月夜裏 野々香 小説の部屋

       

仮想戦記 『白亜の遺産』

 

 第32話 1963年 『パクって日本人の意欲を削ぐ作戦ニダ』

 主権が弱体化するほど外資の投資が増え、主権が強まると外資が退いていく、

 国民党は、アメリカ型自由民主主義政策を執り、

 国民党は外資を誘い利権構造を強化していった。

 中国は資源開発を中心に建設ラッシュが続いていた。

 その代償として、貧富の格差が強まり、

 列強は少数民族と結託し、中国の主権をさらに弱めた。

 本来なら暴動が起きるが、外資投資で生活は安定し、

 権力構造も強まっていく、

 そして、新聞、ラジオ、テレビ報道は99パーセントの事実に、1パーセントの嘘を含ませ、

 信頼を得つつ家族、親族、隣人との人間関係を気薄にさせ、

 地域コミュニティを弱体化させ、漢民族の蜂起を抑制させる。

 列強は少数民族を留学させて工作員教育を施して本国へ送り返し、

 中国各界の中枢へと送り込んでいた。

 上海 囲碁クラブ

 諜報関係の日本人たち

 「中国の多数派工作で囲碁を使うってどうなの?」

 「ほかの国だって釣りとか、野球でやってる」

 「民主主義の戦いっていうのは、利権と集票の戦いだからね」

 「裏金や脅迫だとかで、金はかかる」

 「もっと金になって集票になる組織ってないのかね」

 「宗教が一番と思うけど」

 「宗教か・・・」

 「宗教は苦手だな」

 「しかし、敵国民からでさえ、献身的な協力を得られる」

 「欧米は?」

 「フリーメーソンという形で会員を増やしてる」

 「フリーメイソン?」

 「まぁ ユダヤ資本の末端組織のようだが、宗教というより、一種の御利益共同体に近い」

 「むかしは、自由資本主義を構築する上で役に立ったらしいが」

 「いまでも後進国相手で動いてるようだ」

 「じゃ 日本側でもそういう・・・」

 「そういう組織ノウハウは、宗教の強い国が得意なんだが」

 「教理とかあるんじゃないの?」

 「そんなのは、道教、密教、大乗、小乗、キリスト教系の教義を集めて作れるんじゃないかな」

 「宗教を隠れ蓑に中核を押さえちゃうとか?」

 「中国は遺伝子で国民総背番号やってないし、同じ黄色人の中国なら成り済ましやすい」

 「こちらで金を送金しなくても、勝手に金を作って、一部をこちらに送金してくれる」

 「教祖を作るの?」

 「調べた限りだと、教祖は訓練じゃ無理らしい」

 「だから各国の諜報機関は、これって、教祖を見つけたら入り込んで周辺を押さえ情報操作する」

 「教祖っていったって、周辺信者の情報に左右されるからね」

 「しかし、日本は主流宗派は、檀家制で宗教が牙を抜かれてるからな」

 「日本だと、新しいとこで大本教辺りがノウハウを持ってるようだが」

 「大本教か、政治不参と右翼と手を切ることで、今じゃ日本随一の宗教団体だからな」

 「困ったもんだ」

 「最近は、創価が伸びてるようだ」

 「そっちは、外国の影響は?」

 「いまのところは接触していない」

 「朝鮮人を追い出し、国民総背番号と国民基金から、その手の列強の介入が減って助かる」

 「しかし、大衆操作は、マスコミがいい、特にアメリカ式は、いったん入り込むとやりやすい」

 「じゃ 日本の放送権分譲入札制より、放送局一任制は情報操作で都合がいいのか?」

 「日本で情報操作されたくないだろう」

 「最初から入札者の偏った自画自賛番組が視聴者も気付きやすい」

 「まぁ そうだけど」

 「あとは、都合のいい情報を生かして、都合の悪い情報を摘んでいく、大衆操作戦になる」

 「しかし、漢民族はやりにくい」

 「ふっ 少数民族より極悪だし」

 「元々 利己主義と拝金主義上等の国民性で利権すらまともに作れないし都合が悪くなると寝返る」

 「だから欧米は弱みを握って不正腐敗をやらせる」

 「しかし、日本人の場合、アメリカ人やイギリス人と情報戦で勝てる気がしないが」

 「いっそ、中国でも遺伝子を使った国民総背番号制を・・・」

 「元華銀行が反対したら何もできないよ」

 「そういえば、日本の持ち株は5パーセントとだっけ」

 「いま思えば、大変な投資だな」

 「日本の戦艦部隊を買い取って維持しながら国家予算規模の資金を調達するなんて。さすがロスチャイルド。お金持ち」

 「ロックフェラーも噛んでいただろう」

 「というより買収した日本戦艦部隊で中国を押さえて、国民軍も買収したといえるね」

 「日本もああいう使い方をすればよかったんだ」

 「日本帝国軍だぞ。皇軍がやることじゃないし。官僚がやることじゃない」

 「そいう縦割りが日本の弱点だな」

 「まぁ 元華銀行のおかげで、ユダヤのやり方を学べたわけだが」

 「日本は引っ掛からないようしないと」

 「あはははは、怖い怖い」

 

 上海

 日本人たちが港湾を眺めていた。

 中国海軍

 9900t級ニューオーリンズ型重巡洋艦

   ニューオーリンズ、アストリア、ミネアポリス、タスカルーサ、

   サンフランシスコ、クインシー、ヴィンセンス、

 1500t級マハン型駆逐艦

   マハン、カミングズ、ドレイトン、ラムソン、フラッサー、リード、ケース、

   カニンガム、カッシン、ショー、タッカー、ダウンズ、カッシング、

   パーキンス、スミス、プレストン、ダンラップ、ファニング

 「散々 元華銀行の会議でごねたが、巡洋艦7隻、駆逐艦18隻体制か」

 「古い船だし、大したことないだろう」

 「いったん、定数が決まったら、アメリカは二線級艦艇を中国海軍に売れる」

 「中国空軍は?」

 「今回は、ソビエトからMiG21を購入するようだ」

 「F104スターファイターとMiG21を比べたらMiG21を選ぶわな」

 「安いし性能もいいし」

 「MiG21は日本企業が双発迎撃機に改造する動きを見せてますから安心感でもMiG21でしょう」

 「そういや、ロッキード社が撫すくれてたっけ」

 「ざまぁみろ」

 「日本も輸出用兵器を開発しないとまずいのでは?」

 「そうなんだろうが。民需に人材が取られてどうしようもない」

 「機械化が早いか。就業人口を増やすのが速いかだな」

 「ふっ」

 

