷徹だった。
国家を国家足らしめ産業基盤にとって血肉に匹敵する資源は鉄と、
鉄を動かす、エネルギー資源、石炭と石油に大別されていたが、
鉄鉱石生産は、アメリカが68パーセント。スウェーデンが17パーセントを占め
原油生産は、アメリカが62.6パーセント。ソビエトが10パーセント、ベネズエラが8.7パーセントを占め
日本国内では僅かしか得られなかった。
また、日本の国家産業である生糸産業では、国際相場に対応できず、
軍需産業の民需移行も容易に進んでいなかった。
産業に必要な基幹部品の多くが列強の工業力に頼っていたのである。
日本経済が人身売買で一時凌ぎしたとしても
非人道的な国家犯罪を行使する非文明国、三等国として見られており、
国際社会では後ろ指刺され、白眼視されるしかなく、将来性も閉ざされていた。
国際競争力が強く、利潤の大きな商品が求められていたものの
白亜の科学技術の工業化は、基礎工業力が足りず、
更なる年月を必要し、
いかなる名戦略家でも国家基本戦略を対外関係に依存しなければならなかった。
横浜
ドイツ海軍練習艦エムデン号が入港していた。
ドイツ諜報関係者
「日本の変化を調べろだと」
「変化ねぇ 何が変わったんだっけ?」
「大陸から退いただろう」
「臥薪嘗胆だろう。2度目だし珍しくない」
「軍部が主流を占め傲慢になっていた状態で退く事はないよ」
「2・26事件で軍の発言力が低下してるじゃないか」
「政治家と官僚の主導権争いで官僚が退いたんだろう」
「総論で政治家。各論で官僚は、どこの国でも同じだ」
「政治家は、金と票を集めて地位を保つことに躍起になるし」
「官僚は、学閥と権威主義と年功序列だろう」
「強弱で違いがあるだけだな」
「とにかく、不審な点が多過ぎるから、調べてくれ」
大阪帝大でサイクロトロン完成
赤レンガの住人たち
「本当に核兵器が作れるのか」
「起爆に必要な素材は入手している」
「実験はしないといけないよな」
「欧米に先んじてやるのはまずいと思うが」
「というより白亜の時代と大気組成が違う、爆発するのか」
「実験は小型原子爆弾で行うべきだと思う」
「戦艦の件は?」
「すでに交渉に入ってる」
「それじゃ 核兵器を開発保有しないとバランスが取れないぞ」
「だよね」
「運搬用爆撃機も4発機から6発機じゃないと」
「だよね」
「しかし、4発機となると・・・」
「白亜の技術は?」
「試作中だけど、我が国にすぐに流用できる工業力はない」
「自慢するな」
「ボーイング社が開発中のボーイング307を検討してくれるってさ」
「ダグラスのDC4Eがエンジンが強くて開発も早いって聞いたけど」
「自重はボーイング307が軽くてね。総合的にいいらしい」
「どこの情報?」
「ユダヤ情報だけど」
「商人に飛行機のことがわかるのかね」
「商人にわかる程度の内容ってことじゃないの」
32000トン級改金剛型 金剛、比叡、榛名、霧島
全長222m×全幅31m×吃水9.6m。136000馬力。31kt。16kt/12000海里
45口径356mm連装砲4基。55口径127mm連装砲12基。72口径40mm機関砲20基。
水上機4機
34000トン級改扶桑・伊勢型 扶桑、山城、伊勢、日向
全長216m×全幅33m×吃水9.21m。130000馬力。31kt。16kt/12000海里
45口径356mm連装砲4基。55口径127mm連装砲12基。72口径40mm機関砲20基
水上機4機
戦艦 伊勢 艦橋
ドイツ軍将校は、日本の高速戦艦8隻の威容に目を見張る。
ドイツは海軍再建のため日本に関心を持ち
日本もドイツ製工作機械を欲していた。
「砲塔と注排水システムなど、新品同様に改装しました」
「英米は戦艦の改装を見送り新型戦艦の建造を進めています」
「完成まで年月を要すでしょう」
「現状は、最高の艦隊と自負しています」
