月夜裏 野々香 小説の部屋

       

仮想戦記 『白亜の遺産』

 

 第26話 1957年 『戦艦長門の憂鬱』

 イギリス

 ダウニング街10番地

 「ドイツは、在独共同管理区をベルリンから南103km。キービッツに制定するようです」

 「日本は?」

 「東京から北方100km。鹿沼の北。山中にするようです」

 「互いに100uの共同管理区か」

 「これで日独関係が強固になるのは面白くないと思うが」

 「日米共同管理区はどうなるって?」

 「日本側が警戒して、進んでないようです」

 「ふっ アメリカも信用のない国だ」

 「むしろ、イギリスの方が信用されてるのでは」

 「どうかな。我々も中国でえげつないことやってるから警戒されてる節がある」

 「元華銀行で?」

 「まぁ 同じことを日本でやられると困るだろうと思ってるのだろう」

 「日本は少数民族がいないはず」

 「同和は?」

 「同胞化が進んで、もう、日本人で同和を知ってるやつはいないそうだ」

 「朝鮮人を送り込んで同和問題を話題にすれば、こちら側に同和を取り込めるのですが」

 「何にしても朝鮮人さえ日本に送り込めば自動的に、日本人の絆とモラルを破壊してくれる」

 「好都合な民族だよ」

 「しかし、日英取引は増えてる」

 「日本人を怒らせるのはいろいろまずい状態だと思うね」

 「日本製は、そんなによくなってるのか」

 「日本の風力発電の耐久性、静粛性、発電力は異常だよ」

 「聞いた話しでは回ってないのに発電してるとか、低周波音を電力に変換してるとか」

 「本当に?」

 「中に入れないことになってるので、正確にはわかりませんが」

 「契約で中に入れるようにしろ」

 「契約で入れないことになってますので」

 「んん・・・・ドイツの方がまだ、少数民族が多いか・・・」

 「時に空母建造で日米に後れを取ってるようだが」

 「33000t級オーディシャス型空母じゃ 60000t級超えの海凰にもフォレストにも勝てそうにない」

 「総トン数で半分じゃ勝てないだろう」

 「我々も60000t級空母を建造すべきだ」

 「そんな金はない」

 「かって、イギリスは世界最大の海軍を有していたはず」

 「あの金は、いったいどこに行ったんだ?」

 「イギリスに富を集めすぎて、イギリス人の大航海が終わったからな」

 「それにユダヤ資本が利益率の大きなアメリカと中国に行ってる」

 「しかし、日本空母は異様に思う」

 「異様とは?」

 「給油が少ないという報告を受け取ってる」

 「ディーゼル機関電気推進と聞いてるが、燃費がいいのだろう」

 「給油艦の出航と海凰と雷凰の航行を逆算して言ってるのですが」

 「じゃ・・・」

 「日本の空母は原子炉か、原子力電池を併用してるかもしれません」

 「「「「「・・・・」」」」」

 「調査すべきだ」

 「日本で白人は目立つからな」

 「黄色人を雇えばいいだろう」

 「中国とは違う。日本に反日勢力は少ない」

 「それとは別に日本は、巨人機を製造してるだろう」

 「朱雀は大きいが、スペックは大したことないように思う」

 「爆撃機としてはそうだろうが。哨戒管制機として使ってるからな」

 「アレのレーダーに探知されたらどこからミサイルが飛んでくるかわからんよ」

 

 

 

  

 ポーツマス港

 イギリス海軍の3分の1が、この軍港で運用されていた。

 ほかにも2162t級戦列艦ヴィクトリー、9210t級装甲艦ウォーリアが記念艦として浮かんでいる。

 港の中央付近の浅瀬が浚渫され

 ビスマルクとティルピッツを共同で撃沈し、

 エムデン、Z21ヴィルヘルム・ハイドカンプ、Sボート1隻を撃沈

 プリンツ・オイゲン、Z10ハンス・ロディを撃沈

 ドイツ軍機17機を撃墜した長門が記念艦で収まってしまう。

 日本製戦艦を記念艦で残す、

 イギリス人にとって、ある種、屈辱的なことだった。

 としても全世界の海軍資料、海軍情報誌に載せられた歴史であり、

 この規模の歴史捏造は、イギリス人をもってしても不可能なことだった。

 日本人観光客が少なからず長門に訪れ、

 巨大な鐘楼を見上げ、些少なりとも誇りを感じる光景が見られた。

 カフェテラス “NAGATO”

