月夜裏 野々香 小説の部屋

       

仮想戦記 『白亜の遺産』

 

 第22話 1953年 『馬鹿を作る機械テレビと、侍魂』

 高千穂(ナイジェリア)

 日本人の入植が増え、工業と商業が拡大していく、

 老後の家と土地が確保されたのか、

 瑞州(ニジェールデルタ)は石油精製所を中心に工業地帯が広がっていた。

 原動力になったのは、環状線外の先住民土木建設要員で、

 建設機材の機械化が進むまでの間、

 地下建設、上下水道、土木建設など下済みな土台を人海戦術で作り、

 化学工業と内燃機関産業が拡大していた。

 高千穂の近代化の成功は日本人と先住民との二人三脚であり、

 環状線外には、住宅が建設され、学校など公共機関が作られ、

 アフリカ人の中では、もっとも生活水準の高い生活をしていた。

 環状線外の先住民学校は、文部省の学制改革の試金石とされ、

 教育システムの実験が行われることになっていた。

 学校の裁量権は高く、先生の教育方針も比較的大きく認められていた。

 ハウサで学校では日本の歴史とアフリカの歴史を並列させていた。

 先生と先住民生徒

 「先生」

 「なにかね」

 「日本の歴史は神話の時代から始まるのに」

 「ハウサの歴史は西暦700年のカネム・ボルヌ帝国からしかありません」

 「年代記『ディワン』がそうなってるのだからしょうがないだろう」

 「我々ハウサは劣ってるのでしょうか?」

 「んん・・・たとえば日本の邪馬台国は、西暦200年頃か」

 「金印が見つかるまで邪馬台国の存在は確証があいまいで」

 「中国の歴史書に書かれていたから、あるとされているだけだった」

 「歴史はね。遺跡か何かが見つかれば簡単に変わるものだ」

 「じゃ 砂漠を掘って遺跡が見つかれば」

 「もっと古いハウサ文明が見つかることもあるのですか」

 「さぁ それは探してみないとわからないだろうな」

 「君たちは、土木建設の雇用が多いから」

 「穴を掘っていたら、ひょっとしたら遺跡に出くわすかもしれないな」

 子供たちが目を輝かせ始める。

 この学校は “好きこそ物の上手なれ” を中心に教育していた。

 国数理社の基礎学科の時間は半分しかなく、

 残りの応用学科は生徒が自分で決めることができ。

 歴史が好きな学生は学年に関係なく集まり教育を受けることができた。

 職員室

 カドゥナコーヒーの香りが漂っていた。

 高品質のカカオで作られるカドゥナチョコレートも人気があった。

 当初、ナイジェリアのコーヒーは品質が劣っていたが室内栽培に切り替え、

 品質管理を徹底するようになると味がよくなり、

 世界屈指のコーヒーの名産になっていた。

 カドゥナコーヒーとカドゥナカカオの生産量は増え、

 先進国の高千穂がカカオとコーヒーの一角を握っていたことで、

 先物取引による乱高下の幾分かを軽減させていた。

 文部省の人と教師がテストの採点を確認していく、

 「日本語の方は?」

 「ええ、しっかり話せてますね」

 「日常言語は問題ないでしょう」

 「この学校の応用学科は、文系が多いのか」

 「普通は実用性の高い農業なのに意外だな」

 「工業科、商業科の新設は?」

 「それは日本人と先住民の格差を維持したいから、もう少し後回しにしたいな」

 「教育システムの差かもしれませんね」

 「んん・・・校風や先生の差という可能性もあるからな」

 「我が校のシステムは、文部省でも検討されそうですか?」

 「まぁ 好きこそ物の上手なれで、学科に年制に関係なく受けられるのは面白いがね」

 「上下関係を意識させやすいので長幼教育、道徳教育で効果があると思うのですが」

 「平等ばかりは片手落ちだが儒教は商業を蔑視する傾向が強いしな」

 「商業重視ですか」

 「まぁ 生産力が国力だからな。売れないと作れないのも事実だし」

 「侍魂は?」

 「そういうのもあったっけな」

 「そんなこと言ってると先住民に武道、スポーツで負けますよ」

 「えっ 負けそうなの?」

 「柔道。剣道。サッカー。野球は強くなってますね」

 「先住民の所得も大きくなってるので環状線の内側の高校に子供を行かせられる層も・・・」

 「んん・・・そういや、ローマオリンピックがあるからな」

 「ローマオリンピックですか」

 「ローマの次が60年の東京オリンピックだから、先住民が出てしまうかもな」

 「まさか戦後、日本が後回しにされ、ローマが先とは思いませんでしたよ」

 「まぁ 移民の関係で自発的に後回しにしたがっていた内部勢力もあったし」

 「日本経済の成長率から警戒されたかもな」

 「イスラエル内戦争がなかったらイスラエルになったかも」

 「まさか」

 「商社や外務省経由で人種差別の話しは良く聞くからね」

 「まぁ 私たちもやってますけどね」

 「先住民が大人しいのは助かりますよ」

 「イギリス支配とは全く違うからね」

 「彼らがその気になったら、国境外の同胞を巻き込んで独立国を建国できる」

 「まさか」

 「国境外の植民地先住民は小学校すら行ってないのに」

 「国境内の先住民は実験レベルでも中卒だから」

 「是非はともかく可能な状態になってるよ」

 「せっかく教育して育てたのに、あまり荒事は・・・」

 「だよねぇ でも閣内での文部省の発言力はそれほど強くないからな」

 「やっぱり、金回りのいい省庁が強いと?」

 「そうなっちゃうよね」

 「しかし、学制と軍制は国家の規範では?」

 「金回りにい省庁は、税制と絡んでるからさ」

 「国家の有り体は、経済に引き摺られるよね」

 「産業を大きくしようとするからだろう」

 「「・・・・」」 ため息

 

