月夜裏 野々香 小説の部屋

       

仮想戦記 『白亜の遺産』

 

 第33話 1964年 『民間人が趣味で戦闘機を作ってる国』

 自前の石油生産は、日本の国策だったことから国防費に並ぶ予算が投資され、

 樺太州にボトリオコッカス油生成用高層ビルが次々と建設されていく、

 北方が多かったのは、たんに地代が安かっただけといえた。

 建設国債は雪達磨式に膨れ上がり、

 増刷分の公定歩合が人口割で国民基金へと振り込まれていく、

 新幹線は、日本の移動時間を短縮させ、

 マイクロ波道路網は国道から市街地道、県道へと伸び、電気自動車は8割を超えてしまう。

 燃料消費量は低迷しつつも製鉄所や工場の発電は急増し、

 日本の石油事情は驚くほど変貌を遂げ、電化が進んでいた。

 食堂

 「寒い寒い」

 ぴしゃりと閉めると、室内は暖かった。

 「いらっしゃい」

 「ええ、中生とダチョウ丼で」

 「毎度」

 「おれは、中生とカピバラステーキ」

 「はい、毎度」

 「久々にアメリカから戻ってきたけど、最近、ゲテモノ肉が増えてきたな」

 「高層ビルも小型で軽い動物の方が育てやすいと思ったんじゃないか」

 「平地の畜産は牛と豚と鶏が多いから衝突したくないんじゃないかな」

 「でも、自動化と賃金が大きくなってきてるから高層ビルでやるかもってさ」

 「何でもかんでも高層ビルだな」

 「自動化が進んでるから今どきの子供は、御洒落だと思ってるんだろう」

 「まぁ 政府もアメリカの肉を買うの嫌がってるみたいだし」

 「日本人の肉食も増えてるから畜産の増産もいいんじゃないの」

 「アメリカの日系牧場は、牛にビールを飲ませてるから美味しかったぞ」

 「日系牧場はな」

 「アメリカはバイオ関連で、生体実験してる節があるから、アメリカ牛はヤバい」

 「なんの生体実験だよ」

 「ほら、自分たちは長い生きして。それ以外の人間はモルモット」

 「なんか、もう、いろいろヤバい国だな」

 「金と武器を持っていたらなんでもできると思ってる連中だからな」

 「民度の低い国だ」

 「そういや、アメリカが日本市場は閉鎖的で車を買ってくれないとか言ってたな」

 「公道のほとんどがマイクロ波線を埋め込んでるし、ガソリン車はもう売れないだろう」

 「マイクロ波道路は非関税障壁だから撤廃しろって煩いし」

 「もっと、アメリカとアジアの安い労働力や需要を取り込めとか」

 「ふっ 国民基金のおかげで、低級品でも勝てるのに何で犯罪予備軍を国内に入れないといかんのだ」

 「アメリカの近代化は、石油独占時代が大きかったからな」

 「中東油田が中心になるし。日本は自然エネルギーに移行して弱みが薄れてる」

 「焦燥感は大きいだろうな」

 「ぶっちゃけ、中東がアメリカのようになるのが怖いかもね」

 「中東で移民国はイスラエルだけだし」

 「イスラム世界はアメリカみたいにはならないよ」

 「まぁ あれこれ情報操作してるみたいだが、日本人は高卒、大卒のあと、3年間は徴用された世界を見てるし」

 「詐欺には辟易している」

 「アメリカ資本の動機は見え見えだし、その手には乗らないだろう」

 「CIAが思想と宗教を利用して、世論操作してるって噂は?」

 「CIAっていってもなぁ」

 「ユダヤ資本の販路ネットワークを利用してからモサドが諜報の主導権を執り始めてるらしい」

 「なんで?」

 「対ソ諜報活動は、ユダヤ人の本拠地ハザールのユダヤ人に頼るだろうが」

 「商業が隠れ蓑か」

 「宗教も隠れ蓑になるよ。まぁ 1000人から10000人に1人ぐらいだが、協力者は数倍ぐらいか」

 「宗教の集団心理を利用して集団自殺に追い込む実験をしてるって聞いたことはある」

 「日本にもユダヤ人が混じってないだろうな」

 「混じってるだろうけど、遺伝子管理してるし、悪さはできないだろう」

 「だいたい、抽選制衆議院になってから利権を作れなくなってるし」

 「あれはきついわ。素人さんたちは抜き打ちで監査に来るし」

 「この予算がなんでいるのかいちいち説明しないといけないし」

 「説明できないものもあるからな」

 「というよりコネとか、付き合いとかを誤魔化すために分かりづらくしてる」

 「おかげで、多数決で免職されかけるし」

 「やばいやばい」

 「まぁ 誤魔化せるものしか通せなくなってるのが辛いと言える」

 「むかしは官僚天国だったな」

 「中国官僚は不正腐敗をチワン人やらウィグル人を用心棒に、国民から守られてるらしい」

 「いいなぁ 朝鮮人が残ってたら用心棒代わりに使ったのに」

 「あははは・・・・」

 「だけど、列強は少数民族に中国を支配させて。列強が少数民族を支配する構図だろうな」

 「そうなったら権力中枢を全部を少数民族に取られるし。犯罪や暗殺上等だろう」

 「そういう日本は嫌だよな」

 「しかし、日本人同士の権力抗争もなぁ」

 「どっちが勝っても日本人同士なら戦国時代と同じだろう」

 「外患誘致なんてやられたら目も当てられない」

 