「実に素晴らしい。世界最強の高速戦艦部隊ですよ」
「彼らもそう言ってました」
「彼ら?」
「・・・・」
イギリス ジョージ6世戴冠式
巡洋艦 足柄
排水量13000t 全長203.76m×全幅20.73m×吃水6.37m
130000馬力。最大速35.5kt。航続距離14kt/7000海里。
60口径155mm連装砲4基8門。72口径40mm対空砲連装4基8門。
60口径25mm対空機銃16門。
533mm魚雷発射管2基8門。対潜爆雷投射機4基。
水上偵察機4機
日本の巡洋艦は、注目を浴びていた。
艦体の突起物が減らされ、無線とレーダーの類も剥き出しではなく、
箱物にまとめられていた。
何より、重巡ではなく、軽巡になっていたことだった。
砲力低下と砲数減少は、戦力減であり、
軍縮明けの列強海軍将校の目には、奇異に思われた。
27000トン級戦艦ニューヨーク
アメリカ海軍将校たちが双眼鏡で足柄を覗き込んでいた。
「日本の巡洋艦は、随分、大人しくなったようだが」
「聞いた話しだと、潜水艦、レーダー、ソナーに力を入れているようだ」
「日本人のことだから巨艦巨砲に走ると思ったんだがな」
「少ない予算で張り合っても勝てないと気付いたんじゃないか」
「しかし、対潜爆雷も搭載しているとはね」
「当然、ソナーも装備しているということだな」
「小回り利かないだろう」
「小回り利かなくても、水上機があれば最短距離で潜水艦の頭上に行ける」
「日本の巡洋艦は、対戦艦だと思ったんだがな」
「万能艦は、非効率なんだが日本人は分からないようだ」
「ブラジル、アルゼンチンと同じだろう。金が尽きた」
「しかし、大砲減らして、小さくするってどうなんだろうな」
「居住性が良くなってるから、航続力は伸びているはずだ」
「じゃ 通商破壊艦か?」
「可能だろうな」
ヒンデンブルク号爆発事故
北海道美唄町で大火(629戸焼失)
宮城県志津川町で大火(340戸焼失)
日本 総理官邸
「火事が多いけど、放火だよな」
「もう少し、減税した方が良いかもしれません」
「鋳造物と繊維関係が伸びて、景気が回復していたはずだが?」
「自殺者が9000人近いですが」
「社会資本を増やしても、吸い上げる奴が吸い上げる」
「貧困層の総量は変わらないのでは?」
「積極財政で雇用を増やすのが良いかと」
「大量の紙幣がいる金本位制に復帰できなくなるな」
「このまま、管理通貨制度でいくしか」
「不換金の紙屑で外国製の工作機械と消耗品をどうやって買うんだ」
「多少損しても国民の雇用で生産力を高め、輸出を増やす事で景気を回復するしか」
「工業力が低いのに生産性を高められるわけがなかろう」
「例のモノは?」
「状況は改善されているようだがね。年月がかかりそうだ」
「総理。もう少し、国防力が必要かと思うのですが」
「現状でも15パーセントあるじゃないか」
「しかし・・・」
「政治家、軍官僚、財界、知識階層が地位名誉財産がらみで門閥化が進んで困るよ」
「族化すると近視眼で我田引水するし馬鹿になるからな」
「「「「・・・・・」」」」
「し、しかし、半島民の人身売買は、日本史にとってマイナスです」
「アメリカは、人身売買禁止法を検討してるとか」
「正直。国内の不穏因子は取り除くべきだね」
「なんにせよ。損しても欧米の特定産業と組んで足場を築く」
「足場を築いたら戦争回避の情報戦を繰り返すしかなかろう」
「民需系資本が産業へのテコ入れを求めます」
「それと、元々 国民は、公共福祉の要求が強いですから」
「まぁ どいつもこいつも予算を狙う泥棒みたいなものか」
「まったく・・・」
日本でダム、鉄道、港湾、道路、住宅建設など公共工事が増え、
紙幣が増刷されていく。
上海
ユダヤ人たちが集まって海上を見上げていた。
「本当にこれを?」
「はい、ですので、ユダヤ資本とは・・・」
