第01話 1921年 『鉄工業 VS 木工業』
古今東西で王政が崩れ、
市民革命、革命、クーデターで国家行政で憲法や法律が作られるようになると
政界・財界の手足になるのが法的な制約や建前の強い公権力は使いにくくなり、
権力構造は、堅気の合法と、アウトローの非合法の二重性が形成されていく、
そして、堅気に権力構造の新陳代謝や世襲批判が強まると、民主化が強まり、
権力基盤は公益性や機会均等が望まれ、
体制を守ろうとする既成勢力と、改革を求める革新勢力の二重構造が形成され、
権力基盤は、資本主義という名の貧富の格差を利用した特権階級へと移行していった。
大衆は、保守と革新の間で揺れ動くが、
政界・財界を中心とする利権組織は弱肉強食で対立しながらも保守と革新の両方にパイプを作り、
対立を利用し、両勢力から徴収と集票を得るようになっていく、
その構造は、あたかも航空機の操縦と同じであり、
保守を強めたければ保守へ資本注入し、
革新を強めたければ革新へ資本注入するようになったのである。
そして、資本を注入を増やせば景気は上昇し、資本注入を減らせば景気は下降した。
この国家と民衆の操縦法に気づいたのが金貸し業を営む、欧州ユダヤ資本の頭首ロスチャイルドであり、
子分格のアメリカ・ユダヤ資本のロックフェラーだった。
彼らのタルムード的な倫理観と、公権意識の欠如は、国家の財布。
通貨発行権を持つ中央銀行を押さえさせた。
金融支配は、金持ちが有利なように “ゴールド” を基準価値としていたが、
利権基盤の拡大とともに法律を整備し、存在しない “ゴールド” を裏付けにした紙幣を発行しつつ、
国家権力を経由し、信用創造で人民から搾取するユダヤ金融システムが世界規模に広がっていた。
大衆は、抑圧された世界において、金策に励みながら一生を終えるが、
そういったさざなみな努力は、利権支配の野心一つで好景気と不景気で左右され、
貧富の軋轢は、戦争という誤魔化しで、簡単に吹き飛ばされて来たのである。
そして、日本においても欧米社会を模倣した利権構造と権力基盤が形成されていたが、
日本は、単一民族の国民国家で、
その支配構造は明治維新によって、
徳川藩閥制から天皇を中心にした薩長中央集権へ移行していく、
民主化から議院内閣制は、薩長閥支配を色濃く残しつつも、
官営企業と財閥を利用した利権藩閥へと移行していた。
欧米資本は、白人の代行人を朝鮮人にも求め、
国内の権力抗争を利用しつつ、日本支配を目論み始めていた。
無論、この時期の公権力は日本人が保有していたが、
日韓併合で外患誘致が増大し、
利権構想により単一民族支配が崩されつつあった。
2月
ペルシアでレザー・ハーンがクーデターを起こす。
モンゴル駐留中華民国軍を撃破した白軍ウンゲルンの占領下でボグド・ハーン政権が復活。
シベリア出兵は日本に利がなく、人心が離れつつあった。
人心が離れれば、集票が得られなくなり、
例え、選挙区の名主でも議員の地位を失う。
喫茶店
“木がそう言ってる?”
“15歳の若き天才木工細工師。仙堂春和、角浦秋和が日照と水と土壌の関係で新解釈”
“東京大学で、木樹生育法を検証。間伐杉の直径を1割増しか?”
