月夜裏 野々香 小説の部屋

    

神がかり系 仮想戦記 『神籬の木仙』

 

 第19話 1939年 『第二次世界大戦』

 1月

 日米非公式会議

 “日本は、隔進侵略をやめろ”

 “アメリカこそ、スペイン人民政府との取引を邪魔して・・・”

 “当たり前だ! あいつらは共産主義者なんだぞ!”

 “いや、民主主義者だと思うけど”

 “そんなことは絶対にない!”

 “本人たちはそう言ってた”

 “違う! あいつらは共産主義者なんだ!”

 “少しくらい格差を縮めたって、どうにかなるもんじゃないだろう”

 “少しでも格差を縮めたら共産主義だ!”

 “でも、国家間の正当な取引だから・・・”

 “経済制裁するぞ”

 “そんなに経済制裁したかったら、したらいいだろう”

 “んん・・・・”

 “朝鮮半島がソビエトに取られちゃうかも”

 “んん・・・・”

 “まぁ 駄目になったんだし、どうでもいいけど”

 “中南米から手を引け”

 “無理”

 “中国に軍艦を売るからな”

 “売れば”

 “本当に中国に売るからな”

 “だから売れよ”

 “ど、どうなっても知らないからな”

 “好きにすれば”

 “もう、日本が悪いんだからね!”

 

 

 第1次近衛内閣総辞職

 

 平沼騏一郎内閣成立

 

 東京地下鉄 新橋・渋谷間全通

 

 

 1215t級峯風型15隻、1270t級神風型9隻、1315t級睦月型は旧式化していくにつれ速度が低下していく、

 日本海軍は、頃合いを見て、ディーゼル機関電気推進の護衛駆逐艦へ変更していた。

 ディーゼルエンジン機関は、容積当たりの馬力が重油燃焼機関より劣るため、

 艦内容積をそのままに変更すると38500馬力から20000馬力に半減し、

 36kt以上から速度は29ktに低下していく

 代わりに航続距離が3500kt/14ktから5500海里/14ktが伸びてしまう。

 兵装は、砲塔付きの65口径105mm砲3基 83口径37mm機関砲2門、

 魚雷3連装2基 爆雷24個となり、弱戦力だったものの運用しやすい艦艇となった。

 峯風、澤風、沖風、島風は、チリの日本領蝦夷市に派遣されていたが、

 大地震(M8.3、死者約8万名)が起こる。

 峯風と澤風は、救援物資を積み込むとバルパライソ港に入港し、物資を降ろして行く、

 峯風 艦橋

 「首都は酷い状況らしい。駆逐艦2隻だけでは、手に負えないな」

 「次の定期船に救援物資追加で送ることにしたそうだ」

 「付き合いが広がると、太平洋の果てまで行かされるわけだ。やれやれだな」

 「対応が遅くてチリが反日になったら面倒だからね」

 「しかし、カトリックは、施しを与えなくなると殺される。乞食強盗が多い」

 「それは怖い」

 「それに富裕層は、人民戦線系の大統領ペドロ・アギーレの任期を終わらせたがっている」

 「だからなるべく援助物資はして欲しくない考えもあるそうだ」

 「なんか、援助しても援助しなくてもチリ人に恨まれそうだな」

 「スペインと似ていて、地主層と土地無し層で、いがみ合ってるというか、殺し合いかな」

 「地主は財産を守るためなら貧乏人を殺す気でいるし」

 「貧困層も明日の朝食のためなら地主がどうなろうと知ったことかの世界?」

 「まぁ 日本も幸幣が蔓延する前は、貧富の確執が酷かったらしいがね」

 「しかし、本当の金持ちは、朝鮮半島やスイスに資産を保管して高みの見物」

 「というより本当の大金持ちは、追い上げる中間層が脅威。だから共産党を操って中間層を牽制している」

 「中間層と貧困層を殺し合わせた方が都合がいいし」

 「資本主義と共産主義のどっちに転んでも邪魔な中間層を殲滅できるて、安泰な構図なんだろうな」

 「体力のある中間層は生き残るのでは?」

 「銀行が金を貸さず。市場を封鎖して、税金だけを上げていけば、結局、潰される」

 「その頃には味方してくれてた低所得層も、貧困層に蹴落とされて恨まれてる、だから誰も味方しない」

 「資本主義も共産主義も突き詰めていくとそんなもんだ」

 「ふっ スペインといい。チリといい、やれやれな状況だな」

 

 

 

 バルセロナ陥落、フランコ軍の占領下に置かれる

 

 

 

 南アメリカ大陸フランス領ギアナの東。川を挟んだ対岸にブラジルの最北オランジュ地域があった。

 そこに日本船団が現れ、日本軍が上陸し、物資を荷下ろししていく、

 ブラジルから400kuほどの土地が日本に譲渡され、

 対価の戦闘機と武器弾薬がブラジルに引き渡された。

 欧州の戦雲が南米にも及ぶかもしれないという危機感がそうさせたのであり、

 日本は、ほかの南米諸国とも交渉中だった。

 日本人たち

 「優先は、地質調査と発電機だ。急がせろ」

 「どうして、ドイツじゃなくて、日本なのかって、気がするね」

 「日本が弱そうだからじゃないの。いかにも地球の反対側で無理しているし、取り返すのが容易とか」

 「「「「「あはははは・・・」」」」」

 「まぁ だけど、取り敢えず、産業は大きくなってるし」

 「要塞砲は、頼りになるよ」

 「むしろ、航空機と潜水艦をあてにしたいね」

 「しかし、戦争前夜って気がするんだが、こんな時期に海外地開発とかよくやるよ」

 「まぁ グローバルでいい感じじゃないか」

 「米英に叩き潰されそう」

 「「「「・・・・・」」」」

 大型飛行船が物資を内陸へと運んでいく、

 「大丈夫なのか。赤道近くで飛ばして? カミナリに当たると怖いんだが」

 「神籬は、飛行船が落ちるまで、物資を運ぶってスタンスじゃないの」

 「元が取れるのか」

 「運がよければね」

 「名前はどうするって?」

 「瑞森」

 

 

  31850t級シャルンホルスト型巡洋戦艦

   全長235.4m×全幅30m×吃水9.1m

   ワグナー式重油専焼高圧缶12基 3基3軸推進 160000馬力

   速度31.5kt  航続距離17kt/10000海里

   乗員1669名

    54.5口径283mm3連装砲3基    55口径150m連装砲6基

    65口径105mm連装砲7基      83口径37mm連装高射機関砲12基

    艦載機3機、射出機2基

 完成した巡洋戦艦シャルンホルストは、日本海軍の艦首に似た構造をしており、

 波を見るような耐波性を見せた。

 「これだけの戦艦で282mm3連装砲3基は、惜しいですな」

 「日本の設計図は役に立ちましたが、戦艦建造に慣れてませんでしたからね」

 「ビスマルク型からは、本気で建造しますよ」

 「楽しみですな」

 「そう言ってもらえると助かりますよ」

 「北欧道を守らなければなりませんので、ドイツ海軍には期待してるのですよ」

 「なるほど」

 

 

 

 ドイツ陸軍演習場

 戦車部隊による演習が進められていた。

   10t級1号(89式)戦車

     全長4.8m×全幅2.3m×全高2.1m

     120馬力  速度35km/h  行動距離140km

     45口径37mm砲

     7.92mm MG13 機関銃×2

     装甲15mm    乗員3人

  

  15t級2号(95式)戦車

    全長5.8m(戦車長5m)×全幅2.5m×全高2.3m

    150馬力 整地38km/h 行動距離210km

    46.5口径37mm KwK36(120発)

    7.92 mm MG34機関銃 ×2 (3750〜4400発)

    乗員4人

 

  22.7t級3号(97式)戦車

    全長6.41m(車体長5.56m)×全幅2.95m×全高2.51m

    マイバッハ 300馬力 (221kw)  整地40km/h / 不整地19km/h   行動距離155km

    主砲   42口径50mmKwK38(99発)

    副武装  7.92 mmMG34機関銃 ×2 (3750〜4400発)

    乗員5 名 (車長、射手、装填手、操縦手、通信手)

