月夜裏 野々香 小説の部屋

    

神がかり系 仮想戦記 『神籬の木仙』

 

 第14話 1934年 『中南米7ヵ国不戦協定』

 1月

  ドイツ・ポーランド不可侵条約締結。

 

  スタヴィスキー事件によりショータン仏内閣総辞職。

 

 任那州 (1200ku)

 ブルドーザーとローラー車が原野を整地していく、

 高層ビルの建設も始まっていた。

 師団長たち

 「ドイツ製ブルドーザーが増えたな」

 「ドイツとソビエトは任那に領事館を置いて、対米牽制用で利用している」

 「牽制してるんだか。スパイしてるんだか・・・」

 「スパイしてもだ。旅順要塞の50倍のセメントを使って任那を要塞化してることに変わりはない」

 「正気なら、ここを落とそうとか考えないと思うよ」

 「だといいがね」

 「しかし、任那か。なんとも昔な名称にしたもんだ」

 「滅びた属領の名称を使うのは、縁起が悪くないか」

 「滅びないよう努力しろってことだろう」

 「10個師団もいたら滅びないよ」

 「ここ数年、引き金を引くより、つるはしを振ってるから戦争忘れてるかも」

 「それより、10個師団をいつまでも外地に展開させられるわけがない」

 「だから人口を移動させて、その生産力で、2、3個師団を維持しようって10年計画だ」

 「その前に戦争にならなきゃいいがな」

 「というより任那は戦争する気で手に入れたんじゃないのか」

 「中米任那進出は、神籬の手引きがあったらしいけど」

 「朝鮮半島撤収の画策といいよくわからんな」

 「神籬は、南米の樹木に関心があったらしいよ」

 「バルサは航空機用の木材だからね」

 「我田引水か」

 「国家が神籬にいいように振り回されては、いい迷惑だ」

 「生糸がダメになって、今じゃ 唯一の外貨獲得産業だから引っ張られるよ」

 「しかし、朝鮮半島や中国より反日が弱いようだ」

 「むしろ、反米が強い」

 「全権大使は、グアテマラとコスタリカと交渉中らしい」

 「よく、お金が続くな」

 「インフレ上等なんだろう」

 「ドイツみたいになるんじゃないのか」

 「故意にやったんじゃなければドイツのようにはならないよ」

 「インフレを嫌がるのは、お金持ちが格差を守りたいだけだけどな」

 

 

 

 2月

 フランス

  アクション・フランセーズなどの国粋主義団体による反政府暴動が発生。

  翌日ダラディエ内閣総辞職。

 

 オーストリア

  ドルフスキリスト教社会党政権が社会民主党支持の労働者を拘束し、

  両党が軍事衝突。(2月内乱)

 

 

 アメリカ合衆国

 白い家

 大統領と中南米諸国の代表たち

 「日本を排斥しろ」

 「「「「「・・・・・・」」」」」

 「我が国に楯突いてただで済むと思うな」

 「「「「「・・・・・・」」」」」

 「黙ってないでなんとか言え!」 ばんっ!

 「中南米諸国は、これまでアメリカのクーデター工作でまともな政治活動が阻害されてきた」

 「まともな、国家形成すら困難だ」

 「しかし、これからは違うぞ。もうアメリカの言うことは聞かない」

 「なんだと!」

 「日本の忠告で国民に、お金をばら撒いている。アメリカの買収は効かないし」

 「アメリカ軍の上陸に備えて軍を編成している」

 「中南米諸国は、アメリカ合衆国と戦争する気か」

 「そんな脅迫には乗らない」

 「・・・・・」

 「我々は大国の影響を排し独立したいだけだ」

 「許さんぞ。絶対に許さんぞ!」

 「「「「「・・・・・・・・」」」」」 ため息

 

  

 3月

 文部大臣・鳩山一郎が綱紀問題で辞任。

 

 友鶴事件。

  長崎県志々伎岬沖で水雷艇友鶴が荒天下の演習中に転覆。艦長以下100名死亡。

 

 ムッソリーニ、スペイン王党派と協定。

 

 函館市で大火。24186戸焼失、2166名死亡。

 

 東日本で暴風雨。727戸倒壊、50名死亡。

 

 

 日本と中南米諸国の戦闘機100機、10個師団相当の武器弾薬と400kuの領土の交換による不戦協定は、

 ニカラグア、ホンジュラス、エルサルバドル。コスタリカ、グアテマラ、パナマの7ヵ国へと拡大し、

 中米7カ国不戦協定が調印された。

 任那市

 世界地図で新たに得た領土が赤く塗られていた。

 師団が進駐し、開発が行われつつあった。

 「戦闘機700機と70個師団分の装備と、2400kuの交換か。良かったのやらまずかったのやら」

 「軍人冥利とはいかないが、人が死なず領土が増えるならいいことだと思うね」

 「階級は高くならないし、給料も増えないがな」

 「「「「あはははは・・・」」」」

 「軍事費で大変なのは、装備じゃなく」

 「毎年、消費される人件費を含めた管理費、経費、維持費だから国としては楽かもしれんが」

 「中南米7ヵ国が軍事的に独立したが、どう、国家を運営していくのかの方が気になる」

 「中南米諸国の人間は、日本の真似をすれば近代化できると信じてるよ」

 「マネができるならね」

 

 

 旧コスタリカ領 ココ(瓜生)島 (46.6ku)

