月夜裏 野々香 小説の部屋

    

神がかり系 仮想戦記 『神籬の木仙』

 

 第08話 1928年 『府と市の統合と、スーパー天蚕糸』

 1月

 木工12干支ギルドで幸幣銀行が創立する。

 日幣との等価交換も行われるようになると、預け入れや借り入れが増えていく、

 幸幣銀行

 「話しにならん!」

 石原莞爾が大股で出ていく、

 「なんなの?」

 「金貸してって」

 「軍隊に金貸すと録なことに使わないから駄目だろう」

 「あいつら自作自演で民間人を巻き込んでテロ起こしかねないからな」

 「満洲は、日本の生命線だと」

 「日本じゃなくて朝鮮の間違いだろう」

 「誰が朝鮮を守るために命懸けで満洲を占領せにゃならんのだバカバカしい」

 「「「「あはははは」」」」

 「それはそうと、幸幣の銀行業務の調子はどう?」

 「流石に紙幣と違って嵩張るからな」

 「しかし、日幣より幸幣の人気があるのも面白い」

 「幸幣は、それ自体が芸術品だからね」

 「日銀が幸幣に負けないように印刷するほど、幸幣の価値が上がる」

 「そして、12干支額1992円単位で取引されることも珍しくない」

 「いっそ、500幸幣、1000幸幣でも出すほうがよくないか」

 「仙堂氏と角浦氏は、500円札と1000円札を設計してるらしい」

 「へぇ 楽しみだな」

 

 銀行の別室

 中核は、幸幣を開発した22歳の仙堂と角浦だったが、

 表向き、相応の年齢に達した重鎮たちが代表になっていた。

 重鎮の素性は近代化から取り残された林業、木工業者、城郭神社仏閣の有力者で、

 好むと好まざるとにかかわらず旧徳川系の派閥になった。

 1867年の大政奉還以来最大級といえるが、

 顔触れは木工職人のギルドと利得者たちだった。

 会合の度にマジョリティ内派閥としての結束が強まっていく、

 

 

 

  岡部金治郎がマグネトロンの特許を取得

 

 

 2月

  赤旗創刊

 

  第2回冬季オリンピックがサンモリッツで開催(〜2月19日)。

  

  第16回衆議院議員総選挙(最初の普通選挙)

 

  ワシントンD.C.のチャールズ・ジェンキンス研究所が

 連邦無線委員会(FRC)より認可を受け、世界で始めてのテレビ所有者となる。

 

 

 朝鮮共和国独立後、孤立感を深める大連半島だったものの

 漢民族の中国帰還と、日本人の移民による内政化で、徐々に活気を大きくしていた。

 日中非公式会議

 「中国人の学生を日本に留学させて欲しいある」

 「日本に留学・・・」

 「朝鮮を米英ソに取られて、日中分断されたある」

 「日中友好の関係を保つには、中国人を日本い留学させるのがいいある」

 「じゃ 租界に中国人用学校を建設しましょう」

 「それで学費を集めて、日本式の授業をしますよ」

 「日本に行けないあるか・・・学費あるか・・・」

 「小中高大まで、1人10万円ほど」

 「高いある。日本の10倍ある」

 「100人で1000万円ある。1000人で1億ある。戦艦を建造できるある。日本の文部省は鬼ある」

 「資源と交換でいいですよ。知的水準が向上すれば、中国は先進国。投資ですよ。投資」

 「中国人は文盲ばかりで小学生以下」

 「日本の学校で勉強すれば、大学生。権力基盤を守るなら絶対有利でしょう」

 「・・でも・・高いある・・・もっと安くするある」

 「無理」

 「女を世話してやるある」

 「・・・・」 にや〜

 「じゃ 99800円」

 「全然高いある。200円しか安くなってないある!」

 「日本で学費と生活費を出してくれたら、女10人世話してやるある」

 「じゃ 99600万円」

 「全然高いある。女10人世話して400円はセコイある」

 「」

 「」

 日中友好は難航していた。

 

 大連庁舎

 「大連州開発は、大変な出費になるな」

 「陸軍は、南満州鉄道の爆破事件を自演して、一気に満洲を手に入れようって動きがあったが」

 「朝鮮半島がないのに満洲を手に入れたって守れませんよ」

 「そう思ってやめたらしい」

 「関東軍70万で満州を守るより、その70万人で大連州を開発した方がいいですな」

 「しかし、遼東半島の戦略的苦境は大きくなっていくはず」

 日本視点でなく、遼東半島視点の戦略も考えるべきでしょうな」

 

