月夜裏 野々香 小説の部屋

    

神がかり系 仮想戦記 『神籬の木仙』

 

 第11話 1931年 『少しは中南米も面白くしないと』

 1月

  台北放送局 (JFAK) 放送開始。

 

 上海

 日米英ソ非公式会議

 「この際、日本軍で中国民衆を押さえ込むのがいいと思う」

 「金がなくてさ。アメリカが金くれるならやってもいいけど」

 「日本が中国の利権を手に入れたらいいだろう」

 「そんなことした反日暴動が起きるし、やだ」

 「このままだと蒋介石に中国利権から追い出されるのだぞ」

 「遼東半島国境は、中国側の代理人が集まって日本に必要な物資との交換を申し出てるし」

 「租界から追い出されても構わないと思ってる」

 「このままだとソビエトに満洲を取られてしまうぞ」

 「中国に武器弾薬を輸出してるし、自分の国は自分で守れるでしょう」

 「中国軍なんか頼りになるか、極東ソビエト軍が攻めてきたら簡単に奪われる」

 「そうなったら朝鮮半島もソビエトに奪われるね」

 「おいおい、我が国を引き合いに出すなよ」

 「とにかく、日本は中国市場を押さえ込むべきだ」

 「いま、日本国内が大変でね」

 「そうそう、日本は大変なんだから、余計な誘いはやめろ」

 「なんだと! おまえ、ソビエトは、日本のニカラグア投資を支援してるだろう」

 「知らんね」

 「日本がニカラグアに基地を作ったらソビエトが得するからな」

 「知りませんな」

 「てぇめぇ〜!」

 「イギリスは? お前も、なんとか言えよ」

 イギリス代表は朝鮮・中国利権と、タイ王国の近代化、

 そして、中南米の日本領任那を天秤に掛け・・・

 「ん・・・まぁ 少しは中南米も面白くないと」

 「ふざけんな!」

 「いいか。日本がニカラグアから撤収しないと、ち、中国に軍艦売るからな」

 「「ええ・・・・・」」

 「売るんですか。中国に軍艦を?」

 「「おいおい」」

 「ほ、ほ、本気だからな。どうなっても知らないからな」

 「「「・・・・・・・・」」」 ドキドキ ドキドキ ドキドキ

 「・・・・・」

 「絶対に中国に軍艦を売るからな。後で吠え面描いても知らないからな」

 「・・・・・」

 「う、売るからな」

 「中国に軍艦を売ってみたらどうです」

 「「「・・・・・・」」」 真っ白

 

 

 

 

 2月 

  三等寝台車を新設(東海道線 東京 神戸間)

 

  三菱重工設立

 

  三菱石油設立

 

  婦人公民権案を衆議院で可決

  

 ニカラグアは日本からの戦闘機と、武器弾薬で軍事的に独立を果たしていた。

 欧米資本は風前の灯となり、日本資本の誘致が始まる。

 鉄道は近代化の象徴で、ホンジュラスやエルサルバドルも含んだ近代化が進められようとしていた。

    

 任那 (400ku)