 60隻ほどの船団がココ島の回りを囲んでいた。

 事前の交渉でココ島の日本領有は決まっており、

 調印とほぼ同時に日本駐留軍が上陸し、物資が運び上げられていく、

 ココ島(瓜生)守備隊

 「急いで橋頭堡を確保しろ」

 「アメリカ海軍が来る前に揚陸物資を運び込め」

 「測量と地質調査も急がせろ」

 「もう戦争の気分ですね」

 「日本軍がアメリカ両用艦隊を繋ぐ運河を押さえようというのだからね」

 「砲火を交えていないだけで。もう戦争だよ」

 「アメリカは報復で、半島の増強を計画してるらしいが」

 「アメリカ人と朝鮮人は組んでも上手くいかないだろうな」

 「そうか。意外と気があってると思うな。特にユダヤ人と朝鮮人は・・・」

 

 

 ブリカ(中ノ鳥)半島 (753.6ku)  旧コスタリカ領(353.4ku)+旧パナマ領(400ku)

 日本陸軍が上陸すると領地の接収が始まる。

 飛行場建設はすぐに行われ、

 輸送船から降ろされた機材を格納庫で組み立てると航空機が完成する。

  94式艦上爆撃機

   全長9.40m×全幅11.37m×3.45m  翼面積34u

   自重1700kg / 全備重3000kg

   750馬力  速度320km/h  航続距離1500km

   7.92mm×3   搭載量1000kg

 「ようやく、完成か」

 「不戦協定国でも飛行機を組み立ててるからどうしても製造が遅れる」

 「しかし、よく金が続くな」

 「大量の国債を発行しているらしい」

 「償還できるの?」

 「まぁ 幸幣を当てにしてるらしい」

 「発行量が小さすぎるんじゃないのか?」

 「1幸幣が100幸幣になるらしいよ」

 「だから100幸幣が10000幸幣」

 「おいおい」

 「まぁ 円紙幣を刷り過ぎて。幸幣は、実質、100倍以上で取引されてるからね」

 「お金持ちは、必死に幸幣を集めてる」

 「ふっ 昔、1円を1幸で交換した人間は大金持ちだな」

 「ぶっちゃけ、500円・1000円紙幣発行の数年前って空気だからな」

 「なんだよ、それ。俺一生懸命働いて老後のために貯めたお金が小遣いになるのか」

 「日本の平均寿命は低いからね。やろうと思えばやれるよ」

 「老後が心配だな」

 「幸幣でも作ればいいだろう」

 「人のために使ってもらえると思えば気分も悪くない」

 「そういうもんかね」

 「それくらいやらないと、新領地を開発できないってことじゃないの」

 ブリカ半島は、パナマ運河まで直線距離で400kmほどしかなく、爆撃圏内だった。

 

 

 旧グアテマラ(沖ノ浜)領(400ku)

 そこは、川と川に挟まれた幅5.6kmの海岸線で、メキシコとの国境に面した地域だった。

 日本とグアテマラは、特にどこという戦略的決定がなく、

 グアテマラの要望でメキシコ国境が選ばれただけだった。

 奥行きのある領地は、守りにくかったものの外交戦略上の幅を広げることができた。

 守備隊

 「まぁ あれだな。海水浴向きの領地だな」

 「砲弾が国境を飛び越えるでしょうし。防衛は無理ですね」

 「あはははは・・・」

 「しかしまぁ 人工島を作って、そこを港湾にするって話しだ」

 「いつになるやら」

 「「「「・・・・・」」」」 ため息

 水平線上に檣楼が見えた。

 「アメリカの戦艦です」

 日本戦艦は、ビルマの仏塔と似てることからパゴダ型檣楼と言われ、

 アメリカは籠型檣楼と見分けやすかった。

 「警戒態勢に入れ、任那に通報しろ」

 「やれやれ、最近は、開発を妨害させるためだけに現れるな」

 

  

 4月

 海軍航海学校開校(横須賀市)

 

 

 アメリカ合衆国

 白い家

 「日本を何とかしろ!」

 「というより、日本は、よく金が続くもんだな」

 「日本政府が、お金持ちの味方をせず、紙幣を散蒔けば、統制経済が困難になる代わり」

 「低賃金で野心的な新興企業が伸びる」

 「日本政府が下克上容認なら悪製品は淘汰され、良製品が伸びやすくなり大量生産も大きくなるでしょう」

 「まぁ 新陳代謝ってやつですよ」

 「この5年の任那予算は30億だそうです」

 「戦艦何隻分だ?」

 「物価から逆算して8000万くらいで、37.5隻分かと」

 「そりゃ 余裕で八八艦隊を建造できたってことじゃないのか」

 「中南米投資は、戦艦と違って分配範囲が広くゼネコンの取り分が多いようです」

 「それにしても無茶な財政だ」

 「幸幣の存在を考えるなら、そうでもないですよ」

 「交換するだけで、公定歩合分の利息分は水増しできますし。我々も買ってますからね」

 「買うなよ」

 「あんただって、幸幣を買ってるじゃないか」

 「・・・・」

 

 