 

 病院

 カーボンナノチューブを使った手術が行われていた。

 漢方でいうところの経穴からカーボンナノチューブを刺し、

 患部の癌細胞を注射器の如く抽出していく、

 手術室を見下ろすテラスから医学生や関係者が覗きこんでいた。

 患者は原子炉で働く先住民だった。

 「どうやってチューブを広げるの?」

 「捩じるとカーボンナノチューブの穴が広がって、癌細胞を吸い出せる」

 「なんかすごいモノを作ったんじゃないの?」

 「世界中探しても、まだカーボンナノチューブを開発してるところはないからね」

 「よくもまぁ 医療側に回ってきたものだ」

 「厚生省は、世界中のお金持ちの癌患者から手術代を貰って」

 「国民の医療費を軽減させる気らしい」

 「あははは」

 「日本は、原爆実験はやめた方がいいって忠告しただろう」

 「続けるのは列強の自由だし」

 「それで日本が儲けるのも自由でしょ」

 「欧米は生殺与奪権を握って、庶民を食い物にする傾向が強すぎる」

 「特高の情報だと、アメリカは放射線耐性学の研究をしてるらしい」

 「へぇ」

 「富裕層は放射線障害から守られる医薬を開発して」

 「核実験で放射線障害者を増やして大儲けって考え方のようだ」

 「拝金主義極まれりといか、ヤバい考え方だな」

 「しかし、厚生省もえげつないな」

 「せっかく、大枚叩いて、カーボンナノチューブを開発したんだから元を取りたいんだろう」

 「それに厚生年金も国民保健も平均寿命が延びるとまずいし」

 「しかし、先住民を見てると人体実験してるみたいで、ちょっと気が退けるね」

 「まぁ 原子力発電や崩壊熱発電をやるとどうしても犠牲が出るからね」

 「おかげで、日本の医療は列強の水準を超えると思うよ」

 「だといいけど」

 「なに? アメリカとドイツはもっと進んでるの?」

 「アメリカは黒人、インディアン、スパニッシュを使って医療を向上させてる」

 「ドイツは、戦時中に蓄積した技術が大きいし」

 「日本はこれからだからね」

 「しかし、傷口がなくて直してしまうと欧米列強にばれて不味くない?」

 「適当に切って縫い付けときゃいいだろう」

 「もう、なんか、もう、いろいろヤバすぎる」

 

 

 高千穂原子力研究所

 直径500kmの巨大加速器の建設が検討されていた。

 高千穂全土を利用した深々層巨大加速器で、未来への投資だった。

 男たちが新聞を見ていた。

 “難民保護区の創設。高千穂の治安は守れるか”

 「難民か。内地に押し付けられたな」

 「白人は環状線内の中洲で、有色人種が環状線外の区画だから白人贔屓だよね」

 「アメリカ、ドイツ、イギリス、フランスの圧力だから」

 「ったくぅ」

 「どう考えてもスパイだと思うな」

 「まぁ 白人は目立つからいいだろうけど」

 「加速器建設計画がばれなきゃいいけど」

 「まだ、検討段階」

 「しかし、こういう大きな加速器は必要なのかね」

 「全周1570kmなら光速1秒間で191回は回る」

 「精確なデーターを得やすいだろう」

 「正直、どうかしてるよ、としか思えない。もう一隻空母を建造しろと言いたいね」

 「確かに空母3隻体制は欲しいけど。白亜の研究も継承したい」

 「光速に近づくと原子核と電子の距離が近づいて原子核を回る電子の回転が速くなって」

 「原子の時間速度が増して光速を超えることができるかもしれない」

 「という白亜の位相原子理論がある」

 「仮定の理論だろう」

 「というより、新原子と新素粒子は科学技術の格差につながるし」

 「化学技術の格差は工業力の格差につながり、引いては産業の格差に広がる」

 「新元素開発で、列強に負けたくないんじゃないかな」

 「相対性理論はどうした?」

 「これは粒子論の分野だから」

 「賛同者は衆議院?」

 「衆議院は既得権と関わらなくても議員になれるから、新しいもの好きだな」

 「その代り、貴族院と違って現行逮捕できる」

 「むしろ既得権とズブズブの貴族院を現行逮捕したい」

 「抽選制の衆議員と貴族院の勅選議員は逮捕しやすいけど」

 「国民から選出された議員の任期中の現行犯逮捕は難しいだろうな」

 「でも軍部が反対できない要素もあって」

 「直径500kmの円周を空中要塞4機でくらいでくるくる回るとき便利だから」

 「そっちもか」

 「日本は領海上空だけど、高千穂は国土上空だからどうしてもねぇ・・・」

 「対核兵器から国を守ろうとするなら高々度からレーダー哨戒するのがいいからね」

 

 