 日本から船団が送り込まれ、物資が次々と下ろされていく、

 百数十台のブルドーザーが行き交って大地が整地され、

 わずか20数km四方の小さな半島で大規模な工事が始まる。

 測量と、港湾、鉄道、軍事基地、公共施設、木業地、工業地、商業地の区画整理が進められていた。

 完成すれば、人口30万人都市になりそうだった。

 日本軍将校たちが356mm連装砲台を見上げていた。

 洋上からは岸壁の上にある砲台が見えず、岸壁の上からは、水平線上の艦船を見ることができた。

 45口径356mm連装砲台8基、55口径150mm砲20基の設置が予定され、

 最終的には1個航空艦隊(300機)と1個師団(20000人)相当の守備隊が残留することになっていた。

 艦隊は巡洋艦4隻、駆逐艦8隻、潜水艦20隻が配備されるようになり、

 アメリカ太平洋艦隊の楔になるはずだった。

 「旅順より小さいな」

 「ビルの数が多ければ人口も増えるんじゃないか」

 「まぁ そうだろうが」

 「経済的に見合うかはわからんな。朝鮮半島や南満州鉄道みたいに手放すことになりかねない」

 「アメリカは中米にも反日運動を広げてるからな」

 「アメリカに戦争する金はない」

 「正確には、ユダヤ資本は、利権を手に入れるまで、せっかく作った格差を手放したくないはず」

 「そして、中米では反日より、反米が強い」

 「だといいがね」

 「共産主義は労働至上主義で暴力革命で血の大粛清ができるし」

 「資本主義は資本至上主義で大恐慌で金融詐欺で金融支配ができる」

 「どちらも国家を弱体化させ、大多数の国民の自由と権利を奪って衰弱させるからな」

 「共産主義と資本主義は、国家も国民も体現していないよ」

 

 フィンランド代表が任那の要塞砲を見上げていた。

 「日本は、これだけの要塞砲を建設できるのですか」

 「まぁ 対価さえあればね」

 「対価ですか・・・」

 

 

 3月 

  米国で「星条旗 (The Star Spangled Banner)」が国歌に採用

 

 

 アメリカ合衆国

 麻薬を支配する者が暴力を支配する。

 正気な人間は直接の利害が絡まない限り暴力に至ることは珍しく、

 無関係な人間を相手に暴力に駆り立てるのに麻薬が必要だった。

 仮に大義名分があったとしても人を殺そうとする前にはタバコが必要だったり、

 麻薬が必要だったりする。

 もし、人を麻薬で常用化させることができるなら事を起こせる駒を持つに等しく、

 あるいは、人を殺せる手足を得ることになった。

 CIA特殊対日作戦訓練所

 麻薬漬けのニカラグア人、ホンジュラス人、エルサルバドル人が集められ、

 催眠術をかけられていく、

 “日本人がお前の母親と妹を犯して殺した”

 “日本人がお前の妻と娘を犯して殺した”

 “日本人がお前の父親と母を殺した”

 反日要員として訓練していく、

 「「「「おおおおーーーー!!!! 日本人めーーーー!!!!!!」」」」

 「「「「日本人を、ぶっ殺してやる〜!!!!!!」」」」

 

 そして、麻薬漬けの朝鮮人も集められていた。

 “日本人がお前の母親と妹を犯して殺した。日本人に成り済まして、中南米で同じことをしろ”

 “日本人がお前の妻と娘を犯して殺した。日本人に成り済まして、中南米で同じことをしろ”

 “日本人がお前の父親と母を殺した。日本人に成り済まして、中南米で同じことをしろ”

 「「「「おおおおーーーー!!!! 日本人が憎いニダ〜!!!!!!」」」」

 「「「「ぶっ殺してやるニダ〜!!!!!!」」」」

 

 

 白い家

 大統領がテーブルに着くと、カラーコード戦争計画の報告書が乗せられている。

   ホワイト(対内乱戦)、グレイ(対西インド諸島諸国戦)、オレンジ(対日本戦)

   パープル計画(対中央アメリカ諸国およびロシア戦)、レッド(対イギリス・カナダ戦)

   グリーン(対メキシコ戦)、ゴールド(対フランスおよびカリブ海のフランス領戦)、

   ブラック(対ドイツ戦)、インディゴ(対アイスランド戦)、ブラウン(対フィリピン戦)、

   イエロー(対中国戦)、バイオレット(対中国内乱戦)、

   オリーブ(対スペイン戦)、シルバー(対イタリア戦)、エメラルド(対アイルランド戦)、

   タン(対キューバ戦)、シトロン(対ブラジル戦)、レモン(対ポルトガル戦)、

   ルビー(対インド戦)、スカーレット(対オーストラリア戦)、ガーネット(対ニュージーランド戦)

 「大統領。新しい、オレンジプラン報告書です」

 「おいおい。またか」

 「済みません。日本の経済力が伸びてるようで・・・」

 「経済力が・・・」

 「設備投資が大きいので、基礎工業力が変わるので、身の丈が伸びてますし」

 「波及効果で計算が変わるのです」

 「なにより、任那の計算がややこしいので・・・」

 「やれやれだな・・・」

 