 

 3月

  マルタがイギリス自治領となる。

 

  台北帝国大学設置

 

  中華民国杭州で世界初の国立アカデミーとなる中国美術学院が設立。

 

  コミンテルン、「日本問題に関する決議」いわゆる28年テーゼ(「マルクス主義」)。

 

 

 ドイツヴァイマル共和政

 インフレは収まりつつあった。

 日本とドイツは、ドイツの再軍備に向けた協力体制が作られていた。

 ドイツ海軍将校は、日本海軍へ派遣されて、軍艦の運用技術を成熟させており、

 神籬社も、ドイツに進出していた。

 ベルリン

 カフェテラスの日本人たち

 「また、木と紙の国と言われたよ」

 「ふっ 扱ってる品物からして違いないな」

 「だが鉄と石の国に舐められるのは嫌だ」

 「ドイツが朝鮮に足場を作らなかったのは助かるがね」

 「日本と組んだ方が益が多い。そう思っただけだろう」

 「戦艦土佐の設計図となら喜ぶだろうさ」

 

 

 

 

 4月

  イタリア・ミラノでベニート・ムッソリーニに対する爆弾テロ発生。周囲にいた17名が死亡。

 

  アイルランドのダブリンとカナダのグリーンリー島の間で世界初の大西洋横断飛行が行われる

  

  第55特別議会召集

 

  ギリシャのコリントで大地震が発生し、20万棟の建物が倒壊。

 

 

 神籬社は研究用で桑、松、杉、クヌギ、ナラ、柏を世話していた。

 桑の葉は蚕の餌であり、日本の生糸産業を支えていた。

 仙堂と角浦が桑を世話をすることで、

 プチンッ!

 重石を乗せると糸が切れた。

 「2倍の強度だな」

 「こっちは?」

 「もう少しいけそうだ」

 さらに重石が乗せられていく、

 プチンッ!

 重石を乗せると糸が切れた。

 「5倍の強度か」

 「さすが天蚕」

 松、杉、クヌギ、ナラ、柏の葉は、天蚕の餌だった。

 天蚕糸は、薄緑色の糸で蚕の糸より丈夫で軽かったが、

 神籬社が世話をすることで5倍の強度になろうとしていた。

 「これなら不況になっても生糸産業は生き残れるだろう」

 「生き残れますかね」

 「質のいいモノは、特に突出したものなら、最悪でも富裕層が買う。だから生き残れるさ」

 「要は、強い蚕、天蚕を残すことだ」

 「上手くいけば、列強の軍服は、全て日本の生糸から作ることになるだろうね」

 「つまり、日本産の戦略物質というわけだ」

 「でも、また、鉄鋼業とゼネコンからクレームが来ますね」

 「まぁ 連中は山を切り崩したがってるからな」

 「中国の柞蚕(さくさん)、樟蚕、ひま蚕も悪くないですよ」

 「柞蚕(さくさん)は、コナラ、クヌギ、カシワ、ナラ」

 「樟蚕は、クス、カエデ」

 「ひま蚕は、ヒマとタピオカか。確かに悪くないが蚕の掛け合わせを考えていいかもしれないな」

 「あと紡ぎ方でも強度を増すことができるかも」

 「あと、インドの蚕と木も一通り手に入れたい。今のうちに最強の糸を作っておかないと」

 「インドですか。かなり大変な作業になりそうです」

 「アメリカの景気がいつまでも続くとは限らないからな」

 「アメリカ経済は良くないんですか」

 「んん・・・景気なんていうのは、いろいろあるからね」

 「量的な暴落に備えて質的な向上は、常にしておくべきだから」

 

 

 南沙群礁 (0.43ku)

 全長1200m×全幅80mの滑走路を持つ飛行場と、

 356mm連装砲台を配置した軍事基地が建設されつつあった。

 関係者たち

 「島流し場所か」

 「ポストが欲しい。よし、じゃ 島流しな。が最近の流行りだ」

 「なんでこうなったのやら」

 「飛行機が売れたら儲かる会社があってな」

 「そっちか」

 「最近の神籬の利益誘導はえげつなさすぎて、国防を危うくするな」

 「というより、島流しされるのが面白くない」

 「軍艦に乗ってかっこよく出撃したいからな」

 

