月夜裏 野々香 小説の部屋

       

仮想戦記 『白亜の遺産』

 

 第13話 1944年 『紙幣は呪符だから』

 日本

 中東権益と中ソ戦争と欧州戦争は好景気をもたらし、

 日本経済は急速に成長していく、

 半島入植と高千穂(ナイジェリア)入植は日本経済の足を引っ張ったものの、

 水力発電が建設され、新幹線が日本中を繋ごうとしていた。

 電力供給の増大により、電気自動車が増加し、

 舗装されつつある日本と半島の道路を走っていた。

 その中の1台が秘密めいた建物の中に入っていく、

 

 それは同質量の超々ジュラルミンと比べ、

 引っ張り強度で6倍。強度は9倍あった。

 「ありえねぇ」

 「いろんな意味でな」

 「「「「・・・・」」」」 ため息

 炭素繊維は、開発と生産の間に幾つもハードルがあり、

 生産すること、収益を上げることも別の問題だった。

 「グラム当たりの価格は100倍・・・」

 「質量比なら5倍作れる」

 「大量生産すれば価格は下がるだろう」

 「確実に言えることは、その前に破綻する」

 「いくらなんでも同じ予算で50分の1くらいしか配備できんのでは・・・」

 「D520を何機売ってもどうにもならん」

 それは、あまりにも高額だった。

 「ケブラーといい、カーボンといい、チタンといい頭に来ることばかりだ」

 「プラットフォームにヘリコプターを着陸させられる大型風力発電機を建設できますよ」

 「セラミックで外壁を作れば誤魔化せますし」

 「高知沖なら全長40km。日本海沖なら全長120kmくらいで幅を数キロくらいで並べて」

 「低周波音を電気に変換できる技術もあるし・・・」

 「そんなもん作って台風や津波が来たらどうするつもりだ」

 「台風に耐えられるよう。複合素材なんでしょ」

 「軍用機を作れ」

 「軍用機が発電してくれるのなら考えてもいいですが・・・」

 「「「「・・・・」」」」

 「そういえば、核兵器の実験は?」

 「実験をすればばれるからな。わからんこともないが・・・」

 「・・・局長。参謀本部よりお電話です」

 「わたしです・・・・はい・・・」

 「それで、少将。例の話しは?」

 「・・・・・・わかりました」

 がちゃっ!

 「人員も資材も割り振り利かない。予算超過は認められないとのことだ」

 「「「・・・・」」」 ため息

 「金に目がくらみやがって馬鹿どもが」

 「もう、農家を潰さないと・・・」

 「俺の家が農家だ」

 

 

 オランダ領インドネシア

 港は、スズ、石油、石炭、天然ガス、銅、ニッケルだけでなく、

 カカオ、キャッサバ、キャベツ、ココナッツ、

 米、コーヒー豆、サツマイモ、大豆、タバコ、茶、天然ゴム、

 トウモロコシ、パイナップル、バナナ、落花生が山積みされていた。

 オランダは、アンティル島をユダヤ資本に売却した利益を得ていた。

 オランダ人はシベリア鉄道から太平洋周りでインドネシアに行くことができた。

 もちろん、オランダに残るオランダ人もいた。

 しかし、ユダヤ資本は、日本と中東利権と高千穂を分断するため、

 オランダ人のインドネシア入植を望み、

 ドイツ帝国は、占領地の面従腹反な民族を排斥するため

 オランダ人だけでなく占領地の民族のインドネシア入植を容認したのだった。

 オランダ人と日本人

 「100万戸ですか」

 「ええ、最低限です。たぶん、7〜8倍になるかもしれません」

 「7〜8・・・」

 「あと、電気水道、上下水道も必要ですし」

 「水力発電は行けると思いますよ」

 「現地民を使えるのでやれると思います」

 「大変な需要ですな」

 「オランダ人600万とドイツ占領地の白人4000万は来るかと」

 「た、大変な規模です」

 「日本に大量発注するしかない」

 「し、しかし・・・」

 「対価は資源で払いますよ。足りない部分は、先物ということで・・・」

 「先物ですか・・・」

 「日本は数十年先まで安泰ですよ」

 「しかし、フランス領インドシナでも住宅公団とインフラ整備発注を受けてまして・・・」

 「オランダ優先にしていただきたいですな」

 「そ、それはまぁ 資源さえ得られるなら・・・」

 日本は大量の受注で人手不足に陥っていた。

 「それと、スリナムの公共投資も頼みたい」

 「しかし、あそこは」

 「スリナムまでユダヤ資本にくれてやるつもりはない」

 

 

 深夜のインド洋を40000t級タンカー飛鳥丸が航行していた。

 不意に衝撃があって、船員たちが周囲を見回すと

 潜水艦が沈没しつつ乗員が脱出していた。

 日本の船員たちは、救命ボートを降ろしたり、浮き輪を投げ込み、

 乗員を救助するとアメリカ軍将兵で、50人が救助された。

 

 

 北海

  長門、

  ロドニー

  クイーン・エリザベス、ウォースパイト、ヴァリアント、

  ロイヤル・サブリン、マレーヤ

 戦艦部隊は濃霧の中に向けて砲撃していた。

 艦速、海流、風速を全て計算して航行し、

 計算上、シェトランド諸島と思われる方向を砲撃してる。

 海上に落ちてるか地上に落ちてるかは、わかる。

 しかし、軍事目標に落ちてるかはわからなかった。

 長門 艦橋

 「シェトランド諸島からも撃ち返してるようだ」

 「50口径173mmK18砲でしょう。射程29600mだそうです」

 「巡洋艦以下にとっては危険か」

 「ほかにも列車砲を運び込んでると聞いたことがります」

 「76.1口径283mm砲か・・・命中すると痛いが・・・」

 「少なくとも濃霧の中での計測砲撃ならこちらに分があります」

 「逆探でドイツのレーダー基地を狙っているのだろうな」

 「はい、ですがデーダー輻射の反応があって、まだ命中してないようです」

 「まだ、レーダーは決定的な差でないか・・・」

 「右舷2時、距離15000m。レーダーに反応! 18」

 「ドイツ艦隊か」

 「Sボートのようです」

 「視界距離300m。出会い頭で撃たれたら命中するな」

 「メクラ撃ちでいい。方位を銃座に通達して砲撃させろ」

 「はっ」

 「我が方のMTBボート15艇が向かうそうです」

 「濃霧の中で魚雷艇同士が近接距離で機銃掃射戦か・・・」

 「星弾を撃ってMTBに方向を教えてやれ」

 「5分後に撃ち方をやめて後退する」

 「はっ!」

 