 

  水稲農林1号の育成成功。

  

 世界中から木材が買われ日本に輸入され、日本で加工され、世界へと輸出されていく、

 木工12干支ギルドは一定の技能さえあれば入ることができ、

 宮大工、木工所から仕事を選ぶことができた。

 外資獲得力は、宮大工の人口に比例し、

 職人は急速に増え、40万人規模になっていた。

 シコシコ シコシコ シコシコ シコシコ

 シコシコ シコシコ シコシコ シコシコ

 シコシコ シコシコ シコシコ シコシコ

 シコシコ シコシコ シコシコ シコシコ

 「疲れたー!」

 幸幣は少ない材料で価値を生んだ。

 大規模資本を持たない個人は自分で幸幣を作り、

 手数料を支払って神社仏閣でギルドの投資番号付きの焼印を押ししてもらい、

 紙幣と交換するか、幸幣のまま使った。

 作品が気に入られると、1992円の額ごと買われることも珍しくなく、

 紙幣が印刷されるほど、幸幣の希少価値は高まり、

 数倍の値段で取引されることさえあった。

 そして、幸紙幣の存在が紙幣を水増しさせ、

 公定歩合を補填させることで、しわ寄せに行くはずの弱者を救済していた。

 

 

 4月 

  中央本線新宿   甲府間電化完成

 

  第2次若槻内閣成立

 

 南米の任那の設備投資が増えるほど、中継する島々

 マジェロ環礁、ポナペ、トラック、パラオ、サイパンなどの島々も大規模な要塞化が進められ、

 人口も増えていた。

 マーシャル諸島マジェロ環礁は、任那まで11000kmで、潜水艦基地が置かれていた。

 大型輸送船が到着し給油すると任那へと出航していく、

 「なんとも大変な出費だな」

 「逆に言うと、アメリカとイギリスがこれまでやってきた事なんだな。と、改めて思い知らされたよ」

 「アメリカとイギリスは搾取しかしないよ」

 「日本は投資する」

 「というより投資させられた気がするね」

 「誰に?」

 「日銀に」

 「なんで?」

 「大連と任那の投資を渋り始めている」

 「そのくせ、中国侵略させるような投資なら張り切ってる」

 「それは、海上封鎖と遠距離だから負担が大きいだけだろう」

 「今のところ、政治がイニシアチブを握って、金を作らせてるし」

 「幸幣がその後ろ盾になってる」

 「日銀は日本を危うくするような予算配分をしてる気がするな」

 「木工ギルドは、日銀に媚びなくてもいいくらいの幸幣作りを任那半島に移民させる気でいる」

 「なんにしても世界恐慌なのに、好景気なのは日本だけだし」

 「好景気なら任那と大連も投資を継続できるよ」

 

 

 

  5月 

  鉄道省、小型コンテナ試用開始。

 

  ニューヨークでエンパイア・ステート・ビルディング完成。

 

  北関東・東北に霜害。熊谷の最低気温零下4℃

 

  石川県山中温泉で大火。740戸焼失。

 

  新潟県白根町で大火。402戸焼失 死傷者50余人。

 

  

 日本 総理官邸 国防経済戦略室

 外地防衛のため小型製鉄所、小型発電所など必要最小限の産業基盤が考えられていた。

 「製鉄所に必要な石炭を確保できる最小限の高炉でいいんじゃないのか」

 「それは、どの程度?」

 「任那だったら250tくらいなら大丈夫だと思うが」

 「任那に石炭炭鉱と鉄鉱石鉱山があったかな」

 「往復船が多いし、250tくらいなら維持できるだろう」

 「いざという時途絶えたときのことを問題にしてるんだが」

 「燃やすモノがなくて、木材で製鉄所や発電所を回すなんていうのは嫌だぞ」

 「メキシコは期待できる」

 「メキシコが敵に回るとやばいよ」

 「まず軍事的独立。そのあと産業基盤と社会基盤を整えればなんとかなるだろう」

 「鉄とセメントは、どの程度任那に使えますか」

 「今年は、粗鋼250万tだが、来年は、無理しても任那に50万tくらい回してもいいだろう」

 「鉄骨鉄筋コンクリートなら、セメントは、粗鋼に比例するがちょっとした近代的な都市になるだろう」

 「都市設計は?」

 「対戦車塹壕を持つ城塞都市型が好ましいと思います」

 「相当な資本が必要になるな」

 「幸幣で通貨を水増しできますよ」

 「公定歩合の心配をしなくてもいいくらいに」

 

