月夜裏 野々香 小説の部屋

    

神がかり系 仮想戦記 『神籬の木仙』

 

 第18話 1938年 『北アフリカで月の砂漠を・・・』

 1月

 近衛文麿首相、「国民政府を対手とせず」の声明(第一次近衛声明)。トラウトマン工作打ち切り

 

 シアトルで11621t級郵船日枝丸爆破事件

 反日アメリカ人に日枝丸が撃沈され、乗員乗客125人が死亡した。

 日本政府は遺憾の意を表明し、アメリカ政府は日枝丸の賠償金の支払いに応じる。

 日本人たち

 “アメリカは人種差別大国で、アメリカ人は狂犬である by 日本大使”

 「思い切ったテロだな」

 「嫌がらせだろうね」

 「日本の南米領が気に入らないのだろう」

 「日本が敵だとアメリカ国民に印象付けたいのでは?」

 「まぁ 国内の大恐慌を日本のせいにするには、丁度いい刺激かも」

 「でも賠償は大きな損害じゃないの?」

 「かもしれない、情報筋だと、爆破は失敗させるはずが、成功してしまったらしい」

 「なんで?」

 「さぁ 直接、現場をコントロールすると足がつくから伝言ゲームになるし、失敗したんじゃないか」

 合計すると戦艦1隻分の賠償金が遺族に支払われた。

 

 飛行船が神籬に売却された。

  LZ127 グラーフ・ツェッペリン

   全長236.53m×直径30.48m

   550馬力5基  128km/h

   積載量60000kg

 飛行船は、空中に浮かぶ標的でしかなく、軍事的な脅威は低かった。

 神籬は、乗客を運ぶつもりがなく、物資輸送に飛行船を利用した。

 61tの物資を高地に運び込むことができる飛行船は、海外地開発を容易にし、

 城塞都市建設に役立てられていく、

 

 

 2月 

 イタリア領リビア・ブトナン県(8万3860ku)トブルク港

   16750t級巡洋艦 生駒

     11300t級重巡洋艦 妙高、那智、足柄、羽黒   5195t級軽巡洋艦 球磨、多摩、

   輸送船20隻。

 「西はイタリア領リビアで、東はイギリス領エジプトだ」

 「どうだ。凄い領地だろう。8万3860kuあるぞ」

 「凄いね」

 「日本に売ってやろう」

 「例の10個師団相当の対価で?」

 「もちろんだ。イタリアは、とっても気前がいいからな。400kuなんてセコイことは言わないぞ」

 「「「「・・・・・」」」」

 海岸線184km×奥行441km

 戦闘機100機と10個師団相当の武器弾薬と交換で北海道よりわずかに小さい領地が得られた。

 これだけの土地を得ようとすれば、10師団以上の損失を覚悟しなければならないだろう。

 しかし、そこは砂漠で、日本から支援し得る中継拠点のない地中海の最果てだった。

 維持するだけの国力が国際情勢の変化に対応できなければ一発で不意になりそうな、投機だった。

 

 

 3月

 ナチス・ドイツ、オーストリアを併合(アンシュルス)

 

 メキシコが国内にある外国所有下の石油資源をすべて国有化

 

 

 北海道の滝川と福岡県の大牟田に人造石油工場が建設された。

 ドイツとほぼ同じ設計の工場は、年間30万tずつ、60万tの人造石油を作り出し、

 国内算出分と合わせれば100万tに達した。

 もっとも人造石油は10倍の石炭を消費してのことで、

 石炭すら事欠く日本にとって、決して許容できる交換比率ではなかった。

 また、国内石油消費は6倍の600万を必要としており、

 軍が可能な限り作戦行動を控えたとしても民間燃料消費は年々増大していた。

 

 