 

 真っ白な洋上を進むSボート戦隊は、メクラ撃ちの砲撃に晒されていた。

 水柱で立ち昇った海水が雨のように降り、

 潮風は一段と鼻につく、

 「少佐。ガソリンエンジン音。多数」

 「MTBか。機銃座! 霧から出てきたら遠慮せず撃て!」

 霧から爆音とともにMTBが現れ、双方が機銃を撃ち合った。

 そして、すれ違っていく、

 「MTBは反転するようです。後方に付かれます」

 「ふっ こっちは、戦艦がないから、俺たちだけが標的のようだ」

 「作戦通り、B中隊がMTBの相手をするだろう」

 「我々 A中隊はイギリス戦艦部隊に向かう」

 A中隊は魚雷戦用で、B中隊は機銃座中心のSボートだった。

 霧の中から突然現れるSボートとMTBが闇雲に旋回し

 機銃掃射を繰り返し、被弾を顧みず突進を繰り返した。

 金属音が悲鳴を上げながらSボートとMTBが火花を散らし擦れていく、

 両艇とも擦れ違いながら機銃を撃ち合い、

 転覆しないようにバランスを戻しつつ霧の中に消えていく、

 Sボート

 「被害は!」

 「左舷の機関大破。左舷から浸水軽微」

 「ハンスとアーベルが戦死。4人が負傷です」

 「そろそろ、限界か。大西洋側から基地に帰還する」

 Sボートは残ったディーゼル機関2基で撤収していく、

 大きな爆発音が3度、轟く

 そして、Sボートを挟んで頭上を砲弾が行き交う。

 「A中隊の雷撃は成功したようだ」

 「あとは巡洋艦隊の突撃でどこまで戦果を挙げられるかですね」

 「戦艦部隊に突撃なんて」

 「この濃霧なら戦えるのでは」

 「かもしれん」

 Sボート部隊の戦いは終わり、

 砲声と一緒に重々しい重油燃焼機関の音が聞こえ、

 霧の奥から爆音がが聞こえ、微かに炎が吹き上がるのが見えた。

 

 

  重巡ブリュッヒャー、

  軽巡エムデン、ニュルンベルク

  駆逐艦

  Z17ディーター・フォン・レーダー、Z18ハンス・リューデマン、Z19ヘルマン・キュンネ、

  Z20カール・ガルスター、Z21ヴィルヘルム・ハイドカンプ、Z22 アントン・シュミット、

 ブリュッヒャー 艦橋

 「イギリス艦隊め、毎度毎度、計測砲撃とはせこい真似しやがって」

 「Sボート隊がイギリスのMTBと交戦は終わったようです」

 「この霧では、同士討ちだ」

 「Sボート隊の退避ルートは避けろよ」

 「はっ!」

 「どっちもレーダーと計測が頼りとはね」

 「戦艦相手に撃ち合いするのならこういう天候でなければ」

 「レーダー手。敵艦隊の位置は?」

 「右舷。1時。距離5000m。5隻が雁陣で18ktで北西へ移動しています」

 「雷撃用意!」

 

 シェトランド諸島 (1466ku)

 島全体が霧で覆われ、

 砲弾が撃ち込まれるたびに霧がと一緒に土砂が吹き飛ばされた。

 島のあちこちで銃撃戦が轟き、

 イギリスのコマンド部隊とドイツ軍将兵が戦っていた。

 霧の中では戦車は使い物にならず、

 将兵同士の近接戦闘で終始する。

 高台のレーダーから座標が知らされると砲身が動き、

 大音響とともに砲弾が撃ち出された。

 「飛行場とレーダー基地が意外にやられてる」

 「上陸したイギリスコマンド部隊がビーコンを発信してるのでしょう」

 「砲撃が正確になってるようです」

 「この霧はいつ晴れるんだ」

 「空気が動いてないので、あと数時間かと」

 「ロンメル将軍」

 「ん?」

 「レーダーによれば敵艦隊は大西洋側へと移動してるようです」

 「味方の艦隊に知らせてやれ。それより、味方を撃つな」

 「レーダーは常に監視しています」

 「なぁ こちらの大砲は本当に当たってるのか」

 「列車砲4両も持ってきたのですから、当たってると思いたいですね」

 霧の向こうで爆音が轟き、赤い閃光が一瞬だけ見えた。

 そして、背後の丘で爆音が響く、

 「将軍。列車砲1両が破壊されました」

 「ほぉ メクラ撃ちでも当たるのか」

 「コマンド部隊の侵入を許した列車砲です」

 「コマンド部隊の掃討を急がせろ」

 「彼らは、日本刀を使用し、接近戦で強いようです」

 「日本刀・・・」

 「この霧ですから・・・」

 「日本人は碌な事をしない」

 「レーダーで使ってる真空管は日本製らしいですよ」

 「本当に? ちゃんとチェックしてるだろうな」

 「はい、問題はないようです」

 「猿真似しかできないと思っていたが・・・」

 「イギリスには日本には土木だけ発注させるよう、警告しなければな」

 「将軍。イギリス軍が撤収していきます」

 砲声の合間が広がり静けさを取り戻していく、

 「霧では戦果の確認も後回しか・・・」

 「戦艦4隻に損失を与えたはずです」

 「だといいが」

 

 

 

 アイリッシュ海に面したマージー川の河口にリバプール港がある。

 イギリス本国艦隊は、リバプールに移動していた。

 長門 艦橋

 「艦隊の損失は?」

 「戦艦ヴァリアント、軽巡2隻、駆逐艦3隻、MTB5隻」

 「コマンドを輸送した潜水艦1隻が撃沈されたほか」

 「戦艦3隻、駆逐艦4隻、MTB7隻が大破です」

 「よくもまぁ・・・やられたもんだ」

 「帰還中、Uボートに襲撃されましたからね」

 「こちらの戦果は?」

 「軽巡2隻、駆逐艦2隻、Sボート4隻、Uボート2隻撃沈。駆逐艦4隻撃破です」

 「シェトランド諸島を艦砲射撃していたとはいえ、負けてる」

 「シェトランド諸島の戦果は、不明ですし」

 「未確認の損失を与えてるので、撃沈数は増えるかもしれません」

 「ドイツ軍も未確認の戦果が多いだろうが・・・」

 

 

