第17話 1937年 『国際金融マフィア VS 木工12ギルド』
1月
スペイン内戦
米議会がスペインへの武器輸出禁止決議案を可決
反政府軍が領海に機雷を敷設し海上封鎖
ソビエトは、スペイン人民戦線共和国派を支援させる系朝鮮人部隊をバレンシアに上陸させると、
イギリスも右派フランコを支援するため朝鮮人部隊をガリシアに上陸させていた。
ロシア軍将校たち
「上手く朝鮮人を利用できるだろうか。引率教官は面白くなさそうだったが」
「朝鮮半島でいい生活したいなら男は兵士で。女は売春婦ですからね」
「質はよくないが、試しに使ってみるらしい」
独政府が外国軍艦のキール運河自由航行を禁止
独海軍練習艦エムデン号が横浜港に入港
衆議院で浜田国松代議士と寺内陸相が割腹問答
廣田内閣総辞職
日米綿業協定調印
宇垣一成に組閣命令
ソ連政府、第2次モスクワ裁判においてゲオルギー・ピャタコフら反スターリン派に死刑判決。
ケソン比大統領来日
寺内陸相が後任に中村孝太郎を推薦
政治のゴタゴタと別に、領地獲得や一旦予算が決まったことは官僚組織が継続していく、
中南米6ヵ所の任那、タイ王国の熊襲、チリの蝦夷の開発がそれだった。
短期のうちに大規模な予算が投下され、
軍事基地が建設されれると、社会基盤に応じて人口が増え、生産力が増していく、
不効率な拠点に投資がなされ、人口が増えていく、
この事象は、世界恐慌に続く、ブロック経済へ移行する特殊な国際情勢がなしたことで、
通常は非効率過ぎてありえない、
この小さな拠点は、ブロック経済に対する針の一刺しでもあった。
熊襲 (400ku)
日本製商品が運び込まれ、タイ王国やイギリス植民地へと流れ込んだ。
タイ王国は、独立できうるだけの武器弾薬を保有し、
それを維持するため、さらに日本との取引を増やしていた。
日本から購入した軽巡9隻は、スペインを封鎖する。
コルベルク(川内)型軽巡洋艦9隻
排水量5195t/常備5595t
全長162.15m×全幅14.17m×吃水4.80m
ディーゼル機関2500馬力20基 50000馬力
速力30kt 15kt/15000海里
乗員380名
60口径150mm砲4門 83口径88mm砲4門 37mm砲2門
533mm3連装魚雷発射管4基 93式機雷56個
航空機3機
コルベルク(長良)、マインツ (五十鈴)、ロストック (名取)、
アウクスブルク (由良)、マクデブルク (鬼怒)、ブレスラウ (阿武隈)、
シュトラースブルク (川内)、シュトラールズント (神通)、グラウデンツ(那珂)、
コルベルク(長良) 艦橋
「艦橋が高く、見晴らしがいいのは悪くないな」
「大波が来ても艦橋に被りにくいのがいいですね」
「しかし、艦首に60口径150mm砲2基を背負い式。艦尾に60口径150mm砲2基を背負い式配置」
「船体中央に魚雷と対空火器か。まるで、駆逐艦のような作りだな」
「ドイツに大砲と機関を作らせて、ドイツが買えるようなったら売るでしたからね」
「全部買うことは無理ですし。悪くない商売です」
「しかし、同等のドイツ軽巡の半分しか火力がないのは気に入らんが、魚雷は強いようだ」
「本当は610mm魚雷だったそうですよ」
「買ったとき、これだけは、って外されましたけど」
「まぁ 構わんだろう。ドイツで生産していないものを載せたって役に立たん」
「9隻あるなら工場を割り振るのでは?」
「かもしれん」
「しかし、日本も、まだ軍縮条約の縛りがあるはずだが、随分と余裕だな」
「軍縮条約破棄でもおかしくないのだがな」
「自分から破棄したくないのでは?」
「なるほど、日本よりイギリスの方が苦しい」
「だからドイツに軽巡を売って、イギリスに軍縮条約を破棄させてやれか」
「日本が状況を作り出すようになるとはね」
「それに、日本は、いつでも建造できる状態なのかもしれません」
2月
白白教事件
林銑十郎内閣成立
スペインのフランコ将軍、マラガを占領
33000t級空母瑞鶴
木製航空機は3種類あった。
接着剤、ボルト、ナットなど工業的な手法で製造された機体でもっとも生産性が高い、
もう一つは、木工12ギルドメインの継ぎ手・仕口など木工細工的な手法で技能的な手法で生産性は劣る。
最高峰は、神籬の幸幣的な手法で製造する、もっとも価格が高く、生産性が低い、
そして、空母に搭載されている戦闘機は、最高峰の神籬の機体。
停止状態は、機体・主翼後部が垂れ下がり、
飛行に入ると対空速度に合わせて、水平になり、
旋回に入るとドラゴンの翼や尻尾のように上下した。
艦橋
「やはり、圧倒的に神籬の機体が強いな」
「ええ、高速型なのに複葉機かと思うような旋回力ですからね」
「だが値段が高い、生産性が悪い」
「そして、神籬型戦闘機の生産量を確保しようとすると木工細工師を100万人体制だ」
「やばいですか」
「鉄鋼関係とゼネコンは、工業力に回したい人口が多いし、ゼネコンに回したい人口も多い」