 長門の改装が始まる。

 排水量32759t→38759t

 全長215.80m→240m   全幅28.96m→30m   吃水9.08m→9.50m

 85478馬力 → 100000馬力   速度26.443kt → 29kt

 航続距離5500海里/16kt  →  16000海里/16kt

 45口径410mm連装砲4基   仰角30度 → 仰角45度

 50口径140mm20門  →  65口径105mm連装12基

 80mm4門  →  83mm口径37mm機関砲10基

 533mm魚雷 海中4本/甲板4本  → 廃止

 水上機0機  →  水上機6機

 機関室を総入れ替えするという再建造に近い大改装となった。

 煙突は一本にまとめあげられ、

 艦首は球状艦首となり、艦尾は水上機兼舟艇の格納庫となった。

 関係者たち

 「全長全幅比は8対1か。横幅がないと、命中率が不安だな」

 「キールを伸ばして揺れを抑えるか」

 「大型艦で、キールを伸ばし過ぎると旋回力が落ちる」

 「一体成型しやすいガラス繊維と、副砲の減量で釣り合いが取れたのが幸いかね」

 「外装甲にガラス繊維を使うの?」

 「色が付いて、錆びないから全艦艇で使うかも」

 「神籬は大儲けだな」

 「独占だし。しょうがないよ」

 「しかし、扶桑型や伊勢型のように主砲塔2基を外すわけじゃないから窮屈な気もする」

 「だから25m近く全長を伸ばしたんだろうが」

 「もう、巡洋艦みたいだな」

 「作戦能力は高くなるよ」

 

 

 5月

  アメリカ合衆国・ミネアポリスでトラック運転手がゼネストに突入(ミネアポリス・チームスター・ストライキ)。

 

  東郷平八郎元帥死去。東郷神社建設の声が全国で起る。

  

  

 ソマリア沖

 南ソマリアはイタリア領だった。

 国境を超えれば不法侵入で、戦争行為と言えた。

 しかし、エチオピアは危機的状況にあって、日本は救援が求められていた。

 そして、イタリア人の中にも協力者を見つけ、余所見してもらっていた。

 2000t級貨物船 日の出丸 には、武器弾薬が搭載され、

 内火艇によって岸に運ばれ、エチオピアの代理人に渡される。

 黒人の多くは、エチオピア皇帝の味方で、

 エチオピアの独立を望んでいたのか、協力者を見つけることはむつかしくなかった。

 日の出丸 船橋

 日本人たち

 「どのくらいエチオピアに届くやら」

 「まぁ 半分くらい、エチオピアの親衛隊に届けば、まぁ なんとか戦えるだろう」

 「だといいけど」

 「しかし、Mle1897機関銃に、ルベルM1886ライフルか。よく見つけたな」

 「新型小銃の切り替わりだったから都合がついた」

 「武器弾薬で、足はつかないだろうな」

 「大恐慌でピリピリしてるからね。ていうか、神籬があたりをつけたらしい」

 「またか」

 「例の5億フランの詐欺事件の関係者らしいけど」

 「あははは・・・」

 

 

 大恐慌のアメリカは1ドルを使うこともなく、朝鮮共和国を開発することができた。

 大地を掘ると油田があって、石油が大地に溢れ出す、

 溢れ出した石油をすくい上げ、日本に渡すだけで、

 日本企業は白人の言いなりに漢民族を雇い、朝鮮租界地を開発していく、

 その対価で、日本は石油を得ることができ、

 火力発電所を回し、電力を得て製鉄所で鉄を作り、工場を動かしていた。

 この構図は、日韓併合前も日韓併合後も朝鮮独立後も、それほど変わらない、

 むしろ、石油消費が増すにつれてアメリカ依存は増大している。

 日本は、好むと好まざるとにかかわらず、アメリカの石油に依存しており、

 アメリカ、イギリス、ソビエトが大鉈で朝鮮半島から掠め取った土地を開発し、

 その対価で得た石油で、蟷螂の鎌のような外交戦略を強行し、任那を取っただけに過ぎなかった。

 

  朝鮮共和国 (21万6823ku)

    同盟保証地 アメリカ12800ku。イギリス12800ku。ソビエト6400ku 合計32000ku

 景福宮 朝鮮大統領官邸

 旧朝鮮総督府として建設され、完成した年に朝鮮共和国が独立し、

 そのまま、大統領官邸として使われていた。

 一度も総督府として使われていなかったことが、朝鮮総督府を大統領官邸と成し得た理由だった。

 ソウルと仁仙港を合わせた1000kuが米英ソの租界となっていたことから、

 景福宮と朝鮮大統領官邸は、米英ソの租界区画に囲まれていた。

 その米英ソ租界区画を朝鮮民衆が包囲し、

 朝鮮軍と警察が朝鮮民衆に向けて発砲していた。

 朝鮮政府は米英ソ軍の配下でしかなく、朝鮮人を搾取する米英ソ軍の代行者だった。

 とうぜん、朝鮮民衆にとって、朝鮮共和国は敵以外の何者でもなかった。

 朝鮮大統領官邸

 「併合時代は、こんな大きな暴動、一度もなかったニダ」

 「しかし、何としても金を作らないと白人に怒られるニダ」

 「でも朝鮮人が一生懸命働いても白人のポケットに入っていくニダ」

 「こんな生活はいやニダ」

 「もう、日本か中国と戦争するしかないニダ」

 「日本は戦争したがっていないニダ」

 「日本人を騙してお金を奪って、企業舎弟して貧富の格差を広げるニダ」

 「そうすれば社会が荒んで、日本人は戦争したくなるニダ」

 「日本が戦争に勝てば、戦争を煽ったウリが出世するニダ」

 「日本が負ければ、ウリが戦勝国市民になって、日本を支配するニダ」

 「日清・日露戦争でたくさん煽ったのに追い出されたニダ。日本人は酷いニダ」

 「あれは、木工12ギルドと神籬が悪いニダ」

 「許せないニダ。なんとか抹殺するニダ」

 「工作員に保身と名声と出世欲に固まった頭の悪そうな軍人を煽ってクーデターさせるニダ」

 「「「「・・・・・」」」」 にや〜〜〜

 

 

