月夜裏 野々香 小説の部屋

       

仮想戦記 『白亜の遺産』

 

 第23話 1954年 『国民(人権)基金は新札分の公定歩合と連動で』

 中東油田は開発され、石油価格は低下していた。

 製造業は石油を湯水のように燃やして、商品を作り続け、

 政府は、いつまでも石油があると思うなとばかり、洋上風力発電を建設していた。

 複合素材の生産が増すにつれ、風力発電の生産量は急増し、

 遠浅の北海州と樺太州でも洋上風力発電が建設されていた。

 日本の電力代は総括入札逆進売電方式だった。

 価格が低いほど売電率が高くなり、価格が高いほど売電率が低くなった。

 自然発電方式が有利でコスト削減が収益に直結した。

 脱石油を目指す国策をしていたことから発電所は増え、

 電力供給が大きくなるほど発電所の収益分配率が低下し、

 電力消費量が増えるほど、発電所の収益分配率が増えた。

 監査機関はカルテルの監視をするだけでよかった。

 新規発電所は、電気代の低下を求める層の要求と、

 建設費が見合った企業によって参入が行われた。

 樺太州(76400km)

 樺太は強風域で風力発電に有利だった。

 複合素材は、ピッチを変えることで強過ぎる風に耐え、

 許容範囲を超えるとプロペラを停止させた。

 膨大な電力は暖房だけでなく、土壌の保温にも利用され良質な作物を作った。

 関係者たちは、吹雪いている沖で回転してる洋上風力発電を見ていた。

 「中東がキナ臭くなってるようです」

 「ユダヤ人とアラブ人の戦争か。いい加減にして欲しいものだ」

 「洋上風力発電をもっと増やせば、石油消費を押さえることができるのですがね」

 「石油が安い間に風力発電を建設したいが、ほかにもいろいろ入用らしい」

 「空母なんて建造するからですよ」

 「まったくだが外交上のハッタリも必要なんだろう」

 「軍事力に頼るんじゃなく、頭を使えばいいんですよ。頭を」

 「頭は人によるからね」

 

 発電量の増大は波及効果に繋がった。

 オハ石油精製所に繋がる化学コンビナートでは合成ゴムが生産され、

 オランダ領インドネシアに対する依存度を減らしていた。

 国家の独立は、外交戦略の独立であり、

 経済の自立は、資源の自立だった。

 例え、科学技術上で遅れていたとしても、代替資源があれば自主外交戦略を行使できた。

 そのため、戦争需要で得た利益の多くを発電や代替資源の開発に向けられていた。

 数台の自動車がテスト道を走り、タイヤの減りを検査していた。

 日本、アメリカ、ドイツ、イギリスの合成ゴムとの比較検査であり、

 合成ゴムの強さは競争力の差に繋がり、競争力の差は、市場の差に繋がった。

 むろん、価格差が最も影響する市場でなく、

 国防に限定するなら高い素材を使った強い製品が有利だった。

 巨人機用のタイヤは、シリコン、カーボン、ケブラ、合成樹脂を重ね

 縦方向にも芯を並べた弾力のある複合体だった。

 関係者たち

 「これで、離着陸できる?」

 「まぁ なんとかなるでしょう」

 「マイクロ波で滑走路を温めてるんですよね」

 「着陸時だけな。気流が変わり過ぎると危ないから」

 「しかし、巨人機は意図的に上昇気流を起こさせるくらい放熱するだろうな」

 「まぁ それなら、タイヤの寿命は延びるでしょう」

 

 

 日本海

 カザーク連合艦隊

 教導駆逐艦バクー。駆逐艦ラズゥムヌイ、ラズィヤレンヌイ、レヴノストヌイが

 国連海洋法条約によって航行が認められた宗谷海峡を通過していく、

 カザーク連合海軍は駆逐艦14隻、潜水艦91隻、他小型艦艇を有し、

 ウラジオストックと旅順港に分かれていた。

 嚮導駆逐艦バクー 艦橋

 「艦長。日本は風力発電に集中してるようですね。数が増えてますよ」

 「あの大きさで寒風。強風。流氷に堪えるのだから大したものだ」

 「大きくする必要がるのでしょうか」

 「一定量以上の風が吹く場所は限られてるから当然大きくなるらしい」

 「カザークは洋上風力発電を建設しないので?」

 「研究してるらしいがまだ無理なようだ」

 「まぁ 南満州の利権と北樺太の領土を交換したのだからそれくらいのことはしないとな」

 「カザークは技術力で劣ってるわけですか」

 「いまはな。しかし、カザークの面積は210万kuだ」

 「人口は8000万だが」

 「フランス語やオランダ語よりロシア語がいい白人はカザークに残って増えてる」

 「漢民族が多い気がしますがね」

 「漢民族は近代化の礎になるよ」

 「中国より待遇はいいし、いらなくなったら、租界経由で中国へ追い散らせばいい」

 「カザークの資源は大きいし。いずれ、ドイツ帝国と並ぶ世界有数の白人国家になるだろう」

 「そういえばドイツの面積も210万uでしたね」

 「日本の国土は、どうだったかな」

 「日本は70万ku以上。高千穂は92万ku以上なので、合わせれば163万kuくらいでしょうか」

 「つまりカザークとドイツは、日本と高千穂のどちらに対しても優位なわけだ。表面的には・・・」

 「カザークは、まだ、核兵器を開発してませんからね」

 「それに高千穂の油田や資源は厄介ですし」

 「カザークは中国と対峙して、ソビエトとも張り合ってるので、日本と事を構えるのは面白くないですけどね」

 「だが、アメリカ、インドシナ、インドネシアは、対日戦略一色のようだが」

 「白人世界で、日本は一番目障りな国だからな」

 「艦長。巡視船が12ktから17ktに増速。後方5kmに接近」

 「速くいけってか」

 「海峡に長くいられると面白くないのでしょう」

 「世界最強の海軍と噂されてるのに小心なことだ」

 「単一民族ですからね。異民族に耐性がないのでしょう」

 「それが弱点とはいえるがね・・・」

 「風力発電装置に近づいたら可能な限り写真を撮りまくれ」

 「はい」

 