 ドイツ製戦車と日本製戦車は、基本仕様が、ほとんど変わらなかった。

 製造した工作機械も同じで、そのための日独技術連携だったのである。

 もっともドイツの再軍備は1935年で、

 1929年、日本で開発生産された1号戦車は、ドイツで生産することはなく、

 日本から輸入した10t級89式(1号)戦車を配備したに過ぎなかった。

 ドイツが最初に生産したのは、1935年の再軍備で開発した15t級2号(95式)戦車からで、

 本格的な戦車生産に移行したのは、1937年に開発した22.7t級3号(97式)戦車からだった。

 むろん、日独技術提携で、戦車性能を底上げできたとしても消費された鉄鋼量は、それほど変わらず、

 量が質に転化されただけに過ぎなかった。

 日独将校たち

 「素晴らしい陣容だ」

 「ええ、日本のおかげで随分、戦力を向上させることができた」

 「陸軍装備が充実してるのが羨ましいですね」

 「日本は海軍国。ドイツは陸軍国。互いに協力し合う方がいい効果が得られるでしょう」

 「それはそうと、日本は、イタリアに随分と肩入れしましたね」

 「日本が北アフリカの土地に関心があるとは思いませんでしたよ」

 「政府は、兵器と武器弾薬は作ればいいだけですから国軍と違って人件費や出世やらで後腐れないので気前がいいのでしょう」

 「それに領地は作りようがないので、投機ですよ」

 「日本は投機が苦手とばかり思ってましたよ」

 「確かに」

 「まぁ ドイツにしたら、イギリス、フランス、イタリアの支配する地中海に干渉できるのなら協力しないわけでもありませんよ」

 「助かります」

 「最初からドイツの協力が得られると踏んでいたのでは?」

 「ええ、まぁ そういう、構図になるかもしれないとは思っていました」

 「まぁ イタリアも日本に砂漠をくれてやって、1号戦車500両が手に入るのなら悪くはないでしょうけどね」

 「イタリアは戦争する気なのでしょうね」

 「イタリアもインド洋に飛び地を作っても、イギリスに外洋の出入口を押さえられてますからね」

 「日本を地中海に引き入れ、相互連携したいとでも考えたのでしょう」

 「なるほど」

 

 

 2月

 イギリス・フランスがスペインのフランコ政権を承認

 

 

 カレリア地峡 北欧道(6000ku)

   17636t級重巡洋艦 鞍馬

     11300t級巡洋艦 高雄、愛宕、摩耶、鳥海    5195t級軽巡洋艦 北上、大井、

 全長500kmに渡って地下網が張り巡らされていた。

 特に200kmは北欧州を全週する環状線で、300kmはそれを補足するように地下網が建設されていた。

 地下司令室

 フィンランド湾で採れた海魚と、ラドガ湖で取れた淡水魚の刺身がテーブルの上に並び、

 将校士官たちが並んでいた。

 扉が開けられ、

 中尉の外套から氷の粒がパラパラと落ちてくる。

 「遅いぞ。2分遅れだ」

 「申し訳ありません。時計が狂ってました」

 「こう寒くてはかなわん。全員。スイス時計を配給してもらうべきだな」

 「西45は?」

 「異常なしです」

 「そうか。ではせっかくのご馳走だ。いただこう」

 「と言っても、地上は、灰黒色で、異常そのものを判別しにくいですな」

 「そいえば、神籬の提案でな。集音マイクを道路沿いの木々に付けようかって話しが来ている」

 「また、神籬の儲けですか。木工細工の企業とは思えませんな」

 「工業の要所を押さえて、産業全体をコントロールする気のようだ」

 「そこまでやるんですかね」

 「重工業、ゼネコン、木工12ギルドは、国政の主導権の取り合ってる。3者ともひけないだろうな」

 「ま、冬に地下に篭もってると外の様子が気になる。まぁ 集音マイクも一考の余地はあるだろう」

 「ところで、司少佐。外地を一回りしてきたらしいが、北欧道の感想はどうかね」

 「いろんな海外地を回ってきましたが、北欧道は、どうしようもないほど孤立していますし」

 「ソビエトと国境を接してるので生きた心地がしません」

 「我々は、北欧道を7年かけて地下網を掘り抜いてきた」

 「地上はそうでもないが、簡単には落ちないだろう」

 「私もそう思います。しかし、もう少し武器弾薬が欲しいところです」

 「私もそう思ってるよ」

 「済みません。出過ぎました」

 「いや、素直な感想の方が助かる」

 「小規模ながら発電所、製鉄所、港湾、鉄道、工場は稼働してる」

 「次の予算では、武器弾薬を増やすことになりそうだ」

 

  

 ソビエトが日本のカレリア地峡会得は、重大な国際問題になり反対を表明、

 アメリカ、イギリス、ドイツは沈黙、

 モスクワ クレムリン カザコフ館

 「独裁者スターリンは、イライラと室内を歩き回る」

 「日本軍の動きは?」

 「船団は陸軍をカレリア地峡に降ろしています」

 「日本本土の動きだ」

 「5個師団の上陸作戦部隊が準備中です」

 「カレリア地峡の日本軍を叩けば、北樺太とカムチャッカ半島が蹂躙されてしまうわけだ」

 「我々は負けません」

 「日本の戦艦部隊に砲撃されてもかね」

 「「「「・・・・・」」」」

 「朝鮮共和国は米英ソ朝の4ヶ国連合です。日本など恐るるに足りません」

 「日本は、朝鮮半島を攻撃しない」

 「「「「・・・・・」」」」

 「ここまで、動いて、朝鮮半島を攻撃したら馬鹿そのものだ」

 「アメリカとイギリスも日本を面白くないと思ってるはず」

 「だからソビエトと日本で戦争して欲しいと思っているのだ」

 「それに問題は、アジアより。欧州のドイツにある」

 

 

 

 3月 

 ピウス12世がローマ教皇に選出

 

 チェコスロバキアからスロバキアがドイツの保護国として独立、カルパト・ウクライナ共和国も独立

 

 全国の招魂社を護国神社に改称

 

  ドイツがチェコスロバキアのボヘミア占領

 

  ハンガリー王国がカルパト・ウクライナを攻撃

 

 ドイツがボヘミア・モラヴィアの保護領化を宣言(チェコスロバキア併合)、ハンガリーがカルパト・ウクライナ共和国を併合

 

 ドイツがリトアニアのメーメルを併合

 

 ハンガリーがスロバキアを攻撃(スロバキア・ハンガリー戦争)

 

 フランコ軍がマドリードを占領(スペイン内戦終結)

 

 ハンガリーは南部スロバキアを併合し、スロバキアと和平する(スロバキア・ハンガリー戦争の終結)

 

 ベルリン 木工細工店

 ラジオで宣伝が流れていた。

 選民思想を煽り戦争へ突き進めさせようと必死だ。

 「なんか凄いね」

 「うん、ドイツは戦争する気かな」

 「その気になってる国は怖いからな」

 「どっちにしても日本が巻き込まれるのは困る」

 「それは言える」

 「しかし、売れ行きが今ひとつなのに、幸幣だけは売れるのな」

 「そういや、親衛隊の人も買っていったし」

 「戦争が近いからマルクより幸幣を買ってスイスの金庫に入れておきたいんじゃないの」

 「なんかもう、いろいろとヤバいけど、いざという時、大使館までのルートは大丈夫だろうな」

 「一応、話しは通してるよ。最終的には、漠砂州に行くか、北欧道だな」

 「北欧道は、本当に大丈夫か?」

 「んん・・・ たぶん・・・」

 初老の紳士が立っていた。

 「あのぉ」

 そう、大使館は監視されている。

 大使館以外で、非公式に話しを進めるなら日本の木工細工店だった。

 

 

 4月

 フランコ、スペイン内戦の勝利宣言

 

 イタリアがアルバニア王国に侵攻

 

 ハンガリーが国際連盟を脱退

 

 イギリスで徴兵制導入

 

 ドイツがドイツ・ポーランド不可侵条約破棄を宣言

 

 

 日本

 44式騎兵銃を改良・自動化した99式自動小銃(6.5mm×50)が開発された。

    重量4200g

    銃身長520mm × 全長980mm (起剣時 1400mm)

    装弾数30発  銃口初速740m/s  有効射程500m

 