 

 少数民族のユダヤ人は土地に縛られると滅ぼされることを知っており、

 金融、情報、医療など、無形・流動資産を重視する傾向が強く、

 多数民族のアングロサクソン系は、軍事・固定資産に強かった。

 アメリカ合衆国は、ユダヤ銀行とアングロサクソン軍需の二重構造が特徴だった。

 その二つの気質が貧富の格差を広げ、

 労働運動を押さえるため国外に産業を移動させたことから、失業者が大量発生し

 犯罪は急増し、暴動が起きていた。

 特に白人と黒人は、一触即発の内戦手前といった世情になっていた。

 アメリカ合衆国

 白い家

 ドイツ、日本・高千穂、ソビエト、

 カザーク、中国、ブラジル、アルゼンチン、インド、中東の国勢報告書が並べられ、

 アメリカ合衆国の国勢報告書と対比されていく、

 「ドイツは宇宙開発。日本は民需と貿易黒字。ソビエトは軍拡と共産主義の拡大」

 「経済支配でいうと中国、ブラジル経済は7割」

 「カザークは2割。インドとアルゼンチンは1割と低迷中か」

 「日本とドイツは?」

 「日本は外資株取得率が5パーセント。優良どころを買ってますが、株操作は無理ですね」

 「ドイツは、まぁ 浸透しつつありますが、警戒されてます」

 「あの時、戦争を止めて、日本艦隊を買ってしまった失策か」

 「イスラエル軍は第一級の国軍になりつつありますし」

 「中国経済をほぼ手中に収めてますし。あながち失敗とは言えないでしょう」

 「それに東南アジアも白人主導の世界ですし」

 「だが日本とドイツで大きく後退させられ」

 「ソビエトに至っては、もう一度やり直しになるな」

 「時に、チベットの様子は?」

 「いまのところ資源採掘と、アルミを中心とした加工技術のみ」

 「居住は廃棄された航空機ですが高層ビルが建つと恒久的な街に発展するでしょう」

 「日本のチベット侵略だ」

 「チベット人にとっては、日本人より、中国人の方が怖いようで」

 「「「「「・・・・・」」」」」

 「世界はもういいだろう。問題は、足元だ」

 「黒人暴動を何とかしないと」

 「高千穂方式を執るべきじゃないだろうか」

 「アメリカが合衆国に環状線作って外周を黒人の自治州にって? 冗談」

 「どこであれ、そのまま黒人国家で独立して、反米国家になりそうだな」

 「高千穂は先住民自治州を作ってるぞ。なぜ、分離独立しない?」

 「たんに、日本が好かれてるだけでは?」

 「あり得ないだろう」

 「少なくともアメリカの黒人よりは人権が認められてますな」

 「というより黒人同士の人種差別よりはるかに穏健ですよ」

 「おかげで、アメリカの黒人の暴動が激しさを増している」

 「戦争して、黒人に金を渡すんじゃなかったのか」

 「東南アジアに義勇軍を送ったじゃないか」

 「義勇軍じゃ足りないだろう」

 「戦争反対は多いよ」

 「誰だって、銃を担がされて異国の地で殺し合いをさせられたくないだろう」

 「そりゃそうだ」

 「もっと挑発して、アメリカ国民を怒らせるようなことしないと」

 「カナダの“People's eyes”とメキシコの“Ojos de la gente”がアメリカが他国を挑発して戦争したがってると喧伝してる」

 「そのまんまだろう。止めさせろ」

 「紙面を全部買えばできるだろうが」

 「新聞社を押さえろ」

 「あそこは記事を書きたい団体個人の入札制で掲示板化してる」

 「仮に購入者を押さえても、各記事がないときは、枠が売買される」

 「新聞社の記者がいてる枠なんて10分の1以下だ」

 「だから傘下の団体と個人で買い続けなければならない」

 「そのお金がカナダ、メキシコと日本の新聞社に流れ続けるわけだ」

 「それに日系のケーブル系のTVやラジオも入札制を取り始めてる」

 「いちいち、個別に買収できない。やめさせろ」

 「口実がないので」

 「日系の世論操作、情報操作だといえばいい」

 「記事を書いてるのはカナダ人とメキシコ人ですし」

 「日本人が書くときは記事が落ちたとき」

 「どちらかというと、日本人の書く世界の洋上発電記事は人気ありますからね」

 「あと、高千穂の先住民自治州の記事とか」

 「アメリカがカナダとメキシコの新聞紙に圧力をかける方が無理がある」

 「だったら、くだらない記事を書かせて廃刊に追い込めばいい」

 「定期入札ですから不評が多いと次の入札に干されますよ」

 「日本に入って、日本人に利己主義と拝金主義を植え付けさせろ」

 「日本の株配当は長期定期預金よりましだが面白みがない」

 「日本はローリスク・ローリタンが好きですからね」

 「賭博キチガイにして、自滅させろ」

 「日本人のモラルを破壊して、自滅させろ」

 「生憎、朝鮮人の潜入は成功してませんし」

 「いったい、何をやってる。破壊活動も暗殺も上手くいかない」

 「やはり島国ですし。選挙は抽選で選挙資金はなく。世襲が利かないので買収資金も通用しない」

 「それに日本人はモラルが高いようで」

 「ゼネコンに暴走させて破綻させ。日本軍を暴走させるか」

 「南満州鉄道とときは、上手く回避されたが、今度は上手くいくだろう」

 「しかし、日本の核ミサイルはワシントンに届きますよ」

 「だから日中戦争で疲弊させたあと、中国と日本を料理すればいい」

 「中華料理も日本料理も美味しいですからな」

 「「「「「あはははは」」」」」

 「しかし、日本人はチベットから中国を牽制している」

 「旅客機を売るからだ」

 「アメリカもドイツもソビエトも日本に航空機を売らないと産業を維持できない」

 「じゃ カザークと日本を戦争させれば」

 「日本・カザーク共同管理区のおかげで至って良好な関係ですよ」

 「「「「「・・・・・」」」」」 ぶっすぅ〜

 ごほん!