「わかった。いくらでも貸そう」
アメリカ合衆国は二つの側面を持っていた。
一つは資本主義で連邦、保守、国権、共和党で代表され
もう一つは民主主義で州、民主、民権、民主党で代表される
そして、資本主義勢力の代表は、東部エスタブリッシュメントの資本家層だった。
資本家層も一体でなくユダヤ資本。南部ディキシー系資本が隠然と存在し、
そして、新興の西部資本家が台頭しつつあった。
どちらにせよ。
金融支配を根幹とする資本家層自体は少数派のマイノリティーでしかなく、
彼らは支配が至高のモノであり、
対外戦争すら支配力を強める手段でしかなかった。
ホワイトハウス
大統領は、怪訝な面持で報告書に目を通していた。
日本は、ワシントン条約失効後、戦艦の建造を進めていない。
日本の国家財政を考えるなら、アメリカ人は、そうするだろう。
しかし、日本人は、アメリカ人でなく、日本人であり、
日本人であるなら戦艦を建造するはず・・・
「参ったな。国際人身売買禁止法は廃止だよ」
「ユダヤ人は歴史上初めて、軍事力を手に入れたわけだ」
「艦隊の補修は日本、アメリカ、イギリス、フランスですが、日本は手放せませんね」
「日本は、代替戦艦を建造していないのかね」
「建造しているのは、潜水艦のようです」
「日本は、それほど優れた潜水艦を建造しているのかね」
「潜水艦は、第一級の軍事機密ですよ」
「しかし、日本の潜水艦技術は欧米が教えたものです」
「我々の技術の延長線を超えるものではないはず」
「不可解だな」
「最大の不可解は、日本が満州権益から退いたことでしょう」
「種明かしするなら日本の政官財が金のなる木を軍需から人身売買に変えただけだ」
「ブラジルとフランス植民地に輸出してるようだが利益になってるのか」
「一番おいしいのは半島の分配利益ですよ」
「なるほど」
「しかし、軍拡と違って、墓穴を掘りにくい」
「ソビエトといい、日本といい、頭にくる連中だ」
「ソビエトに対しては、どうしたら・・・」
「平並線は日本に売った方が日ソ戦争を誘発しやすかったのでは?」
「ふっ それも考えたが、日ソ戦争よっり独ソ戦争と中ソ戦争を演出したい」
「では、満州は・・・」
「残念だが日本もソビエトも対米戦を避けようとする傾向が強いようだ」
「戦争になってから介入するしかないだろう」
「自由を守るため、民主主義を守るためとか、大義名分をつけて」
「そうしなければアメリカ国民は、軍需産業のために戦争させられると気付く」
「「「「・・・・」」」」
「しかし、日本が戦艦8隻をユダヤ人に売却するとは」
「中古戦艦とはいえ、20億円分の鉱物資源と石油と交換だろう」
「日本は何を考えてるんだか」
「ユダヤ資本にとって20億は大したことはない」
「戦艦の維持で税金は使えないと思うぞ」
「即金が無理でも海外利権は、グレーの部分が大きいですからね」
「じゃ 利権分けで?」
「日本もやるね」
「日本は、ドイツの反ユダヤ政策を利用し、ユダヤ資本を取り込もうとしてるのではないか」
「ユダヤ人は資本家で強くても軍として、どうかな」
「だいたい、商人に戦艦など維持運用できまい」
「商人ではないよ。厳密にいうと紙幣を印刷してる連中だよ」
「我々アメリカ国民は、ユダヤ人が刷ったお金で踊らされてるわけだ」
「だから日本はドイツでなく、ユダヤ資本に売ったのだろう」
「ユダヤが海上軍事力を得たことで、反ユダヤ勢力は一気にドイツ側に傾くな」
「いま、極東の海軍は空白地帯だ」
「付け入ることができるのでは?」
「あまり露骨なのはまずい」
「それにユダヤは、日本を補修地として維持するはず」
「国際人身売買法が凍結させられたのもそれだよ」
「戦艦の半分は、ドイツに売ると思っていましたが」
「ユダヤ人の方がお金持ちだし、海外利権は高いからな」
「まぁ 上海のユダヤ人は25000人を超える」