 ポナペ島

 地下深く埋められている発電所は自然対流型小型トリウム発電だった。

 必要とする電力はピーク時を基準とし、

 公共設備や工場の消費電力と1件当たりの消費電力を掛け、

 さらに次期設備投資分の発電と雇用分の軒数を掛けなければならなかった。

 結局、割り振られる電力がなければ工場誘致は不可能であり新たな雇用もなかった。

 トリウム発電は制御棒をスライドさせ、必要分だけ発電することができた。

 数十年から数百年掛けて燃料棒のエネルギーが尽きると熱量は0.5に低下し、

 冷却力が低くても構わない崩壊熱発電所へ移され

 3000kw(4000馬力)ほどの発電所に移行していく、

 関係者たち

 「離島に原子力とは、ずいぶんな投資だな」

 「島の方が機密を守りやすい」

 「動けない巨大原子力空母だと思えばいいさ。ドックや整備工場もあるし」

 「原子炉の安全性が確認されたら内地も埋設できる」

 「欧米にばれないだろうな」

 「風力発電機、水力発電機、ディーゼル発電機は置いてるよ」

 「ひょっとして、電力が余ってるんじゃないか」

 「30000人くらいしか住んでないから、5000kwも使わないから」

 「実のところ、住居分の電力だけなら風力発電と水力発電だけで足りてるし」 

 「自然エネルギーは不安定だが鉛蓄電池は1トンで40kwくらい貯められる」

 「区域ごと公園の地下バッテリーを大きくすれば不安定は緩和できる問題でもあるしね」

 「しかし、潜水艦の蓄電池並みのバッテリーは大き過ぎないか」

 「地震が多い内地用のテストケースも兼ねてるから」

 「内地は、どうしても火力発電所と地熱発電所が大きくなるし」

 「不足分を水力発電と風力発電で補う必要があるけど」

 「自然エネルギーは大型バッテリーで補完しないと怖いからね」

 「内地のテストケースのためにポナペに工場進出か・・・なに考えてるんだか」

 「30000人も住んで主要産業が農産品と水産業じゃ困るし」

 「戦艦大和の建造費分をかけて建設した原子炉だ」

 「利益を上げないと惜しいし、単品製造なら採算が合うだろう」

 「成功したら半島や高千穂にも埋めるのか」

 「地震がないところは原子炉を埋設しやすいし、発見されにくいから都合がいい」

 「次から次へと埋設していけば電力の問題はなくなるだろうし」

 「電気自動車に移行しやすくなる」

 「そうなればアメリカに弱みを握られにくくなるだろう」

 「問題は、トリウムとウランも日本に少ないことでは?」

 「どこまでも腹が立つ」

 

 