「木材だって、6割が輸入だし、人口を木工産業に取られたら困るだろう」
「それで、南米に拠点を欲しがったわけですか」
「そういうことだ」
「しかし、木工産業に人口を取られたくないと言ってる割に増えてますよね」
「仕事に溢れても幸幣を作れば食いっぱぐれはないからな」
「日銀が幸幣を淘汰しようとするほど、少ない労力で、高く売れる」
「やめられないだろうな・・・」
97式戦闘機が艦橋の横を通過していく、
「陸軍機とは思えませんね」
「特に神籬型はな」
「ぶっちゃけ、96式、97式を外国に売ってでも、その金で神籬の機体を揃えたい」
「確かにそれは言えますね」
3月
ローマ教皇ピウス11世、ナチスによる教会弾圧とユダヤ人差別を批判する回勅『ミット・ブレネンデル・ソルゲ』を発表。
大阪帝大でサイクロトロン完成
衆議院が会期最終日にして解散(食い逃げ解散)
アメリカ合衆国
生きるために協力していた家族、同僚、親類、友人、隣人が、
金のために争い、コミュニティを破壊し、殺し合う。
紙幣を供給し、紙幣を止めるだけで、こういった現象が起こっていく、
テレビで金を巡る犯罪が流れるなら、
カスどもが憎み合い、加害者の狂気と被害者の呻き声が聞こえてくる様で悦な気分を味わえる。
大恐慌の経緯は、前段階でFRBが紙幣発行を増やし、泡銭を株市場に誘導することで準備が進む、
株価は、借金を繰り返すことで釣り上げられ、配当は採算を悪化させ、
採算を上回る投資と、需要を上回る供給が形成されていく、
ここで、FRBが紙幣発行量を減らした結果、株価は上げられず、
社会資本は衣食住など生活必品に集中して借金返済は不可能になり、
アメリカの金融経済は破綻し、大恐慌となった。
基幹産業と結び付きが強く、強制的に資本を吸い上げる企業を除けば、
生活必需品を扱う企業でさえ資金繰りがつかなくなれば倒産するよりなく、
資本のない企業から順番に潰れていく、
借金と不良債権を抱え込んだ庶民は路頭に迷い、
株価狂乱に巻き込まれなかった庶民さえ、企業のリストラによって弱者から放り出された。
さらに中間層さえ、社会資本が利権に吸い上げられ、
皺寄せで失業者が蔓延し、奴隷労働者と化していた。
農業でさえ合理化が進んで単品生産が進んで、自給自足から程遠く、
金のために家族が啀み合い、金のために殺人を請け負う者が急増すれば、金融マフィアの理想世界で、
資金不足に陥った者たちは次々と利権を手放し、権力が金融に集中していく、
大恐慌のアメリカは、国内消費が減少しており、溢れ出す石油500万klを日本に輸出していた。
しかし、それとは別に3倍の石油1500万klを朝鮮半島保障地開発費として日本に輸出していた。
早い話し、同盟保障地32000kuは、石油換算で日本以上の大城塞都市圏が再建され、
アメリカ、イギリス、ソビエトのユダヤ人が大挙として朝鮮半島に集まり、都市の主人公になろうとしていた。
とはいえ、ユダヤ資本による朝鮮開発需要で、
日本に必要な石油が大量に供給されたことに変わりなく、空前の好景気となり、
公共設備は日本全国に波及し、余剰の国力を消費し海外地を広げていた。
この頃の日本は、幸幣の購買力が高く、ガラス繊維量産が進み、
アメリカが想定した規模の3倍の公共設備を建設していた。
アメリカ合衆国 東海岸ジキル島
金融マフィアたちが厚さ1mmほどの幸幣を丸めたり広げたりして弄ぶ、
当初、神社仏閣で発行された御籤の一種だったが、短期間で日本全国で使われ、
神社仏閣を中心とした一大組織が形成されていた。
学校教育で木工が取り入れられ、幸幣は代用紙幣として使われ始めた。
日本の木工細工師が作る代用紙幣は、芸術作品であると同時に金融マフィアの敵で、
この幸幣せいで、金融支配の牙城が崩されつつあった。
模倣乱造して価値を下落させようとしたが上手くいかない、
それどころか、12干支額1992幸幣セットは、貿易決済用単位でも使われ、
諸外国内でも高額取引で使われそうな勢いがあった。
「やはり、芸術作品であることが、幸幣の価値を保っているようだ」
「模倣はできないのか?」
「上手くいってないよ。仮に上手くいったとして、我が国には御籤などという因習はないし、どうやって使うね」
「何より日本の真似なぞできるか」
「朝鮮半島で作れないのか」
「試みてはいるが、森の少ない国で禿山ばかりだ」
「なぜだ?」
「木を燃やして暖をとるからだろう」
「神籬にツゲの森を作ってもらえ」
「神籬は朝鮮人と中国人を警戒してるし、それ以上に我々を警戒している」
「それに日朝は国交断絶して。日本人は同盟保障地しか出入りできない」
「どうしたものか・・・」
「日本を中国相手に戦争させられないのか」
「生憎、日本は、朝鮮を独立させ。南満州鉄道からも引いてる」
「中国大陸で戦争する気はなく。国内産業の拡充に集中している」