 イタリア領リビア

 リビアが注目されたのは高千穂とのルート上にあったからで

 経済的に余力のあるドイツ資本が中心になって投資していた。

 ドイツ人と日本人たち

 「ここが原爆を投下した地点ですか」

 日本人がガイガーカウンターを地面に近づけるとわずかに反応が残っていた。

 「日本人は放射性物質に敏感なようですな」

 「核関連施設で失う人員がいましてね」

 「作業員は二等国民を使っているのでは?」

 「もちろん」

 「しかし、地表で核実験を行えば放射性物質を大気や海洋にまき散らすことになる」

 「そして、幾分かは都市に落ちるのですよ」

 「その辺は、核保有国共有の懸念事項ですので話し合う必要がありますね」

 「ところで、日本は中国の渤海にも洋上風力発電を建設するので?」

 「ええ、中国資源は大きいですからね」

 「カザークにも送電するので?」

 「カザークの送電は、扶桑半島からで十分そうですけど、不足なら送電するでしょう」

 

 

 ワシントン核実験制限会議

 アメリカ、ドイツ、ソビエト、イギリス、日本

 日本は一度も核実験を行っていない、

 その日本が核実験会議に参加したのは保有国が保有してると認めたからに他ならない、

 日本人科学者は放射性物質の特性を詳細に知っており、

 ユダヤを通じ大規模なプロパガンダを行ったことで、

 核実験の危険性が世界中に知れ渡ったのだった。

 そして、公表されたデーターで日本の核研究が先行してる事も少なくないことが知られる。

 使用する核は、最大100kt以下となり、

 年間核実験は大気圏内1回、洋上1回、海中1回、地上1回、地下核実験3回とされ、

 核実験の事前通告と保有国外交武官の参席が義務付けられた。

 

 

 

 人口が増えるにつれ庶民の集票圧力と、政官財の利権の軋轢が増していく、

 対外的な戦争は、戦地で血を流す羽目となる庶民の反目で頓挫し、

 巨大利権で民衆を束ねようとすると警戒され独禁法と反発される、

 帝国主義的な思想は人々から警戒され、排斥されやすくなり、

 列強でさえ内向き思考になっていた。

 この時期、テレビは、人々を魅了し、

 ラジオ、映画、新聞、出版物より庶民を引き付け、座らせることができた。

 当初、商業的な宣伝に利用されてきたものの

 政治的な意図を大衆操作しやすく、

 庶民も大衆との共感を求め、新発見を得、娯楽を求めることから

 “馬鹿を作る機械” と呼ばれながらも “神より好まれ” 急速に広まっていた。

 帝国主義的な侵略が困難になると、

 各国は相互尊重主義に基づいた2国間条約が結ばれることが増えていた。

 日本とカザーク国境のアマテラス=ダジボーグ中洲(420ku)共同自治区は国際的に注目されていた。

 ベルリン 日独通商交渉

 日独国交取得面積上限協定

 在日ドイツ国交取得面積100ku 在独日本国交取得面積100kuが決まる。

 日本人たち

 「首都圏から300km以内の内陸か。ったくぅ ドイツのしつこさに負けたぜ」

 「100kuといえば沖永良部島より少し大きいくらいです」

 「よほど日本の情報を知りたいのでしょうか」

 「核兵器を保有してる国だからね」

 「しかし、香港の11分の1くらいだから脅威と言えなくもないだろう」

 「達磨島の2倍ですよ。恐ろしいことにならなければいいのですが」

 「まぁ 少しばかりの自治を認めるだけで、叩き台のモデルはアマテラス区だ」

 「地域限定で非武装だし、国民的なコンセンサスはあるよ」

 「アマテラス区がそれほど注目されてるとは思ってませんでしたよ」

 「小中高大学で16年間で300人近い日本人がカザーク人と生活し」

 「観光を含めれば庶民レベルで数十万が交流してることになる」

 「よくよく考えるなら外交戦略的な影響力が大きいし」

 「カザークとソビエトは同じロシア人だから、ドイツも気が気じゃないだろうね」

 「それに日本人の多くはドイツ人を知らない」

 「民衆レベルで、お互い良い面と悪い面の両方を知っておく必要があるよ」

 「日本もドイツに日本人町を建設するので?」

 「まぁ そうなるだろうね」

 「人質みたいなものでしょうか」

 「さぁ 遠交近攻もよくある戦略だが各国とも戦争る気ないだろうし、ドイツとは仲良くすべきだと思うね」

 「時に日独で取り決めたIHD条項は?」

  ※ 健康対投資家の紛争解決 (Investors for Health Dispute Settlement)

 「投資家資産の凍結と賠償に関する国際協定だろう」

 「確かにユダヤ資本の浸透を防ぐことができるかもしれないが」

 「しかし、拡大解釈すると国際間投資が冷え込むからな」

 「その辺は、契約書の問題じゃないのかな」

 「だといいけど」

 「たぶん、イタリア、アルゼンチンとカザークも加盟すると思うな」

 

 