 日本人たちがビールを飲み、フィッシュ&チップスを口に入れていた。

 白身魚のフライ、フレンチフライ、グリーンピースの単純な間食で、

 思ったより不味くなかった。

 「長門を湾の中心、浅瀬に置くなんて、偉くなった気分だ」

 「いや、艀で行かないといけないから、イギリス人をなるべく行かせたくないが本心」

 「「「「あはははは」」」」

 「なんか、複雑な感情が入り混じってるな」

 「キングジョージ型戦艦を押し退けての記念艦だからね」

 「日本だってイギリス製の三笠を記念艦にしてるぞ。お互い様」

 「まぁ イギリス人の誇りの問題だろうね」

 「誇りと言えばイギリス政府筋から日本の刀鍛冶を送ってくれと言われたぞ」

 「なんだ。輸入するより、国産にしたいのか」

 「弟子入りしたがってるイギリス人もいるらしいし、その方が安上がりなんだろう」

 「まぁ いいけどね。探してみよう」

 「しかし、イギリスは日独共同管理区で警戒してるのでは?」

 「んん・・・確かにそういった兆候はある」

 「だけど中国利権の方が大きいし」

 「日本の輸出産業は中国に旋毛曲げられたら潰れるところも増えてきている」

 「対中輸出は、無関税の元華租界経由では?」

 「国民軍は租界の外で日本製品を封鎖する力がある」

 「そ、それは何とも・・・」

 「だから日本外務省と総合商社は、インド、アラブ、南アメリカ大陸へ販路を広げようとしてる」

 「しかし、そこには、イギリス、アメリカとユダヤ資本の影があるってことだ」

 「やっぱり、空母をもう一隻建造しないと」

 「民権派が煩いらしくてね」

 「まぁ 空母一隻作るってことは、それだけ中央集権が進むことになるからね」

 「例の国民基金で積極財政は緩和したんじゃないの」

 「空母は高価だから税金だけで作るのは苦しい」

 「ふっ まぁ 民間需要で増刷してるし」

 「税金で作ってる分もあるから一概には言えないが、国債は増えつつあるな」

 「それに空母の年間維持費も予算からだけだと苦しい」

 「結局、国債を発行すると当然、公定歩合分が人口で割られ、国民基金に上澄みされる」

 「逆進課税ができる消費税にすればいいだろう」

 「それこそ、民権派議員が猛反発」

 「下手をしたら次の選挙で、抽選制衆議院になるかも」

 「じゃ もっと外貨で儲けろってことだ」

 「北海に洋上風力発電機を作って欲しいという動きもある」

 「なんで、自分たちで作ればいいだろう」

 「イギリスとドイツの領海が重なってるから第三国の証言が必要なこともあるようだ」

 「それに60年の東京オリンピックが近いから外交的に強行策が取りにくい」

 「なんか、事勿れで、見なかったことにする光景が目に浮かぶ」

 「「「「あはははは」」」」

 

 