「ドイツの迫害が進んでいるので、さらに10万は脱出するかもしれませんし」
「ま、ドイツ系ユダヤ人なら戦艦くらい動かせるだろう」
「それに戦艦の売却で、世界中のユダヤ人が浮足立ってる」
「ロスチャイルドどころか、ロックフェラーまで反日から親日に変わってる」
「戦艦は魅力的だし、バラバラのユダヤ人を結集させやすいからな」
「しかし、ユダヤ人は守るべき国土も国民もないが」
「「「「・・・・」」」」
「ったくぅ、ユダヤ資本が非キリスト教徒の日本人とユダヤ人が組むのなら叩き潰してやりたいが」
「「「・・・・・」」」
「むしろ、ユダヤ資本に利用された日本人によって、キリスト教国家のロシア帝国が打ち破られ」
「世界大戦でキリスト教国家同士が戦わされた気がするがな」
「「「・・・・」」」
「そして、今回も日本を巻き込んでキリスト教同士が戦わされる羽目になりそうだ」
「「「・・・・」」」
「そういうのは避けたいが・・・」
「だが日本が戦艦をユダヤ資本に売るのならそれはそれで・・・」
「ふっ 今度は、日本が策士側に回ったわけか」
「誰が黄色い猿に入れ知恵したんだ?」
「自分で考えたんだろう」
「まぁ 日本が当座の資源を手に入れたいのなら適当な策ではある」
「ユダヤ資本はどう出るかな」
「「「「・・・・」」」」
ソビエトは北樺太と交換に南満州鉄道と遼東半島を回復し、
アメリカ資本が並行線ごとソビエトに売却して満州から退くと、
極東ソビエト軍は北洋軍閥を押さえ、満州全域を軍事支配していく。
ソビエト軍と北洋軍閥の緊張関係は高まり、
スターリンは、満州支配を強めようと極東ソビエト軍を南下させ、
南京を足場にしていた蒋介石は、国民軍を北京周辺にまで北上させていた。
北京市の南西15km
盧溝橋は1192年に北京と内陸南西方を繋ぐ動脈として建設されていた。
全長266m幅11mの石橋の欄干に501基の獅子像が並び文化性が高かった。
そういった文化背景を余所に野卑で理不尽な勢力争いが行われ、
極東ソビエト軍と国民軍は示威行動のため、軍事境界線に戦力を増強していた。
ソビエト軍将校たち
「蒋介石め、西安事件の約定はどうなってる」
「日本は南満州から退いて、アメリカも並行線がら退いてる」
「いまさら抗日同盟などないだろう」
「ちっ 肩透かしで最前線で国民軍と対峙させられるとはな」
「戦車部隊なら容易に戦線を突破できますよ」
ソビエト軍は、5.9t級T18軽戦車、9.4t級T26軽戦車、
11t級BT2快速戦車、28.9t級T28中戦車と機甲師団を軍事境界線に投入し、
中国国民軍を圧倒していた。
「スターリンは辺境での大戦争を望んでいない」
「まぁ 4000万の粛清同志が満州に定住する予定だ」
「戦争は世代が変わってからでいい・・・」
!?
バァーン
中国側から銃声が鳴り響くと、
中ソ戦争(1937年〜)が始まり、
ソビエト軍は、中国内陸部へと侵攻した。
日本の反応は早く、
国民党から救援があると、日本は戦訓欲しさに武器弾薬を売却し、
青島港
日本の7.4t級95式軽戦車が降ろされていく、
「89式中戦車と95式軽戦車は負けてるそうじゃないか」
「新型の97式中戦車でも負けそうだな」
「国民軍だからじゃないのか」
「かもしれないが、外交武官に言わせればソビエト戦車の方が概ね強いそうだ」
「その上、数で負けてる」
「そして、96式戦闘機と97式戦闘機は、ポリカルポフI16戦闘機の迎撃に成功している」
「・・・・」
「つまり、航空戦力では互角以上に戦えて、戦車では負けてるということだな」
「・・・・」
「そうそう、中国は、日本への資源売却と市場開放に応じたらしい」
「ふっ 北風と太陽か・・・」
「大陸全部が赤化したらどうするんだよ。危ない綱渡りと思うよ」
「構わないよ。中国人もロシア人も極悪だから好きなだけ戦争すりゃいいんだ」
「俺たちが血を流す必要はないさ」
