第16話 1947年 『権力者にしてやるニダ♪』
東京 総理官邸
国勢調査のページがめくられていく、
首相公選後、総理大臣の支持基盤は国民の集票になり、
国権と民権の狭間で選択することに集中しやすくなっていた。
一方、選挙区が小さい議員は、利権票が大きく、
国家や民権の代表より、利権代表といった意識が強く、
総合職の総理と利権群閥議会の軋轢が強まっていた。
「日本国内の異分子がいなくなった」
「しかし、高千穂は3000万近い多種多様な現地民を抱え込み」
「外周の異民族と区別がつかなくなっている」
「今後、地方分権で予算を地方に投じることになるが」
「代償として、DNA遺伝子を使った国民総背番号制を敷きたい」
「しかし、日本は口分田以来、住所で国民を管理してきた伝統がある」
「交通事情の発達により県外、都外就業も容易になっている」
「また、州予算が増え、地方色が強まれば、地元を嫌う者が現れる」
「中央と他地方でそういった人々を引き受け、生活圏を自由に広げるようにすべきである」
「そのような膨大な人事記録をどうやって中央で管理するというのだ」
「IC集積回路を開発した」
「中央と地方の役場を繋ぎ」
「遺伝子を使った国民総背番号制は可能である」
「しかし・・・」
「社会資本が増えて、国民は幾つもの地域に所在を置くことが可能になってる」
「国民総背番号制は不可避である」
「地方自治体は、中央の国民総背番号を参照し、住所を管理するだけでいいのだ」
自治強化による税収増加で地場企業が育ち始める。
日本のユダヤ人軍事訓練場
ユダヤ人の軍事訓練場がイスラエル本国に移動していくと、
世界中の新人傭兵の訓練が始まり、
訓練が終わると北アフリカ戦線へと送られていく、
日本人管理人たち
「旧ユダヤ軍訓練所で外国人傭兵部隊の訓練か」
「日本人の倫理観が、だんだん狂ってきてるな」
「ユダヤ資本が世界中の貧困層を集めてきて、北アフリカに送ってる」
「いったい、どれだけのお金持ってるんだよ」
「ふっ 貧困層と黒人なんて食うものも着るものも家もない連中だ」
「戦功をあげれば衣食住を提供するだけで命懸けで戦うだろうさ」
「なんでインドでやらないんだ」
「ユダヤ資本で集めた傭兵部隊っていうのが発言力になるじゃないか」
「ユダヤ資本は、ヤバいだろう」
「一応、外資株制限かけてるらしいが、外資支社創業は制限ないし」
「コカコーラーなんて、ほとんどの小売店で販売されてる」
「日本も気合入れて、美味しい炭酸作れよ」
「せっかく稼いでも外貨がアメリカに流れていくだろうが」
「最初は変と思ったが、美味しいだよなぁ」
「もう、中毒にされてやがる」
扶桑半島
日本人が入植すると近代化はさらに加速し、
中カ戦争向けの工場地帯が拡大し、
資源が加工され商品が商業地に溢れ、
公共機関が作られ、住宅地が次々に建てられていく、
夜遅くまで電灯が点けられ、
大量の電気が浪費されていく、
白人たちが送電線の出所を確認しながら歩き回り・・・・
とある場所
「すみません」
「は、はい」
「ここは、地熱発電を行ってるのですか?」
「え、ええ、そうです」
外国人たちは不思議そうな表情をする。
「扶桑半島は地震がないのに、なぜ、地熱発電が盛んなのです?」
「・・・ごほん! な、なんというか・・・局所的なマグマ溜まりがあるのですよ」
「「「「「・・・・」」」」」 じーーーーー
ごほん!
「注水ポンプと排出ポンプはどこにあるのです?」
「ああ・・・いや・・・」
「これは、地中に缶を埋めて蒸気を循環させ発電する特殊なモノでして・・・」
「か、缶を地下に埋めてって・・・」
「見学させてもらっていいですか?」
「え、ああ・・・今日は散らかってるので、明日・・・」
「し、しかし、地表には、大した施設がないのですよ」
「ボーリングコアは見せてもらえるんですか?」
「ああ・・・それは、内地の大学に渡したかな」
「では明日来ます」
白人たちが首を振りながら帰っていく、
「明日までに放射線検知器を隠しとけ」
「はい」
地下崩壊熱発電は表向き、地熱発電ということになっていた。
カザーク連合
ハルピニスク
カザーク連合は国体の差別化と
国家の特殊性を表現するならコサック文化しかなく、
ソビエトとの違いを表面化させるため、ロシア正教も少しずつ定着していた。
テント風のカフェテラス
日本人たち
「出来立てホヤホヤの国か」
「イタリア料理屋が多いようだが」
「食文化で周辺国と差別化を図ろうとしてるんじゃないかな」
「イタリア料理をカザークの国食に?」
「いや、ロシア料理にイタリア料理を足して、カーザク料理を作る材料にしたいだけだろう・・・」
サモワールからカップにロシアンティが注がれ、テーブルに並べられていく、
「「「「・・・・」」」」
「日本国産の紅茶とジャムも捨てたものじゃないな」
「ロシアでは紅茶が好まれてるのに独立でグルジア紅茶が入らなくなってる」
「カザーク連合の市場を中国茶と日本茶が取り合うことになるな」
「カザークで紅茶を作るようになるんじゃないの」
「グルジア人が紅茶作ってるからロシア人に生産のノウハウがあるわけじゃない」
「今のところ、国産紅茶のライバルは中国産紅茶だろうな」
「碌に紅茶を飲まないのに紅茶を作るとはね」
「カザーク連合存続は日本の国益だよ。紅茶の生産と輸出くらい安いもんじゃないか」
「ジューコフの対日戦略はいいと言えないがね」
「カザークの国情で判断するなら、日本を信用しろというのが無理なことだろう」
「アメリカと接近されると困るがね」
「そういや、アメリカの薬品が増えてるようだ」
「医薬品か・・・インディアンと黒人で人体実験した成果だろう。いいなぁ」