 ユダヤ資本の牙城は世界中に存在する。

 中東 イスラエル、

 欧州大陸 ロンドン、

 北アメリカ大陸 ニューヨーク、

 東アジア 上海、

 中南米 キュラソー島、

 アフリカ大陸 ケープタウン、

 東南アジア シンガポール、

 アメリカで労働運動が激しくなると生産拠点を国外へ移し、多国籍企業化していく、

 特に白人の増えたフランス領インドシナとオランダ=インドネシアは有望だった。

 シンガポール

 ユダヤ資本の人たち

 「今後、フランス領インドシナとオランダ=インドネシアの白人支配が強まり」

 「シンガポールは東南アジア=ノブレス・オブリージュ連邦の首都になるだろう」

 「しかし、現状、先住民のゲリラ戦に苦戦してる」

 「また、先住民は多く、白人の数が少ないことから、早期の見込みはない」

 「アメリカ参戦は?」

 「アメリカ国民が人種戦争に “うん” と言わない」

 「アメリカも、第二次世界大戦に参戦してたらもう少し無理が利いたのに」

 「アメリカ国民を怒らせるようなインパクトがないと内戦参加は難しいだろう」

 「そして、アメリカ国民は我々の牙城を作るため命懸けで戦えってか」

 「まぁ そんなところだ」

 「もっと “うん” と言わないだろうな」

 「しかし、それは、広告会社の宣伝とインパクト次第だろう」

 「先住民にインパクトを発揮させるだけの戦力がないのが問題だ」

 「日本は先住民を支援してないのか」

 「日本の支援は、我々が相手だ」

 「公共設備など民需が主で。軍需支援は非交戦国が多い」

 「おかげで生活が豊かだけどな」

 「日本が洋上太陽光熱発電を作るほど、白人が増えてるが・・・」

 「東南アジアでの日本の足場も増えて行く」

 「発電所は太陽光熱が多いようだが」

 「赤道が近いからね。スコールと夜を除いても風力発電より有利らしい」

 「どうだろう。先住民部隊に発電所を襲撃させて、日本を参戦させては?」

 「太陽光熱発電は、洋上に建てた集光塔と海に浮かべた鏡板のブイだけだろう」

 「電気だけじゃなく、水と塩も作ってるが金目のモノは少ない」

 「海賊連中も電気を止められたら困るだろうし」

 「結構な警備力を持ってる」

 「じゃ 日本が東南アジアで建設してる公共施設を?」

 「それ、俺たちの資産だし、白人が困る」

 「ポーランド人は馬鹿だから困らせてもいいだろう」

 「俺はオランダ人を困らせたい」

 「俺はフランス人を・・・」

 「ノブレス・オブリージュ連邦を形成する気あるのか」

 「「「「あはははは」」」」

 「しかし、日本は核兵器を保有してる割に用心深いな」

 「というより、日本は放射性廃棄物の拡散を恐れ、核実験をほとんどやってない」

 「ふっ よっぽど、発症例があると見える」

 「高千穂は毎日のように先住民を海溝に捨ててるらしい」

 「原子力関連技術は我々より進んでると判断していいだろう」

 「むしろ、インド、タイ王国、ビルマが積極的に武器輸出の中継をしてる節がある」

 「インドシナとインドネシアの白人勢力増大で直接、生殺与奪権を脅かされるのは東南アジアだからな」

 「インド、タイ王国、ビルマの同期の方が強いだろう」

 「一方、日本は遠回りすれば石油は入る」

 「負担は大きくなっても、ことを荒立てたくないのだろう」

 「しかし、日本商品は競争力が強く、儲けてるからな」

 「それに関していうと、アメリカ産業の空洞化が我々の都合だよ」

 「アメリカが強くなり過ぎると少数派の我々が困るからね」

 「そのうち、日本も空洞化させないと」

 「日本は国民基金で底上げされて難しいと思うね」

 「富裕層は累進性の強い所得税で削られ、貧富の格差拡大を抑制している」

 「少しくらい割高でも日本国民は生活補填で国産を選択しやすいし」

 「賃金上昇を抑える効果もある」

 「逆にサービス労働に繋がり、安い商品を作る下地にもなる」

 「もう一つ、公定歩合分の資金が国民に配られるなら」

 「企業が銀行から借りて支払うべき利息分が潜在的に存在する」

 「それほど上手くいくとは思えないが」

 「印象操作だよ。印象印象」