 アメリカ、ソビエト、イギリスの代理人が地図を囲みながら利権分けをしていた。

 「おバカな一部の朝鮮人を引き立てよう」

 「そして、朝鮮人の99パーセントを貧しくして奴隷状態にしよう」

 「それで、全朝鮮人を支配する」

 「朝鮮人から家も土地も金も奪って奴隷にするわけですな」

 「もっと消費税を上げるか」

 「あまり上げ過ぎると暴動が増えるのでは」

 「そんときは、朝鮮軍に朝鮮人を銃殺させればいい。人口が減れば、いろいろと奪いやすいからな」

 「なるほど」

 「だいたい、日本人は、朝鮮人を増やしすぎた」

 「常識的に、バカじゃないのってところですな」

 「「「あはははははは・・・」」」

 「朝鮮人が日本に密航して、日本と国交を回復させれば、大量の朝鮮人を送り込めばいい」

 「朝鮮人を日本人と混血させていけばいい」

 「日本はライ病にかかったように勝手に自滅していくだろう」

 

 

 

 6月

  ドイツ・ユーゴ通商協定調印 

 

 東郷平八郎元帥国葬(日比谷公園)

 多数の人々が集まると同時にいい機会なのか有力者たちも集まる。

 国葬が終わるとホテルが貸切となり、いろんな会合が行われていた。

 仙堂と角浦も当然のようにお呼ばれし、幾つもの利害調整をしなければならなかった。

 「タイ王国利権ってどうなの?」

 「今利権を売れば、投資の1000倍の価値で売れるだろうね」

 「列強の妨害は?」

 「買収されてる人間もいるようだが、バンコクから東北部に移動する人間が増えてる」

 「それで、列強も価格上昇を見込んで投資しているから、すぐに妨害することはないだろう」

 「だが開発が広がると価格は低下するはず」

 「適当なところで開発をやめるのでは?」

 「損益分岐点は見極めてるよ。開発は進めるが適当なところで手打ちにするかな」

 「手打ちとは?」

 「少しは残すとしても資源と交換」

 「なるほど、しかし、そんなに資源があったかな」

 「まぁ なければ他の物と・・・」

 「他の物って?」

 「まぁ いろいろかな」

 

 

 東京・台北間に有線電話開通

 

 

 レーム事件。ヒトラーがレーム、シュライヒャーらを粛清。

  

 

 

 日本で10t級1号(89式)戦車の開発に成功すると、

 15t級95式(2号)戦車の開発が始まる。

   全長5.8m(戦車長5m)×全幅2.5m×全高2.3m

   150馬力 整地38km/h 行動距離210km

   46.5口径37mm KwK36(120発)

   7.92 mm MG34機関銃 ×2 (3750〜4400発)

   乗員4人

 今回は、89式の強化型戦車で、設計から日独共同開発となった。

 ドイツ本国で部品を作って日本に運び込んで組み立てる。

 その繰り返しで日本のドイツ陸軍は1個師団に近く、

 気候の近い北海道で何度も演習を繰り返し、戦車・装甲車の調整を繰り返していた。

 日独の関係者たちが無線で一糸乱れぬ動きを見せるドイツ機甲師団に目を見張っていた。

 「いやはや、素晴らしい戦車師団だ」

 「日本は戦車開発に熱心じゃないようで」

 「日本は、朝鮮半島と南満州鉄道を放棄したので、要塞砲が大きい」

 「むしろ、開発が多くて、ブルドーザーが好まれてますよ」

 「我が国は失地が多いというのに、日本は新領地を増やしている。羨ましいですな」

 「可能な限りドイツを支援しますよ」

 「ありがたい。しかし、そろそろ、本国に戻ることになりそうなのですよ」

 「本当に?」

 「ええ、3号戦車からは、本国でも開発になりそうです」

 「3号戦車はいかほどになりそうで?」

 「さぁ 20tから28tくらいかと」

 「大きいというか。重そうですな」

 「多分そのくらいないと戦争にならないでしょう」

 「なるほど・・・」

 「日本は、どうするつもりで?」

 「たぶん、満州から引きましたからね。戦車開発費は半分以下に削減されるので」

 「せいぜい、95式戦車に50口径37mm砲を搭載する程度かもしれません」

 「アメリカと事を構えそうなのに、随分と呑気ですな」

 「日本の中米利権は2400kuで、針の一刺しに過ぎない」

 「アメリカのアジア利権はフィリピン、朝鮮半島、中国大陸をまたいで、300倍以上」

 「交換する気になれないはず」

 「いやいや、中南米6カ国は日本側ですし、南米数カ国が日本に靡いてる」

 「ユダヤ支配が強まったあと、アメリカ合衆国は動くかもしれませんよ」

 「それは困りましたね」

 「「「「・・・・」」」」

 

 

 7月 

 元老西園寺公望が後継首班を推す重臣会議開催(後継内閣決定の先例)

 

 岡田啓介内閣発足

 