「それはそうと、ドイツも中国側に武器輸出したがってるようだが」
「まぁ 当然といえば当然だろうな」
「これで日本経済は持ち直せる」
呉
旧式艦艇が十数万トンが解体されていく、
そして、3000トン級白亜21型潜水艦が建造されていた。
艦橋
「条約切れで、一周り大きくなったな」
「ええ、しかし、艦政本部も随分思い切った海軍大綱を進めましたね」
「以前の伊号とは、次元が違うし、それだけの性能はあるな」
「ソナーが前後左右上下についてますからね」
「探知圏が全く違いますし、10km先の標的をソナーで探知できるとなれば・・・」
「それにディーゼルの一に対し、モーターが二倍もある」
「合理化で居住性も良いですよ」
「これなら戦艦の建造を後回しにしたくなるか・・・」
「ところで白亜号型の深度300mは、本当なんでしょうか?」
「さぁな。しかし、欧米列強の水深100mは、怪しくというか、嘘だな」
「ですよね。日本は、トン数1.25倍で列強と互角ですよね」
「だよな。上は知らんが、現場はそう思うよな」
「「「「・・・・・」」」」 うんうん
ベネズエラ沖 北方70km
オランダ領キュラソー島(448ku)は、全長59kmのくびれた細長い島だった。
ベネズエラで油田が採掘されると
ユダヤ資本ロイヤル・ダッチ・シェル社が石油精製所を建設していた。
そして、新たに巨大ドックと飛行場が建設されつつあった。
日本人たち
「どうやらユダヤ国際資本の懐に入り込めたかな」
「さぁて、どうかな」
「だが造船所と飛行場建設に日本企業が入札できたのは大きいだろう」
「それにオランダに97式戦闘機と95式軽戦車を輸出できたし」
「ロイヤル・ダッチ・シェル社と通じることができるなら中東油田も・・・」
「ユダヤ人が欲してるモノは、我々が持っていて、彼らが持っていないモノ」
「安住することができる主権と国土と国民だ」
「そして、ユダヤ人は、日本人が持ってないものを持ってる」
「国際的なネットワーク。利権、資本、資源・・・」
「ユダヤ人は、このキュラソー島を狙ってるのかな」
「この島はオランダ領だし、本命はパレスチナだろう」
「ユダヤ人をユダヤ人たらしめてるモノは、流浪の民であることじゃないのかな」
「それに、安住の土地を得た瞬間に力を失うかも」
「ふっ 朝鮮人に近いかも」
「あははは・・・」
「ユダヤ人は、ドイツにオランダを占領させてもいいと思ってる節もあるし」
「狙いは、ユダヤ人を迫害するキリスト教世界の破壊か」
「基本的に無地主の拝金主義者みたいなものだ」
「戦争で地主と家主の保守層を弱体化させて、企業支配を強めたいのかもしれない」
「あわよくば、インドネシア利権も狙える」
「金融支配でユダヤ人のセンスに勝てそうにないかな」
「どちらにせよ。ユダヤ人に主権と国土と国民を建国させるふりをすれば資源が入りやすい」
「確かに」
「それに、日本の封建的な体制で、ユダヤ人に勝てるとは思えないね」
「なんにせよ。日本は資源のない国。資源を有する国と対等な関係など望めない」
「大国の不和や脆弱な部分を付いて取引するしかない」
日本はユダヤの利権と資源欲しさで、
ルベン(金剛)、シメオン(比叡)、イッサカル(榛名)、ゼブルン(霧島)、
ダン(伊勢)、ナフタリ(日向)、ガド(扶桑)、アシェル(山城)をユダヤ資本に売却し、
国際ユダヤ資本は、戦艦8隻をパナマ船籍で取得してしまう。
ニューヨーク沖
ルベン(金剛)、シメオン(比叡)、
ユダヤ戦艦の出現は、アメリカとアメリカ国民をして驚かせた。
幾つかの企業は国際間の取引を行い、
国家も法人の海外権益を保障していた。
そして、国際企業は国境の枠を超えて収益の一部を国権の及ばない国外に避難させていた。
この戦艦群を購入させた資本は、土着国家が介入できない国際資本だったのである。
しかし、多くの人々が、