 関係者たち

 「まいった。まいった」

 「チリで地震だからって、いちいち、予算取られちゃかなわないよな」

 「でも、1パーセント引きで済んでよかったんじゃないの」

 「外交必要経費とか、やめて欲しいね」

 「まぁ 神籬が外交工作費の一部を負担しているから日本外交は、かなりいいようだが」

 「それで、次期小銃は、結局、6.5mm口径で開発か」

 「南満洲と朝鮮半島を捨てた影響と、任那の影響が大きかった」

 「南方向けの密林で、相手は薄着になったからな」

 「最大が7.92mm機関銃が。7.7mm弾の開発を中止させたと思うね」

 「日本人の体格で7.92mm口径なんて嫌だし」

 「あと、うるさ方が自動化を求める者は、根性が足りないと言ったとき。神籬が自動化を求めない者は、頭が足りないと言い返したからでしょう」

 「まさか、ドル箱銃床作りの木工ギルドが裏切るとはな」

 「銃床作るより、幸幣を作ったほうが益しと判断したのでしょう」

 「まぁ ぶっちゃけ、幸幣で通貨を水増ししないと、軍事費も足りないからね」

 

 

 

 零式艦上戦闘機

  全長9m×全幅11m×全高3.49m  翼面積22m

  自重1960kg / 全備重2800kg

  DB601  1100馬力  速度540km/h   航続距離1600km 

  MG131  13mm機関砲5丁

 優先順位は離着艦能力を有すで、

 上昇力、速度、火力、防弾、航続力の順になっていた。

 関係者たち

 「モーターキャノンを13mmにするのってどうなの?」

 「モーターキャノンを20mmにしたら振動が大きくなって危ないから13mmでいいよ」

 「航続距離が淋しい気がする」

 「むしろ、この期に及んで、機体が木製なのが悲しすぎるよ」

 「艦上戦闘機は木製の方がよくないか」

 「尻尾を振る奴か。そりゃ格闘戦は強いけど高いし、数作れないだろう」

 「木工細工師は70万体制になるから、結構作れるらしいよ」

 「「「「・・・・」」」」 ため息

 

 

 5月

 男鹿半島で地震(M6.6、死者27名、全壊604戸)

 

 スペインが国際連盟を脱退

 

 満蒙国境で国民軍・ソビエト連邦両軍が衝突(ノモンハン事件)

 

 独伊軍事同盟締結

 

 

 日本=エストニア協定

 武器を欲しいが買う金もなく、かといって、領土も売れない国があった。

 初老の紳士との交渉の結果、99年間の日本租借地が決まり、

 イダ=ヴィル県(3364ku)の国境沿いに日章旗が掲げられた。

 日本軍が駐留し、日本人行政官が就任し見かけだけの行政が始まる。

 最悪の国際情勢で最善の外交戦略と言えなくもなかったが、

 その時は、売国行為でエストニア外交は評判がよくなかった。

 県庁の外は日章旗が挙げられたが、室内はエストニアの国旗が掲げられていた。

 「本当に戦争になりそうだと?」

 「ええ、間違いなく戦争が起こるでしょう」

 「そして、エストニアは守れないかもしれない、しかし、最悪でもこの県は守られるかもしれない」

 「必ず守れると確約できませんがね」

 「日本軍は、カムチャッカ半島に侵攻する戦力はあるので?」

 「侵攻出来うる戦力はありますよ」

 「それで十分です」

 エストニア(45226ku)は日本と戦ったわけでもないのに、

 負けたわけでもないのに

 国土の13分の1の面積に当たるイダ=ヴィル県(3364ku)を租借地として日本に引き渡していた。

 

 6月  

 ブラジルが国際連盟の理事国となる。

 

 南京総領事館毒酒事件

 

 国民党軍が中共新四軍を攻撃し幹部を虐殺(平江事件)

 

 

 イギリス ロンドン ダウニング街10番地

 閣僚たちが集まっていた。

 「ヤバい、このままだと戦争になるぞ」

 「問題は、日本だ」

 「そうそう、日本は世界中に拠点を建設している」

 「よく金が続くものだ」

 「幸幣で水増し出来るとわかれば、借金は怖くないからね」

 「我が国の中間層も幸幣で蓄財する者も少なくない」

 「それに日本は下克上のインフレを恐れていない節があるし、神籬は貿易黒字を続けている」

 「どいつもこいつも戦争前に蓄財に走りやがって、日本の思惑通りになってるだろうが」

 「それに朝鮮半島投資で日本に資源と金が流れてますから」

 「なんで朝鮮人を働かせない?」

 「朝鮮人が作った家に住むくらいなら野宿する方がマシだ」

 「だからって、現状はまずいだろう」

 「しかし、日本をいつでも爆撃できる程度の航空戦力、日本を日干しにできる程度の潜水艦は配備したい」

 「満州の蒋介石国民軍と極東ソビエト軍の動きの方が気になりますが」

 「その辺は、交渉できるよ」

 「問題は、イレギュラーの日本だ」

 「妙に自信のある外交戦略を立てている」

 「日本の主導権を握ってるのは?」

 「軍部。神籬・木工12ギルド。重工業。ゼネコンの4者が拮抗している」

 「どうもコントロールが効かないのは、神籬のせいか」

 「たぶん、ブラジルの理事国入りと瑞森市は、木工12ギルドと神籬の関連があるし、裏で手を弾いてるのかも」

 「幸幣は人気あって資金力になりますからね」

 

 

 

 

 7月 

 日本で国民徴用令公布

 

 

 瑞森州 (旧ブラジル オランジュ域400ku)

 地盤を整地すると要塞砲台が配置され、航空基地が建設されていく、

 ドイツは本土からブローム・ウント・フォスHa139を飛ばし

 大西洋を横断させ、瑞森の海岸に着水させ、日独連絡を証明する。

 ドイツ人将校は飛行艇から降りると暑さに萎えながらも、ブルドーザーとトラックを数え、

 ジャングルを貫いて突き進むコンクリートの舗装道路と、整地された区画と確認していた。

 住宅地が広がり、

 農業は始まって、自給自足体制が整い始めていた。

 日独将校たち

 「我が国は、可能な限り、戦略物質を買う用意があるのですよ」

 「随分と急ですな」

 「ドイツ復権を望まない国が多いですからね」

 「それは、困りましたね」

 「それはそうと、港湾の防衛が不十分な気がします」

 「そうですか」

 「ええ、我が国のUボート・ブンカーを一度見学するといいでしょう」

 「その、Uボート・ブンカーを建設したほうがいいと?」

 「もちろん」

 「しかし・・・」

 「天井の厚みは、5mから8m欲しいですな」

 「そんなに・・・」

 「最低でも1t爆弾の直撃に耐えられなければ継戦は危ぶまれるでしょう」

 「なるほど」

 「ところで日本は、あまり戦争する気がないようですな」

 「ええ、日本は好景気が続いてまして」

 「なるほど、羨ましいですな」

 

 

 8月

 アインシュタインがルーズベルト米大統領宛に原子爆弾開発を促す書簡を送付、

 マンハッタン計画の契機となる。(アインシュタイン=シラードの手紙)

 

 

 英国海外航空創設

 

 独ソ不可侵条約締結

 

 