 

 

 アメリカ領グアム島

 滑走路に駐機していたのはB52爆撃機で

 その気になれば日本本土を火の海にできるだけの破壊力を持っていた。

 アメリカ空軍将校たちは神妙な表情で世界一巨大だと信じていた爆撃機を見上げていた。

 「日本の爆撃機の方が大きいというのは本当なのかね」

 「全長90m。全幅90m以上のデルタ翼機らしい」

  早期警戒管制機 朱雀

   全長90m×翼幅90m×全高24m  翼面積1320u

   空虚重量150t/最大離陸重量300t

   推力5488kg×16基

   最大速度830km/h 高高度時1040km/h

   航続距離41710km 12人

 「まさか。そんな巨大なモノが飛ぶのか」

 「二条三乗の法則は?」

 「単に素材と推進力の問題だけという気もするが」

 「どんだけ金を使ってるんだ」

 「というより素材の差だろう」

 「じゃ チタン?」

 「まさか」

 「噂じゃ もっと巨大な機体を検討してるともいうが」

 「ひょっとして爆撃機じゃないのか」

 「かもしれない」

 「空中哨戒用プラットフォームで開発するなら侵攻は考えなくてもいい。割り引ける重量もあるだろう」

 「そういうことなら、無理じゃないかもしれないが値段が高いだろうに」

 「巨人機を駆逐艦や巡洋艦と思って製造してるのかもな」

 「貧乏くさい国と思ってたがいつの間に変わったんだ」

 「じゃ 素材加工だな。日本は新素材の開発に成功してるのかもしれない」

 「それはヤバいんじゃないのか」

 「んん・・・水爆といい、空母といい、巨人機といい、黄色人種の分際で生意気な」

 

 

 高千穂

 某工場

 マイクロ波発電とターボプロップエンジンのハイブリットエンジンが開発されつつあった。

 当初、プラット・アンド・ホイットニーR4360とマイクロ発電を繋げたもので、

 エンジンとモーターのハイブリットが可能であると確認すると本格的な開発が始まる。

 開発者たち

 「ソビエトのTu95爆撃機のクズネツォーフターボプロップエンジンは、14795馬力だそうだ」

 「じゃ 開発しようと思えば1基15000馬力くらいいけるってことか」

 「目標とするなら20000馬力ぐらい挑戦したいね」

 「空中要塞はマイクロ波を充電しながら飛ぶ」

 「問題は、エンジンとモーターのどちらでプロペラを回すか、なんだけどね」

 「ローレンツ力でプロペラを回すならモーターメインがいいと思うけど」

 「マイクロ波の充電圏外を飛ぶならエンジンメインだよね」

 「しかし、マイクロ波揚力計画は本気ってこと」

 「揚力だけじゃなくて、数十か所からマイクロ波を集束させて迎撃に使おうって計画もある」

 「じゃ それで迎撃・・・」

 「そういうこと」

 「超低空から侵入されたら」

 「その時は、空中要塞からマイクロ波を反射して超低空を・・・」

 「そんなことできるのかな」

 「さぁ しかし、国防省は予算会得のハッタリになるって・・・」

 「また夢のような話しを基にして」

 「ドイツだって宇宙ロケットを打ち上げてるが」

 「我が日本もミサイル実験はしてる」

 「国防と直接的なかかわりが低い宇宙ロケットと、国防と直結してる迎撃ミサイルは違うだろう」

 「いや、宇宙ロケットも将来的には大きな戦力になると思うが」

 「天昭(クサイ)島は?」

 「まだ土木工事が始まったばかりだよ」

 「あそこは普通の国と違うんじゃないのか。採算度外視はイギリスや日本をはるかに超える」

 「しかし、ドイツの突出ぶりは異常だよ」

 「なんなのラムジェット戦闘機って。なんの冗談」

 「なんていうか、人は理想、夢、欲望で生きていく」

 「理想の現実化が裏切られたら道を失うが、夢が残る」

 「夢が失われたら、欲望で生きていくしかない」

 「国家的な理想が成し遂げられない以上、国家的な夢を国民に提示するしかない」

 「そうでなければ欲望に駆られ、対外的な戦争か、内政的な貧富の格差と圧政に至るかもしれない」

 「現実は期待できないから、国内的な夢だけでも保たないとな、社会が動物的になるよりいいだろう」

 「まぁ 体制の現実が退けないなら夢で妥協すべきかもしれないが・・・お高い夢だな・・・」

 「ふっ」

 

 