 呉

 30000t級大型商船が建造されていた。

 大型商船を建造させたのは任那、熊襲、蝦夷であり、

 新たに領土を得るかもしれないイタリア領リビア・ブトナン県だった。

 工業界は大型船を建造し、ゼネコンは、土木建設機材を製造し

 木工産業から主導権を奪い返そうとしていた。

 関係者たち

 「イタリアは、日本の金を使って、景気を回復させようとしているようだ」

 「ブトナン開発は、イタリアの工業力を当てにすることになるから賢い方法だな」

 「なるべく自前でやりたいが」

 「どうせ売ってくれるのなら、インド洋の領土にすればいいのにな」

 「そんなことをすれば、イタリア産業のうまみが小さくなるのだろう」

 「ところで、砂漠のブトナンで日本型共同体を維持できるだろうか」

 「アメリカ、ソビエト、中国のような少数が多数を支配するようなのは困るよ」

 「日本語は曖昧な表現が多く。欧米諸国はYES・NOの二者選択が多い」

 「言葉が社会を作るなら、中間層の強い社会になるよ」

 「だといいがね」

 「アメリカや西洋の真似をしたがる日本人外多いから、日本人の文化を守れなくなるような気がしてね」

 「それを試すための海外地でもある」

 

 

 4月 

 大阪市営地下鉄御堂筋線の難波駅 - 天王寺駅間が開業

 

 

 ブトナン・トブルク港 (旧イタリア領リビア・ブトナン県:8万3860ku)

 日本商船隊がブラジルから購入したアマゾンの河川土を砂漠に降ろしていく、

 重巡洋艦 羽黒

 関係者たち

 「海岸線は210kmほどになるそうだ」

 「要塞砲台は取り敢えず356mm連装砲台8基。150mm砲台40基」

 「なんとか守れると思うが」

 「よく金が続くもんだ」

 「となりの借家住まいの男がいつの間にか高給取りになってるなんでザラな事だし」

 「お金持ちがインフレ続きでピリピリしてるな」

 「名前は、どうするって?」

 「漠砂(ばくさ)州にしようとか」

 「ひっくり返しただけで、まんまじゃないか・・・」

 「もう、暑すぎてボキャブラリーを働かせる気持ちすらわかないのでは?」

 「軍部は、どうするって?」

 「第10航空部隊と要塞砲設営隊と、第12師団を出すらしい。それと後備師団5個」

 「問題はこの砂漠をどうするかだな」

 「太陽光発電で電気作って淡水化。そして、砂漠には粘土を被せようかって話しだけど」

 「粘土か・・・」

 「河川土もいいけど、多いからね」

 「緑化に成功すれば、ほかの国も技術を欲しがるから一気に黒字になるかも」

 「何年先になるやら」

 「日本も砂があればコンクリートを作りやすいから、砂も宝じゃないの」

 「あはははは・・・」

 「だけど罠じゃないだろうな」

 「確かに罠っぽい」

 「朝鮮半島を人質にしていたのが。北アフリカの土地を人質にされるのは面白くない」

 「どちらかというと、イギリスに出入口を全部抑えられて不利だ」

 「食い破れなくても、食い破らなくていいくらいのモノにできればいいがね」

 「緑化だけなら、神籬は自信あるらしいよ」

 「また、あそこか。余計なことを」

 「しかし、それ以外は自信ないってことだよな」

 「そういうことになるな」

 「しかし、賭けに乗るとは、どこの馬鹿だ」

 「北欧道を補完したいという発想では?」

 「詐欺にかかった気分がするのは俺だけかね」

 「「「「・・・・」」」」

 

 

 

 5月

 東京

 扇動家たち

 “長期抗戦ニダ”

 “日本国民が与えられている唯一の道は戦いに勝つということだけニダ”

 “他の方法は絶対に考えられないニダ”

 “日本が中国の民族戦争は、軍事的能力を発揮して、敵指導部の中枢を殲滅するほかないニダ”

 “戦うニダ。今がチャンスニダ”

 “中国に攻め込むニダ”

 “中国人に日本人がたくさん殺されたニダ”

 “英霊が命懸けで手に入れ、奪われた失地を取り戻すニダ”

 “半島をアメリカ、ソビエト、イギリスから奪い返すニダ”

 “戦争するニダ。絶対に勝てるニダ”

 “敵対勢力が存在する限り、これを完全に打倒するしかないニダ”

 “日中和解に反対ニダ。長期戦もやむをえないニダ。徹底抗戦ニダ”

 