 「額が少なくても余裕が生まれると、金払いが良くなって経済を支えやすいからね」

 「それをアメリカ合衆国でやられると困る」

 「アメリカ資本は、格差が好きだからね」

 「とういうより、銀行は金融支配が目的だから破産させてガッポリが一番ぼろい」

 「日本の高利貸しは借り手がいなくなって潰れつつあるしな」

 「利息保障やベーシックインカムみたいなのは担保を奪えなくなるから困る」

 「「「「あはははは」」」」

 

 

 

 呉

 2500t級無人原子力潜水艦の研究が進んでいた。

 「本当に無人にするのか」

 「日本近海を巡回し、海中の味方以外のスクリュー音を追いかけ、ソナーを打つ」

 「いまのコンピューター技術だと、頭の悪そうな潜水艦になりそうだが・・・」

 「メリットはある」

 「どんな?」

 「原子力電池だから交換が簡単で原子力の割に音が静か」

 「無人だから食料と居住区がいらないし、撃沈されても惜しくない」

 「乗員の負担がないから深々度まで潜りやすい」

 「命の交換がないから敵将兵に嫌な思いをさせられる」

 「目標さえ設定すれば自動で、艦対地ミサイルや艦対艦ミサイルを発射する」

 「しかし、敵味方識別は?」

 「スクリュー音で認識する」

 「味方以外は常に一定の距離で追いかけ、ソナーを打つから泣きたくなるはずだ」

 「アメリカとイギリスが開発しているSOSUSの方がいいのでは?」

 「無人潜水艦はメンテナンスと更新が楽だ」

 「デコイに誤魔化されないだろうな」

 「それはデコイの性能次第なのでわからんが、ぶつけてもいいような作りになってる」

 「むしろぶつけて撃沈したい」

 「開戦の判断は?」

 「浮上させて設定させるか、帰還させて設定する」

 「悠長だな」

 「電波で指令を出せないことはないが、海の殺し屋だから慎重にならざるを得ない」

 「しかし、本当に機能するのか」

 「基本ルートプログラム。座標プログラム」

 「追跡プログラム。攻撃プログラムがいるな」

 「先に無人警備船で様子を見るべきだろう」

 「無人船ねぇ」

 「領海を巡回させて、レーダー射撃できる哨戒艇を100隻ぐらい建造すれば不法侵入を防げる」

 「だけど、日本に不法侵入しても遺伝子を使った個人認証から外れたら公共機関を利用しにくくなる」

 「大使館付きか、大企業付きの闇世界で生きていくならともかく」

 「一般じゃ 生き難いから必要性が低い」

 

 空中要塞 白鳳 計画

 地上掃射マイクロ波で充電と揚力を加算して飛ぶ巨大空中管制哨戒機開発が進められていた。

 対空ミサイルの性能向上と、

 電子管制システムが空中戦の先制発見先制攻撃を制することが知れると、

 日本の防空システムの中心は、戦闘機から空中管制哨戒機へ移行していく。

 「朱雀でマイクロ波揚力飛行に成功したぞ」

 「じゃ 空中で補給も上手くいくかな」

 「失敗しないだろうな」

 「空中空輸は成功してるじゃないか」

 「あれは燃料だろう」

 「同じだよ。空中要塞から垂らしたフックに戦闘機を引っ掛けて曳航してもいいし」

 「空中要塞のフックに輸送機の増槽タンク型コンテナを引っ掛けさせて要塞に収容させればいい」

 「逆に空中要塞から垂らした増槽タンク型コンテナを輸送機に収容させることもできる」

 「その気になれば空中で人員を交換することもできるだろう」

 「ちょっと怖いがな」

 「でも人員を交換で来たら、ずっと飛べるからね」

 「ぞっと飛んでたら、エンジンが壊れるだろう」

 「空中管制機なんだから全速で飛ぶわけじゃないし」

 「マイクロ波を爆発させた揚力で飛ぶこともできるし耐久時間は長いですよ」

 「しかし、大型だな」

 「結局、小さな反射鏡で、数十か所に焦点を合わせて熱膨張させるわけですから」

 機体が薄広くなっていくのはしょうがないですよ」

 「しかし・・・いよいよ。国が電力会社の電気代を補填するわけか、なんだかな」

 「正直、マイクロ波道路網が広がってるから投資が面白くてやめられないみたいだし」

 「しかし、新型戦闘機も欲しい」

 「かっこいいからな。戦闘機・・・」

 