 イスラエルはパレスチナ人、ヨルダン人との内戦が熾烈を極めていた。

 必死に航空戦力を集めようとしたが、中東油田が大きくなるにつれ、

 各国は、石油欲しさに輸出を規制し、ついには干された。

 B17フライングフォートレス、ブリストル ボーファイター、

 D520、デ・ハビランドモスキート、P51Dムスタング、

 三式指揮連絡機は、満足に整備できない状況になっていた。

 その飛行場にF80シューティングスターが滑走路に並び始めていた。

 全長10.49m×全幅11.81m×全高3.43m  翼面積22.07u

 自重3820kg/最大離陸重量7650kg

 推力2400kg  最大速度956km/h  航続距離1330km

 12.7mm機銃×6  搭載武装450kg×2発、ロケット弾10〜16発

 ユダヤ人と日本人技術者

 「F80を手に入れたんですか」

 「第三国経由の機体を廃棄させてなんとかね」

 「涙ぐましいというか、大したものです」

 「アメリカの中古ジェットは面白くない」

 「それに第三国に輸出してもいいが、そのままの機体で飛ばさないと契約を結ばされてる」

 「改良すればいいんじゃないかな」

 「ユダヤ人は商売は得意だが製造は苦手だ」

 「人口は増えてるのでは?」

 「社会基盤を作るので忙しい」

 「日本の陽炎を売ってくれ」

 「アラブを怒らせると石油が入ってこなくなって困る」

 「日本は戦力を持ってるはずだ。中東ごと占領すればいいだろう」

 「いや、無理だから」

 「・・・・・」 ため息

 「しかし、下手に改良するより双発機にした方がいいかもしれないな」

 「できますか。ミスター土井」

 「まぁ やってみましょう」

 

 その日本人は元航空技術者で民間工場主だった。

 機体設計が継手、接着方式が主流になると、

 溶接、ナット方式は主流から離れ、民間工場へと押しやられていた。

 彼は第三世界で廃棄されて送られてきた機体を解体し、

 アリソン製J33A35ターボジェットを2本並べるとバラバラにした機体を繋ぎ合わせ、

 アルミ板をとかして、さらに加工し、

  双発戦闘機エフライム

   全長12.49m×全幅12.81m×全高3.43m  翼面積36u

   自重4220kg/最大離陸重量9350kg

   推力2400kg×2  最大速度1456km/h  航続距離1830km

   12.7mm機銃×6、搭載武装450kg×2発、ロケット弾10〜16発

 デルタ翼型の双発ジェット戦闘機を設計し製造していく、

 冗長性のある機体は、エンジンの取り換えが利いたことから更なる性能向上も可能になっていた。

 イスラエルに送られた部品は組み立てられ、

 イスラエル製戦闘機として飛行場に並べられた。

 汎用性の高いマルチロール機として完成した機体は、イスラエルを経由して、

 第三国へも輸出されるようになっていた。

 政府関係者たちと民間企業の社長

 「おいおい、まずいだろう」

 「いや、部品を輸出してるだけだから」

 「組み立てたら戦闘機になるだろう」

 「でも、元々はアメリカ製で第三国の廃棄物だし・・・」

 「しかし、有り合わせで作ったのによく飛んだな」

 「基本的にイスラエルが買った機体を使うし」

 「結合部と外板とこまごまとした機材だけだから」

 「なんか、アメリカが開発してるっていうノースロップF5みたいな機体だな」

 「この機体は中古品だから安くて、デルタ翼なので操縦しやすいですよ」

 「そういう問題じゃないだろう」

 「だって、イスラエル製じゃないですか」

 「んん・・・」

 「互換性優先のエンジン枠で余裕あるのでドイツ製エンジンでも大丈夫なんですよ」

 「もういい」 ため息

 

 

 生徒たちはいつになく真剣な面持ちで正面を見ていた。

 “船が霧を抜けると、水平線上に二つの太陽が昇っていた・・・” カキカキ

 “零下だった空気は、暑い空気に変わり、違う世界にいることは明らかだった” カキカキ

 もちろん、生徒が黒板を見てるか保証しないが、

 黒板の後ろは、縦型ブラインドが使われ、

 そこから漏れ見える光景は広大な海で、動いていた。

 日本と高千穂の定期航路が増えるにしたがい、

 定期客船は次第に大きくなり、

 60000t級黄道十二星座型客船の建造が決まる、

 そして、アリエスは、世界有数の客船として就航していた。

  全長260.96m × 全幅30m  喫水7.5m

  ディーゼル電気推進37800kw×4基2軸  速力23kt

  客室360室 定員1000名  乗組員数 約440名

 1番船アリエスと2番船タウルスは、修学校船とよばれ、

 文部省の肩入れで修学旅行用として建造され、船内に教室や体育室が作られていた。

 これは日本と高千穂の両地域を可能な限り結びつけ、

 学生の内に両地域が統一した国家であると印象つけるためだった。

 喜望峰沖、

 巨大な船がさらに巨大な氷山の間を抜けていく、

 アリエス 船橋

 船長と船員たち

 「生徒たちは大騒ぎのようです」

 「ふっ 寒くて縮こまると思ったが元気なもんだ」

 「南極まで近づこうかって話しもありますけどね」

 「いや、流石に大型船でも暴風圏を抜けるのは気が重いな」

 「いい経験になるのでは?」

 「あははは、船酔いのな・・・」

 「そういえば、大型砕氷艦も建造するそうですよ」

 「なんか文部省は元気だな」

 「文部省は、利益誘導に流れやすい省庁を目の敵にしてますからね」

 「まぁ 学校全部なら、それほど回転率は悪くないし、将来的な投資にもなるだろう」

 「高千穂に付いたら驚くでしょうね」

 「高千穂は暑い国だからな」

 「ケンカしてないだろうな」

 「前みたいなのは、困るぞ」

 「でも日本の学生は大人しい方ですよ」

 「この前、アメリカの学生を乗せたときは大騒ぎでしたから」

 「いくら教室と部屋に空きがあっても、外国の学生を載せるのはどうかと」

 「まぁ 国同士の取り決めじゃないのか」

 「外国も興味津々なんだろう」

 「国情の必要に駆られて建造したけど、外国も興味を持ったのかもしれませんね・・・」

 「そろそろ、時間だな」

 「ええ」

 「さぁ 君たち。時間だから終わりだよ。交替しなさい」

 「「「「はい」」」」

 学生たちは敬礼すると、次の学生と替わる。

 授業が終わるとくじが引かれ、教習を受け、一時的に操船ができた。

 また、他校生と交流することもあり、

 修学旅行は人気のある学校行事になっていた。

 