「ほとんどは、上海経由で入ってきてるらしい」
「じゃ アジアは、まだ、ロスチャイルドが強いのか」
「結局、アメリカが対独参戦できてないから、ロスチャイルドが反目してるのだろう」
「だけど、ユダヤ資本の中国経済浸透は酷すぎないか」
「ユダヤ資本は、蒋介石総統と華僑資本を仲違いさせたあと」
「ユダヤ資本が蒋介石総統を経済的に支えてる。上手いやり方だよ」
「日本資本は指をくわえてみてるだけか」
「政治的に介入してないが、日本租界だけは確保してるよ」
「総合デパートの売り上げは多いし、いまのところは、日和見でいいだろう」
「もっと積極的に行けばいいだろう」
「高千穂州の自衛強化まで、中国で消極政策を続けるのが政府の意向らしい」
「アメリカと戦争になるのかね」
「フィリピンのアメリカ軍に挑発されてるじゃないか」
「去年のアメリカ海軍南シナ海演習の雷撃事件で開戦寸前だったといわれてる」
「おかげで、海凰2番艦の雷凰建造が決まったよ」
「馬鹿たれが」
「アメリカ機動部隊の規模は大き過ぎる」
「大型水上艦艇を建造しても対抗できるわけがない、無駄だろう」
「建造したいんだよ」
「浪花節で大型艦艇は馬鹿げたことだ。潜水艦と航空機だけでいい」
「そういう意見も強かったけどな・・・」
古めかしい儀仗コサック騎馬兵の行進が始まる。
騎馬兵の表情は柔らかく、黄河戦線の戦闘が低調であると
「どちらにせよ。対ソ、対中で緩衝国の誕生は、よかったというべきか」
「こういう形で夢が実現してしまうのはなかなか逆説的じゃないか」
「しかし、アムール州、満州、華北だ。潜在能力は日本より高い」
「ソビエトと中国に囲まれてるから軍事力で消耗すると思うが」
「だといいがね」
「新しい国は、利権構造で賃金格差を低い状態から始められるし」
「動脈硬化してないし、老害が少ないから有利だ」
「老害が大きくなると新しい産業を起こせなくなるし」
「膠着していく利権にしがみ付いた保守層に庶民が踏み躙られる」
「日本は1868年の明治維新で利権を崩して世代を一新している」
「100年から150年くらいは余裕があるよ」
「それを考えるなら、カザークは伸び盛りか」
「いや、一番大事なのは国民同士の信頼関係だから、元々それがないと辛かろう」
「日本はそんなに信頼関係あったか」
「まぁ 日本の犯罪が減ったのは、経済的に豊かになった最近のことだけどな」
「日本人は、長いモノに巻かれて事勿れるからね。少しずつ腐っていきそうだが」
「扶桑半島と高千穂が外圧になってくれるだろう」
「だといいが・・・」
カザーク城が建設されつつあった。
それはどこまでもコサックのテントをイメージさせる城だった。
亡命ロシア貴族がロシア革命(1918年)から30年を越え
極東の地に集まろうとしていた。
忘れかけていたロシア語が話され、
若い子供たちは片言のロシア語と
英語、フランス語、イタリア語、スペイン語の混ざった言葉で意思を疎通させようとしていた。
「カザークは、資本5分、民主5分というところか」
「もう、世襲貴族の時代は終わってしまったんだな」
「怠惰で無能な世襲貴族が増え、世界最大のロシア帝国を食い潰したのだ」
「30年の放浪は特権と私利私欲を自制できなかった代償なのだろう」
「ソビエトじゃ伯爵の地位を公言できなかったよ」
「居残り組か、亡命組は持ち出した金銀財宝がなかったら死んでたな」
「というより、馬鹿な貴族は、外国の地で篩をかけられた」
「我々は、創始者としてこの地に立ってると思えばいい」
「俺は、パーレン男爵家を捨てるつもりはないが」
「ボーブリンスキー伯爵家を名乗れるのなら、ソビエト連邦より居心地がいいな」
「特権なしでも?」
「流動的だが、金と利権の時代だよ。それに特権は作るもんだろう」
高千穂(ナイジェリア)
舌切り雀区役所の研修高校生・大学生が抽選箱から票を取っていく、
役職が当たっていたら卒業後、公務員に付いた。
「うぇ 戸籍課かよ」
「俺外れ」
「どうするの?」
「まぁ 民間企業で働くか、海軍に行くかな」
「海軍は体力勝負だから、退役早いだろう」
「そうなんだよな」
「一般公務員と違って、軍隊、警察、消防は出世できないと後がないし」
「軍は縮小気味だし、天下りがないと辛いんだよな」
「まぁ 定年後の土地が大きから、のんびり農家でもいいけど」
「高千穂の農作物は輸出しないと過剰気味だからな。戦争が終わったらどうなるか・・・・」
「作物のバイオエタノール工場建設が検討されてるから過剰生産になっても何とかなると思う」
「借家は?」
「そんなの区から油田でも出ない限りあり得ない」
「民間の方が実入りが良くないか」
「正直、かなり実入りがいいらしいけど」
「でもなぁ 人口が気薄なのに黒字なのは外需だからな」
「戦争が終わったらどうなるかわからん」
「だから鉄道を建設してるんじゃないの」
「人口が少ないのに誰が鉄道に乗るんだよ」
「だから外周環状線を建設してるんじゃないの」
「現地民の運賃入れても足りない気がする」
「インフレで何とかするんじゃないの、日本人の平均年齢若いから」
「いつまで通用するやら」
「人口が増えて、平均寿命が延びて45くらいまでなら行けると思うけどな」
「そのあとは、財政政策の変更・・・」
「どうやるんだろうね」
「高齢化対策の経済政策なんて想像もつかんけど」
「ヒットラーは、安楽死させてたぞ」
「いや、それは、ちょっとなぁ」
夜の繁華街
「おうおう、お前何やってるニダ」
「おうおう、お前何やってるニダ」
二人組に因縁をつけられる
「へっ いや、普通にほろ酔い加減に帰宅中ですが」
「なめんなニダ」
ばきっ! ばきっ!