「たぶん、早い時期にドイツに準ずる産業基盤になるかもしれないな」
「アメリカ産業の方が弱体化してしまうのでは?」
「熟練工は、減らされてるが、まだ大丈夫だろう」
「問題は、共産革命が起こりかねない」
「金持ちは、金のない奴らのために信用創造で借金して食料を作ったりしないからね」
「試しに朝鮮でフードスタンプ制を敷いて見るか」
「フードスタンプは、紙幣を特定の企業だけ流して、庶民に金を流さずに済む」
「国民を資本経済と非資本経済で分けてしまう」
「資本ゲームから落伍したクズ連中を排除できるし。紙幣発行量を必要最小限に減らせる」
「そして、ライバルとなる新興企業は興せなくなるし」
「中小企業は泡銭を漁って会社を大きくできなくなる」
「できるなら朝鮮より、アメリカ国内で先にやりたいものだ」
「議会はフードスタンプに反発している」
「当然だろう。紙幣発行量を減らされたら、アメリカンドリームも消えるからね」
「もっとフードスタンプの広告が必要になるな」
「アメリカ人がそこまで馬鹿になればいいがな」
「アメリカ人は無知が多いよ」
「それにあと10年くらい不況を続ければフードスタンプでもいいってなるさ」
「何はともあれ、敵は、日本だと思うね」
「日本は、石油を断てば、終わりだよ」
「日本が武器弾薬を供給した国々もいずれ旧式化するだろうし」
「内戦やクーデターの危険性が大きくなっているだけだ」
「むしろ、日本の工業力を利用し、朝鮮半島利権を磐石にすべきだと思うが」
「やりすぎると、石油欲しさに、東南アジアに侵攻するかもしれないぞ」
「そうなれば、日本の海外地は要害になる」
「そうなったとしても石油を断てば軍艦を維持できなくなる」
「それに日本の石油消費も年々増えているから、日干しも早まるだろう」
「だといいが日本の建設事業はこちらが考えてるより早い」
「次のオリンピックに備えて無理しているだけだろう」
「それならいいがね」
「なにか、不確定要素か、不安定要素でも?」
「輸出した屑鉄より。鉄筋コンクリートが多くてな。気になってるだけだ」
「たぶん、スターリンの権力基盤を助けて、売ってもらった鉄と石油だろう」
「どうせ、長続きしないし、気にすることもないだろう」
「だといいが・・・」
「なんにしてもアメリカの主要利権は手に入れることができてる」
「利権の買い占めで、もう少し不況を続けてもいいが」
「そろそろ、戦争を始めてもらって利権を大きくしてもいいような気がするな」
大連州(3462ku)
朝鮮半島ほどでないにしても上下水道、電話回線等などの社会基盤が作られ、
近代的なビルが建ち並んでいた。
真新しい町並みだったものの、100万人の日本人が住み、
日本人の、日本人による、日本人のための社会が作られていく、
木工12ギルドの圧力で徴兵制が執られず、予備役制となっていた。
大連州軍の倉庫は20万人分の武器弾薬が眠っていた。
抜き打ちで甲種が徴集され、実弾演習が行われ、一定期間の訓練後、解散させる。
ほとんどの国民は、戦時の指揮系統と戦術。銃器の取り扱いを知っていた。
無論、攻勢に堪えられない練度に過ぎなかったものの、防衛線を守るだけなら十分だった。
不逞な日本人たち
「久しぶりの顔合わせと徒歩行で疲れた疲れた」
「射撃は楽しかったけどな」
「たったの10発じゃ面白くない」
「戦争でも近いのかね」
「大陸で、国民軍と共産軍の内戦だろう。あと南京軍閥と重慶軍閥が離反気味らしいからな」
「火の粉が大連州に飛びかかってこないとも限らないんじゃないか」
「満州の蒋介石は、時間稼ぎしてる気がするし。南京と重慶の軍閥も分裂気味だし」
「内陸の毛沢東も日和見なんじゃないの」
「まぁ 武器を買ってくれるならどこでもいいような気がする」
「その武器をこっちに向けなければな」
「そうはいっても鉄、石炭、石油は欲しいからな」
「なんにしても大量の武器弾薬を大陸に売れば治安が悪化する戦争どころじゃなくなる」
4月
ビルマ、英国の準自治州に。
ヘレン・ケラー来日
スペイン内戦中、 ナチス・ドイツ空軍がゲルニカを空襲。
第20回衆議院議員総選挙。
立憲民政党179、立憲政友会175、社会大衆党37、
昭和会19、国民同盟11、東方会11議席。
木工12ギルドの最大公約数的な政治的合意は、半島大陸不介入と内需拡大しかなく、
人物本位で推薦され、政党の縛りが少なかった。
そのため木工12ギルド系議員は、幾つもの政党にまたがり、超党派な政治勢力を形成していた。
逆に、細かい綱領を7つも8つも作ろうとすると空中分解しかねないため綱領そのものが少なかったのである。
木工12ギルドは、2・26事件以降、軍部の勢力比が変わって中枢に浸透していく、
内需拡大は、朝鮮半島からの爆撃を考慮するなら合理性があった。
ドイツで製造された戦車が神戸港に降ろされた。
25t級4号戦車
全長7.02m (車体長5.89m) ×全幅2.88m×全高2.68m