 

 オランダ

 神籬社の社員が幸幣の額、数十器を運び込んだ。

 クライアントが幸幣をランダムに選んで調べる。

 「・・・見事なできた」

 「まさかこれほど人気があるとは思いませんでしたよ」

 「大陸国家はね。紙切れより価値のあるものを望むんだよ」

 「それが国際的に評価されて、すぐ換金できるのならなおさらだ」

 「幸幣は価値が上がってるんだろう」

 「ええ、まぁ 紙幣が増えてるので相対的に価値が増してますね」

 「持ち歩くと不便だからかもしれませんが幸幣を温存して、紙幣を使うことが多いようです」

 「違うな。印刷した紙切れよりも重みがあるし。額面の価値を超えると推測してるからさ」

 「日本が国際金融詐欺を働いても見逃したのは、手彫りで数量が限定される幸幣が換金紙幣なりうること」

 「紙幣で幸幣を買えるとわかったからだよ」

 「「「・・・・」」」

 「特に有名な作り手は額面を超える」

 「最近は、特に欧州で買われてる気がします」

 「不況が起きて、大規模な戦争が近いと直感的に感じてるのさ」

 「中小国ほど、幸幣を買ってるだろう」

 「ええ」

 「金を買えない連中だけでなく。金を買える連中まで幸幣を買っている」

 「だから日和見してる者たちまでが買い始めたってことさ」

 「なるほど。どうせなら武器を買えばいいのでは?」

 「オランダは、そうしたがってるが有力者が保身に走って諦めつつある」

 「日本のような磐石な基盤が羨ましい」

 「朝鮮半島の独立で、日本の安全性も怪しいですがね」

 「小さなことだ」

 「権力層がよっぽどの間抜けでなければな」

 「あの島国を軍事力で落とし、支配するなど不可能に近い」

  

 

 6月 

  御茶ノ水橋完成

 

 

 朝鮮共和国

 土木建設で、白人、黒人、日本人、中国人、朝鮮人の階級が作られていた。

 中国人が数百万の人海戦術で城塞都市を造成し、

 日本の土木建設機械が上下水道と整地と建設していく、

 アメリカとイギリスは、隠し金庫として、労働源としての朝鮮半島を求め、

 同時に対日・対中・対ソの軍事拠点としても利用するため容赦なく、現地民を奴隷化していく、

 軍事基地だけは、本国からの建設会社によって建設されていた。

 米英共同航空基地、

 アメリカのカーチスPが18機。イギリスのブリストル・ブルドッグが10機配備されていた。

 将校たち

 「せっかく飛行場を作っても、たったこれだけか」

 「金がないからな」

 「これじゃ日本や中国と戦争できないじゃないか」

 「日本と戦争したくない連中が上にいて」

 「日本商船隊がハワイから200kmも離れていない海域を通過しても見て見ぬふりだよ」

 「国際金融詐欺で怒ってたと聞いたが」

 「日本は、紙幣と幸幣を交換することで公定歩合分を補填している」

 「今では、信用創造と関係なく製造される幸幣を直接紙幣として使っている」

 「銀行が公定歩合の利息で取り上げるはずの家、土地、利権は、手に入れられなくなっている」

 「それに、海外も幸紙幣を買ってるから希少価値は高まってるらしいが・・・」

 「欧米諸国の有力者も銀行屋に従わなくてもいい日本の幸幣を欲しがってる」

 「金は得られなくても幸幣と交換するには、戦争を避けるしかないだろう」

 「なるほど」

 「日本は中南米の任那に戦略拠点を建設出来るだけの資金力があるのにな」

 「日本はインフレで利権の拡大中。欧米中はデフレで利権の強化中なんだよ」

 「じゃ そこに突け込まれたわけか」

 「そういうこと」

 