 

 この時期、日本の株式市場は、利益率の良い貯蓄と考えられ、

 株操作という概念が少なかった。

 それでも外資5パーセントの投げ売りや購入で、市場が荒らされ、

 それとは別に、密かに生産してるコンピューター、精密機器、

 カーボン、シリコン、ケプラー、セラミック、プラスチック素材が急増していた。

 株式市場は、秘密の素材があることを知らず、

 軍艦の建造が決まっても鉄鋼業株が増えないといった現象も起きた。

 当然、業績と配当を見誤る投資家が現れ、

 株式市場は盛者必衰の如く揺れ動いた。

 高千穂 州議会

 「州政府に財政投資をお願いしたい」

 「衆議院は、財政投資の代償で、部門別の解体、課長以上の辞任と、企業年金の廃止を要求する」

 「その要求は、企業に重すぎる」

 「弱肉強食の資本主義社会で、政府に融資を求めるは、城が落ちたも同じ」

 「課長以上は、責任を取って、辞任するがよろしかろう」

 「し、しかし・・・」

 “課長以上の持ち株も処分させろ!”

 「「「「・・・・・」」」」

 「州税は、州民の血税である。大企業なりとはいえ、不良不要な企業は処分が必定」

 「・・・・・」

 高千穂の衆議院は、抽選制で1任期だったことから官僚や財界との癒着がほとんどなかった。

 抽選で選ばれた人材で、州議会の空気がガラリと変わり、

 多数決次第で、最悪のシナリオを突きつけられることがあった。

 

 

 

 千島列島

 日本の北方域は強風域だったことから洋上風力発電が多かった。

 風が強まると、風圧で可変ピッチが傾き、風が当たる面が減少し、

 回転速度を一定に保つことができた。

 もう一つ、火山島が多かったことからボーリングで穴を掘ると高熱の地盤に当たり、

 海水を流し込むと蒸気を噴きだし、タービンを回し、地熱発電も少なくなかった。

 発電すれば自動的に海水をくみ上げ、高熱の地下に海水を流し込み

 蒸気でタービンを回して発電を繰り返した。

 発電に成功すると水と塩が作られ、

 保温に成功すると、作物育成が容易になった。

 氷冠を被った2115mほどの火山島山頂が、周囲の頂きに地熱発電所の施設が作られ、

 海水が流し込まれると黙々と蒸気が立ち昇りタービンを回し、発電する。

 阿頼度島からの送電線は、占守島、幌筵島志、林規島まで伸び、

 さらに千島電力と送電線を一つにし北海州全体の電力を補完していた。

 「ペトロハバロフスク港に戦艦ソビエツキー・ソユーズが配備されるらしい」

 「軍港が強化されていたからなぁ」

 「問題は、上陸部隊と揚陸艦じゃないの」

 「ソビエトの正面は西側だから、そっちの心配は、まだ少ないと思う」

 「だといいけど」

 「むしろ、アメリカの方が怖いよ。科学技術が一気に伸びてるし」

 「ちゃんと調査してるの?」

 「外事課諜報員がアングロサクソンとユダヤ資本の上層部を調べるとロズウェルズコネクションでとまる」

 「あのロズウェルズのことか」

 「もろ、直球だな」

 「胡散臭い名称だけど実体はどうなんだろう」

 「宇宙人?」

 「宇宙人か・・・フェイクっぽい」

 「じゃなんだ?」

 「そういや、白亜の文献に時空滑りのことがあったな」

 「時空滑り・・・仮定の現象だろう」

 「だいたい、タイムパラドックスをどうするんだよ」

 「絶滅と発生の向こう側なら種族が違うからタイムパラドックスはほとんど起きない」

 「そして、タイムパラドックスが起きない条件が、タイムスライド現象の起きる条件かもしれない」

 「もし、時空滑りのせいで人類種族が絶滅を逃れたら?」

 「そうなったらタイムパラドックスが起きるかもしれないけど。人類絶滅回避の可能性は別だね」

 「人類絶滅ね。どんな風に絶滅するのやら」

 「その前に日本の安全保障を何とかすべきじゃないの?」

 「何にせよ。千島は、発電所、漁業、駐留部隊を中心に予算が落ちるから千島の産業は育つかな」

 「しかし、寒過ぎる。普通の人は来ないかもね」

 「沖縄と違って人が少ないから開発はしやすいと思うけどな」

 「マグマ溜まりを海水で冷やせば噴火しないかもしれないって、どういう理屈?」

 「マグマ溜まりが冷えれば岩盤が硬くなって、熱膨張を抑制できるんじゃないかって話し」

 「先に三宅島や桜島で試せばいいと思うけどな」

 「人が住んでるところで失敗して、俺たちのせいになると困る」

 「だから人がいないところで試さないと」

 「俺たちの方が危ない気がする」

 「危険手当は美味しいけどね」

 「上手くいけば、富士山の周囲にも地熱発電所ができるかもね」

 「富士山の場合、海まで少し遠い気がするが」

 「富士山の周りでやると湧水がしょっぱくなるかもしれないだろう」

 「それは困るか」

 「だけど、火山島で淡水化なら結構、水余りだな」

 「とりあえず、降りるか。火山島が爆発すると死ぬし・・・」

 地熱発電は、定期的に蒸気圧や給水状況を見るくらいで、人の管理をほとんど必要としない、

 職員たちはMi4に搭乗すると富士山に似た阿頼度島から飛び立っていく、

 

