第26話 1946年 『日本民族国防会議甲子園で優勝するのよ』
東京 キリスト教系ハーバード反日大学教会
“拝金主義の雲の柱。そして、利己主義の火の柱に導かれし朝鮮の民よ”
“日本の国で隠れ潜みし半島の子らよ。出朝鮮中の苦役の民よ”
“祖国は、資本主義の繁栄にあったが、軍靴によって蹂躙されている”
“祖国と朝鮮民族は、君ら隠れ在日の奮起に期待しているのだ”
“日本と日本民族はアジア長男中華と次男の苦しみを利用して繁栄して栄えているのだ”
“日本は、アジアの同胞を踏み躙り、日本民族のみの安泰を求めているのである”
“許してはならない。許してはならないのだ”
“紙幣の印刷を制限して、海外投資を増やし、企業を保護をするのだ”
“そうすれば、富は、利権によって集められ、貧富の格差が広がる”
「取り零しがあれば銀行が潰れます」
“銀行が潰れそうになったら救済し、税金から支払えばいい”
“そうすれば、社会資本が引き抜かれ、弱者にしわ寄せが行く”
“弱者は家や土地を売って金に変えるしかないのだから”
“支払利息の負担を弱者に押し付け順番に殺していくのだ”
“君らが損することはない、紙幣は1000分の1の原価しかないのだ”
“日本を滅ぼすのだ。日本を滅ぼすのだ。日本を滅ぼすのだ!”
「なぜ、三回も・・・」
“とても大切なことなので3回言ったのだ!”
“さぁ 立ち上がるの隠れ潜みし、半島の子らよ”
“日本と日本人を奈落の底に追いやるのだ”
“そして、利己主義と拝金主義・犯罪大国。自殺大国。売国大国
「が、学長。木工12ギルドが代用通貨幸幣を発行しています」
「中央銀行が紙幣量を減らすと、木工12ギルドが自動的に幸幣を増やし、通貨量を調整してしまうのです」
「それに故意に紙幣量を減らすと、幸幣が高騰し」
「企業は木工12ギルドを雇い、日銀から離れ。木工12ギルドが利権を吸収し利益を得てしまうのです」
「そして、今では主要産業株の2割は木工12ギルド系の持ち合いになっているのです」
「そ、それに新造してる幸幣の7割を買い占めてるのは、アメリカ・・・」
“そ、それでも戦うのだ。日本人を乞食にして、日本の支配を確立するのだ”
「わ、分かりました。紙幣発行量を減らしていいのですね」
“い、いや待て、もう少し、様子を見よう”
「「「「・・・・・」」」」
日本は、隔進論による海外地会得と工業力と兵器武器売却。
中国は、対米英ソ直接対決と、満州・朝鮮解放。
タイ王国は、東南アジア諸国独立と東南アジア条約機構成立。
3ヶ国は、アジア・有色人種・東洋の盟主の座を勝ち取ろうと動いていた。
欧米資本支配の自業自得だったものの、彼らの欲望を駆り立てた朝鮮半島利権と、
石油と鉄鉱石の日本輸出と、中国人の人海戦術的な開発が招いたアジア情勢だった。
むろん、日本の朝鮮半島・満州鉄道利権の放棄と、
日本の木工産業と幸紙幣。最優良の生糸・木綿と。工業力とゼネコンの基盤があったからであり、
資源や利権と交換に大量の武器弾薬を輸出し、後進国や植民地を軍事的に独立させたからと言えた。
そして、アジア独立最大の貢献は第二次世界大戦で、
欧州で始まった戦争でイギリスが弱体化したためだった。
タイ王国 東北部コーラート台地
運河と水路と灌漑用水が台地に広がると人口も増えていく、
タイ王国で最も貧しかった台地は、最も豊かで住みやすい地域に変貌していた。
タイ王国は、フランス領ベトナム、ラオス、カンボジアを独立させ、
イギリス領の植民地マレーとビルマを独立させようとしていた。
タイ国民は、昂揚し国民も誇りを持ち士気が高まっていた。
国民の士気高揚は、タイ王国軍の戦意と直結していた。
しかし、国家と国民の高揚と、それを支える産業の間に格差があり、
日本の建設業者が補って、それが利権となっていた。
「退役軍人のための保養地か。上手くいったら日本でも作りたいな」
「戦争してないのに?」
「いや、戦争できるように」
「「「「あはははは」」」」
「だけど、タイ人は、すげぇ 高揚してるじゃないか。生き生きしている」
「やっぱり、近代戦争の初戦が対仏で植民地解放戦争で。次戦が対英で植民地解放戦争だからな」
「そりゃ 気骨も国威も高揚するだろう」
「日本の日清戦争は、半島を巡ってのアジア国家同士の戦争で帝国主義を加速させただけ」
「日露戦争は、有色人種、アジア人が始めて白人国家の意思を挫いたわけだが、朝鮮を独立させず併合してしまったからな」