 上海港

   20380t級デラウェア型(1910年 305mm砲連装5基 21kt)戦艦デラウェア

   21825t級フロリダ型(1911年 305mm砲連装5基 21kt)戦艦フロリダ、ユタ

   27243t級ワイオミング型戦艦(1912年 305mm砲連装6基 21kt)戦艦ワイオミング、アーカンソー

 アメリカが日本の隔進進出に抗議し、旧式戦艦5隻を中国に売却した。

 むろん、日本の脅威となる海上戦力だったものの、

 朝鮮半島に利権を持つアメリカとイギリスもヒヤヒヤの輸出で、

 これで、日本の海外地撤収。あるいは、海外地予算削減に繋がると予想された。

 上海港

 日本人たちが中国戦艦部隊を見下ろしていた。

 「すげぇ 本当に戦艦を売りやがった。それも5隻・・・」

 「やばいんじゃない?」

 「中国に戦車を売った腹いせかね」

 「朝鮮半島は危機になるけど。大連州だって危機になるから、肉を切って骨を立つだったんだけどな」

 「いくら中国でも米英ソ3カ国と戦争するより、日本1ヵ国と戦争するほうがいいと思うぞ」

 「大陸の租界から完全撤収になるかも」

 「当面、租界は居ていいみたいよ」

 「なんで」

 「アメリカが戦艦を売ってやるから租界を残してくれって言ったらしい」

 「アメリカだけだと反故にされかねないから、列強全部」

 「アメリカにしては、気前がいいな」

 「まさか。戦艦を売って。ニッケル、石炭、鉄鉱石を買われて、大高騰だ」

 「それに上海兵工廠じゃ戦艦を修復できないし。戦艦を補修するのは、アメリカの造船所」

 「戦艦補修するたびにアメリカの商品を買わされ、アメリカに資源が輸出される」

 「日本は、高くなった中国の資源を買えないし。中国に商品が売れなくなるから涙目だよ」

 「「「「・・・・」」」」 ため息

 「あと、日本租界を排除したかったけど、日中戦争のネタだから残したってところかな」

 「中国人なんて信用できないだろうに。米中蜜月なんて、いつまでもつやら」

 「中国にとっての遠交近攻は、アメリカと結んで、日本を攻める」

 「アメリカにとっての遠交近攻は、中国と結んで、日本を攻める」

 「基本戦略が変わらないから、一定の友好関係は保つはず」

 「まぁ 中国に軍艦で威力外交されると嫌かも」

 「しかし、朝鮮半島のユダヤ人も戦々恐々じゃないの」

 「ユダヤ人にとって朝鮮半島は、仮宿みたいなものだよ」

 「皮を切って肉を裂く程度の痛みしか感じないと思うね」

 「そのへんは、どうなんだろうな。ユダヤ人の本命は朝鮮半島じゃなくて。パレスチナだろうし」

 「朝鮮共和国に戦艦を売らなかっただけでも幸いかな」

 「白人の移民が朝鮮人の人口より増えてるし。そのうち朝鮮共和国に軍艦を売るんじゃないか」

 「それは、嫌だな」

 「取り敢えず、台湾と沖縄の防衛は強化しないと」

 「予算は通りやすそうだけど」

 「しかし、日本の海外地躍進が背に腹は変えられないというか、腹に据えかねたというか」

 「よっぽど、日中戦争させたいんだな」

 「もう、日清戦争と日露戦争で懲りたし。戦争はいいよ」

 「だけど、自作自演でも日中戦争を画策しそうだな」

 

 白人たち

 「中国に戦艦5隻を売って本当に良かったのか?」

 「朝鮮権益は守れるんだろうな」

 「戦艦の運用は金がかかるし、海軍士官の養成は数世代から数十世代の蓄積が必要だ」

 「また、補修を含めると泣きたくなるほどで、持っているだけで戦争できないだろうし」

 「運用できる頃には旧式化して使い物にならないはず」

 「しかし、庶民は、そういう発想自体がない」

 「中国海軍再建となったら、海外地から引かぬにしても、予算が縮小する」

 「だらだらと、浪費させられ国民の負担になるだけの領地になるだろう」

 「それに戦艦5隻の購入で資源が高騰する。日本経済は苦境に落ちるはず」

 「ボディブローのように聞いてくるはず」

 

 

 

 ポーランド・イギリス相互援助条約締結

 

 毎日新聞社機ニッポンが世界一周目指し羽田を離陸、10月20日に目的を果たし帰国。

 

 ハインケル社(ドイツ)のHe178が世界初のジェット飛行に成功

 

 メキシコは、もっともアメリカの影響力を跳ね除けたい国の一つだった。

 しかし、アメリカと直接国境を接するメキシコとの交渉はリスクが大き過ぎて進まない

 メキシコシティ

 「仮に日本に領土を譲渡するとしたら、西北か東北でアメリカと国境を接した地域でしょう」

 「日本の国境がアメリカと国境を接するのは危険だ」

 「しかし、メキシコとしてはグアテマラ側やベリーズ側の割譲は、面白くないですな」

 「メキシコの盾にされては困るのだが」

 「それより10個師団分の装備はいただけるのでしょうな」

 「これまで約束を違えたことはありませんよ」

 「それは助かります」

 「しかし、10個師団分では勝てないでしょう。その5倍入る」

 「日本は、用意できますか」

 「生産部門から人員を引き抜いて、1個師団を創設するのはむつかしいがね」

 「1個師団分の装備だけなら、それほど大きな負担はない」

 「あと問題は、いま開発ラッシュが続いていて、戦争並みにインフレが進んでいる」

 「豪快ですな」

 「それくらいやらないと、木工12ギルドに主導権を奪われそうでね」

 「なんにしても、やるとなったら一気に開発しなければなりませんし」

 「譲渡の際、メキシコ人のゴタゴタは困ります」

 「中南米の成功はメキシコ人の間でも評価されていまして、交渉を進めないとこちらがやばい」

 「だといいのですが、こちらの準備が進むまで、もうしばらくは必要でしょう」

 

 

 

 ドイツ ヴィルヘルムスハーフェン港

 日本の旭日旗が消され、ドイツのハーケンクロイツが描かれていく、

 日本で建造された潜水艦5隻がドイツに売却されていた。

  3061t級UJボート

   全長98.50m×全幅9.06m×吃水5.31m

    水上 排水量1900t  6400馬力 速度17kt  航続距離20000海里/10kt

    水中 排水量3061t  4200馬力 速度10kt  航続距離165海里/4kt

     65口径105mm砲1門  83口径37mm連装高射機関砲1門

     53cm魚雷発射管 艦首4門、艦尾2門  魚雷17本/機雷74個

     安全潜航深度230m  乗員68名

 日本にとっては、軍縮条約で制限されたトン数から割り引いた選択だったものの、

 その対価は、ドイツ工業技術の粋で、日本の技術的な向上が図られていた。

 日本人艦長はドイツ新艦長に敬礼すると潜水艦から降りていく、

 日本人艦長たち

 「いよいよ。戦争だな」

 「取り敢えず、日本に帰還して、一休みしないとな」

 「日本は我々の乗る新型潜水艦を建造してるだろうか」

 「建造してるでしょう」

 「しかし、日本の旧式潜水艦15隻が改装されて、ドイツに輸出されるとも聞いてますし」

 「我々が指揮する潜水艦が回ってくるかどうか・・・」

 「「・・・・」」 ため息

 「まぁ 赤レンガでお茶飲むのも悪くないですがね」

 「人脈もあるし。このまま、日本とドイツのパイプ役になりそうだけどな」

 「「あははは」」

 

 

 ヴィルヘルムスハーフェン港

 ドイツ艦隊が港を出撃していく、

 ドイツのポケット戦艦3隻は、元々 通商破壊用の艦艇で、

 日本から購入した軽巡洋艦9隻は、5500t級で55口径150mm砲4門と火力が過小だっものの

 ディーゼル機関電気推進は、長大な航続距離を持ち、装甲艦に同行が可能だった。

    装甲艦アドミラル・グラーフ・シュペー。

            軽巡洋艦コルベルク(長良)、マインツ (五十鈴)、ロストック (名取)、

 

    装甲艦アドミラル・シェーア。

            軽巡洋艦アウクスブルク (由良)、マクデブルク (鬼怒)、ブレスラウ (阿武隈)、

 

    装甲艦ドイッチュラント。

            軽巡洋艦シュトラースブルク (川内)、シュトラールズント (神通)、グラウデンツ(那珂)、

 

 ドイツ海軍は、開戦前に通商破壊艦隊を出撃させる。

 

 

 9月

 ドイツ帝国は、ヒットラーの再軍備宣言(1935年3月)から開戦の年まで

 15t級2号(95式)戦車888両、22.7t級97式(3号)戦車416両、25t級4号戦車608両を生産していた。

 もし日本と共同開発せず、

 ドイツだけで開発生産しようとしていたら1号戦車と2号戦車の性能はもっと不足し、

 生産の割り振りも1号戦車に数両を取られていただろうと言われていた。

 ナチス・ドイツ軍とスロバキア軍によるポーランド侵攻により、第二次世界大戦が勃発した。

 開戦の年、ドイツの主力戦車は、25t級4号戦車だった。

 ドイツ軍のポーランド侵攻は、

 

 瑞森市 (旧ブラジル:オランジュ)

 2300t級潜水艦

   伊153号、伊154号、伊155号、伊158号。

   伊156号、伊157号、伊159号、伊60号、伊63号。

   伊61号、伊162号、伊164号。

 2330t級潜水艦

   伊165号、伊166号、伊67号、

 ドイツ潜水艦に改造された潜水艦15隻がドイツ海軍将兵に引き渡されて出港していく、

 これは、最初から戦争になったら拠出するという名目で建造した潜水艦で、

 代償として、ドイツに日本の工業力強化に協力させていた。

 そして、戦争が始まることから約束通り引き渡されたのだった。

 

 

 東京

 扇動家たち

 “アメリカが中国に軍艦を売ったニダ! 言ってた通りになったニダ!!”

 “アメリカが中国に軍艦を売ったニダ! 言ってた通りになったニダ!!”

 “大事なことなので2回言ったニダ!”