 

 樺太北端は石油精製所、化学工場、風力発電所の収益で潤っていた。

 樺太と千島で建設される高層ビルは、地熱でお湯が汲み揚げられ極寒でも室内が暖かった。

 ビルを上から見ると楕円形が多く、

 階層ごとに小さなリング翼が側面から張り出していた。

 リング翼は風上側に向かって上を向き、

 揚力で階層を持ち上げるよう制御され、ビル自重を分散させることに成功し、耐久年数を上げていた。

 人口気薄な寒冷地で高層ビルが作られるのは、労働、生産、消費、市場の集約のためで、

 いまでは、高層ビルそのものが利益を生んでいた。

 高層ビルは太陽光を集約して室内に引き込むこともできたが、

 この日は、電灯光の光が強かった。

 喫茶フロアは、椰子の木とハイビスカスが植えられ

 薄地の服装をした人々がくつろいでいた。

 テーブルの皿は季節感のないパイナップル、トマト、きゅうり、マンゴ、パパイヤが盛られ、

 カップからはコーヒーの強い香りが立ち昇っていた。

 テレビは、派閥色の強い映像が流れていた。

 「高千穂のせいで、日本もついに時間枠入札制になっちまったな」

 「電波発信が国営で、電波時間枠入札か」

 「軍部。大手企業。州。労働組合が自分でスタジオ作っちまう時代になったんだな」

 「まぁ いいんじゃない、毒が強くて面白いし」

 「教育の面でどうかなって思うぞ」

 「いや、嘘ついたら流石に総スカン食うだろう。高千穂じゃそうだ」

 「最初から信用できない放送の方が、国民は見識が深まるんじゃないか」

 「だといいがね・・・」

 「しかし、外は猛吹雪でフロア内は南国か、シュールな光景が何とも言えないな」

 「南国の作物は体を冷やす効果が強いんだが・・・もうどうでもいいか・・・」

 「保温しやすい地下より、高層ビルの方が好きなのもどうかしてる気もするが」

 「地下より気分がいいから、高層ビルは増えるんじゃないかな」

 「田舎はともかく都会は、街の景観と日照権で反感買うからな」

 「日照権はお金の問題だけど」

 「大都心の中心に農業ビルを作ると食糧安全保障で有利になるのは違いない」

 「食糧安全保障を錦の御旗にするのは卑怯過ぎる気もするが」

 「まぁ 床面積の3分の1を農業生産にすればいいわけだし」

 「保険会社が相乗りで被災民用一時居住区も作るらしいけど」

 「その方がビルを多く作れそうだし、周辺住民の了解も得やすいだろう」

 「日照権より食べ物が強いか」

 「農協が撫すくれるがな」

 「1人当たりの生産性は平均より大きいからね」

 「値段はそこそこだけど」

 「日本の農産物と被らないように熱帯や寒帯の作物にするんだろう」

 「この樺太のビルなら熱帯作物が多い」

 「しかし、1万人も収容する高層ビルが建つと未開地が増えるのが何とも言えないが」

 「自然が残るのは悪くないよ」

 「一軒200uで1000軒から5000軒の複合庭付き居住ビルの建設も検討されてるけどな」

 「あの低階層に、学校、役所、銀行、郵便の公共施設がついてるの」

 「便利だからね」

 「じゃ 居住ビル5万棟から1万棟も建設したら日本人全部居住ビルに箱詰めできそうだな」

 「それは、流石に、どうかと思うが」

 「やっぱり、少ない人口で労働、消費、市場集約のため?」

 「寒いからまとめて暖房したがってるんだろう」

 「耐震じゃないか。高層ビルは地盤の強い場所でしか建設できないし、耐震性も高い」

 「単純に居住区面積が40分の1から50分の1になるなら、公有地や工場用地を建設する手段で適当かも」

 「むしろ、管理しやすい行政得だと思うね」

 「政治的に公用地を増やして、北方に人口を移動させたがってるのかも」

 「ぶっちゃけ、風雨に晒された屋台で食べるラーメンの方が、なぜか美味いと思うけどな」

 「いずれ、人口が増えたら、未開地が減るんじゃないかな」

 「むしろ、高層ビルが余計に建つ気もする」

 「よく、そんなお金があるもんだ」

 「高千穂が住みやすいからって、日本の人口が減ると困るし」

 「冬でも作物が作れるから意外と樺太向きなんじゃないかな」

 「どっちかっていうと、衆議員が抽選制になることを恐れて、国民サービスをでやってんじゃないか」

 「政官財はダモクレスの剣が頭上になければ私腹を肥やすだけの特権集団になるからね」

 「高千穂の独裁を防ぐ制度で、日本の議員の首が絞められるのが皮肉だな」

 「高千穂が上手くいってるのだから、国民がそっちに行きたがってもしょうがない」

 「そういや、アメリカが共同管理区を作ろうって話しは、どうなったの?」

 「アメリカで暴動が起こってそれどころじゃないんだろう」

 「というより、例の国民基金をやめろってアメリカが騒ぎ始めてからおかしくなってる」

 「なんで? そんなの民族自決だろう」

 「アメリカ金融産業はGDPの1割近いからベーシック・インカムみたいなことやられると銀行が困るし」

 「それに日銀から国民に一律で国民基金を振り込むから銀行を介さないし、うまみがない」

 「国民基金の口座は利息が付かないからしょうがないんじゃないの」

 「国民が国民基金の金を銀行の口座に入れると、銀行は利息を払わないといけなくなる」

 「金の流れとしてはそうなるがね」

 「銀行は財布が膨らむなら日銀でも政府でも企業でも個人でも何でもいいんだよ」

 「銀行は担保なしだと金を貸さないじゃないか」

 「アメリカはアイデアが良く、損益分岐を超えられるとわかれば出資する」

 「しかし、銀行が高利貸しに金を貸してるのはアメリカも同じかな」

 「その高利貸しが個人や零細企業に貸して、公定歩合以上の利益を上げてる」

 「庶民のほとんどは、生活保障があれば借りずに済むことが多いし」

 「零細企業は生活必需品と直結してることが多いから銀行や高利貸しから金を借りずに済む」

 「普通、納期の返済と社員の賃金は、月末が多い」

 「零細企業は銀行の貸し渋りにあうと、高利貸しから借りて社員の賃金を払い」

 「その後、銀行から借りて高利貸しに返し、納期の金を受け取って銀行に入れる」

 「銀行は高利貸しを経由させた方が利率が良くて儲かるし」

 「金の流れだけみるなら銀行と高利貸しは親会社と子会社みたいなものだ」

 「まぁ 金融の光と影みたいなものだがね」

 「じゃアメリカ金融業界も・・・」

 「日本も銀行と金貸しが国民基金の妨害したからね」

 「庶民は、日銀から金が遺伝子口座に直接振り込まれてきたら金融業のうまみを実感するし」

 「所得保障を妨害するのはだいたい金融関係かな」

 「銀行と高利貸しは借り手が減って困るわけだ」

 「しかし、アメリカ金融業界は、ベーシック・インカムで借り手が減るのを面白く思ってないとしても」

 「日本の場合、このビルが1棟1000億で、公定歩合1パーセントなら1人10円くらいだから大したことないが」

 「いや、低金利のおかげで建設ラッシュ。国も資産家も金を借り捲って紙幣増刷が続いてる」

 「単純に増刷分の100億分の1でも塵も積もれば大きくなるし、口座を見るとびっくりするときもあるからね」

 「それに日本の公定歩合補償制度は、ベーシック・インカムの一つ手前だし」

 「その気になれば、いつでもベーシック・インカムできるから気難しくなってる」

 「アメリカの毒ってやつか」

 「というより金融システムを作ったユダヤの呪いだね」

 「しかし、不換金紙幣に移行したなら、ベーシック・インカムは可能になるよ」

 「アメリカの銀行は貧困層を自殺させても甘い汁を失いたくないんだろうな」

 「日本に対する圧力が強まってるみたいだし」

 「日本が我を通せるならいいけど」

 「アメリカ軍だって、まさか核ミサイル持ってる国に攻撃したくないだろう」

 「だといいけどアメリカが60000t級空母建造してたら気が気じゃない」

 「それは言える」

 

 

