第30話 1961年 『People's eyes と、蛇の巣食う帝国』
日本海軍
65000t級海凰型空母
海凰 (日本・扶桑) 雷凰 (高千穂・達磨)
30000t級特務輸送艦
天城 (日本・扶桑) 赤城 (高千穂・達磨)
30000t級特務補給艦
葛城 (日本・扶桑) 磐城 (高千穂・達磨)
10000t級蔵王型巡洋艦
蔵王、吾妻、苗場、秋葉 阿蘇、恵那、与那、那岐 (日本・扶桑)
天城、伊吹、春日、生駒 愛鷹、雲仙、黒姫、姫神 (高千穂・達磨)
4000t級駆逐艦
綾波、吹雪、白雪、初雪 深雪、夕雲、東雲、薄雲 (日本・扶桑)
朝霧、夕霧、天霧、狭霧 白雲、磯波、浦波、敷波 (高千穂・達磨)
6500t級潜水艦
海龍、蒼龍、雷龍、幻龍 雷龍、鋼龍、迅龍、彗龍 (日本・扶桑)
黒龍、白龍、妖龍、霊龍 紫龍、銀龍、赤龍、緑龍 (高千穂・達磨)
2500t級無人潜水艦
渦潮、巻潮、磯潮、鳴潮 (日本・扶桑)
空母2隻、特務輸送艦2隻、特務補給艦2隻、巡洋艦16隻、駆逐艦16隻、潜水艦16隻、
日本海軍のおよそ半数が高千穂に配備されていた。
これは高千穂経済の急成長に要因があり、
もう一つは、大西洋の牽制が日本・扶桑の安全保障につながるからと言えた。
高千穂経済の急成長は、高千穂産業の成長にもつながり、
艦艇建造の振り分けともなった。
科学技術でも参入させよとの圧力によって、高千穂に第二技術研究本部が創設され、
どちらの設計が採用されるかは、双方で協議されることになった。
関係者たち
「次期駆逐艦は全長150m超えで、5000t級にすべきだろう」
「まぁ その方がピッチングがなく、プラットフォームは安定する」
「だがある程度の太さがないとローリングが酷くなるが」
「いっそ、双胴船にするとか。プラットフォームが大きくなる」
「双胴船は・・・」
「複合素材なら何とかなると思うが」
「しかし、駆逐艦は沿岸制海用では?」
「だから、沿岸制海用としての機能でも、プラットフォームを安定させないと戦力たりえない」
「そういう時代だと思うね」
「しかし、白鳳や朱雀を作ってるところが駆逐艦は要らないとか言ってるからな」
「あのやろう・・・」
「水上艦は、航空機と潜水艦に挟まれて自由度が低いからね」
「軍隊は見栄えなんだよ。強そうに見せるのが仕事」
「とはいってもパイの奪い合いだし。もっと予算が欲しい」
「1930年代の悪夢のせいだろう。民権派が煩いし、軍事費を取り過ぎた」
「だけど今はゼネコンが取り過ぎてるじゃないか」
「高千穂を丸ごと近代化させようと思ったらしょうがないけどさ」
「それだって、新幹線をアフリカ大陸全域に伸ばそうとか、冗談じゃない」
「それは土建藩じゃなく、鉄道藩だから」
「土建藩も一枚咬んでんだよ。どいつもこいつも結託しやがって」
「いまは庶民生活と直結してる藩が強いよ」
「嘆かわしい国になったものだ」
「土建もいずれ終わるよ。ビルはいくら建てても建てきってしまえば終わるし」
「でも海外受注を増やしてる」
「海外のお金ならいいよ。予算と関係ないから」
「いや、民需は貿易黒字でテコ入れしてるから余剰資本は大きいはず」
「こっちは予算しか頼るものがない」
「旧式兵器を売ればいいだろうが」
「政府が民需の邪魔をするなって、紛争国には売らないって決めたからな」
「平時の国だと価格競争になるし、欧米に後れを取ってる」
日本帝国議会
“では起立を願います”
パシャッ! パシャッ! パシャッ! パシャッ!
パシャッ! パシャッ! パシャッ! パシャッ!