 「ああ・・・・日本がソビエトに浮遊式風力発電を設置しています」

 「それと高層ビルと建設してるので人口が増える傾向です」

 「むかつく」

 「むかつくより、東シベリアの生産力が増加すると。アラスカ州が・・・」

 「「「「「・・・・・」」」」」

 「我が国もアラスカに発電所を作れ」

 「ああ・・・・しかし・・・発電所を安く作れるのは日本なので・・・」

 「「「「「・・・・・」」」」」

 

 

 

 

 

 MiG21

 全長13.46m×全幅7.15m×全高4.71m 翼面積23u

 空虚重量4819kg/通常離陸重量6850kg

 推力5740kg  最高速度2125km/h  航続距離1520km

 30 mm機関砲 NR30×2(固定武装) K13空対空ミサイル×2

 

 “Seven dwarves” 社は、仕事にあぶれだした斜陽のガソリン自動車会社が中心で、

 政治力と輸出増やしたい家電会社、製造業者、ゲーム会社が出資ししていた。

 戦闘機と縁も所縁もなかった民需中心の企業体が

 国の主導がなく創設されたことから自由な社風で、

 賃金はアルバイト並みに少なかったものの国民基金が所得を底上げしているせいか、

 元官僚、元設計技師、航空大学生など、比較的有能で、戦闘機が好きな社員が集まった。

 そして、下町工場も戦闘機開発を面白がって協力するためか、

 イスラエル エフライム(F94×2)。

 イラク シャムシール(MiG15 or MiG17×2)。

 トルコ アセナ(F104×2)など、

 安上がりで優秀な機体を製造してしまう。

 設計室

 MiG21を購入した国から機体の情報が入ってくる。

 重要なのはエンジンで、エンジンから双発戦闘機の設計が始まる。

 後進国は、ジエット戦闘機など開発できず、

 機体の性能向上は “Seven dwarves” 頼りだった。

 そして “Seven dwarves” も機体構造はデルタ翼で決まっていて、

 エンジンに合わせて機体サイズを変える方式だった。

 設計技師たち

 「単発機のエンジン出力は左右で微妙に違うからもっと近づけた方がよくないか」

 「全長が長くなりやすいし、中心線に重量級のモノを載せたい」

 「迎撃機なら空対空ミサイルだけでいいし、それほど重くなくてもいいと思うけどな」

 「機首のレドームは?」

 「そればっかりは自作するしかない」

 「作るのはいいけど。問題は数かな。利益にならないと辛い」

 「ソビエトはMiGをたくさん作りそうだから利益になると思う」

 「しかし、ソビエトも武器まで使って、共産主義を広げてどうするんだろうな」

 「そうそう、そんなにいい制度なら国内だけでやればいいのに」

 「まぁ おかげで戦闘機を作れるからいいじゃん」

 「器だけな」

  名称未明  (MiG21×2)

    全長16m×全幅12m×全高5m 翼面積38u

    空虚重量6519kg/最大重量12850kg

    推力5740kg×2  最高速度2125km/h  航続距離2220km

    30 mm機関砲 NR30×1(固定武装) K13空対空ミサイル×8

 「問題はどこの国が発注するかだな」

 「たぶん、MiGを買ってるイラクか。イランか。インドじゃないかな」

 「三ヵ国ともインド洋か」

 「日本の制海圏を超えて、アメリカ海軍が戦力を出せる海域じゃないだろう」

 「原子力空母なら進出はできるだろうが。戦争は無理だな」

 「となるとアメリカが戦争したがってるのは、どこだろうな」

 「意外と、シュドガリアか、エズナルホラントかも」

 「そうかな」

 「中途半端に内戦を終わらせたからな」

 「両国とも白人と先住民の選挙でゴタゴタしてるし」

 「南アフリカみたいになるんじゃないのか」

 「むしろ、先住民主導でアメリカと戦争させて。完全に白人主導国家にするとか」

 「有色人種ピ〜ンチ」

 「そういや、まともな有色人種の国は日本とタイ王国だけだっけ」

 「タイ王国軍も強化しないと駄目なんじゃ・・・」

 「白亜系が輸出禁止なんだから “Seven dwarves” でやってもいいけど」

 「タイ王国が貧乏だからな」

 「もうちょっと小金を貯められたら “Seven dwarves” でエンジンを自主開発できる」

 「そしたら、国産戦闘機を輸出できるんだけどな」

 「だいたい、武器輸出は外交交渉で有利なんだから、国はもっと投資してもいいのに」

 「国に投資されるとあれこれ言われそうで、いやだけどな」

 「まぁ 自由にやれるのは自己資本でやってるからか」

 