突然現れた二人組に助けられた。
「はっ 何するニダ」
「痛いニダ」
「この人に、悪いことしてはいけないニダ」
「そうニダ。たった一人に二人は卑怯ニダ」
「お、覚えてやがれニダ」
「クソッ! ニダ!!!」
「失せろニダ」
「おととい来やがれニダ」
「あ、ありがとうございます。助かりました」
「大丈夫だったニカ。この辺は危ないニダ。気を付けるニダ」
「あっ お礼に、お酒でも奢らせてください」
「ありがたいニダ」
「喜んでニダ」
赤ちょうちん
「役人さんだったニダカ」
「いやぁ 下僕みたいなものですよ」
「むかしの日本は、侍の国で日本を支配してたのに嘆かわしいニダ」
「あははは・・・」
「役人さん、役人さん、お金持ちになれるニダ」
「へぇ どんな?」
「高千穂に朝鮮人を入れるニダ。役に立つニダ」
「朝鮮人は、国内に入れたらいけないことになってる」
「本当にお金持ちになれるニダ」
「どうやるの?」
「周辺の朝鮮人を国内に入れるニダ」
「全身全霊で、あんたの支持基盤を支えるニダ」
「あんたのライバルをあることないこと誹謗中傷して引きずり落としてやるニダ」
「上司にあんたのことよいしょしてやるニダ」
「あんたの座を狙ってる後輩も痛めつけてやるニダ」
「気に入らない政治家や企業もやっつけてやるニダ」
「そして、周辺の朝鮮人に救済金を出すニダ」
「それが何で、お金持ちになるの?」
「朝鮮人を高千穂に入れただけ、10分の1をキックバックするニダ」
「・・・・・」
「大丈夫ニダ。宣伝はとっても得意ニダ」
「嘘を本当にできるし、本当を嘘にできるニダ。任せるニダ」
「内地の権力者は、みんなやってたニダ」
「ちょっと軍部と財界に耳打ちしただけで、伊藤博文の暗殺命令を出したニダ」
「・・・・・」
「本当ニダ〜♪」
「日本の権力者は、その後、味を占めたニダ」
「外国に金を持ち出して10分の1をキックバックして自分の政治基盤にしたニダ」
「あんたも、そうやれば、高千穂で自分の帝国を作れるニダ」
「朝鮮人は、そんなことやってたから半島から追い出されたんだ」
「ち、違うニダ」
「日本軍部を煽って、中国侵攻させようとしたニダ」
「ソビエトを攻撃させようとしたニダ」
「あとアメリカにも開戦させようとしたニダ」
「日本を世界一にするためだったニダ」
「そしたら、急に半島から追い出されたニダ」
「日本を世界一にしてやろうとしたのに、日本軍は臆病ニダ」
「ほう・・・・」
役人は道路を歩いていた警官を呼び
「この二人は朝鮮人だから高千穂から追い出してくれ」
「ち、違うニダ。違うニダ。待つニダ」
「いい話しを持ってきたニダ。日本軍が、高千穂が、世界を支配する素敵な話しニダ」
「「・・・・」」
「連れて行け」
待 つ ニ ダ 〜 〜 〜 !
あ ん た を 高 千 穂 の 権 力 者 に し て や る ニ ダ 〜 !
愛 国 心 が あ る な ら 立 ち 上 が る ニ ダ 〜 !
日 本 を 世 界 一 に し て あ げ ら れ る ニ ダ 〜 !
だ か ら 朝 鮮 人 と 契 約 し て 高 千 穂 の 王 に な る ニ ダ ! !
「・・・・・」 ため息
「おやじ、熱かん、ガンモ、大根を頼むよ」
「へい、おまち、大変ですね」
「まったくぅ〜」
「いいんですか」
「あいつら、あることないこと言って、旦那の評判を傷つけてくるかもしれませんよ」
「ふっ なんでああいうのがいるんだ」
「なんか、発電所で働かせてるらしくて、一時的に入れたそうですよ」
「あれか・・・」 ため息
「なんの発電所なんです?」
「ん・・・守秘義務だ」
エジプト アレクサンドリア港
イスラエル艦隊 メギド(神州丸)、アララト、シナイ、オリーブ、モリヤ、ゲリジム、
強襲揚陸艦から日本製センチュリオン戦車が降ろされていく、
イギリス軍将兵たち
「ユダヤ人からの贈り物か・・・」
「ユダヤ資本は、裏でドイツに資源を回してるらしいが」
「実際にやってるのは日本人、華僑、ロシア人だろう」
「あいつら、イギリスを本拠地にしてるくせに」
「あいつらは愛国心どころか、国家意識すらない」
「資本という目に見えない紙切れの帝国に住んでるからな」
「ぅぅ・・・ユダヤ資本を排斥したヒットラーは正しかったぜ」
「とはいえ、戦争は止められんし」
訓練を終えたインド人が戦車に登場すると西に向かって移動していく、
トブルク港の制空権は奪われつつあり、
アレクサンドリア港からわざわざ陸路で移動しなければならなくなっていた。
「ついにインド人まで戦車兵に使わんといかんとは・・・」
「アメリカ義勇軍も尻切れ状況だし」
「ユダヤの傭兵部隊は練度が悪くないが」
「くそぉ〜 イギリス経済がユダヤ資本に食い荒らされていく」
「結局、チャーチルの馬鹿は、ユダヤ資本に従ってドイツに宣戦布告したんだ」
「俺たちは、いい迷惑だ」
漢口
揚子江の北岸側、全長1.5km、幅300mほどの街が租界だった。
中国にとって外患なのだが、
漢民族は中国行政から逃れられるのなら藁をも掴みたがり、
国民党官僚でさえ、10分の1のリベートが得られるならと躊躇せず、
北から日本租界、ドイツ租界、フランス租界、ロシア租界、イギリス租界が並んでいた。
日本租界の総合流通センターに日本商品が集められていた。
日本の商人たち
「新たにイスラエル租界が作られるらしい」
「へぇ〜 いよいよ。イスラエル資本が独立か」
「いや、イスラエルそのものは、ユダヤ国民を資本奴隷にしない」
「イスラエル租界は、アメリカの代理店らしい」
「はぁ?」
「アメリカは雇用問題で戦争を望んでるが、侵略国になる気はない」
「殴らせて、戦争で負かして支配していく方式を取ってる」
「蒋介石は、アメリカの意図に気付いてるから手を出す気はないらしいが」