 日本海軍艦艇

  33000t級瑞鶴型空母      瑞鶴、翔鶴

  10000t級龍驤型空母      龍驤

  38000t級長門型戦艦      長門

  32000t級金剛型戦艦      金剛、比叡、春名、霧島

  36000t級扶桑・伊勢型戦艦  扶桑、山城、伊勢、日向、

  16750t筑波型巡洋戦艦    生駒

  17636t鞍馬型巡洋戦艦    鞍馬、伊吹

  10000t級妙高型巡洋艦

          妙高、那智、足柄、羽黒。 高雄、愛宕、摩耶、鳥海。 黒姫、蔵王、吾妻、穂高、

  3200t級天龍型 天龍、龍田

  5100t級球磨型 球磨、多摩、北上、大井、木曾

  5170t級長良型 長良、五十鈴、名取、由良、鬼怒、阿武隈

  5200t級川内型 川内、神通、那珂

  2890t級夕張型 夕張

  1215t級峯風型駆逐艦

             峯風、澤風、沖風、島風、灘風、矢風、羽風、

             汐風、秋風、夕風、太刀風、帆風、野風、波風、沼風

  1270t級神風型駆逐艦

             神風、朝風、春風、松風、旗風、追風、疾風、朝凪、夕凪

  1315t級睦月型駆逐艦

             睦月、如月、弥生、皐月、卯月、水無月、文月、長月、菊月、三日月、望月、夕月

  1680t級吹雪型駆逐艦

             吹雪、白雪、初雪、深雪、叢雲、東雲、薄雲、白雲、磯波

             浦波

             綾波、敷波、朝霧、夕霧、天霧、狭霧、朧、曙、漣、潮

             暁、響、雷、電

  

 日本海軍は、ワシントン軍縮条約で米英に対し6割枠とされ

 戦艦30万tと空母8万1000tと制限された。

 海軍は、補助艦艇の増強か、戦艦改装で、お茶を濁すか、

 建造技術の保存で、海外に軍艦を輸出するよりなくなっていた。

 朝鮮半島の独立と、南満州鉄道返還は、日本の権力基盤のシフトが成した結果で、

 外交戦略の転換は、国防戦略を攻撃的なものから防衛的なものへと変えさせた。

 ドイツとの秘密協定は、日本の工業技術を押し上げ、技術的な向上を促進させ、

 日本海軍戦略を艦隊決戦から通商防衛・通商破壊へと移行させてしまう。

 しかし、妙高型巡洋艦など強力な巡洋艦が建造されると、軍縮した意味がなくなる。

 ロンドン軍縮条約で、日本海軍の補助艦艇が

 重巡洋艦10万8000t。軽巡洋艦10万0450t。駆逐艦10万5500t。潜水艦52700tと

 保有枠が制限されるようになると、

 建造技術の保存で、海外に軍艦を輸出するよりなくなっていた。

 さらに駆逐艦も1500以下となり、吹雪型の建造が不可能になってしまう。

 関係者

 「日本もドイツと同様、海外に軍艦を売ってでも技術を維持すべきだと思われます」

 「しかし、軍艦を売るといっても、売れるのは、ソビエトくらいのものだが。あまり売りたくないな」

 「中南米諸国に売れるのでは?」

 「中南米諸国か・・・」

 「旧式駆逐艦を中南米に売ればアメリカを牽制できますし、日本も新型駆逐艦を建造できます」

 「だが、対価がないと日本経済は破綻する」

 「そして、中南米の紙幣は持ってても使い道が少ない」

 「正直言って新領地をもらっても、税収が得られるどころか、捨て金に近いからな」

 「捨て金というわけでもなかろう」

 「紙幣は、そこそこ還流している」

 「まぁ 毎年、2000万から8000万を水増しできる幸幣がなかったら不可能に近いだろうがね」

 「では、南米諸国への軍艦の売却か」

 「内戦に使われかねないな」

 「中南米諸国もそうだが、反日勢力を中心にアメリカ製の武器弾薬が流れ込んでる」

 「じゃ 内戦を起こす気か」

 「手っ取り早いだろう」

 「中南米政府には忠告しておこう」

 「アメリカが反日勢力に武器弾薬を密輸中とね」

 

  

   1490t級初春型駆逐艦

     全長93m×全幅10.8m×吃水3.5m

     65口径105mm砲3基   83口径37mm機関砲4基

     61cm魚雷3連装2基6門  爆雷投射機2条20個

     ディーゼル機関電気推進30000馬力  30kt  航続距離6000海里/16kt

 設計関係者たち

 「神籬に、やれディーゼルしろ、やれ兵装減らせ、やれ電探載せろと、やいのやいの言われて酷いことになったな」

 「しかし、船としては復元性が良い方がバランスがいいし、航洋型な割に性能が悪くない」

 「外洋で戦艦の護衛ができる方が良いっちゃ いいが」

 「少しずんぐりだが」

 「まぁ 幅がある方が安定するし、命中させやすいが・・・」

 「こじんまりまとめましたって感じか」

 「高いがね」

 「それは設備投資の回収分も含まれるから、しょうがないさ」

 「本当にガラス製にしていくのか」

 「ガラス繊維の生産が増えいくから、段階的にそうしていくんだろうけど」

 「国家予算にしわ寄せか」

 「まぁ 幸幣を生産してるから、税金で紙幣を回収できるなら余裕な気もするが」

 「そんなこと言ってると、ますます、木工12ギルドが大きくなるだろうが」

 「そうだった・・・」

 

 