 

 

 チベット自治区 日系12資源採掘コロニー

 睦月(むつき)=クロム鉱    如月(きさらぎ)=銅山鉱、

 弥生(やよい)=リチウム鉱    卯月(うづき)=石油、

 皐月(さつき)=クロム鉱    水無月(みなつき)=リチウム鉱、

 文月(ふみつき)=ダイヤモンド鉱    葉月(はづき)=鉄鉱石、

 長月(ながつき)=石油    神無月(かんなづき)=リチウム鉱、

 霜月(しもつき)=銅山鉱   師走(しわす)=クロム鉱、

 採掘業者が増えるにつれ、現地チベット人が大量に雇われ、

 日本人の建設業者が増え高層ビルも建設されていく、

 世界中の退役間近の民間機が大量に日本に買われ、

 チベットに片道飛行したのち、解体再利用され、近代化の足しにされていた。

 

 海抜3650m台の首都ラサ

 日本人業者が増えたのか、日本語併記の標識が増え、

 日本の高層ビルで野菜が作られるとラサも野菜が増えていた。

 日本料理店

 日本人たちはチベット人でさえ寄りつかない海抜4500m〜5500mの採掘地からラサに来ると、

 深呼吸して、くつろいだ。

 「空気が美味しい」

 「ここで、富士山頂並みだよ」

 「採掘地も近くの湖にマリモを入れてるからしばらくすれば息をしやすくなるよ」

 「いつになるやら」

 「酸素ボンベがなくても平気なとこっていいなぁ」

 「しかし、ずいぶん、白人の観光客が集まってきてる」

 「日本のチベット投資が気になってるんだろうな」

 「日本が投資してるところに来て荒らしてるんだろう」

 「ありがち。中国とチベットの戦争時期を計算してるんじゃないか」

 「ふっ 戦争したくても高山病を克服するのは大変だと思うね」

 「鉄道は?」

 「青蔵鉄道鉄道は、凍土の上ですし、1980年以降になりそうですな」

 「となると、あと、15〜16年の余裕があるわけか」

 「まぁ こちら側から青海省まで敷けるならチベットがイニシアチブを取れそうですが」

 「しかし、科学技術は上でも人口が負けてるからな」

 「むしろ、チベットの近代化を急がせた方が人口が増えますし、太刀打ちできるかもしれません」

 「中国の反発は?」

 「アメリカとイギリスが中国の反日・反チベットを煽ってはいますね」

 「中国軍の強化を画策してますし」

 「日中戦争で、日本と中国の両方の利権を侵食する気でしょう」

 「相変わらずアメリカとイギリスは漁夫の利狙いか」

 「まぁ 日本としてもカザーク・シュドガリア対中国の方が漁夫の利で面白いがね」

 「謀略してるアメリカとイギリスで戦争すればいいんだ」

 「華元の日本社員は、中国の反日を軽減させられないのかな」

 「日中友好テレビ番組を作ってるらしいですけど、株の取得率が5パーセントじゃ 大したことはできませんよ」

 「ドイツ、カザーク、華僑株を合わせたら取得率は30パーセント超えるだろう」

 「少数であることには変わらないよ」

 「それに中国工作は、生命の危機に晒されることが多いし」

 「そういえば中国でキリスト教が増えてるそうじゃないか。噂ではチベットにも浸透してるらしい」

 「ええ、イギリスが第二次太平洋天国を狙ってる可能性も否定しえないですね」

 「反政府勢力を育てながら相互不信を煽って、反乱を起こさせ、政府に肩入れ」

 「それで、利権を取ってしまう。だから、どっちが勝ってもぼろい」

 「不正腐敗で突っ込みどころが多い国は、それでやられやすい」

 「日本の不正腐敗が少なくてよかったというべきか」

 「日本は、一人でガッポリというより、組織全体で薄めてしまうからね」

 「それでもだ。日本と同様、中国も信教は自由になってる」

 「まぁ 宗教を隠れ蓑にしてるのを洗い出して、中国当局に教えるくらいしないとな」

 「外患や内患の核さえ何とかできれば、まぁ 大半は善良な集まりだ」

 「事を荒立てて日本が悪者になる必要もない」

 「いまのところ、群衆を立ち上がらせるだけの力はなかろう」

 「反日デモが小さいなら助かる」

 「どっちかっていうと、中国沿岸の洋上発電所の圧力が圧倒的に強いから気を使ってるのだろう」

 「だが、日本の発電閥は、銀行預金代わりの小口株ばかりで統一行動をとりにくい」

 「何にしてもチベット投資は孤立してるのが怖いかな」

 「ふっ ゼネコンじゃなければ人間じゃないと思ってるだろうって、反発されてるしな」

 「日本から見捨てられるどころか。外国人より、日本人に刺されそうで怖い」

 「軍人じゃなければ人間じゃない時代の頃からすると隔世の感がするがね」

 「造船、ゼネコンの次は、発電所の時代になるかも」 

 「発電所も外貨を稼げるからちょっとした金があると株を買うし」

 「航空機も大きいのでは」

 「国内は鉄道が強くて、国内線は遠地便や離島便ばかりでほぼ駆逐されてる」 

 「地下リニアモーターが主要都市を結んだら遠地便もなくなるだろうな」

 「航空機産業は生き残るためにアジアの成長を取り込んで、とか言ってるけど」

 「はあ 他力本願かよ。朝鮮人じゃあるまいし」

 「航空機産業を守るために。外患誘致で日本国内を犯罪者の巣窟にさせるな。潰れろ」

 「まぁ 航空機産業は、離島便、チベット便、達磨島便、高千穂便が命脈かな」

 「そういえばマイクロ波浮揚型航空機を開発するんじゃなかったっけ」

 「それなら燃料消費が押さえられるけど、国際線がな」

 「だから世界中に発電所作ってんじゃないの」

 「日本の電化戦略は、アメリカの石油戦略と真っ向からぶつかるな」

 「なんとなく勝てそうですね」

 「日本がアメリカの挑発に乗らなければね」

 