「その代り日本をアメリカにけしかけさせようと画策してるらしいが」
「豚をおだてりゃ木に登るで、一部の将校は、反米に傾いてるらしい」
「あいつら、私腹を肥やした資本を日本の銀行に隠匿してるくせに碌なことしないな」
「国際外交戦略なんて漁夫の利が当然だし」
「外患に唆されて、馬鹿正直に全方位を敵に回すのは愚の骨頂だし」
「序列を作って地方や下層を踏み躙るだけの保守本流は国賊に過ぎないよ」
華僑がやってくる
「鈴木課長、佐藤総務。また資源を持ってきたある」
「陳大人。約束の日から三日ほど遅れてますが」
「山賊に襲われたある。一生懸命、もう一度、戻って取に行ってきたある。大損ある」
「それは災難でしたね」
「恨まれ過ぎでは?」
「あはあはは、大丈夫ある」
「さっき、日本で訓練した傭兵部隊をイスラエル租界で雇ったある
「あの訓練所は、50年には訓練場は返還になってる」
「そうあるか、でもユダヤ人は訓練場跡にディズニーのキャラクター工場を建てたがってたある」
「あの野郎・・・」
「あれ、ディズニーは反ユダヤのはず」
「ユダヤ人のアングロサクソン懐柔工作ある。時々やるある」
「特にユダヤ人は、アメリカを戦争させたがってるので、ディズニーを押さえたがってるある」
「なるほど・・・」
「日本はアメリカに攻撃されそうある。攻撃準備中ある」
「南シナ海の演習事故は、参戦の口実作りだったある」
「日本軍はアメリカに先制攻撃の準備をした方がいいある」
「軍上層部に伝えておくよ」
「それはそうと、秘密口座に入金ある」
「また、同族に恨まれることを」
「恨まれたくらいじゃ死なないある〜♪」
漢民族は大陸資源を日本に売り、私腹を肥やした資本を日本の銀行に隠匿した。
そして、流通センターで商品を買うと租界の外で売り歩いた。
アメリカ合衆国
ニューヨーク
日本との交易が増加し、日本人ビジネスマンがアメリカ国内を行き来していた。
反日運動のような動きはなかったものの
軍需はあくまでも企業収益が中心で、
労働所得の反映はワンテンポもツーテンポも遅れ、
雇用回復は、徐々にしか伸びていない、
貧富の格差は広がり、貧困層と黒人の反政府的な機運が高まっていた。
カフェテラスの日本人たち
「自動車部品、航空部品、真空管の売れ行きはいいようだ」
「しかし、日系アメリカ人が減ってるそうだが」
「朝鮮人を追い出して日本の土地が増えたからね」
「ほとんど日本に帰ったか、高千穂に行ったようだ」
「おかげでビジネスマンが増えてる」
「ところでユダヤ人はなぜアメリカに日本資本を引き込もうとしてる」
「人質だろう。日本の海外資本を人質に言うことを聞かせようとしてる」
「それもあるが、アングロサクソンが多すぎてな、味方が欲しいらしい」
「味方ねぇ」
「日本と共闘して、キュラソー島を守りたいのだろう」
「多数派のアングロサクソンはそんなに怖いのか」
「その気になれば、ユダヤ人を絶滅させられるし」
「ユダヤ人の頼りは莫大な利権と、小さなイスラエル本国だけだからね」
「アメリカの多人種化、多民族化はユダヤ人にとって都合のいいことなのさ」
「だから、日本で訓練した傭兵の一部をアメリカ社会に戻して用心棒にしている」
「闇からアメリカ社会を支配か、キナ臭い話しだな」
「アメリカに世界を支配させて、ユダヤ人はアメリカ社会を支配すればいいだけだからな」
「安上がりな方法だ」
「そういや、ユダヤ人は中国でも同じことやってなかったか、少数民族を囲い始めていた」
「華僑はユダヤ資本の意図に気付いてるからな」
「しかし、中国人が中国人支配を望んでいないくらい私利私欲で腐ってるし」
「情勢は流動的らしい」
「怖いねぇ 日本もそうならなきゃいいが・・・」
白い家
悪党たち
「日本は相変わらず、民需主導のまま、好景気を続けています」
「南シナ海の雷撃事件で、アメリカの意図が日本に伝わってるはず」
「なぜ、日本は軍需産業に予算が流れない」
「下士官と庶民は危機感があるのですが、将校と上層部は鈍感なようで」
「何とか、日本軍に先制攻撃させよ」
「しかし、日本はアメリカ軍の挑発に乗る気はないようで」
「それに例え、挑発して戦闘になったとしても開戦の状況が悪ければ国民は戦意を保てません」
「それにユダヤ資本は、対日融和に傾いてます」
「イスラエル建国で対日融和は変わったはず」
「それが建国需要で日本産業の手を借りてますし」
「アメリカだってやってるだろう。ユダヤ人はいったい何を考えてる」
「ユダヤ資本は、アメリカ開戦で資本力を増やしたがってますが」
「イスラエルはイスラエルで、対米依存を避けたがってるようです」
「ふっ ユダヤ国家建国で一気に自己矛盾か」
「アメリカは、個人主義が強すぎて、開戦ができないのが考え物だな」
「日本なら反米から軍拡。軍拡貧乏で対外侵略で、対米開戦となると踏んでたのですが」
「猿の分際で、こっちの意図に気付いてるのか」
「そういう気配はあるようです」
「「「・・・・」」」
マルビナス(フォークランド)諸島
ドイツ軍は前年の空襲と艦砲射撃から立ち直れていなかった。
そして、イギリス機動部隊の制海能力が高く、
護送船団の護衛空母の空襲力もドイツ水上艦艇の攻撃力を上回り、
ポケット戦艦と仮装巡洋艦の救援も不可能になっていた。
そして、アルゼンチンは、マルビナスを維持したいのか増強されつつあった。
しかし、まだ、イギリスと戦える規模でなく、
海上封鎖を突破しマルビナスに補給できないでいた。
輸送機による空輸は行われているものの
Uボート基地としての機能は失われていた。
パウル・ハウサー将軍が湾を見ると、数隻のUボートが運用されているだけだった。
「基地が華やかだったのは数年だったな」
「元々 マルビナスは通商破壊で不便な場所でしたから」
「だからこそ、占領できたし、制圧されることもなく残ってる」