 “中国戦艦部隊は、訓練中ニダ”

 “戦うニダ。今がチャンスニダ”

 “中国に攻め込むニダ”

 “中国人に日本人がたくさん殺されたニダ”

 “英霊が命懸けで手に入れ、奪われた失地を取り戻すニダ”

 “アメリカ、ソビエト、イギリスから朝鮮半島を奪い返すニダ”

 “戦争するニダ。絶対に勝てるニダ”

 

 東京の喫茶店

 仙堂と角浦

 「欧州で戦争が始まっちまったよ」

 「困ったねぇ」

 「北欧道は、大丈夫だろうな」

 「今のところはね」

 「しかし、朝鮮半島の米英ソ軍が連合して日本と戦争になったらまずい」

 「今のところ、その心配はなさそう」

 「そうかな」

 「ニューヨークの木工細工を修復したんだが」

 「戦争を利用してユダヤ人を欧州の外に移動させたいらしい」

 「へっ」

 「目的地はパレスチナだけどな」

 「もう一つは、朝鮮半島で建設中の城塞25都市だと」

 「そりゃまた・・・」

 「軽く、1000万人は移動してくるだろうな」

 「ほかにも戦争難民が混ざるはずだから1500万人くらいにはなる」

 「まぁ つまり、日本が多少のことをしてもお目溢しする予定らしい」

 「それ、相当上の人間だろうな」

 「ウォール街だからね」

 「あとで、確認させてくれ」

 「ああ、いいよ」

 

 

 

 宇垣軍縮で廃止された第13師団、第15師団、第17師団、第18師団が復活していく、

 近衛師団

 第01師団(東京)    第02師団(仙台)    第03師団(名古屋)    第04師団(大阪)  

 第05師団(広島)    第06師団(熊本)    第07師団(北海道)    第08師団(弘前)

 第09師団(金沢)    第10師団(漠砂州)  第11師団(瑞森市)   第12師団(北欧道)  

 第13師団(姫路)   第14師団(蝦夷市)   第15師団(善通寺)   第16師団(熊襲市)  

 第17師団(久留米)  第18師団(宇都宮)   第19師団(大連州)   第20師団(任那州)

 日本の陸軍師団は21個となり、ポストと装備が割り振られていく、

 この頃、10t級89式(1号)戦車、15t級95式(2号)戦車が売却され、

 日本陸軍戦車主力は、22.7t級97式(3号)戦車へ移行し、

 25t級1式(4号)戦車の生産が検討されていた。

 関係者たち

 「ドイツは新型戦車を開発してるんじゃないのか?」

 「5号戦車は57t級らしいですよ」

 「まさか、そんな・・・」

 「24口径75mm砲から43口径75mm砲に換装して、徐々に改良していくか」

 「日本オリジナルで戦車を開発すべきだろうな」

 「しかし、北欧道や漠砂州のこともある。ドイツとの連携は、需要だと思うね」

 「んん・・・」

 

 

 

 イタリアが中立を表明

 

 イギリス・フランス・オーストラリアがドイツに宣戦布告(まやかし戦争)

 

 日本、第二次世界大戦への不介入を表明

 

 米国が中立を表明

 アメリカ合衆国

 白い家

 大統領がテーブルに着くと、カラーコード戦争計画の報告書が乗せられている。

   ホワイト(対内乱戦)、グレイ(対西インド諸島諸国戦)、オレンジ(対日本戦)

   パープル計画(対中央アメリカ諸国およびロシア戦)、レッド(対イギリス・カナダ戦)

   グリーン(対メキシコ戦)、ゴールド(対フランスおよびカリブ海のフランス領戦)、

   ブラック(対ドイツ戦)、インディゴ(対アイスランド戦)、ブラウン(対フィリピン戦)、

   イエロー(対中国戦)、バイオレット(対中国内乱戦)、

   オリーブ(対スペイン戦)、シルバー(対イタリア戦)、エメラルド(対アイルランド戦)、

   タン(対キューバ戦)、シトロン(対ブラジル戦)、レモン(対ポルトガル戦)、

   ルビー(対インド戦)、スカーレット(対オーストラリア戦)、ガーネット(対ニュージーランド戦)

 カラーコード戦争計画の報告書が次々と更新されていく、

 「日本の次期主力艦建造は、どうなってる」

 「報告書にあるとおり、戦艦は建造せず」

 「空母と潜水艦の建造が中心になってるようです」

 「あと気になるのが30000t級戦車運搬艦です」

 「侵攻作戦でも使えるな」

 「本命は、新興国への輸出でしょう」

 「アジア・アフリカで独立運動が激化してますので」

 「日本は次はどこを狙うと思う」

 「東南アジアかと」

 「戦争になるかな」

 「東南アジアを中心にした報告」

 「北欧道を中心とした報告」

 「漠砂州を中心にした報告を揃えています」

 「疲れるな」

 「勝てはしますが、選択肢が累計しますので」

 「「「「・・・・・」」」」 ため息

 

 

 

 

 南アフリカがドイツに宣戦布告

 

 カナダがドイツに宣戦布告

 

 大日本航空がニューヨーク・横浜間の飛行に成功

 

 ソビエト軍がポーランド東部に侵攻

 

 ワルシャワがドイツの空爆で陥落

 

 独ソ友好条約(ポーランド分割占領を決定)調印

 

 

 エストニアはソビエトに降伏した。

 しかし、日本租界のイダ=ヴィル県(3364ku)だけは、ソビエト支配を免れてしまう。

 エストニア人は、イダ=ヴィル県に殺到し、

 日本は、緊急に食料輸出しなければならなかった。

 イダ=ヴィル県庁

 日本人行政官たち

 黒パンと、魚料理と、血のソーセージがテーブルの上に並んでいた。

 「本当に占領されてしまうなんてな」

 「可能性はあったけど。ソビエト軍に占領されるまで半信半疑だったよ」

 「取り敢えず、難民が増えてるし。居住区を作らないと冬になったら凍死しそうだ」

 「ユダヤ人も集まってきてるが」

 「海外に脱出したがってる」

 「海外ねぇ 別にいいけど」

 「ていうか。アメリカとイギリスで保護すりゃいいじゃないか」

 「アメリカとイギリスだろう。ユダヤ人を朝鮮半島とパレスチナに追いやりたいのは」

 「欧米の内部事情で、反ユダヤが強い。だから石油で反ユダヤの少ない国の政策を誘導する」

 「あと、ユダヤ人にも反タルムード派でトーラ派がいてね。どうしても虐げられるらしい」

 「そういう、悪貨良貨を駆逐するようなのはやめて欲しいね」

 「日本がビザを出すのを嫌だって言ったら?」

 「石油で不幸なことが起きるらしい」

 「ったくぅ すぐ、石油で恫喝する」

 「しかし、ソビエトもポーランドの東側を取ったのにイギリスやフランスから宣戦布告されないのはずるい」

 「だよね。だよね」

 「それより・・・」

 扉が開く、

 「日本人。予定通り、3時にエストニア駐留ソビエト軍司令が会見したいそうです」

 「わかった」

 「適当に愛想笑いして、ご機嫌を取っておくか」

 「ロシア人に愛想笑いは逆効果です」

 「じゃ 無愛想に社交辞令でもしとくか」

 

  

 10月

 日本国内の石油が統制品となり、配給制となる

 

 物価統制令・地代家賃統制令施行

 

 朝鮮共和国

 土木建設機械が動き、中国人が人海戦術で造成が進んでいく、

 主要25都市の中心は、城塞都市化されつつあった。

 日本企業が基幹産業と社会基盤を造成し、石油と鉄鉱石を対価で得ていた。

 その石油と鉄鉱石を加工することで、日本は海外地を要塞化していたのである。

 日本国は、自らの国の首を生皮で締めつつ、

 アメリカ、イギリス、ソビエトのグローバル世界に楔を打ち込んでいく構造が作られていた。

 朝鮮共和国の滑走路にボーイングB17フライングフォートレス爆撃機と、

 ロッキードP38ライトニング戦闘機が並んでいる。

 日本は、完全に爆撃圏内に入っていたが、機体数は少なく、

 朝鮮半島で製造できるような体制にはなっていなかった。

 江華島 4カ国同盟会議

 「朝鮮人の工場は駄目だ。まったくモノを製造できるような気質がない」

 「病気持ちだし、なんなの、伝染したらまずいよ」

 「火病だろう。近付くと伝染るかも」

 「こぇ〜 城西区画のもっと高く造成しないと、国民が寄り付かねぇ」

 「うんなことしたら日本が強くなるだろうが」

 「殺しちまうか」

 「殺すけど、大量虐殺したら国際的な非難を受けるだろう」

 「アメリカ、ソビエト、イギリスで口裏合わせて民族病で滅んだって言い張ればいい」

 「「あはははは」」

 