 

 チベット

 チベット自治区 日系12資源採掘コロニー

 睦月(むつき)、如月(きさらぎ)、弥生(やよい)、卯月(うづき)、

 皐月(さつき)、水無月(みなつき)、文月(ふみつき)、葉月(はづき)、

 長月(ながつき)、神無月(かんなづき)、霜月(しもつき)、師走(しわす)、

 資源採掘サイトに飛行場と発電所が建設され、

 衣食住が整備されると日本人の建設労働者が増えて行く、

 退役間近の旅客機が日本に売却されて改造され、片道飛行でチベット開発に使われ、

 油田採掘所は石油精製所と化学コンビナートが建設され、

 鉄鉱石を採掘するサイトには製鉄所が建設され、

 工業資源の自給体制が構築されていた。

 そして、中国向け、インド向けの商品が作られていく、

 識字率が上がるにつれ、チベット人の生活水準が高くなり、

 公共設備が増える近代化が進んでいく、

 日本政府が市場原理から外れ、

 後進国と中進国支援が強まったのは将来的な懸念を恐れての事だった。

 アルミ製鉄所

 小さな製鉄所だったが十分に役割を果たしていた。

 不要になった主翼が溶かされ、インゴットが作られ、

 工場ではチベットで使う簡単な部品が再生産され、

 工場からディーゼル・電気のハイブリット自動車が現れた。

 日本人とチベット人

 「とりあえず電気自動車の出来上がりですよ」

 「チベットで自動車を製造できるなんて・・・」

 「小型自動車ですし、エンジンとモーターは日本製ですが」

 「工場が軌道に乗ればさらに量産を進められるでしょうし」

 「技術修練が進めばほかの製品の製造も可能になるでしょう」

 「日本には何と感謝していいやら・・・」

 「中国は将来的に反日に移行する可能性があるので対中政策の一環ですよ」

 「それより、居住区の拡大は?」

 「ええ、かまいませんよ」

 その日、チベットの高層ビル建設が決まった。

 高層ビルは農業用、居住用が多く、

 一つの資源採掘サイドに対し、徴用された日本人数万人が雇用され、

 新たに創設できるであろう産業で、チベット要人家族のほとんどを雇用できた。

 

 

 フランス領シュドガリア (インドシナ)

 フランス人は、安楽な生活を望み、日本に発電所建設と高層ビル建設を発注する。

 日本企業は国民基金で社員の所得補償と生活補填は大きく、賃金上昇は抑えられ、

 国際競争力を保有したまま、海外発注に応じることができた。

 そして、莫大な資源が日本へと輸出され、加工されたモノが海外へと輸出されていく、

 フランス領シュドガリアは内戦中にもかかわらず、資源を日本に叩き売ることで、

 贅沢な暮らしを維持しようとし、

 資源の足りない分を国債を売ることで、国を維持しようとしていた。

 低賃金で働ける先住労働者で借金を返済しなければ、財政破綻が目の前に迫り、

 何より、内戦の悲惨さがカメラで映され、世界各国に流れていたことから反戦運動が強まり、

 国際社会の圧力だけでなく、国内でも厭戦気運が強まり、内戦が終結した。

 そう、状況はフランス領シュドガリア(インドシナ)だけでなく、

 オランダ領エズナルホラント(インドネシア)でも同じで

 シュドガリア(インドシナ)内戦が終結すると、

 3か月後、エズナルホラント(インドネシア)も内戦が終結してしまう。

 両地域とも日本に資源を吸い上げられ、さらに国債を買われ、

 その返済が限界に来たので、仕方なく先住民と和平したともいえる。

 先住民は、保有する港湾で独自に海外取引の利権を守り、

 日本は、シュドガリアとエズナルホラントで支払われる利息紙幣で

 シュドガリアとエズナルホラントの先住民留学生に投資し、民族資本を構築していく、

 カムラン湾に日本商船が入港していた。

 インドシナ人と日本人

 「まさか本当に内戦が終わるとは思いませんでした」

 「結局、多民族国家が望ましいユダヤ資本が動いてるのと」

 「日本の投資でシュドガリアの財政破綻が原因だけどね」

 「日本は、フランス人を支援してるとばかり思っていました」

 「まさか、東南アジアに白人世界を作らせて、自分の首を絞めるわけがない」

 「フランス人の浪費癖を当てにして、投資しただけだ」

 「フランス人は資源を輸出しただけだから、国内産業は弱いまま」

 「これからインドシナ人に投資すれば産業で巻き返せるだろう」

 「しかし、インドシナ人の頑張りがなければ、内戦終結は達成できなかった」

 「問題は、フランス人より、我々の方が少数になってしまったことです」

 「フランス人は、本国のヴィシーフランスを除けば、カナダのケベック州」

 「あと、仏領ギアナ、アルジェリアに分かれてる」

 「アルジェリアの内戦は先住民側が独立を勝ち取れるだろが」

 「たぶん、フランス人は居心地のいい場所を求めて移動していくだろう」

 「そうなれば、君らが人口で追い上げることができるだろう」

 「我々も独立を勝ち取りたかった」

 「フランスと同等人権が認められてるし、選挙は人口比で出せる」

 「これからは、資本戦になるが支援させてもらうよ」

 「助かります」

 先住民留学生は、颯爽とタラップを降りて行った。

 先住民留学生を代表にした日系企業がシュドガリアとエズナルホラントに作られ、

 日系商品が東南アジアの市場を押さえていく、

 

 

 ドイツ領マルビナス諸島は、アルゼンチン人の移住により住民の大半を占めていたものの、

 ドイツのアルゼンチン・チリ投資の拠点となり、

 ドイツ資本は日本資本と連携しつつ南米経済を侵食していた。

 チリ北部アリカから北へ18kmほど行くとペルー国境が横たわっていた。

 ペルー軍はF96戦闘機とM26戦車を中心としたペルー軍が配備され

 アメリカ軍事顧問団がついていた。

 一方、チリ軍はドイツ製HsP240戦闘機が4機編隊を組んで上空を通過し

 キングタイガー戦車が並んでいた。

 そして、日独軍事顧問団がついて、国境を監視していた。

 とはいえ、チリもペルーもラテン系の系列人種で、米英が望むような緊張関係が得られず、

 日独軍事顧問団が不安視するような状況に至らなかった。

 ドイツ人と日本人の軍事顧問たち

 「ペリーに強引に傀儡政権を作るとはアメリカも良くやる」

 「こういう対立軸で儲ける構図が好きなんだと思うね」

 「貧欲なハザール民族と、残忍なアングロサクソン民族か・・・最悪最低の組み合わせだな」

 「ハザール人なんていうと怒りますよ」

 「構うもんか、成り済ましのイカサマ野郎が」

 「よほど騙されまくったみたいですね」

 「・・・自分の人の好さを呪うぜ」

 「チリ人はアルゼンチンより人懐こいですが、強請り性格ですよ」

 「カトリックはたいていそうだ」

 「確かに。しかし、南米は戦争にはなりにくそうだ」

 「いや、朝鮮人部隊は狂暴らしい」

 「・・・・」

 