「どう考えても対仏・対英で解放戦争したタイ王国の方が注目される」
「だよな・・・」 がっくり
フィリピン
日本企業がサナトリウムを建設していた。
朝鮮半島の戦いで長期療養が必要なアメリカ軍将兵のためで、
アメリカに帰還させても日常生活に支障がある傷病兵が集められていた。
日本人たち
「なんか、酷い有様だな。髪が抜けるとか、痩せるとか、足腰が立たなくなるとか」
「どんだけの精神的ダメージを受けたんだ」
「表向きはノイローゼらしいけど。原子爆弾を投下した直後に反攻作戦で突撃させた部隊らしい」
「取り敢えず、勝ったのはいいけど、アメリカ軍将兵は戦闘意欲が半減」
「もう一度、中国軍100万が押し寄せて、押し返されたらしい」
「何やってるんだか」
「石油と鉄鉱石が買えるならなんでもいいけどね」
「フィリピンも独立運動が増えてる」
「アメリカは、日本との取引を増やして。フィリピン人に独立を諦めさせてるわけだ」
「だからフィリピンで日本の木工業者が林業ができるわけか」
「中東石油の輸入が軌道に乗るまで、臥薪嘗胆するしかないだろうな」
「それより、アメリカ本土から新規の師団が上陸してるそうです」
「フィリピンに?」
「3個師団ですが」
「直接、半島に上陸しないのは変だな」
「どさくさにフィリピンを整地する気かもしれませんね」
「それとも東南アジア向けの師団か」
「中国本土。渤海沿岸に上陸すれば、中国本土と満洲を切り離せますよ」
「んん、中国に上陸してもソビエトに益するだけのような気がするが大連州を牽制できるなら、一番効果的だ」
「しかし、3個師団では足りない。増援を調べてくれ」
「はい」
雲州(ビオコ)島(2017ku)
飛行船が貨物船から物資を引き上げ、山頂へ運び込んでいく、
この手法で日本の未開地開発は、早さと効率性を発揮した。
大粒の雨が激しく滑走路を叩き、跳ね返りと合わせて数十センチほどの高さまで真っ白になった。
ハンガーは、滑走路より高い場所に作られていたが、
雨水が側溝から溢れ出してハンガーの床を濡らしていた。
「こりゃ 凄い雨だな」
「次の工事で側溝をもっと深くするか、広げるかしないとダメだな」
「先に木工業関係者の施設を作るらしい」
「なんで、あいつら優先なの?」
「未開地で、すぐ金になるのが林業だから」
「それと木仙一族は、なぜか、地盤の強い弱いがわかるから、後々の建設が楽になる」
「それに造幣で、すぐ、自立しやすい」
「つげの木だっけ? 熱帯雨林だけど、育つの?」
「代用通貨だし。必要なら屋根つけても育てるんじゃないの」
「あいつらが、でかい顔すると人材を取られて工業基盤が疎かになるんだよな」
「だけど、小売業や工業基盤を動かすのに、あいつらだの幸幣は便利だ」
「下克上で利権を保てなくなるかもしれない代償はあるけどね」
「成り金は、豊かな国のサプライズだし、新陳代謝みたいなものだろう」
「まぁ 神籬や木工12ギルドは、ムカツクがサプライズ成り金では、あったね」
「それで、日本のお金持ちクラブは、木仁弥州と雲州を巨大な貯金箱にする気のようです」
「いくら紙幣を刷っても日本に還流するまで10年くらいのタイムラグがあるなら格差を維持するためやるだろうね」
街宣中の扇動者たち
「今がチャンスニダ!!!」
「日本は戦争すれば勝てるニダ!」
「英霊が戦死した魂の祖国。朝鮮半島と満洲を奪い返すニダ!!!」
「日本軍は、絶対に勝てるニダ」
「朝鮮人は、日本軍の上陸を待ってるニダ」
「シコシコ木工やってる場合ではないニダ」
「日清日露戦争後、日本人は怠慢になって平和ボケしたニダ」
「戦う気概を失った情けない国になってしまったニダ」
「中国は、米英ソ朝連合相手の戦争で、アジアの盟主になろうとしてるニダ」
「日本がアジアの盟主の座を中国に奪われるニダ」
「日本が有色人種の盟主の座を中国に奪われるニダ」
「このままでは、日本が、英霊が、日清戦争、日露戦争が築き上げた盟主の座を失うニダ」
「日本人なら銃を取って、立ち上がるニダ」
「アメリカ、イギリス、ソビエトと組んで中国軍を撃退するニダ」
「絶対に勝てるニダ」
「今が千載一遇のチャンスニダ」
「日本人は、英霊のために戦うニダ!!!!!!」
大都会の喧騒の中、
日本人たちは、不安を抱えつつも忙しなく行き交っていた。
某喫茶店
イチジク、マンゴ、バナナ、パパイヤなどの果実フルーツがテーブルに置かれる。