 

 5月

  ニューヨークで、最初のテレビ定期放送が開始される。

 

 朝鮮半島に米英ソ朝4カ国同盟が形成されると困るのが日本と中国で、

 大連州で、日本と国民党政府の間で、安全保障上の交渉が始まる。

 米英ソ朝は、日中分断のつもりで、4カ国同盟を形成したが、

 国家的気にに陥った日中を逆に共闘させてしまう結果になっていた。

 むろん、国家間の取引は冷徹で、隣国ともなれば、敵対的でもあり、

 兵器と武器弾薬の売買は行われるが、容赦のない価格が決められていく、

 「日本は中国に小銃、機関銃、大砲を売るある。戦闘機売るある」

 「いかほど」

 「小銃100万丁。機関銃1万丁。大砲1000門。戦闘機100機ある」

 「高いよ」

 「構わないある。軍事的独立が最優先ある。資源は、いくらでも渡すある」

 

 

 

 6月

 呉

  伊号1型潜水艦

    水上 1970t  /  水中 2791t

    全長97.50m×全幅9.22m×吃水4.94m

    水上 6000馬力  速度18.8kt 航続距離24400海里/10kt

    水中 2600馬力  速度8.1kt  航続距離60海里/3kt

    40口径14cm単装砲2門  7.7mm機銃1挺

    533mm魚雷発射管 艦首4門、艦尾2門  魚雷22本

    水偵1機(伊5のみ)  最大深度75m

 ドイツ海軍将校が搭乗していた。

 ドイツ海軍の強化は日本にとって都合が良かったからだ。

 その代わり、ドイツの技術などが使われやすくなり、

 ディーゼルエンジンをゴムで包む、

 機関室をゴムで包む、

 船体内側をゴムで包むへと拡大し、静粛性が改善されていく、

 日独将校たち

 「偵察機は、どうよ」

 「太平洋は広いから役に立つかもしれないが、大西洋は護衛艦が多いし狭い」

 「あまり役に立たないかもな」

 「むしろ、水中速度と潜行深度を大きくする」

 「まぁ 太平洋でも大型飛行艇で偵察する方がいいという将校もいるな」

 「やはり、神籬の機体が強いのか」

 「確かに宮大工に作らせると、継ぎ手と仕口で接着剤の負担が少ない」

 「大手が工業風にやってしまうと性能が落ちるが、発言力を考えると嫌なんだろうな」

 「我々の仲間が宮大工学校で勉強してるが上手くいかないみたいだ」

 「手が大き過ぎるんだよ」

 「あはははは・・・そればっかりは、どうしようもないな・・・」

 

 

 1680t級吹雪型駆逐艦

  全長118.5m×全幅10.36m×吃水3.19m

  ディーゼル機関2500馬力12基 30000馬力

  速度32kt  航続距離10000浬/14kt

  兵員219人

  65口径105mm砲×4門  83口径37mm機関砲×2門

  61cm魚雷発射管6発   爆雷投射基4基40発

 艦橋

 「なんとも、鈍い駆逐艦を建造したものだな」

 「石油消費を押さえたいらしい」

 「戦艦に向かって突撃しなければならない運用の意見を聞けよと思うのだがな」

 「しかも主砲が105mmで、たった4門などと、ありえん」

 「対空砲も兼ねてるそうだ」

 「ドイツ製は性能がいい」

 「対空砲ね。洋上を飛んでる航空機なんて滅多に見ないが」

 「アメリカが大型空母2隻を進出させてきたら、上空は60機以上の米軍機が舞うことになる」

 「まぁ そうなったときは、頼りになるかもしれんが」

 

 

 7月

  アメリカ合衆国、中華民国から撤兵

 

  第9回夏季オリンピックがアムステルダムで開催

 

 