 

 

 11月

 イギリスが海軍軍縮条約の無期限停止を国際連盟に通告

 日本海軍省

 「これで、ようやく軍縮から抜けられる」

 「割安で国防ができたから、いま思えば、悪くなかった」

 「しかし、金剛の代艦の建造が始まってからの条約破棄はずるい」

 「取り敢えず、計画通り、35000t級大和型戦艦2隻は建造するとして」

 「33000t級瑞鶴空母4隻も建造して。4000t級潜水艦20隻も建造しよう」

 「予算は?」

 「それが一番の問題だけどね」

 「そうそう、陸軍も欲しがってる」

 「何としても予算を通さないと」

 「木工12ギルドは、大和型戦艦の建造を中止するなら空母と潜水艦の建造は応援するって言ってるけど」

 「またあいつらか」

 「潜水艦は仕方がないとして。戦艦はうまみがないらしい」

 「艦上戦闘機は、例の機体が主力だからね」

 「そしたら、また木工12ギルドが強くなっちゃうじゃないか。近代国家で木工細工産業なんておかしい」

 「だいたい戦艦は海軍の主力。絶対にいるよな?」

 「「「「・・・・・」」」」 シーン

 「「・・・・」」

 

 

 日本郵船の客船「照国丸」が英国ハーウィッチ沖にて触雷により沈没(犠牲者なし)

 

 ソビエト軍がフィンランドに侵攻、

 

 北欧道

 1個師団の守備範囲は5km〜8kmだった。

 第12師団1個で対ソビエト国境線90kmを守るにはあまりにも少なすぎた。

 しかし、後備師団5個が配置されおり、

 52口径282mm連装砲台10基、55口径150mm砲40基、

 76口径88mm砲120基、83口径37mm砲500基がソビエト国境に向けられていた。

 対戦車塹壕は深さ15mに達し、堡塁は5mを超え

 もはや、まともな方法では突破できなかった。

 第12師団守備隊

 国境警備隊長が鉄塔の監視所からソビエト領内を見ていた。

 ソビエト軍は、集結していたが動く気配はなかった。

 「少将。大変です、ソビエト軍がフィンランドに侵攻しました」

 「えっ」

 北欧道が対ソビエトの正面と思っていた少々は静かな戦線を見渡し、混乱する。

 「ソビエトはカレリア戦線から侵攻しました」

 「そっちか。全軍に警戒態勢を敷かせろ。こちらからは絶対に撃つな」

 「はっ」

 飛行場から98式戦闘機が飛び立ち始めた。

 「戦闘機部隊も国境を越えさせるな」

 「確認します」

 「フィンランド国境側も防衛戦を構築しないとな」

 「既に取り掛かってはいますが、容易に乗り越えられそうです」

 「ソビエトはフィンランドを占領して、北欧道を孤立させ、維持できなくさせる気なんだろうな」

 「確実にそうですね」

 日本軍将校たちは双眼鏡を覗き込み、ソビエト軍の砲口を見つめる。

 

 

 ソビエト軍100万人と戦車6500両、航空機3800機のフィンランド侵攻に対し、

 フィンランド軍25万人と戦車530両、航空機630機は完全と立ち向かった。

 フィンランド軍は戦力比で明らかに劣勢だったが、

 冬季戦はソビエト軍の奇襲にならず、

 待ち伏せていたフィンランド有利に働き、

 日本から譲渡された兵器と武器弾薬は、フィンランド軍の士気を高めた。

 「38式小銃は、評判が悪いようだな」

 「冬季戦向きじゃないですからね」

 ソビエト軍のフィンランド侵攻は攻めあぐねるようになり、

 大きな被害を出すようになっていた。

 

 

 12月

 エストニアの首都タリンでバルト三国外相会談

 「ソビエトに占領されちまったよ」

 「もう、最悪ぅ」

 「ロシア人の野郎。まじでムカつくぜ」

 「エストニアはいいよな。イダ=ヴィル県を日本に租借させていて」

 「俺たち、もう、涙涙・・・」

 「イダ=ヴィル県もいつまでもつやら・・・」

 「なに? やばいの?」

 「いや、日本人たちは戦々恐々で、本国との連絡に躍起になってるよ」

 「程ほどにしないと暗号解読されちゃうんじゃないの?」

 「そう言ったけど、精神的なタフさがないというか、ビビってる」

 「そんなんでよく、バルト海まで来れたな」

 「まぁ 数人は肝が座ってるがね。妙な国民だよ」

 「どんな国民だよ」

 「一番性格が近いのは、フィンランド人かな」

 「「ふ〜ん」」

 

 

 通商破壊艦隊上空を水上偵察機アラドAr196が滞空すれば、ほとんの難を事前に回避することができた。

 ドイツの通商破壊艦隊は、装甲艦1隻、軽巡洋艦3隻で、最大9機を装備し、

 一定の時間飛ばすことで安全性を高めていた。

 おかげで過小な護衛艦に守られたイギリス船団は、次から次へと捕獲されるか、撃沈されていく、

 その光景は、日本の購入軽巡洋艦9隻 VS レンドリース駆逐艦50隻の戦いと言えなくもなく、

      ※レンドリース駆逐艦 1000t級コールドウェル型3隻、1247t級ウィックス型22隻、1215t級クレムソン型19隻

 ドイツ通商破壊艦隊がイギリス船団に攻撃するたびに、

 日本購入軽巡と、撃ち合うレンドリース駆逐艦の戦闘が見られた。

 通商破壊艦隊は狩りが成功すると、拿捕した輸送船を抱え込み、ちょっとした船団にまでなってしまう。

 通商破壊艦隊は、余剰の乗員を乗せてはいるが、

 これ以上は減らせない程になると、北大西洋であれば、水上機で予備の船員を空輸することもあるが、

 通常は、本国に帰還するか、撃沈するか、ほかの輸送船と交換する。

 

 ラプラタ沖

 H・ハーウッド准将はG部隊を率いてアドミラル・グラーフ・シュペーを追撃していた。

  イギリス海軍G部隊  8390t級重巡洋艦エクゼター。7270t級軽巡洋艦エイジャックス、アキリーズ

 軽巡洋艦エイジャックス 艦橋

 「重巡洋艦カンバーランドがいないのは痛いな」

 「3対1ならなんとかなりそうではありますがね・・・」

 「ドイツ艦隊は、装甲艦1隻と軽巡3隻の組み合わせで100kmの以内で行動する」

 「交戦が始まれば、2時間ほどで僚艦が助けに来る」

 「艦長!」

 見張り員が叫ぶと水平線上にアドミラル・グラーフ・シュペーが現れた。

 しかし、先制発見したのはシュペーであり、シュペーは6時17分から砲撃を開始し、

 エクゼターが撃ち返したのは3分後の6時20分からだった。

 ハーウッド准将は艦隊を解いて、バラバラにシュペーに突撃させた。

 副官は、時計を見つめドイツの僚艦が応援に駆けつける時間を測っていた。

 シュペーの砲撃が重巡洋艦エクゼターに集まり、命中弾が立て続けに起きると沈黙していく、

 砲雷撃戦は20分ほど続いたが、

 軽巡洋艦アキリーズ

 「右舷4時。雷跡2つ!」

 見張りが叫んだ。

 艦橋の士官は、水面と水平線上にいるであろう艦影を探すが、艦影はなく、2つの雷跡だけだった。

 「取舵40! 全速!」

 アキリーズは魚雷1本が命中すると傾き、速度が低下すると282mm砲弾が命中する。

 形成が逆転した海戦は、さらに継続し、

 エクゼターとエイジャックスの砲台全てが大破して降伏した。

 UJ03号潜水艦が浮上すると、シュペーと合流し、

 コルベルク(長良)、マインツ (五十鈴)、ロストック (名取)が周囲から集まってくる。

 