法人戦艦が出現するといった現象にお目にかかれるとは夢にも思っていなかったのだ。
マスコミが戦艦に乗り込むと取材が始まる。
「艦長。この艦隊の目的はなんでしょうか?」
艦長は、元アメリカ海軍士官のユダヤ人だった。
「国際自由貿易を保護する艦隊ですよ」
「「「「・・・・」」」」
「大恐慌で国際自由貿易は縮小してると思いますが」
「なぜ、この状況で艦隊が創設されたのでしょうか?」
「これからは、アジアとの取引が増大します」
「ですので投資と考えていただきたい」
「この艦隊で、中ソ戦争に参戦するのでしょうか」
「いえ、自由貿易が阻害されない限り、ユダヤ艦隊が参戦することはありません」
「日本との関係は?」
「現在、友好的な関係を保っていますし」
「ユダヤ艦隊の補修地のひとつです」
「乗員は日本人が多いようですが」
「今はそうですが、いずれ、ユダヤ人将兵によって運行されるようになるはずです」
上海
ユダヤ人街 サッスーン・ハウス
「中ソ戦争か」
「上手くいったな」
「本当はフランスも引き摺り込みたかったが」
「これで、アヘンだけでなく、武器弾薬も売れる」
「日本が一番喜んでるようですが」
「ふっ 零細手工業如きの国が」
「日本が工業力を動かそうと思えば、アメリカとイギリスへの発注も増える」
「それに我々の資源を大量に購入して消費しなければならない」
「結局、我々の懐が膨らむのさ」
「ソビエト軍が上海まで来ることはないでしょうな」
「蒋介石と華僑は、我々か欧米諸国から武器弾薬を買って国を守ろうとする」
「それに日本とアメリカも反発しているし」
「ソビエト軍とフランス軍ががんばったところで上海まで届かんよ」
中ソ戦争は拡大し、
日本だけでなく欧米諸国も武器弾薬を売却していた。
欧米諸国は距離が遠いことから採算が低くく、
供給力に比べ需要が小さいことから景気回復で足りなかった。
一方、元々、供給力の小さな日本にとって中ソ戦争需要は天祐以外の何物でもなく、
フル稼働で工場を動かしてもまだ需要に応えきれなかった。
日本は利益拡大のため電力と工場拡大と工作機械と優れた工員を欲していた。
赤レンガの住人たち
「欧米諸国はユダヤ艦隊の出現に慌ててるらしいぞ」
「戦艦だけじゃ戦えないだろう」
「軽巡と駆逐艦も売るんだろう」
「旧式化してるからね」
「海軍が剥れてたぞ」
「ぶっちゃけ、日本は潜水艦、航空部隊、陸戦隊だけで守れるよ」
「戦艦の半分は、ドイツに売ったらよかったのでは?」
「金と資源が欲しいんであって、工業製品は二の次だよ」
「それに核兵器も製造するし」
「技術的な向上は、見込めるんだろうな」
「多少ね」
「戦力は?」
「そりゃ 数はともかく、質は圧倒的だよ」
「だといいけど」
「海外利権もだけど、20億円分の金、工作機械、資源が転がり込んだし」
「ユダヤ資本の対日投資も増加してるし」
「中ソ戦争で武器弾薬の発注は続いているし」
「産業のテコ入れが進むなら、景気は回復するよ」
「中ソ戦争が続けば、兵装も一新できるだろう」
「日本経済がユダヤ資本に支配されたりしないだろうな」
「あのなぁ 日本は、海外の石油、石炭、鉄鉱石に依存しなきゃ経済が成り立たない」
「しかし、経済支配されたくないは土台無理だろう」
「最低限、プライドは守りたい」
「いや、人身売買でプライド捨てるから、最低限、実利を守るべきだろう」
「それは記憶と意識から消したい」
「まぁ 欧米の軍事的な脅しが通じなければ大丈夫だろう」
「相手がそう思ってないだろう」
「相手がそれに気付いたときは、戦争したときだろうな」
39120トン級改長門型 長門、陸奥
全長225m×全幅34m×吃水9.5m。
82000馬力。速力27kt。航続距離16kt/10000海里
45口径410mm連装砲4基。60口径120mm砲20基。
72口径40mm機関砲40基。水上機4機。