 仙堂と角浦は、木工12ギルドの雄であり、

 華族、有力企業主、軍閥など有力な嫁候補が幾つもあった。

 しかし、第一候補の相手と結婚してしまう。

 周りは、金持ちでもなく、美人でもなく、人柄が特別いいわけでもない相手に訝しむほどだったものの、

 木仙アンテナに引っかかった山城と日向は、確実に木仙の能力を子供に相続させることができた。

 仙堂と角浦にとっては、閨閥を切るしかないほど価値ある相手だったのだ。

 どこかの喫茶店

 玉露と、いちじく水饅頭が運ばれてくる。

 木工産業が強いせいか、果物の類が増えていた。

 “木工12ギルドがマグネトロンに投資開始”

 「マグネトロンって、なにか役に立つのか」

 「金ならあるよ。幸幣欲しさに紙幣と交換してくれるのだから」

 「だからといって、金があれば、ダボハゼのように食いつくのはやめたほうがいいと思うぞ」

 「俺たちは、騙そうとしてる奴なら木を介してわかるじゃないか」

 「それに見込みがあるなら鉄鋼業とゼネコンに開発を押さえられるより、木工12ギルドで押さえておきたい」

 「それに木の材質に変化を与えて木材の価値を高めてくれるかもしれない」

 「だといいけど」

 「あと、ガラス業に進出するのってありなの? 能力外だけど」

 「だって、鉄鋼を大手に押さえられてるからね」

 「こっちは木工とガラスか・・・あと、何かあったかな」

 「海産物とかは?」

 「んん・・・工業で使えそうなの・・・」

 「貝の加工は? キラキラ光って綺麗だよ」

 「もっと、お国の基幹産業に関わるようなものじゃないと、発言力になりにくい」

 「粉末にして固めたら、セメント代わりになるとか?」

 「貝殻は、カルシウム、タンパク質、キチン質だから分離しないと・・・」

 「分離すると燃料を使いそうだな」

 「鉄鋼産業に睨まれてるし、生き残りをかけるなら貝かなって」

 「木なら1.3倍くらい大きくしたり、変形できるけど。カニとか貝は能力外だからな」

 「カニとか、甲殻類の方が軽いけど。そのまま使えないし」

 「資金を注ぎ込めば、能力がある人間が改良するんじゃない」

 「もっと日本国内で有り余る資源で工業化できそうなものをなんとかしないとな」

 

 

 

 8月

  伊エチオピア友好条約調印

 

  アルバニア人のアフメト・ベイ・ゾグーが自身をゾグー1世と名乗る。

 

  パリ不戦条約調印(日本を含む15か国が署名)

 

 米英ソ連合軍が朝鮮共和国に駐留すると、

 日本領の巨済島(399.3ku)、済州島(1845ku)、鬱陵島(72.82ku)は

 対朝前線の要塞島となって、防備が施されていく、

 そして、対馬(708ku)は司令室が置かれ、

 福岡には対半島戦略総司令部が置かれていた。

 米英ソ軍の戦力は、協定により、それぞれ1個師団にも満たなかったことから、

 司令部では対正面戦力戦より、対潜入朝鮮人を恐れるようになり、

 海岸線に防波堤を構築し、身分証明書の携帯を義務付けるようになり、全国へと波及していく、

 司令部

 日本軍将校たちが西日本戦線の地図を囲む

 「日清戦争以来の戦果を全て失った気分だな」

 「遼東半島は残ってる」

 「孤立してるから、助けるのは大変だぞ」

 「そして、日本国民は、朝鮮人を追い出せて喜んでる」

 「まぁ 権力者や富裕層は、朝鮮人を利用していたから。一般国民は面白くなかっただろうな」

 「おかげで国民の危機感は増したし。軍備を拡張できるのは嬉しいがね」

 

  

 

 9月

 アレクサンダー・フレミングがペニシリンを発明

 

 

 関東大震災後、首都再建事業が進む上で、東京府と東京都の二重行政が不便なことから東京都に統合される。

 同様の構造だった大阪と京都は、市制が廃止され。大阪府政、京都府政に一元化されていく、

 行政のスリム化に成功すると、予算で余裕が生まれ、大震災からの再建が進んでいく

 某新聞

 “大阪市政を廃止して、府政に全て移管します”  大阪市市長談

 

 木工12ギルド会議

 「東京都、大阪府、京都府の行政一元化か」

 「やれやれ、ようやく、まともな行政になっていきそうだよ」

 「しかし、どうにも主戦派が多いのが気になる」

 「自分が死ぬかもしれないのに、わからないのかね」

 「自分が死なない地位にいる人間が戦争を望んでいるんだと思うね」

 「右翼か。どうも鉄鋼業贔屓というか、ゼネコン贔屓というか。敵対的なんですよね」

 「まぁ 木工業は、時代に逆行してるからね」

 「だが、妙に攻撃的だし、誰かに金をもらって動いてるような気がしないでもない」

 「きっと、誰かさんたちが、閨閥入りを拒んだから風当たりが強いのでしょう・・・」

 ごほん! ごほん! ごほん!