とある家
“与党の不和に付け込んだハプニング可決”
“高千穂に続き、本国も抽選制衆議院へ移行”
“日本国の命運は実力や能力でなく。運に委ねさせられた”
“官僚が国民年金と教育費の国民基金化で抵抗したため野党第三党が造反”
「早く、食べてください」
「へいへい、議会は、うっかりが重なって抽選制に移行か」
「これで抽選制に移行したら、厚生年金も国民年金化だな・・・」
「日本はどうなるんです」
「江戸時代は幕藩支配。明治は薩長藩支配。大正は殖産藩支配」
「昭和前半は軍需藩支配。いまは、ゼネコン藩支配で予算利権の取り合いと」
「権力闘争と派閥抗争のあまり、政策で競合できない」
「謀略と金と多数派工作で押し切る議会は困るからな」
「でもまぁ 異民族や外資に支配されるより百倍ましだし」
「運任せでも利権や世襲が少ないから国民の声は反映させやすい」
「高千穂みたいになるんじゃないかな」
「修学旅行で行ったことあるけど、あまり変わらなかったわよ」
「まぁ 選挙の不正腐敗でゴタゴタするより、運任せも悪くないよ」
「じゃ 私が衆議員になるかもしれないわね」
「あはははは・・・」
樺太
海底トンネルが建設されていた。
9kmほどの海峡で地下鉄道が完成すれば樺太とカザークが地下鉄で結ばれ、
樺太経済は一気に伸びていく、
間宮海峡トンネル建設は日本の建設会社が一手に引き受け、
カザークの資源が対価で日本に送られていた。
むろん、日本とカザークの取引の9割を占める扶桑半島が反発し
様々な妨害を起こし政治的抗争が起きた。
しかし、樺太側が押し切って樺太とカザークを繋ぐ鉄道建設が始まり、
政府が樺太投資を煽った結果、高層ビル群が乱立しつつあった。
「やっぱり流線型の高層ビルは風のキレがいい」
「よくもまぁ お金が続くもんだ」
「国民基金のせいで資金回収が早まって好景気が止まらない」
「その上、中東がキナ臭くなってきているから、石油が安い間に設備投資したいらしい」
「それに国民基金口座を見たら冗談みたいな金額だし」
「国債発行と財政投資が続いても国民は黙るだろうな」
「公定歩合を下手に引き上げようものなら国民総富裕層になってしまう」
「だが公定歩合があまり低すぎるとアメリカ国債を買いたがる者も増えるからな」
「一応、ドルは金利以上に暴落するから信用するなと報道してるよ」
「まぁ お金は国内にとどめておきたいからね」
「むしろ、投資はドイツとカザークには流れやすい」
「そっちか」
「例の共同管理区のせいで日独と日カザークのパートナー意識が強まってね」
「白人社会はユダヤ人が入り込んでるって聞くけど」
「カザークは紙幣保有上限があって、資本家の魅力がないし」
「日本人は国民総背番号と国民基金のせいで、企業買収が利かない」
「ドイツは、ユダヤ人を一掃して、そのまま締め出しに成功している」
「第一次世界大戦でせっかくドイツのユダヤ資本を強めたのに・・・」
「それでもパレスチナが欲しかったのさ」
「日本の戦艦を買えたし?」
「ユダヤ資本にとっては内戦で苦しくてもユダヤ人国家誕生だから役に立ったんじゃないかな」
「それでアラブ圏から恨まれると割に合わないだろう」
「いや、太陽光発電で喜ばれて、鏡板の下では緑化が進んでるから日本人は意外と好評だよ」
「しかし、鏡板を高くし過ぎると砂嵐で吹き飛ばされるとか聞いたぞ」
「だから最初は低くしてるんじゃないか」
「翼を引っくり返したような構造で、風が吹くと揚力が下に働いて落ちるそうだ」
「ゼネコンは儲かりそうだな」
「貯蓄がゼネコン株に流れてるから儲かってるんだろうな」
カリブ海 イスラエル領キュラソー島
高層ビル数十棟が日本の建設会社によって建設されていた。
日本人たち
「イスラエルの建設で使われる紙幣はシェケル札じゃなく、ドル札か」
「アメリカ合衆国は暴動が起きてるのに、どれだけのドル紙幣を持ってるんだよ」
「というより、ユダヤ人が海外投資してるから、アメリカ合衆国で貧富の格差が広がってるのでは?」
「よく、反ユダヤで反乱が起きないものだ」
「政治家、官僚、資本家を不正腐敗で狂わせて弱みを握れば、見ざる言わざる聞かざるだよ」
「背徳仲間は公正を求める大衆から自衛しないといけないから結束するし」
「まぁ おかげで日本産業はホクホクなのだが」
「いいのかね。アメリカやイギリスの経済がガタガタになっても・・・」
「少数民族のユダヤ人の国は、利権だからね」
「利権さえ守れるなら、多数民族がどうなろうと構わないと思うよ」
「何とも発想が凄まじい」
「ユダヤ人にとってのドルやポンドはアメリカやイギリス支配の道具に過ぎない」
「その気になれば、いつでもシェケル札に切り替えることができるさ」
「じゃ いざとなったらデフォルト起こさせて、シェケル札に逃げるの?」
「むしろ、為替操作を利用して、イスラエルを富ませてる節もあるし」
「紙幣でなく、金を保有して、紙幣を破綻させれば完全に独裁だな」
