月夜裏 野々香 小説の部屋

       

仮想戦記 『白亜の遺産』

 

 第12話 1943年 『高千穂は抽選制衆議院ということで・・・』

 明治維新後、都道府県制が作られ、

 学閥とキャリア(国家I種)が補完していく

 古くは奈良時代に誕生した律令制で

 中央から派遣した役人で地方を支配した構造だった。

 守護は地方で足場を作り、中央支配構造が弱くなると豪族、地頭化し守護大名となり、

 ひとたび中央で乱が起これば、地方分権が強まり、

 地方分権の最たる戦国大名となって、中央集権を瓦解させてしまう。

 学閥を基盤としたキャリアシステムが

 国家の支配構造を構築する上で重要な要素になるものの

 支配維持を主眼とするあまり権威主義と年功序列な保守構造が作られ、

 非新規性と停滞に繋がった。

 むしろ、新規性、独自性、競争性は非キャリアと地方分権から発生しやすく、

 半島支配と高千穂(ナイジェリア)支配など、支配地域拡大に伴って亀裂が作られていく、

 州化は、地域の独立性の強化に繋がる守護大名の出現であり、

 戦国大名化していく恐れさえあった。

 半島移民はその恐れが強かったものの、まだ本土に近く、

 最大最強の地方分権が高千穂(ナイジェリア)入植と投資といえた。

 いくら学閥支配を強めようとしても地域の利権強大で、将来的な現地化は避けられなかった。

 既に半島の新学閥は独自性と自立性を求めて動き出しており、

 東京学閥群でない、京都大学を中心とした地方学閥群の支援も行われていた。

 要は競争を望まない権威主義な中央と、

 競争を望む自由主義な地方のポスト争奪の人脈戦であり、

 キャリアと非キャリアの権力争いでもあった。

 いったん支配権が崩れれば、派閥は乱世となり

 人脈の切れは世襲の弊害に繋がり、

 派閥員数が安定し係争が鎮静化するまで数世代を要した。

 官僚が良心的で優秀な他学閥や非キャリアな人材を選出できず、

 歪な支配体制の元凶、醜悪な隠蔽体質の温床にもなった。

 支配地拡大は地方の州化に繋がり、

 分権は歯止めが利かず中央集権の減退につながってしまう。

 もっとも財閥系の金脈と堂上家など閨閥絡みのポスト乱入も強まり

 中央集権的な学閥支配も崩れていく趨勢にあった。

 とある赤門閥な学生たち

 「また人脈が切れて京都閥にポストを取られたらしいよ」

 「だから朝鮮人の輸出に反対したのだ」

 「半島閥も大きくなってるしね」

 「ったくぅ もっと中央の権威を強めて欲しいよ」

 「学閥なんて偉そうにっても正しい間違いじゃなくて学閥を守る権威特権だけだし」

 「権力構造と御用学者の相互権威補完の関係だね」

 「うるさいわい!」

 「朝鮮人を新エタ・ヒニンにして、庶民の満足度を高めれば良かったのに」

 「でも金になったらしいし、自作農が増えて・・・」

 「自作農なんか、近代化の邪魔だ。無くしてしまえ」

 「そうは言ってもな。俺たちの地位のための、捨て石にされるの嫌がってるし」

 「だからって俺たちの地位を奪われてどうする」

 「大学出て、どこかの商店で丁稚しろってか」

 「ナイジェリアのどこかの村の行政官があるらしいけど」

 「なんで死ぬ気で勉強して、原始人の住民票を世話しないといけないんだ」

 「そういうこと言ってると、また、国賊養成大学とか言われるぞ」

 「どこかの利権に入らないと、俺たちおまんまの食い上げだ」

 「軍閥は? 貧乏でも安定してる」

 「軍艦を輸出しやがったからな」

 「そういや、新型艦は作らないの」

 「そういや、何年か前に創設された白亜大学閥が・・・」

 「またあそこかよ。あそこに、何があるんだ」

 「各大学から優秀な教授と学生ばかり引き抜いて作ったらしいけど・・・」

 「隠蔽ばかりしやがって、わけわからん」

 「全寮制だし。噂じゃ入学と同時に守秘義務がかかってるらしくてな」

 「地方議員どころか、国会議員も校舎から追い出したってよ」

 「と、特高だって、そこまで秘密主義じゃないだろう」

 「さぁ あそこ、特高が用務員って噂もあるからな」

 「この前の外資系支社のボヤ騒ぎも白亜大学に手を出した警告だって噂もあるし」

 「「「「・・・・」」」」

 

 