 国家総動員法施行

 その法律は戦争のためでなく、海外地開発のために施行された。

 この法律により、動員による人件費を10パーセント近く削減することができた。

 関係者たち

 「人件費を削りすぎると勤労意欲が損なわれるんだがな」

 「そうそう。普通に予算をかけたほうが国民は喜ぶ」

 「だけどねぇ 格差が縮まるとうるさ型の層がいてね」

 「あと動員を半強制できないと、どうやって砂漠に人材を送り込めるの、ってなる」

 「後備師団を本格的な工作師団に作り変える方が日本の国益になると思うな」

 「だけど、さすがに地中海は、行きすぎなんじゃないの」

 「まぁ ドイツ・イタリアとの貿易は増やしたいし、欧州に向けた橋頭堡でもあるよ」

 「孤立したね」

 「しかし、鏡で発電できる地域は少ないし、淡水化もできなくはない」

 「開発が成功すれば、工業化もいけると思うけどな」

 

  

 イギリス ダウニング街10番地

 「日本が旧イタリア領リビアの一角、ブトナン県を手に入れたぞ」

 「まずいですな」

 「そうでもない。日本は10個師団相当の武器弾薬を失い。出入り口のない土地を得ただけに過ぎない」

 「袋の鼠だ」

 「むしろ、イタリアが強化されたことのほうが問題だ」

 「日本が−2で、イタリア+1くらいでしょうか」

 「その上、出入り口のない土地なんて長持ちするはずがない」

 「しかし国際的な影響は?」

 「影響・・・」

 「保護国や植民地は、日本に領土を譲渡して10個師団相当の武器を手に入れ、独立を図ろうとするでしょう」

 「日本の新領地を叩き潰すべきだ」

 「しかし、朝鮮半島利権や中国利権を失うわけにはいかない」

 「今ある、植民地を独立させられるよりマシだ」

 「しかし、今は、日本より、ドイツでは?」

 「それはそうだが、日本の動きも容認できない」

 「日本に経済制裁するか」

 「しかし、イギリスは長門に対抗しうる戦艦はないのですから、日本を敵に回すのは危険ですよ」

 「あんな、土人が建造したような戦艦・・・」

 「甘く見ないことですな。少なくとも長門クラスはイギリス戦艦と刺し違えるだけの力はあるだろう」

 「まぁ それくらいなら妥協してもいいですがね」

 「しかし、たった1隻だ。数に任せて撃沈すればいいだろう」

 「日本は、その気になれば、陸軍を熊襲に上陸させて、マレー半島を南下できるのですよ」

 「「「「・・・・・」」」」

 「じゃ 日中戦争で日本を疲弊させろ!」

 「ところで、生駒、伊吹、蔵馬は調べたのか?」

 「ええ、3000tの追加改装する気のようです」

 「馬鹿な。前弩級の骨董品じゃないか」

 「オンボロでも16750t巡洋艦を19750t巡洋艦にする方がいいのでしょう」

 「怪しいな。生駒、伊吹、蔵馬を調べろ」

 「はい」

 「いくら、軍需産業の梃入れがあっても非合理的だ」

 

 

 6月

 ソ連秘密警察幹部リュシコフが満洲に亡命

 

 

  98式戦闘機 (川崎重工の土井武夫)、

   自重1520kg / 全備重1860kg

   全長7.90m×全幅12.00m×全高2.60m  主翼面積19u

   水冷DB601   1100馬力   最大速度560km/h   航続距離1000km

   7.92mm機関銃×4

 

 

  98式軽爆撃機

   自重2349kg / 全備重3762kg

   全長11.64m×全幅15m×全高2.90m  翼面積34u

   水冷DB601   1100馬力   最大速度480km/h   航続距離1000km

   7.92mm機関銃×4  爆弾500kg  乗員2名

 

 

 キ28の採用は、神籬にDB601と引っ込み脚ライセンス生産の成功と、砂漠域での水冷エンジンの強さにあった。

 「しかし、砂漠で幸幣構造は駄目だな。隙間に砂が入り込むと壊れる」

 「まぁ 無難に宮大工方式で行くしかないでしょう」

 「どうせ、幸幣構造は、空母艦上機しか、買えない代物だし」

 「大手はアルミで作りたがってたけどね」

 「ふっ 大手はエンジンと主脚でも作ってたらいいんだ」

 「その方が資源配分で有利なんだが、木工産業が日本の工業化の足を引っ張ってるという者もいる」

 「おいおい、こんだけ、頑張って欧米のライセンス取ってきてるのに文句言うなんて、やっかみか」

 「やっぱし、幸幣は強いか」

 「日本企業が銅と換金を保証しているのも大きいが、欧米は希少価値から準換金通貨の価値すら認めてる」

 「お金持ちほど、自国の紙幣を信じてないのがよくわかる話しだ」

 