 アンデス颪が吹き下ろすたびに風力発電の回転が早まり、

 発電量が大きくなるにつれ、チリの産業は大きくなっていく、

 日本企業も進出しやすくなっていた。

 ドイツ人と日本人

 「地主制度が強すぎる。何とかしないと・・・」

 「日本は製造業と余剰地の分配で次男以降の不満を押さえてますが」

 「チリの場合は、革命がおこりそうだ」

 「逆にいうなら外資が雇用してやれば、チリ内政に付け込めるのでは?」

 「スペイン語か」

 「ドイツ語は日本語よりスペイン語に近いのでは?」

 「それはそうだが投資しても奪われそうで怖い」

 「足場としては、高千穂とマルビナスの方がアメリカやイギリスより近いのでは?」

 「近いよ。しかし、アメリカの海軍力は凄まじいのに」

 「イタリア海軍は頼りにならないし」

 「日本も軍事力で手抜きしてる」

 「しかし、地球上の主要都市を全滅させるだけの核ミサイルがあると正直、通常戦力を軍拡する気が薄れますよ」

 「まぁ 核兵器には頼りたくなる」

 

  

 高千穂

 日本国防省はスーパーコンピューターに連動したセンサーを潜水艦、艦艇、航空機、戦車に取りつけ

 行動パターンを蓄積してきた。

 そして、丈夫で長持ちな大型記憶装置が増えると、軍人、格闘家の身体の動きも取り入れ始めた。

 組手の型が記憶装置の中にデーターとして組み込まれ、

 制御をスーパーコンピューター。エネルギーをマイクロ波充電に依存する駆動ロボットの開発が行われていた。

 関係者たち

 「流石、武人は体重移動と姿勢が安定している」

 「その辺は、軍人より優れてるな」

 「でも殺しに入ると軍人が強い」

 「まぁ プログラム上、なんとか、融合しながら取り入れることができるだろう」

 「しかし、身体行動プログラムが何かの役に立つのかねぇ」

 「上手くいけば、人型ロボットを作れるかも」

 「まぁ 特撮やアニメではやってるがね」

 「それが高じてこの仕事やってるようなものだし」

 「小型無線戦車を作ればいいじゃないか」

 「それなら戦車でやってるだろう」

 「大きさが違ってもプログラム上は、幾つかのルーチンを書き換えるだけだ」

 「だいたいロボットは、男の夢」

 「し、しかし、夢に国家予算を使われても」

 「俺なら手堅く小型無人戦車で空挺作戦をやってみたいね」

 「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ」

 「男なら夢を作り上げたいじゃないか」

 「ロボットの名前は?」

 「アトム」

 「アトムは、流石に駄目だろう」

 「じゃ アムロにしよう」

 「アムロねぇ」

 

 

 非白亜系航空会社 “Seven dwarves” は、

 イスラエルの双発戦闘機エフライム(F94 J33エンジン2基)を成功させ、

 続いて、イラクの双発戦闘機シャムシール(MiG15orMiG17 TRDVK1エンジン×2基)も成功させることで、

 他国のエンジンを利用したヤドリギ産業を軌道に乗せていた。

 戦闘機を自力開発できない国々は、“Seven dwarves” と結びつきを強め

 戦闘機原産国は当然の如く、反発した。

 しかし、日本が改造機できる戦闘機が担保となって売れる、

 そして、日本が独自に輸出用戦闘機を開発して競争を仕掛けられるよりましで、

 最悪でもエンジンは売れる。

 そういう状況が定着すると各国は歯噛みしつつ黙認してしまう。

 トルコ

 空軍基地に日本人がいた。

 F94戦闘機のアリソン製J33A35ターボジェットの2発機が並んでいた。

  双発戦闘機エフライム

   全長12.49m×全幅12.81m×全高3.43m  翼面積36u

   自重4220kg/最大離陸重量9350kg

   推力2400kg×2  最大速度1456km/h  航続距離1830km

   12.7mm機銃×6、搭載武装450kg×2発、ロケット弾10〜16発

 エフライムはレーダー性能が高く、総合的にF94戦闘機に勝っていた。

 しかし、イラク、イランの軍事力が強まるにつれ、新型戦闘機が求められていた。

  F104戦闘機

   全長16.7m(ピトー管含まず)×全幅6.69m×全高4.11m  翼面積18.2u

   発動機GE製J79GE7×1基  航続距離1300km/h  最高速度2695km/h  

   推力A/B7170kgf 最大離陸重量12490kg

   固定武装M61 バルカン 20mm ガトリング砲1門

   搭載兵装AIM9サイドワインダー空対空ミサイル×4発、ロケット弾ポッド、無誘導爆弾

 の購入が検討されていた。

 そして、F94戦闘機がそうだったようにに、

 将来的な保険の意味でGE製J79の双発機型の開発を日本に発注する。

 

 トルコ人と日本人

 「どうでしょう?」

 「なんで、MiG21にしなかったんです?」

 「いや、ソビエトと国境を接してますし。ドイツ空軍機だと反ソと思われますし」

 「陽炎が欲しかったのですが・・・・」

 「・・・なるほど・・・・それで、F04を双発迎撃機に?」

 「ええ、エフライムは良かったですよ」

 「表向き、イスラエル製なのが面白くないですがね」

 高千穂で作られたエフライムは、一度、イスラエルに運ばれた後、シールを張られ、

 イスラエル製として、国債市場に流れた。

 当然、最初に開発した国の名称がつき、手数料が入ることから早い者勝ち

 原産国に睨まれても発注したくなる傾向が強かった。

 「ゼネラル・エレクトリックJ79は推力5290kg。双発にすれば結構な戦力になりそうです」

 「F4戦闘機のような?」

 「いえ、迎撃機でしたらF4より、スマートにしますよ」

 「それは助かります」

 

 