 

 

  

 7月 

 鉄筋コンクリートは、1立方平方メートル当たり130kg〜160kgが使われる。

 質量比だけなら2〜3パーセントに過ぎない、

 しかし、公共性の高い施設、高層ビル、軍用になると強度の必要性から鉄骨が必要になり、

 鉄筋の比率が増え、セメント量も通常より増していく、

 この時代、戦艦1隻分の鋼材を鉄筋コンクリートに流用すれば25万から20万立方メートルに水増しできた。

 資源不足の日本は、鋼材を有効活用しなければならず、

 戦艦なんて作ってられるかという意見が少なくないのも、公共施設の不足に起因していた。

 そして、海外地を得て開発が必要になると、その声は、ますます大きくなっていく、

 任那(400ku)

 発電所が建設され、送電線が敷かれ、電話線が伸び、

 コシグイナ(任那)山を囲むように環状線鉄道が建設されていく、

 近代化に最低限必要な基礎の基盤が作られると移民者も増えていく、

 日常品を作る工場が作られると、

 アメリカ製日用品とおさらばしたがっていた中米諸国ニカラグア、ホンジュラス、エルサルバドルとの貿易も増えていく、

 これら開発の進捗と、鋼材量は、紛れもなく比例しており、

 任那取得後は、ますます、鋼材の取り合いが大きくなっていった。

 テーブルに各国の肉料理と作物が並んでいた。

 「意外に利益になりそうだな」

 「貧しい地域と思ったが悪くないな」

 「しかし、アメリカと事を構えるのは危険だと思うが」

 「財政的には、ユダヤ資本が利権買いに入ってるはず」

 「利権買いが収まるまでは、好景気にはならないと思う」

 「好景気の切っ掛けは戦争だろうね」

 「ユダヤ人のやりそうなことだ」

 

 

  

  

 8月 

  鎌倉御用邸廃止

 

  羽田飛行場(後の東京国際空港)開港

 

  江蘇省で水害(30万人溺死)

  

 東京

 扇動家たち

 “戦うニダ。今がチャンスニダ”

 “中国に攻め込むニダ”

 “中国人に日本人がたくさん殺されたニダ”

 “英霊が命懸けで手に入れ、奪われた失地を取り戻すニダ”

 “朝鮮半島をアメリカ、ソビエト、イギリスから奪い返すニダ”

 “戦争するニダ。絶対に勝てるニダ”

 

 

 

 9月 

  清水トンネル開通により上越線全通(上野 新潟間が7時間10分に短縮)

 

 上海租界

 蒋介石が満洲を押さえ、中国統一の最有力候補になっても、上海の事情は変わらない、

 外国人が有利な租界都市が形成され、魔都と呼ばれる混沌とした状態になっていた。

 外資は保護されやすく、列強資本が次々と拠点を形成していく、

 もっとも、朝鮮共和国が独立し、外資の一部が平壌、ソウル、釜山へと流れていくと、

 日本資本が強くなり、

 日本が中南米に拠点の任那を築いて資本が中南米に流れていくと、

 ドイツ資本が増え始め、上海の空気も変わっていく、

 日本で売れ残った商品が集められ、上海の日系倉庫に押し込まれる。

 商品を中国租界に送れば、なんとか捌けることから、日本企業にとって魅力的なとしてであった。

 日本人たち

 「相変わらず、混沌として楽しい街になってるな」

 「平壌、江華島、ソウル、釜山もそうなるらしいけど」

 「あっちは、アメリカ、イギリス、ソビエトの独占で介入できないから・・・」

 「でも朝鮮租界25都市の土木建設を受注してるんじゃないのか」

 「そりゃ 鉄鉱石と石炭と石油が入るならなんでもするんじゃないか」

 「外国人が支配る都市なんて。東京が同じようにならないことを祈るよ」

 「アメリカ、イギリス、ソビエトが半島まで迫ってるから、まずいと思うけどな」

 「逆に朝鮮人の入国を禁止できたほうがプラスになると思うけど」

 「日本が爆撃されて泣いても知らんぞ」

 「まぁ 軍事費も増えてるからなんとかなるって」

 「だといいが日本は中南米に行ってるが。アメリカが撤収しないと中国に軍艦売るとか、脅してるし。不安」

 「たしかにな」

 