日本産だけでなく、台湾産の熱帯果実が増え、庶民の口にも入りやすくなっていた。
「何人かの議員と右翼団体が、国民から愛国基金を集めて民間防衛組織を作りたがってるらしい」
「愛国基金が必要なら非国民から金を集めて、民間防衛組織を作ればいいんだ」
「誰が愛国者かわからないだろう」
「スターリンでさえ、少数民族や囚人を盾にしてるじゃないか」
「愛国者から金を集めて利権を作る時点で、愛国者を弱体化させてる」
「少なくとも、その議員と右翼団体に愛国心はないと思うね」
「こういう議員と右翼団体は、飛行機で敵の軍艦に体当りさせかねないし。美化させかねない」
「やりすぎるとレイシストになるのでは?」
「貧富のレイシストより、人種民族のレイシストがマシだと思うね」
「お金持ちが無能になると、儲けることより、新参を潰して格差を広げることを念頭に置くように」
「愛国者が愛国を追求するとレイシストになってしまうのさ」
「レイシズムは無能の証明ってわけか。無能じゃない証明は?」
「政府情報戦略室は、国外の資産保有率を5パーセント以下で」
「国内の外資保有株は、5パーセント以下の歯止めをかけられるか検討している」
「5パーセントの博愛主義って?」
「ふっ」
「しかし、それは困るな。タイ王国東北部や中東石油の利権は、5パーセント超える」
「なんとか、日本国内に我田引水してくれってことだろう」
「外資保有率を5パーセント以下なら努力すればなんとかなる」
「しかし、どんなに我田引水しても、タイ王国東北部の所領地と産物は5パーセントにならんし」
「中東油田をパイプラインで亜羅州まで引っ張れても、油田の位置を変えることはできない」
「まぁ 確かにね」
桜舞い散る季節、
取り巻く社会と、立ち位置と、高校生活の希望と失望の狭間で、
半端、諦めきれない夢と、半端、諦め気落ちした空気が混ざり合う教室、
静穏高校は、5月は・・・
バーン!
一人の少女がの教室で立ち上がった。
“もう、我慢できないわ!”
幼馴染の少女は、そういった。
美人で容姿端麗で美声でいうことのない幼馴染みで
家で合気道を教わっていたのか、腕っ節も強く、
女と遊ぶことより男子供と遊ぶことの多い変わり者で、
最近の表情と漂う雰囲気からなにかしでかしそうな予感がしていた。
とはいえ、予感が的中しても、ちっとも嬉しくなかった。
“私が日本を守るわ”
「「「「へっ」」」」
その時は、そう思えなくても、きっと “ああ、悪いものでも食べたのだな” と思いたかった。
『『『『・・・・・』』』』
“なに、他人事みたいに傍観してるのよ”
“あんたちも入りなさい”
「は、入るって?」 申条光(しんじょう ひかり)
「まず、何に入るのか教えてくれ」 狛緯健介(こまい けんすけ)
「いや、待て。それ以前に、私たちの意思が侵害されてる」 木寺(きじ ひとみ)
“静穏高校 日本民族国防会議室部よ”
「なんですと?」
“日本民族国防会議室部”
「そんなのあったっけ」
“これから私たちが作るの”
『『『『・・・・・』』』』
「な、なにするところ?」
「まず、意思が侵害されてることを追求しないと」
“日本民族と日本国を守るシュミレーションを立てるの”
“そして、日本の政治、文化、宗教、民族、国家、歴史、言語を世界の敵から守るの”
「敵って?」
“敵は敵よ。アメリカ、中国、ソビエト、イギリスなど全部!”
「戦うの? 戦わないの?」
“和戦両用! 来るもの拒まず、去るもの追わずよ!”
「なんのこっちゃ」
“そして、日本中の高校で競って、日本民族国防会議甲子園で優勝するのよ”
“そして、優勝したら国家機関に挑戦状を叩きつけるのよ”
「桃原。頭の中と、現実の間にどれだけハードルがあるか気付いてるのか」
「そんなの国に任せればいいじゃない」
バーン!
“それが、いけないのよ!”
“日本人のその他人任せ観が、他力本願が、日本を衰退させてるの”
“いい、あの連中は、保身と利権の我田引水しかないわ”
“平家でなければ人間ではない式な。源氏でなければ人間ではない式な”
“自分たち以外の勢力は守る気もなければ、利権の敵でしかない”
“総合的な視野もないから敵に各個撃破で突け込まれるし、日本人の多くが苦しくなるのよ”
“そんなのは、国益でもないし、国民の利益でもないの”
“やってることの御粗末さは、日本人全てが知ってることよ”
“目指せ、日本民族国防甲子園優勝!”