「富を喰い枯らすイナゴどもが・・・」
ユダヤ人がやってくる。
「いやぁ 素晴らしい出来だ。翼でビルの質量を軽減してるのが面白い」
「それにニューヨークの高層ビルより遙かに優れてる」
「ありがとうございます」
「ですがイスラエル本国は、内戦で大変なのに大丈夫なのですか?」
「まぁ あちらは国粋主義、民族主義で。カリブ海とは棲み分けしているからな」
「そうですか。カリブ海のイスラエルは大変な発展ぶりですよ」
「キュラソーは避難所の一つに過ぎないよ」
「本命はどこなのです?」
「まぁ 世界中かな」
「日本は除いてくださいよ」
「日本は、ダイナミックな投資をするべきだと思わないか?」
「と言いますと?」
「つまり、もっと株投資で配当を増やすような・・・」
「株の配当は信託銀行や長期国債を超えてるぐらいでいいんじゃないのかな」
「はぁ 何を言ってる、ニューヨークで株投資してみろ」
「莫大な利益を上げて、辺鄙な小島に巨大都市を作れた」
「いやぁ そう言われても投資詐欺のようなのが氾濫すると困りますし」
「そ、そういうのは、きちんと監査すればいいのだ」
「そんな監査機関を作る予算が無駄では?」
「もっと、楽に稼ごうよ」
「そんな。キリギリスみたいな生活は日本人に合わないと思いますが」
「もっと慣れろ、儲けさせてあげるから」
「インサイダーですか?」
「そうそう」
「なんか、騙されそうですな」
「「・・・・」」
「それに人の意志を捻じ曲げる贈収賄費用は高くつきますし」
「貧富の格差は大きくなりそうですし、国家財政が破綻しそうですから」
「だいたい、インフレで国民基金が大きいので、国民は言うこと聞きませんよ」
「国民基金はやめろ」
「日本で諜報部隊を組織できないし、暗殺部隊も組織できないじゃないか」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「それはそうと、イスラエルに戦車を売ってくれないかな」
「い、いやぁ それはちょっと・・・」
「日本は、石油エネルギーで自立しつつあるだろうが」
「石油を湯水のように使えるから、建設事業が軌道に乗ってるのであって」
「金があれば何とかなるというものじゃないですよ」
「石油価格が上がったら建設中のビルは赤字ですよ」
「いっそ、日本軍で中東を占領してはどうか?」
「石油は買えば済むので」
「「「「・・・・」」」」 むっすぅ〜
「じゃ イスラエルで戦車を開発するから日本で生産してくれ」
「はあ」
「頼むよ。いろいろ便宜を図るからさ」
「「「「・・・・・」」」」 ため息
カナダ オタワ
日本資本系の新聞社 “People's eyes” がオタワで創業していた。
自ら進んで報道する新聞社ではなく、
入札で紙面を購入した政府機関、企業、団体、個人が好きな記事を書いていく、
規制は人質事件、売春、犯罪誘発する記事で、
入札者は欄に穴を空けないよう常にニュースを募集しており、
入札していない個人でも持ち込みで記事になることがあった。
それとは別に無記名欄があり、紙面の半分はゴシップ化、小説欄化していた。
ユダヤ系マスメディアは何を書かれるかわからないため、
無責任で信用できないゴシップ新聞と決めつけ叩き始めるが
洋上風力発電と日系自動車が進出していたことから、カナダの親日は増えており、
反ユダヤ系勢力を味方に付けて “People's eyes” を創刊してしまう。
編集室 日本人たち
「ユダヤ系の息がかかった団体が入札の上位5分の1を占めたよ」
「よくやる」
「嘘ついてるから、People's eyes の情報反撃が恐ろしいのだろう」
「まぁ 思惑通り、お金がカナダ政府とPeople's eyes社に流れるからいいと思うね」
「しかし、一般からの投書も意外といいのがある」
「まぁ 掲示板みたいなものだし、向こうから情報が来るのなら悪くない・・・」
「おっ CF105アローが生産に入ったようだ。かっこいいなぁ」
「あと少しで日本製エンジンになりそうだったけどな」
「非白亜系企業がジエットエンジンを製造できるようになったのが凄いけどね」
「植民地が独立したら国軍を創設するから需要があると思ったんじゃないか」
「一定以上の工業力がついたら輸出規制の少ない非白亜系企業が有利だよ」
「しかし、日本とドイツがカナダにエンジンを売りかけただけで、渋っていたアメリカが慌てて売ったのが笑えた」
「まぁ CF105アローで退いた代償で “People's eyes” 創刊なら悪くないだろう」
「日本の記事も刷り込んで、カナダからアメリカに圧力をかけられる」
「新聞で上手くいったらラジオ、テレビとメディアを拡大して親日を増やして、ユダヤの情報操作に反撃できるはず」
「しかし、日本は風力発電と太陽光熱発電で足場を作り、世界征服を企んでるとか、嫌な言われようだな」
「風力発電と太陽光熱発電は石油依存から脱却する手段の一つだからね」