速度 整地38km/h / 不整地16km/h 航続距離210km
24口径75mm砲 7.92 mm MG34機関銃×2
マイバッハ 300馬力
乗員5 名 (車長、射手、装填手、操縦手、通信手)
この時期の日本戦車開発は、ドイツ戦車開発とほぼ同期していた。
原因は、カレリア地峡の日本領北欧道にあるのだが、
日本戦車の強化は、ドイツの東欧政策とも絡んでいた。
関係者たち
「こんな戦車作れるのか?」
「陸軍造兵局が無理でも、海軍造兵局なら作るよ」
「しかし、昨年22.7t級3号戦車で。今年は、25t級4号戦車とはね。本気で戦争する気かな」
「10t級89式(1号)、15級95式(2号)はともかく。3号から日本の運用は辛くなるな」
「いま、橋と道路を強化してるよ」
「どうせまた、戦車が重くなりそうだけどな」
「一応、60tに耐えられるよう設計している」
「よく金があるな」
「奇妙なことにドイツと連動させて戦車開発を押したのは木工12ギルドで。反対したのは陸軍なんだよね」
「なんで?」
「陸軍の機械化に予算を削られると、将兵を減らさざるを得ないだろうが」
「1個師団に鉄500tを使うと仮定して、25t戦車で換算すると20両になっちゃうしね」
「1個師団20000人が、乗員と整備士を入れても200人になってしまう」
「だから師団を創設するなら戦車を作れって、木工ギルドが騒ぐわけだ」
「げっ」
「陸軍に人材を取られないで嬉しいのは、木工12ギルドなんだよ」
「じゃ 陸軍は、士官ポストや政治的な実権が優先で軍属を増やしたかったけど、木工ギルドに邪魔されて失敗か」
「「「「あはははは・・・・」」」」
「笑えねぇ」
「それに神籬も国内配備は後回しで。日本にとって都合のいい国に輸出して石油を買えばいい、だしね」
「その辺は、わかってるのか」
「わかってるから、逆に厄介な時もある」
「水増しした数字を出したらいきなりバレた」
「「「「・・・・・」」」」
「仙堂と角浦は、木が教えるから不用意に交渉するなって聞いたぞ」
「「「「あはははは・・・」」」」
「あと、実は、半島の租界建設が一番のドル箱だ」
「子供だって、自分の首を絞めて喜んだりはしないぞ」
「だけど、石油は入るし、金になるし、神籬に負けたくないし」
「「「「・・・・」」」」 ため息
「ブルドーザーだって、たくさん作れるし!」
25t級4号戦車はライセンス生産されたものの、
日本陸軍で採用配備されることなく、輸出用で生産されることになった。
5月
北海道美唄町で大火(629戸焼失)
宮城県志津川町で大火(340戸焼失)
東京
左翼系扇動家たち
“蒋介石の国民政府は「半植民地的・半封建的支那の支配層ニダ。ブルジョワ政権ニダ。軍閥政治ニダ」”
“局地的解決も不拡大方針もまったく意味をなさないニダ”
“講和・不拡大方針反対ニダ。日中戦争拡大ニダ”
“アメリカが中国に軍艦を輸出しそうニダ”
“その前に戦うニダ。今がチャンスニダ”
“中国に攻め込むニダ”
“中国人に日本人がたくさん殺されたニダ”
“英霊が命懸けで手に入れ、奪われた失地を取り戻すニダ”
“半島をアメリカ、ソビエト、イギリスから奪い返すニダ”
“戦争するニダ。絶対に勝てるニダ”
喫茶店
青年となった男たちが新聞を片手にコーヒーを飲んでいた。
「また、大火か」
「まだ、日本に残ってる奴がいるんだな」
「密入国は増えてるらしいよ」
「やれやれ、火事場泥棒が・・・」
「不燃木材で家を作ってるから、そのうち燃えなくなるだろう」
「予算も増やしてもらってるしね」
「しかし、よく予算が通ったな」
「幸幣と日幣が張り合ってるからだろう」
「ていうか、幸幣を作らせたくないからじゃないのか」
「それはあるな、こっちが木工生産を増やすとそれ以上に円紙幣を刷るし」
「こっちが幸幣の生産を減らすと、円紙幣も減らすんだから、どう考えてもこっちの徒労感が大きい」
「まぁ 幸幣を金融市場から排除したいのはわかるが、露骨すぎるというか、省益じゃなくて国益で考えろよ」
「新規住宅100万戸建設は、木工をそちらに傾けて、幸幣を減らしたい裏もあるだろうけど」
「幸幣の希少価値が高まると、一定数は生産されるからな」
「それに建設機械は多いほどいい」
「それはそうと、朝鮮共和国が国交を結びたがって非公式会議を続けてるみたいだけど」
「断れよ」
「石油とドル札で賄賂を渡そうとしてきたらしいよ」
「石油とドルか、じゃ アメリカの画策だな」
「利権の絡んだ強者はともかく。関東大震災とか、大火の度に連中に怯えないといけない弱者は嫌だろうね」
「しかし、資本家は、炭鉱と荷揚げ荷降ろし関係は、どうしても労力を欲しがるからな」
「だから機械化させようとしてるんだろうが」
「まぁ 帝都再建計画が成立したおかげで、住み良くなってるのは助かるね」
「やはり巨大地下網の建設?」
「主要7都市圏周囲の山にまで上下水道と通信網と地下鉄網を広げるらしい」