 朝鮮半島開発の収益(石油、鉄鉱石、石炭)の一部が海外地の開発に流用される。

 しかし、国内開発が忘れられたわけでなく、

 九州の防衛と直結した下関トンネルの建設が進められ、

 九州と四国を結ぶ豊予海峡トンネルの研究も進められていた。

 関係者たち

 「下関トンネルは100mで浅いが、豊後水道トンネルは、250mほど掘らないとむつかしいそうだ」

 「それでも朝鮮半島に近いし、九州が不安だからな」

 「複々線化して、貨物量を倍にする手もないことはない」

 「そんなに移動させる物資があったっけ」

 「戦争になったら九州が最前線になるし、移動が増えると思うよ」

 「戦艦や空母作る金があったらトンネル掘れって思うがな」

 「それじゃ 海外地は守れない」

 「海外地だって、結局のところ開発次第だからね」

 「まぁ それは言える」

 「紀淡海峡トンネルを掘って本土と四国を結ぶべきでは?」

 「紀淡海峡トンネルは、海底までそれほど深くないから、見込みありそうだ」

 「爆撃されると壊されないだろうか」

 「なるべく深めには掘るがその分、高くつくよ」

 「インフレ気味だから少しくらい高くても将来的には、端た金にされる」

 「老後が不安だな。まぁ 老人が犠牲になるか。若者が犠牲になるかだろうね」

 「歳取ったら幸幣でも作って余生を過ごすか」

 「「「「あはははは・・・」」」」

 「本土と北海道を結ぶトンネルは?」

 「まだ、南樺太と北海道を結ぶトンネルの方が浅くて楽そうだ」

 「例のガラス繊維は使うの?」

 「まぁ あそこは凝固剤もいいものを作ってるというし。水漏れ防止になるからね」

 

  

 8月

  ドイツ ヒンデンブルク大統領死去

 

 ドイツ大統領選挙でヒトラーが当選、総統と首相を兼任(〜1945年)

 ドイツは、日本と中国の両方に投資して再軍備と戦略物資で必要な準備を進めていた。

 日本の大陸交易は、大連州と租界に集中し、

 南満州鉄道を最大軍閥の蒋介石に引き渡したことで紛争がなくなっていた。

 日独関係、日中関係、独中関係の交易は、良好で、特に問題はないように思われていた。

 日本のカレリア地峡進出は、欧州諸国に様々な影響を及ぼしたが、

 北欧道が孤立していることに変わりなかった。

 そして、中国利権を拡大したいドイツと、北欧道を保持したい日本の利害は一致し、

 相互補完で、資材、機材、兵器と武器弾薬の両国間の移動が増加していた。

 ベルリン 日本大使館

 「ヒットラー総統は、軍事顧問団を拡大して、共産軍にトドメを刺したがってるし」

 「スターリンは、北欧道の意趣返しで、毛沢東の支援を増やす気でいる」

 「遠からず、中国大陸で日本製戦車とソビエト製戦車の戦車戦になるかもしれない」

 「じゃ 兵器、武器弾薬の売れ行きは、いいわけですか」

 「まぁ あまり売れ行きが良くても軍属が強くなって困るがな」

 「武器を売るために危険なゲームを始められたくないですからね」

 「戦争が拡大して、朝鮮半島の米英ソ軍と戦争になったら困るがね」

 「朝鮮共和国の米英ソ軍は、交戦国になっても互いは砲火を交えない、凍結協定を結んでるのでは?」

 「4カ国が日本と開戦すれば話しは別だ」

 「まぁ そうでしょうが」

 「なんにせよ。日本は最悪の状態に備えている」

 「ドイツが北欧道開発で応援してくれるのなら助かる」

 「北欧道は、ドイツにとっても対ソ橋頭堡なのでしょう」

 「北欧道を盾にするつもりはないよ」

 「だといいのですが・・・」

 

 

 

 30000t級客船 出雲丸

 ドイツの船舶用ディーゼル機関は、外洋商船のコストパフォーマンスを高めた。

 商船の大型化が進み、日本の通商航路を地球の裏側にまで広がっていた。

 30000t級〜40000t級の船舶が行き交っていた。

 多くは大恐慌中、日本を金本位制に戻したわずかな期間、欧米諸国から購入したものだった。

 船橋

 「せっかく建造した大型客船も欧米の商船と比較すると見栄えしないな」

 「これから、大型商船は、国家の意思になると思うよ」

 「それで、エクアドル行きがそれか?」

 「中米任那の成功は、南米諸国に影響を与えている」

 「日本人自治都市の建設は、南米諸国のアメリカの経済植民地からの脱却に繋がる可能性が高いからね」

 「日本の客船を見たいんだろうな」

 「今後、貨物を載せられない軍艦は、役割が小さくなっていくかもしれないな」

 「しかし、通商を守ってるのは軍艦だろう」

 「アメリカ商船も太平洋航路を行き来してる。それにいちいち護衛艦をつけられない」

 

  

 9月

  ソビエトが国際連盟加盟

 

  室戸台風が日本上陸

 

  日本・フィリピン間に無線電話開通

  

 