バルバス・バウ(球状艦首)を採用し、ソナードームが置かれていた。
また艦橋周囲にフェーズドアレイレーダー置かれ、
真空管が並べられていた。
戦艦 長門 艦橋
政府役人と海軍将校
「せっかく改装した戦艦を8隻をユダヤ資本に売るとは、嘆かわしいな」
「造艦族が泣いてるよ」
「潜水艦があるじゃないですか」
「それだって縮小気味だ」
「産業は回復傾向らしいですよ」
「国が滅ぼされたら産業も終わりだろう」
「ソビエトは、中国と戦争中で船がない」
「アメリカは、日本から遠い」
「イギリスは、もっと遠い」
「どこの国も、日本に上陸してくる心配はないし」
「景気がいいから共産化の心配も小さい」
「いったいどこの馬鹿が攻めてくる」
「だといいがユダヤ人はどうも信用できない」
「連中に売った戦艦部隊が帝都を砲撃したらどうする」
「その時は航空機でも潜水艦でも戦艦を撃沈できる」
「長門が潜水艦から受けた探信の数は100を超えるし」
「実戦なら長門は航空機と潜水艦によって50回以上撃沈されてる」
「「「「・・・・」」」」 憮然
「ユダヤ資本は、エフライムとマナセが残ってるので、長門と陸奥も欲しがってますよ」
「海軍の威信というモノがあるでしょうが」
「もう、戦艦で威信は守れんだろう」
「航空機や潜水艦の脅威を知っているのは日本だけですよ」
「そんなのわからんだろう。潜水艦だって、やられる時はやられるもんだ」
「しかし、潜水艦の外壁と内壁を防音ゴムで覆うだけで発見が困難になるとは・・・」
「だいたい、ユダヤ人とは、互いに利用してるのですから信用しなければいいですし」
「ユダヤ人は、反ユダヤ人に囲まれた少数派の商人に過ぎませんし」
「キリスト教世界は、ユダヤ人を黙殺したがってますから」
「反ユダヤ人に殴られても簡単に殴り返せない」
「日本は、ユダヤ人を支援しながら、利権分けを狙えばいいですし」
「だが日本はユダヤ人を支援したことで、キリスト教世界を敵に回してるぞ」
「元々 日本は、非キリスト教ですから、キリスト教にしたら目障りな存在ですよ」
「キリスト教圏の方が圧倒的なんだぞ」
「それはユダヤ資本と組まなくても同じでしょう」
呉海軍大学の分校
世界中からユダヤの青年が集まり、訓練が行われていた。
欧米諸国は、ユダヤ人の武装化を嫌い、ユダヤ人将校の道を閉ざしていた。
日本は、ユダヤ人の軍学校編入を認め将校への道を開いてしまう、
ユダヤ人は国籍と言語を超えて、日本に集まってきた。
日本人教官たち
「ずいぶん雑多だな」
「東欧系アシュケナージ。西欧・オスマン系スファラディ。中東アジア系ミズラヒ」
「ほか地域別で多数」
「地域派閥があるのか」
「いや、むしろ、財閥派閥」
「北アメリカを足場にしたロックフェラー財団、モルガン財閥、メロン財閥と」
「ヨーロッパを足場にしたロスチャイルド系の対立が強いな」
「言語もバラバラだな」
「英語、ドイツ語、ロシア語から共通言語のヘブライ語にしていくらしい」
「戦艦部隊がユダヤ人の象徴になってしまったんだろうな」
「ユダヤ資本発注の大型浮きドックの建造で造艦族も喜んでるようだ」
「ひょうきんだな」
「しかし、キリスト教圏の反発が強まってる節もある」
「どうやら、キリスト教圏にとってのユダヤ人は、日本にとっての朝鮮人みたいなものだろうな」
「確かに朝鮮人の将校の道は閉ざしたいな」
「しかし、戦艦の代艦が潜水艦とは嘆かわしい」
「次の潜水艦は、潜航深度400mを超えるそうだ」
「「「「・・・・」」」」
国際連盟ジュネーヴ
常任理事国イギリス、フランス、日本、
国際連盟は縮小し、実行力を喪失させていた。
そして、国際連盟の実行力としてユダヤ艦隊が浮上してくる。
「縮小気味の国際連盟と、突然、国際社会に湧いて出たユダヤ艦隊の補完か・・・」
「ユダヤ艦隊を国際連盟の協力機関とするのは相互補助で悪くない考えだ」