「大層こったねぇ」
「それが、アメリカが4t爆弾搭載の大型4発重爆撃機を開発しているらしくてな」
「それ100機に爆撃されるだろうで、計算している」
「確実に爆弾の被害から免れるのは、山だろう」
「山か。山が爆撃されると嫌だな」
「山といえば、台湾のキングウッドとローズウッドは、どうだった?」
「上手く自生しているようだ」
「富裕層はガラス繊維なんて量産品に見向きもしないから、文字通り宝の山になるよ」
「それは良かった」
「あと、熱帯林公園を公開して入場料を取れば、木工12ギルドの啓蒙にもなるだろう」
「やり過ぎると、また、鉄鋼利権に狙われそうだけどな」
「あはははは・・・ガラス繊維で駆逐艦を建造してみようとか言うからだろう」
「木を切ると禿山が増える。鉄は少ない」
「それなら補助艦艇のガラス繊維を増やすしかないだろう」
「あと、ドル箱になりそうなのは、タイ王国東北部か」
「あそこはいいね」
「鉄道と運河が建設されて、水路と灌漑が進めばタイ王国で一番住みやすい土地になる」
「タイ王国軍の様子は?」
「一応、神籬がパイプ役をしてるから、日本を味方と思ってるよ」
「だといいけど、権益を奪われたらと思うと気が気じゃないね」
「山田長政みたいに深入りしない方がいいのかもしれないね」
「というより、木を介せば敵と味方を判断できるし、敵を排斥しやすい」
「子供がもう少し大きくなったら、敵味方識別を手伝わせよう」
「子供は、まだ早いだろう」
「だけど、銃口突きつけられたこともあるだろうし」
「子供相手、先生相手、許嫁候補相手にやってるだろうが・・・俺たちだって・・」
「まぁ そうだが、許嫁か・・・」
「閨閥や容姿に関係なく、最低限、木仙の能力は相続させないと、足元を掬われかねないからな」
「しかし、俺たちが狙われたのだって閨閥じゃないのもあるし。今度、閨閥外したらまずい気もする」
「逆に撃たれたのは、閨閥だからって気がしないでもないね」
「まぁ そのへんは、ケースバイケースなんだろうな」
「それはそうと、名古屋で適当な子供を見つけたよ。3歳くらいだったから、親を神籬か、木工ギルドに誘ってる」
「適当な時期に子供たちに会わせてもいいだろう」
「そうか。俺も木工ギルドの子供で、一人見つけた。ただ、少し弱いから迷ってる」
「まぁ 閨閥でそういう子供が生まれるのが一番なんだろうがね」
「よくわからんが10000人に1人くらいじゃないのか」
「10000人も見たわけじゃないがね」
ヒンデンブルク号爆発事故
英ジョージ6世戴冠式
11300t級妙高重巡洋艦 足柄
全長192m×全幅19m×吃水5.9m
100000馬力 32kt 航続距離20kt/10000海里 10kt/21500海里
60口径150mm3連装砲4基12門
78口径88mm対空砲連装4基8門 83口径37mm対空機銃10門
610mm魚雷発射管4基16門
水上偵察機3機
足柄の火力はそれほど高くなく、総合的に低い評価をされたが、
ディーゼル機関電気推進は、高度な技術の集大成で
無給油で、いかなる海域でも派遣可能だった。
そして、これら長距離航海可能な巡洋艦群が任那、熊襲、蝦夷など遠洋領地を支えていた。
「違う意味で注目を浴びてるな」
「火力が小さいからね」
「まぁ しょうがないさ」
「帰りは南米諸国を回っていくのか?」
「ああ、政府は、軍艦を見せびらかして、日本と同盟を強めさせたがってる」
「南米諸国は、日本と組まない限り、アメリカの間接経済支配は続く」
「大西洋側もドイツと組めばアメリカ資本やイギリス資本の軛を剥がせるだろう」
「たとえ、大恐慌で貨幣価値を高めて南米の富裕層を取り込もうとしたところで、大多数は反米だ」
「外務省は、工作すれば、南米に味方が増えると思ってるらしい」
「反共で潰されるのでは?」
「民衆の声でも反共で片付けてしまえるのが反共のいいところだけどな」
「反共は、便利ですからね」
「正直、資本主義と共産主義の間は、無数の中間段階がある」
「二者選択していいものじゃないのだけどね」
パリ万国博覧会開幕(〜11月25日)
英ボールドウィン内閣総辞職 英 チェンバレン内閣成立
林内閣総辞職
6月
第一次近衛内閣成立
ソビエト、トゥハチェフスキー元帥がスターリンに粛清される。翌年まで赤軍大粛清。
アメリカ合衆国
白い家
大統領がテーブルに着くと、カラーコード戦争計画の報告書が乗せられている。
ホワイト(対内乱戦)、グレイ(対西インド諸島諸国戦)、オレンジ(対日本戦)
パープル計画(対中央アメリカ諸国およびロシア戦)、レッド(対イギリス・カナダ戦)
グリーン(対メキシコ戦)、ゴールド(対フランスおよびカリブ海のフランス領戦)、
ブラック(対ドイツ戦)、インディゴ(対アイスランド戦)、ブラウン(対フィリピン戦)、
イエロー(対中国戦)、バイオレット(対中国内乱戦)、