 

 アメリカ東海岸 ジキル島

 お金にまったく困らない人たちが集まるとマニアックな自慢になっていく、

 しかし、唯一共通するモノが存在し、

 それは、古今東西の権力者と富裕層が連綿と共有する不死だった。

 アメリカは資本主義が大きくなるころから世界中の作物と薬草を集めて栽培し調査していた。

 医療も列強でもドイツと並び、医療技術を向上させることに躊躇しなかった。

 そして、科学技術と生物学が進むにつれ、不死に対する野心も強まっていた。

 体に良いといわれる日本料理が並んでいた。

 傲慢な人たち

 「「「「「おぉおおおお・・・・」」」」」

 「こ、これはなんだ。ガラスの中で魚が固まってるぞ」

 「金魚型の和菓子を寒天に包んだもので、緑茶と合うはずだ」

 つついたり、覗き込んだり、転がしたり・・・・

 ぱくぱく ぱくぱく ぱくぱく

 「食ってしまったことがこれほど残念に感じたことはない」

 「なんなら、お土産分もあとで渡そう」

 「「「「「・・・・・」」」」」 にんまり

 「さて、会食も一段落ついた」

 「話しを続けよう」

 「遺伝子学が進んで、不死の可能性が高まってる」

 「つまり、さらなる投資をせよと?」

 「そうなるな」

 「まぁ 我々は金が腐るほど余ってるから構わんが、見込みがありそうなのかね」

 「もちろん」

 「それに遺伝子操作作物が可能になれば利益率の良い儲けになるだろう」

 「そうなれば、投資した資産は回収できる」

 「なるほど、政府と庶民の生殺与奪権を握れば、後はこっちのものだ」

 「しかし、遺伝子を扱うのは危険じゃないのか」

 「草食牛が突然変異で肉食牛になって人間を襲ったりしないだろうな」

 「「「「「あははははは・・・」」」」」

 「ゾンビ化したり?」

 「「「「「あははははは・・・」」」」」

 「まぁ その辺は、ちゃんと研究するよ」

 「だといいがね」

 「ところでドイツの情報は?」

 「第二世代ジーンリッチは10万を超えてる」

 「寿命の問題は?」

 「優秀だが遺伝子操作されているわけではない」

 「生物学的には純血種より雑種が強いよ」

 「遺伝子が最も進んでるのは日本なのか? 本当なのか?」

 「日本の国民総背番号制は遺伝子情報を使ってる」

 「生物はすべて遺伝子を持ってるし。人間の遺伝子がどこからなのか知ってる」

 「さらに個人識別でき、その情報を保管でき、それを国家が管理している」

 「個人認証。銀行、通信、住所で使われ、我々が侵入できない要素にもなってる」

 「排他的だな」

 「日本はカザークとドイツとは日独国交取得面積上限協定を結んでる」

 「利益はあるのかね」

 「元々は、アマテラス=ダジボーグ共同自治区が手本になってる」

 「友好国同士で共同管理区を作ろうというものだ」

 「寄宿制の学園を作れば卒業後、外交パイプになる」

 「アメリカもドイツや日本と共同自治区協定を結ぶべきじゃないのか」

 「戦争できなくなるぞ」

 「一応、中立法で戦火を及ばせない協定になってる」

 「保証金がスイス銀行に入っていて、手を出せば相手国の口座に全額振り込まれる」

 「保証金次第だが、ある意味、一番安全と言えるな」

 「では、アメリカも日本やドイツと共同管理区を作るべきだろう」

 「しかし、逆にいうなら我が国の中枢に近い地区に敵性国家の足場を作ることになる」

 「「「・・・・」」」」

 「必要なのは情報だ。外交パイプも・・・」

 「それに日本・ドイツ・カザークの間で協定が結ばれてるのが面白くない」

 「まぁ 確かに・・・」

 「しかし、最近、企業訴訟が多くないか」

 「製造物責任法を強要されると日本やドイツの企業に負けるかもしれないな」

 「なんとか、弁護士連中を黙らせられないのか」

 「アメリカ製はアバウトだからな」

 「アメリカの保険制度は日本やドイツに比べて低い」

 「民主主義の圧力は大きいから、保険制度を拡充するか。製造物責任法で妥協するかになる」

 「日本とドイツに負けるのは面白くない」

 「可能な限り延命させて製造物責任法で妥協する方がいいと思う」

 「いざとなったら日本やドイツの民主主義勢力を煽って製造物責任法を強要させよう」

 「引っ掛かればいいがね」

 「国が引っ掛からなくても、マスコミは権力から独立を保つため積極的に反体制誘導を行う」

 「世論が動けば、国民が政府に強要するだろう」

 「しかし、ドイツや日本の製品は人気があって、負けてる」

 「アメリカはドイツやイギリスに比べ工業レベルが低かったからな」

 「イギリスの利権がなかったら危なかった」

 「日本の工業力が伸びてるのが気に入らない」

 「品質とアフターケアーの差だな」

 「円の為替をもっと高くすべきじゃないのか」

 「ふん、あんな、なあなあの同好企業で社員は時間だけを潰して生産してる商品など」

 「アメリカの生産の方がはるかに合理的だ」

 「それにアメリカ人の労働単価が日本人に負けてるなど認めたくない。嫌だ」

 「まぁ アメリカの労働運動を押さえる意味でも日本製や中国製を輸入すべきではある」

 「それは言える」

 