 アメリカ合衆国

 白い家

 偉い人たちは頭を抱えていた。

 失業率は英・独伊戦争、中ソ戦争の需要で低下していたものの

 工場はフル稼働ではなく、参戦しない限り景気回復しない、

 「日本側は了承したのか」

 「はい、潜水艦SS218アルバコアの引揚げは、アメリカ海軍でいいと」

 「ただし、事故調査のため航海日誌を確認したいとのこと」

 「それだけは駄目だ」

 「命令で日本商船に嫌がらせをしていたことがばれちゃいますからね」

 「なんでアルバコアは深度120mなんて中途半端なところに沈んだんだ」

 「とにかく、飛鳥丸のアメリカ海軍将兵の救助活動は船乗りの精神だ」

 「感謝の意だけでも出すべきでは?」

 「そのくらいのことしなければ、日誌の件は揉み消せないだろうか」

 「しかし、いくら潜水艦でも浮上距離を見誤るのがわからん」

 「日本の新型船は推進音が静かになってるとの報告を受けてます」

 「どういうことだ」

 「分かりません、ディーゼル電気推進が増えてるようですがいずれも推進音が5分の1以下・・・」

 「「「「・・・・」」」」

 「次に行こう」

 「この手の事件は急を要するが新たな報告待ちでいい。より深刻なのは経済だ」

 「アメリカ経済は確かに失業率が改善してるし、企業利益は増えている」

 「しかし、現状は、点滴で国内産業が保たれているに過ぎない」

 「どこの戦線であれ、参戦できなければ満足のいく需要はない」

 「欧州戦争は、勝負がつかない状況が続いてる」

 「中ソ戦争は、黄河を挟んで膠着状態です」

 「アメリカを攻撃してくれるような気前のいい国なんて存在しませんよ」

 「日本は?」

 「日本は艦隊を切り売りしてから経済成長の勢いが増してる」

 「10パーセント近い成長率を弾きだしてるようです」

 「欧州と中国で戦争中してるのに軍縮できる鈍感さが不思議だな」

 「日本人らしくないですな」

 「潜水艦と航空戦力が増大してますし、基地は大きくなってますよ」

 「強力なのかね」

 「520はメッサーシュミットやフォッケウルフを苦戦させてますし」

 「F4Fを押さえ、イギリス空母の主力艦上戦闘機になってます」

 「1式陸攻は、4発雷撃機として、アメリカ艦隊の脅威になるでしょう」

 「あと、輸出されてない戦闘機が1機種あるそうですが未確認です」

 「日本か・・・」

 「「「「・・・・」」」」

 「それより日本が原子爆弾を開発してる噂は?」

 「日本がウランとトリウムを入手してる動きがありますし」

 「離島で核開発してる可能性は否定できないでしょう」

 「離島か・・・」

 「日本は本当に核開発が可能なのか?」

 「科学者は? 技術者は? 製造力は? 資金は?」

 「資金はあるでしょう。製造力はありそうです」

 「科学者と技術者は、想像力やセンスの問題になります」

 「日本の組織は上位下達で上になるほど馬鹿になっていくので、あると思えませんが」

 「だが証言はあるし、証人もいた。十分な疑惑がある」

 「日本の核開発は、何とかやめさせるべきだ」

 「我々の核開発でさえ試行錯誤なのだ」

 「日本が簡単に核開発できるとは思えない」

 「真珠湾の戦艦を自爆させて、日本に宣戦布告するのは?」

 「日本がアメリカ軍を攻撃するのは不自然じゃないのか」

 「それ、米西戦争のとき、やったろう」

 「アメリカ国民は日本が戦艦を全部売却したのを知ってる」

 「軍縮中の国がアメリカに攻撃するわけがない」

 「日系アメリカ人の1世の半分はナイジェリアに行ってるし」

 「日系工作員がアメリカ戦艦に乗り込んだなんて・・・」

 「日本がアメリカを攻撃したなんて言いがかりが通用するか」

 「マスメディアを握ってるユダヤが日本贔屓だからな」

 「国民は日本が挑発に乗らない限り納得しない」

 「例え、黄色人種の国であってもな」

 「だいたい、あんな国、我々が血を流して占領してもいいことあるのか」

 「港湾と飛行場と市場は欲しいですがね」

 「将来的には対中対ソ戦の足場になるでしょう」

 「んん・・・」

 「石油か、石炭か、鉄鉱石でも出るなら占領してもいいのだが・・・」

 「「「・・・・」」」

 「高千穂(ナイジェリア)はどうかね?」

 「あそこは資源が豊富で有望だ」

 「日本に開発させて経済的、軍事的、政治的圧力をかけて奪うのがよかろう」

 「しかし、数十年後だと思う」

 「イギリスもそのつもりだろう」

 「だが、高千穂は抽選制衆議院制で政治意識が高まってるのでは?」

 「高千穂の貴族院、行政、財界はやりにくいだろうな」

 「だが抽選では当たり外れがあるだろう」

 「貴族院は国権で、まとまってる。票数的に衆議院を引っ張れるだろう」

 「それはそれとして、我々は、いま、需要が欲しいのだが」

 「「「「・・・・」」」」

 「日本の咬ませ犬として、朝鮮人が使えると思うが」

 「そういえば、ブラジルとフランス領アフリカに強制移民させられていたな」

 「彼らに高千穂を攻撃させて、弱体化させる方法はある」

 「ユダヤ資本が朝鮮人とパイプを作ってるようだが、組織化してるのかね」

 「「「・・・・」」」

 「まぁ 国を奪われた放浪の民の気持ちはわかるよ」

 「連中が歴史から消え去るか、残るかはわからんが」

 

 

 フランス領インドシナ (19万5000ku) + 広州湾租借地 (515ku)

 ヴィシーフランスはインドシナの軍事力を整備させつつ、

 ドイツ領内のフランス人をインドシナに移動させていた。

 フランス人はシベリア鉄道で大陸を横断し、

 日本海、東シナ海、南シナ海を超えて600万のフランス人が上陸し、

 フランス人は、土地を確保し、家を建て、公共設備と設備投資を行っていた。

 その過程で、日本とアメリカに大規模な発注をおこない、

 ヴィシーフランスは対価で日本に資源を輸出し、先物を発行していた。

 首都ハノイ

 フランス植民地守備隊

 「D520戦闘機とソミュアS35騎兵戦車の数が足りない」

 「国民軍の戦力が大きくなりつつあるし、我々の戦力は劣勢だ」

 「日本にもっと資源と先物を出さなければならないのでは?」

 「人の弱みに付け込みやがって」

 「ユダヤ資本とアメリカは、日本とインド洋を分断すためフランス領に投資してくれるが足りない」

 「日本は、南沙群礁を占領し」

 「島を埋め立て全長2000m級の滑走路を基地を建設してるようだが」

 「地下に何か埋めてると聞いてるが、小さな島だ。どうということはないだろう」

 「ところで、ジューコフは反乱起こす気配は?」

 「本国経由の情報ではスターリンはジューコフを警戒してるようで、その機会は少ないかと」

 「だがソビエト連邦は反スターリンが強まって崩壊寸前」

 「中ソ戦争が激しい方がジューコフの反乱は押さえられるだろうな」

 「しかし、黄河戦線が膠着し、中ソが停戦するとジューコフの反乱の可能性は高くなる」

 「そうなると国民軍とインドシナの戦機が高まる」

 「中ソ戦争が継続してた方が得ですか?」

 「仏領インドシナはそうだが、本土回復を考えると独ソ開戦しかない」

 「独ソ開戦を期待しますね」

 「独ソ開戦ならジュコーフはどう出るかな」

 「ソビエトの東半分を奪って独立するのでは?」

 「ふっ それはそれで面白いが、フランスの国土回復は絶望的になる」

 「どちらにしろ、ソビエトは身動き取れそうにないですね」

 

 

 フィリピンはタイディングス・マクダフィー法により独立した。

 もっともフィリピン政府は傀儡であることに変わりなく、

 アメリカ資本は残され、

 アメリカ軍は軍事基地をそのまま支配していた。

 アメリカ領コレヒドール島 アメリカ軍司令部

 アメリカ軍将校たちが東南アジアの地図を見下ろしていた。

 「アメリカ軍の基地があるフランス領」

 「イギリス領マレー。フランス領インドシナ。オランダ領インドネシア」

 「対日戦は心配ないだろう」

 「しかし、日本が首つり用の紐を作ってるのが気になりますね」

 「日本は後進国だ」

 「資源を得て、国内のインフラを整備し、工場を増やしたいのだろう」

 「資源を封鎖されたら、意味をなさないでしょうに」

 「日本海軍は潜水艦に力を入れてるようだ」

 「水上艦艇は大型空母1隻と巡洋艦8隻を建造する動きがある」

 「日本は、なぜ、戦艦建造をやめたのでしょうか」

 「わからんね」

 「航空機で戦艦を撃沈できると考えてるのでは?」

 「1式陸攻は、艦艇用魚雷で雷撃できる」

 「計算上は戦艦を撃沈できるだろう」

 「ふっ 数学者を飛行機に乗せてパイロットにするんだな」

 「1式陸攻は強力なのかね」

 「見た目はB17で性能はB24に近く、雷撃機のようです」

 「厄介ではあるな」

 「520戦闘機は、それほど気にすることはなさそうだが」

 「4発雷撃機に突撃されると撃沈される戦艦も出てくるだろう」

 「それと潜水艦ですが、日本潜水艦の発見が難しくなってるそうです」

 「本当に?」

 「こちらのソナーを掻い潜ってる節がありますね」

 「「「「・・・・・」」」」

 「では、日本の潜水艦は我々の対潜網を掻い潜って、戦艦や空母を雷撃できるのか」

 「その危険性は高いと思われます」

 「日本人を挑発せよと大統領が煩いがどうしたものか」

 「ふっ 失業対策で、どこでもいいから戦争したいのだろう」

 

 

 高千穂 (ナイジェリア)