オリーブ(対スペイン戦)、シルバー(対イタリア戦)、エメラルド(対アイルランド戦)、
タン(対キューバ戦)、シトロン(対ブラジル戦)、レモン(対ポルトガル戦)、
ルビー(対インド戦)、スカーレット(対オーストラリア戦)、ガーネット(対ニュージーランド戦)
「大統領。新しいオレンジプランです」
「最近は早いな」
「シミュレーション担当士官を増やしました」
「その士官は大丈夫なんだろうな」
「ランチェスターの法則は、厳正です」
「ならいいがね」
大恐慌は、投機熱を煽り、資本家だけでなく、国民も借金をさせて、株を買わせた。
そして、紙幣の印刷を徐々に減らしていく、
社会資本から紙幣が足りなくなると、利権を持つ者に紙幣が集まり、
庶民は紙幣を失って、購買力がなくなっていく、
そして、消費者が購買力を失うと、企業は利益が得られにくくなり、不況に至る。
株価は底値へと移行し、
ユダヤ資本という蛇が大恐慌を利用し、
アメリカ合衆国という蛇を飲み込もうとしていた。
日本人は、その様を見ていた。
もっとも底値で土木建設機械、船や機材を買い取り、
任那、熊襲、蝦夷に送っているわけで、
ある意味、アメリカ資本に味方を作り、買い支えている。
ニューヨークの日本人たち
「酷い不況だな」
「アメリカ経済を助ける方法は簡単だ」
「紙幣を印刷して、国民に金をばら撒くことだ」
「そうすれば、ユダヤ資本は、アメリカ資本を飲み込むことができなくなり吐き出す」
「その気になればアメリカ国民はユダヤ資本から企業株を買い戻すことも可能になるだろう」
「もっとも、それをさせたくない様に誘導しているようではあるがね」
「日本人は、農耕上がりだから、殺伐とした弱肉強食がいいとは思わないが」
「アメリカ国民だって、そう思ってるだろうがね」
「たぶん、戦争まで考えてると思うよ」
「戦争か、どこが狙いだろうか」
「ドイツと日本じゃないの」
「その次はソビエトと中国」
「不況を演出されて、世界征服か。そういうのはやめて欲しいものだ」
日本領 巨済島(399ku)
島の海岸線は海抜5m以上で埋め立てられ、島全体が要塞化されていた。
入管ゲートを通過できるのはアメリカ、イギリス、ソビエトの国籍の者だけ、しかも白人だけだった。
白人たち
「随分、用心深い防諜になったな」
「国民が自衛で拳銃を持てないなら、これくらいの厳しさが必要かもしれないな」
「日本の主要都市に巨大な地下網が建設されてるというのは、本当だろうか」
「それを確認するために朝鮮人と漢民族を訓練してるのだが、上手く潜入できてないようだ」
「まさか、工作費をタダ取りされてるんじゃないだろうな」
「成果がなかったら、工作資金を切ると伝えている」
「しかし、半軍半民の島とはいえ、なかなか、発展してる気がするな」
「国民のほとんどが、公定歩合分以上の貨幣が流通してると気付けば投資は増える」
「事業主も気分は楽になるでしょうね」
「日本で、株高騰は誘えないのか」
「木工ギルドは、歳とっても幸幣を作り続ければ死ぬまで楽隠居できますし」
「効率のいい木工製品の情報も伝達されてる節がある」
「台湾の南半分は、希少樹の自生化に成功しつつある」
「じゃ 台湾の南半分の森林資源を禿山にしない限り、日本は再建しやすいってことか」
「そういうことになるな・・・」
白人が入国していくのと入れ替わりに
日本で改装したキャデラック車、パッカード車、リンカーン車が朝鮮半島へ輸出されていく、
16気筒165馬力エンジンは軽戦車並みのエンジンで、
装甲化された車体に、外板と内装に希少樹が使われていた。
あまりにも贅沢な自動車は、アメリカ本土でさえ乗れない代物で、
改装した日本でさえ1台も走ることはなかった。
そして、そういった改造車が朝鮮半島で1000台以上が走っていた。
彼らの富裕層の経済基盤は、石油と鉄鉱石と石炭の日本輸出で、
日本に石油さえ輸出すれば、日本人はロボットのように働き、朝鮮半島に巨万の利権を構築していた。
7月
第71特別議会召集
通州事件。華北各地の日本人居留民が虐殺される。日本の対中感情は悪化。
日本政府は、中国は第一級危険地帯であると現地通商と渡航禁止を宣言。
この宣言により、日中通商は、租界か、大連州を挟んで行われるようになった。
街宣宣伝する者たちがいた。
“アメリカが軍艦を中国に輸出しようとしてるニダ。日本は危ないニダ”
“日本人が中国で殺されたニダ”
“中国人を許してはいけないニダ”
“英霊の死を無駄にしてはいけないニダ”
“何のために満州で死んだニカ”
“日本人なら武器をとって満州で戦うニダ”
“日本人なら武器をとって中国大陸で戦うニダ”
日本人たち
「おれ、戦争嫌だから」
「いいのか。大衆は中国人を殺したがってるようだが」
「まさか。朝鮮半島は日本の生命線じゃないし。満州も日本の生命線じゃない」
「大衆を誘導してるのは、戦争で出世したがってる軍部」