 マーシャル諸島ノックス環礁東方50km沖

 日本の最初の原爆実験は洋上で行われた。

 保有していることを証明するためだけの核実験であり、

 アメリカ、ドイツ、ソビエト、イギリスは艦船を繰り出し、

 風上側に陣取っていた。

 カウントダウンは、無線を使って、各艦船に知らされ、

 3・・2・・1・・0

 洋上で閃光が広がり数百分の太陽が輝いたかと思うと水蒸気を噴き上げ、

 キノコ雲を立ち昇らせた。

 巡洋艦 妙高 艦橋

 「やれやれ終わったな」

 「とりあえず、核兵器を保有していることを証明するための核実験ですからね」

 「まぁ なんだ。欧米列強が紳士的になってくれるのを願うよ」

 「だといいのですがね」

 

 

 列強の艦船を監視するため1式陸攻が旋回する。

 必要以上に近づこうとすれば警告を与えるためだ。

 もっとも、そういう艦船はなく、

 一定の距離を保ち停船していた。

 空母エセックス 艦橋

 「艦長。ウラン235、プルトニウム239の反応のほか、ヘリウムとトリチウムを確認しました」

 「じゃ 日本は原子爆弾ではなく、水素爆弾を使ったわけか」

 「そのようです」

 「日本も核兵器クラブ入り確定だな」

 「まぁ 予想してた通りだがね」

 「しかし、いきなり水素爆弾で成功させるとは大した科学技術力です」

 「日本の科学技術者は我々よりはるかに小さい予算でやってるはず」

 「インチキしてるとしか思えんな」

 「噂では2000km先の洋上で移動目標をミサイルで撃沈したとか」

 「あり得んだろう」

 「あくまでも酒の宴での噂です」

 「んん・・・日本人の場合、信憑性が高くなるな」

 「しかし、戦争で儲けた利益の一部でも科学技術に回せば可能なのでは?」

 「ほとんど公共投資と設備投資に回されて開発予算なんてないと聞いてるが」

 「アメリカがスパイされた可能性は?」

 「日本資本がカナダやメキシコを足場にしてる節がありますが」

 「日本の核研究が進んでることがあるらしい」

 「日本人は、我々の常識で上手く泳いでるだけの猿のはず」

 「開発は大きな格差がなければ成し得ませんし」

 「資金力や人口比でも考えられませんが」

 「それ以前に日本の教育は、想像より技量に重きを置くから、模倣の域を抜けない」

 「日本の情報をもっと集めるべきだろうな」

 「CIAは何してるんでしょう」

 「例の人権基金のせいで、民主主義者と共産主義者が手を引き始めてな」

 「あれですか・・・」

 「抽選制衆議院といい、我々の籠絡工作が干渉しにくいことを」

 「というより、日本議会が抽選制を敷きたくないから人権基金って聞いたな」

 「まぁ 嫌でしょうね」

 「発行量が税金より小さくても均一に不労取得があるのなら消費を刺激しやすいのだろう」

 「安心感ってやつですか」

 「それに社会資本で消費力があるのなら、起業しやすいのだろうな」

 「余裕があることで」

 「ナイジェリアの購入とは別に、ずいぶん儲けたのだろうな」

 「まだ、支払いは終わってないのだろう」

 「というより、支払いが始まったばかりだよ」

 「日本人に支払い期日を延ばすだけの外交力があったとはね・・・」

 「艦長。日本が規制を解きました」

 「そうか、爆心域の海水を取りに行って、帰還するとしよう」

 

 

 

 蒋介石・国民党は支配構造を強化するため、

 そして、北のカザークと南のフランス領インドシナの圧力に対抗するため、

 租界の自治を認め、

 紙幣発行権を元華銀行を通じてユダヤ資本に売渡した。

 本来、積極的な労働を得るには資本主義と民主主義が適当だったものの

 近代化に必要な発電所、鉄道、道路、技術、工場などの建設が続き、

 B29爆撃機、ムスタング、M26戦車が売却され、

 中国国内の資源が国外に流れ、

 日本は中国の安い資源と膨れ上がる市場によって経済が潤っていた。

 上海租界は急速に拡大し、街全体が城砦のように整地され、黒人軍が守っていた。

 しかし、権力層・富裕層が己が保身と利権のみ追求し、国賊となるなら国益を損なわせ、

 国家が国民を守らず、国民から策奪すれば、民益を損なわせ、

 国家が国民の敵となっていく、

 庶民は自らを守るため利己主義と私利私欲のみ追求し、

 徒党化して違法行為は増え、社会が荒廃し犯罪は増えていく、

 中国で売国奴は珍しくなかった。

 金さえ渡せば、用心棒を雇うことができ、必要なら口封じさせることもできた。

 欧米諸国の暗躍は最強で、

 彼らの雇うチベット族とウィグル族は徐々に中国全域の行政、財界に入り込み、

 中国社会を蝕ませようとしていた。

 もっとも、漢民族よりチベット族とウィグル族の方が良識があるのか、

 蝕むというより正常化させる事が多かった。

 銀行の一室に代表者たちが集まっていた。

 「中国の所得は少しずつ増えてるし、世論操作のためテレビ局を作る必要があるな」

 「テレビ局ですか」

 「テレビがないと人々は自分で考え、隣の人間と話しながら組織を作り世論を形成していく」

 「しかし、テレビがあれば自分で考えることない」

 「テレビの意見に従うだろう」

 「実態と違う夢見がちな幻想だけを見せて、実験を全て握るのだ」

 「な、なるほど・・・」

 「現状は蒋介石国民軍が中国軍の主力だが」

 「中国の首輪を強化するにはチベット族とウィグル族で中国正規軍を編成しなければならない」

 「テレビ局を使って、中国世論を誘導しよう」

 「「「「・・・・・・」」」」

 「日本はまた儲かりそうだな」

 「電化製品の生産は得意ですよ」

 「まぁ 日本が軍関係で手を出さなければ問題はなかろう」

 「軍関連は利潤は大きいですが大量生産向きじゃないので構いませんよ」

 「日本もインフレとデフレを繰り返して利権を強化していけば、王様のような生活ができるぞ」

 「い、いやぁ そういうのは・・・」

 「しかし、日本は閉鎖的すぎないか」

 「まぁ 元華銀行に協力するということで・・・」

 「「「「・・・・」」」」

 