 日本人の移民が進むと、公共設備が建設され、

 水田が増えていく、

 他にもカカオ、アブラヤシ、サトウキビ、キャッサバ、ヤムイモ

 ドリアン、マンゴー、マンゴスチンが栽培され、

 北部では落花生、トウジンビエ、トウモロコシが栽培されていた。

 高架線(3000km×高さ12m×幅12m)が建設されつつあった。

 外周環状線は民族的な排他的権益の象徴として建設され、

 日本人と現地民の自治を分ける境にする計画だった。

 住宅公団は既得の家主と地主が存在しない高千穂(ナイジェリア)の主要産業になった。

 規格化された家屋が建設され、

 日本や半島より広大な個人宅が建設され、

 莫大な財政投資で人手不足に悩まされながらも労働者は収入を増やしていた。

 建設現場の人たち

 昼食はマンゴ、パイナップル、ライム、グレープフルーツ、

 パパイア、アセロラがテーブルの上に載っていた。

 日本人は、ごはんと味噌汁という固定観念は少しずつ失われいく、

 「これだけの大工事。どこからお金が出るのやら」

 「とりあえず赤字国債出して、最終的に現地民自治州に押し付けるらしいけど」

 「いろいろ、やべぇ・・・」

 「まぁ 現地民だって衣食住と仕事を準備されて自治を認めて貰うんだから」

 「種族ごと分けられて管理しやすいし都合がいいのさ」

 

 

 ナイジェリア人は、トラックに乗せられ、

 外周であてがわれた新築アパートへ押し込めていく。

 日本人と現地民

 「名前は?」

 「kf。うydふゅづl、づふy」

 「「「「・・・・・」」」」 ちんぷんかんぷん

 「ハウサAAC3456にしよう」

 標識と書類に手形を押させ、指紋を確認すると完了する。

 「上下水道と電気が欲しかったら働くんだぞ」

 「gすkfhrじゅづl、づふy」

 「「「「・・・・・」」」」 ため息

 

 

 瑞州(ニジェールデルタ)

 整備されつつある港湾に妙高、那智、足柄、羽黒が浮かび、

 造船所で瑞州開発用の河川舟艇が建造されていた。

 抽選制衆議院の新風が日本人に気に入られたのか、

 カンフル剤のように刷られ、ばら撒かれる財政投資に誘われたのか、

 日本人入植者が増え、街が形成されていく、

 特に世界最大の瑞州は熱帯作物だけでなく、日本の水田も広がっていた。

 妙高 艦橋

 「こんな港湾らしい港湾のない中洲に艦隊基地を作るなんて」

 「ラゴスと違って、ペナンとカメルーンから離れて守りやすいのは確かですけどね」

 「川を浚渫して、もう少し内陸まで大型艦船を遡れるようにするらしい」

 「大盤振る舞いですね」

 「食糧生産は大きいし、最悪でも石炭とスズは取れるからな」

 「内陸まで大型船が遡上できる方が輸送が有利らしい」

 「社会資本が増えると誰が資本を集約するかわからないし」

 「閨閥、旧財閥は、新興財閥の台頭を恐れなければいけないわけだ」

 「国が大きくなる時なんて、そんなもんだ。どうにもならんだろう」

 「しかし、出鱈目な投資ですね・・・」

 通信士がラジオの内容を伝えた。

 「艦長 “一寸法師区” と “ごんぎつね区” で油田が出たそうです」

 艦長と副長が地図を見つめる。

 むかし話から取られた地名が中洲ごとにつけられていた。

 「油田があれば自立できると思ってるんだろうな」

 「少なくとも駐留艦隊は燃料に困りませんよ」

 「満州を超えることができればいいが」

 「ソビエトや中国人がいませんから安全保障で楽ですし。統治しやすいでしょう」

 「ナイジェリア内政で失敗しなければな」

 「それより、軍事力の増強がないのが許せん」

 「いま、ナイジェリア人を使って水力発電を建設するのが忙しいみたいですよ」

 「内地も設備投資と輸出で忙しいらしく、国防にまで手が回らないらしい」

 「国の価値が大きくなるのに防衛手段が小さければ取られるだろうが」

 「イギリスとフランスの植民地と相互保証に近いですし」

 「ちょっかいを掛けてくるとしたらアメリカくらいでは?」

 「アメリカか」

 「水上艦艇で幅寄せしたり、潜水艦でいやがらせしたり・・・沈めてやりたい」

 「戦っても勝てないのでは?」

 「我が方の潜水艦は、アメリカ太平洋艦隊の戦艦と空母を20回以上沈めてるらしい」

 「気付かれなかったらしいから戦争しても構わん気分だ」

 

 

 

 中ソ黄河戦線

 イスパノ・スイザ12Yエンジンを祖とするエンジンを積んだ日本製戦闘機と

 ソビエト製戦闘機が入り乱れ空中戦を展開していた。

 どちらも1200馬力〜1350馬力にまで性能が向上し、

 機体は洗練されていた。

 地上では、M4戦車が砲撃を受けると次から次へと撃破され、後退していく、

 黄河を挟んでM4戦車とT34戦車が砲撃を繰り返していた。

 国民軍将兵と日本人

 「駄目ある。M4戦車じゃT34に勝てないある」

 「軽戦車のソミュアS35ならなおさらですね」

 「日本は、もっとまともな戦車を作るある」

 「イギリスが重戦車製造を打診してきてるのですが、なにぶんラインが・・・」

 「資源はいくらでも渡すある。華北と満州を白人から取り戻すある」

 「しかし、イギリスはソビエトに対独参戦して欲しいらしく」

 「中国輸出はなかなか・・・」

 「裏工作用の資源も渡すある」

 「D520はどうです」

 「Yak3、Yak9、La5といい勝負ある。もっとたくさん欲しいある」

 

 上海

 全長236.6m×直径30.5m 体積10万5千m3

 マイバッハ製550HPエンジン5基。積載量60t

 ドレフュス(LZ127グラーフ・ツェッペリン)が浮かんで中国人を圧倒していた。

 揚子江河口にはユダヤ艦隊

  戦艦 ダン(伊勢)、ナフタリ(日向)、

  強襲揚陸艦 メギド(神州丸)、アララト、シナイ、オリーブ、モリヤ、ゲリジムが停泊し、

 強襲揚陸艦からトラック、ブルドーザーなど建設機材を降ろしていた。

 ロスチャイルドは、華僑資本と共謀して中国金融支配を望み莫大な利益を上げていた。

 そして、中国資産が増大していくにつれ、防衛のための造成工事を行っていた。

 