 

 

 

 7月

  チャコ戦争終結(ブエノスアイレス講和条約)

 

 

 巨済島 日朝非公式協議

 朝鮮人がふんぞり返っていた。

 「日本は、反省したみたいなので。日朝国交回復してあげてもいいニダ」

 「はぁ?」

 「朝鮮共和国は、世界最大のソビエト連邦と同盟を結び」

 「世界最強のアメリカ合衆国と同盟を結び」

 「世界最高のイギリスとも同盟を結んでいるニダ」

 「世界史上、最大最強最高の外交戦略大国ニダ」

 「その気になれば、日本を火の海にできるニダ」

 「日本を火の海にする前に、国民の暴動を押さえさせろ、密入国が増えて困る」

 「あいつらは、共産主義者ニダ。嘆かわしいことニダ」

 「あれだけ搾取されたら共産主義者になるわな」

 「違うニダ! ソビエトの画策ニダ!」

 「ソビエトと同盟を結ぶからだ。どうでもいいけど」

 「違うニダ。ソビエトとの同盟は、高度な政治的決断ニダ」 

 「「「「あははははは」」」」

 「日朝国交樹立するニダ!」

 「断る」

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 8月

 ヒトラー・ユーゲント来日

 

 ヴィルヘルムスハーフェン港

  33550t級グラーフ・ツェッペリン型空母

    全長280m×全幅32m×吃水9.7m

    MANディーゼル機関6000馬力30基 180000馬力  

    航続距離16kt/25000海里  速度33kt

    78口径88mm対空砲10門  83口径37mm対空機銃20門

    艦上機100機以上

 瑞鶴型3番艦がドイツで建造されつつあった。

 日本が営々と培ってきた技術が惜しみなくドイツ海軍に流出したが、

 飛行船、水冷エンジン、戦車、ヘキソーゲン(RDX)爆薬、人工石油などの対価があった。

 無論、不足分は幸幣などで補填されていた。

 インフレ地獄を味わったドイツは大量生産が効かない幸幣が好まれ、

 スイスの秘密金庫に秘匿していく、

 日本人将校たち

 「やれやれ、瑞鶴3番艦がドイツで建造されようとはな」

 「それどころか、改天城型巡洋戦艦がシャルンホルストで。改加賀型戦艦がビスマルクだよ」

 「設計は流用されてるが、見かけはドイツの戦艦と空母じゃないか」

 「まぁ それでも日本製より強そうだな」

 

 

 

 9月

 富山県氷見町で大火。1500戸焼失

 

 ミュンヘン会談(〜30日)

 

 

 ワシントン条約で艦齢20年。ロンドン条約で+艦齢5年とされた戦艦の代艦建造が始まる。

 35000t級金剛代艦型戦艦

  全長242m×全幅32m×吃水9.5m

  ディーゼル電気推進120000馬力   速力32kt  航続力20000海里/16kt

  47口径380mm連装砲4基   65口径105mm連装砲12基   83口径37mm機関砲20基

  双発水上偵察機2機

 関係者たち

 「やれやれ、バカ正直にワシントン条約に準じて代艦を建造とはな」

 「いい戦艦だよ」

 「戦争が始まるなら。追加防弾装備で40000t級にできるし」

 「本当は空母がいいんだけどねぇ」

 「艦尾に張り出した大型水上機格納庫は悪くないだろう」

 「ブローム・ウント・フォスBV138を搭載するって?」

   全長19.85m×全幅27m×全高5.90m   翼面積112u

   自重8100kg / 全備重15480kg

   Jumo205D  880馬力×3基

   速度290km/h  航続距離4023km

   20mm機関砲×2  爆弾150kg×6

   乗員4名

 「改良型だよ。洋上作戦だから敵機と出会う可能性が低いからね」

 「内火艇との兼ね合いがあるだろう。あまり水上機は多いと沈没した時が怖い」

 「その辺は、作戦内容次第じゃないか」

 「まぁ そうだろうが」

 「単発機で性能がいい水上偵察機なら言うことないが」

 「いま開発中だよ。3発機よりいいとは思えないがね」

 