 

 崩壊熱発電は離島経済で有用だった。

 しかし、日本列島に繋がる離島は地震と津波の脅威が大きいことから、

 火力、地熱、水力、風力の4つ発電が主流になっていた。

 沖縄の周辺の海は風力発電や太陽光熱発電が置かれ、電力をまかなっていた。

 中城湾の中心に集光塔が建ち、周囲に鏡板ブイが同心円を描くように配置されていた。

 関係者たち

 「台風は大丈夫だろうな」

 「塔は高いけど丈夫に作ったし、風力発電より抵抗力が強いかな」

 「津波は?」

 「なんで、湾内に作ったと思ってんだよ」

 「光合成は問題にならない? プランクトンがやられると痛いよ」

 「外洋から孤立した湾じゃないし、隙間はあるよ」

 「沖縄にも原子力つくりてぇ」

 「あはははは・・・」

 「本当は安全なんだろう」

 「そりゃ 崩壊熱発電は電池みたいなもので世話いらず」

 「しかし、何万年単位だからな。火山活動が激しい列島は不向き」

 「扶桑と高千穂に負けるのが面白くない」

 「そういえば、アメリカとイギリスが原子力発電所作るらしいよ」

 「原爆製造が目的かな」

 「放射線障害の人的損失を割り引くなら当然でしょ」

 「原発はもっと自動化しないとまずい気がするけど」

 「そういや、鉄腕アトムのせいで、ロボットは人気があるな」

 「高千穂だっけ、なんか、本国が文化的に劣勢なのが面白くない」

 「そうは言っても、高千穂の庶民が一番活気があるよ」

 「やっぱり、抽選制衆議院制にしないと駄目なんかな」

 「高千穂独立を防ぐための制度が高千穂成長の原動力になるのが皮肉」

 「皮肉どころか、内地の権力構造が追い詰められたらまずいだろう」

 「だよねぇ」

 

 普天間基地

 瑞風が飛び立っていく、

 主力戦闘機の陽炎は徐々に増えていたが

 高価なジェット戦闘機を簡単に量産できるものではなかった。

 対峙している中国空軍は、ムスタングとB29爆撃機が主力で、

 機体どころか、部品もアメリカに頼っていたことから脅威というわけでもなかった。

 日本空軍将兵たち

 「やれやれ、最近、中三日で領空に近づいてきやがる」

 「戦争する気じゃないだろうな」

 「外務省が蒋介石総統に対日戦の意図がないことを確認してるらしい」

 「たぶん、ユダヤ資本か、アメリカの圧力じゃないかな」

 「日本の国防システムを調べたいからけしかけさせてると思うね」

 「例え当て馬でもムカつく」

 「日本もイスラエルに武器輸出してるだろう」

 「キュラソー島の軍事力は十分、アメリカの脅威だと思うがな」

 「しかし、イスラエル本国は中東にあって、アメリカの傀儡」

 「なんか、複雑な関係だな」

 「アングロサクソンとユダヤの力関係次第?」

 「心臓と頭脳の関係だから切っても切り離せないと思う」

 「どうだろうねぇ 中国はユダヤ資本という頭脳に挿げ替えようとしている」

 「イスラエルへの武器輸出は、中東の油田利権があるから公然とできないよね」

 「むしろ、武器弾薬をメキシコに売りたい」

 「ユダヤ資本の工作次第じゃないかな」

 「日本の対中工作と似てるな」

 「日本資本も杭州湾に洋上風力発電と太陽光発電を建設している」

 「上海の心臓を動かしてるのは日本資本ということになるな」

 「利敵行為してまで、資源が欲しいかね」

 「高千穂購入費のこともあるし、欲しいんじゃないかな」

 