  

 10月 

  国立公園法施行

 

  錦旗革命事件。橋本欣五郎中佐(桜会)らによる軍部内閣樹立クーデター発覚・拘禁

 

  宇野弘蔵と山田盛太郎「資本論体系」。

  

 

 インド

 日本の情報機関がインド独立の可否を調査するため神籬に紛れてインドに入り込む、

 数人の藩王と接触し、木材の取引を検討してもらいつつ、人脈を広げていく、

 その際、角浦の判断が重視され、敵味方を見極めていくことが多かった。

 角浦と神籬社員の何人かインドの山に入ると、樹木を見て回る。

 金になるならヨシなので、商品につながる目利きが必要だった。

 角浦が駆け出す。

 お付きの社員が追いつくと、角浦が橋の上ではしゃいだ。

 「すげぇ 木が橋を作ってる」

 「面白い」

 「これは、また・・・」

 インド・ゴムノキの根っこが、20m程の川を越えて向こう岸まで辿り着き、天然の橋を作っていた。

 「これいいよ」

 「日本でも作りたいですね」

 「そうだな。それより、生命力の強さが気に入った」

 「日本人は、自然の強さをいつも実感しておくべきだと思うよ」

 「こういう自然の強さを生活の中で感じられるのが教育だよ」

 「なるほど」

 「それより、ベンガルボダイジュの方は、ちゃんとやってくれんだろうね」

 「そ、それはもう・・・」

 特高から出向した社員は、インドに人脈を作ることができたのか。ゴマをする。

 

 

 大連州

 日中非公式交渉

 「日本は中国に戦車売るある」

 「高いよ」

 「89式戦車。欲しいある」

 「何両?」

 「1000両ある」

 「・・・・・」 絶句

 日本人は、日本に戦艦を輸出したイギリスの気分を味わっていた。

 

 