 改造は可能な限り原型機の部品を流用する。

 既にJ79エンジンの概要は、情報収集しており、

 F104を購入しようとする国は、うっかりと情報を日本の諜報員に手渡してしまう。

 “Seven dwarves” 設計局

  トルコ空軍 双発戦闘機アセナ

   全長16m×全幅12mm×全高4.6m  翼面積38u

   GE製J79 推力A/B7170kg×2基  航続距離2300km/h  最高速度1895km/h  

   自重9000kg/最大離陸重量16490kg

   固定武装M61 バルカン 20mm ガトリング砲1門 ハードポイント10基

 設計関係者たち

 「とりあえず、得意のエンテカナード型だと、こんな感じか」

 「ちょっと幅広くなりそう」

 「双発だからしょうがないよ」

 「未亡人製造機なんて厄介な戦闘機だし、採用した国は、さっさと改造して欲しいかも」

 「しかし、アメリカも警戒してるからな。なかなか、正確な情報が伝わらない」

 「ふっ 掛け捨て航空開発産業に両手両足ズブズブじゃ国が傾くから、どうせ売るよ」

 「性能が安定したころに機体の改造機出して利銭稼いだ方がいい」

 「白亜系はきっちり開発から作ってるらしいけど」

 「あいつら、複合素材使ってるからな」

 「堅実な設計していれば、欠陥機なんて、早々出来るもんじゃないよ」

 「その割には梃子摺ってるみたいだな」

 「可変翼なんて面倒なことしてなきゃいいけど」

 「ふっ 素材で勝ってるんだから形で凝らなくてもいいよ」

 「正直、陽炎で十分なんじゃないか」

 「実のところ、それが正解らしい」

 

 

 イタリア領リビアで独立運動が起こっていた。

 イタリア軍は士気が低いことから独立運動を鎮圧できず。

 ドイツも宇宙開発に予算を取られ、

 キレナイカの利権が認められるなら軍事行動を起こす気などなかった。

 日本もトリポリまでの空路と陸路使用可能ならリビア独立に反対する気がなく、

 消極的に独立反対のまま、ずるずるとリビア独立へと向かいつつあった。

 宗主国の鎮圧戦が激しいと、独立後の軍政が強くなり、

 宗主国の鎮圧戦が弱いと民政が強く、

 アメリカ型、イギリス型、ドイツ型、日本型、ソビエト型の政体を組み合わせて選択する、

 リビアは独立運動の中心になった部族が共和制を作り、

 ドイツ型政体を選択し、

 金融システムは、公定歩合補償金を国民に分配する日本型を採用していた。

 もっとも遺伝子口座といった技術はなく、日本に頼らざるを得なかった。

 キレナイカ ドイツ領事館

 日独伊会議 

 「独立勢力の大半とは交渉が進んでますよ」

 「とりあえず、トリポリとラゴスまでの4000kmは道ができそうです」

 「問題は政情の安定してない2500kmのリビアとニジェール間でしょう」

 「いまのところ100kmごと太陽光熱発電所と高層ビルを建てつつ、地下鉄を敷けるなら電力で元がとれそうです」

 「軽く言うが25個分だぞ」

 「25個分の利権と言えますね」

 「リビアの独立運動との交渉次第だ」

 「ドイツなら独立運動を鎮圧すると思ったのですが」

 「あははは、まさか。荒事はもういいよ」

 「採算でいうならサハラ砂漠での太陽光熱発電は大きいですよ」

 「ドイツ本国のような高価な太陽熱電池を使わなくても済む」

 「問題は、アフリカ大陸の黒人が強くなることでしょうか」

 「確かにそれは問題にはなりますね」

 「特に高千穂外周の黒人は知的水準と所得が高く」

 「独立したばかりの国に行って主導的な地位に就く者が多い」

 「白人至上主義ですか?」

 「日本人には抵抗がない。しかし、黒人には思うところがあるよ」

 「確かに。しかし、利益率は我々の方が多いのでは?」

 「特に日本は多そうだな」

 「あははは・・・・」

 砂漠に近代的な生活環境を構築できるノウハウを有する国は日本だけだった。

 「まぁ ドイツはイギリスに海路を押さえられて苦しい」

 「地中海から高千穂まで陸路と空路を結べばドイツやイタリアにとっても生命線になる」

 「同時に高千穂も海路を米英に押さえられてもドイツ・イタリア側に抜けられる道があります」

 「ところで、日本の国民基金は保険も組み込むの?」

 「現状の国民健康保険制度は、傷病者の割得感は小さいですし」

 「健康者は大損。医療関係だけが得をしてますし」

 「健康保険を廃止しで。国民基金で、年齢ごと定額振込みを検討してますが」

 「それをやると国民が用心して消費を押えそうなので後回しにしてますよ」

 「まぁ そうでしょうな」

 「リ、リビアはどうすると?」

 「一応、独立運動勢力の半数は、日本と同じシステムでいいと」

 「なるほど・・・」

 「成功に倣えですな」

 「ドイツはどうされるので?」

 「まぁ ドイツの安楽死は65歳から70歳に引き上げてますが批判が多いですし」

 「世論に押されてベーシックインカムも検討してますよ」

 「ドイツは、公務交付金という形になりそうですね」

 「まだ、確定ではありませんが」

 「月10時間の共有地清掃作業にドイツ人平均所得の5パーセントを支給する意見が強いようです」

 「公共性優先ですか。いいですな」

 「いや、元々 ドイツは徴兵制がありますし」

 「たんに日本の真似をしたくなかっただけで公共性があるものならなんでも・・・」

 「・・・・」 苦笑い

 「ところでジーンリッチは凄いですな。オリンピックでは、メダルを総なめ」

 「来年のデトロイトオリンピックでも独走ですか?」

 「まぁ そうなるでしょうな」

 「恋愛する前に、いちいち相手の遺伝子を調べるなんてどうかしてますな」

 「非人道的と言われてはいますがね。マンパワーの差は国力に反映しますからね」

 「何なら時価で技術を提供してもいいですよ」

 「いや、遺伝子で相性を見るくらいならともかく、反発が多くて」

 「日本も相当進んでるようで」

 「いやいや、医療はまだまだドイツとアメリカに後れを取ってますよ」

 「先住民の人権を認めるからでしょう」

 「あははは・・・」

 

 

 