仙堂と角浦は、木工細工の集金力で金の生る木と目され、一軒家と林業地を持っていた。
そして、養林業利権による集票力が得られそうな勢いがあった。
「なんかもう、疑り深い人だったな」
「でも、一度信じれば、投資してくれる」
「おかげで、木工所も持てるかも」
「ふっ」
3月
第29代アメリカ大統領ウオレン・G・ハーディング就任。
大統領がテーブルに着くと、カラーコード戦争計画の報告書が乗せられている。
ホワイト(対内乱戦)、グレイ(対西インド諸島諸国戦)、オレンジ(対日本戦)
パープル計画(対中央アメリカ諸国およびロシア戦)、レッド(対イギリス・カナダ戦)
グリーン(対メキシコ戦)、ゴールド(対フランスおよびカリブ海のフランス領戦)、
ブラック(対ドイツ戦)、インディゴ(対アイスランド戦)、ブラウン(対フィリピン戦)、
イエロー(対中国戦)、バイオレット(対中国内乱戦)、
オリーブ(対スペイン戦)、シルバー(対イタリア戦)、エメラルド(対アイルランド戦)、
タン(対キューバ戦)、シトロン(対ブラジル戦)、レモン(対ポルトガル戦)、
ルビー(対インド戦)、スカーレット(対オーストラリア戦)、ガーネット(対ニュージーランド戦)
大統領は、図上演習の結果を見て、アメリカ合衆国の外交が決まるため、
インチキサイコロが振られることはなく、精確なシミュレーション結果だけが抽出される。
ロシア共産党が新経済政策(ネップ)を採用する。
モンゴル人民党がキャフタで臨時人民政府樹立。
ポーランドとソビエト連邦の間でリガ条約が結ばれる。
ポーランドは西ウクライナと西ベラルーシを、ソビエトは残りのウクライナとベラルーシを併合し、
ウクライナ人民共和国政府はフランスに亡命した。
朝鮮半島
甲午改革(1895年)の近代化により小学校が建設されていたが、
1906年の時点でも小学校は40校に過ぎなかった。
伊藤博文の教育改革により学校教育が改革されたものの遅々として進まず、
1910年の日本の韓国併合により、朝鮮は近代国家の礎を得ることになった。
この時点で朝鮮人の識字率は特権階級の両班10パーセントに過ぎず、
逆に言うなら朝鮮民族の90パーセントは、小学生ほどの知的水準にも達していなかったのである。
日本の投資により朝鮮各地に小学校が建設され、富裕層を中心に識字率が向上していった。
そして、朝鮮半島には、学制と別の教育機関が存在した。
キリスト教伝道所は、表向き神の教えを伝える協会だったが、
裏の部分では、諜報機関として使われている。
光の部分が1000の内999。あるいは10000の内9999であったとしても、
その裏の闇が1000の内の1。あるいは10000の内の1であったとしても目的に足りた。
キリスト教伝道所
“迷える子羊たちよ”
“ヤコブは、ラバンおじさんの下で働くとき、ブチやマダラ模様の羊は報酬に出来ると約束しました”
“ラバンおじさんは、ブチとマダラをヤコブの羊の群れから遠ざけました”
“ヤコブは、ラバンおじさんの羊と僅かにすれ違う時間であっても発情しやくすなるよう工夫し”
“ブチとマダラ模様の羊を増やしていきました”
“そして、ラバンおじさんの羊が元気な時は、垣根を下げて、羊たちを交尾させ”
“ラバンおじさんの羊が元気がなくなった時は、垣根を上げて、羊たちを交尾させないようにしたのです”
“いまは日本が元気で。朝鮮は元気がないのです”
“なので、朝鮮という羊を生かす方法を考えなければいけないのです”
“日本人は和を尊ぶあまり、見ざる聞かざるが多く”
“こういった奥義が聖書に隠されていることに気付いてないのです”
“だから、奥義を成して、朝鮮を再建させ日本を衰退させていくのです”
「本当にできるのですか」
“日本の財布の紐を握っているのは我々なのです”
“だから朝鮮は聖域のように守られ繁栄しようとしている”
“我々が望む者を日本の代理人に仕立て、我々の望まぬ者を排斥し”
“日本の政策を望む方向に仕向けることができるのです”
「おお、神よ・・・」
4月
国有財産法・借地法・借家法公布。
日本でメートル法公布
日本初の女性による社会主義団体赤瀾会結成
ソウル
朝鮮共産党と外国勢力が結びつこうとしていた。
白人がやってくる。
「日本を戦争させよ」
「どこと戦争させるニダ」
「1番は中国。2番はソビエト。3番はイギリス。4番はアメリカでもいいな」
「どうやって戦争させるニダ」
「日本を軍拡させる」
「そうなったら国民が貧しくなって、戦争する以外に軍事予算を得られなくなった日本軍は暴走する」
「しかし、共産党は警戒されてるニダ」
「頭を使え、右でも左でも構わん。日本を戦争させれば勝っても負けても、朝鮮人の得になる」
「例え、日本人が何百万と死んでもな」
「余った日本の未亡人を抱けるかもしれんぞ。上手くいけば娘もだ」
「わかったニダ。漁夫の利ニダ。日本を戦争させるニダ」
「「「「ウェハハハハハハ!!!」」」」
5月
県庁所在自治体が市制施行。
6月
ルーマニア・ユーゴスラビア相互援助条約が締結される。
7月
イラクのバスラで世界記録となる最高気温58.8℃を観測。