「石油メジャーが怒るのも無理はないよ」
「ロックフェラーと情報戦か」
「情報戦をするのは、一般の人々とロックフェラーであって、日本資本じゃないよ」
「“People's eyes” は、非マスメディアでも自由に記事を書ける場を提供してるだけだし」
「それが反感を買ってるのだけどね・・・」
「ところで・・・このアメリカは、中東の石油を買うお金が足りないって話し。どこまで本当かな?」
「アメリカ国内の労働運動を牽制するため海外の製造業に頼り始めてるし」
「輸出力が落ちてるから外貨がない」
「アメリカドルで買ってるが、多くは借金だし、ドルの海外流出は多い」
「いくら労働運動を押さえたいからって工業力削るなんて、そりゃないだろう」
「モノより紙幣の価値が高いってことじゃないか」
「最近、カナダで日本人に成り済ました朝鮮人が悪さしてるし」
「ユダヤ資本が後ろ盾になってる噂もある」
「いろいろ、まずいんじゃないか」
「その時はインディアン、黒人、スパニッシュにアメリカの人権について書いて貰うさ」
「しかしねぇ ユダヤの諜報工作員は巧みだよ」
「国家、民族は高いモラル、多角的な視点、広い視野、融和と競争が必要だけど」
「彼らはモラルを劣化させようとするし」
「視点を固定させて、思考を膠着化させようとする」
「排外主義的に組織を劣化縮小させ」
「上層部と下層部を対立させ、中央集権と地域主義を戦わせ」
「そして、主義思想を敵対させ、組織を細分化させる」
「近視眼で集中させた方が製造は強いがね」
「しかし、情報戦や開発になると別だ」
「情報操作されると、小心で声が大きく大勢に流されやすい日本人は弱いし」
「和が大事と課益、班益で結束しやすい日本人が勝てない」
「そして、日本人を調べ尽くし、徹底的にマニュアルを仕込んだスパイを繰りこんでくる」
「こいつらに侵入されると、国民や組織のモラルが下がるし」
「権威主義、拝金主義、個人主義を蔓延させてしまう」
「思考は膠着化してムラ社会で排外主義に陥り、国内に敵を作り始める」
「特に昔の軍部や今のゼネコンは、それをやられて国益を考えられなくさせられている」
「最後は、対外的な恐怖心を煽って、組織を統制し抑圧が強くなる」
「国家から総合力が失われ、国民を不信感でバラバラにされてしまう」
「そして、国家を無理にまとめようとすれば戦争に至る」
「まぁ 我々も対外的にやりたいところだ」
「しかし、単一民族の悲しいところで外に出ると日本人とすぐわかる」
「その上、日本民族は謀略戦に弱い、というより無知かな」
「情報戦で負けないことを祈るよ。期待してないけど・・・」
写真に目がとまる。
「これは・・・」
「宇宙から撮ったチベットの写真だな」
「日本の輸送機が飛行場に並んでるわ」
「日本が建設してる工場もばれてる」
「宇宙写真はドイツか?」
「いや、日本、ドイツ、ソビエトでも宇宙からの写真は、最高機密だ」
「民衆を味方に付けないといけないアメリカだろう」
「よくやるぜ、アメリカが建設してる中国の工場の方が多いじゃないか」
「ふっ じゃ 中国のアメリカ工場も写真撮って紙面に載せてやるか」
「日本だけが侵略国家扱いじゃ面白くない」
高千穂
高層ビルの建設ラッシュが続く、
それとは別にハニカム構造のドームがジャングルを覆い、地表に人工的な影模様を作っていた。
ドームは太陽光熱発電の一種でパイプの中を水を流し、熱した熱湯を発電の足しにしていた。
ドーム内は人工的な影で温度が引き下げられ、伝統的な城郭・仏閣・神社が次々と建立していた。
関係者たち
「どうよ」
「どうよっていわれても・・・・」
「直射日光と雨量が10パーセント減って、外界より5、6度涼しい」
「日本風の家屋は暑すぎると堪えられないからね」
「アフリカの土壌に合う建物を作った方がよくないか」
「日本文化を捨てるのが忍びない」
文化的背景の相続の重要性は取りざたされており、
インフラが進むにつれ日本人の人口も急増し、
日本・扶桑5000万、高千穂・達磨島5000万となっていた。
そして、高千穂外周の先住民は3500万に達し、増加傾向にあった。
その高千穂外周から鉄道、送電線、電話線、水道管が独立したばかりの国に伸びていく、
独立国から安い資源が供給されるほど、高千穂産業は強靭になり巨大になり、
独立国は対日外債務を抱えるが、多くは資源で決済された。
外周域の先住民労働者は、新興国で働くことで経済力を高め、
高千穂全体の産業を高めていた。
そして、外周域の先住民は先生となって、新興国の独立を助けようとし、
経済植民地を手放したくない欧米諸国と対立していた。
高千穂特高警察 アフリカ工作課
「植民地は独裁政権と共産主義勢力が戦わさせられている節がある」
「誰に?」
「欧米諸国とソビエトに?」
「資本主義と共産主義の思想戦だろう」
「さっき、アメリカから来た黒人工作員が裏切ったよ」