 白亜工業

 開発中だった大和の主砲制御盤に匹敵するネジ盤が幾つも重なっていた。

 数百人が歯車を動かした結果が工作機械と直結し、

 上部から降りたドリルに対し、台座の底の軸を変化させ、

 頑丈な素材のアルミの塊を全自動で削っていく、

 関係者たち

 「意外と綺麗な曲線になるじゃないか」

 「できるものなのですな」

 「この工場は機械式5軸NC加工工作機械1基、機械式3軸NC加工工作機械4基あります」

 「低級中級部品なら3軸でも十分ですが、民生品で流すと欧米に発見されやすくなりますからね」

 「エンジン、スクリューなど複雑な曲線を描く加工は5軸になるでしょう」

 「全部、自動なのかね」

 「一度、歯車を決めてしまえば自動でやれますよ」

 「まったく、これだけの機械を砲弾が当たるか当たらないかわからない主砲塔や大砲を動かしていたとはな」

 「まぁ 戦艦を売った方がいいといった時は、海軍将校もむけれてましたけどね」

 「これだけのモノを自動的に作ってくれのなら悪くない。十分、元が取れる」

 「あのバカ教授どもが、何が戦艦の主砲制御は百発必中だ」

 「バレバレの嘘の論拠を権威で信じさせようとするからなおさら頭に来るわ」

 「最近は203mm砲主砲制御は最低限の安全保障だと」

 「ふっ」

 「今は瑞風用プラット・アンド・ホイットニーR1830Jと一式用ライトR1820Jサイクロン」

 「D520用の液冷V型12気筒イスパノ・スイザYJです」

 「ジェットエンジン、スクリューなど機密性の高い物も、これでやれるでしょう」

 「全部、作れるのかね」

 「最初の幾つかの歯車で製造品を決めれば残りの歯車は自動的に」

 「すごい・・・」

 「なんか、インチキしてるみたいで気が退けるわい」

 「もっとも最初の合わせは数百人がかりで数か月から1年を超える地獄ですし」

 「新規開発は皆目・・・」

 「上手くいかないのかね」

 「早い話し、イスパノ・スイザを作ることができたとしてもです」

 「なぜ、この構造にしたのか、わからない部分がありまして」

 「改良はできるのですが、何もないところから新しいエンジンを作るとなると・・・」

 「解析は進んでるのですがジェットエンジンは、さらに手強いですよ」

 「つまり基礎工学で欧米に劣ってる?」

 「はい」

 「車のV8エンジンは作れるかね」

 「市販物はさすがに気付かれると思われます」

 「そうか・・・もう少し待つべきか」

 「惜しいのは、内地でなく、半島で作ることですな」

 「半島は地震がないので・・・」

 「やっぱり地震はいかんのか」

 「機械式数値制御工作機械が腐るほどあるのならともかく、絶対にいけません」

 「そうか・・・」 ため息

 中央学閥と閨閥は新型工作機械の内地誘致を望んでいた。

 しかし、地方閥と地方学閥は地震を口実に機械式NC工作機械を半島へ誘致させ、

 半島基盤の要にしていた。

 この時期、大御所技術者がロールスロイスの開発の遅れで軒並み崩れ、

 イスパノ・スイザの改良を任されていた若手がボアアップに成功、

 さらに白亜解析大学を中心とした新進気鋭の若手が新しい工業を起こそうとしていた。

 大御所技術者は、白亜解析の妨害を企てるが若手の成果が目に見えて現れていた。

 予算は醜悪な老害から新しい世代へと流れ、

 主流だった中央の学閥と閨閥の力が相対的に低下させ、

 中央学閥に対し、抵抗しうる学閥を増大させ、州化を加速させ、

 特権層の多様化は国家基盤拡大を容易にさせ、

 民族意識の広がりが半島と高千穂(ナイジェリア)を内包し、

 日本国を都道府県制から州制へ移行させてしまう。

 

 

 艦政本部

 新型艦艇は、白亜の設計技術が応用され、

 欧米列強から入手した最高の機材が使われていた。

  65000t級海凰型空母

  排水量65000t/満載85000t 全長336m×全幅76m×吃水10.9

  4サイクルディーゼル機関30000馬力×8基 240000馬力電気推進

  ナトリウム小型原子炉10000kw(7500馬力)×4基 30000馬力電気推進

  27万0000馬力 速度34kt 航続距離 30000海里+α

  艦上機 100機〜200機   71口径40mm砲×40基

 

  10000t級蔵王型巡洋艦

  排水量10000/満載15000t 全長200m×全幅20m×吃水6.2m

  4サイクルディーゼル機関30000馬力×4基 120000馬力電気推進

  ナトリウム小型原子炉10000kw(7500馬力)×2基 15000馬力電気推進

  13万5000馬力 速度30kt 航続距離 10000海里+α

  60口径155mm連装砲4基 60口径40mm砲×10基

  魚雷4連装2基 爆雷40発

  