モンゴル人民革命。ウルガで制限君主ボグド・ハーンの人民政府樹立。
第3次リーフ戦争 アンワールの戦いでスペイン軍がリーフ共和国軍に敗退。
上海で中国共産党の創立大会が開催される。
木工所で木工細工が作られていく、
一つ一つ丁寧な作りを必要とし、組み立てていくと、木工細工やカラクリものが作られていく、
関係者たち
「これは、また、よくできてる」
「この設計図通りに作ればいいわけか」
「ええ、根気のいる仕事なので、人を見抜かないと駄目ですがね」
「君らが選んだ若者の方が質がいいのはなぜだ」
「その人物の人柄を加工した木工細工が教えてくれるんですよ」
「我々は出自、学歴、見た感じの素養で選ぶが、君らは随分と違う見方をしてるのだな」
「いけませんか」
「いや、生産性がいいほうがいいに決まってる」
「それは、良かった」
「あとは大量の木工機械ですかね」
「ん・・・まぁ よかろう」
9月
尾崎行雄・吉野作造らが軍備縮小同志会結成
10月
ハンガリー王国でオーストリア=ハンガリー帝国皇帝カール1世が逮捕される。
仙堂と角浦は、中島飛行機のモックアップ製造工場を任された。
ここで、金具を使う大工派と、金具を使わない宮大工派が対立する、
むろん、大工派も宮大工のような継ぎ手や仕口をできないこともないが、
大量生産品にまで応用するような精神構造は持ち合わせておらず
大量生産するなら金具を使う大工派であり、
量産性を重視する企業は、マンパワーを避けたがっていた。
一方、宮大工学校が増え、宮大工派も将来性が高かった。
航空機用木材は比重が小さく、強靭な材質が求められた。
最高峰はバルサ材であり、台湾でバルサ植樹が進められ山林が幾つも作られていく、
木製皮張りで量産された10式艦上戦闘機は、最良の艦上戦闘機と言われた。
自重920kg/全備重量1280kg
全長6.90m×全幅8.50m×全高3.132m
水冷V型8気筒 公称出力300hp×1
最大速度225km/h 航続時間2.5h
機関銃7.7mm機銃×2
宮大工集団が作る継手・仕口などの孤高の技術は、金具を使うことなく、木と木を結合させた。
そして、木仙人と呼ばれる仙堂と角浦は、樹木や木板の形すら変え、
接着剤を使わないのに木と木の細胞を接合させることさえした。
当然、航空機の性能も良くなり・・・
「すげぇ〜 かっこいい」
「これからは飛行機の時代かな」
「そのほうが金になるよ」
11月
仙堂と角浦は、有力者と接触することでコネを作っていくことに余念がなかった。
作品の半分は市場に流れる前に有力者へと手渡されることが増えていた。
「危ない!」
仙堂は犯人に体当たりすることで太刀筋を変えて、標的になるはずだった人物の心臓を外した。
原敬首相は、重体で病院に運び込まれ、
犯人は、捕らえられて、警察へ送られ、逃亡を図ろうとして撃ち殺されてしまう。
仙堂と角浦
「原総理は、命だけはとりとめたけど、警察の対応とか、新聞社とか、何か変だったな」
「総理を辞めるからだろう」
「何かに怯えてるような」
「そういや、犯人は死んでしまうし、変な事件だった」
「なんか、追求されたくなくて殺したみたいな。そんな感じ」
「原総理は、我田引鉄で評判が悪かったけどね」
「だけど、学校教育は体育中心じゃなくなって、物作り中心。よかったじゃないか」
「いくら軍部に不利でも政治的遺言みたいなものだし、簡単にはひっくり返らないだろう」
「だといいけど」
「ひょっとして、薩長閥と民権派の権力闘争に巻き込まれたか」
「それはあるね」
「原敬は、旧幕府側で、ワシント会議の代表も徳川の血筋」
「その上、反薩長で、地位とポストを固めようとしていたからね」
「旧薩長の政治右翼が刃物を持ち出してもおかしくない」
「げっ 俺たち薩長閥に睨まれた? ヤバい?」
「かもしんないけど、旧薩長と旧幕府の確執なんて、まだやってたんだな」
「あはははは」
ワシントン会議開催(1922年2月6日)
尾崎行雄内閣成立
死に損なった原の画策なのか、
軍縮派の内閣が成立すると国民は軍部の反発を他所にシベリア撤収に期待した。
皇太子裕仁親王が摂政に就任。
12月
ワシントン会議
「なぁ なぁ 長門、陸奥建造だと原油高くなるよね」 白人
「そうだな・・・」
「朝鮮人を石油取引のポストにつけたら、5パーセント引きしてもいいよ」
「・・・・」
「石油輸入を5パーセント安く上げたら、あんたの手柄にもなるし」
「陸奥廃艦で、いいから」
「「・・・・」」
第45議会
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月夜裏 野々香です。
仙堂 春和 (15)
角浦 秋和 (15)
仙堂と角浦は、木仙の力で、権力に取り入って、
政治中枢にも近づいて・・・
原の生存と、尾崎人事で、陸奥撃沈。
戦艦構成比は、イギリス50万t、アメリカ50万t、日本30万tで史実と変わります。
第00話 1920年 『木仙が生まれた日』 |
第01話 1921年 『鉄工業 VS 木工業』 |
第02話 1922年 『ワシントン軍縮条約と、戦艦陸奥廃艦』 |