 

 ローマオリンピック

 ドイツのジーンリッチ選手はオリンピックで上位を占めメダル取得最多になっていた。

 各国の代表者たち

 「「「「「・・・・・・」」」」」 ため息

 「ゲルマン民族大勝利か」

 「なんかもう、勝てんわ」

 「ブラックパワーも形無しだな」

 「せっかく、黒人を2人もオリンピックに出したのに・・・」

 「日本人は気前良いな」

 「民族主義者は反発するけど。国粋主義者が押すから・・・・」

 「まぁ 国は民族がどこであれ、金メダル取れば正義だからな」

 「ドイツは体力だけじゃなく。科学技術も伸びてるよね」

 「遺伝子操作とか?」

 「いや、結婚紹介制や精子バンクは使ってるが遺伝子操作まではしてないと聞いた」

 「遺伝子操作はアメリカの方がやってるのでは?」

 「ま、まさか」

 「じゃ 日本?」

 「研究だけ・・・」

 ドイツ人選手は、二番手を十数メートル引き離してトラックを回り、テープを切った。

 「「「「・・・・」」」」 ため息

 

 

 外交戦の手札は2つ。諜報戦を除けば砲艦外交か援助だった。

 日本とドイツはアルゼンチンを足場に、チリ投資を増大させていた。

 日本が洋上風力発電を建設すれば、ドイツは武器弾薬を輸出し、

 アメリカの南米経済支配の一角を切り崩していた。

 洋上発電機が回り始めると、現地の金が入る。

 しかし、現地のお金は日本で役に立たず、資源を購入することになるが、

 資源を買えないときはほかのモノを買うよりなかった。

 チリ  サンチアゴ

 海岸のホテル

 「アンデス颪はいいねぇ チリは風力発電向きだ」

 「資源は得られそう?」

 「海産物や農産物はいいようだ」

 「鉱物資源は山師頼りだよな」

 「海産物と農産物はそれほどいらないんだが、むしろ農林水産省に怒られる」

 「ふっ まぁ チリ人の貧困層に配ったっていいだろう。チリ人を味方につけたい」

 「ラテン系はなぁ というよりカトリックは施しをやめると殺されるんだよ」

 「うそ」

 「ほんと。なんで後進国なのか、わかれ」

 「そうだったのか・・・」

 「じゃ 日本料理店でも作って、働かせるか」

 「貧乏人が多いから、掛け捨て投資になりそうだな」

 「いや、日本料理店を作れば富裕層が来るんじゃないか」

 「そこで上下水道みたいな公共工事を受注して」

 「まぁ ついでに日本語学校も作ってみるか」

 「日本の代理人が現れたら、後々やりやすくはある」

 「どこかかの民族みたいに恩を仇で返されそうで怖い」

 「途中で人身売買で輸出したら怒るだろうよ」

 「そんときは撤退すればいいさ。洋上風力発電機は移動させることができるし」

 「アルゼンチンでもやってることだし、試してもいいだろう」

 「なんか、アルゼンチンやチリのために産業を起こしてるようなものだけどな」

 「金のなる木にはなるだろう」

 「アメリカ・ユダヤ資本は、ブラジル、ボリビア、パラグアイ、ペルーで経済防衛線を構築している」

 「しかし、アメリカの経済支配は搾取的でゼロサムだ」

 「我々の経済進出は融和的でウィンウィンでさえある」

 「防衛線は現地政府にも現地民にも支持されるはず」

 「連中はダーティな方法を取るからね」

 「大使館は政府が決めるまで引き篭もりの事勿れだし」

 「せめて、殉死扱いでもなきゃやってられない」

 「「「「あはははは・・・」」」」

 「それは言える」

 

 チリ バルパライソ港

 ドイツ海軍 戦艦ハルク(クレマンソー)

  排水量35000t/47548t

  全長247.90m×全幅33m×吃水9.70m

  馬力150000hp  最大速力30.0kt(56 km/h) 航続距離14kt/8500海里(15740km)

  45口径380mm4連装砲2基 45口径100mm連装高角砲6基

  60口径37mm連装機関砲8基

  水上機 3機

  V3誘導弾ロケット 垂直発射サイロ15基

 ハルク 艦橋

 政府関係者と海軍将校

 「アルゼンチンとチリがこちら側に付けば、南アメリカ大陸で南北戦争が起きるかもしれないな」

 「人口では圧倒的にブラジルが大きいが」

 「地主制度を解体させて、工業化を進めれば人口も増えるだろう」

 「しかし、日本は、アメリカとも一定の距離を保ってるし。ユダヤとも取引している」

 「利害関係でいうならアラブも大きいようだ」

 「しかし、政府は、日本と友好関係を強めてるようだ」

 「日本の戦艦にビスマルクとティルピッツを沈められて、ムカついてるのだが」

 「日本が戦艦をイギリスに売却しなかったら勝ってましたよ」

 「イギリスはアメリカの増強が気に入らないから日本との取引を増やしただけだろう」

 「日本から買わなくても、アメリカからB17を余計に買っただけかもしれない」

 「まぁ 大西洋では、高千穂がアメリカ、ドイツ、イギリスに並ぶ地域になってる」

 「多極化は悪くないと思うな」

 

 