 「日本が右翼的になると得する者たちがいるので?」

 「主に軍需産業」

 「そして、日本人が何人死のうと、日本が負けるまで戦争させたいという動機があって」

 「外国人に金をもらって反日活動ができて。日本人に似た人種・・・」

 「いますね」

 「朝鮮共和国独立で、だいぶ減ってるはずですがね」

 「幸幣で右翼団体を切り崩せないだろうか」

 「まぁ やれないことはないでしょう」

 「幸幣は人気ありますし」

 

 

 10月

  陪審法施行

 

  ローマ・カトリックの聖人、ホセマリア・エスクリバーが、スペイン・マドリッドにオプス・デイ設立。

 

  ハイレ・セラシエ1世がアビシニア王に就任

 

  蒋介石が国民政府首席に就任

 

 朝鮮共和国

 釜山港

 アメリカ、イギリス、ソビエトの軍艦から内陸に向かって撃ち出されていた。

 朝鮮半島は協定を結んだ米英ソ軍が支配しており、外資が朝鮮人を奴隷のように働かされていた。

 そして、時折暴動が起こり、警察や陸軍によって鎮圧されるが、

 暴動が大きくなると、軍艦から艦砲射撃が始まる。

 7000t級軽巡洋艦オマハ

 艦橋

 「艦長。観測機からの報告。砲撃はもう、いいそうです」

 「そうか。撃ち方やめ」

 砲撃が止むと艦橋に静けさが戻った。

 「イギリスとソビエトの砲撃もやみましたね」

 「イギリスは、4000t級C級軽巡洋艦カロラインで。ソビエトは、7700t級巡洋艦キーロフか・・・」

 「本気じゃないが、様子見というところでしょう」

 「港湾専有敷地が100kuだけですから、大艦隊は配備できないでしょう」

 「しかし、日本もあっさり引き下がったものだな」

 「22年にイギリスがアイルランド問題で引いたのを彷彿とさせますね」

 「完全独立で他国軍駐留なのだから、それより悪いだろう」

 「イギリスは、アイルランドの完全独立を認めると思うよ」

 「なんにしても米英ソ3カ国協定による支配は、争いが少ないが、大部隊を配備しにくい」

 「対日戦争なんてとても出来そうにないな」

 「日本が攻撃してくるなら別でしょうけどね」

 「まさか。日本が正気な外交戦略観を持ってるなら、このまま逃げ切りですよ」

 

 

 ソウル 朝米英ソ会議

 「早く、日本を攻め込むニダ」

 「米英ソ連合軍なら日本を支配できるニダ」

 「全朝鮮人が日本占領と日本支配を手伝うニダ」

 「今すぐ、米英ソ連合軍は、今すぐ、日本に宣戦布告するニダ」

 「もう、こんな屈辱は、堪えられないニダ!!!!」

 「「「・・・・」」」 呆然

 

 

 

 京都平安神宮に日本最大の鳥居が完成

 観衆に混ざって有力者たちが野点傘の下で寛いでいた。

 仙堂と角浦と、とある女性

 「お二方、酷いですわ。どちらかは、私と結婚するものとばかり思ってましたのに」

 「い、いやぁ なんというか、いつも一緒にいる安心感というか」

 「私とのことは、遊びだったのですわね」

 「あははは・・・まさか、2度、3度、お茶を一緒に飲んだだけじゃないですか」

 「そ、そうですよ。手だって握ってませんし」

 「普通は、閨閥に入って、それから浮気相手で遊ぶのならわかりますけど」

 「それだってもっと、相手を選びますわ」

 「「・・・・」」 むっすう〜

 「わたし、この方たちに負けたなんて、屈辱でしてよ」

 「い、いやぁ 田舎者でして、す、すみません」 ペコッ!

 「本当に申し訳ない」 ペコッ!