『『『『・・・・・』』』』 呆然
“担任と校長に日本民族国防会議室部の創設を認めさせてくる”
「「「「あ・・・」」」」
少女は職員室に走っていく、
その日、日本の片隅で、存在しない部と、存在しない他校の部のシミュレーション戦と、
存在しない日本の公式全国戦が小さな波紋となって広がっていくことになった。
いったい、何がいけなかったのだろう。
欧州戦争 イギリス・アメリカ VS ドイツ・イタリア VS ソビエト
極東戦争 ソビエト VS 中国 VS アメリカ・イギリス VS 東南アジア条約機構
朝鮮半島まで及ぶ戦争特需で日本中が商売っ気に邁進していたが、
同時に巻き込まれるかもしれない戦争に国民も危機感が増していた。
そして、不戦派と主戦派が日本社会を光と影のように照らしていた。
とはいえ、日本は、上意下達の威光が強かった。
また民主的な政治でも利権塗れ、
縦割りのムラ社会で少数の上位層が勝ち残り、玉虫色で政策を決める、
こういった社会で主流の思想でなく、門外漢で独創的な発想は、煙たがれる。
そういった重苦しい空気が日本全体を覆っており、
一般校の生徒が自発的に事を起こすことは、これまでなかった。
きっと、庶民の作る幸幣が経済統制を破壊するほど政治力を強め、
発言力となったのかもしれない、
そういった潮流は、親の話しだと生まれた頃の30年から強まったらしく、
それから16年も経っていた。
大連州(3462ku)は、公共投資と設備投資が断続的に行われ、
工業生産力は、中国大陸の100倍に達し、
大連州が中国軍の戦線を支えているといっても過言でなかった。
中国は、膨大な人口を背景に米ソと戦争しつつ、
海戦術で、香港、上海、南京、武漢、重慶、北京、ハルピン、
平壌、ソウルを結ぶ幹線道路を建設していた。
これらの交通網を拡充させた技術は、日本の土木建設能力で、
その対価も中国の莫大な資源だった。
日本最大の火力発電所、日本最大の製鉄所、日本最大の工場群が稼動し、
国境線の堡塁は高く、堀も深くなっていった。
日本からの臨時雇用が大連州の人口を増やしていた。
国と州とゼネコンが予算の3分の1を出し合い、賃貸収入を折半する方式で、
300m級高層ビル8棟が建設されようとしていた。
より不透明な省庁予算で建設する動きもあったが政府と木工12ギルドが反対し、
国と州とゼネコンは収支公開となった。
日本人たち
「大連もマンハッタンみたいになりそうだな」
「石油と鉄鉱石で作った半島ビルと比べると感慨深い」
「大陸の資源と供給を一手に引き受けているならビルくらい建つよ」
「半島でアメリカのビル建設を学んでてよかったよ」
「本当は400m級でも建てられたんだけどな」
「予算の関係もあるし、取り敢えず、この辺で信頼を勝ち得たほうがいいと思う」
「東北・北海道、台湾もあるし、海外地もある、あと100棟は軽く建つよ」
「10年更新の賃貸収入だけで予算編成できるんじゃないのか」
「よく、橋を作れって言われなかったな」
「人口増加や可能性の大きさもあるからね」
「だけど、日本人全員を賃貸住まいにする気かって新聞で騒がれている」
「減価償却までに家賃を半減させていくし。売却用のビルも建設する」
「賃貸は、最初、高いが丈夫に作ってるから減価償却後以降、割得のはず」
「予算を税金か、賃貸のどっちで、とるか、なんだけどね」
「一応、制限区画を作ってるから、無制限に増えないだろう」
「しかし、政治家、官僚、公務員は、人口1000人に50人くらい」
「世代交代を含めると累計して年金を考えないといけないし」
「橋より大型ビルを建設して、賃貸収益を年金に割り当てたい気もする」
「しかし、中・米ソ戦争で中国が勝つと大連州は完全火包囲されるから危険な気がするな」
「中・米ソが共倒れなら美味しいけどな」
「そう、都合良くはいかないだろう」
国際連盟のホスト国日本は、絨毯爆撃が国際法違反であることを喧伝し、
外交的に米英の戦略爆撃を封殺していた。
朝鮮半島で武装蜂起が発生すると、中国軍が朝鮮半島に侵攻し、中・米ソ戦争が勃発した。
戦火はアジアにまで拡大し、
タイ王国もフランス領ベトナム帝国、カンボジア王国、ラオス独立を成功させ、
さらにイギリス領ビルマとマレーの武装蜂起に対し解放戦争を開始する。
結果、アメリカは大陸反攻が困難になり、
ソビエトは、東西に兵力を分散されて兵力不足に陥っていく、
ドイツは、レーニングラード制圧と、
スターリングラード戦の危機回避が大きかったものの、