 高千穂

 洋上に太陽高熱を集める集光塔が建ち、周囲に鏡板のフロートが並んでいた。

 太陽熱で作った熱は、海水を沸騰させ、蒸発した真水を陸地へ供給することができた。

 この淡水化システムはアフリカ大陸で好まれ、

 北アフリカの海岸でも建設されつつあった。

 関係者たち

 「水は余ってると思ったがな」

 「北部は水が少ないから海岸側の水を内陸に供給して、内陸の水を北部側に送る計画らしい」

 「それで、砂漠の緑化か」

 「まぁ そんなところ」

 「塩も作れる」

 「塩ねぇ」

 

 

 10000t級蔵王型巡洋艦

  排水量10000/満載15000t 全長200m×全幅20m×吃水6.2m

  4サイクルディーゼル機関30000馬力×4基 120000馬力電気推進

  ナトリウム小型原子炉10000kw(7500馬力)×2基 15000馬力電気推進

  13万5000馬力 速度30kt 航続距離 10000海里+α

  60口径155mm連装砲4基 60口径40mm砲×10基

  魚雷4連装2基 爆雷40発

 第1期  蔵王、吾妻、苗場、秋葉、

 第2期  阿蘇、恵那、与那、那岐、

 第3期  天城、伊吹、春日、生駒、

 第4期  愛鷹、雲仙、黒姫、姫神、

 当初、鋼板だった船体は、複合素材の比率が増え、

 比重の小さな複合素材は、軽量で船体が浮き上がり、

 余計に蓄電池などの物資を積み込まなければ波に翻弄されやすくなっていた。

 呉港

 天城 艦橋

 将校たち

 「船体が軽くなると有利になると思ったら、揺れが大きくなるとはな」

 「内装も軽量化されていきますからね」

 「燃料と物資を消費してしまうと・・・」

 「船を安定させるなら大きくしないとな」

 「むしろ、双胴船か、三胴船にすべきでは」

 「船体の強度がな」

 「カーボンナノチューブの引張強度は凄まじいそうですよ」

 「列強に疑われたくないが」

 「既に橋梁計算で疑われてるそうですよ」

 「そういや、空母もどうするかで揉めていたな」

 「じゃ 空母も複合素材を?」

 「船体重量が5分の1になったら洒落にならんだろうな」

 「建造費も洒落にならないのでは?」

 「空母は器だからな。中身は寿命が短くても長い目で見ると有利だそうだ」

 「水上艦艇は主力じゃないのですけどね」

 「その道、列強と比べて数で劣ってる。価格が高くても構わないだろう」

 「かなり寂しいですがね」

 「だが設備更新は早いし、維持費は少なくて済む」

 「戦争には向かないがな」

 「もう、国は、通常兵器でなく、核兵器で守る気なんですかね」

 「たぶんな」

  

 

 日本海軍

    65000t級海凰型空母2隻、30000t級輸送艦2隻・給油艦2隻

    10000t級蔵王型巡洋艦16隻、4000t級駆逐艦16隻、

    潜水艦80隻

 

 アメリカ海軍

    27000t級エセックス型空母17隻、

    ワシントン型戦艦2隻、サウスダコタ型戦艦4隻、

    アイオワ型戦艦4隻、モンタナ型戦艦4隻、

    14472t級ボルチモア級重巡洋艦20隻、

    11800t級クリーブランド型軽巡洋艦38隻、

    2050t級フレッチャー級駆逐艦175隻、120隻、

    2900t級アレン・M・サムナー級駆逐艦

    2450t級ギアリング型駆逐艦96隻

    2410t級ガトー型潜水艦77隻、

    2424t級バラオ型潜水艦101隻

 

 ドイツ海軍

    45000t級ザイドリッツ空母2隻、

    35000t級戦艦ハルク、

    16000t級モルトケ型巡洋艦16隻、

    5000t級エムデン駆逐艦46隻、

    潜水艦120隻、

 

 ソビエト連邦

    59000t級ソビエツキー・ソユーズ型戦艦2隻

    38500t級クロンシュタット型重巡洋艦8隻

    13350t級スヴェルドロフ型巡洋艦12隻

    3200t級タリン型駆逐艦40隻

    潜水艦20隻

  