 とあるビルの建設目録

 シリコン加工はガラス繊維を基に作られ、

 軽く錆びに強く熱伝導率が低いことから建設機材に使われやすかった。

 継手(つぎて)、仕口(しぐち)建造構造で器が作られ

 ヘリウムが入れられ、ブロックを組み合わせながらビルが積み上げられていく、

 ビルの支柱は、内側の4重構造と外側の4重構造になっており

 シリコン、カーボン、ケブラ、鋼の芯が束になって最下層と最上階を繋いでいく。

 天井と床は二重構造になって配線と水道が張り巡らされ、

 太陽光の集光がフロア全体に差し込んだ。

 工員が巨大なブロックを肩に運んで外壁の上縁に重ね。

 凹凸を嵌め込んでいく、継手構造のためコツを掴めば簡単に嵌まる、

 ヘリウムがポンプの中に引き抜かれ、

 代わりの強化発泡スチロールが流し込まれ、固められていく、

 工事関係者が高層ビルから見下ろしていた。

 「まるでブロック積だな」

 「耐火性と断熱に優れ、軽量で頑丈で竹のように受難性がある」

 「地震が起きても平気だし、津波が来ても受け流せるだろう」

 「とうとう、コンクリートともお別れか」

 「一般住宅も同じ作りになっていくだろうな」

 「まぁ ヒノキの合板を外側に張るだろうが」

 「日本人は木と畳が好きだからな」

 「比重が軽いから水に浮かびそうな気もするな」

 「浮遊式の洋上風力発電がそんな感じだ」

 「軽いから広く作らないと引っ繰り返るから。まぁ それはそれで・・・」

 「ヘリウムが入って軽いから風に気を付けないとな。下手をすると飛んでいく」

 「下からも支えてるから大丈夫だろう」

 「あまりやり過ぎると世界の常識から疑われるぞ」

 「ふっ」

 

 

 30000t級特務輸送艦「天城」 30000t級特務補給艦「葛城」

 平甲板の上にはヘリコプターが並んでいた。

 隔壁の中をパイプが敷き詰められ原子炉で熱された蒸気が循環し、

 冷却しながら原子力に戻り炉心を冷やした。

 それとは別にディーゼルエンジンを回すことができた。

 輸送艦「天城」は上陸作戦に必要な将兵と戦力を輸送し、

 補給艦「葛城」艦隊で必要な物資と燃料をまかなった。

 天城 艦橋

 ドイツ製ヘリコプターが飛行甲板に着艦していた。

 「とりあえずドイツ製でよかったのでは」

 「国産じゃないのは残念だが。まぁ 性能は悪くはない」

 「アメリカ、イギリス、ドイツの候補機からの選択ですから結構、お祭りでしたね」

 「軍民合わせて300機だから受注したフレットナー社は嬉しいだろうな」

 「国産ヘリはないんですか」

 「基幹兵器を除いた兵装の開発は民間任せらしい」

 「アメリカ、ドイツ、イギリスは国家レベルで投資してるから負けるだろうな」

 「高千穂の企業が開発する動きがあるようですが」

 「あそこは油田があるから内地より大きな工場を作り始めてる」

 「郷土心より金儲けですか」

 「まぁ いざ従業員を抱えて賃金払う立場になると郷土愛とか言ってられないのだろう」

 「州営、市営の発電が多いなら郷土愛も強いでしょうに」

 「市場のトップ3くらいになると全国レベルだ」

 「競争が激しければ、そうも言ってられないのだろう」

 「高千穂の出産率の方がいいようですよ」

 「暖かい方が妊娠しやすいのかもしれんな」

 「それはそうとセンチュリオンの後継戦車の開発はどうなってるんです?」

 「戦車か。開発は高千穂に移ってるらしい」

 「複合装甲も研究してるらしいが輸出や侵攻作戦もあるから後回しらしい」

 「まさか、電化しようなんて思ってないでしょうね」

 「まぁ 戦車はディーゼルがいいだろうが」

 「マイクロ波道路網は、まだ10パーセント弱だから、どうなんだろうね」

 「戦争になったら発電所が真っ先にやられるはずですから困りますよ」

 「だよな」

 

 

 