「Uボートは航洋型が増えて精強になってるし、練度は保たれている」
「アルゼンチン海軍が強化され同盟が維持できるなら島を維持しなければならない理由は減少するな」
「アルゼンチンがイギリスに宣戦布告する話しはどうなったので?」
「アルゼンチンは、イギリス機動部隊が増強され、恐れて検討中らしい」
「例の赤城、加賀ですか」
「赤城と加賀は、イギリス空母の1.5倍以上の搭載機だから脅威だよ」
「参戦せず戦争が終わったら、この島は宙に浮くでしょうに」
「アルゼンチンは島がいらないのですかね
「軍事小国の悲しさだな」
「日本は軍事小国化してるのに勢力は拡大中ですよ」
「アメリカもそうだが、生産力で貢献できる国もあるのだろう」
「しかし、日本領の高千穂は、次の国際的な争点になるだろうな」
「U3044の艦長は、日本潜水艦に数日間追撃されたと」
「何かの間違いだろう」
「いくらわたしが海軍将校でなくても知識くらいはある」
「潜航した潜水艦を潜水艦が追尾したなど、そんな話し聞いたことがない」
「だといいのですが、ベテランの艦長の言うことですし」
「きっと、神経過敏になっていたのだろう」
シェトランド諸島
イギリス航空部隊とドイツ航空部隊が数百機規模で航空戦を展開していた。
メインランド島 南端飛行場サンバラ、ティンウォール空港(中央)、北端空港スカッツタ
ホールセイ島 ホールセイ空港
4つの飛行場からMe262、Ta152、メッサーシュミットが飛び立ち
スピットファイア、ムスタング、ライトニングと航空戦を展開していた。
「ロンメル将軍。イギリス空軍は、ティンウォール空港(中央)、ホールセイ空港に集中してます」
「ではイギリス艦隊の艦砲射撃は、南端飛行場サンバラと北端空港スカッツタになるな」
「予備飛行場の滑走路を片付けておけ、いずれ使うことになるはずだ」
「はっ」
「イギリスも戦力不足の割によく来る」
「将軍。イギリス空軍のジェット戦闘機です」
「イギリスもついにジェット戦闘機を実戦に投入してきたわけか」
「F80シューティングスターです」
「アメリカ製か、どうせ、航続距離が短いはず」
「フェイ島からでしょう」
「南端飛行場サンバラまで50km程度ですから」
「こそこそやってると思ったら」
「列車砲を撃ち込んでやれ」
「敵戦艦部隊が迫ってます」
「敵戦艦より、敵航空戦力の方が危険だ」
クルップK5(射程62400m)が50km離れたフェイ島に向け、砲弾が発射されていく、
イギリス機動部隊はシェトランド諸島に対し、大西洋側から接近していた。
艦隊上空は弾幕が撃ち上げられ、
周辺海域は、数十の水柱が立ち上がる、
イギリス艦隊
北から攻めるN艦隊
赤城、加賀、イラストリアス、フォーミダブル
長門、ヴァンガード
ロドネー、クイーン・エリザベス、ウォースパイト。
巡洋艦4隻、駆逐艦20隻
南から攻めるS艦隊
インプラカブル、インディファティガブル、ヴィクトリアス、インドミタブル
キング・ジョージ5世、デューク・オブ・ヨーク、アンソン、ハウ
ロイヤル・サブリン、マレーヤ、ニューヨーク、テキサス、
巡洋艦4隻、駆逐艦22隻
艦隊は攻撃されるたびに白波を立て、何度も回頭した。
数隻が炎を噴き上げ、黒煙を北海の空に立ち昇らせ、沈んでいく、
赤城の艦首右舷を魚雷がかすめていく、
赤城 艦橋
「艦長。魚雷をかわしました」
「ドイツ空軍が上から、Uボート艦隊が下から攻撃か。酷い戦況だな・・・」
爆音が轟き、音源を向くと加賀の艦尾から炎を出していた。
「どうした?」
「コントロールを失ったフォッケウルフが主翼を引っ掛け、飛行甲板で爆発しました」
「加賀から・・・離着艦に支障なし、小破だそうです」
「ドイツ機動部隊は?」
「まだ発見できません」
「ドイツ艦隊への攻撃は?」
「ドイツ戦闘機に妨害されて、まだ・・・」
「Me262が少ない間じゃないとまずいか」
「例え、Me262戦闘機でも戦艦の突撃は食い止められませんよ」
「だといいが・・・」
イラストリアス、フォーミダブルは、無事だったものの艦上機の3分の1を失っていた。
ドイツ艦隊 重巡2隻、駆逐艦13隻
重巡 アドミラル・ヒッパー、プリンツ・オイゲン、
Z2ゲオルク・ティーレ、Z4リヒャルト・バイツェン
Z5パウル・ヤコビ、
Z9ヴォルフガング・ツェンカー、Z10ハンス・ロディ、Z11ベルント・フォン・アルニム、
Z20カール・ガルスター、Z22 アントン・シュミット
Z23、Z24、Z25、Z29、Z30
Sボート32隻
アドミラル・ヒッパー 艦橋
「増援は?」
「重巡1、軽巡2、駆逐艦13隻、Sボート21隻、Uボート23隻がこちらに向かってると」
「総力戦か・・・」
「ドイツ海軍もずいぶん減りましたね」
「今は航空戦力が雌雄を決する時代だから艦船は・・・」
N戦艦部隊の先頭を航行していたロドネーに対艦誘導弾4発が命中し、
誘爆を繰り返して沈みつつあった。
ドイツ巡洋艦、駆逐艦、Sボートは、長射程の列車砲の射程内で、
イギリス戦艦、巡洋艦、駆逐艦と撃ち合っていた。
不意に、太陽数百分の閃光が光って、島と数十機の航空機を包み込み
きのこ雲が立ち昇っていく、
「どうした!」
「わかりません、島が攻撃されました。対要塞兵器では」
「ロンメル司令と連絡を取ってみろ」
「通信が妨害されてます」
「敵艦隊は、この閃光を直接見てるはずだ。全艦突撃しろ!」
イギリス艦隊は、爆発の閃光で一時、戦闘が困難になり、
そこにドイツ艦隊の突撃で大混乱に陥った。
赤城 艦橋
「提督。S艦隊のロイヤル・サブリンが撃沈されました」
「マレーヤ、ニューヨーク、テキサスは、シェトランドに乗り上げました」
「提督。第2機動部隊の空母インプラカブルがSボートに雷撃されました」
「はぁ? 何やってるんだ。第2機動部隊は」