「白人同士が結託して、黒人同士を戦わせてるとね」
「良く裏切ったな」
「外周域の黒人は自治を認められ日本人に支配されていないそうだ」
「教育され、自ら考え、働いて生きていると」
「「「「・・・・・」」」」
「しかし・・・白人の軍事顧問団も現地で戦ってる」
「連中は、むかしのイエスズ会と同じだよ」
「平安を得るため聖戦で戦わせる宗教の代わりに、人々を凶暴化させてしまう共産主義を使ってる」
「つまり意図的に独立国を内戦状態にして、弱体化させている」
「その上、資源だけは抜け目なく獲ようとしているわけだ」
「じゃ しゃしゃり出ると叩かれそうだな」
「まぁ 独裁政権だって、鉄道、送電線、電話線、水道管は欲しいさ」
「それで何とか、地中を掘って持って行くが妨害も少なくない」
「地下は高くつくな」
「どの道、独立国も太陽光熱発電を欲してるから次いでと言えなくもないし」
「人口増加を考えるなら、高層ビルや地下開発は石油が安い間にやっておくべきだ」
「ところでロズウェルズコネクションとビルダーバーグ会議の関係は?」
「ロズウェルズコネクションはアメリカ合衆国だけ」
「ビルダーバーグ会議はアメリカ、イギリス、ヴィシーフランス、カザークの権力者が中心」
「一部、ドイツとソビエトも一部関わってるようだ」
「どちらも日本人は排除されて、実態は掴めてない」
「なんでだろう?」
「工作員がビルダーバーグのメンバーに日本不参加の理由を聞いたことがある」
「日本人は良心家過ぎるとか言われた、らしい」
「なんか、特権階級が結束すると下層階級は碌なことないのが通例だけど?」
「まぁ 通例通りの事が行われてると思うよ」
「インドシナとインドネシアは先住民が殺戮されてるし」
「アフリカの独立国も殺し合わされてる」
「中国に至っては、経済植民地直行だ」
「インドは?」
「イギリス軍は撤退してるが。アメリカとイギリスの資本は残ってる」
「というより侵食が大きくなってる」
「そういや、アメリカとイギリスが綿花栽培を進めてたな」
「だいたい、農業やめて、いまさら綿花栽培はないだろう」
「だよなぁ 化学繊維が伸びていくのに綿花栽培なんて拡大したら・・・」
「インド、アフリカ大陸で、飢餓と内戦だね」
「「「「「・・・・」」」」」
中国は利権が強まるにつれ元華銀行の利権も大きくなっていく、
列強は、少数民族投資に力を入れるようになり、
それぞれ、好み、あるいは妥協しながら、少数民族を味方につけた。
少数民族 | 万人 | 本拠 | 支援国 | |
チベット族 | 760 | チベット | 日本 | |
回族 | 860 | 寧夏 | カザーク | |
ウイグル族 | 720 | ウィグル | ソビエト | |
ミャオ族 | 730 | 貴州 | ドイツ | |
トン族 | 250 | 貴州 | アメリカ | |
プイ族 | 254 | 貴州 | イギリス | |
トゥチャ族 | 570 | 貴州、湖南 | アメリカ | |
イ族 | 650 | 四川、雲南 | ソビエト | |
ペー族 | 160 | 雲南 | ドイツ | |
ハニ族 | 125 | 雲南 | 日本 | |
チワン族 | 1560 | 広西 | アメリカ、フランス | |
ヤオ族 | 214 | 広西 | イギリス | |
多くの国が中国支配のための道具としてのとうしだったものの、
日本は、純粋なチベット投資であったことから違う意味で警戒されていた。
中国沿岸
日本の洋上風力発電所と太陽光熱発電所が建設され、中国大陸へ送電されていく、
一部の太陽光熱発電は、淡水化プラントと化し、
水道管を港湾都市まで引っ張り水を供給していた、
また、発電所建設と同時に漁礁を作ることで、中国漁船の底網漁業を防いでいた。
無論、中国漁民の反発はあったが国民党と中国海軍に賄賂を贈り、
中国沿岸のチベット人とウィグル人行政官を味方にし、
無人パトロール船を配備し、中国漁民の襲撃を挫いていた。
日本人と中国人が太陽光熱発電所の司令塔に建って海を見ていた。
「やれやれ、漁礁を発電所の外に伸ばしただけで大騒ぎだ」
「なんて、馬鹿ある。底網で魚を乱獲したら漁獲が減るある」
「鏡板の下にある漁礁も、発電所の外に伸ばした漁礁も中国のためある。なんでわからないある
「同族だから、わかるだろう」
「中国人は馬鹿ある」
「しかし、防船網を切られて襲撃されると・・・」
「こういう襲撃は、中国の発電所だけだし。幾ら資源が入るからって中国沿岸は嫌だよ」
「そうそう、最近はオーストラリア資源の開発が始まって、総合商社は、豪州投資を始めてる」
「向こうは淡水化も欲しがってるから、結構な利益になるかも・・・」
「本当に馬鹿ある」
「たぶん、アメリカが支援してるんじゃないか」
「今度、襲撃してきたら送電と水道を止めて撤収してやろうか」
「だよなぁ」
「困るある。説得するある」
「殺されない程度にやってくれ」
「・・・・」 ごくん!