 達磨島

 達磨島にイギリス軍輸送機が着陸する。

 イギリスはアラブ諸国の独立させる前、

 アラビア海の無人島を幾つか領土化していた。

 しかし、当時、中東の石油埋蔵量を確認できず、イギリスの国力は落ち、

 小規模な軍事基地しかなかった。

 そして、基地を維持する施設や娯楽施設もなく、

 ましてや、自給自足できるような体制すらもなかった。

 イギリス政財界と軍人は、驚嘆しながら達磨島を見渡していた。

 中央の集光塔は全高300mに達し、

 周囲に張り巡らされた鏡板は、太陽を追いかけていた。

 鏡板は屋根になって、下にサボテン畑が広がっていた。

 イギリス政府関係者と日本人外交官がジープに乗ると走り出した。

 「このジープは電気ですか」

 「ええ、狭い島ですので電気自動車が都合がいいのです」

 鏡板の影と、鏡板と鏡板の隙間から強い日差しが差し込む、

 イギリス人はサボテン畑を見渡した。

 「凄いな」

 「サボテンが何度か枯れれば土壌が肥えて、他の樹木を植えられるでしょう」

 「人口は?」

 「いまは10000人くらいです」

 「住処は地下にあるのかね」

 「熱射が厳しいので地下の方が住み心地がいいですよ」

 案内役が合図するとシャッターが競り上がっていく、

 通路は、4車線ほどあって、地下と思えないほどの太陽光で照らされていた。

 乾燥し、ひんやりとした空気の通路に、ジープごと入っていく、

 「これは凄い」

 「太陽熱は発電に使われ」

 「太陽光は反射鏡で地下施設全体を照明していますよ」

 「このまま、地下に降りられるのかね」

 勾配のない通路が続いていた。

 「この通路は工事用の幅の広い通路で螺旋状に回って最下層の立ち入り禁止区の手前まで行けますよ」

 「しかし、時間がかかるので、こちらへ」

 扉を開くとやや勾配のある狭い通路があった。

 「地下はどのくらいあるんです?」

 「まだ、工事中なので必要になったら地下を広げるでしょう」

 「よくもそれだけの資本があるもんだ」

 扉が開かれると巨大な空間に菜園が広がっていて、

 樹木が植えられていた。

 「オレンジに水路・・・」

 「地下一層は熱帯作物。地下二層は温帯作物。地下三層は寒帯作物です」

 「よくもまぁ・・・完全な自給自足ですか」

 「アラブ諸国に輸出すると利益になるので、基地要員以上の作物を産出をしてます」

 「「「「「・・・・」」」」」

 「内地からも空船のタンカーを送るよりリンゴやミカンを運んできますよ」

 「日本は、いつから食料を輸出できるようになったんだ」

 「減反して農作物の価格を保つより、燃料にするか、売るかでしょう」

 「アラブは、石油に転嫁しやすいので都合がいいようです」

 「・・・子供も結構いるんだな」

 「ああ・・徴工、徴員で来た人たちの家族の子供がアルバイトで働いてるのでしょう」

 「民間施設が増えて、家族も増えましたからね。小中高大学までありますよ」

 「徴兵でなく?」

 「国防は再生産が利かないので・・・」

 「それだけ、日本は儲かってるわけか」

 「サービスや商品も石油に転嫁できるので設備投資しても損しないので」

 「大変な勢いだな」

 「高千穂代金の支払いが始まったというのに、イギリスはずいぶんと元気がないようで」

 「ふっ 金の問題じゃなく、植民地依存の体質が抜け切れないのが失態かもしれないな」

 「イギリスの真の労働者はインド人でしたからね」

 「高千穂の先住民の方がイギリス人より豊かかもしれないな」

 「まさか」

 「しかも日本人は、完全に高千穂に住んでいる」

 「我々のようにインドから追い出されていない」

 「オランダ領インドネシアとフランス領インドシナの経済は伸びてますね」

 「オランダとフランスは国土を失った開き直りだな」

 「我がイギリスの本土は失われていない

 「イスラエルも成長中のようで」

 「イスラエルは、日本のせいだな」

 「ユダヤ資本はイギリス経済の心臓でしょ」

 「いや、それはアメリカと中国だろうな」

 「イギリスにとってはユダヤ資本は影に過ぎなかった。しかし、日本はユダヤに実体を与えた」

 「・・・・」

 「それに、ユダヤ資本は利益の大きな中国に移動しつつあるよ」

 「中国でユダヤ人は目立つでしょうに」

 「ユダヤ資本はチベット族とウィグル族を子分にして、中国大陸に浸透している」

 「まぁ 巡り巡って、イギリスの利益になるが、国民は・・・」

 「イギリスの貧富の格差は小さくなってるのでは」

 「揺り籠から墓場までか」

 「イギリスは戦争でユダヤ資本から莫大な借金を背負った」

 「表向きアメリカだがね。軍需で儲けたのはユダヤ資本が大きい」

 「肩代わりで支払わされるのは日本でしょうけど」

 「ふっ イギリス人の反ユダヤ票は大きいからね」

 「おかげで、ユダヤ資本は中国に逃げている」

 「なるほど、イギリスがイスラエルへの武器輸出を渋ってるのはユダヤへの制裁」

 「それとは別にアラブの油田権益もあるからね」

 「それより、日本がこれだけの投資をすれば元を取るため中東に侵攻すると思ったが」

 「中東に商品やサービスを捌けばいいので、それほど困ってないので」

 「「・・・・」」

 冷気が室内を包み込んでいた寒帯の菜園を抜けていく

 「中東でリンゴですか」

 「アラブの王様、族長は好きですよ」

 「ところで、中国の生産力が強まってるようだが日本の低級品対策は?」

 「いま、人権基金の一律導入を検討してますよ」

 「所得を底上げするから中国製より高くても日本製衣類くらい買えるでしょう」

 「なるほど・・・」

 「しかし、庶民に甘い汁を吸わせてしまうのでは?」

 「日本人は利権が大きくなるほど、上に行くほど馬鹿になっていく傾向が強いですからね」

 「国債発行の財政投資に対して、一部を分配することで利権の突出を押さえられますし」

 「不公平感を押さえやすくて、財政投資もしやすい」

 「日本は社長と平社員の格差が10倍くらいだとか」

 「まぁ そのくらいですよ」

 「「・・・・」」

 「江戸時代の頃の侍と庶民は、もっと格差があったのでは?」

 「まぁ 武士階級は数が少なかったので、多いと財政が傾きますし」

 「米が貨幣みたいなものでしたから」

 「貧富の格差といっても凶作でもならない限り庶民の10倍も食べられませんからね」

 「「・・・・」」

 「川がないですよね。下水は、どうなってるのです?」

 「下水は最下層です」

 「雑菌対策で薄い銅膜を張り巡らした下水管を通って、処理されます」

 「下水タンクで沈殿させ、熱で蒸発させた水は菜園で使いますし」

 「沈殿物の一部は菜園や埋め立てに使われます」

 「下水トンネルはどうやって?」

 「通路と同じです」

 「シールド工法で地下に向かって螺旋状に建設してますよ」

 「外は熱砂なのに地下は、大都市とはね」

 「まだ町ですよ。アラブの需要が大きくなれば大都市になるかもしれませんが」

 「これからたくさん売れるだろうな。羨ましいものだ」

 「イギリスも中国の銃器自由化で大儲けじゃないですか」

 「ふっ あれはアメリカの圧力が強かった」

 「まぁ 情報を聞いてたから銃器メーカーの株は買っていたがね」

 