「というより、列車砲の射程外にドイツ艦隊が出てくると思わなかったのでしょう」
「島に接近し過ぎて閃光に目をやられたのでは」
「アメリカめ、碌な兵器を開発しないな」
「しかし、これで勝った」
N艦隊のクイーン・エリザベス、ウォースパイトは、
空襲と雷撃を受けて大破しながらシェトランド諸島の浜に乗り上げていく、
その後を数百の上陸用舟艇が続き、上陸作戦が始まる
「もう、なりふり構わずか」
「ヴァンガード、キング・ジョージ5世型4隻残ってるなら」
「長門も残ってますよ」
「ヴァンガードと並んでるところが頭にくる」
※ 長門 (45口径410mm連装砲4基) ヴァンガード(42口径381mm連装4基)
「艦長。ダール機被弾。着艦します」
「艦首を風上に向けろ」
「飛行甲板を片付けろ。消化班と医療班を準備」
D520は右翼が被弾して煙を吐き、
フラフラとバランスを保ちながら艦尾から飛行甲板に侵入し、
着艦フックを制動索に引っ掻け、停止する、
パイロットは頭から血を流していたが、
整備士が持っていた工業用のアルコールで頭を洗うと、
「あの爆発はなんだ」
「わかりません」
「味方機が20機以上巻き込まれたぞ」
「中尉。島の上空から退避命令を出してたはずだ」
「戦闘中に敵機に背を見せろってか。あんたは俺たちを殺す気か」
「・・・・」
「航空部隊の撤収は、段取りが必要なんだよ」
「す、すまん」
「修理と補給を急いでくれ、終わったらすぐ出る」
「はっ」
赤城の周辺に数十の水柱が落ちる。
赤城 艦橋
「どうした!」
「ドイツ本国の水雷戦隊のようです」
重巡 ザイドリッツ
軽巡 ケーニヒスベルク、ライプツィヒ、
駆逐艦
Z12エーリッヒ・ギーゼ、Z14フリードリヒ・イーン、
Z15エーリッヒ・シュタインブリンク、
Z18ハンス・リューデマン、Z19ヘルマン・キュンネ
Z31、Z34、Z37、Z38、Z39
Z35、Z36、Z43、
Sボート21隻
「索敵部隊は何をしてる」
「さっきの対要塞兵器の爆発で混乱してるようです」
「それに空軍は、もう限界かと・・・」
艦隊上空の航空部隊は、最盛期の5分の1に減少し、
陽は傾き始めていた。
「長門から通信。我、盾になる。退避しろと」
「健闘を祈ると・・・」
島上空で、さらに閃光が走って、きのこ雲が立ち昇っていく、
北海側
空母 グラーフ・ツェッペリン
装甲艦 リュッツォウ、アドミラル・グラーフ・シュペー、アドミラル・シェーア
ツェッペリン 艦橋
士官たちが状況を確認しようと躍起になっていた。
「太陽数百個分の爆弾か、対要塞兵器はトールボーイだけじゃなかったわけだ」
「爆弾を落とされた南端飛行場サンバラと北端空港スカッツタと連絡が取れません」
「それで、ティンウォール空港(中央)とホールセイ空港の爆撃に集中していたわけか」
「提督。地上部隊は、半壊」
「キングタイガー戦車の戦車兵が中で戦死してるそうです」
「あの爆弾でか」
「たぶん」
「なんてことを・・・」
「提督。参謀本部(ゲネラールシュタープ)からです」
「なんだ」
「直接、提督と連絡を取りたいと」
「この忙しいときに・・・」
“ハンス・ラングスドルフ提督。状況は聞いた。爆弾は原子爆弾と思われる”
「原子爆弾」
“生産には膨大な予算がいる。爆弾の数は数個だと思われる”
「あと2、3個あると思っていいのか?」
“その程度だと思っていいだろう”
「爆弾をベルリンに落とされなかっただけでもましかもしれないが・・・」
“いま、報復攻撃を検討してる。健闘してくれ”
「了解している」
「ロンメル将軍の確認は、まだか」
「連絡が取れました」
「幸い、山を刳り貫いた要塞砲で指揮を執ってたので無事のようです」
「ですが北部と南部の地上部隊の半分と連絡が取れてないとか」
「艦隊は?」
「守備艦隊残存艦隊 重巡 アドミラル・ヒッパー、
Z2ゲオルク・ティーレ、Z4リヒャルト・バイツェン
Z5パウル・ヤコビ、
Z23、Z24、Z25、Z29、Z30
Sボート20隻が残存」
「沈没。重巡 プリンツ・オイゲン、
Z9ヴォルフガング・ツェンカー、Z10ハンス・ロディ、Z11ベルント・フォン・アルニム、
Z20カール・ガルスター、Z22 アントン・シュミット
Sボート12隻」
「増援残存艦隊 重巡 ザイドリッツ
駆逐艦
Z12エーリッヒ・ギーゼ、Z14フリードリヒ・イーン、
Z31、Z34、Z37、Z38、Z39
Z35、Z36、Z43残存」
「Sボート21隻は給油中です」
「沈没。軽巡 ケーニヒスベルク、ライプツィヒ、
Z15エーリッヒ・シュタインブリンク、
Z18ハンス・リューデマン、Z19ヘルマン・キュンネです」
「守備艦隊も増援艦隊もほぼ半減してるな」
「戦果も大きいようですが・・・」
砲弾と爆弾が周囲に落ちて水柱を上げていた。
艦船の数は減り、爆音や砲声が減少していたものの、
戦闘は続いていた。
長門は、対艦誘導弾が命中し、左舷中央から爆炎が噴出していた。
そして、艦尾から水柱が立ち昇る。
艦橋
「艦尾。魚雷命中。潜水艦です」
「撃て、ドイツ艦隊を上陸部隊に向かせるな」
「Sボートです・・・数は・・・約30隻」
「増援部隊のSボート隊か。給油が終わったのか」
低空に降りたハリファックス12機編隊が機銃掃射しながらSボート部隊の上空を通過していく、
Sボートは機銃掃射に晒され、
標的の上陸用舟艇の攻撃は半端なものになっていく、
上陸用舟艇からイギリス軍将兵が上陸し、
センチュリオン戦車が陸揚げされされていく、
「こちら第32連隊。南端飛行場サンバラを確保しました」
“ドイツ戦車は”
「外も中もドイツ将兵は死んでます」
「深い防空壕のドイツ軍だけが抵抗してます」
“そうか・・・”
砲声の連続音が聞こえ、落下音と爆発が連続的に起こって近くに落ちる。
“どうした?”