 サウジアラビア

 サウード王家は世界最大の産油国を支配し、一族の長は巨大な利権を持っていた。

 しかし、石油利権は有限でいずれ枯渇する、

 そのため新たな権力基盤で太陽光熱発電も増やしていた。

 アラブ王族と日本人

 「こういうの頼むよ」

 「これはメートルで・・・」

 「そう、メートルだ」

 「1000mですか」

 「そうそう1000mだ」

 「い、いやぁ できなくはないですが形的にちょっと・・・」

 「サウジアラビアは地震がないから1000mビルでも建てられると言っただろう」

 「いや、しかし、モスク型は・・・・」

 「金は払う」

 「金の問題じゃ・・・」

 「サウジアラビアに世界最大最高の人工物を建て、アラーの権威を世界に・・・」

 『所長。これ受注したらラインを増やすことになりますし。総スカン食らいますよ』

 『はぁ・・・昨年は青田買いで殺傷沙汰になりそうだったしな』

 『新卒雇えず、失速気味の工場が多いですからね』

 『うちだってそうだ。全然足りない・・・』

 「・・・というわけで、石油。高騰させちゃおっかな」

 「い、いや、それは、勘弁してくださいよ」

 「だったら作ってくれ」

 「「「「・・・・・」」」」 たら〜

 

 

 ソビエト

 北海で洋上風力発電の建設が始まり、

 凍土の上には農業用高層ビルの建設も始まる。

 ソビエトにとっては、エネルギーと食糧の自給率と絡んでいたことから、

 ソビエト政府は軍部の反対を押し切って、日本のゼネコンに発注してしまう。

 日本人はロシア人の100人分の生産力があると噂されていたのか、

 ロシア国民は遠巻きに日本人の建設作業を見物していた。

 ソビエト最高のビルは235mのモスクワ大学で1949年〜1953年の4年間で建てたものだった。

 日本の建設船から機材と資材が次々と降ろされ、

 建設現場の周りが整備されていく、

 最初、凍土の下、地下深むまでボーリングを掘っていたが、

 地盤を固めるとビルの組み立てが始まり、

 毎日のように見に来ていた群衆の視線は、少しずつ上に向かっていく、

 そして、ビル周辺だけ作ったマイクロ波道路上を日本の電気自動車が走っていた。

 ロシア人は綺麗に塗装された無音で走る電気自動車に惹かれた。

 日本人のドライバーが降り、

 無人になった自動車が走り出すと見ていた群衆が叫び、

 次に加速すると驚愕し、カーブを回ると絶句する。

 ロシア人と日本人

 「人が乗ってなくて、危なくないのか」

 「マイクロ波道路上なら無人でも決められたコースで走らせられますよ」

 「車外レーダーもついてますし、自分で止まってくれます」

 「「「「「・・・・・」」」」」

 「いつまで走らせられるのだ?」

 「送電が止まるまででしょうか」

 「その前に壊れるだろう」

 「いえ、オイルがなくなるか。鉛電池の寿命まで大丈夫でしょう」

 「「「「「・・・・・」」」」」

 「あと、ディーゼル・電気のハイブリットエンジン装備の自動車もありますよ」

 「マイクロ波道路網がない間は、ハイブリット車が現実的でしょう」

 「マイクロ波道路をソビエト全土に敷くことができるのか?」

 「まぁ 資源があれば・・・」

 群衆の視線が赤い国の首長に集まる。

 ご、ごっくん!

 「し、資源なら腐るほどある」

 

 