 関係者たち

 「ずいぶん、緻密な設計だが大丈夫か」

 「例の機械式数値制御工作機械を使えるそうです」

 「複合素材も使えますし」

 「とりあえず軍艦で使って、複合素材の工場を軌道に乗せるってか」

 「炭素繊維、ケブラー、セラミックス、合成樹脂は初期投資が大きいですからね」

 「そのくせ、機密性が高いとなったら軍しか・・・」

 「問題はないでしょう」

 「予算以外はな」

 「予算に関してはため息しか出ませんね」

 「人身売買と兵器輸出、軍艦輸出で利益上げて」

 「軍組織を縮小していなかったら無理だったな」 

 「このまま、もっと将兵を減らして人件費を減らすか」

 「その方が兵器更新が早いですし、産業界は人手を欲しがってますからね」

 「軍人は性格的に潰しが利かないところが弱点だがな」

 「それに中東派遣部隊編成は国策になってるしな」

 「中東に深入りするのは危険ですよ」

 「まぁ 予算も人手も資材も割り振り利かないから、まず外交なんだろうが」

 「それに高千穂も移民を欲しがってますよ」

 「そっちもあるか・・・」

 「それより、原子炉は本当に安全なんだろうな。将兵が被爆したら洒落にならんぞ」

 「離島にテスト用小型原子炉を置いて上手くいってますよ」

 「白亜と同じ崩壊熱と自然対流対応の低出力発電ですし」

 「使う分だけ制御棒をスライドさせて発電していくタイプですから」

 「といっても自然対流型原子炉は加圧水型原子炉の10分1の発電量なのに」

 「容積と重量が同じくらいですから、損してる気分ですね」

 「それでも速度はバルバス・バウと新型ハイスキュー・プロペラの効果もあるし」

 「原子炉の30000馬力分で16ノットはだせるから」

 「低速航行ならディーゼル機関を動かさなくてもいいことになる」

 「航空機の離発着艦はそうもいかんがな」

 「停泊している間充電した分でも足りるのでは?」

 「まぁ 多少は余計に走れるだろうがね」

 「原子力は、被弾したときのリスクが高いような気がするね」

 「核物質そのものは少ないですから、直撃を受けたとしても中性子の連鎖反応は起きにくいですよ」

 「だいたい、ユダヤ資本が油田を押さえてる」

 「連中の言いなりになりたくなかったら原子力は一つの手でもある」

 「日本もイラン石油利権の14パーセントを押さえてるだろう」

 「それにナイジェリアの油田も当てにできる」

 「しかし、シンガポールで分断されてるからね」

 「シーレーンを押さえられていたらどうにもならんと思う時があるよ」

 「むしろ、潜水艦10隻を余計に建造して太平洋と大西洋に配備したいね」

 「護衛艦も航空隊もいらないし、人件費は少なくて済む」

 「しかし、海上戦力は、海軍国の指標でもある」

 「無理しても揃えないと・・・」

 「赤城、加賀の代艦ですしね」

 「しかし、太平洋で2個、インド洋で1個。予備で1個機動部隊欲しいのだが」

 「今のところ、1個分の予算しか降りそうにない」

 「大戦中ですし、あまり強くなっては、ユダヤ資本を警戒させてしまうのでは?」

 「まぁ 戦力的な脆弱性が中東権益や高千穂領有に繋がったのは確かだがね」

 

 

 

 

 イラン

 サアダーバード宮殿はテヘランの北、森林の中に作られている。

 北を山に囲まれ、テヘランの街を見渡すことができた。

 庭園に小川が流れ会合の場所が作られる。

 レザー・シャー皇帝と日本大使

 「余は、日本にイギリス掃討を要求したい」

 「成功の暁には、日本の石油利権を半分にする用意がある」

 「しかし、イギリスと戦えば日本は負けるかもしれません」

 「ですが、イランが相手なら10000分の1の戦力で戦えますし」

 「勝てる公算の方が大きいのです」

 「そして、少ないのですが石油利権は14パーセントから20パーセントに加算される」

 「・・・・・」

 「ですので、イランが新独をやめていただければ、イギリスとソビエトに押し留まってもらえるよう交渉できるのです」

 「日本は、イギリスと戦う気がないのですか?」

 「戦力もあるのですが、財力もありますからね」

 「正直、戦いになればソビエトはイギリスに付くでしょう」

 「アメリカも戦争する口実を探していますし」

 「日本が戦争するようなことになれば、アメリカにとって口実になりますし」

 「アメリカもイギリス側に付く公算が大きいのです」

 「イギリスに勝てる気がしません」

 「・・・・・」

 「どうでしょう。テヘランに向かう回廊に星形要塞を建設するのは?」

 「お手伝いできると思いますよ」

 「・・・・」

 

 中庭の日本人たち

 「イランを攻撃しないで、よかったので?」

 「日本政府は、海軍縮小で、やる気なさそうだからな」

 「それに駐屯地の建設がまだだし、駐留部隊の編成も進んでない」

 「アメリカは、イギリスが負けるとわかったら、大西洋の防波堤でイギリスを占領するだろう」

 「日本は、イギリスを助けつつ、イランの石油利権比率を増やす方がいい」

 「ですがイギリスが負けるとアメリカの中東浸透を誘致してしまうので危険な橋では?」

 「ロスチャイルドからアメリカ系ユダヤ資本群に代わるだけだ」

 「それにアメリカで貧富の格差は大きいし、反ユダヤが強まってる」

 「危険を犯して、火中の栗を拾うこともあるまい」

 「何より産油国と事を荒立てるのはよくなかろう」

 「それで星形要塞ですか?」

 「イギリスがなんというか」

 「ふっ イギリス軍にとって星形要塞は気休めにしかならないし」

 「イランは役に立たないものでもあれば嬉しかろう」

 「対価で石油も入ってくるし」

 「なんか、悪です」

 「国家は、海賊業で外国から奪うか。国民から搾取するしかないからな」

 「国民の負担を軽くしたいなら特権層を改易し。外国から奪うことを覚えるんだな」

 

 

 

 地中海・北アフリカ戦線

 ベンガジ港と東のアフダル高地はイギリス軍の攻勢を受けていた。

 イギリス軍の戦車はM4中戦車とソミュアS35が主力になり数で圧倒し

 ドイツ軍の3号戦車、4号戦車、タイガー戦車を苦戦させていた。

 トーチカの88mm砲が火を噴いてM4戦車を撃破し、

 イギリス軍の攻勢を食い止めていたが、インド軍は人海戦術でドイツ・イタリア軍を苦戦させていた。

 

 ドイツ軍の飛行場7か所からメッサーシュミットとユンカースJu87シュトゥーカが次々と出撃し・・・

 「こら! 戻ってこい!!!」

 軍医が滑走路脇で喚いたが手遅れで、

 目当てのパイロットは滑空しながら目の前を通過していた。

 「ルーデル大尉。呼んでたんじゃないですか?」

 「んん・・・治療費の未払いのことかな」

 「治療費は空軍持ちでしょ」

 ドイツ爆撃部隊は、イギリス軍陣地上空でD520戦闘機と航空戦を繰り広げてた。

 フランスで開発されたD520戦闘機は、日本で機体が改良され

 1250馬力にまで向上させたエンジンで速度が増し、

 メッサーシュミットやフォッケウルフを梃子摺らせた。

 百数十機の英独軍機が入り乱れ、

 D520の機銃掃射がシュトゥーカをかすめ、

 20mm機銃弾と7.7mm機銃弾が右翼翼端を吹き飛ばした。

 しかし、すぐにメッサーシュミットが割って入り、D520を引き剥がした。

 難を逃れたシュトゥーカは急降下しながら爆弾を投下し、

 M4中戦車は直撃弾で爆砕した。

 その日、ルーデルは100両目の戦車を撃破した。

 