「中央域で生き残ったタイガー戦車部隊です」
「これより反撃します」
“健闘を祈る”
「了解」
「進め、ドイツ軍を島から叩きだすぞ」
歓声が上がり、地上戦が始まる
黒雲から黒い雨が降り始めていた。
S艦隊 空母インプラカブル、インディファティガブル、ヴィクトリアス、インドミタブル
の上空で、BV155編隊とシースーパーマリン編隊が空中戦を展開していた。
そして、4隻に寄り添っていたハウがUボートとSボートに雷撃され、回頭していく、
BV155の一部が弾幕の中を急降下に入ると、
ヴィクトリアスとインドミタブルに爆弾が投下され、飛行甲板から爆炎が立ち昇る
護衛艦の多くが対艦、対潜、対空戦闘で破損し、
S艦隊は、空母4隻が孤立した状態で戦闘していた。
ヴィクトリアス 艦橋
「前部エレベータが完全に破壊されました」
「ソードフィッシュはこっちで引き受けるとインプラカブルに伝えろ」
「はっ」
爆発音が二つ轟く、
「戦艦ハウに魚雷2本が命中。沈没します」
「グラーフ・ツェッペリンはまだ見つけられないのか」
「まだです」
「・・いえ、いま、加賀の索敵機が発見しました」
「残存機を全て出すぞ。グラーフ・ツェッペリンを撃沈しろ!」
赤城、加賀、フォーミダブル
インプラカブル、インドミタブル
空母4隻から出撃した航空部隊がグラーフ・ツェッペリンに襲いかかった。
艦上機の多くを出撃させていたため、
護衛のBV155は4機しか滞空しておらず。
五月雨に押し寄せる航空部隊の攻撃に圧倒され、
グラーフ・ツェッペリンは、4発の爆弾と、2本の魚雷が命中し、
さらにランカスター爆撃機が艦隊上空から爆弾の雨を降らすと、
グラーフ・ツェッペリンは北海に沈没していく
イギリスは、シェトランド諸島を制圧しつつあった。
長門 艦橋
「シェトランド諸島再占領は時間の問題だが、もう戦う力は残ってないな」
「はい、ですが、ドイツ海軍もほぼ壊滅状態にあります」
「だが原子爆弾はアメリカから買ったものだし、Uボートと対艦誘導弾は脅威だ」
「大型艦艇の残存率が高いのが救いですが」
「逆だな」
「ドイツ軍は意図的に巡洋艦と駆逐艦を攻撃したのだろう」
「イギリス海軍の補助艦艇は壊滅状態にある」
「「「「・・・・」」」」
「艦長。緊急無電です」
「ドイツとイギリス共同で、停戦命令が出されました」
「停戦か、もっと早ければ死なずに済んだ命も多かっただろうに」
「しかし、原子爆弾投下でイギリスは有利だと思っていたが・・・」
「提督。イギリス国防省から追加報告です」
「北アフリカ戦線で原子爆弾が投下され、イギリス第6師団は壊滅」
「モンゴメリー将軍は生死不明だそうです」
「じゃ ドイツも核兵器を保有していたのか」
「「「「・・・・」」」」
イスラエル
イスラエルに定着したユダヤ人は、私利私欲を排除した宗教的集団生活を中心にしていた。
生産的自力労働、集団責任、身分の平等、機会均等に基づいた社会であり、
ユダヤ資本と相反する思想だった。
むろん、私利私欲が創造性、勤労、覇権の個人主義が活力の原動力ではあるが、
国民の意識を高める骨子は、集団を構成する無私友愛な結びつきにあった。
エルサレムに国防省が建設されつつあった。
仮司令部
「イスラエルは原子爆弾を開発できるだろうか」
「原子爆弾は理論上、理解できるそうだがイスラエルに製造に足る産業はない」
「ユダヤ資本は?」
「我々の住む世界はアングロサクソン、キリスト教社会であって、直接、原爆の開発はできない」
「イスラエルは何としても原子爆弾を保有すべきだ」
「それなら強い産業を構築しなければならない」
「しかし、それだけの人口はない」
「ユダヤ資本は、もっとイスラエルに協力すべきではないのか」
「協力し過ぎて、資本主義の手綱を緩めるわけにはいかない」
「イスラエルも巨大産業は必要だ」
「君たちユダヤ資本は、勘違いしてるのではないか」
「「「「・・・・」」」」
「国権と民権は国家形成の両輪であり。必要な思想的要素だ」
「しかし、利権は国賊であり、拝金は売国であり」
「その表現は、詐欺で、略奪で、人殺しだ」
「君らユダヤ資本はイスラエルの国有海賊。ユダヤの対外外患部隊に過ぎないのであって」
「イスラエルの内患であってはならない」
「そういうつもりで、イスラエルの国土に足を踏み入れるつもりなら二歩目はないと思いたまえ」
ジャキ! ジャキ! ジャキ! ジャキ! ジャキ! ジャキ!