 アメリカ合衆国

 財政赤字と貿易赤字の双子の赤字に悩まされ、

 労働運動の賃金上昇がアメリカ商品の価格を引き上げ国際競争力を喪失させ、

 失業者の暴動と犯罪がアメリカ合衆国の治安を悪化させていた。

 さらにカナダとメキシコで現地生産された日本製品が流れ込み

 アメリカ産業全体を追い詰めようとしていた。

 白い家の悪党たち

 世界各国の情報、資料が集まってくる。

 アメリカとイギリスにとって良くない情報が増えていた。

 イギリスとアメリカのユダヤ資本は、通貨発行と金融。

 そして、資源を押さえていれば、世界支配も可能だった。

 しかし、日本、ドイツ、イタリア、カザークは独立した通貨発行を行い、

 国際競争力の強い商品を輸出することで資源を確保し、

 資源を加工し、世界中に輸出し、莫大な富を得ていた。

 一方、アメリカの富裕層は貧富の格差を求め、

 労働運動を抑え込むため製造業を国外に移し、

 そのくせ、利権だけは欲し、日本製、ドイツ製、中国製が流れ込む、

 「日本のスパイ組織は?」

 「CIAの報告では、反日的な少数民族がいれば母体にして、潜めるのですが、現状は困難ですね」

 「宗教を隠れ蓑にするというのは?」

 「日本人ですからね。情報取集や世論工作を超える部分は無理かと」

 「例の日米共同管理区を進めてみれば」

 「そんなことしてみろ。アメリカのベーシックインカム運動が強まるだけだ」

 「拝金主義どころか、貨幣経済が崩壊してしまう」

 「日本は依然として勤労意識は高いままのようで」

 「日本の共同管理区は、カザーク、ドイツに続いて、チベットも・・・」

 「このままでは、アメリカは、日本を中心とした経済協定から取り残されることに」

 「あり得ん。なんでこうなった?」

 「だから、中国に生産工場を移して空洞化したからでは?」

 「労働運動でアメリカが共産化するよりましだろう」

 「それより、貧富の格差を縮めては?」

 「格差を縮めるくらいなら、共産化した方がましだ!」

 「「「「「・・・・・」」」」」 ため息

 「日本がJ79エンジンを流用して双発迎撃機を開発する動きがあるようだ」

 「とめさせろ」

 「とめると、後進国はミグやメッサーシュミットを買うことになるでしょう」

 「ドイツやソビエトは反対しないのか?」

 「その気は無いようですな」

 「特にソビエトは日本というより発注国から改造機を買い取りたがってる節も・・・」

 「F5戦闘機は?」

 「エフライムに押されて、売れ行きがいま一つですな」

 「あんな中古エンジンを繋げたような機体に負けるのか」

 「F5を購入するより、旧型機のエンジンを買った方が安上がりですからね」

 「じゃ・・・」

 「日本のヤドカリ商法にしてやられることに」

 「圧力をかけてやめさせろ」

 「ヤドカリ商法を認めないと売れないのでは?」

 「「「「「・・・・・・」」」」」 ぶっすぅ〜

 「我が国の新型機は?」

 「グラマン社に艦上双発戦闘機を開発させ」

 「マクダネル・ダグラス社に双発制空戦闘機を開発させてます」

 「最初から双発機なら改造できないだろう」

 「確かに。しかし、両機種とも輸出用でなく国内用ですよ」

 「そうだった」

 「それにドイツのように3発機にする方法もありますし」

 「民需で日本、ドイツ、中国に押されてる」

 「この上、軍事産業まで抑え込まれたらアメリカは立ち行かないぞ」

 「「「「「・・・・・・」」」」」 ため息

 「時に日本企業はオーストラリアで何をやろうとしてるんだ?」

 「器業者でも始めるのか」

 「あれは漁礁だそうです」

 「漁礁?」

 「大鑽井盆地を内海にしようとしてる動きがあるとか」

 「な、なんでまた」

 「オーストラリアに洋上発電所を売って資源を得るためでしょう」

 「発電所売るために世界最大の内海をオーストラリア大陸に作るってか」

 「気が狂ってるとしか思えない」

 「我々 アメリカもオーストラリアに発電所を売って、日本の企業に価格競争を仕掛ければいい」

 「その価格競争で勝てないから、貿易赤字なのでは?」

 「「「「「・・・・・」」」」」

 「同じことやっても日本は黒字。アメリカは赤字」

 「だいたい、国民基金でインフレに反対する者はいませんし」

 「国民基金を加味して、賃金を押さえられるので、企業の競争力は強いまま」

 「くそっ!」

 「何しろ、史上最悪のエコノミックモンキーの国ですから」

 「日本人は働き過ぎだ。もっと遊ばせろ」

 「日本で調べたところ “趣味は仕事” の人間が多いようで」

 「冗談じゃない。アメリカ商品が世界に売れないではないか」 

 「例の国民基金で日本人は働くなったのではないのか」

 「いえ、国民基金が企業投資と消費を刺激してます」

 「おかげで、アメリカ国民の暴動も・・・・」

 「冗談じゃない、神に選ばれたアメリカ合衆国が日本から学べるものか」

 「しかし、暴動が・・・」

 バチッ!

 「ど、どうした?」

 「はっ おそらく、防弾ガラスに銃弾が当たったようです」

 「ホ、ホワイトハウスが狙われたのか」

 「い、いえ、たぶん、流れ弾かと」

 「銃規制を・・・」

 「反対!」

 「「「「「・・・・・」」」」」 ため息 

  

 

 千島列島 阿頼度島

 阿頼度山(あらいどざん)は、海抜2339mで円錐形で富士を小さくしたように見えた。

 火山島で時々揺れる。

 この島は初のマグマ地熱所であり、

 水で冷却することで噴火を押さえられるかのテストケース場でもあった。

 火山の周囲を数百本もの三重の耐熱素材パイプがマントルに近い10km地下に達していた。

 1500度ほどの地殻に達した三重パイプに水を流すと

 沸騰した液体が上昇して、タービンを回して発電し、周辺地殻温度を1000度にまで下げた。

 その規模は莫大で、発電量も多く、千島列島だけでなく、北海州の電力まで賄っていた。

 送電の一部はソビエト領カムチャッカ半島からアラスカ州からカナダへ送電され、

 ほとんどは、南へシフトし、カザークから中国までの送電網を増やし、安定させていた。

 マグマ発電の成功はともかくとして、噴火との関連性がわからなかったものの、

 日本中の活火山、休火山で試してみることになって予算が降りた。

 関係者たち

 「パイプの外側を海水にすると大量の水と塩ができるんだな」

 「沸点が水より高いから都合はいいけどね」

 「圧力をかけて超臨界流体の研究をしたがってる大学もあるみたいだけど?」

 「なんに使うの?」

 「なんに使うかを考えるの。聞いた話しじゃ洗浄らしい」

 「洗浄?」

 「ICとかの、らしい」

 「ふ〜ん」

 「電気代を無料にする話しって、どういうの?」

 「国内を無料にしても外貨だけで足りるってことじゃないの」

 「しかし、それだと・・・」

 「1940年頃、4円は1ドルだったのが建設国債のインフレ増刷で360円が1ドルだぞ」

 「単純計算で日本人はアメリカ人の90倍働いてるというか、時間当たりの賃金が90分の1」

 「逆にいうと競争力が90倍」

 「あれはアメリカがドル高円安を望んだからだろう」

 「そのくせ、ドルをたくさん刷ってるけどな」

 「とにかくこれ以上、円札を刷りたくないらしい」

 「刷りたくないって言ったって、人口が増えて行くから、軽く倍になるだろう」

 「だから電気料の無料化」

 「電気料無料化すると、紙幣を刷らなくてもいいのか?」

 「金の流れが減るから、自動的にそうなるって机上の空論」

 「それにアメリカとイギリスが国民基金に怒っててな」

 「あと、お札を刷り過ぎると円札の価値が低下するから大蔵省が嫌なんだと」

 「そういや、国民基金に信じられないほど入ってたな」

 「国内の電気代を無料にすればお札を刷らなくても、行き場をなくしたお金が別の産業に流れる」

 「ほかの産業って、宇宙か?」

 「まぁ そういう目論見はあるらしい」

 「俺たちの給料は?」

 「だから外貨や資源経由でも足りる」

 「やれやれ」

 「正直言って、電気や水は輸出するほどある」

 「たぶん、貨幣価値を保とうとするなら水道代もただになるかもね」

 「つか、使う暇がないくらい忙しいのが悪い」

 「新人が来るのを待つしかないだろう」

 「新人が来るより職場が増えてるだろうが」

 「どこかの馬鹿会社は、床屋を閉めさせて、店主店員事雇おうとして白眼視されるし」

 「どうせ、徹夜続きが多くて、キレたんだろう」

 「地熱はただでさえ、人いらずだけど、自動化してもらうしかないかもな」

 

 

 南鳥島(1.51ku)