 ダン(伊勢) 艦橋

 「三峡ダムを建設してやろう」

 「しかし、外資は国民に強い抵抗がある」

 「我々に中国紙幣の発行権を与えるなら、無償で資本と機材を提供しよう」

 「中国を100年で世界一の帝国になる」

 「しかし、紙幣発行は国権ある」

 「中国国民党は、三峡ダム利権で安楽に地位を得られるから安いものだろう」

 「それに我々がアメリカ紙幣を発行したからアメリカは世界一の大国になったのだ」

 「我々が積極的に経済を喚起しなかったなら」

 「アメリカはブラジルとなんら変わらない国になってただろう」

 「しかし・・・」

 「中国人は利己主義で国民同士が憎み合ってる。愛国心もない」

 「中国合衆国は、北のソビエトと南の仏領インドシナの挟み撃ちに遭うだろう」

 「矜持と愛国心は衣食住など必要最低限の豊かさから培われるのだ」

 「我々は、国民党の利権と、中国の愛国心強化と近代化に貢献できるだろう」

 「そして、中国を世界最強の帝国にできるだろう」

 「しかし、政権交代が起これば利権を失うある」

 「はぁ?」

 「民衆が怒れば権力を保てなくなるある」

 「アメリカ合衆国の共和党と民主党は我々が支援してるのだ」

 「アメリカ国民は自分で大統領を選択してる気になってるだけ」

 「我々がどっちでもいいから引くように仕向けてるだけなのだ」

 「中国も別に民主党でも野党を作ればいい」

 「どっちが勝とうと、国民党が利権が失われることはない」

 「中国国民がどっちを選択しようと、我々は当たりのくじを引き」

 「大衆は外れのくじを引くのだ」

 「アメリカ合衆国の二大政党など、国民向けのガス抜きに過ぎないのだよ」

 「「「「・・・・・」」」」

  ※ 聖書 「平伏して、わたしを拝めば、全てを与えよう」

                         と悪魔がイエスに言いました。

 

 

 

 北海

 33550t級空母グラーフ・ツェッペリン

 BV155戦闘機が飛行甲板から離陸していく、

 ポケット戦艦 アドミラル・シェーア

 重巡ザイドリッツ、軽巡ケーニヒスベルク

 仮装巡洋艦 4740t級ミヒェル、4788級メーヴェ

 グラーフ・ツェッペリン艦橋

 「イギリス空母は1隻だけだろうな」

 「U3001がイラストリアスの雷撃に成功したとの報告を受けてます」

 「北海にいるイギリス空母はヴィクトリアスのみ、戦艦はハウのみのはず」

 「輸送船団の護衛空母は10隻以上いそうだが」

 「敵輸送船団は、放っておいてもいい」

 「何とか通商破壊艦隊を南大西洋に送り出せればいいのだが」

 「イギリス艦隊は対Uボート戦で疲労し弱体化してる」

 「イギリスの海軍戦力だけなら、何とか戦えるでしょう」

 「長門は?」

 「長門は、前回の作戦で雷撃され、修理中と報告を受けてます」

 「あの戦艦には何度もしてやられてるからな。用心しないと・・・」

 「提督。南200kmで輸送船団を発見したそうです」

 「護衛空母3隻。駆逐艦7隻、輸送船18隻です」

 「「「「・・・・」」」」

 提督は太陽の位置とクロノメーター(時計)を確認し

 「護衛空母と駆逐艦を片付けられれば、Uボートの被害を減らせるな」

 「はい」

 「爆撃部隊を出撃させろ」

 「フィゼラー167も出しますか?」

 「いや、先に空母を片付けてからの方が雷撃機は安全だ」

 爆装したBV155戦闘機16機が飛び立っていく、

 

 イギリス輸送艦隊

  7800t級ボーグ級護衛空母トラッカー、バトラー、アタッカー

  軽巡ノーフォーク、駆逐艦7隻、コルベット4隻

 フェアリー ソードフィッシュ4機が船団周囲を低空で旋回していた。

 もし、潜水艦の影が海面に映れば直ちに爆撃できた。

 一時、日本の97式雷撃機と99式艦爆が輸入される動きがあったものの、

 空母艦上機ではいらないことになりソードフィッシュが使われている。

 トラッカー艦橋

 「提督。迎撃のD520は2機とも撃墜されました」

 「偵察機に撃墜されたのか」

 「単発の偵察機がこんな洋上にいることが不自然です」

 「空母か」

 「そう思って間違いないかと」

 「全空母。戦闘機を全機発艦させる。風上に向け増速」

 護送船団は、対潜警戒から対空警戒へ移行し、

 イギリス軍将兵は海面から上空へと視線を写し、機関砲を上に向ける。

 3隻の護衛空母からD520戦闘機6機が飛び立つと、

 北方から現れたBV155戦闘機の4機が爆弾を捨てるとD520戦闘機5機と交戦に入り、

 爆装したBV155戦闘機12機が4機編隊で護衛空母に向かっていく

 護衛空母は弾幕を上げ、必死に回頭し、爆撃から逃れようとしていた。

 航空機と艦船は相対速度が7倍から10倍くらい違う。

 特に護衛空母と輸送船は緩慢だった。

 船団から対空砲が撃ち上げられ、爆発が広がっていく、

 BV155戦闘機が急降下していくと大気層と風速で機体がうねり、

 炸裂弾の爆発で機体が振動し軌道が乱される。

 上空に脅威はなく、対空砲火の炸裂のみが脅威だった。

 機銃弾が機体に向かって集束し、コクピットの窓枠をかすめていく、

 パイロットは標的の護衛空母をターゲットスコープの下側に収め

 決められた角度と決められた速度と決められた高度で投下する。

 みるみる大きくなっていく標的に向かって、爆弾投下の引き金を引き、

 軽くなった機体を持ち上げていく、

 体全体に重圧が圧しかかり、

 護衛空母を飛び越えて、海面の上を飛び、船団の間を抜けていく

 後ろから爆発音が轟き、背後を見ると護衛空母から爆炎が上がっていた。

 僚機と上昇し、船団上空を旋回すると護衛空母2隻が炎上していた。

 「こちら爆撃隊。護衛空母2隻大破を確認した。帰還する」

 移動する標的と移動する母艦の位置を正確に知るすべはない、

 ドイツ機動部隊は、重巡ザイドリッツ、軽巡ケーニヒスベルクがAr196を出撃させ、

 中継機としてドイツ爆撃部隊の航法を助けていた。

 ドイツ空襲部隊は、二つの電波の強弱を測り、

 決められた方位に向かって飛行し、

 そして、第2波のBV155戦闘機9機と擦れ違う。

 

 輸送船団は、二度の空襲で3隻の護衛空母を大破炎上させられていた。

  7800t級ボーグ級護衛空母トラッカー、バトラー、アタッカー

  軽巡アルゴノート、ノーフォーク、駆逐艦7隻、コルベット4隻

 トラッカー艦橋

 「急いで消化しろ、可燃物はすべて捨てろ」

 “艦長。浸水は止めました。機関の再起動は30分後です” 伝声管

 「機関長。20分で頼む」

 “了解”