「「「「・・・・」」」」
「も、もちろん、イスラエルは祖国であり、我々は理解している」
「イスラエル経済を破壊するような利益誘導はしない」
「しかし、一定の巨大産業がない限り、原子爆弾を製造し得ないのも事実なのだ」
「その件は、イスラエルの内政で処理する」
「人口問題に関しては、国が豊かになれば解決するだろう」
「面積が小さいようではあるが」
「その件は、君たちに協力してもらうよりない」
「国力と軍事力が身に付けば、覇権政策に移行するだろう」
「君らユダヤ資本は、その先兵であるべきだ」
「了解している。しかし、イスラエルだけで暴走しないでくれ」
「国際情勢は、イスラエル国内の事情と関係ないのだから」
「その点は妥協しよう」
伊勢湾
戦艦 モンタナ、ソビエツキー・ソユーズ、
ヴァンガード、ハルク(クレマンソー)、ローマ、ダン(伊勢)、ストラスブール
重巡 マクシム・ゴーリキー、愛宕が並んでいた。
英・独伊停戦協定が京都で始まり、
参席する列強は、最大限の砲艦外交を展開していた。
海軍関係者たち
「モンタナが最強かな」
「ソビエツキー・ソユーズもなかなか」
「イギリスはヴァンガード持ってきたのか」
「大破してたと思ったが」
「とりあえず、鉄板を張り付けて、見せつけたかったんだろう」
「ドイツは、温存していたフランスの捕獲戦艦か、実態は再軍備前に戻っちまったな」
「ドイツ海軍の中心はUボートだよ」
「第4位はローマだな。しかし、航洋型でもないのに、よく太平洋まで来れたものだ」
「虚勢を張りたかったんじゃないの」
「ヴィシーフランスはリシュリューか、ジャン・バールを持ってくると思ったが」
「まだ、修理中なのだろう」
「それにドイツの属国だから遠慮したのかもな」
「だがフランス領インドシナ次第じゃないのか」
「それはある」
「しかし、戦艦の時代じゃないと思っても戦艦は砲艦外交の花だよな」
「そうそう」
京都
停戦協定の調印後、
列強の外交関係者たちは日本庭園を楽しみ、
野点傘の下でくつろいでいた。
京料理は、その気になればフランス料理に近い感覚で食事を楽しむことができ、
国際的な場でも十分通用した。
「日本は上手くまとめられましたな」
「これでようやく、欧州は平和になりましたよ」
「まだ、カ中戦争が残ってますな」
「利益があるのはいいことです」
「日本の近くで、例の爆弾が使われなければいいのですが」
「恐ろしい話しです」
「日本がアメリカと幾つかの安全保障上の協定を結ぶのでしたら」
「日本の安全性は高まるかもしれませんね・・・」 にやにや
「「「「「・・・・・」」」」」
「あの爆弾は、もう使わない方がよろしいでしょう」
「あのような戦場で使われたら、将兵は体外被曝はもちろんですが」
「放射性物質は、原子レベルで気流と海流を通じて世界に広がります」
「放射性元素が肺に入れば放射線障害を起こしますし」
「肺癌が増えることになるでしょう」
「放射性物質の幾つかは口から入って骨になり、白血病や骨髄腫になる恐れもあります」
「「「「「・・・・・」」」」」
エンテカナード型ゼロ式戦闘機 “瑞風” 100機に護衛された1式陸攻100機編隊が
停戦調印を祝って、5色のスモークを京都上空に流していく、
新型戦闘機の初御目見えと、その後、展示飛行が展開される。
「あ、あの爆弾は、アメリカとドイツしか保有していないはずだ」
「本気で、そう思われてるので?」
「「「「「・・・・・」」」」」
「ま、まさか、そんな・・・」
「・・・・」
「「「「「・・・・・」」」」」
空母 龍驤
96式戦闘機が繰り返し離着艦訓練を続けていた。
「ったく、どこの弱小海軍だ。ふざけやがって」
「山口提督。こういう時は、とっておきの大吟醸を・・・」
・・・・・
・・・
「んん・・・美味いが美味しくない」
「ああ〜 もう俺、ぐれそうだ」
「来年は海凰が就役するはずです」
「だが、今年の日本機動部隊は史上最低だ!!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
月夜裏 野々香です。
中央集権、政党、基幹産業の保守本流が世襲とコネを維持するため
外国や在日に金を流してリベートを取り、
外国や在日に渡した利権と金が左翼、野党、地方勢力を助け、
保守本流の中央集権、政党、基幹産業を包囲していきます。
結果、外患に弱みを握られ逆支配され与野党逆転とか、
自業自得なレベルの話しです、
何の話しかというと、
在日に選挙や利権を助けてもらってるとか、
在日協力企業がないと成り立たない産業とか、
業界内競争、社内闘争で勝つため、あの人たちを味方に引き込み、
いつの間にか、日本人社員が追い出されてしまったあの産業とか、
保守本流で反在日って、アレレ〜な動きもあるのですが (笑
総合性と透明性に欠け、強者が自浄能力を失って暴走し、
皺寄せが弱者に行く構造は、日本文化の欠点と言えるでしょう。
国権と民権は善悪で判断すべきものじゃないのですが、
普遍的な人間の負の部分に目をつぶり、
強いモノに巻かれて事勿れな民族性の負の部分でしょうか。
党派の縦割りが大局より強く、
まともな政権交代ができず不正と腐敗のツケが蓄積し
利権だけが大きくなったのでしょう。
まぁ 日本史を見れば、
領主が領民が飢餓にも拘らず米を大阪に売ったとか、
おじいちゃん、おばあちゃんが食べられなくなるから、
生まれた赤ん坊を殺させたとか、明治以前はあった話しですし、
軍組織を守るため戦争を始めて国を滅ぼしたとか、
派閥抗争やライバルに勝つため外患を引き込んでリベートを取ったとか、
自分たちの利権を守るために、過疎地に原発を建て見殺しにとか、
日本は、利権中心で考えるより、
総合的に国家構造戦略を考えないと難しいでしょう。
お花畑の平和主義者や
長いモノに巻かれて事勿れで日和見な人たちよりましでも・・・
ユダヤ海軍
戦艦8隻、小型空母1隻、強襲揚陸艦6隻、軽巡17隻、駆逐艦36隻、
ルベン(金剛)、シメオン(比叡)、イッサカル(榛名)、ゼブルン(霧島)、
ダン(伊勢)、ナフタリ(日向)、ガド(扶桑)、アシェル(山城)、
ガリラヤ(鳳翔)
メギド(神州丸)、アララト、シナイ、オリーブ、モリヤ、ゲリジム、
アフェク(天龍) カナ(龍田)
ツロ(球磨) アコ(多摩) ハモン(北上) ハロシェテ(大井) ケデシュ(木曾)
シロ(長良) キネレテ(五十鈴) ハマテ(名取) ラマ(由良) ラマ(鬼怒) リモン(阿武隈)
ヨクネアム(川内) ガテ・ヘフェル(神通) シムロン(那珂)
サリテ(夕張)
峯風、澤風、沖風、島風、灘風、矢風、羽風、汐風、
秋風、夕風、太刀風、帆風、野風、波風、沼風
神風、朝風、春風、松風、旗風、追風、疾風、朝凪、夕凪
睦月、如月、弥生、卯月、皐月、水無月、
文月、長月、菊月、三日月、望月、夕月
第15話 1946年 『高千穂と扶桑は、市営崩壊熱発電で』 |
第16話 1947年 『権力者にしてやるニダ♪』 |
第17話 1948年 『利権を守って国と民を滅ぼす』 |