 

 ナポリ港 

 戦艦 ヴィットリオ・ヴェネト、ローマ

     カイオ・ドゥイリオ、

 重巡 ボルツァーノ、

 軽巡 カドルナ

     モンテクッコリ、アッテンドーロ

     アブルッチ、ガリバルディ

 駆逐艦12隻

 イタリア海軍司令部

 ドイツ軍将校とイタリア軍将校

 「イタリア海軍はもっと積極的にイギリスを攻撃すべきだ」

 「積極的になれるほどの燃料はない」

 「燃料は供給してるではないか」

 「だ、だからベンガジの輸送ができるのだ」

 「艦隊が全滅したらベンガジへ輸送もできないだろう」

 「それにエジプトへ侵攻すべきだ」

 「イタリア軍だけで侵攻してみたらどうか」

 「ど、ドイツは同盟国だろう」

 「同盟国かもしれんが同盟国の盾になるつもりはない」

 「イタリアが戦線を拡大する必要があるのならイタリア自身が行うべきだ」

 「無論、苦戦した折は、助けるがね」

 「「「「・・・・・」」」」

 

 

 日本空軍の主力が戦闘機が瑞風、D520、攻撃機が一式陸攻になるころ、

 旧式機が国外に売られていた。

 中ソ黄河戦線

 国民軍空軍は96式戦闘機、97式戦闘機、カーチスP36の機体を増やし、

 黄河南岸の基地に配備し、ソビエト軍に対抗した。

 しかし、ソビエト空軍はI15、I16からMiG3、LaGG3、Yak1に機体を更新し、

 航空戦力でも国民軍空軍を圧倒していた。

 97式戦闘機が黒煙を上げながら滑走路に進入し、

 つんのめりながら転がって四散し、

 整備兵や基地守備隊の国民軍将兵たちが消化しながら救出しようと近づいていく、

 中国人と日本人

 「・・・もう駄目ある。新型機を寄越すある」

 「D520は、生産が追いついてませんので」

 「このままでは、東アジアが共産化してしまうある」

 「日本はイギリスなんか肩入れしている暇はないある」

 「そ、それは、国民党が人民に対し、酷いことをしてるからでは?」

 「そんなことはないある!」

 「国民党は歴代皇帝に比べて、遙かに良心的な執政してるある」

 「少し前にの日本と変わらないある」

 「いや、日本は、ここまで酷くは・・・」

 「7、8年前の日本の犯罪件数は最悪だったある」

 「満州を失っただけで、日本は暴動で赤化すると自分でも言ってたある」

 「いや、あれは、軍拡するための方便だから・・・」

 「逆に貧困層増やして共産化の員数を増やしたある」

 「もう、むかしのことだから・・・」

 「とにかく、日本は、まともな戦闘機と戦車を持って来るある」

 

 

 上海

 中国人が武装蜂起を起こしていた。

 狙われたのは、裏切り者の華僑資本で、

 ユダヤ艦隊の方に避難してきていた。

 ガド(扶桑)、アシェル(山城)が大砲を中国民衆に向けると

 中国民衆は怖気付いたのか引き揚げていく、

 艦橋

 ユダヤ人たち

 「また暴れ出したな」

 「華僑資本の工場4つが略奪にあったようです」

 「もっとアヘンを流せばいいんだ」

 「そうなると市場が衰え、輸出で困りますよ」

 「なかなか、南米のようにはいかないな」

 「アルゼンチンは完全に我々を追い出す気のようですよ」

 「アルゼンチンか・・・あそこは大した利益にもならんし後回しでよい」

 「それより中国だ。ソビエトの侵攻が止まってる」

 「これ以上南下するとソビエト連邦が崩壊するからだろう」

 「これ以上、国民軍に肩入れするのはまずいのではないか」

 「軍事力だけで、戦争はできない」

 「中国が我々に戦争を仕掛けることはないだろう」

 「それはどうかな。中国は着実に工業化していく趨勢がある」

 「あと10年もすれば軍艦くらい建造できるだろう」

 「問題は人だと思うが」

 「人か・・・分断工作は?」

 「分断も何も最初からバラバラだがな」

 「だが黄河を挟んで中ソ国境線が定まれば中国は蒋介石で一つにまとまる」

 「そうなれば我々は利権を奪われ叩き出されるかもしれない」

 「日本を利用するか」

 「あと6個師団欲しい。日本はイスラエル軍創設で必要だ」

 「だいたい、クラヴ・マガ(格闘術)で日本の格闘術を参考にするといったのはお前だろう」

 「・・・・」

 「それに日本に新型戦車を開発してもらわねば、ソミュアS35は安心できない」

 「アメリカ系ユダヤは何と?」

 「連中はいずれ、世界の資源と市場を狙うはず」

 「しかし、モンロー主義が邪魔なのでは?」

 「ふっ 我々が押し付けたモンロー主義で我々が苦しめられるとはな」

 「植民地防衛で適当だったかと」

 「それにアメリカ系ユダヤがナチスドイツを煽ったのですから」

 「我々は困った状況だが、アメリカ系ユダヤも後悔してるだろうよ」

 「戦争したくても戦争できないのだからな」

 「困った状況ですが元々我々の資産の多くは金融を中心とした流動資産」

 「キリスト教徒が弱れば、我々の利権が大きくなるのでは?」

 「ふっ まぁ そうだがね」

 

 