 イギリス海軍

    45000t級オーディシャス型航空母艦4隻

    38000t級キング・ジョージ5世型戦艦4隻

    44000t級戦艦ヴァンガード

    9550t級タイガー型防空巡洋艦10隻

    2800t級デアリング型駆逐艦9隻

    潜水艦20隻

 この時期、アメリカは圧倒的な海軍戦力を保有していた。

 しかし、アメリカ自体は参戦しておらず、

 軍需を中心に雇用が増えただけで、給与という形で国民層への所得移動はなく、

 貧富の格差が広がっただけだった。

 そして、戦争中、軍拡の正当性があっても停戦後は、軍拡の正当性もなく、

 列強の戦力増強が低迷していたことからアメリカ国民と議会で軍縮運動が強まっていた。

 戦力を余計に保有する国家は国民から批判を浴び、

 戦力の少ない国は、軍関係者を中心に焦燥感が募る状況が作られていた。

 日本 総理官邸

 「最近、衆議院の抽選制の要求が強まってる」

 「自分の首を絞めることになるがどうしたものか」

 「貴族議員枠を広げてもらうとか」

 「それは難しそうだな」

 「人権基金で誤魔化すのがいいかもしれませんね」

 「んん・・・」

 「格差是正は無理が利かなくなるからな。ほどほどの額にしないと」

 「それより、アメリカが共同管理区の設置を要求してきた」

 「内容は、日独共同管理区に準じてもいいらしい」

 「共同管理区は中小国が大国に抵抗するための協定であって、大国に媚びるための協定ではない」

 「アメリカの立場になれば面白くないのだろう」

 「アメリカの状況は」

 「アメリカの軍事力は大きく、我が国を侵略できるだけの戦力を有しています」

 「ニューヨークでは朝鮮人が中心になって日本の世界支配を警戒させ」

 「日本打倒の運動を行ってます」

 「世界支配を狙ってるのは日本よりアメリカだと思うがね」

 「むかしは英仏がクリスチャンを先行させた後、軍事力で後進地域を植民地していきましたが」

 「いまは、アメリカはユダヤ資本を先行させ、軍事力で後進地域を植民地化しようとしているようです」

 「手段が宗教から資本に変わっただけだが、結局、支配したいわけか」

 「日本は核兵器を保有している。負けないと思うが」

 「しかし、核兵器を保有していても日本本土は核に耐えられるような広い国土ではない」

 「核兵器で睨み合えば負けるでしょう」

 「問題は、アメリカの対日攻勢の日がいつになるかじゃないのかな」

 「挑発されても乗らなければいいのでは?」

 「それでは、国民になじられるのでは?」

 「まさか、日米の国力比は馬鹿でもわかる」

 「軍拡したがってる一部の人間が煽ってるだけでしょう」

 「「「・・・・」」」

 「どこまで妥協しえるかなのでは?」

 「じゃ 日米共同管理区を認めろと?」

 「100kuでしょ」

 「東京から300km圏だぞ」

 「こちらもワシントンから300km圏になりますが」

 「カザークは国境地帯の共同管理区で、ドイツは同等の国力同士の共同管理区」

 「共同管理区の条件が同じでも日米の国際力学で同等と言えない」

 「元華銀行が、中国でどういう工作をしてるか知ってるか?」

 「外患にとって、国権主義と民権主義は、侵食を阻まれるため邪魔になる」

 「無論、利権を追求する内患にとって、民権主義者は権力構造を脅かす存在になり」

 「利益を上げなければならない資本家にとって、国権主義は規制を作るため煙たがれる」

 「内患と外患は結託して無視され、どうでもいい人間から枝葉末節の難癖を受ける」

 「最終的には離反工作やハニートラップや詐欺が行われ」

 「露骨な贈収賄や脅迫も行われる」

 「そして、利己主義的な人間、馬鹿な人間を針小棒大に褒めちぎり、表舞台にでるだろう」

 「中国人の国権主義と民権主義は表舞台から駆逐されていく」

 「利権の世襲化と拝金主義の増大が中国大陸で行われていることだ」

 「日本国は外資保有株を5パーセントしか認めておらず」

 「外資出資の企業は認めてるがその際、5分の1以上の日本人持ち株を強制している」

 「気にすべきは内患のみだろう」

 「しかし、日米共同管理区を作れば、アメリカの足場を作ることになるし」

 「中国と同じ状況が日本で作られるかもしれない」

 「いずれ外資保有株が5パーセント以上に増え、外資出資の日本人持ち株率も減るだろう」

 「資金力は強制力だ。日本の共同管理区のアメリカ人は力をつけ」

 「アメリカの共同管理区の日本人は力を失うだろう」

 「まぁ 資金力もそうだが、国民性でも不利だよな」

 「だいたい、ユダヤは金を持ち過ぎ」

 「アメリカの油田、情報、食糧、電力、軍事、輸送、製鉄、銀行、医療を支配すれば自動的に金が入る」

 「後は、社会に流通してる紙幣を回収して社会資本を減らすだけで国民を奴隷にできる」

 「その気になれば同じ手法で、世界経済を支配できるだろう」

 「中国がやられてるし」

 「フランス領インドシナ、オランダ領インドネシアも同じ状況になるかもしれない」

 「対抗するにはドイツ圏やカザークと組むよりないが」

 「元華銀行は日本資本も食い込んでいるのではないか」

 「株の配当は得られるよ」

 「しかし、株に占める日本資本の比率は5パーセント程度。発言権はほとんどない」

 「日本独自に利権を求めるべきではないか?」

 「元華銀行と対立することになるし、割高の割に利益が少ないな」

 「しかし、張り合うべきだろう」

 「大陸の高千穂に住んでいればそう思えるかもしれないが」

 「列島の日本や半島の扶桑は、孤立するわけにいかない」

 「白人に対し黄色人種が劣等感を抱いてるのが問題だな」

 「日本は欧米とも戦うべきだったかもしれない」

 「日露戦争で戦っただろう」

 「あの時は、王政を破壊したがってたユダヤ資本の後押しがあった」

 「彼らは共倒れなら万々歳だっただろうが。残った君主制は日本だけ」

 「やはり民族君主制はユダヤ人にとって邪魔になるわけか」

 「一種の排他的な地域主義だからな」

 「いまのところ自由資本主義、民主主義にとって王政、共産主義、社会主義、全体主義は目の敵だが」