 グアム島

 日米非公式交渉

 「日本がこのまま、中南米に足場を築くなら、アメリカは中国に軍艦を輸出するだろう」

 「それより、アメリカは、中南米諸国で反日勢力を育て武装させようとしている」

 「日本が中南米を侵略しているからだ」

 「侵略ではなく、公正な取引で武器と土地を交換したものだ」

 「それより、アメリカは、中国大陸、朝鮮半島、フィリピン諸島を侵略している」

 「こちらは、対価がない」

 「・・・・・」

 「アメリカがこのままアジアと中南米で反日武装勢力を育て武器を引き渡すというのなら」

 「日本も、中国大陸、朝鮮半島、フィリピン諸島で反米勢力を育て、武器弾薬を引き渡さざるを得ない」

 「日本は、アメリカと戦争する気か?」

 「日本と戦争したがってるのはアメリカでは?」

 「経済制裁するぞ。石油を売らないからな」

 「その時は、メキシコに戦車・航空機・武器弾薬を輸出するよりないですな」

 「あと、朝鮮半島開発は、アメリカ企業独力でやるんですな」

 「「「「・・・・・」」」」 ぶっすぅ〜

 アメリカの代理人は、幾つも糸の束をテーブルの上に出した。

 「ところで、この生糸と木綿は、どうやって作ってるのか?」

 「さぁ 養蚕家や綿花産業の努力なので・・・」

 「アメリカ産より丈夫で品質がいい」

 「富裕層は、日本産の生糸と木綿で服を作り直している」

 「是非、生産のコツを教えていただきたいものですな」

 「生憎、政府は農家の調整と支援はしてますが、生産は関わってませんので」

 「神籬ですか」

 「そのようですな」

 「日本は、いい企業をお持ちのようだ」

 「まぁ 割食われてる既成勢力にとっては、暴れん坊ですがね」

 「でしょうな・・・」

 「なんなら、神籬を潰す手伝いをしましょうか」

 「いやいや、神籬は、毒もありますが薬もあるので」

 「一人だけなら、どうです? 陥れる工作ぐらいしてあげられますよ」

 「いやいや、今のところ、二人とも日本国の役に立ってましてな」

 「・・・・・」 

 「日本のタイ王国の近代化は、どんな意図があるのでしょうか」

 「日本は欧米の矢面に立ってるようですので、軽減したいのですよ」

 「タイ王国がフランケンシュタインにならなければいいのですがね」

 「あはははは・・・まぁ 独立国家ですからね。なるようになるでしょう」

 「逆にそのくらいじゃないと、日本への圧力は軽減できませんし」

 「・・・・・」

 

 

 10月

 陸軍省がパンフレット「国防の本義と其強化の提唱」を配布、社会主義国家創立を提唱

 

 

 スペイン マドリッド 日本大使館

 日本人たち

 「・・・カタルーニャが独立宣言か」

 「なんか、一触即発で内乱前夜だな」

 「もう、共和国派と人民戦線派と、内戦状態では?」

 「どっちについたものか」

 「赤道ギニアと交換に10個師団相当の武器弾薬という話しは?」

 「例え、武器と交換でも、日本に植民地を売り渡した瞬間、信任を失って戦線が崩壊するらしい。流れたよ」

 「それは残念」

 「まぁ 米英仏が全力で妨害したらしいからね」

 「やはりですか」

 扉が開いた。

 「大使。カタルーニャ独立は鎮圧されたそうです」

 「なんとも、キナ臭くなりそうだな」

 

 

  ルイ・バルトゥ仏外相とユーゴ国王アレクサンダル1世が暗殺される(日本でも号外)

 

  中国工農紅軍が瑞金を脱出し長征を開始

 

 大連州(3462ku)

 択捉島(3139ku)より少し大きな島だったが本土並みの発電所と製鉄所と工場群が作られていた。

 その多くは、中国向けの工業生産品で貨車に載せられると中国に向かい、

 数百倍の量の資源が大連州へ送られてくる。

 その資源を加工することで、大連州は強大な生産力を手に入れ、大連州の生産を大きくしていた。

 対中国国境線は対戦車用の堡塁と堀が築かれ、漢民族や朝鮮民族の侵入を防いでいた。

 南満州鉄道を中国に返還したものの、

 正式に日本領となった大連州の日本人移民は200万人を超え、

 大規模な公共工事によって、日本並みの風景が作られていた。

 そして、赤字だった財政は黒字へと転換したのだった。

 関係者たち

 「日本と電話が繋がりました」

 「海底電線が繋がれば暗号なんて、面倒なことをせずに済むな」

 「ええ、大連州の生産力は年々上がってますから、経済的な自立も近いでしょう」

 「なんのことはない、人口と生産を増やしつつ、お金を国内に還流させれば、公共設備は増え、生活は良くなるわけか」

 「対外的にお金を使いたがる勢力もいるようですがね」

 「神籬なら黒字にする傾向が強いから問題はなかろう」

 「逆に下克上されて困る既得権益は多い」

 「利権に頼って親方日の丸化した企業は天下りが多く、排外主義で、賃金が上がりすぎて労働効率が悪いですからね」

 「朝鮮半島独立と、南満州鉄道の返還は、大正末年・昭和元年の節目は、最大の利権潰しだったからな」

 「かなり泣いた者たちが多かったようで」

 「どうせ少数だよ。日本全国民が胸を撫で下ろしているなら構わないだろう」

 

 

 

  日本・蘭印間に国際電話開通

 

 

 カレリア地峡 北欧道(6000ku)

 日本から運んできた機材と資材で火力発電所が建設されると小型製鉄所と工場が建設され、

 城塞都市が建設されていく、

 しかし、10個師団相当の武器弾薬と交換したカレリア地峡(6000ku)の大地は、森と湖だけで、

 燃やすべき石炭も石油もなかった。

 第12師団を中核にした工作師団5個が要塞線を構築していた。

 10万人が陣地構築を繰り返し、

 45口径356mm連装砲台、55口径150mm連装砲台、76口径88mm砲台、83口径37mm砲台を築いていく、

 要塞線建設が進むにつれ、日本人の人口は増え、対欧州・ソビエト通商の窓口になっていった。

 

 司令部

 日本の短波ラジオを聞きながら暗号を聞き取っていく、

 暗号を確認すると、指定された本を選び、単語を足していくと文章が完成する。

 「ええ・・とぉ・・・カレリア地峡に金になりそうなものはあるか・・・です」

 「時間は、かかりますが読めますし。まぁ 上手くいきますね」

 「後は、まぁ 暗号方式がバレなきゃ 上手くいく」

 「捨て駒みたいだし。北欧道が守れるのか。不安だね」

 「取り敢えず、城塞都市を建設できたら一息なじゃないか」

 「それより社会基盤と工業力がないと、人は居つかないよ」

 「まぁ そうなんだけどね」

 「返事はどうします?」

 「特にないが、シュンガイト石のルートを作った」

 「この黒い石。なにか役に立つんですかね」

 「さぁ 磨けば碁石になるかも」

 「パッとしませんねぇ」

 「だよねぇ」

 「まぁ カレリア地峡に資源が出るようなら、遠の昔にソビエトに占領されていただろう」

 「ですよねぇ」

 