「「「「・・・・」」」」
イラク バクダット
日本企業が進出し建設事業に従事していた。
石油の対価で太陽光熱発電と高層ビルか建設され、
地下深く、電話線、送電線、水道管が全土に伸びていく、
ある場所では、対戦車塹壕が建設されていた。
特に急がれて建設されていたのは、幅13kmほどの海岸の浚渫と湾岸建設、
湾岸とバクダットを繋げる強力な交通通信輸送網だった。
日本人たち
「どうも、イラクとイランは軍備中心の建設事業だな。戦争でもする気か」
「イスラエルと戦争になるってわかってるのだろう」
「そういや、日本人もアメリカやイギリスと戦争になると思ってる人間は多い」
「だけどアメリカは日本が核爆弾を保有してるとわかって、挑発してないだろう」
「挑発してなくても石油を押さえて日本やドイツを支配しようとしてる節はある」
「しかし、日本資本はイスラエルとアラブの両方で建設事業してるのだから笑える」
「一応、油田のない日本資本がアラブ寄り」
「油田のある高千穂がイスラエル寄りで棲み分けしてるだろう」
「あまりやり過ぎると利権で分離してしまうぞ」
「まぁ ケンカしてる振りはできるから大丈夫だろう」
「そんなに石油が欲しいもんかね」
「石油があれば高層ビルを建てて、ボトリオコッカス油を作れる」
「ボトリオコッカス油の生産が軌道に乗れば政策は、中東に制約される心配がなくなる」
「1棟当たり年間10000tだっけ?」
「全然、足りない」
「まぁ 日本中で数百の高層ビルが建つことになるだろうな」
「日本で水力発電ダム造るよりいいって?」
「ダムは地盤がしっかりしてないとな。形状がいいと思っても地盤が悪いとこが増えてる」
「無理して地割れ地滑りで周辺住人に迷惑を掛けるより」
「地盤が強いところを選んで1000億円掛けて、ボトリオコッカス油生成用高層ビルを作った方がいい」
「やれやれ、油田の出ない国は高くつくな」
「しかし、石油が安い間に作ってしまえっていうのは正解だろうな」
三池備蓄タンク
廃坑を利用したタンクは最下層にまで排水ポンプが張り巡らされていた。
備蓄タンクに使われうと決まると壁は薄い複合素材と鉄筋コンクリートとなって厚みが増し、
強靭な地下備蓄タンクになっていった。
容積は最大2億立方メートル (2000億kl)に及び、
有明海は浚渫されて巨大タンカーの進入路が作られ、
三池換気用ダクトは石油の給油入口になっていた。
関係者たち
「これで、日本の三大炭鉱の筑豊、三池、夕張は石油備蓄基地か」
「まぁ 廃鉱が備蓄基地になると決まって、壁を補強して落盤がなくなったのが皮肉だけどね」
「石油の浸透圧を考えると補強はいいような気もするけど?」
「ずっと使うなら壁を補強すべきだね。バンカーバスターや核で狙われるとヤバいし」
「有明海を重油の海にしたくない」
「それは言える」
「いっそのこと、洋上風力発電じゃなく、太陽光熱発電にすればよかったか」
「まぁ 鏡板でも石油備蓄を守る足しになるな」
「いや、最新のシリコンは軽いし、ちょっとした装甲板だぞ」
「洋上風力発電の土台はまばらだけど強いかも」
「なるほど、そっちで・・・」
「いや、足しだろうと思うけどね」
「どちらにしても日本は石炭生産とお別れか」
「どの道、大陸の露天掘りには勝てないからね」
「それなら備蓄用タンクにして温存した方がいい」
チベット紙幣はサンクとタンカがあり、
日本製印刷機で紙幣を印刷し、
チベット政府と法王が印鑑を押すことで流通していた。
しかし、省境でチベット人と漢民族の衝突が始まると、印鑑を押す時間が無くなり、
政府と法王の監視の下、捺印を押した紙幣を生産が始まる。
チベット自治軍は漢民族の浸透を押さえようと省境を封鎖し、
駆け付けた中国国民軍と戦闘状態に陥っていく、
この時、チベット自治軍の車両は、支障なく動き、
20t級機動戦車 ラマ
全長9.30m×全幅2.71×全高2.55m
ディーゼル・電気推進16基(480kw=652馬力) 速度80km/h 行動距離600km
55口径76.2mm 6.5mm×2丁
20t級装甲兵員輸送車 ラサ
全長7.80m×全幅3.00m×全高3.20
ディーゼル・電気推進16基(480kw=652馬力) 速度80km/h 行動距離600km
40mm機関砲 2人+8人
チベット自治軍は、高山病で喘ぐ、中国国民軍150万を文字通り蹂躙し、
来襲したB29爆撃機10機編隊をエフライム戦闘機4機ので要撃し全滅させてしまう。
日本総理官邸
中国大使と総理
「日本はチベット支援をすぐやめるある」
「なぜ?」
「戦争ある」
「戦争はいけないな」
「では、チベットと中国から発電所を撤収させて、パキスタン、インド、オーストラリアに移動させないと」
「そ、そうじゃないある。支援をやめるのはチベットだけある」
「戦争してるのに、それは駄目だろう」
「戦争じゃないある。内戦ある」
「内戦中の国の支援は禁止されてる」
「日本は中国だけを支援するある。チベット支援だけやめるある」
「それは無理でしょう」
「もう、日本とは取引しないある」
「では、中国から発電所を撤収しましょう」
「駄目ある!!」
「どっちですか?」
「「「「・・・・・・」」」」
中国大使は怒って出ていく
「やれやれ」
「総理。これを・・・」
報告書が出される。
「ラマ、ラサ、エフライム、輸送機の生産まし?」
「チベット防衛の為です」
「元は取れるんだろうな」