 

 

 極度の資本主義は、世襲と貧富の格差によって、国民の勤勉勤労意欲を削ぎ、

 傲慢で怠惰な特権階級と、卑屈な奴隷階級を作った。

 そして、資本主義に反した極度な共産主義も私有財産の否定が競争を減退させ、

 自由な想像や活力を奪い、経済を停滞させてしまう。

 アルジェリアは、ヴィシーフランスからの独立後、

 フランスに対する反発からか、社会主義政策を執った。

 そして、産業基盤を握っていたフランス人が去ると、アルジェリア経済も停滞してしまう。

 アルジェリアは停滞から脱するため日本に援助を頼み、

 日本国は利権と交換に太陽光熱発電を建設する。

 サハラ砂漠で太陽光熱発電すれば、欧州へ送電し外貨収入が得られる公算も大あった。

 アルジェ

 日本人たち

 「暑い・・・」

 「独立した途端にソビエトと日本頼りか」

 「アメリカとイギリスが日本が共産主義と組んでると怒ってるが」

 「資源が欲しいだけだって。だいたい、塔と鏡板なんだから援助したところで脅威でもなんでもないだろうに・・・」

 白人将校がやってくる

 「よう、ヤーポン。共産主義国家で、なにやってんだ?」 

 ロシア人は流暢な日本語で語りかけてきた。

 「太陽光発電を建設するので下調べすよ」

 「そういや、ヤーポンはソビエトの北極海側にも風力発電を建設してたな」

 「持続的に資源が入ってくるので、実入りがいいんですよ」

 「相手国が共産主義国でもか?」

 「資本主義国の石油も、共産主義国の石油もほとんど同じなので」

 「それに国家の敵は、物理的な脅威より」

 「国内で暴食、色欲、強欲、嫉妬、憤怒、怠惰、虚飾、傲慢など内患を育て」

 「外患の侵入を許して蔓延させ。民意を引き下げさせられ、国家の品位を貶められこと」

 「逆に国内の節制、貞節、自制、忍耐、希望、誠実、正義、寛容を保たせれば国家は自然と繁栄しますよ」

 「ふっ 違いねぇ」

 「それに日本は総中流なので共産化しそうにないですし」

 「そういや、ヤーポンは国民にお金ばら撒いてたんだな」

 「ばら撒いてるのは増刷分の利息を人口で頭割りしてるだけですよ」

 「カザークの親戚に聞いたんだが。日本は貧富の格差が少ないって本当か」

 「税収が所得税中心なので格差はかなり押さえてますね」 

 「羨ましい国だな」

 「ソビエトはどうなんです?」

 「まぁ 酷い国になったが、それでも生まれ育った祖国だからな」

 「それに最悪のスターリンの時代を過ぎた。アレクサンドル書記長は良くやってる」

  ※ソビエト書記長アレクサンドル・ヴァシレフスキー(69)

 「いい国になると信じていくしかないな」

 「そうですか。アレクサンドル書記長の噂は聞いてますよ。対日戦のエキスパートだとか」

 「研究した相手だから取引しやすいと思ったのだろう」

 「前線に立つ必要がなくなると。ヤーポンとの協力関係が不可欠と思い始めたそうだ」

 「いい関係を築けそうで助かります」

 「なぁ 日本を資本主義と共産主義の中間と思っていいのか」

 「そうですね・・・国権と民権のバランスは取れてると思いますよ」

 「国権と民権のバランスか・・・」

 「ヤーポン。まだしばらくアルジェリアにいるんだろう」

 「ええ、地盤の調査は長くかかりますよ」

 「そうだ。MiG21のエンジンを使って、双発機を開発しようとしてるって本当か」

 「さぁ 企業が違うのでわかりませんが、需要があれば、機体を作って売るんじゃないでしょうか」

 「まったく、器用な民族だ」

 将校は、手を振ると、去っていく、

  

 

 