 高千穂(ナイジェリア)州

 満州からだけでなく、南米からも日本人たちが集まっていた。

 特に朝鮮人が増えたブラジルから日本人が逃げるように入植し。

 日本人の入植がはじまると自治行政が始める。

 日本政治に対するアンチテーゼなシステムが考察され、

 移民者の大半が軍属か、貧民層だったことから集票も期待できず、

 また利権構造のおいしさに疎かった。

 何より、日本本国が高千穂州知事の独裁が面白くないと、

 民権を強める意思が働いていた。

 高千穂州議会

 貴族員200人は終身任期

 衆議員400人は30歳以上抽選制6年任期半期半交替が決まってしまう。

 抽選制で選出された議員は、州行政機関の監視要請義務が生じ、

 国家機密、軍機以外の情報開示請求ができた。

 州議員の行政知識の増加は、州議会を活発化させ、

 その議論は、作られたばかりの高千穂新聞紙面に掲載され、

 高千穂州の日本人の政治意識と参画を増やした。

 当初、入植者増大を目的とした妥協であり、

 世界最大の州知事に対する日本の牽制だった。

 誰しもが、たかが1期抽選の素人州議員と思っていた。

 しかし、衆議員の議論は、行政にメスを入れ高千穂州政治を動かしていく、

 そして、世界最大の州知事の政策に影響を与え、

 利権構造の強弱と派閥論理で成り立つ貴族員さえ圧迫していた。

 高千穂州議会

 「高千穂警察の取り調べは横暴であり、明らかに捜査の手抜きと証拠不足が見受けられる」

 「州警察長官」

 『この死刑囚野郎。調子に乗りやがって・・・』

 「指摘された件につきましては、捜査手順の見直しを再検討を行います」

 「瑞州油田採掘情報の開示拒否の理由を聞きたい」

 「州土開発庁長官」

 『豆腐屋のくせに・・・』

 「ええ・・・まだ、調査段階でありまして、正確な情報は得られていません」

 「ある参議員の支持基盤の企業が優遇されていると噂があるのですが」

 「え・・・鉱区入札で特定企業を優先するようなことはありません」

 「では、なぜ情報開示が拒否されるのです」

 「油田は産業全般で使われますが、国家機密や軍機に準ずる部分があるので」

 「現状は、情報開示に応じられません」

 「ではいつ情報開示が成されるのです?」

 「ええ・・・採算軌道に乗ってから・・・」

 ばん!

 「遅い!」

 「・・・・」

 抽選で選出された1期のみの議員に、落選といった怖いものはなく、

 利権構造に組み込まれにくく、偽善的な意思が反映されやすくなった。

 

 

 高千穂(ナイジェリア)州

 アブジャ空軍基地

 エンテ・カナード型戦闘機 “瑞風” が滑走路を飛び立っていく、

 沿岸の航空基地のD520戦闘機にくらべ、

 内陸の空軍基地は、機密性の高い部隊が配備されていた。

 もっとも、重用されている機体は、瑞風、1式陸攻ではなく、

 D520戦闘機でもなかった。

 その機体は飛行場の周りをゆっくりと旋回し、ふわりと滑走路の片隅に着陸した。

 三式指揮連絡機は、さして外敵の存在しない植民地の監視と治安維持に有効で、

 最大機数が配備されていた。

 「どうだったね」

 「はい、部落に潜り込んでたのは朝鮮人のようです」

 「証拠はありませんでしたが、語尾に “ニダ” を使っていたと証言がありました」

 「その連中は?」

 「連絡機が降りたのを見て逃亡したようです」

 「んん・・・植民地からの脱走か・・・それとも・・・」

 「間者かと思われます」

 「そういえば、高千穂は、フランス領に囲まれていたな」

 「はい」

 「「「「・・・・」」」」 ため息

 「半島人は日の丸を揚げて日本の中枢に浸透する方法を知ってる」

 「半島人でさえ知ってる常識を日本人が知らないことがありますからね」

 「秩父事件の草の乱失敗の半分は日の丸を揚げられなかったことで善悪の問題じゃない」

 「半島人は本能的に気付き、日本人は歴史を学ばない限り気付かないだろうな」

 

 