 

 

 11月 

  昭和天皇と香淳皇后は、東北地方の冷害凶作被害に対し

  救恤金50万円を下賜される。

 

  群馬県桐生市で昭和天皇誤導事件

 

  流線型機関車第一号(C53の改造)

 

 

 東京

 扇動家たち

 “アメリカは、中国に軍艦を輸出しようとしてるニダ」

 “戦うニダ。今がチャンスニダ”

 “中国に攻め込むニダ”

 “中国人に日本人がたくさん殺されたニダ”

 “英霊が命懸けで手に入れ、奪われた失地を取り戻すニダ”

 “半島をアメリカ、ソビエト、イギリスから奪い返すニダ”

 “戦争するニダ。絶対に勝てるニダ”

 

 

  第66臨時議会召集

 “常時、戦闘機100機、10個師団相当の武器弾薬をストックしているのはどうかと思うが”

 “外交戦略は、軍事的圧力か、国際貢献の二つしかない”

 “利権と交換に戦闘機100機と10個師団相当の武器弾薬を引き渡せる国力は大きな外交力だ”

 “しかし、そのために削られる費用は大きく、手に入れた領地の開発は、大きな負担につながっている”

 “しかし、政治、経済、軍事で独立した海外領地は、戦艦以上に大きな影響力をその大陸に与える”

 “アメリカは軍艦を中国へ輸出すると言ってるぞ。たぶん、旧式の戦艦だと思うが”

 “中国も馬鹿ではあるまい、日本と無為に戦争してもいいことないはず”

 “米中艦隊に挟撃されたらどうする。そこまでの備えが足りないぞ”

 “海軍は、シミュレーションは、どうなってるのか?”

 “日本と日本国民を盾にすれば撃退可能ですが”

 “日本と日本国民を盾にだと、なんという・・・”

 “艦隊が壊滅して、日本が敗北するよりましなのではないでしょうか”

 “ ”

 “ ”

 “ ”

 

 

 12月

   丹那トンネル開通。それに伴いダイヤ改正。

 

   ワルワル事件。伊とエチオピアが武力衝突。

 

   日米間に国際無線電話開通

  

   東京・樺太間に電話開通

 

   第67議会召集

 

 ヨシフ・スターリンが大粛清を開始する。

 クレムリン宮殿 カザコフ館

 幸幣が書記長に手渡された。

 用心深い男ではあるが、自衛と権力掌握のため、使えるモノは敵味方なく利用する男だった。

 「これで、要塞を作る資材を供給して欲しいと」

 「よろしくお願いしますよ」

 「まぁ これだけの買収資金があれば、身の安全は守りやすいな」

 「しかし、日本はドイツと組み、我が国を攻める気なのではないのか」

 「我が国は好景気でして、戦争する気はありません」

 「それに小なりとて、開発するには大きな面積。数十年は、開戦する気も起きません」

 「だといいがな」

 「ソビエトが攻めてくるのなら別ですが」

 「わかった。資源と資材を日本に売ろう」

 「ありがとうございます」

 「代金は、物資と交換で」

 「よかろう」

 日本の代理人が去っていく

 

 「同志スターリン。良かったので?」

 「大粛清で敵が増えている。いまは金が必要だ。海外でも使える幸幣は特にな」

 「石油や鉄を売ってやるくらいなんでもない」

 「それにカレリア地峡を一朝一夕で開発などできるものか」

 「時期が来れば、フィンランドも日本もまとめて潰してやろう」

 「しかし、単独で日本と戦争になれば、朝鮮半島は使えません」

 「北樺太とカムチャッカ半島が風前の灯火となりますが」

 「・・・・」

 

 

 

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 月夜裏 野々香です。

 木仙一族

   仙堂春和(28歳) × 山城美奈(24歳)   一樹(6)  智樹(2)

   角浦秋和(28歳) × 日向奈美(23歳)   青葉(6)  芳樹(2)

 

 

 1926年 巨済島(400ku) 済州島(1845ku) 鬱陵島(72.82ku)

 1926年 大連州(3462ku)

 1930年 任那州 フォンセカ湾 ニカラグア領地コシグイナ(400ku)

 1932年 任那州 フォンセカ湾(1200ku) 4カ国不戦条約により拡大

             ニカラグア(400ku)+ホンジュラス(400ku)+エルサルバドル(400ku)

 1932年 北欧道 カレリア地峡+フィンランド湾諸島 (6000ku)

             スールサーリ島(21ku)、ラヴァンサーリ、大・小チュテルサーリ島他

 1934年 任那州 中米7カ国不戦協定調印 (2400ku)

             フォンセカ湾(1200ku)  旧ニカラグア・ホンジュラス・エルサルバドル領

             旧コスタリカ領 ココ(瓜生)島 (46.6ku)

             ブリカ(中ノ鳥)半島 (753.6ku)  旧コスタリカ領(353.4ku)+旧パナマ領(400ku)

             旧グアテマラ(沖ノ浜)領(400ku)

       任那。ニカラグア、ホンジュラス、エルサルバドル。コスタリカ、グアテマラ、パナマ、

 

 

 

 

 

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第13話 1933年 『極東の楔 VS 中南米の楔』

第14話 1934年 『中南米7ヵ国不戦協定』
第15話 1935年 『東南アジアの熊襲』