 「まぁ いいですわ。でも、お子様が誕生したら “許嫁の件” よろしいですわね」

 「ちょっ い、いくらなんでも、生まれてもいないのに・・・」

 「ほ、本人がなんというか・・・」

 「閨閥は財産を守るためのもので。財産を損なうためのものではありません」

 「田舎者でもそれくらいの常識はあるでしょう」

 「い、いや、た、確かに・・・」

 「「すみませんでした・・・・」」 ペコン!

 「ほんと、変わった方たちですわね」

 ご令嬢たちが去っていく、

 「「・・・・・」」 じーーーー

 「い、いや、お得様だから、我慢してもらわないと」

 「そうそう、これからも仕事上の付き合いはあるから」

 「ほんと、変わってるわ」 美奈

 「そうね」 奈美

 「「あはははは・・・」」

 

 

  日本航空輸送設立

 

  赤十字国際規約の採択により、赤十字社が正式に設立。

 

 

 イタリア ローマ

 ファシスト党黒シャツ隊が街を闊歩していた。

 神籬木工細工支店

 「なんか、飛ぶ鳥を落とす勢いって感じだな」

 「なんでだろう」

 「貧乏だからじゃないの」

 「戦争したいから貧乏にしてるって気がする」

 「仲間内でお金が集まると、貧富の格差を作りたがる」

 「そして、低賃金で労働力を得るため、溢れた貧乏人は殺気立ってくる」

 「国家権力者や富裕層は、故意に格差を作っていることを誤魔化し」

 「国民の敵を国外に向けさせるため、戦争状態を望む」

 「今がその時だろうな」

 「やれやれだ」

 「そして、お金の総量を意図的に絞って戦争をさせたがってる人間たちがいる」

 「巻き込まれたくはないな」

 「日本は、日銀とは別に幸幣で通貨を水増ししてる」

 「まだ余裕があるさ」

 「それより、漁夫の利を狙えそうなところを探せってよ」

 「探せって言われてもね」

 「日本に利権を渡してまで兵器を欲しがってる国は少ないよ」

 「だから、国家存亡の危機にあるような国か、バルカンみたいな弾薬庫」

 「バルカンは手を出しにくいな。資源ないし」

 

 

 

 11月

  ラジオ体操放送開始

 

 

 “どの鍋にも鶏一羽を、どのガレージにも車二台を!”

 “今日、われわれアメリカ人は、どの国の歴史にも見られなかったほど、貧困に対する最終的勝利日に近づいている・・・”

 アメリカ合衆国大統領選挙で共和党のハーバート・フーヴァーが当選

 アメリカ合衆国 白い家

 「我々は朝鮮半島で利権を得ている」

 「朝鮮海軍を作ってはどうだろうか」

 「彼らは、現状打破のため自ら中国や日本と戦争したがっていますよ」

 「なるほど・・・では、中国に武器弾薬を売るのはどうだろう」

 「既に日本が売却してますし」

 「アメリカ軍、イギリス軍、ソビエト軍の朝鮮半島上陸により」

 「我が国とイギリス、ソビエトは、中国の仮想敵国第一、第二、第三位」

 「日本は第四位に後退してます」

 「日本も遼東半島に足場があるではないか」

 「遼東半島では、中国支配の足場として足りないと思われます」

 「だが、日独は、軍事技術協定を結んでるフシがある」

 「我が国は日独連携に対抗し、米中海軍連携を模索すべきだろう」

 「中国に海軍力を与えれば、矢面になるのは日本では?」

 「かもしれません」

 

 

 

  昭和天皇の即位の礼挙行

 

  大嘗祭挙行

 

 