 台湾

 マホガニー、チーク、黒檀(コクタン)、紫檀(シタン)、

 ビャクダン、カリンなど高級木やイペ、タヒボ、バルサの植樹が進んでいた。

 成長は早く、質の良い木が育ちつつあった。

 特にバルサ材は、航空機用機材で珍重され、

 植樹には陸海軍の予算さえ注ぎ込まれていた。

 2歳の子供たちが木を挟んで隠れんぼしている。

 可愛い盛りだ。

 ほかの幼児と違うのは、木との関係で、拾った枝に花を咲かせてしまう。

 閨閥は利権同士の結婚でると同時に人脈金脈の拡大であり、国家権力との結び付きに繋がる。

 そういった閨閥に背を向け、

 容姿にも背を向けた結婚で、誰しもが訝しる。

 そして、木仙の力の相続が最優先だっただけにホッとする。

 少なくとも木に関わってる限りは、親の七光り以上の才覚を認められ

 金のなる木であることから、食いっぱぐれることもない、

 後は、勝手に自立して稼ぐことができるだろう。

 そのためには、国内で幾つか適当な山を押さえる必要があり、

 日本の中南米行きも、中南米の森林資源と少なからず関係があった。

 人は国を守る鉄を売って、森林を買った。馬鹿なことをする。というが、

 中南米に作った橋頭堡は、対米橋頭堡でもあり、

 パナマ運河破壊や通商破壊が成功すれば、日本の安全性を高めることができた。

 そして、米英にとって朝鮮半島と中南米の橋頭堡の天秤は、朝鮮半島が重いらしく、

 油断ならぬまでも、今のところ戦争になる兆しがなかった。

 2組の家族は、食べられそうな果物や野菜をバケットの中に入れていく、

 「角浦。エルサルバドル、ホンジュラスとの交渉は?」

 「進んでる。10個師団相当の武器弾薬は、蒔絵だからね。たぶん、上手くいくだろう」

 「上手くいかなかったら、ぶつくさ言われそうだな」

 「上手くいってもぶつくさ言われるよ。鉄は戦略資源だからね」

 「武器弾薬を売るぐらい大したことはなかろう」

 「それに鉄が戦略資源なら、木は生命資源だし」

 「木は育てるのに数十年。鉄は、1日で造ることができる」

 「まぁ 木工細工で外貨を稼げるあいだは、なんとかなりそうだけど」

 「しかし、中東は木がないよ」

 「正直、鉄鋼業とゼネコンが敵対的だし。木がなくても、石油が出るから押さえておきたい」

 「石油ねぇ」

 「まぁ 木は国家と国民を育てることはできても。国家と国民を守ることはできないからね」

 「それと北欧・・・」

 「どうかな。結局、向こう次第だし、半々って感じだろう」

 「半々って凄く確率高いよね」

 「この新種のキノコが毒キノコかどうか、ってくらいの可能性だよ」

 「「・・・・」」 じーーー

 

 

 

 

 11月 

  東京科学博物館開館式

 

 大阪城天守閣再建、大阪城公園開園

 木工関係者と軍関係者

 「やはり城は木で作ったものがいい」

 「陸軍で使おうとしたのに」

 「日本文化伝統を侵害するな」

 「見かけは城だから」

 「中身も伝統文化を継承せずコンクリート製の城とか、ありえん」

 「まぁ いいけどね」 しょんぼり

 

 

  中華ソビエト共和国臨時政府樹立

  

 

 12月 

  安達内相が辞任勧告を拒否。内閣不統一により第2次若槻内閣総辞職

 

  犬養毅内閣成立 

 

  金輸出再禁止令公布施行

  

  中島飛行機株式会社設立

 

  第60議会召集。

 

   川内型軽巡洋艦

     排水量5195t/常備5595t

     全長162.15m×全幅14.17m×吃水4.80m

     ディーゼル機関2500馬力20基 50000馬力

     速力30kt  15kt/15000海里

     乗員440名

      60口径150mm砲4門   83口径88mm砲4門   37mm砲2門

      61cm連装魚雷発射管2基4門  93式機雷56個

    航空機2機

       球磨、多摩、北上、大井、木曾。

       長良、五十鈴、名取、由良、鬼怒、阿武隈。

       川内、神通、那珂

 軽巡洋艦14隻の改装が進むと、外地派遣艦隊へと振り分けられていく、

 駆逐艦に毛が生えたような火力だったものの、作戦能力が高く、

 外洋での交戦も可能な軽巡となった。

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 月夜裏 野々香です。

 木仙一族

  仙堂春和(25歳) × 山城美奈(21歳)   一樹(3)

  角浦秋和(25歳) × 日向奈美(20歳)   青葉(3)

 

 

 1926年 巨済島(400ku) 済州島(1845ku) 鬱陵島(72.82ku)

 1926年 大連州(3462ku)

 1930年 任那州 フォンセカ湾 ニカラグア領地コシグイナ(400ku)

 

 

 日本 外地派遣艦隊 が編成されそうです。

   16750t級巡洋艦 生駒

     11300t級重巡洋艦 妙高、那智、足柄、羽黒

      5195t級軽巡洋艦 球磨、多摩、北上、大井、木曾。

 

   17636t級重巡洋艦 鞍馬

     11300t級巡洋艦 高雄、愛宕、摩耶、鳥海

      5195t級軽巡洋艦 長良、五十鈴、名取、由良、鬼怒、

 

   17636t級重巡洋艦 伊吹

     11300t級巡洋艦 黒姫、蔵王、吾妻、穂高

      5195t級軽巡洋艦 川内、神通、那珂、阿武隈。

       

       

       

 

 

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第10話 1930年 『隔進論、ニカラグアの任那』

第11話 1931年 『少しは中南米も面白くしないと』
第12話 1932年 『死に石。フィンランドの北欧道』