Me262戦闘機と5号パンターとパンツァーファウストの量産の成功が戦線の支えになった。
むろん、各戦線とも戦域を拡大できるような状況になっかものの、
北アフリカ戦線と東部戦線の防衛は可能で、膠着状態に陥っていた。
日本領漠砂州 (8万3860ku)
地中海に孤立した海外地は、当初、師団と工作後備師団により開発と、建設と、緑化が行われ、
8年目になると基幹産業の拡大に伴い、人口と予算の増加に引っ張られ、民間資本も増えていた。
そして、戦争になると、泡銭と軍需品を掠め取り、本国や同胞に知られたくない私財が増え、
その秘密を守ってくれる第三国に私財を避難させる者が現れる、
その比率は、国家の健全性と、国民のモラルに比例した。
漠砂州を挟んだエジプト領のアメリカ・イギリス軍と、リビア領ドイツ・イタリア軍は、漠砂州最大の闇財源になっていた。
漠砂州でイタリア領リビアに近い国境に前方後円墳型に、道路と建物と壁を建て増ししながら鉢式に広がっていく、
最下層中央に湖水と広場があり、階段状の街が建設されていく、
太陽光が街に当たるのが、ある程度、昇ってからになった。
この手法で建設すると砂嵐の度に道路と建物と壁が増し
街が大きく広がり、階層も高くなって砂漠に凹凸を作った。
日本人たちは、黙々と働き、すり鉢状の街を緑化していた。
螺旋状に登り降りする道路は、街路樹が植えられ、砂漠に強い草木が育ち、
見渡す限り砂漠とは思えないような街になろうとしていた。
電気自動車が行き交い、
壁側に屋根の張り出した建物は、テナント付きの家屋だった。
白人系の住人は、くず鉄を日本に売った代金で、10年分の賃貸料を払い住んでいた。
暇潰しに作ったイタリア料理店は、ソコソコ売れ、敵味方に関係なく白人客が増えていた。
カフェテラス
「妙な形の街だな」
「世界最大の古墳を凹の形で作ってるのだろう」
「よくわからないが、日本の伝統なのかもしれない」
「伝統にしては昔すぎるし、円形の部分が湖水になってるのも面白い」
「まぁ 興味を持った各国の情報部も人間を送ってるようだが・・・」
「ふっ どうせ、郷愁だろう」
「まぁ そんなところかもしれないがね。神秘主義者を駆り立てるよ」
「それはそうと、日本がナイロン製造に成功したらしい」
「計算外に早いな。というよりナイロン製造なんて無理だと思って売ったんだがな」
「機械と材料を売って1年で生産できたってことは、既にナイロンを研究してたんだろう」
「製造は技能や技工だから経験と手先の器用さが必要なだけだ」
「しかし、科学、化学、医学は、土台になる知識と、応用できる想像力がいる」
「なにより日本は、内弁慶な利権群調整政治だったはず」
「こういった発展は、不自然な気がするな」
「大卒者が増えて化学と科学知識が増えたってことじゃないのか」
「まさか。日本で大卒が社会に出始めたのが1900年でいまは1946年」
「逆算するなら46年分の卒業生しかいないし、最高齢は70歳前後」
「大学の数と卒業生が増えたとしても分母が小さく、発明や開発の絶対量で不足している」
「つまり、日本人は頭がよくて想像力があるってことじゃないのか」
「どうだかねぇ〜」
「好景気が続くのは、既得権が社会資本の還流を許しているということだ」
「そんなことがあり得るか」
「日本は戦後恐慌、銀行恐慌、関東大震災で大卒者でさえ職につけなかった時代を経験している」
「つまり、度量は、それほど大きくない」
「しかし、不換紙幣に切り替え、幸幣が出たあとは、日本中で成金が大量生産しているし、権力基盤の新陳代謝が異常に激しい」
「やはり、木工産業が日本経済を牛耳はじめた?」
「まぁ 木工産業は、日本最大の集票だからね」
「鉄鋼製造業を中心に巻き返しを考えてるらしいが、老後は幸幣でも作って暮らそうか、って人間も多い」
「木工ギルドは利益分配率を守るため、木工細工師の数を制限をしてないのか?」
「木工細工が売れなければ幸幣で。幸幣が割に合わなくなれば木工細工を作ればいいって発想のようだ」
「富裕層は、日本の木工製品を買うし」
「欧米の資本家は、資源を対価に払って日本の木工製品を輸入して売る」
「その方が紙幣を庶民にばら蒔かず済むし、紙幣を回収しやすく、貧富の格差を広げることができる」
「日本も中国、東南アジアに対してそうしてるんでは?」
「いや、日本企業が参入しても日本人労働者が働いてる」
「結局、資源が欲しいのが一番で、日本の産業基盤を大きくするのが二の次。配当は三の次らしい」
「その成果が、この街か。大したものだ」