 アルゼンチン ブエノスアイレス港

 ボロボロのエクゼターのマストにハーケンクロイツが翻り、

 艦橋には、ドイツの海軍士官と大使館員が立っていた。

 破壊された右舷の窓枠と一緒に破壊された壁から外界が見え、

 200m先にはハーケンクロイツの旗を掲げたアキリーズが浮かんでいた。

 「砲台も魚雷発射管も破壊されているが機関は無事だし」

 「船体もまぁ応急修理すれば大丈夫だろう」

 「船として機能しても、軍艦として機能していないということか」

 「まぁ そんなところだ」

 「イギリスはアルゼンチンにエクゼターとアキリーズの引渡しを要求している」

 「降伏した艦船は、降伏させた軍艦のものだよ」

 「問題は、修復するのがむつかしい状況だ」

 「中立国でも?」

 「応急修理くらいならできるがね」

 「それ以上は、アルゼンチンの立場もあるだろう」

 「まぁ 応急修理でも燃料を満タンにできればドイツ本国に帰還できるだろう」

 

 

 国際連盟は、フィンランド侵略を理由にソビエトを除名

 

 

 欧州戦争で起きた特需は、傾きかけた生糸産業を復活させていた。

 特に日本の生糸は、神籬が育成したクヌギとナラの葉をエサにしているため丈夫で軽く、

 薄緑色の天蚕糸に至っては、世界最高峰の生糸と珍重され、

 世界中の貴族、富豪、そして、高級将校用制服の生地として使われていた。

 何より戦線の近くに中立地帯に生糸を運び込むだけで、双方の国が買い求めた。

 第75議会召集

 「朝鮮半島は米英ソの支配圏に組み込まれている」

 「この際、ドイツ側に立って、朝鮮半島と中国のイギリスを排斥すべきではないか」

 「いや、イギリス側に立ったほうがいいと思うね」

 「イギリスは敵だよ」

 「そうかもしれないが、資源が手に入る方がいい」

 「いつまでもイギリスやアメリカから買ってはいられない」

 「そんなことしていたら、いつかは奴隷国にされてしまう」

 「それより戦後体制を考えて外交戦略を考えるべきではないのか」

 「戦後って、どうなるかわかってるのか」

 「現状はドイツが有利ですが、アメリカの出方次第で変わります」

 「そりゃそうだろう」

 「しかし、アメリカ資本は戦争したがってる」

 「アメリカ国民は戦争を嫌がってるよ」

 「FRBは戦争するまで紙幣を印刷しない」

 「じゃ アメリカ国民は、戦争するか。餓死するかの選択肢しかないわけだ」

 「軍需景気で儲かってるだろう」

 「日本ほどじゃないし、アメリカは資本家の方が取り分が多い」

 「多民族国家のアメリカは、単一民族の日本と違って、労使共同体の感覚が小さいからね」

 「利潤は最大まで求めるから格差は大きいし。労働者なんて使い捨てとしか考えていない」

 「だから日本より労働者への資本波及が遅れる」

 「日本も一昔前は、朝鮮系を利用して、格差社会、地域分断、差別民を作ろうとしたがね」

 「今は朝鮮系が少なくて、それもむつかしくなってる」

 「なんにしてもアメリカが日本以外の国と戦争してくれなら万々歳だね」

 

 

 トルコで大地震(M8.0、死者33000名)

 

 

 漠砂州 (旧イタリア領リビア・ブトナン県:8万3860ku)

 トブルク港

 整地した大地に凝固剤の混ざった水が撒かれると、

 凝固剤が浸透していくにつれ地盤が堅くなっていく、

 その後、ボーリングし、鉄骨鉄筋コンクリートの土台を作り、

 ガラス繊維で補強した設計で東西に長い建物を建設していく、

 東西が長いのは、太陽光熱の直射で東端と西端が灼熱になりやすいためで中央がやや涼しくなった。

 反射鏡張りの屋根と、集光塔を建設し、強力な太陽光熱発電所を建設していく、

 日陰が作られると、砂漠に強い作物の種12種が仕込まれた粘土が敷き詰められ、緑地が芽生えていた。

 太陽光発電は、海水を組み上げ、淡水化された水が砂漠に撒かれ、緑地が広がっていた。

 あとは、草木が育ち朽ちれば土壌が育ち緑の野が広がっていくはずだった。

 そして、太陽光熱は砂漠の石英を溶かし、ガラス繊維を作り、ガラス繊維を束ね、

 建築材の材料にするだけでなく、

 ハニカム構造の6角体を作って国境沿いの砂漠に敷き始めた。

 砂嵐が吹くたびに砂を掻き込み砂丘を大きくし、天然の要害を形成することになった。

 漠砂州開発所

 部屋の一角に砂を敷き、凝固剤を撒き、粘土質の層を作り、

 その上に砂を被せ、凝固剤の混ざった水を撒き、粘土質の層を作っていく、

 これを何十層と繰り返し、どのくらいで地すべりを起こすか、実験が繰り返されていた。

 様々な組み合わせで地滑りを起こりにくそうな山を作るが、一定の高さになると崩れやすかった。

 「凝固剤とガラス繊維は、自滑り防止になるが、磐石とは言えないな」

 「あまり大きな建物を建てられないのでは?」

 「特に国境沿いは気を付けないと」

 「気を付けないとって言っても99パーセント砂だからな」

 「雨が降って欲しいですね。水を撒く程度じゃ・・・」

 「どうせ埋め立てるなら海水でもいいくらいだが」

 「塩田で固める方法もあるのかね」

 「まぁ 固められるならなんでもいいような気がする」

 「塩害になりそうだから少し困る気がする」

 

 

 第10師団 

 「いよいよ。戦争か」

 「日本は慌てて師団を創設しているようだ」

 「ふっ 何を今更」

 「軍部は今ひとつ、冴えませんからね」

 「2・26事件で不信を買ったからな」

 「皇軍が外国資本に買収されたとか、笑えん」

 「神籬が幸幣を作るまで世知辛かったからね」

 「甘言に乗って生殺与奪を握られると辛いわ」

 「やはり、新師団は神籬系が押さえるの」

 「木工12ギルドは80万人ほどいる」

 「財力はあるし。主要な将校を押さえるのはむつかしくないだろう」

 「やれやれだな」

 「まぁ 漠砂州も住めば都だろう」

 

 

 呉

 日本は、イギリスが軍縮条約を破棄すると、

 生駒、鞍馬、伊吹の45口径305mm連装砲2基を50口径254mm3連装砲2基へと変更した。

 既に生駒は、砲塔を換装するためドック入りしており、

 伊吹も改装する準備が整えられていた。

 そして、条約破棄で鞍馬の改装も始まる。

 

 筑波型1隻  生駒、

  排水量 19750t / 21400t

  全長220m×全幅23m×吃水7.8m

  ディーゼル機関電気推進100000馬力  速力30kt  航続距離10kt/21500海里

   50口径254mm3連装砲2基  65口径105mm対空砲連装4基  83口径37mm対空機銃10門

  水上機 8機

 

 鞍馬型2隻  鞍馬、伊吹、

  排水量 20636t / 21595t

  全長230m×全幅23m×吃水7.8m

  ディーゼル機関電気推進100000馬力  速力30kt  航続距離10kt/21500海里

   50口径254mm3連装砲2基  65口径105mm対空砲連装4基  83口径37mm対空機銃10門

  水上機 8機

 

 関係者たち

 「遂に20000t級超えの大型巡洋艦か」

 「結構、本気で建造しましたからね」

 「50口径254mm3連装砲2基は役に立つのか?」

 「通商破壊で使えるはず」

 「あと耐久力があるので、対巡洋艦用で役に立つでしょう」

 「戦艦と戦わないと決めてしまえば最強かもね」

 「空母は怖いだろう」

 「ああ、そういえば、空母は怖いか」

 「これからの建造は、3000t級伊号潜水艦と、2000t級陽炎型駆逐艦が主力になるだろう」

 「陽炎型は本当にガラス繊維にするのか?」

 「駆逐艦は雷撃と対潜哨戒と対空能力だけで砲撃戦は二の次だからな」

 「鉄を浮かせるのは大きいだろう」

 

   2000t級陽炎型駆逐艦

    全長114m×全幅11.8m×吃水3.9m

    ディーゼル機関電気推進40000馬力   31kt   8000海里/18kt

    65口径105mm砲4門  83口径37mm機関砲4門

    魚雷4連装2基      投射基2基・投下基4基 爆雷36個

 

 「鉄か・・・」

 「鉄を浮かせるから神籬に投資したというのに、軍まで鉄をケチらされるとはね」

 「だからガラス工場なんて投資は嫌だったんだ」

 「一旦、軍需産業に傾くと、それ以外の産業は資本を引き上げられてすっからかん」

 「なのだが、あそこだけは違う」

 「まぁ 幸幣は軍も使うからね」

 「それに予算内でやろうとすると、どうしてもガラス繊維を振り分けられるだろう」

 「強度は大丈夫なんだろうな」

 「まぁ 意外とね」

 