 「弱肉強食を旨とする資本主義と平等を旨とする民主主義は最終的に対立する」

 「将来的にユダヤ資本の日本浸透も大きくなる」

 「今のうちに人権基金で拝金主義を軽減させ、尊厳を持った庶民が自らの言葉を話せるようにするべきだ」

 「しかし、資本主義は貸し借りなのでは?」

 「まぁ 資本主義は不公平を求める」

 「企業家が銀行や投資家から金を借り、収益を得れば、銀行に返済し。投資家に配当するだけだ」

 「むしろ、政府の財政支出。あるいは特権的な特定産業への肩入れがインチキと言えるだろう」

 「なんにせよ。積極財政であれ、消極財政であれ、不公平は変わらない」

 「しかし、民主主義は貸し借りではない。1人1票であるように公平な権利であればいい」

 「国民全員に紙幣をばら撒いたところで一律であれば誰も困らないし、国民の権利と言えるだろう」

 「というより、人権基金であれば国債発行すら必要ないし」

 「インフレやデフレを調整しやすいし」

 「人権基金を出した後、所得税で回収すれば、赤字国債は簡単に償還できる」

 「国債償還された紙幣が社会資本に溢れ反って怖いがな」

 「その時は積極財政を進めやすいし」

 「それでも紙幣が余ってるようなら回収し、日銀の敷地にでも埋めればいい」

 「誰の紙幣を埋めるかでもめそうだな」

 「大口は一般流通できない高額紙幣で国債を償還してもいいのでは」

 「とはいえ、人権基金が大き過ぎると勤労意欲が失われ、インフレが加速するかもしれない」

 「欲しいモノや野心がればインフレは加速するだろうがね」

 「日本人は欲しいものが少ないし、野心も小さい」

 「元々勤労意欲は高いし。娯楽がせいぜい増えるくらいだろう」

 「紙幣全体に対する人権基金の比重は重要だが、人権基金の内容も重要になる」

 「人権基金を国債発行と連動させるか、物価に連動させるか」

 「物価に反映させるなら米価分でいいのでは?」

 「まぁ 目安にはなるが。高千穂は、庭に生ってるパパイヤ、マンゴで食事を済ませるときがあってな」

 「米の値段が安い」

 「じゃ 国債発行?」

 「格差が生まれるとしたら国債発行の時だが」

 「国家予算の財政投資でも格差は生まれる」

 「では、税収に連動させる?」

 「集めた税金に対し。一定の比重で国民に分配するのなら構わないかもしれないが」

 「国家権力の公益性はともかく、政府を信用できるかどうか」

 「紙幣増刷分の公定歩合と人権基金を連動させる方がいいのでは?」

 「「「「・・・・」」」」 こくんこくん

 「まぁ 日本は単一民族だし。天皇を中心とした権力構造で安定している」

 「日本は、異民族支配を目的とするユダヤ金融システムを模倣する必要もないわけだ」

 「「「「・・・・」」」」 こくんこくん

 「子供は?」

 「人権基金なのだから子供も払うべきだろうな。親も子供大切に育てるだろう」

 「若い娘が金のために売春するのは面白くないし」

 「人口増加は労働者を増加させて国益にもなる」

 「それにどんなに賃金が安くても外国人労働者なんて御免だ」

 「でも人権基金って嫌だな。デモクラシーに負けたみたいで嫌」

 「じゃ 民権基金とか。国民基金とか?」

 「そっちの方がしっくりくる」

 日本の新札発行分の公定歩合を基準にした国民基金の遺伝子認証口座への振り込みが決まる。

 

 

 

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 月夜裏 野々香です。

 今回は、ポリティクス・エコノミーハザードレベル4くらいでしょうか (笑

 

 国民基金は資本主義でなく。民主主義的な国民の権利にしました。

 政治的な国民の権利1人1票と同じで、

 経済的な権利で新札増刷の公定歩合分を一律国民に分配します。

 新札発行分なので国民はどれくらいの新札が発行されてるか監視できますし、

 その気になれば、1人1000万配って所得税で回収し、

 一般に流通しない国債償還用高額紙幣1000万紙幣を大量に印刷し、

 赤字国債1000兆円分をあっさり償還も可能かもしれません、

 また仮想的に1000万円を分配した後、国債を償還し、

 差額分だけを国民の口座に振り込めば高額紙幣を発行するだけ、

 10000円札を増刷することもなく、処理できるかもしれません。

 でも遺伝子を使った個人認証型口座がないと難しいかも

 

 どの道、資本主義じゃ償還困難ですし

 公定歩合がもっと下がるだろうか (笑

 国民基金は、国民が紙幣の奴隷にされない程度の分配されればいいでしょう。

 さて、この戦記の日本は、国民基金で抽選制衆議院を誤魔化せるでしょうか (笑

 

 

 この戦記世界の修学旅行は楽しいかもしれません

 作者は、修学旅行でいい思い出がなかったのでフィクションぐらいは (笑

 

 

 ユダヤ海軍

 戦艦8隻、小型空母1隻、強襲揚陸艦6隻、軽巡17隻、駆逐艦36隻、

 ルベン(金剛)、シメオン(比叡)、イッサカル(榛名)、ゼブルン(霧島)、

 ダン(伊勢)、ナフタリ(日向)、ガド(扶桑)、アシェル(山城)、

 ガリラヤ(鳳翔)

 メギド(神州丸)、アララト、シナイ、オリーブ、モリヤ、ゲリジム、

 アフェク(天龍) カナ(龍田)

 ツロ(球磨) アコ(多摩) ハモン(北上) ハロシェテ(大井) ケデシュ(木曾)

 シロ(長良) キネレテ(五十鈴) ハマテ(名取) ラマ(由良) ラマ(鬼怒) リモン(阿武隈)

 ヨクネアム(川内) ガテ・ヘフェル(神通) シムロン(那珂)

 サリテ(夕張)

 峯風、澤風、沖風、島風、灘風、矢風、羽風、汐風、

 秋風、夕風、太刀風、帆風、野風、波風、沼風

 神風、朝風、春風、松風、旗風、追風、疾風、朝凪、夕凪

 睦月、如月、弥生、卯月、皐月、水無月、

 文月、長月、菊月、三日月、望月、夕月

 

 

 

 誤字脱字・感想があれば掲示板へ 

第22話 1953年 『馬鹿を作る機械テレビと、侍魂』
第23話 1954年 『国民(人権)基金は新札分の公定歩合と連動で』
第24話 1955年 『資本主義 VS 民主主義』