 タイ王国 バンコク

 日本、タイ王国、ビルマ、バングラデシュ、

 インド、パキスタン、イラン、イラクの8か国の代表が集まっていた。

 「・・・というわけで、タイ王国からイラクまでの中洋国際新幹線建設の暁には」

 「タイ王国、ビルマ、バングラデシュ、インド、パキスタン、イラン、イラクの7か国の大きな利益になるでしょう」

 「そ、それはそうかもしれないが、一番儲かるのは、日本では?」

 「確かに。運賃は入ってきますがね」

 「物流が自由に動かせる7か国も得なはず」

 「しかし、国境の問題もある」

 「駅と駅周辺を中立地帯とし。パスポートで出入りすればいいじゃないですか」

 「その建設費と駅の管理も日本が得られるわけね」

 「資源でも構いませんよ」

 「「「「「「・・・・・・・・・・・」」」」」」

 「どのくらいの効果がるのかね」

 「距離8000kmで計算すると時速300km/hなので走行は27時間。停止時間は駅で30分くらいでしょう」

 「27時間・・・」

 「駐車時間7か国で仮に3駅ならを入れるなら+10時間なので、37時間くらいになるかもしれません」

 「無論、駅を増やせば、それだけ、長時間になります」

 「長時間って・・・夢のような話しだが・・・」

 「しかし、国境問題がある」

 「だから国境問題があるところに駅と中立地帯を作ればいいじゃないですか」

 「「「「「「「「・・・・・・・」」」」」」」

 「んん・・・・しかし、300km/hとなると」

 「日本人なら管理できますよ。中立的に」

 「いい身分だな」

 「きっと7か国とも経済成長すると思います」

 「だといいがな」

 「しかし、なぜ日本は、我々に協力的なのでしょうか」

 「正直、地政学的に白人世界と衝突していまして。かといって、戦えば損失も大きい」

 「イスラエル。フランス領シュドガリア。オランダ領エズナルホラントの脅威は増してます」

 「「「「「「「「・・・・・・・」」」」」」」

 「ですが、中洋国際新幹線開通の暁には中洋7か国が結束して、白人世界に抵抗できるはず」

 「ついでにチベットからの鉄道も中洋国際新幹線に繋げて孤立化を防ぐ算段か」

 「その通りで・・・」

 「日本人ばかりが美味しいな」

 「いえいえ、中洋7か国も美味しいはずですよ」

 「だといいがな」

 「送電網を繋げれば停電も減少させられるはず」

 「しかし、スパイに入り込まれるとまずい」

 「入国管理はそちらで行えばいいのでは? それに大事なのは物流の方で・・・」

 「日本人はいつもそうだよな」

 「富裕層は、夢のようなたびが可能になりますよ」

 「自家用機があるよ」

 「子飼いの人たちも大切にしないと、支持基盤が大変では?」

 「まぁ 確かに・・・」

 「7か国が共闘すれば、アメリカ合衆国並みの強国になるでしょう」

 「それで、中洋国際新幹線建設中の間、日本の石油価格だけは、安値のまま据え置きにしろってことだろう」

 「その通りで・・・」 

 「「「「「「「「・・・・・・・」」」」」」」 苦笑い

 

 

 日本

 各種鉱物インゴットが山のように作られ、製鉄所脇の巨大保管庫に置かれていた。

 5分の2は外国からの預かりで、鉱物銀行のような役割を果たし、

 何時でも現金化、あるいは現物を国外に移動させることができた。

 結局、富裕層は、信用創造でしかない中央銀行券をそれほど信用していない。

 現金化して、割損してしまうリスクを恐れ、

 金融保障されてなくても現物の鉱物インゴットを担保してくれる保証書がいいと、

 絶えず鉱物資源の集まる日本に預けた。

 そして、そのことで、日本産業は空前の工業発展を遂げていた。

 関係者たち

 「アメリカ資本も換金できないわけあり鉱物を日本に預け入れか。よくやるわ」

 「1パーセントほど利息が付くし」

 「都合のいい時、時価で円にすればいいし、ドルにすることもできる」

 「国内需要があれば国内に戻すこともできる換金属紙幣だからね」

 「しかし、鉱物資源がほとんどない日本で、金属銀行やっていいかね」

 「紙幣と違って印刷できるわけじゃないから破綻したらどうするんだよ」

 「1パーセントで破綻するなんて、どんだけ先の事だよ」

 「総量規制すれば破綻することはないよ」

 「だといいけど」

 

 

 ベルリン 参謀本部 (Generalstab ゲネラールシュタープ)