  10000t級蔵王型巡洋艦

  排水量10000/満載15000t 全長200m×全幅20m×吃水6.2m

  4サイクルディーゼル機関30000馬力×4基 120000馬力電気推進

  ナトリウム小型原子炉10000kw(7500馬力)×2基 15000馬力電気推進

  13万5000馬力 速度30kt 航続距離 10000海里+α

  60口径155mm連装砲4基 60口径40mm砲×10基

  魚雷4連装2基 爆雷40発

 艦尾プラットフォーム

 艦尾格納庫からX尾翼を持った機体が引き出された。

 左右に推力1000kgの小型ジェットファンエンジンを取り付けられており、

 整備兵の手によってデルタ翼が取り付けられる、

 重量1500kg 全長9m×全幅10m×全高2m 翼面積42u

 推力1000kg×2  速度200km/h  航続距離2000km

 無人哨戒機がカタパルトから射出されると、艦隊上空を200km/hで旋回し、

 水平線の向こう側を艦隊に知らせることができた。

 関係者たち

 「無人哨戒機と有人ヘリコプターのどっちがいいのかね」

 「有人ヘリコプターは、柔軟性で勝ると思う」

 「しかし、無人哨戒機は燃費がいいし、退職金を考えなくてもいいから安上がりな気がする」

 「電子妨害されたら?」

 「水平線の向こうまで哨戒に出すことはできるけど、基本的に艦隊防空でレーザー誘導優先だから」

 「索敵範囲は?」

 「直径60cmのレーダーアンテナで探知距離150km。範囲は直径30kmくらいで寂しいかな」

 「着艦は、上手くいくんかな」

 「これから上手くいくかを実証するんだろう」

 「かなり怖いぞ・・・」

 飛行甲板側面から油圧でアームフックが競り上がって、二等辺三角形を作り、

 艦尾側に20本のワイヤーが張られた。

 無人哨戒機が艦尾側に回り込むと着艦体制に入っていく、

 艦尾と戦闘機側から赤外線が照射され、双方向でデーターがやり取りされていく、

 洋上の離着艦は陸上の離着陸と条件がまったく異なった。

 巡洋艦は海面に合わせて上下に浮き沈みし、

 ローリング(横揺れ)とピッチング(縦揺れ)を繰り返して赤外線を揺らした。

 無人機の電子装備は、赤外線を感知しながら艦と機体の相対速度と相対距離、

 さらに高度、水平計、気流、機体だけでなく、

 海面と巡洋艦の揺れまで高速で電子計算しなければならなかった。

 有人機では、これらの計算を人間が総合的に、経験と感性で補正するが、

 電子制御は曖昧な補正までプログラムで計算でしなければならなかった。

 無人哨戒機が迫り、機首を上向きにし、低速で巡洋艦の艦尾に突っ込んでくる。

 「「「「・・・・・」」」」 ごっくん!

 無人機はワイヤーの隙間をすり抜けるとX尾翼のフック4ヵ所がワイヤに引っかった。

 ワイヤーが勢いよく引き出され、

 無人機は複合素材製の網に強制的に落ちた。

 「「「「・・・・・」」」」

 「どんな風?」

 「んん・・・いいような気もするけど、正直、不安」

 「機首回りから飛び出した浮き輪は、必要なモノなの?」

 「機首部のレーダーは精密機械だし、胴体も半分がコンピュータの塊だからね」

 「浮き輪は空気抵抗を増やすし、機体が甲板に落ちたとき、衝撃を緩和できる」

 「しかし、無人哨戒機といっても全周囲じゃないし死角の方が多いのが弱点かな」

 「空母抜きで遠洋航行できる艦隊をコンセプトに開発した無人哨戒機だし」

 「いまの電子能力だとこれが限界かな」

 「もっと機首部を大きくして直径80cmくらいのパラボラアンテナにした方がいいかも」

 「まぁ その辺は、モジュール機構だからどうにでもなりそうだけど」

 「問題は手間暇と、ヘリより柔軟性が低いことかな」

 「機銃くらい装備したい気もするけどな」

 「むしろ、100倍くらいの処理速度と記憶装置が欲しい」

 「高価な無人偵察機になりそうだな」

 「何機搭載できそう?」

 「ヘリをやめるなら5〜6機はいけて、死角が減るから守りやすいと言えば守りやすい」

 「「「「・・・・」」」」

 

 

 アメリカの圧力により、新規油田開発の契約は、アラブ王族と折半になり、

 外資の新規参入が可能になって、競争が激しさを増していく、

 アラビア海 達磨島(50ku)

 達磨島は、沙漠開発のモデルの一つになり、

 飛行場はアラブ王族のプライベート機の離着陸が増えていた。

  綾風

   全長18.7m×全幅22.5m×全高5.6m  主翼面積65m

   ユンカース ユモ 008推力2600×2基

   自重6649kg/全備重量13765kg 

   航続距離4370km  巡航速度600km/h / 最大速度800km/h

   10〜12人

 王族専用機は5人くらいの空飛ぶリビング機と言えるもので、豪華に作られていた。

 王族は油田開発や石油売却を代償に、達磨島と同様の開発を求め

 日本の総合商社の中東部門が幾つ支部を並べ、アラブ王族との交渉も盛んになっていく、

 とある総合商社の支部フロア

 壁に自社の名札がかけられ、

 ほか外国石油メジャー7社、国内総合商社6社の名札が張った藁人形がかけられ、釘が刺され、

 その下には各社が受注したプロジェクトが書き込まれていた。

 「アメリカは日本より油田欲しさが強いようだ」

 「日本は石油を安く買うことの方に意識がいってるから、油田開発でやや負けてる帰来がある」

 「石油掘削技術はアメリカ石油会社が上だし、朝鮮人女を日本女性に成り済ませて妓生やらせるし」

 「日本は山師が嫌われやすいっていうか」

 「予算が少ないっていうか、堅実っていうか、小心っていうか・・・」

 「本当、アメリカって金持ってるような」

 「安物買いばかりしてないで、外れてもいいから油田開発したい・・・」

 「このまま受注で負け続けると・・・」

 「「「「「・・・・」」」」」 どんより〜

 「おい、太陽光熱発電建設が決まったぞ」

 「代わりに油田開発していいってさ」

 「「「「よっしゃ!」」」」

 

 

 本土から新型センチュリオン戦車が運ばれてくる。

 「ハイブリット戦車か・・・」

 「狭い島だから電動でもいいだろうってことらしい」

 「油は有り余ってるけどな」

 「電力も有り余ってるだろう」

 「戦車いるのか」

 「あってもいいけど、重要性は低い」

 「じゃなんで持ってきたんだ」

 「古くなったセンチュリオン戦車を売るんだと」

 「どこに?」

 「いろんな国」

 「新型戦車は開発しないのか」

 「だからハイブリット戦車」

 「形は重要だろう」

 「なんかユダヤの圧力を受けるらしいけど」

 「なんで国産戦車作るのにユダヤ資本に遠慮しなきゃならんのだ」

 「国際資本同士のお付き合いに巻き込まれてる節があるけど」

 「なんで?」

 「イスラエルを支援したいけど、アラブと事を構えたくないからできないジレンマがあるらしい」

 「なんで?」

 「市場開放を要求してるし。中国との取引とも絡んでるじゃないかな」

 「中国はともかく。市場開放って、外資株取得率や外資発注を増やせってやつだろう」

 「国家主義者は撫すくれるが。国産企業の外資取得率は5パーセント以下じゃないと嫌かな」

 「国内企業を保護し過ぎると経営が井戸の中の蛙で競争力を失って国賊化するっていうぜ」

 「まぁ 一昔前の日本軍もそんなところがあったからな」

 「しかし、独占を防いで、海外企業と競争してる間は大丈夫だろう」

 5両のセンチュリオン戦車が配備されると、

 中古のセンチュリオン戦車が中東に売られていく、

 