「戦果報告で新聞を売りたい新聞。政治的な利権を強めたい政治家」
「あいつらは扇動者に金を渡して世論を作ってるだけ」
「一般庶民は、衣食住さえあれば関係ないよ」
「ふっ やっぱり、幸幣のおかげで、公定歩合以上に通貨が水増しされてるせいか」
「気乗りしない人間が多そうだな」
「紙幣の方が使いやすいから市場で出回ることが少なくなったとはいえ、溜め込むなら幸幣だからね」
「紙幣が木工12ギルドから国民に波及すれば、貧困は薄れるからね」
「いくら新聞で煽っても殺伐とした空気は広がらない」
「まぁ 大連や九州に敵が上陸してきたとかなら話しは変わるがな」
8月
米国政府が上海の居留民保護のため陸戦隊1200名の派遣を決定
中ソ不可侵条約調印
中国西北共産軍が国民革命第八路軍に改編
ローマ法王庁がスペインのフランコ政権を承認
中国軍用機が呉淞港外仮泊中の米国汽船フーバー号を日本運送船と誤認して爆撃(フーバー号事件)
幸幣は地方の所得増加につながり、地方の活性化は、日本全体の活性化に繋がっていく、
寒冷地ほど幸幣の生産量が多く、寒冷地ほど家や自動車を購入するものが多く、
日本経済を活性化させていく、
南樺太
人々は毛皮のコートを着込んで映画館へ入っていく、
白人たちが高層ビルを見上げる。
「こんな寒冷地の田舎でも設備投資が行われてるのか」
「富裕層ほど、幸幣と紙幣を交換したがるからね」
「そうなったら紙幣が地方に集まる」
「地方は紙幣を集めて産業を起こせばいいだけだ」
「日本は大衆が金を持ってる」
「日本企業のほとんどは税金でなく、国民の需要に供給することで成り立っている」
「税金は、せいぜい、海外地の投資か。基幹産業投資ばかりだ」
「一方、アメリカとイギリスは世界恐慌中だ」
「資本家と官僚は行ったり来たりしながら、税金を誘導することで経済を回そうとする」
「お金は雲の上に貯まるばかりで降りることはない」
「庶民は永遠に奴隷のままだ」
「アメリカでも幸幣を作ろうという動きがあるのでは?」
「生憎、圧力が大きくてな」
「その上、細かい作業が苦手なんだよ」
「やれやれだ。機械的にやれないのか」
「やれないことはないが、アメリカには、神社仏閣はないし、御籤という制度がない」
9月
駐米中国大使がフーバー号事件を米政府に陳謝
第72臨時議会召集
北平で拉致監禁されていた仏人宣教師が9日ぶりに救出される
日本の主要兵装は高品質型の44式騎兵銃(6.5mm×50)、38式狙撃銃(6.5mm×50)で、
ドイツのMP38短機関銃(8mm×21)。
MG15機関銃/MG34機関銃(7.92mm×57)がライセンス生産されていた。
そして、この時期、蒋介石国民軍、南京軍閥、重慶軍閥。毛沢東共産軍が四つ巴の内戦を繰り広げていた。
日本は、10t級89式(1号)戦車、15t級95式(2号)戦車と、
旧規格の38式小銃、11年式軽機関銃(6.5mm)、
3年式機関銃(6.5mm)、92式重機関銃(7.7mm)を内戦中の中国に売却し、
対価として資源を得ていた。
陸軍造幣局
44式騎兵銃の自動小銃化が進められていた。
弾薬が勿体無いと言われながらも
次大戦の主流になることは間違いなく、火力の充実が図られつつあった。
関係者たち
「やっぱり、MG34見たいな発射機構でいいと思うけどな」
「改良しろというか、独創性を出して欲しいね」
「まぁ そうなんだろうけどさ」
「もう、百式短機銃みたいにドイツに作ってもらえよって言いたいね」
「あはははは・・・」
「むしろ、MG34の6.5mm×50版を・・・」
「「「「・・・・・」」」」 ため息
「それはそうとガラス繊維を使った銃は?」
「平時は使わないことになって、倉庫に入れられたよ」
「役に立つの?」
「まぁ そこそこ」
上海の英仏両軍は、中国軍の租界侵入には武力で対抗する旨決定
南京の各国大使館が自国軍艦に避難
戦艦 金剛
艦橋
「艦長。お迎えありがとうございます」
「いえ、近くを航行していましたから」
「アメリカ、イギリス、フランスの代表は、治安維持で日本軍の上陸を勧めていましたよ」
「日本軍を煽てて泥を被せたいだけです。そんな手に乗るのは馬鹿野郎ですよ」
「なるほど」
「代表。酷い目に遭いましたな」
「資産を幾分か失いました」
「まぁ ほとんど中国で稼いだ資産ですが、信じて付いて来た社員は悲惨でしょうな」
「海外地なら職がありますよ」
「どこも孤立してますな」
「孤立してるようですが意外に安定してるみたいですよ」
陸軍士官学校が座間に移転
10月
米国のフランクリン・ルーズベルト大統領、シカゴで侵略国を批判する「隔離」演説。
任那は城塞都市化が進んでいた。
100万人が住み、中南米6カ国との貿易量が増大していく、
周辺諸国は、徐々に林業が栄え、
日本資本の投下で日用品の一部が生産されていく、
それは、大恐慌に喘ぐアメリカ企業の利益を損なうものだった。