 「提督。バトラーは航行不能。アタッカーは15ノット出せるそうです」

 「やられたな。まさか、グラーフ・ツェッペリンが就役してるとは・・・」

 「救援は?」

 「ヴィクトリアスとハウが来るそうです」

 「護衛艦と輸送船を南に逃がせ。これじゃ守れん」

 「バトラーはどうしますか」

 「軽巡アルゴノート、ノーフォーク、駆逐艦3隻を護衛に残して後退する」

 

 

 ドイツ艦隊の装甲艦アドミラル・シェーア、重巡ザイドリッツ、軽巡ケーニヒスベルクと

 イギリス艦隊の軽巡アルゴノート、ノーフォーク、駆逐艦3隻が撃ち合う。

 BV155戦闘機3機は軽巡を爆撃し、駆逐艦に機銃掃射を繰り返した。

 アドミラル・シェーア 艦橋

 「巡洋艦以上で3対2。艦数は3対5か・・・」

 「BV155が駆逐艦を牽制しているようですし、勝てますよ」

 「問題は、救援の艦隊が来るまで戦えるかどうか・・・」

 上空にD520が現れ、BV155と空中戦が始まる。

 双方の戦闘機は徐々に増え、

 イギリス艦隊だけでなく、ドイツ艦隊も対空砲を撃ち上げる。

 ソードフィッシュの魚雷を確認すると、

 「面舵一杯!」

 砲撃の途上で艦首が回頭し、

 魚雷は艦首左舷を抜けていく、

 「爆撃が、こっちに来るとはな」

 「仮装巡洋艦を先行させて正解でしたね」

 「駆逐艦が回頭します」

 駆逐艦が腹を向けるときは、魚雷を発射するときで、

 見張り員は緊張しながら駆逐艦の機動を注視していた。

 駆逐艦が魚雷を発射しました。

 「取舵一杯!」

 アドミラル・シェーアは、イギリス駆逐艦が発射した魚雷3本をかわし、砲撃を続けた。

 「ハウが来る前に引き上げなければな」

 「BV155より、ハウは、西方40kmでこちらに急行しています」

 「40kmか、あと10分から15分で射程に入るな」

 「それまでに撃破したいところです・・・」

 イギリス軽巡アルゴノートに砲弾が命中し誘爆を繰り返した。

 軽巡ノーフォークも炎上してるが撃沈には至ってない、

 しかし、時計は回り、BV155がハウの接近を知らせていた。

 ジリジリとした時が流れ・・・・

 「全艦、撤収する」

 ドイツ艦隊とイギリス艦隊は離れ、

 砲声は止み、航空戦も終わっていた。

 グラーフ・ツェッペリンは、魚雷1本命中していたが航行に支障なく、

 ドイツ本国へと帰還していく、

 

  

 白亜工業

 自然対流型トリウム原子炉が建造されていた。

 燃料棒をスライドさせて中性子を当てるため

 最大出力を超えない程度で、必要な発電量を調整することができた。

 燃料棒が寿命を終えると崩壊熱発電用原子炉に移され、

 地層が安定してる民間企業に売却され、地下に埋められる。

 発電量は100分の1以下になっても自給用だけでなく、売買することもできた。

 主要電力会社はクビを絞められることになるのだが

 電力は自由化と発送電分離がなされていることから製造業者が強かった。

 

 冷却水がチタン板に沿って流され火花と水が一緒に弾け消えていく、

 チタン加工は少しずつ改善され、量産化していた。

 そして、ケブラー、カーボンなどの新素材の複合素材も運び込まれてくる。

 関係たち

 「原子炉は、もう少し小型化できるといいのだが」

 「安全性を考えるなら設備が大きい方がいいですよ」

 「潜水艦が大きくなると金が余計にかかる上に発見されやすく撃沈されやすくなる」

 「艦内で水と酸素を作るくらいなら4000t級で十分ですよ」

 「動力にも回したい」

 「10000t級なら船殻が大きいので5000馬力くらい行けそうです」

 「白亜は50000馬力超えてたそうじゃないか」

 「素材加工が弱いので、もっと設備投資してもらわないと安全性を確保できませんね」

 「日本男児のくせに金金言うな」

 「一番、金を欲しがってるのは国防省でしょう」

 「こっちは、日本の国防を担ってるんだ」

 「しかし、いくら背伸びしても届かないものは届かないですし」

 「なんでもっと税金を集めて予算をひねり出さない」

 「「「「・・・・」」」」 ため息

 

 

 日本国防省軍需局

 設計図が広げられていく、

 「これを作ってイギリスとイスラエルに輸出してくれだと」

 重量52t 17ポンド60口径76.2mm砲

 全長7.60m×車体長 m×全幅3.39 m×全高 3.01 m

 650馬力 速度34km/h  行動距離450km

 「重戦車じゃないか」

 「50両輸出してくれたら日本のライセンス料は免除してやるそうだ」

 「ふざけんな」

 「何様のつもりだ」

 「その気になったら数倍強力な戦車だって作れるんだぞ」

 「金があればね」

 「金か・・・」

 「金どころか、労働者不足で戦車のラインすら増やせん」

 「朝鮮人をブラジルと仏領に売るからだ」

 「あの時は金が欲しかった」

 「水飲み百姓の土地もね」

 「尊い犠牲だったな」

 「「「「・・・・・」」」」 こくんこくん

 「金を余計に得ようと思ったら日英ユで同じ戦車を使うしかないのかね」

 「いや、いくらなんでも、52tは、ないだろう」

 「国内用は軽量素材を使えば・・・」

 「高すぎる」

 「しかし、橋を渡らせないのは辛いだろう」

 「「「「・・・・」」」」

 「走れるのは舗装が進んでる主要幹線道路くらいか」

 「重戦車の配備は無理だよ」

 「だいたい、どうやって運ぶんだよ」

 「だいたい、戦車を共有するのは機密漏洩で不利だ」

 「イギリスは対独戦で秘密を漏らすとは思えんし」

 「イスラエルは陸続きの国で、我々以上に戦車依存が大きい」

 「彼らは情報を漏らさないと思うが」

 「しかし、イスラエルは世界中から集められたユダヤ人だ」

 「出身国にパイプを持ってる」

 「利害が一致してる時は、機密が守りやすいと思うがな」

 「それに日本の本体は列島にある」

 「ユダヤ人は本当にイスラエルを守りたいと思ってるのか?」

 「愛国心は日本人とそう変わらないと思うぞ」

 「戦車を共有化するのはいいとしてもだ」

 「道路と港湾事情は如何ともしがたい」

 「輸出優先だな。内地は道路を建設しない限りどうしようもない」

 「戦車のラインを作るのにも四苦八苦してるのに」

 「道路舗装に予算を回せってか」

 「軍需より民需の方が金が多いよ」

 「むしろ外貨稼ぎで重戦車売って、アメリカのM4を買って配備する方がいいかもしれん」

 「M4だって、32.3tある。運用できる道路は増えるけど」

 「黄河戦線の戦訓をみればM4戦車作るくらいならT34を作りたい」

 「新素材は使えないの?」

 「機密保持がしやすい空軍と海軍にとられた」

 「くそぉ」

 