 ドイツ海軍

 ヴィルヘルムスハーフェン海軍基地

 残存艦隊の艦艇駒が名刺入りで海図の上に置かれていた。

   空母   グラーフ・ツェッペリン

   装甲艦 リュッツォウ、アドミラル・グラーフ・シュペー、アドミラル・シェーア

   重巡 アドミラル・ヒッパー、ブリュッヒャー、プリンツ・オイゲン、ザイドリッツ

   軽巡 エムデン、ケーニヒスベルク、ライプツィヒ、ニュルンベルク

   駆逐艦

    Z2ゲオルク・ティーレ、Z4リヒャルト・バイツェン

    Z5パウル・ヤコビ、Z6 テオドール・リーデル、Z7ヘルマン・シェーマン

    Z9ヴォルフガング・ツェンカー、Z10ハンス・ロディ、Z11ベルント・フォン・アルニム、

    Z12エーリッヒ・ギーゼ、Z13エーリッヒ・ケルナー、Z14フリードリヒ・イーン、

    Z15エーリッヒ・シュタインブリンク、

    Z17ディーター・フォン・レーダー、Z18ハンス・リューデマン、Z19ヘルマン・キュンネ

    Z20カール・ガルスター、Z21ヴィルヘルム・ハイドカンプ、Z22 アントン・シュミット

    Z23、Z24、Z25、Z26、Z28、Z29、Z30

    Z31、Z32、Z33、Z34、Z37、Z38、Z39

    Z35、Z36、Z43、

 空母1隻、装甲艦3隻、重巡4隻、軽巡4隻、駆逐艦35隻の内、

 半分は修理改装でドック入りしており、

 残りの4分の1をシェトランド諸島など外洋に配置し、4分の1を本国配置にしていた。

 ポケット戦艦は、護衛空母の艦上機に爆撃され、

 戦果はあるもののローテーションは限界に達していた。

 「シェトランドの艦隊は、重巡1隻、軽巡1隻、駆逐艦7隻か・・・」

 「厳しいですね」

 「だがシェトランド諸島近海の制空権は維持してる」

 「Sボートや小型UボートのII型、VII型を配備すれば活躍できるし」

 「開発中のXXIII型、XXVII型」

 「そして、ネガー、モルヒ、ビーバーを配置すればシェトランド諸島は万全だと思うが」

 「提督。ネガー、モルヒ、ビーバーは自殺兵器かと思われますが」

   306〜364t級II型、871t級VII型、258t級XXIII型、17t級XXVII型

   2.75t級ネガー、11t級モルヒ、5.7t級ビーバー

 「戦況に余裕がないわけではないから隻数を減らして、試験運用期間を伸ばしている」

 「主力潜水艦は通商破壊はXIV型からXXI型になるだろうし」

 「沿岸防衛も主力はXXIII型、XXVII型になるだろう」

 「問題は、空母グラーフ・ツェッペリンですかね」

 「んん・・・戦艦が全滅したから再建造になったが正直、使い道に困ってる」

 「艦上機40機。常時13〜14機を艦隊上空に展開させ」

 「空襲を受けたとき倍にしたとしても27〜28機・・・」

 「BV155は使えそうなのか?」

   1810馬力 自重4568kg/全備重量5500kg

   全長11.81m×全幅20.17m×全高4.17m 翼面積38.5u

   速度690km/h 航続距離1440km

   30mmモーターキャノン1丁、20mm機銃2丁 爆弾500kg

 「戦闘爆撃機としても優れてますよ」

 「訓練は?」

 「グラーフ・ツェッペリンもBV155もこれからです」

 「「「「・・・・」」」」 ため息

 

  

 濃霧の海で砲撃戦が行われていた。

 装甲艦アドミラル・シェーア

 重巡アドミラル・ヒッパー、軽巡ライプツィヒ、

 駆逐艦 Z31、Z32、Z33、Z34、Z37、Z38、Z39

 輸送船6隻、

 アドミラル・シェーア 艦橋

 「大口径砲はないようだな」

 「今のところは」

 「この霧だ。戦艦を送ってきたところで魚雷の射程に入る」

 「戦艦は、前回のシェトランド攻防戦から回復したのでしょうか」

 「今度は、アメリカの戦艦を買うかもしれないな」

 「アメリカの反戦機運は強いですから、駆逐艦は売れても戦艦は売れないのでは」

 「イギリスもこれ以上、利権をアメリカに渡したくなかろう」

 「だといいのですが、今はユダヤ艦隊でさえ怖いですよ」

 「どうかな。対潜哨戒でユダヤ艦隊が優れてるといった報告は受けてない・・・」

 目の前に砲弾が着弾し水柱が艦橋を洗う。

 「イギリスの方がレーダーが優れているようだが・・・」

 「輸送が終わったら、通商破壊に行かなければならんというのに」

 「本来、輸送船の護衛に向かない軍艦ですからね」

 「といっても、ここでばらけたら、味方から撃たれる可能性も高い」

 「たまたま出撃が重なったのが運の尽きだな」

 爆音が響き、頭上を通過していくと、爆弾の雨が落ち始める、

 「いったい、どこを狙って落としてるんだ」

 「燃料が切れが心配になって落としたのでは」

 「もう、無茶苦茶・・・」

 爆音が響いた。

 「やられたのか?」

 「Z34被弾! 中破です」

 「帰還させろ。シェトランドで修復するのは面倒だ」

 

 

 シェトランド諸島

 ドイツ帝国は、シェトランド諸島を押さえることで、

 Uボート作戦を容易にし、生存性を高めていた。

 当然、イギリスは、ジェトランド諸島を回復しない限り、

 Uボートとポケット戦艦の被害を増やすため

 果敢にジェトランド諸島を攻撃していた。

 フォッケウルフの編隊とスピットファイアの編隊が交差し、

 対空砲火の弾幕の中、

 モスキート編隊が低空を通過し被弾しながらも爆弾を投下していく、

 「ロンメル将軍。第11機銃座が爆撃されました」

 「負傷者を救出してやれ」

 「輸送船の荷揚げが終わるまで守り続けろ!」

 大型輸送船から巨大な戦車が降ろされていた。

 「あれは新型戦車のようです」

 「こんな島に大型戦車持ってきてどうするつもりだ」

 「空輸できないモノを運び込みたかったのでしょう」

 「それにしても今日のスピットファイアは粘るな」

 「MkIX型が増えたのでは」

 「長距離向きの機体か・・・」

 そして、空襲の間隙を縫うように6発輸送機が現れ、

 ギガントを守ろうとするフォッケウルフ4機とスピットファイア4機が入り乱れ、

 バリバリと機銃弾が輸送機の羽布張りを抜けていく、

 輸送機Me323ギガントの機体は、グライダーのMe321と同様、

 スチール製枠組みに羽布張りしただけのもので

 機体を撃ち抜いても抜けていくだけだった。

 爆音が近づき、辺りの草むらが銃弾で削られ、

 スピットファイヤと一緒に脇を抜けていく、

 「ロンメル将軍!」

 「大丈夫だ。あんなまともに狙っていない機銃掃射にやられるものか」

 そして、巨大なMe323ギガントが着陸するころ、

 スピットファイアは燃料が心配になったのか引き揚げていく、

 

 

 

 イスラエル(11万3070ku) + カリブ海アンティル諸島 (960ku)

     アルバ島(193ku) ボネール島(284ku) キュラソー島(448ku)

     シント・マールテン島(34ku) シント・ユースタティウス島(21ku) サバ島(13ku)