 三角形の小さな島はサンゴ礁まで埋め立てられて、1.9kuと一回り大きくなっていた。

 3辺の縁は堤防になり大型船が横付けすることができ。

 島の周囲の海面は鏡板のブイが浮いていて、島の中心に建つ高層ビルに光を集めていた。

 高層ビルの屋上には少しでも遠くを哨戒しようとレーダーサイトが置かれ、

 基地上空にマイクロ波を照射し、白鳳型空中要塞を滞空させることもできた。

 飛行場は、全長2300mほどの滑走路を有し、

 輸送機、対潜哨戒機、対潜ヘリが配備され、

 その気になれば陽炎を配備することも可能だった。

 それとは別にサイロに対空、対潜、対艦ミサイルが格納されていた。

 最新の対艦中距離弾道ミサイルは射程5000kmで

 打ち上げられると第一段ロケットで衛星軌道まで上がって、先端部の巡航ミサイルが切り離され

 ハワイまで到達すると成層圏に突入する、

 この高々度から侵入する方式は迎撃される率が高かったものの、

 十数個のダミー弾頭でレーダーの目を狂わせて、達成率を高めていた。

 巡航ミサイルは、レーダーと熱線追尾ミサイルで敵艦を索敵して突入する

 むろん、1発だけでは成功率が乏しく、

 南鳥島には対艦中距離弾道ミサイル50基が配備されつつあった。

 司令塔

 大型ディスプレーには、レーダーサイト、哨戒機、

 日本中の哨戒網と、静止軌道、低衛星軌道からの全地球的な情報が映されていた。

 多くの基地はネットワークで繋がり、序列が決まっていた。

 南鳥島基地は、西太平洋全域を監視し、仮想敵国艦隊を牽制する前線拠点だった。

 「南鳥島に高層ビルを建ててどうするのって言われたが、流石にこの高さは気分がいいな」

 「海抜250mなら60km先まで見れますからね」

 「1000億なら蔵王型巡洋艦と同じ値段ですし」

 「レーダーサイトを高くすれば哨戒域が広がって防御力も向上しますよ」

 「複合型高層ビルなら衣食住で自給自足できますから長い目で見るなら正解だと思いますね」

 「まぁ このビルのおかげで将兵は島流しって気分にならずに済むが・・・」

 

 

 

 

 垂直離着陸機は、狭い場所から飛び立てることから作戦運用上の利点が計り知れない、

 日本は、滑走路から高温気流を噴き上げ、航空機を短距離離陸させていた。

 噴出気流は酸素量を調整できることから、離着陸も安定していた。

 しかし、イギリスでホーカー・シドレー ハリアーが垂直離着陸を成功させると、

 ドイツも開発途上の垂直離着陸機研究を加速させ、

 アメリカと日本も垂直離着陸機の研究に熱が入る。

 国防省技術研究本部

 「イギリスのハリアーはエンジンが1基だけなのか」

 「エンジン1基で排気口4つが機体を安定させやすいと思ったんじゃないか」

 「日本で開発中のモノもエンジンが機首側にあるのは同じだよ」

 「ただ、日本は機種に2基どころか、尾翼側に1基追加になりそうだ」

 「円盤もどきを採用するのか」

 「なんというか、高千穂が航空機製造ラインを欲しがってる」

 「人手不足なのに。なに言ってんだか」

 「同型機を二重に製造するより、異種機種を製造した方がいいそうだ」

 「それで輸送するのか」

 「そうなるね」

 「どっちも嫌だな」

 「いまの総人口1億1000万じゃ辛いよ」

 「先住民を入れたら1億5000万いるだろう」

 「3億人ぐらいいたら二重製造でもいいと思うけどな」

 「そういや “Seven dwarves” は垂直離陸機を作りたがってたな」

 「エンジンを作れないのに?」

 「“Seven dwarves”の垂直着陸機は、中距離弾道ミサイルと同じ要領だ」

 「垂直に打ち上げて、決まった空域を旋回させて、レーダーと赤外線で敵を探知して攻撃する」

 「まぁ 地対地、地対空ミサイルの一種だが」

 「目標空域までロケットブースターで飛ばすし」

 「使い捨てだから、おんぼろのジエットエンジンでも大丈夫ってわけだ」 

 「貧乏国好みだな」

 「チベットに片道飛行させたジエット旅客機のエンジンをどうするかで出たアイデアらしい」

 「じゃ チベットは・・・」

 「次に中国が攻めてきたら痛い目合うだろうな」

 

 

 大西洋沖

 75700t級原子力空母エンタープライズと65000t級空母海凰が10kmほど離れ並行して進む。

 排水量は雷凰が小さいが、エンタープライズとほぼ変わらない大きさだった。

 これは、海凰の装甲の薄さであり、

 海凰の複合素材が多かったことから起きたことといえた。

 エンタープライズはF4ファントムを発艦させ、雷凰も陽炎を発艦させていた。

 どちらも戦うわけではなく、

 互いの力量を見るための並走でしかなかった。

 エンタープライズ 艦橋

 提督と艦長は、双眼鏡を覗いていた。

 二人が部下にCICを任せ、艦橋に揃うことは珍しかった。

 「なかなか、いい空母だな」

 「噂では原子力電池で通常運転をして、加速時にディーゼル機関を回すようです」

 「日本お得意のハイブリットか・・・」

 日米両艦隊の中央海域をF4ファントム2機と陽炎2機が並んで通過していく、

 「陽炎もなかなかいい機体のように思うが、どう思う?」

 「そうですね。単発でファントムより小型なので艦上機で使いやすいようです」

 「事故は聞いてませんし。F4ファントムよりかっこいいですよ」

 「迎撃が主任務の機体か」

 「空母は制空で。攻撃は蔵王型の対艦ミサイルで行えばいいという発想のようです」

 「ファントムは迎撃機というより、侵攻戦闘機だからな」

 「日本は、海凰3番艦の建造をしないのか?」

 「その気はないようですね」

 「しかし、日本は絶好調だな。なんであんなに景気がいいんだ」

 「国民基金で勤労意欲が低下すると言ってましたけど」

 「日本は国防費と宇宙開発で手抜きしてるから調子がいいんだ」

 「ケネディー大統領は、日本の真似をして手抜きしたがってるようですが」

 「無理・・・」

 

 