 

 12月7日13時35分

 大地が揺れ御前崎市、津市の家屋が倒壊し、各地で火災を引き起こしていく、

 そして、震源地が紀伊半島沖で近かく、海岸線に津波が押し寄せた。

 死者・行方不明者1223名を出し、

 被害は流失家屋 3129戸、浸水家屋 8816戸、焼失家屋 13戸に達した。

 関係者たち

 「やれやれ、どこまでも天運に見放された国だ」

 「また予算が削られるな」

 「停電してる地域は?」

 「送電管理局が保険用の発電所を持ってるからね」

 「停電、メンテナンス、事故の時でも電力を供給できる」

 「局長。ユダヤ資本が外資の株取得率を上げてくれるのなら震災復興資金を貸してくれるそうですよ」

 「国権や民族資本の抑圧から脱したがってる庶民は少なくない」

 「ある程度の外資参入を入れるべきだろうが」

 「外国の政策誘導に乗るのは面白くないし」

 「拝金主義が強くなると官僚は、買収しないと仕事しなくなる」

 「ユダヤ資本を突っぱねるとアメリカが戦争しかけてくるのでは?」

 「東南海地震の被害はアメリカに知られてる」

 「同情票が集まればアメリカの対日開戦機運を押さえられるかもしれない」

 「アメリカの対日参戦機運の元は、戦争で予算を集められる企業であって」

 「戦争で殺されるかもしれないアメリカ庶民じゃない」

 「反戦主義者の勢力も少なからずいるから大丈夫だろう」

 「貧困層は生きる糧で兵役を望んでいるのでは?」

 「権力層は意図的に貧困層を作って奴隷にするからな」

 「しかし、中東派遣で予算、人材、資材が削られてるというのに」

 「東南海地震の復興にいくら使ったものか」

 「「「「・・・・」」」」 ため息

 

 

 

 

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 月夜裏 野々香です。

 使用済み核燃料の放射線は1億倍〜1万倍になって、

 熱量は0.7パーセント〜から数万年かけて低下していく、

 この使用済み制御棒を鉛の壁で覆い崩壊熱発電すると

 小さな工場の消費電力分くらいなら賄えるかも・・・って話し、

 設備費が大きいのに利益は少ないが、

 地震のない外国に売っちゃえばいいだろう。ってこと (笑

 因みにこの時代の日本は、発電力465万kwなのですが、

 戦記では、発電1000億kwの21倍で1960年代いってます。

 ぶっちゃけ、電力さえあれば労働者と資材を集めて工場を動かせて物を加工でき、

 電車を走らせ人と物を動かせるわけです。

 

 

 アメリカ合衆国の二大政党制の話しでした。

 アメリカは企業連合帝国なので、

 誰が大統領になっても企業連合の利益誘導と思惑が強く

 国権派の共和党と民権派の民主党の違いがあっても政策の違いが少なさそうです。

 日本は、自民党が協力者と身内をコネで

 電力会社、東京電力とか (笑

 優良企業に入れてポストを確保していったので

 どんなに悪いことしてもなかなか揺るがないようです、

 その不正腐敗の反発が反日民主党の躍進につながったのですが (笑

 アメリカ合衆国の政体と日本の政体の違いを認識してないと作品の深みがなくなるわけで、

 戦記の日本は、戦前の政治

 国権派の立憲政友会(政友会)と民権派の立憲民政党(民政党)

 の二大政党制が続いています。

 アメリカの主資従政と違って、日本は主政従資なので、

 政党が変わるたびに政策が変わり利権が変わるので大変、

 鉄道建設が止まったり、ルートが変えられたり (笑

 戦後教育は駄目だ。昔の日本は素晴らしかった。

 なんて懐古主義な人もいますが

 歴史を知らないというか、日本の権力者も結構バカやってますんで、

 その反省で戦後は、官主政従になったようですが (笑

 最近は、拝金主義なのか呪符(紙幣)の力で式神にされてボロボロのようです。

 

 

 そして、戦記の日本の政友会と民政党にも外資ユダヤ資本の影が・・・・

 この時代は、まだ、気骨のある議員が多く、

 アメリカの圧力で歪んでないので今よりマシなようです。

 

 

 

 ユダヤ海軍

 戦艦8隻、小型空母1隻、強襲揚陸艦6隻、軽巡17隻、駆逐艦36隻、

 ルベン(金剛)、シメオン(比叡)、イッサカル(榛名)、ゼブルン(霧島)、

 ダン(伊勢)、ナフタリ(日向)、ガド(扶桑)、アシェル(山城)、

 ガリラヤ(鳳翔)

 メギド(神州丸)、アララト、シナイ、オリーブ、モリヤ、ゲリジム、

 アフェク(天龍) カナ(龍田)

 ツロ(球磨) アコ(多摩) ハモン(北上) ハロシェテ(大井) ケデシュ(木曾)

 シロ(長良) キネレテ(五十鈴) ハマテ(名取) ラマ(由良) ラマ(鬼怒) リモン(阿武隈)

 ヨクネアム(川内) ガテ・ヘフェル(神通) シムロン(那珂)

 サリテ(夕張)

 峯風、澤風、沖風、島風、灘風、矢風、羽風、汐風、

 秋風、夕風、太刀風、帆風、野風、波風、沼風

 神風、朝風、春風、松風、旗風、追風、疾風、朝凪、夕凪

 睦月、如月、弥生、卯月、皐月、水無月、

 文月、長月、菊月、三日月、望月、夕月

 

 

 

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第12話 1943年 『高千穂は抽選制衆議院ということで・・・』
第13話 1944年 『紙幣は呪符だから』
第14話 1945年 『銃声とカザーク再燃』