「米英ソの朝鮮半島利権と同じで、欧州に近い場所に足場が欲しかっただけだろう」
「しかし、日本の利権だけが無事なのが面白くない」
「漠砂州が魅力的な地域じゃないからだろう」
「いまは、相当なものだが街の大きさと人口が水の供給力と比例する」
「普通の国よりはるかに大きな投資を必要とする」
「まぁ 庶民に金が流れるなら税金で吸い上げればいいだけだが、税金を奪いすぎても新興企業を抑圧し、既得権益業者を腐らせてしまう」
ポナペ島 (330ku)
潜水艦基地バンカーが50基ほど完成していた。
一つのバンカーに4隻を格納できるため200隻を配備でき、
戦争になれば倍の潜水艦を運用することができた。
とはいえ、日本潜水艦は、総数260隻に過ぎず、
税収が増えるか。戦争にならない限り、南洋の一基地すら定数を満たせそうになかった。
ポナペ島に大型潜水艦基地を建設したのは、日本と任那州をつなぐ中継基地だからで、
アメリカの朝鮮半島権益を脅かすためだった。
そして、潜水艦を大量配備すると警戒されるが、基地はそれほど意識されなかった。
この日本の傾向は、ドイツの潜水艦の活躍によって拍車がかけられ、
日本が戦艦をアメリカに売った後は、さらに強まっていた。
海軍将兵たち
「基地は大きいが潜水艦が少ないのが虚しい」
「戦争になったら]]T型潜水艦を多量生産できるからだろう」
「黒龍型は無理か」
「]]T型は輸出用で製造が慣れてるし。短期間に数を揃えるなら]]T型が優れてるよ」
「例のワルターエンジンというのは?」
「酸素は使わないが、厄介な有毒エンジンでな。漏れると人が死ぬ」
「それは困る」
「しかし、小型エンジンを製造して酸素と淡水を作らせようかと考えてるらしい」
「酸素と水か・・・」
「動力で不安でも潜れるだけ潜っていられる方がいい」
「ドイツも気前がいい」
「というより、ゲシュタポの一部を一時的に海外地に避難させて欲しいそうだ」
「結構な金塊と幸幣を持っててな。海外地の一区画を使わせてるらしい」
「どんなお金だ」
「まぁ 戦争中だから。占領地から掠め取ったんだろう」
「スターリンが避難させそこなった金塊か」
「というより反スターリン資金だったかも」
「国内の不満分子に殺されてもおかしくなかったのに、スターリンも運がいいやつだ」
ポナペ航空基地
日本製Me262戦闘機が飛び立っていく、
「どうだい?」
「んん、V2ロケットと予算の取り合いになってることを除けば順調かな」
「ふっ」
「しかし、エンジンの耐久年数というか。耐久時間が少な過ぎて戦力化は考えたくない」
「戦争になったら破産するかも」
「それは言える」
「というより、ジェット戦闘機は、敵編隊の出鼻を挫いて、空中戦を戦いやすくするための機体だろう」
「もう少し耐久年数のいいエンジンを開発できればいいんだが」
「いま開発中だ」
「冶金技術は蓄積だから材料と資本が続く限り良くなるし、構造も想像力次第で良くなる」
「あと何年かすればドイツに並ぶだろう」
「だといいけど」
政府代表を乗せた日本の巡洋艦 高雄がサンフランシスコ湾に入港した。
互いに仮想敵国を叩き潰す計略を立て
数百回もシミュレーションを繰り返した仮想敵国の代表と握手する。
日本とアメリカの関係がそうだった。
むろん、シミュレーションの結果が両国の力関係で、交渉力で反映する。
米英ソ軍は、朝鮮半島の支配権を喪失しつつあったものの、
アメリカは原子爆弾を開発保有しており、日本は、まだ開発しておらず、
そういったファクターが複雑に絡らむ会合となった。
むろん、事前に事務レベル調整が行われ、交渉の大枠が出来上がっており、
外交交渉で褒められたい政治家同士が出張って調印することになっていた。
会議
「原子爆弾の使用は、化学兵器と同じ国際法違反とすべきだ」
「今は戦争中だ。そういったことは、戦後に話し合うべきだ」
「では、戦後は、原子爆弾の使用は、国際法違反にするということだな」
「明確に応えられるわけがない。戦後の会談で決めるべきだ」
「明確に答えていただきたい」
「日本は米英ソ連合に敵対的だ」
「日本は、政治経済軍事で独立したいだけで、米英ソ連合に敵対的というわけではない」
「政治経済軍事で独立しようというのが敵対的なのだ」
「まるで日本に米英ソ連合の属国になれと言ってるように聞こえるが」
「そ、そういうわけではない。日本が閉塞的なのが気に入らないだけだ」
「我が国は、政治経済軍事で閉塞的な国なのだ」
「何より外資に支配されてしまうような社会は好ましくないし」
「異邦人に支配されるのも好ましくない」