 静止軌道上の映像がモニターに映っていた。

 追加予算で宇宙ロケットが打ち上げられ、

 宇宙艦バイエルンとドッキングすると、全員が安堵する、

 ドイツ将校たち

 「・・・なかなか、自給自足体制と行かないな」

 「いまの十倍の規模なら余裕で、いけると思うのですがね」

 「いまの予算だと生存で不安だ」

 「日本と同じ規格にする話しは?」

 「現在交渉してますが、日本なりの計画があったようで調整中のようです」

 「日本は、いまのところ偵察衛星や通信衛星ばかりだからな」

 「たぶん、チベット投資の目処が立つまで宇宙開発を手抜きするつもりでは?」

 「しかし、なぜ、チベット投資を」

 「対中戦略でありだとは思いますが、高千穂は反発してるようです」

 「高千穂は利益が少ないから、そうだろうな」

 「しかし、そうなるとアメリカとソビエトが先に宇宙艦を作るかもしれませんね」

 「アメリカの宇宙艦アポロ。ソビエトの宇宙艦ミールか」

 「低軌道ですが、既に打ち上げてますし」

 「日本の計画は?」

 「宇宙艦アマテラスを研究してるようですが予算不足のようで」

 「白鳳型空中要塞は大したものだが、宇宙開発が後回しか」

 「複合素材で世界最先端を行ってるとは思えんほどの遅れだな」

 「日本は宇宙開発を時期早々と考えてるのかもしれません」

 「まぁ いいだろう。宇宙産業はいずれ主流になるはず」

 「その時、主導権を握るのはドイツになるはずだ」

 「ところで、日本人の乗員は?」

 「なかなか優秀ですよ。実力でジーンリッチと張り合ってます」

 「万に1人を逸材を大量に作れるのがジーンリッチだ」

 「人口1億1千万人もいるなら万に1人の逸材は11000人はいるだろう」

 「年齢でいうなら3分の1以下になりますよ」

 「それはそうだ」

 「というより、宇宙では才能以上に人間性ですからね。いいですよ。人間性」

 「そうか。まぁ 日独共同管理区のキービッツでも証明されてる」

 「ところで、太陽電池を使って、ドイツ本国にマイクロ波を供給する計画は?」

 「あと5年くらい先でしょうか」

 「日本が砂漠に太陽光発電を作って、ドイツに送電しようという計画がある」

 「こちらとしては日本にイニシアチブを取られたくないからな」

 「日本人は、共産主義国家にも平気で支援してますからね」

 「日本は資源のない国だからな」

 「我が国も中国では戦略物資を押さえなければならないし」

 「ソビエトの資源を日本経由で手に入れることも珍しくない」

 「しかし、日本も豪胆です」

 「中国、シュドガリア、エズナルホラントと押さえられて宇宙に出ないのですから」

 「資本を集中したいのだろう」

 「それに地の利を逸しても、それを上回るだけの経済成長振りだ」

 「軍人さえ揃えれば、余裕で東南アジアを占領できる」

 「国民が富んでるのに戦争する気はないでしょう」

 「国民を戦争に至らせるには格差を広げ、貧困層を増やさないと」

 「アメリカがやってるみたいに?」

 「暴動が戦争かって瀬戸際の国内情勢で、ルシタニア号事件や戦艦メイン事件を起こせば」

 「言いがかりで戦争できるからな」

 「こちらはアメリカに口実を与えなければいい」

 「アメリカは東南アジアで参戦すると思ってましたがね」

 「ふっ アメリカは対共産主義戦争で参戦したかったらしいが」

 「先住民は独立戦争の立場を崩さなかったし。アメリカも人種戦争をしたくなかったのだろう」

 「義勇軍を送る以上の事を出来なかったようだ」

 

 

 “Seven dwarves” 製は、基本的に武器禁止処置ができないことになっていた。

 これを破ると “Seven dwarves” と取引できなくなる可能性が高く、

 イスラエルは日本製機体にシールを張るとそのまま箱詰めし、

 仮想敵国にも輸出しなければならなかった。

 むろん、仮想敵国に同盟国のエンジンがある可能性は少ない、

 しかし、機体だけは売らなければならなず、

 機体は、先進国の基準で低めに抑えられていた。

 ベネゼイラ

 戦闘機エフライムが飛び立っていく、

 「エンジンが二基になっただけなのに素晴らしい」

 「F94のエンジンが元ですし、エフライムは買いやすいでしょう」

 「だが安くはないな。油がもっと高ければ、高いエンジンを買えるのだ」

 「いやぁ そればっかりは・・・」

 「だいたい、日本は産油国だろう。石油を高くした方がよくないのか?」

 「高千穂は産油国ですが。日本本国は石油がないので」

 「それに工業製品の方が利潤がいいので・・・」

 「アメリカは石油を押さえることばかり考えてるようだが」

 「アメリカは基礎資源支配思考で、日本は加工資源支配思考と言えるでしょうね」

 「おかげで、デパートは日本製ばかりだ」

 「アメリカ製やドイツ製も結構ありますよ」

 「いや、もう、高千穂が近いので日本製に代わるでしょう」

 「そうしていただけると助かりますね」

 「時に、国防上、カラカスから内陸に遷都したいと思ってるのですが」

 「それは対アメリカ? それとも対ブラジルで?」

 「両方ですかね」

 「でしょうね。どの辺を?」

 「マラカイボ湖の南の高地メリダ辺りに」

 「いいですね。高地で過ごしやすそうだ」

 「ただ西過ぎるのですよ」

 「確かにコロンビア寄りですね」

 「問題は、場所柄、アメリカの圧力が強く。ベネゼイラとしては、そこから脱したい」

 「アメリカは近隣諸国の動きに敏感ですからね」

 「アメリカCIAはコロンビアの麻薬をベネゼイラに売り込もうとしてるし」

 「そのくせ、我々が麻薬をアメリカに売り込もうとしてるなどと言いがかりをつけてる」

 「ふっ」

 「産油国のベネゼイラがなんで麻薬に頼らなければならんのか」

 「だいたい、麻薬を買ってるのはアメリカであって、我々じゃない」

 「アメリカは口実さえあれば戦争したがってますからね」

 「むしろ、戦争の口実を作ろうと工作してるから始末に悪い」

 「日本とドイツにアメリカを討伐して欲しいくらいだ」

 「いやぁ 流石に核ミサイルを配備してる国と戦いたくありません」

 「・・・でしょうな。ベネゼイラに核ミサイルがあればアメリカの干渉を排除できるのですが・・・」

 「ドイツと調整してますが本格的な第三次世界大戦になると・・・残念です」

 「そうですか・・・」 ため息

 

 