「けっ ユダヤ人め。どこまでも自分の懐を痛まないような方法を考える連中だ」
「拝金主義者だからな。人を騙し、盗み、殺してでも奪おうとする」
「あんな奴らが国を支配するようになったらコミュニティは破壊されるし」
「拝金主義で社会正義が失われるし、倫理と法律が破壊される」
「社会全体が詐欺と暴力が支配する無法地帯になってしまうよ」
「それで、反ユダヤが?」
「日本人ってやつは、ユダヤ人を全く知らないんだな」
「ユダヤ人と歴史や生活を共有したことがないので」
「幸せな民族だな」
「「「「「あはははは」」」」」
「お前らは日本人は国内企業株を売らず」
「日本人はユダヤ資本から金を借り、海外利権を得て、資源を購入できた」
「これが、どれだけ幸運なことか知らんのだ」
「アメリカじゃユダヤ人が紙幣を印刷して、好きな時に増刷したり、減刷できるからな」
「いくら非ユダヤ資本が儲けても増刷で資産が半値にされ、資産を売ると元の価格に戻る」
「あとはその繰り返しだ」
「実際、まじめなドイツ人が怒るのも無理ないからな」
「・・・・」
「と、ところで、欧州のロスチャイルドとアメリカのロックフェラーの関係はどんなものなのです?」
「ああ・・・陸軍と海軍の関係だろう」
「まぁ そんな感じだな」
「そ、それは、なかなか深刻な・・・」
「しかしまぁ 連盟の監視員をユダヤ艦隊に置けるのなら悪くない」
「まぁ ユダヤに対する一定の縛りになるし、動きを牽制できる」
「しかし、日本はよく、戦艦8隻をユダヤ資本に売却できたものだな」
「世の中、金と資源ですからね」
「日本海軍の代艦は戦艦でなく、潜水艦と聞いてるが?」
「トン数当たりの価格は高いですが、乗員が少なくて、維持費が少なくて済みますから」
「余剰人員は?」
「半島の土地が空く予定ですし、元々 徴兵でしたから」
「民間の燃料消費と鉄材が増えて、軍への割り振りが利かなくなったのだろう」
「確かに、この10年で日本の資源消費量は10倍近く増えましたからね」
「「「「・・・・」」」」
97式爆撃機
自重6070kg/全備重10610kg
全長15m×全幅20m×全高5.3m。翼面積55m²
1600馬力×2。 最高速度500km/h。航続距離2400km。
G7.7mm機関銃×2。爆弾1000kg。乗員3名
白亜の人たち
「これがガトリング機関銃か・・・」
「あっという間に弾がなくなるだろう。役に立つのか?」
「回転速度は調整できるよ」
「しかし、戦闘機に狙われたら、最高速で撃ち尽くすだろうね」
「そりゃ困る」
「しかし、当てられる時当てないとお当たらない。戦争なんて、そんなもんだろう」
「魚雷は?」
「格納できるよ」
「それは、良かった」
「音響魚雷も可能になりそうって?」
「だいたいの構造はわかるけど、精度がね」
「もう少し、産業の裾野を近代化させてたら良かったのに」
「レーダーやら音響なんてラジオ会社やレコード会社の技術だろう。無理言うな」
「それでも予算掛けたから結構、進んだけどな」
「白亜のデーターを見ていると、そう思えない」
「兵器としての完成度が違い過ぎるからね」
「現在の工業力では、製造不可能なモノばかりだ」
「あと、どれくらい産業を底上げしたら製造可能になるんだ?」
「「「「・・・・」」」」 ┐(−−)┌
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月夜裏 野々香です。
残った戦争は、中ソ戦争でしょうか (笑
これは押さえなければ・・・
あと、ユダヤ資本と××で国際利権戦争です。
そして、朝鮮人は、大西洋高麗連合を建国できるでしょうか (笑
第05話 1936年 『狐と狸の・・・』 |
第06話 1937年 『ユダヤ資本イスラエル艦隊』 |
第07話 1938年 『来た。見た。×った』 |