 カナダ

 People's eyes社が経済循環ソフトと核実験大気循環ソフトを公開する。

 政府、行政、企業体、銀行、家庭、貿易収支の紙幣のが流れを包括的に視覚化したもので、

 アメリカ、カナダ、ドイツ、日本、フランス、カザーク、イギリス・・・・

 紙幣の流れを国別で視覚化させて見せた。

 もう一つの核実験による放射性物質の大気汚染をシミュレートしたものを映し出した。

 カナダ人だけでなくアメリカ人の群衆も、その紙幣の流れに驚愕し、怒りを込み上げ、

 核実験で地球に広がっていく、放射性物質の動きに恐怖していく、

 当然、何者かの圧力がかかるが、群衆が邪魔で公権力が近づけない。

 そして、視聴した群衆は雪達磨式に増え、多すぎたのか、

 アメリカとイギリスの国民は騒然となっていた。

 アメリカ政府とイギリス政府は大学教授を総動員でTV出演させて言い訳するが、

 アメリカやイギリスと、日本やドイツの比較になると言い訳も支離滅裂となり、

 暴動はさらに拡大し、

 ケネディー大統領が暗殺される。

 People's eyes社

 日本人社員

 「なんか、アメリカは酷い国になったな」

 「政府紙幣発行と核軍縮じゃ ユダヤ銀行資本とアングロサクソン軍人の両方を敵に回すのと同じだからね」

 「金と武器が動けば殺される」

 「アメリカは、そんなに戦争したいのかね」

 「そりゃ 軍産複合体以外は屑みたいな2流の産業だし。中央集権したいだろう」

 「金融、医療、農業は強いぞ」

 「アメリカでフードチケットを貰ってる4000万人は国力に寄与していない」

 「アメリカのマスコミと大学教授は、国民基金が日本産業を破壊するだろうと息巻いてるけど」

 「消費が産業を育てるんであって、供給が産業を育てるわけじゃない」

 「いくら広告業者がテレビで庶民を騙したところで、庶民が金持っていなかったら需要もないし」

 「フードチケットで利益を得るのは食品産業だけだ」

 「ていうか、日本の場合、消費する暇もなく働かされてるけどな」

 「だから代わりにアメリカ人が消費してるじゃないか」

 「もう、ドルは要らない」

 「ドルだけじゃなく、国債を売りたがってるけど」

 「もっといらない」

 「ロックフェラービルを買ってくれとか」

 「いくら地の利があっても中古ビル一本2200億とか馬鹿らしい、というか詐欺だろう」

 「日本なら新ビルを2本建てられる」

 「というか、人口が増えるのわかってるなら、寒村に街を作る方がまし」

 

 

 ブラジル

 征倭協会 (朝鮮族)

   南アメリカ大陸

        朝鮮民族シラギ戦線(ブラジル) 

   アフリカ大陸

        ピョンヤン戦線(ペナン)   テジョン戦線(ニジェール) 

        プサン戦線(チャド)      ソウル戦線(カメルーン) 

 

 “目指せ、大西洋高麗帝国”

 “日本浸透、一点突破全面展開”

 “日本人を騙して、日本の財産を奪って、奴隷にして、惨めに殺すニダ”

 朝鮮人たち

 「また、仲間が極悪ブラジル人に殺されたニダ」

 「「「「「許せないニダ!!!!!」」」」」

 「朝鮮人はブラジルで差別されてるニダ」

 「何にも悪いことしてないのに、酷いニダ」

 「そうニダ。相手にされてない女の子と遊んであげただけニダ」

 「感謝して欲しいニダ」

 「「「「「ブラジル人は酷いニダ!!!」」」」」

 「ブラジル人に復讐するニダ」

 「「「「「ブラジル人に復讐するニダ!」」」」」

 「ブラジル人に復讐するニダ!」

 「「「「「ブラジル人に復讐するニダ!!」」」」」

 「ブラジル人に復讐するニダ!!」

 「「「「「ブラジル人に復讐するニダ!!!」」」」」

 「しかし、復讐するお金がないニダ」

 「ユダヤに貰ったお金を使い込んだからニダ。アメリカに怒られたニダ」

 「つ、次は、ちゃんとやるニダ」

 「もっと路傍詐欺で日本人を引っ掛けるニダ」

 「最近、日本人が減ってるニダ」

 「そうニダ。電話でオレオレ詐欺するニダ」

 「オレオレ・・・」

 「海外の日本人が事件事故にあって、金が要るようになったっていうニダ」

 「それで、親元に電話してスイス銀行に振り込ませるニダ」

 「親の電話番号なんて知らないニダ」

 「そんなの電話帳使えばいいニダ。手当たり次第ニダ」

 「「「「「あいごーーーーー天才ニダ!!!!!」」」」」

 「日本人を騙すことに躊躇しないニダ。朝鮮民族の誇りニダ」

 「組織的にやるニダ」

 「本人と、インターポールと、被害者を分担するニダ」

 「あと、人質したゲリラ役も必要ニダ」

 「日本人に成り済まして日本人同士を憎み合わせて日本民族をバラバラにするニダ」

 「「「「「あいごーーーーー!!!!」」」」」

 「日本人からお金を騙し取るニダ」

 「「「「「日本人からお金をだまし取るニダ!」」」」」

 「日本人からお金をだまし取るニダ!」

 「「「「「日本人からお金をだまし取るニダ!!」」」」」

 「日本人からお金をだまし取るニダ!!」

 「「「「「日本人からお金をだまし取るニダ!!!」」」」」

 勢いよく扉が開く、

 「みんな喜ぶニダ。アメリカからお金をもらったニダ」

 「「「「「あいごーーーーー!!!!」」」」」

 「日本製のコピー商品を粗製乱造して、日本商品の評判を落とすニダ」

 「「「「「あいごーーーーー!!!!」」」」」

 「そして、日本人のやる気を削いで、日本人と日本産業を貶めるニダ作戦ニダ」

 「「「「「あいごーーーーー!!!!」」」」」

 「日本商品打倒ニダ!」

 「「「「「日本商品打倒ニダ!!」」」」」

 「日本商品打倒ニダ!!」

 「「「「「日本商品打倒ニダ!!!」」」」」

 「日本商品打倒ニダ!!!」

 「「「「「日本商品打倒ニダ!!!!」」」」」

 

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 月夜裏 野々香です。

 軍隊は政治的に中立が基本で、対外的な国防力として運用するのですが、

 使用者が暴力装置として使用する気でいる場合、

 国内統制のための暴力装置と認識してしまうわけです。

 というわけで “軍隊は暴力装置 by 民主党”

 そういった認識と意図を持つ民主党が政権を持つのはとっても怖い、

 彼らなら国民に銃を向けかねない、

 そんな気がする昨今です。

 

 

 とりあえず戦争は終わりましたが、ユダヤ・白人勢力の目標は消えてません。

  ノブレス・オブリージュ連邦 (東南アジア) 首都シンガポール

    フランス領シュドガリア (インドシナ)

    オランダ領エズナルホラント (インドネシア)

 ただ、白人は白人国家を作ろうとしますが、

 ユダヤ人は、少数民族なので自分に敵意が向かないよう国内国家を目指し、

 多民族国家で第二、第三のアメリカ合衆国をアジアに作ろうとしてます (笑

 日本は対抗できるでしょうか。

 

 

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第31話 1962年 『錬金術の国 日本と、紙神の国 アメリカ合衆国』
第32話 1963年 『パクって日本人の意欲を削ぐ作戦ニダ』
第33話 1964年 『民間人が趣味で戦闘機を作ってる国』