 

 

 

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 月夜裏 野々香です。

 木仙一族

   仙堂春和(33歳) × 山城美奈(29歳)   一樹(11)  智樹(7)  加賀美(4)

   角浦秋和(33歳) × 日向奈美(28歳)   青葉(11)  芳樹(7)  冬樹(4)

 

 

 

 ドイツ 対オランダ、対ベルギー、対フランス

 ドイツ戦車は、日本で史実より性能の良い10t級1号戦車と15t級2号戦車を開発。

 史実の5.4t級1号戦車1493輌(8062t)+8.9t級2号戦車1088両(9683t)の

 総トン数17745tを15t級2号(95式)戦車900両(13500t)と、22.7t級3号戦車187両(4245t)で振り分けます。

 あと、技術提携費と購入で日本戦車を加算します。

 開戦時のドイツ戦車部隊

 日本製戦車 10t級89式(1号)戦車 300両

 15t級2号(95式)戦車900両  +  日本製15t級95式(2号)戦車100両。

 22.7t級97式(3号)戦車416両 A・B・C・D型70両。ドイツ製E型96両、F型160両+187両

 25t級4号戦車608両 A型35両、B型42両、C型134両7両。

 チェコスロバキアの35T戦車219両、38T戦車200両が加算

 質より数が欲しい対フランス戦で少しばかり不利ですが、対ソ戦は少し有利になるかも、

 

 

 1個師団が25000人なので21個師団だと52万5000人。

 欧米の陸軍国と、まともに戦えば屠殺されそうですが、島国なのであまり考えなくてもいいでしょう。

 

 近衛師団

 第01師団(東京)    第02師団(仙台)    第03師団(名古屋)    第04師団(大阪)  

 第05師団(広島)    第06師団(熊本)    第07師団(北海道)    第08師団(弘前)

 第09師団(金沢)    第10師団(漠砂州)  第11師団(瑞森市)   第12師団(北欧道)  

 第13師団(姫路)   第14師団(蝦夷市)   第15師団(善通寺)   第16師団(熊襲市)  

 第17師団(久留米)  第18師団(宇都宮)   第19師団(大連州)   第20師団(任那州)

 

 

 

 日本海軍艦艇です。

 史実と少し違います。長門型が1隻で寂しく、

 軽巡9隻売却と、条約型駆逐艦の初春型が多いのが難点でしょうか。

 陽炎型からは、トン数を上げることに・・・

  33000t級瑞鶴型空母      瑞鶴、翔鶴

  10000t級龍驤型空母      龍驤

  38000t級長門型戦艦      長門

  32000t級金剛型戦艦      金剛、比叡、春名、霧島

  36000t級扶桑・伊勢型戦艦  扶桑、山城、伊勢、日向、

  19750t筑波型巡洋戦艦    生駒

  20636t鞍馬型巡洋戦艦    鞍馬、伊吹

  10000t級妙高型巡洋艦

          妙高、那智、足柄、羽黒。 高雄、愛宕、摩耶、鳥海。 黒姫、蔵王、吾妻、穂高、

  3200t級天龍型 天龍、龍田、

  5100t級球磨型 球磨、多摩、北上、大井、木曾、

  5170t級長良型 長良、五十鈴、名取、由良、鬼怒、阿武隈

  5200t級川内型 川内、神通、那珂

  2890t級夕張型 夕張

  1215t級峯風型駆逐艦

             峯風、澤風、沖風、島風、灘風、矢風、羽風、

             汐風、秋風、夕風、太刀風、帆風、野風、波風、沼風

  1270t級神風型駆逐艦

             神風、朝風、春風、松風、旗風、追風、疾風、朝凪、夕凪

  1315t級睦月型駆逐艦

             睦月、如月、弥生、皐月、卯月、水無月、文月、長月、菊月、三日月、望月、夕月

  1680t級吹雪型駆逐艦

             吹雪、白雪、初雪、深雪、叢雲、東雲、薄雲、白雲、磯波

             浦波

             綾波、敷波、朝霧、夕霧、天霧、狭霧、朧、曙、漣、潮

             暁、響、雷、電

  1490t級初春型駆逐艦

             初春、子日、若葉、初霜、有明、夕暮、

             白露、時雨、村雨、夕立、春雨、五月雨、海風、山風、江風、涼風、

             朝潮、大潮、満潮、荒潮、朝雲、山雲、夏雲、峯雲、霞、霰、

 

 

 

 1926年 巨済島(400ku) 済州島(1845ku) 鬱陵島(72.82ku)

 1926年 大連州(3462ku)

 1930年 任那州 フォンセカ湾 ニカラグア領地コシグイナ(400ku)

 1932年 任那州 フォンセカ湾(1200ku) 4カ国不戦条約により拡大

             ニカラグア(400ku)+ホンジュラス(400ku)+エルサルバドル(400ku)

 1932年 北欧道 カレリア地峡+フィンランド湾諸島 (6000ku)

             スールサーリ島(21ku)、ラヴァンサーリ、大・小チュテルサーリ島他

 1934年 任那州 中米7カ国不戦協定調印 (2400ku)

             フォンセカ湾(1200ku)  旧ニカラグア・ホンジュラス・エルサルバドル領

             旧コスタリカ領 ココ(瓜生)島 (46.6ku)

             ブリカ(中ノ鳥)半島 (753.6ku)  旧コスタリカ領(353.4ku)+旧パナマ領(400ku)

             旧グアテマラ(沖ノ浜)領(400ku)

       任那。ニカラグア、ホンジュラス、エルサルバドル。コスタリカ、グアテマラ、パナマ、

 1935年 熊襲市 (400ku)  旧タイ王国領対マレー国境

 1936年 蝦夷市 (400ku)  旧チリ領

 1938年 漠砂州 (8万3860ku) 旧イタリア領リビア・ブトナン県

 1939年 租界地 エストニア・イダ=ヴィル県(3364ku)

 1939年 瑞森市 (400ku) 旧ブラジル・オランジュ域

 

  

 ドイツ海軍は再軍備から開戦までに日本の艦艇5200t級軽巡9隻、潜水艦20隻を購入しました。

   コルベルク(川内)型軽巡洋艦9隻

     排水量5195t/常備5595t

     全長162.15m×全幅14.17m×吃水4.80m

     ディーゼル機関2500馬力20基 50000馬力

     速力30kt  15kt/15000海里

     乗員380名

      55口径150mm砲5門   83口径88mm砲4門   37mm砲2門

      533mm3連装魚雷発射管4基  機雷56個

    航空機3機

    コルベルク(長良)、マインツ (五十鈴)、ロストック (名取)、

    アウクスブルク (由良)、マクデブルク (鬼怒)、ブレスラウ (阿武隈)、

    シュトラースブルク (川内)、シュトラールズント (神通)、グラウデンツ(那珂)、

 

   3061t級UJボート 5隻

     伊6A号、伊6B号、伊6C号、伊6D号、伊6F号

   2300t級潜水艦 12隻

     伊153号、伊154号、伊155号、伊158号。

     伊156号、伊157号、伊159号、伊60号、伊63号。

     伊61号、伊162号、伊164号。

   2330t級潜水艦 3隻

     伊165号、伊166号、伊67号、

 

 ドイツ通商破壊艦隊

   アドミラル・グラーフ・シュペー

       コルベルク(長良)、マインツ (五十鈴)、ロストック (名取)、

 

   アドミラル・シェーア

       アウクスブルク (由良)、マクデブルク (鬼怒)、ブレスラウ (阿武隈)、

 

   ドイッチュラント。

       シュトラースブルク (川内)、シュトラールズント (神通)、グラウデンツ(那珂)、

 

 

 任那方面隊

   19750t級巡洋艦 生駒

      11300t級重巡洋艦 妙高、那智、足柄、羽黒   5195t級軽巡洋艦 球磨、多摩、

 

 中東方面隊

   20636t級重巡洋艦 鞍馬

      11300t級巡洋艦 高雄、愛宕、摩耶、鳥海    5195t級軽巡洋艦 北上、大井、

 

 大西洋・地中海・バルト海方面隊

   20636t級重巡洋艦 伊吹

      11300t級巡洋艦 黒姫、蔵王、吾妻、穂高    5195t級軽巡洋艦 木曾、

 

 

 

 

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第18話 1938年 『北アフリカで月の砂漠を』
第19話 1939年 『第二次世界大戦』
第20話 1940年 『国際連盟本部東京と東京オリンピック』