 イスラエル国家の国土の中心は中東のイスラエルにあった。

 しかし、経済は、アメリカ合衆国とイギリス連邦を中心に世界に点在し、

 上海と中東の経済支配を狙っていた。

 そして、海軍の中心はキュラソー島にあった。

 この国境を超えた拝金主義者の宗教団体は、イスラエル建国で反ユダヤを刺激したものの、

 世界有数の海軍力を整備しつつあり、

 世界中のユダヤ人を結束させる土地を得ていた。

 キュラソー島

 金剛(ルベン)、比叡(シメオン)、

 艦橋

 「好機が失われていくのが面白くない」

 「ユダヤの人口は1600万と少なく」

 「建国ともなれば苦手とする分野にまで人口を振り分けなければならない」

 「それに経済基盤が他国にありますので調整に手間取る」

 「しかし、ドイツを何とかせんと、反ユダヤ資本はドイツを基盤に巻き返すだろう」

 「イギリスだけでは役不足でドイツに勝てない」

 「どうしてもアメリカか、ソビエトの参戦が必要だ」

 「アメリカは民主主義の縛りが強すぎるし。ソビエトは恐怖政治に対する反乱目前で身動き取れない」

 「参戦はドイツに攻撃してもらわない限り難しい」

 「日本が参戦の咬ませ犬になってくれると思っていたがな」

 「そこまで馬鹿じゃなかったのだろう」

 「日本が空母を建造すると聞いたが」

 「そのようだ。日本海軍は戦艦じゃなく空母を海上戦力の要と思い込んでる節がある」

 「どちらにせよ。軍需関連施設は強化したいから日本頼りは変わらない」

 「現状は戦争できるような状態にないからな」

 「しかし、日本に軍需関連を発注するのはどうも気が進まんな」

 「仕方があるまい。民需はともかく、軍需はアメリカ国民感情が許さないらしい」

 「ちっ アメリカを・・・キリスト教徒をどこと戦わせるか・・・」

 「普通のアメリカ国民は、生活をどうするかであって」

 「異国の地で銃を担いで人殺しなんてしたいと思っちゃいない」

 

 

 マルビナス(フォークランド)諸島

 飛行場

 輸送船ごと拿捕された機体がハンガーに運ばれ

 整備士によって組み立てられ、機体にバルケンクロイツが描かれていく、

 ドイツ本国から派遣されたパイロットたちは、気に入らないのかが訝しげに見ていた。

 「P40ウォーホークは馬力不足。P38ライトニングは贅沢でシャープさに欠ける」

 「F4Fワイルドキャットはいいんだけど性格の不一致だし・・・」

 「なんか、むかつく機体ばかりだな」

 「せめてエンジンをダイムラーベンツか、BMWに変えて欲しいね」

 「そんな技術者は、割り振れないそうだ」

 「ウォーホークとワイルドキャットは護衛・迎撃機で、ライトニングは対艦攻撃用だろうな」

 「P38ライトニングを爆撃機と思えば腹も立たないだろう」

 「爆撃機はマーチンA30バルチモアが5機あるけど」

 「機動部隊を攻撃するには足りなさすぎる」

 「P39エアラコブラはアルゼンチンに売却するのか?」

 「対価で食糧と燃料と生活用品が得られる」

 「まぁ 生活用品は重要だけどな・・・」

 「おい、DC3が完成したぞ」

 「4機目か、アルゼンチンとの空路が安定すれば楽になるな」

 ポケット戦艦と仮装巡洋艦が拿捕した商船は50隻に上り、

 マルビナスの陸海空の戦力を拡充させていた。

 港湾

 1232t級IX型5隻、1932t級XIV型12隻が停泊し、 

 潜水艦乗りたちは、上陸のひと時の間、体を休めていた。

 肉の焼ける香ばしい匂いが漂ってくる。

 「なんだ。店があるじゃないか」

 「アルゼンチン人がやってるそうだ」

 「へぇ」

 「タンゴと、肉とワインとマテ茶くらいだそうだが」

 「息抜きできるのなら何でもいいや」

 ドイツ将兵たちは、アルゼンチンの開いたタンゴ ・レス トランへ入っていく、

 そして、空襲警報のサイレンが鳴り響くと将兵たちが店から飛び出してくる。

 4つの飛行場からワイルドキャットとウォーホーク群が飛び立ち

 イギリス空母から発艦したD520戦闘機群と交錯する。

 アメリカの対イギリス輸出機と日本の対イギリス輸出機の航空戦で

 いろんな意味で注目されたが、

 地上から見上げても数で勝るワイルドキャット、ライトニングと質で勝るD520の航空戦なのは明白だった。

 そして、戦闘機同士の空中戦の隙を突き、ソードフィッシュが空港を爆撃していく

 

 

 マルビナス諸島沖

 戦艦デューク・オブ・ヨーク、アンソン

 空母イラストリアス、フォーミダブル、ヴィクトリアス、インドミタブル

 重巡2隻、軽巡2隻、駆逐艦8隻

 ボロボロのD520とソードフィッシュが帰還してくる。

 イラストリアス 艦橋

 「提督。D520の損失12機、ソードフィッシュの損失17機」

 「D520の破損5機、ソードフィッシュの損失7機です」

 「空港の2つを叩いただけでこの被害とは・・・」

 「空港を叩いて、地下の魚雷格納庫叩いて、埋め立てている中古戦艦を叩いて」

 「その後、地上部隊を叩いて、上陸しなければならんのだが」

 「むしろ、戦艦部隊で艦砲射撃をした方がいいのでは?」

 「P40と潜水艦と機雷が

 「いや、航空戦力の不足が原因だよ」

 「優先順位は、フォークランドよりシェトランドが高いと思うが」

 「通商破壊の損失を考えるとフォークランドも無視できない」

 「燃料と食糧の補給は得られても魚雷の補充がないから運用能力は低いだろう」

 「しかし、ポケット戦艦や仮装巡洋艦が一度入港しただけで百数十本の魚雷が地下格納庫に入る」

 「魚雷格納庫を叩くだけの方が・・・」

 「アルゼンチンのスパイによると十数か所の地下格納庫に分散している」

 「しかも少々の爆撃では破壊できないそうだ」

 「提督。偵察機から入電。滑走路にライトニングとA30バルチモアが並び始めてるそうです」

 「これから索敵か・・・」

 「ですが、これ以上戦っても消耗するだけで、戦機があるとは・・・」

 「確かに・・・セントヘレナに引き上げる。イタ公が動くかもしれんしな」

 