 呉

 33000t級空母2隻の建造が始まる。

 アメリカの27000t級レキシントン型空母が意識され、

 同等以上の空母建造が開始していた。

  33000t級瑞鶴型空母  瑞鶴 翔鶴

   全長280m×全幅32m×吃水9.7m

   MANディーゼル機関2500馬力72基 180000馬力  

   航続距離16kt/25000海里  速度33kt

   78口径88mm対空砲10門  83口径37mm対空機銃20門

   艦上機100機

 関係者たち

 「悪くない、空母になりそうだ」

 「米英の空母を見て、後出しジャンケンで建造するのですから、悪くないでしょう」

 「ドイツ製ディーゼル機関もいいようです」

 「ドイツ海軍再建もかかってるから、必死なんだろうな。助かる」

 「電気推進で16kt出るのは大丈夫なのか」

 「ええ、計算上は」

 「潜水艦方式で航続距離が伸びるのは嬉しいがね」

 「問題は、この大きさが本当に必要かでしょうか」

 「航空機の将来性を考えるなら必要だと思いますよ」

 「完成は?」

 「33年」

 「ずいぶん先だな」

 「空母建造は、3回目だからね」

 「ドイツの技術がどこまで役にたてられるか」

 「日本の設計、建造で、ドイツの技術、製造ならアメリカにも勝てるよ」

 

 

 

 12月

 アメリカ合衆国議会、ボールダー・ダム(後にフーバー・ダムと改称)の建設を許可する決議を採択。

 大量の朝鮮人がダム建設に送り込まれてダム建設が行われる。

 しかし、労働者の半分が賃金の安い朝鮮人や漢民族で、アメリカ人は半分以下といわれており。

 幾ら莫大な積極財政を行っても格差が広がるばかりで、

 アメリカ経済刷新に及ばないと、前評判が悪かった。

 無論、経済対策としてより、必要な電力を賄うためのダム建設であり、

 好景気の続くアメリカにおいて、経済対策は、知識人を除いて考えられていなかった。

 

 日本人たちがダム建設予定地を見学していた。

 「さすが大国アメリカ。国が広いと立地のいい場所に好都合なダムの候補地があるものだ」

 「穴を掘って埋めても賃金を払えば、経済が復活するか」

 「単純にいうと、紙幣の総量で、下層階級がどの程度の紙幣を保有しているかで好景気と不景気が決まる」

 「あまりばら蒔いても怠け者が増えるだけでは?」

 「国家っていうのはね。下層階級の怠け者なら5パーセントくらい許容できる」

 「それに、成功する人間は100人に1人だし、大成功する人間も1000人に1人」

 「そして、恐れているのは5パーセントの怠け者じゃない」

 「ライバルになる新興企業で。社会を刷新するのは、新興企業でね」

 「しかし、上層階層・既得権の5パーセントが不正腐敗で私腹を肥やされたら、95パーセントの紙幣を奪ってしまう」

 「嘘と泥棒と殺人と自殺を増やして治安を悪化させて、人口まで減らされ、国家を傾かされる」

 「アメリカがそうなりそうって?」

 「株市場は、借金投機で金を吸い上げすぎた」

 「誰しも借金して、株に投資している」

 「庶民は、流通させてる資本が減って購買力そのものが赤信号だ」

 「計画倒産して、金を持ち逃げするなら、いまだろうな」

 「そりゃ 困るわ」

 

 

  第56議会召集

 

 

 

 

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 月夜裏 野々香です。

 仙堂春和(22歳) × 山城美奈(18歳)

 角浦秋和(22歳) × 日向奈美(17歳)

 

 今回は43年より早く、28年で東京府と東京市を統合 (笑

 そして、大阪と京都は市政を廃止。大阪府政、京都府政のみになります。

 

 

 取り敢えず、生糸産業も桑を改良して、強度を増しました (笑

 「アメリカさん。アメリカさん。生糸はどうですか?」

 「ふふふふ 大恐慌だぜ、日本の生糸なんかいらん!」 アメリカ

 「財政破綻しやがれ、あははははははははは・・・・」

 「甘いな。日本の新型生糸は、強度200パーセントだ」 日本

 「な、なにぃいいい〜 ま、さか、強度200パーセント・・・・」

 「日本の生糸は、倍の強度というのか・・・」

 「し、しかし、た、大したことはない、それくらいなら許容範囲だ。か、買わなくても耐えられる」

 「天蚕糸は、強度500パーセントだ」

 「そ、そんな・・・まさか・・・」

 「本当だ」

 「まさか〜!!!!!!」 orz

 

 

 

 1926年 巨済島(400ku) 済州島(1845ku) 鬱陵島(72.82ku)

 1926年 大連州(3462ku)

 

 

 

 

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第07話 1927年 『米英ソ朝4カ国同盟成立と、死(四)環の計』
第08話 1928年 『府と市の統合と、スーパー天蚕糸』
第09話 1929年 『朝日友好条約を結んでやってもいいニダ』