「日本は製造本位の社会にすべきだ」
「木工12ギルドの好みそうな社会だな」
「日本と取引したいのなら日本に合わせろ」
「日本は、後悔することになるぞ」
「アメリカの無理強いに迎合する方が後悔しそうだ」
「経済制裁するぞ」
「日本の生糸と木綿は世界最高のはず。幸幣も必要なのでは?」
「石油、石炭、鉄鉱石と違い、絶対に必要というわけじゃない」
「確かに。しかし、日本も石油も石炭も鉄鉱石のアメリカ依存を減らしている」
「多少、採算が低下するが、我慢できないわけじゃない」
「中国、ドイツ、イタリアに武器援助するのはやめろ」
「アメリカにだけ戦艦を売るのは、不公平でしょう」
「あれはくず鉄として売られたはずだ」
「ほかの国とも、くず鉄の輸出入になってるはずですよ」
「どおりで、くず鉄の価格が上がってるわけだ」
「お互いに。でしょう」
「我が国の爆撃機は、原子爆弾を投下することができるのだが」
「そりゃ凄い、朝鮮半島の被害は伺ってますよ」
「それなら、もう少し、善処してもらいたいものだ」
「アメリカ合衆国は、議会の賛成なしに戦争できるのかね?」
「いや、それはむつかしい」
「それは、よかった。我が国もですよ」
「「・・・・・」」
朝鮮半島
人海戦術 VS 物量作戦
爆撃と砲弾と機銃掃射の雨が人民の海に降り注ぎ、
戦車の群れが人民の海を引き裂いていく、
どれほど爆弾と砲弾と機銃弾を消耗し、戦車が道を切り開いて隙間を作っても
数時間後、中国軍がアメリカ軍を包囲しつつ大地を埋めてしまう。
極東戦線は、西部戦線や東部戦線の常識が通用しなかった。
中国軍は、戦場で数千を殺して訓練し、
数万を数ヶ月かけて消耗させつつ熟練兵を育て、
十数万からの生き残りで精鋭部隊を編成する。
この手法は、東部戦線のソビエト軍が元祖で、完成型は中国軍といえた。
そして、物量作戦のアメリカ軍でも同様の傾向が見られた。
日本とドイツが貴重な国家予算を消耗しつつ精鋭部隊を訓練し育てたのと対比しやすく、
中国と戦う国は、育てた精鋭を失いながら、中国軍の精鋭を育ててしまう構造が出来上がっていく、
そして、中国軍と、アメリカ・ソビエト軍の戦争に巻き込まれた朝鮮民族は、生き残るため中国軍陣営にあっては中国側に付き、
アメリカ・ソビエト軍陣営にあっては連合国陣営に付くより、生き残る術がなかった。
アメリカ系朝鮮軍猛虎師団と中国系韓国軍白馬が睨み合っていた。
敵か味方かわからない朝鮮人同士を鉢合わせさせていた方が安心でいられた。
バァン!
「こら! 同胞を撃つニカ! 情けないニダ!」
「アジア人のくせにアジアを裏切る悪い朝鮮人! 降伏するニダ!」
バァン!
「馬鹿言ってるニダ! アメリカに逆らうは、キリスト教に逆らうことニダ! 神に逆らうことニダ!」
バァン! バァン!
「あ! 2回撃ち返したニダ!」
「アメリカ人の信じる神は、紙切れニダ! お前は紙切れ貰って喜んでる馬鹿ニダ!」
バァン! バァン!
「さっさと降伏するニダ! 命だけは助けてやるニダ!」
バァン! バァン! バァン!
「あ! 3回撃ち返したニダ! 同胞に向けて3発も撃つなんて酷い朝鮮人ニダ! 最悪ニダ!」
バァン! バァン! バァン!
「神に逆らうお前たちが悪いニダ。そっちが悪いニダ!」
「」
「」
「」
平壌米英ソ租界
近代的な高層ビルは砲撃にさらされていた。
中国軍は人海戦術で城塞都市の堀を埋め堡塁の頂上まで坂道を作っていった。
瓦礫と木材と土砂と血肉の山が高く埋もれ、
その上をスターリング重戦車とT34戦車が登っていく、
アメリカ・ソビエト・イギリス軍の連合駐留部隊は外堀を埋められ地の利を失う
連合軍は反撃するが
中国機甲師団は、歴戦を生き残った精鋭中の精鋭を集めて編成されており、
人民の海に押し潰されようとしていた。
300m級の高層ビルはアメリカを除くなら世界で日本と朝鮮半島しかなく、
中国軍にすれば宝の山に等しい街だった。
中国軍は数日掛かりでフロアを制圧すると、階段を上り次のフロアを制圧する、
そう、フロアを制圧した小隊がそのフロアの権利を貰えることになっていた。
「ついにフロアマスターを倒したある」
「このフロアは第42師団8連隊6大隊5小隊のものある」
「あとは、最上階の屋上だけある」
「また、封印されてるある」
「爆破するある」
鋼鉄の扉が破壊されると、中国軍が屋上へと流れ込む、
99式自動小銃やM1カービンを持つ者がいたが、
棟攻略で最強は、ソビエト製のスダエフ短機関銃だった。
平壌租界都市陥落は、原子爆弾でさえ、中国軍を怯ませられないと世界に印象付させた。