 

 

 10月

 ナチス・ドイツがチェコスロバキアからズデーテン地方を割譲

 

 ポーランドがチェコスロバキアのテッシェン地方を占領

 

 アメリカ 「火星人来襲」 120万人以上が大パニック

 

 

 朝鮮共和国 (21万6823ku)

    同盟保障地 アメリカ。イギリス12800ku。ソビエト6400ku 合計32000ku

 同盟保障地はアメリカ、ソビエト、イギリスの共同で、面積は朝鮮共和国国土の15パーセントだった。

 最初は租界を朝鮮人に作らせていたが、次第に、本国の企業に発注するようになり、

 30年以降は、費用対効果から日本の建設業が主流になって、租界建設を開始していた。

 アメリカ人、ロシア人、イギリス人は、朝鮮人と接触しなくなり、

 済し崩しに専用幹線道路も広げていく、

 国交断絶しているはずの日本人がアメリカ、ロシア、イギリスの租界に入って建設していたのだった。

 日本人たち

 「なんだよ。結局、朝鮮半島に戻ってきたじゃないか」

 「「「「あはははは」」」」

 「やっぱし金かな」

 「石油換算で開発をかけられてるからな」

 「独立前の10倍超えの投資額になってんじゃないか」

 「独立前だって朝鮮開発したくなかったんだがな」

 「結局、日銀の誘導で朝鮮開発させられた」

 「少なくとも今回は、アメリカの石油換算で開発だから損してないよ」

 「しかし、敵国のためにインフラ整備をさせられるとはな」

 「ま、資金繰りで悩まなくていいし、衣食住があっての軍事力だからね」

 「だけど、租界の外は、かなり悲惨だったけど」

 「日韓併合時代より悲惨じゃないか」

 「「「「・・・・・」」」」

 

 

 11月

 ドイツでユダヤ人迫害開始(水晶の夜)

 

 中国国民党が長沙に放火し住民数万名が焼死(長沙大火)

 

 東海道新幹線開通

 

 カレリア地峡 北欧道(6000ku)

 15t級95式(2号)戦車50両が並んでいた。

 ソビエト国境線70kmほどから北欧道を守るには、少ない戦車だったものの、

 ソビエト軍は大粛清で力を失っていた。

 もっとも戦車の10倍の数のブルドーザーが行き来している光景は、壮観以外の何者でもなかった。

 そして、一回り大きな戦車が現れた。

 22.7t級97式(3号)戦車

   全長6.41m(車体長5.56m)×全幅2.95m×全高2.51m

   マイバッハ 300馬力 (221kw)  整地40km/h / 不整地19km/h   行動距離155km

   42口径50mmKwK38(99発)

   7.92 mmMG34機関銃 ×2 (3750〜4400発)

   乗員5 名 (車長、射手、装填手、操縦手、通信手)

 「これが、97式戦車か。95式戦車より一回り大きい」

 「一応、2100両は製造するらしい」

 「豪気だな」

 「まぁ アメリカの半島租界開発のおかげで鉄と石油を輸入出来たからだが」

 「自分の首絞めて楽しいか」

 「受注しなければ、鉄鉱石も石油も入ってこないんだよ。当然、北欧道の開発も無理」

 「朝鮮共和国と国交断絶してるはずの日本企業が朝鮮半島の開発とはね」

 

 

 

 12月

 第74議会召集

 

 

 陸軍は、当初、零戦型の戦闘機“隼”を開発しそうになったが、

 神籬が重複開発であると難癖を付け、仕様の変更を求めた。

 そのため、大馬力空冷エンジン装備の戦闘機の開発を推し進めることになった。

 エンジンは9気筒のブリストル ジュピターとライトR1820サイクロンEを参考に14気筒に増強したもので、

 機体は、隼の影響と格闘戦を捨てきれず、一定の主翼面積が求められ、

 神籬の影響を避けるような形で開発された。

  1式戦闘機 “鍾馗”