 

 

 ブラジル

 人質事件が多発していた。

 犯人は朝鮮人と見当が付けられ、捜索が始まっていた。

 日本大使館

 職員たちが新聞を広げる

 「また、人質事件か」

 「朝鮮人は人質に取るか、物質に取って強請り続けるからな」

 「人質は返さないで、身代金を釣り上げ続けるか」

 「返す素振りを見せながら別の人間を人質に取る」

 「物質も上手いよな」

 「先に金をせしめて、返すから、少し貸してくれ」

 「後は、元金を握ったまま、小銭を借り続ける」

 「ふっ 馬鹿な奴は、簡単に引っかかるし」

 「引っ掛かるとド壺に嵌まり続けるから、どうしようもないな」

 「しかし、捕まるとき、俺は日本人だと叫ぶのはやめて欲しいね」

 「この前のパスポート偽造事件はどうなった?」

 「ああ、盗んで写真を張り替えたものらしい」

 「血液判定で偽物だってわかるだろうに」

 「偽造するなら遺伝子から模造しないとな」

 「真似したって、日本で照合したらばれるし」

 「暗号が混ざってるからそれ解けないと」

 「しかし、朝鮮人は多すぎるな」

 「ふっ 送り込んだのは日本人だけどな」

 「6000万人中に1000万人だから6人に1人が朝鮮人だからね」

 「1500万が移民したはずだけど」

 「まぁ 建設現場と農場で500万くらい死んだんじゃない」

 「ダム建設需要と戦争需要で儲けていた時と違って、ブラジル人も怒ってるし」

 「朝鮮人はパラグアイ、ボリビア、ペルー、コロンビアに逃げてるらしいけど」

 「ふっ 南米全体で袋叩き似合いそうだな」

 「朝鮮人を助けなくていいのか」

 「んん・・・1人助けると日本人が10人ぐらい被害に遭うから嫌だ」

 「そろそろ、いくか。大統領補佐官と、会食する時間になる」

 「また皮肉を言われそうだな」

 「ふっ」

 

 男たちが建物の陰に隠れ、道路を覗き込んでいた。

 「こ、これを切っ掛けにして日本に侵入ニダ」

 「日本の利権を暴走させて、反体制勢力を煽るニダ」

 「自作自演で日本の右翼と左翼の世論を狂わせて」

 「そして、日本を欧米諸国と戦争させて滅ぼしてやるニダ」

 「駄目なら日本を植民地にして」

 「日本を解体するニダ、多民族国家にしてやるニダ」

 「ブラジル朝鮮民族シラギ戦線に栄光あれニダ」 

 「き、来たニダ」

 「行くニダ」

 「頑張るニダ・・・」

 「・・・・・」 ごっくん!

 黒塗りの日本車が走ってくる

 「・・・・・」 ごっくん!

 すぅー!

 「「「「・・・・」」」」

 「な、なにやってるニダ! 突撃するニダ!」

 「ちょ ちょっと怖かったニダ」

 「馬鹿たれニダ。当たり屋くらい、ちゃんとやるニダ」

 

 

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 月夜裏 野々香です。

 原子核がビー玉の大きさだとしたら、電子は髪の毛先の大きさほどで、

 原子核と電子の距離は、3kmになるそうです。

 なんと原子は虚無の空間が大部分を占めてるという (笑

 なので、平行次元世界の概念で

 原子核と電子の距離が変わると原子が原子がすり抜けてしまう。

 そういった現象も考えられるわけです。

 

 

 

 ユダヤ海軍

 戦艦8隻、小型空母1隻、強襲揚陸艦6隻、軽巡17隻、駆逐艦36隻、

 ルベン(金剛)、シメオン(比叡)、イッサカル(榛名)、ゼブルン(霧島)、

 ダン(伊勢)、ナフタリ(日向)、ガド(扶桑)、アシェル(山城)、

 ガリラヤ(鳳翔)

 メギド(神州丸)、アララト、シナイ、オリーブ、モリヤ、ゲリジム、

 アフェク(天龍) カナ(龍田)

 ツロ(球磨) アコ(多摩) ハモン(北上) ハロシェテ(大井) ケデシュ(木曾)

 シロ(長良) キネレテ(五十鈴) ハマテ(名取) ラマ(由良) ラマ(鬼怒) リモン(阿武隈)

 ヨクネアム(川内) ガテ・ヘフェル(神通) シムロン(那珂)

 サリテ(夕張)

 峯風、澤風、沖風、島風、灘風、矢風、羽風、汐風、

 秋風、夕風、太刀風、帆風、野風、波風、沼風

 神風、朝風、春風、松風、旗風、追風、疾風、朝凪、夕凪

 睦月、如月、弥生、卯月、皐月、水無月、

 文月、長月、菊月、三日月、望月、夕月

 

 

 

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第21話 1952年 『新しい天と地は』
第22話 1953年 『馬鹿を作る機械テレビと、侍魂』
第23話 1954年 『国民(人権)基金は新札分の公定歩合と連動で』