「インフレが続いてるので、チベット側からでも中国側からでも」
「省境紛争は、いったい、どこの企みだ?」
「戦争で利権を拡大したがってるアメリカでしょう」
「アメリカか。そんなに格差を広げてどうする気だ」
「ですが、日本も巻き込まれですよ」
「日本がチベットに足場を作ろうとした途端、これか・・・」
「チベット投資を軌道に乗せる手前ですからね」
「チベット空軍に義勇軍は送った方がいいのかね」
「利権を守るなら送るべきでしょう」
「元華銀行の日本代表は?」
「国民軍をチベットにけしかけさせて、日本とチベットを悪者にする」
「それで、ユダヤ資本は武器を売りながら中国利権を蝕む作戦だと」
「他人同士の紛争で、私腹を肥やすわけか。ずいぶん、いい身分だな」
「陸上戦力だけなら勝てますよ」
「増援できれば」
「こっちは輸送機だぞ」
「何とかなりますよ」
「本当に?」
「高山病でまともに動けなくなってますし」
「空軍は?」
「いまのところエフライムでも勝てそうです」
「まぁ アメリカが戦争したいのなら代理戦争に付き合ってやろう」
「しかし、中国空軍はB29を配備してますし。戦闘機はもっと強い機体が必要かと」
「んん・・・」
「とりあえず、世界中の旧式機を買い取って、物資を載せてチベットに送るべきでは?」
「しょうがないな」
チベットの日本資源採掘コロニーは、資源探索隊が資源を発見することから始まる。
中国大陸からの鉄道はチベットに届いていなかったことから陸の孤島に近く、
荒れ地に降りることができる軍用輸送機で物資を降ろし、
飛行場を整備すると民間機で更なる空輸を行って発電所を建設し、
湖や河川から水道を引っ張り衣食住を確立していた。
その規模はドイツ、アメリカ、ソビエトが宇宙開発に向けていた予算に準じていた。
チベット自治区 日系12資源採掘コロニー
睦月(むつき)、如月(きさらぎ)、弥生(やよい)、卯月(うづき)、
皐月(さつき)、水無月(みなつき)、文月(ふみつき)、葉月(はづき)、
長月(ながつき)、神無月(かんなづき)、霜月(しもつき)、師走(しわす)、
コロニー飛行場の脇は、退役した飛行機が主翼を切り落とされて並べられていた。
一つのコロニーは500機ほどで。総数は6000機に及んだ。
それらは、居住室、工場室、工作機室として改造され、コロニーが形造られていく、
ハイブリットエンジンを装備した土木建設機械が設備を拡張し、
バスとトラックが周辺集落との間を行き交っていた。
第8資源コロニー葉月(はづき)は、鉄鉱石鉱山で、小型の製鉄所が建設されつつあった。
ダグラスDC4を改造した司令室
関係者たち
「州境の戦闘でアメリカが輸送機の日本売却を渋り始めてるらしい」
「日本がアメリカの輸送機を買わないと、ドイツの輸送機を買うだけだし、アメリカが困るだろう」
「輸送機の半数を日本が買ってるので潰れるでしょうね」
「それは退役寸前の旧式機も含んでますよ」
「二束三文でも買ってることには変わらない」
「いい商売ですよ。退役前の飛行機は安いですし」
「改造して、そのままチベットに空輸させてコロニーの材料にできるのですから」
「それはそうと、チベットと中国は本格的な戦争になるのか?」
「一応、鉄道建設してる国民軍と、省境警備軍の衝突で、事故ということになってる」
「いま調整中だよ」
「国民軍150万人を蹴散らして衝突事故とか、冗談みたいだな」
「どちらにしろ、チベットと中国の衝突はまずい」
「日本の対中国貿易はチベットの数千倍だ」
「というより、チベットは投資が始まったばかりで、利益なんてないですからね」
「だが、日本のチベットコロニー開発が本腰なのに気付いたか」
「中国に手を回して、空路を止められるかもしれませんよ」
「二階に上らされて梯子を外された気分ですね」
「インドからの空路でもいいだろう」
「アメリカはどっちにつくと」
「アメリカは、日本の空路を通って中国大陸との航空便も維持しないといけないから苦虫噛み潰してる」
「別にソビエトやドイツの輸送機をチャーターしてもいいけどね」
「日本は、もっと輸送機を作ればいいのに」
「白鳳、朱雀、対潜哨戒機にソース喰われてるんじゃなかったかな」
「そういや、航空機企業で騒いでましたね」
「白亜技術は輸出できないからチベット産業が軌道に乗ると航空機産業を縮小しないとか」
「じゃ 非白亜系企業でやらせろとか。とりあえずエンジンだけは日本製にするとか」
「それはあるね」
「アメリカより人口が少ない日本が航空機産業を大きくし過ぎると後が続かない」
「しかしまぁ 中国人よりチベット人が親近感湧くからね」
「そういえばチベット族の半分は日本人の半分と同じYAP因子を持ってるそうですよ」
「チベット族にYAP因子?」
「ええ、原種ユダヤ人とインディアンもYAP因子が多いようですが・・・」
「じゃ チベット人は、縄文人と同じ系統?」
「そのようですな」
「日本でもYAP因子は半分以下だが、まぁ 何らかのつながりがあるのかもしれないな」
「日本とチベットが血統的に近いのなら協力関係を強めてもいいのでは?」
「まぁ 血の半分でもチベット投資と友好の動機になるか」
「しかし、戦争の行き末が・・・」
「中国は日本のコロニーを攻撃しないと」
「だといいけど」
日本人の入植が増えると切り取った主翼を再利用した産業が起こり街が形成されていく
チベット自治軍
チベット将校と日本人たち
「空軍ももっと欲しいな」
「双発戦闘機エフライムが余ってますよ」