 少数民族は、選ばれた代表たちが列強の大学を出ることで洗脳と同時に、

 ステータス、知的水準を高め、

 海外に口座と屋敷を作り、国外の避難場所を確保する。

 少数民族にとって、多数民族は恐怖の対象だった。

 多数民族が当たり前のように感じる絆と一体感は、阻むべき事柄であり、

 不和がなければ不和を生じさせ。不和があれば不和を拡大させる。

 多数民族の伝統やコミュニティーを破壊し、団結させず、

 絶えず混乱状態に陥らせる。

 いったん権力の座につけば、いつ多数民族の暴動が起こり、

 排斥され、虐殺されるかもしれない危機的な状況にあった。

 いつも疎外感と焦燥感に襲われ、悪夢にうなされながら目を覚ます。

 そういった危機感が少数民族を結束させ、

 1人1人が、そのことばかりを常時考え、言動の節々に現れ、時には犯罪にさえ手を染める。

 少数民族にとって生存圏の確保は、全てに最優先することであり、

 例え、その国が衰弱しようが、破壊されようが些細なことでしかなかった。

 そして、生命の危機意識の差が多数民族に対する少数民族の優位性だった。

 外資から支援された少数民族は、嘘、強奪、殺しなど、

 あらゆる、汚い手を使ってでも権力の座につき、

 生存圏を確保すると地位にしがみ付き、同族を保護することに躍起になり、

 そのことで不正腐敗が増え、

 治安が悪化し犯罪が増え、多数民族同士が殺し合おうと喜ばしいことで、

 腐敗は癌細胞のようにその社会を蝕んでいく、

 この国が他国に卑下して国民を憤らせ、

 対外戦争に追いやって疲弊敗北させ、悠久の歴史を有する国家を滅ぼそうと・・・・

 しかし、日本の政界は貴族院380人に対し、抽選制衆議員が480人。

 貴族院の半数は選挙で160人ほど、世襲は議員は3分の1以下に過ぎない、

 これでは買収で多数派工作したとしても政局に圧力をかけられない。

 そして、抽選制議員は省庁を抜き打ちで監査し、多数決さえ取れば官僚をクビにできた。

 これでは官僚との癒着は困難だった。

 不意に、巨大な何かが星々を消しながら頭上を通過していく、

 「・・・・・」 茫然

 キキィーーーーーーー!

 はっ!

 がしゃん!

 

 病院

 『・・・・』

 『・・・・・ですか』

 『大丈夫ですか』

 !?

 「大丈夫ですか?」

 「な、何があったニダ?」

 「上を見ながら車道に飛び出したでしょう。交通事故に遭って」

 「そ、そうニカ?」

 「ええ」

 「外国の方のようですね」

 「なぜ、わかったニダ? 完璧だったニダ」

 「??? 血液を調べるとすぐわかるので」

 「・・・・」

 「ご、ごめんなさい。怪我していたので、保護者に来てもらおうと思って・・・」

 「じ、自分は・・・」

 「でも父親は日本人のようですね。YAP因子がありましたから」

 「えっ?」

 「父親は日本人ですよ」

 「親戚筋は200人くらいいるみたいですけど」

 「直系の血液型が登録されてないので、むかし海外に行った日本人男性の直系か」

 「あと日本人はたくさん海外に行ってるので、いろいろあって生まれたのか」

 「でも、それだと父親ですぐわかりますけど」

 「ほ、本当ニダか?」

 「ええ」

 「・・・・・・」

 『通りで・・・なんか、仲間と違うかなって・・・』

 「親戚の人に会えるニダか?」

 「それは本人のIDじゃないと。病院でわかるのは数字だけなの」

 「じ、自分は日本人になれるニダか?」

 「YAP因子を持ってるとかなり容易かな」

 「パスポートと書類と、あなたの母国との手続きになると思いますけど」

 「パ、パスポートは・・・なくしたニダ・・・」

 「まぁ 大変・・・」

 病室の扉が開くと、公安が手帳を医者と看護婦に見せ、

 「「「「・・・・・・」」」」

 不法入国者を連れ去っていく、

 

 

 

 

  

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 月夜裏 野々香です。

 史実で、戦争中、若者を集めて、何か生産をしようとなって、人を集めたそうです。

 しかし、集めたとしても資金も資材もなく、どうしていいのかわからない。

 結局そのまま解散したそうで、

 人集めたら何かできるとか如何にも、お役所仕事だろうか。

 いまの自己責任イノベーション主義の官僚もそういうところがある。

 

 

 

  ノブレス・オブリージュ連邦 (東南アジア) 首都シンガポール

    フランス領シュドガリア (インドシナ)

    オランダ領エズナルホラント (インドネシア)

 

 

  チベット自治区 日系12資源採掘コロニー

   第01 睦月(むつき)=クロム鉱          第02 如月(きさらぎ)=銅山鉱、

   第03 弥生(やよい)=リチウム鉱         第04 卯月(うづき)=石油、

   第05 皐月(さつき)=クロム鉱           第06 水無月(みなつき)=リチウム鉱、

   第07 文月(ふみつき)=ダイヤモンド鉱     第08 葉月(はづき)=鉄鉱石、

   第09 長月(ながつき)=石油           第10 神無月(かんなづき)=リチウム鉱、

   第11 霜月(しもつき)=銅山鉱          第12 師走(しわす)=クロム鉱、

 

 

 

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第32話 1963年 『パクって日本人の意欲を削ぐ作戦ニダ』
第33話 1964年 『民間人が趣味で戦闘機を作ってる国』
第34話 1965年 『銀行制度廃止と黙示録最終章』