 

 ブエノスアイレス

 偉大な田舎だった首都は、南米のパリと言われる姿へと変貌しつつあった。

 朝鮮人がブラジルに大挙移民するとブラジル日系移民はブラジルから避難し、

 周囲の国や高千穂に移動していた。

 その際、土地が動き、数人の日系人が大きな資産を得ていた。

 大きな日本料理店

 ドイツ人と日本人とアルゼンチン人

 「どうだろう。アルゼンチンを支援してもらいたいのだが」

 「アルゼンチンを支援したからといって日本は得るものが少ない」

 「高千穂はフランス領の朝鮮人に囲まれ、ブラジルからも日本人は引き揚げてる」

 「朝鮮人は南米全体に広がっていくだろう」

 「そうなれば高千穂は朝鮮人に囲まれることになるな」

 「アルゼンチンは、日本と友好関係を維持したいと考えている」

 「いま日本経済が命脈を保ってるのはユダヤ資本と協力関係にあるからだ」

 「彼らの経済支配は受けるつもりはないが」

 「アルゼンチンと友好関係が強まれば日本は経済制裁を受ける恐れがある」

 「日本はユダヤのウィークポイントを押さえている」

 「ロスチャイルドとアメリカ系ユダヤは対立関係にあるし」

 「少しくらい強く出たからといって、どうにかされることはない」

 「政府には伝えますが、どうして欲しいと」

 「油田開発を認可するので、鉄道施設をお願いしたい」

 「油田開発・・・」

 山師業の苦手な日本人だった。

 

 

 

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 月夜裏 野々香です。

 国権派は巨大利権ピラミッドを作りたがります。

 高千穂(ナイジェリア)油田は巨大な利権の塊ですし、

 利権が集約し、終身の貴族院政治家と癒着しやすく、

 政官財は3人三脚で癒着してしまうでしょう。

 なので民権派として、抽選5年任期衆議院を作って

 政官財を監視させることにします。

 なんというか、衆議院は権力機構の陪審ですよ。

 権力に執着するあまり、世襲とか、コネとか、癒着とか、利益誘導とか、

 政官財で癒着して理念なき政治、機能不全、私利私欲は困ります。

 

 権威の話しです。

 数億円の絵画より、

 動画で、ただで見れる無冠薄給のアニメが面白でしょって話しですよ (笑

 御用学者は安全な聖域にいるので、聖域を守ろうとするわけで、

 構造的に聖域を超えた新規性と開発に排他的、保守的になってしまうわけです。

 なので権威を相互補完してくれる体制寄りになりがち

 自分が死ぬわけじゃないので、聖域の外が地獄でも構わない、

 新規性、創造性、独自性で競争を仕掛けてくる地方閥と非キャリアを圧してしまうとか。

 国と国民を守りたいというより相互補完してくれる利権と聖域を守りたい、

 

 このムラ社会的な権威主義と年功序列に毒されると、

 社会全体が権威に弱くなり保守的な立場を守るため

 事勿れなまま、新規性が失われてしまいやすくなる、

 外国勢力の権威すら利用しようとする体質があって、

 日本の権威と年功序列を一顧だにしない外国勢力に負けやすくなるわけ、

 常に競争を強いられてる海千山千の外国勢は、日本の権威なんて考慮しないのすから、

 「外国に裏切られたよ エ〜ン! エ〜ン!」

 なんて、よくある話しで

 身も蓋もなくなるので、この辺にしておきましょう。

 

 

 シェトランド諸島とフォークランド(マルビナス)諸島

 なんか、ガンダムのソロモンか、ア・バオア・クーみたいな感じでしょうか (笑

 グラーフ・ツェッペリンはドロスみたく活躍できるか

 

  

 ユダヤ海軍

 戦艦8隻、小型空母1隻、強襲揚陸艦1隻、軽巡17隻、駆逐艦36隻

 ルベン(金剛)、シメオン(比叡)、イッサカル(榛名)、ゼブルン(霧島)、

 ダン(伊勢)、ナフタリ(日向)、ガド(扶桑)、アシェル(山城)、

 ガリラヤ(鳳翔)

 メギド(神州丸)

 アフェク(天龍) カナ(龍田)

 ツロ(球磨) アコ(多摩) ハモン(北上) ハロシェテ(大井) ケデシュ(木曾)

 シロ(長良) キネレテ(五十鈴) ハマテ(名取) ラマ(由良) ラマ(鬼怒) リモン(阿武隈)

 ヨクネアム(川内) ガテ・ヘフェル(神通) シムロン(那珂)

 サリテ(夕張)

 峯風、澤風、沖風、島風、灘風、矢風、羽風、汐風、

 秋風、夕風、太刀風、帆風、野風、波風、沼風

 神風、朝風、春風、松風、旗風、追風、疾風、朝凪、夕凪

 睦月、如月、弥生、卯月、皐月、水無月、

 文月、長月、菊月、三日月、望月、夕月

 

 

 

 誤字脱字・感想があれば掲示板へ 

第11話 1942年 『黒塗りは保身色の証し』
第12話 1943年 『高千穂は抽選制衆議院ということで・・・』
第13話 1944年 『紙幣は呪符だから』