「あれは古いだろう」
「安いですよ」
「MiG19がまし。陽炎を売ってくれ」
「い、いやぁ 陽炎は・・・」
「アメリカからF5の供給が提案されてるぞ」
「F11タイガーが退役するそうなので、買い取って双発戦闘機に改造できますよ」
「んん・・・・」
「F11タイガーのライトJ65は推力3380kgで2基ならF5より優秀でしょう」
「それに高地運用で開発なら吸気口を大きめに作りますし」
「んん・・・・」
「北方の油田採掘コロニーも軌道に乗ると思うので、そうなれば、戦闘機も高価なモノを買えるでしょう」
「日本はなぜチベットによくしてくれるのですか」
「純粋に利益ですよ」
「チベットが強国になれば存在するだけで中国を牽制してくれますし」
「チベットの資源を中国へシフトすれば、中国の資源を日本が買いやすくなるわけです」
「特に製品を作って中国に輸出すれば中国の製造業を育てさせなくさせられますし」
「助かりますね。チベットで工業が起こせれば中国の同胞を戻せますし」
「なんとか、上海からインド洋に回って、チベットに帰還させられるでしょう」
「ありがたい」
「チベット産業が軌道に乗れば若い労働者をなんとか留めさせられるかもしれません」
「では日本に協力しなければなりませんな。チベット人では産業は起こせませんし」
「チベットは環境が難しいだけで、条件さえ作ってしまえば伸びると思いますよ」
「チベットは日本だけが頼りなのですよ」
インド洋ベンガル沖
空母 海凰
艦橋
「インドとネパールの了解は得てるんだろうな」
「はい、チベットとネパールまでの空路を確保してますし、行けますよ」
陽炎20機がチベット義勇空軍として飛び立っていく、
「どの道、インドとネパールは、チベット独立に賛成のようです」
「太陽光発電や風力発電の圧力が利いてるわけか」
「海外の洋上発電は浮遊型ですから、その気になれば移動させられますからね」
「それにアメリカはインドに火力発電所を売り込んで政策誘導してるようですが手遅れでしょう」
「投資を人質に取られてるようなものだし、チベットの裏切りだけは怖いな・・・」
「国民基金制度を検討してもらってるそうなので、なんとかなるかもしれません」
「だといいが、どうにも世論操作で勝てる気がしない・・・」
「あと、30分でインドから飛び立った給油機と合流します」
静止軌道上から見る青い地球は、指の第二関節分にも満たない。
宇宙艦バイエルン
バイエルンは、全長12m×直径4mのハニカムユニットを20連結させたものを7列束ねつつあった。
完成すれば全長240m×直径12mの宇宙船に、全長100m×幅10mの太陽光パネルを広げさせ、
太陽からの放射線を防ぐことができた。
政治局員と乗員たち
「ずいぶん、力技だな。上層部は予算超過で撫すくれていたぞ」
「艦首を太陽に向けたまま月と地球を往復するのは不便ですから」
「とりあえず器さえ作ってしまえば、地球と月の往復は容易になります」
「水は凍らないのか?」
「船体を自転させて太陽光が当たる面を固定させてません」
「二重壁の水タンクは凍りませんし、沸騰もしません」
「地球食の軌道には置けないのか? 放射線を防ぎやすいだろう」
「地球の影に入りながら太陽を回るのはさすがに無理です」
「太陽熱発電も得られませんし」
「そうか。しかし、こうしてみると地球は小さいな」
「地球で争ってるのが不思議ですよ」
「ほとんどが領土と資源がらみだがな」
「子供のケンカですかね」
「醜い大人のケンカだから救われん」
「画策してる人間がいるのでは?」
「いま絶賛画策中は、ユダヤと子分の朝鮮人の連合で、標的をドイツと日本に定めてる」
「なぜ?」
「日本とドイツがユダヤ資本の浸透を退けてるからだろう」
「それで境遇が近い朝鮮人を利用してるようだ」
「日本人も酷なことを」
「国内に異民族を内包するよりましだろう。ドイツも異民族を追い出したからな」
「アングロサクソンの動きも連動して?」
「まぁ アングロサクソンも動いてるが」
「ほとんどの人種は衣食住さえ安定してしまえば安穏としてしまう」
「例外は動機と余力資本を持った少数民族だろうな」
「ドイツ情報部がユダヤ人の真似をして、ミャオ族とペー族で工作したが上手くいかない」
「動機が弱いわけですか」
「というよりドイツ人はハングリーが弱い・・・」
「どうしました?」
「目が回った」
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月夜裏 野々香です。
結構、戦後戦記書いてますけど、初の機動部隊創設でしょうか (笑
やっぱり、機動部隊がないと
戦記の日本は、特権階級の貴族院と、抽選制素人の衆議院の二院制になりました。
史実の日本は、金脈人脈利権の御用聞き、選挙プロ議員ばかり、
無策議員が多い、
一応、多数決で官僚を罷免できるのですが、通常、官僚任せが多いので、
戦記の議員と大して変わらない、
特権階級の貴族員は、皇族議員・華族議員・勅任議員なので、
とりあえず身上調査くらいやってるはず、
まともな議員だと思いたい (笑
というわけで、戦記の戦後日本は、よくもなく、悪くもなく・・・
第29話 1960年 『インフレは利権拡大。デフレは利権強化』 |
第30話 1961年 『People's eyes と、蛇の巣食う帝国』 |
第31話 1962年 『錬金術の国 日本と、紙神の国 アメリカ合衆国』 |