日本人たち
「中南米諸国は賃金が安いけど、生産力をつけさせると困ることにならないか」
「アメリカの反日運動が強まってるし」
「中南米諸国も、うまみがないと日本が嫌われるだろう」
「そうだろうけど」
「まぁ 任那の防衛力との兼ね合いかな」
「防衛力か。縁起の悪い名前だからな」
「その方が用心深くなれるでしょう」
「だといいけど」
11月
日伊防共協定成立
日本、大本営設置。
ベルリン
木工細工店
“ヒンデンブルク号爆発”
「なんか、大変な事故だな」
「暗雲かな」
「ヒットラーの無理な積極財政で格差が広がっている」
「日本みたいに木工細工師が幸幣で公定歩合分を補填して貧富の格差を掻き回していないから」
「信用創造だけで金を作っていたら、利息分の負債が弱者に押し付けられるだけだ」
「ひょっとしたら飛行船を買えるかも、なんとなく、飛行船は下落してるから買い時みたいな動きになってる」
「軍部は、飛行船より、ヘキソーゲンを欲しがってるよ」
※ヘキソーゲン=RDX
「TNT爆薬だけじゃ破壊力で不安だからね」
「ていうか。TNT爆薬自体の生産が遅れてる」
「だけど、主力の戦力は先鋭化してるし。日本でヘキソーゲン工場建設が進めば破壊力で気後れせずに済む」
「日本は、防共協定に入らなくてよかったのか」
「ヒットラーは攻撃的だし。日本が戦争に巻き込まれるのは面白くない」
12月
ローマ
“イタリア王国は国際連盟を脱退”
木工細工店の店員たちは新聞を見ていた。
「連盟脱退で、いよいよ。イタリアも追い詰められたかねぇ」
「いや、連盟自体。大したものじゃないような気がするが」
「ていうか。エチオピア侵攻したイタリアを経済制裁したし」
「エチオピアに武器をやっただろうが日本は完全に敵と思われてるんじゃない」
「日本とイタリアの貿易量なんて大しものじゃないし」
「エチオピアにくれてやった武器も少し苦戦させただけで大した事ない」
「それに、カゼルタ宮殿の植木を手伝ったこともある」
「そこそこにいい関係と思うけどな」
「日本は、イタリアとういう関係にするんだろう」
「そういや、日本も連盟で、熊襲と蝦夷の撤退案が出されているからな」
「しつこい」
「議会で通ったら脱退もあるかも」
「まぁ 金に任せて買収合戦になるかもね」
「あはははは」
「拒否権出せよ」
「だな・・・」
電話が鳴る
「はい、もしもし」
“チェス盤を届けてくれ”
「いま、7つほど在庫がありますが、どういったチェス盤を所望でしょうか」
“全部見るから、宮廷に届けろ”
「わかりました」
「どうやら、神籬は外交パイプ代わりになってるようだ」
「ふっ」
第73議会召集。
アイルランド自由国で新憲法施行、エールに改名。
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月夜裏 野々香です。
木仙一族
仙堂春和(31歳) × 山城美奈(27歳) 一樹(9) 智樹(5) 加賀美(2)
角浦秋和(31歳) × 日向奈美(26歳) 青葉(9) 芳樹(5) 冬樹(2)
近衛師団
第01師団(東京) 第02師団(仙台) 第03師団(名古屋) 第04師団(大阪)
第05師団(広島) 第06師団(熊本) 第07師団(北海道) 第08師団(弘前)
第09師団(金沢) 第10師団(姫路) 第11師団(善通寺) 第12師団(北欧道)
第14師団(蝦夷) 第16師団(熊襲) 第19師団(大連) 第20師団(任那)
1926年 巨済島(400ku) 済州島(1845ku) 鬱陵島(72.82ku)
1926年 大連州(3462ku)
1930年 任那州 フォンセカ湾 ニカラグア領地コシグイナ(400ku)
1932年 任那州 フォンセカ湾(1200ku) 4カ国不戦条約により拡大
ニカラグア(400ku)+ホンジュラス(400ku)+エルサルバドル(400ku)
1932年 北欧道 カレリア地峡+フィンランド湾諸島 (6000ku)
スールサーリ島(21ku)、ラヴァンサーリ、大・小チュテルサーリ島他
1934年 任那州 中米7カ国不戦協定調印 (2400ku)
フォンセカ湾(1200ku) 旧ニカラグア・ホンジュラス・エルサルバドル領
旧コスタリカ領 ココ(瓜生)島 (46.6ku)
ブリカ(中ノ鳥)半島 (753.6ku) 旧コスタリカ領(353.4ku)+旧パナマ領(400ku)
旧グアテマラ(沖ノ浜)領(400ku)
任那。ニカラグア、ホンジュラス、エルサルバドル。コスタリカ、グアテマラ、パナマ、
1935年 熊襲市 (400ku) 旧タイ王国領対マレー国境
1936年 蝦夷市 (400ku) 旧チリ領
第16話 1936年 『2・26事件と、アンデスの蝦夷』 |
第17話 1937年 『国際金融マフィア VS 木工12ギルド』 |
第18話 1938年 『北アフリカで月の砂漠を・・・』 |