   全長8.92m×全幅11m×全高3.248m  翼面積22u

   自重2150kg / 全備重2800kg

   空冷1500馬力  最高速度600km/h  航続距離1600km

   MG131  13mm機銃6丁

 関係者たち

 「悪くない戦闘機だ」

 「エンジン増強の余地があるなら、もっと性能が向上するかもじれないね」

 「ドイツがBMW801を開発していたな」

 「ドイツは水冷エンジンだからって、ライセンスしてなかったけど。北欧州の防空を考えたらありかも」

 「北欧州は防空困難だからって、対空砲火が欲しいらしいけど」

 「まあ、そりゃそうだ」

 

 

 

 LZ 130 グラーフ・ツェッペリンU世

  全長245m×41.2m

  1200馬力4基   135km/h

  積載105000kg

 神籬に売却されたLZ 130 グラーフ・ツェッペリンU世は、貨物飛行船として使われる。

 欧米諸国は新造戦艦の設計図。軽巡9隻の対価などと囁くが、真相は知られていなかった。

 湾岸に荷揚げされた物資を100t単位で、

 仮に150mm砲と一式を北欧道の標高150m域の高台に空輸することも可能で、

 要害要衝をたちまちのうちに要塞にしてしまう。

 そして、高地に足場を建設できたらケーブルカーや登山列車を作るなりで、

 物資供給を急がせることもできた。

 

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 月夜裏 野々香です。

 木仙一族

   仙堂春和(32歳) × 山城美奈(28歳)   一樹(10)  智樹(6)  加賀美(3)

   角浦秋和(32歳) × 日向奈美(27歳)   青葉(10)  芳樹(6)  冬樹(3)

 

 前回と今回のページで、尾崎秀実の言い分を一部採用しました (笑

 当時 “最も進歩的な愛国者” “支那問題の権威” “優れた政治評論家” だったそうです (笑

 しかし、その根底は  “スターリンが唱えた砕氷船理論の実行”

 “我々のグループの目的・任務は、狭義には世界共産主義革命遂行上の最も重要な支柱であるソ連を日本帝国主義から守ること”

 どこって?

 どこでしょう (笑

 今もいそうです。

 

 

 近衛師団

 第01師団(東京)   第02師団(仙台)   第03師団(名古屋)  第04師団(大阪)  

 第05師団(広島)   第06師団(熊本)   第07師団(北海道)  第08師団(弘前)

 第09師団(金沢)   第10師団(漠砂州)  第11師団(瑞森市)  第12師団(北欧道)  

 第14師団(蝦夷市)  第16師団(熊襲市)  第19師団(大連州)   第20師団(任那州)

 

 1926年 巨済島(400ku) 済州島(1845ku) 鬱陵島(72.82ku)

 1926年 大連州(3462ku)

 1930年 任那州 フォンセカ湾 ニカラグア領地コシグイナ(400ku)

 1932年 任那州 フォンセカ湾(1200ku) 4カ国不戦条約により拡大

             ニカラグア(400ku)+ホンジュラス(400ku)+エルサルバドル(400ku)

 1932年 北欧道 カレリア地峡+フィンランド湾諸島 (6000ku)

             スールサーリ島(21ku)、ラヴァンサーリ、大・小チュテルサーリ島他

 1934年 任那州 中米7カ国不戦協定調印 (2400ku)

             フォンセカ湾(1200ku)  旧ニカラグア・ホンジュラス・エルサルバドル領

             旧コスタリカ領 ココ(瓜生)島 (46.6ku)

             ブリカ(中ノ鳥)半島 (753.6ku)  旧コスタリカ領(353.4ku)+旧パナマ領(400ku)

             旧グアテマラ(沖ノ浜)領(400ku)

       任那。ニカラグア、ホンジュラス、エルサルバドル。コスタリカ、グアテマラ、パナマ、

 1935年 熊襲市 (400ku)  旧タイ王国領対マレー国境

 1936年 蝦夷市 (400ku)  旧チリ領

 1938年 漠砂州 (8万3860ku) 旧イタリア領リビア・ブトナン県

 

 

 

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第17話 1937年 『国際金融マフィア策謀 VS 木工ギルドの抵抗』
第18話 1938年 『北アフリカで月の砂漠を・・・』
第19話 1939年 『第二次世界大戦』