 

 

 アメリカ、イギリス、ユダヤの資本と朝鮮工作部隊がブラジル、パラグアイ、ボリビア、ペルー以北を侵食し

 経済支配を強めていく、

 アルゼンチンとチリは、朝鮮人を排斥しつつ日独伊との経済連携を強め対抗していた。

 北と南の狭間のウルグアイは白人国家であることから朝鮮人を利用できず、

 米英独伊の白人同士の争点となっていた。

 そういった国情でありながら、日本の進出も少しずつ進んでいた。

 ウルグアイ人と日本人

 日本料理店 イザナミ

 「洋上風力発電を10基ほど建設して欲しい」

 「それは構いませんが、アメリカやドイツへ発注しなくてもいいので」

 「ドイツは選民思想が強すぎるし。アメリカは金融支配が強まるばかりで、国民の利益と言い難い」

 「しかし、日本は利益中心なので不安が小さく、取引しやすいのですよ」

 「アメリカ人とドイツ人は見分けがつきにくいことがありますからね」

 「日本は資源が少ないので、資源と市場の会得が国家戦略になるしかないですな」

 アメリカ、ドイツ、ソビエトの脅威と覇権に対し、

 ある種の誠実さと無機質性が国際競争力に転換することがあった。

 

 

 

 

 大西洋 赤道

 洋上に浮かんだプラットフォームから炎と白煙が立ち昇っていく、

 ドイツは地勢条件を克服し、宇宙開発の最先端を進んでいた。

 宇宙ロケットは燃料が尽きると同時に燃料タンクを次々に離脱させ、

 身軽になりながら静止軌道上へと昇っていく、

 宇宙船は、全長12m×直径4mのハニカム(蜂の巣)構造で増築しやすく、

 静止軌道上で、船体を10連結させようとしていた。

 全長120m×直径4mの宇宙船は、全幅50mの太陽電池パネル20枚を広げ、

 月周回軌道に向かおうとしていた。

 先端の全長7m×直径4mの着陸船を降下させることになっていた。

 最後の有人船が静止軌道上でドッキングすると、太陽光熱発電のパネルを広げる。

 ドイツ帝国宇宙巡洋艦バイエルン

 コクピットには乗員6人が搭乗していた。

 「ベルリン基地。ドイツ帝国宇宙巡洋艦バイエルンは、司令船のドッキングに成功した」

 「イオンエンジン推進正常。ほかの機能もすべて正常。いつでも出航できる」

 “計画通りだな。では、計画通り、20分後に出航する”

 「了解した」

 「いよいよ。月世界へ船出か」

 「世界初なのがいいですね」

 「大型宇宙ロケット10基分を打ち上げての高価な月旅行になったがな」

 「しかし、月だけの使い切り宇宙船じゃない」

 「人員を交替させて補給さえ受ければ何回でも行き来できる」

 「その気になれば何基でも連結させて、火星だって行けるだろう」

 「火星に行くならもう少し、装甲板を増加したいですね」

 「そうだなぁ 装甲は3倍くらいは欲しいが、もう3列10連結くらいにしたい」

 宇宙巡洋艦バイエルンは、姿勢制御噴射しながら静止軌道を離れ、月軌道へ向かっていく、

 クリスマスイブ、宇宙巡洋艦バイエルンは、月軌道に到着し、

 クリスマス、着陸船が月面に着陸した。

 

 

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 月夜裏 野々香です。

 資本主義は、貸し借りで、利息を支払わなければなりません、

 例え、公定歩合を減らそうと、公定歩合を増やそうと小手先に過ぎず、

 紙幣は印刷し続けなければ、いずれ、紙幣が不足し、

 公定歩合分の紙幣を補填し経済を底支えしない限り土地と家屋を収奪し、

 人を奴隷化し、必ず破綻します。

 この金融システムは、異分子、少数派であるユダヤ人が、時の権力と手を結び、

 金融支配を目的とするシステムなので (笑

 不換金紙幣全盛になった現代なら、踏襲する必要はないですし、

 単一民族の日本で真似することもないでしょう。

 日本は、公共投資、設備投資が増えたことで増刷が増え、

 国民基金で生活費が補填されそうで、

 銀行の子分、高利貸しが潰れてしまいそうです。

 

 『白亜の遺産』は、平行世界、別宇宙、異星人をやめて、

 生態系の発生と絶滅の間を超えた超過去、超未来の異世代にしようかと思いました。

 なんていうか、ほかの戦記との特徴付けです (笑

 

 

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第25話 1956年 『アメリカと契約して×××になるニダ〜♪』
第26話 1957年 『戦艦長門の憂鬱』
第27話 1958年 『火病という名の呪い』