巨済島
「平壌租界が陥落したそうです」
「ソウル租界、江華島租界、釜山租界が陥落すれば朝鮮半島は、中国のものになりそうです」
「中国は、原子爆弾にも負けずか・・・」
「それは、無知の怖さでしょう」
「中国軍の主力は、反蒋介石国民勢力で、中国で住む場所はない」
「だから半島で奪った利権でしか、生き残る術がない」
「そして、半島は、宝の山だ」
「中国は一気に近代化するかもしれませんね」
「それは、ドイツが支援して中国の国産を増やさない限り無理でしょう」
「どうかな。国民がモラル高く勤勉勤労で社会資本を持たない限り国は安定しない」
「中国は、国民党支配を続けるため、まともに教育しないし、格差も維持し続ける」
「つまり、ドイツが中国を支援しても中国人の信頼性が向上しない限り工業は本物にならない」
「だといいが中国は半島欲しさにソビエトとアメリカに戦争仕掛けた」
「国民国家として漢民族が結束するかもしれない。不安だよ」
モスクワ クレムリン
米英ソ連合国の代表が集まっていた。
「欧州反攻はどうした」
「なぜ、フランスに上陸しない?」
「アメリカ軍の主力は朝鮮半島に上陸してるし」
「イギリス軍の主力も東南アジア戦線とアフリカ戦線で苦戦している」
「中国軍ごときに」
「その中国軍ごときに苦戦してるのは、極東ソビエト軍だろうが」
「中国に武器を供給してる国があるのでな」
「圧力をかけろ」
「日本は知らぬ存ぜぬを押し通してるし、日本と敵対するのは、いろいろとまずい」
「日本は99式小銃2000万丁、擲弾筒20万丁を中国軍と東南アジア条約機構に引き渡している」
「中立国や植民地にもな」
「日本を何とかしないと、戦争が終わる頃、我々白人はアジアだけでなく、アフリカからも叩き出されるぞ」
「「・・・・・」」
「何とかしろ!」
「日本に宣戦布告する明確な口実がない」
「口実もないのに宣戦布告したら、将兵の戦意は低下するし。国民も不信する」
「まず、次は政権を失う」
「口実なんて作ればいいだろう」
「フィリピンの療養施設は、40万人分に達している」
「彼らを本国に戻した瞬間にアメリカ国民の戦意は崩れ、議会が離反する」
「そんなこと言ってるが、アメリカもイギリスも地方にも幸幣取引所を街に作ってるそうじゃないか」
「「・・・・」」
「そ、それは、こ、国民の要望だよ」
「ソ、ソビエトも石油と交換に幸幣を得てる情報がある」
「ば、バカを言うな。戦争中に幸幣集めなどするわけがないだろう」
「「ふん!」」
「と、とにかく、早急に欧州に第2戦線を構築しなければドイツは打倒できない」
日本 靖国神社
「英雄未満、死すか・・・」
「日本を戦争させそこなった領袖どもですよ。靖国に入れること自体面白くない」
「先祖や一般兵の英霊から袋叩きに合えばいいんだ」
「ふっ 仙堂と角浦が情報を流してくれなかったら日本は戦争させられていたかもしれないな」
「アメリカと戦争させられていたでしょう」
「日清戦争と日露戦争は、イギリスに後押しされた向きもありますし」
「日本が空母と戦艦を無理して建造したというより、アメリカに建造させられた気もしますしね」
「日本に、それだけの下地があったからだろう」
「日本社会と、日本人のモラルと知的水準と勤労勤勉と。産業基盤、公共設備が日本の宝ではあるよ」
「1000分の1の原価の紙切れで、それを作れるのなら安いものだ」
「それはそうと、鉄道の標準化と更新は上手く進んでるのか」
「木仁弥州も増えましたし、マレー、ビルマ、インドネシアも発注が見込めそうです」
「あと、中国も鉄道を増やさないといけないようで」
「日本国内の線路も増やせるでしょう」
「朝鮮半島がどっちに転んでも日本本土は爆撃圏内になる」
「原子爆弾もあるし、それに備えるような地下鉄道は、普通の鉄道の10倍以上になる」
「日本の核開発は?」
「今のところ難航してるようです」
「被害が大きすぎてあまり使いたくないが」
「持ってることに意義があると考えるべきでしょう」
「恫喝用か」
「本気で使う国は、そうないでしょう」
「それより、アメリカは中国上陸作戦を検討してるようです」
「可能なのか」
「アメリカ機動部隊なら可能ですよ」
「それに蒋介石国民軍は、反政府勢力を満州外縁と半島に送って特戦隊にしている」
「中国本土から満州と半島を切り離せば、中国軍の主力は半減して各個撃破が可能だ」
「いや、アメリカは兵力で余裕があるのか」
「満州・朝鮮半島の戦線は、中国軍1500万でまだ増援可能なのに対し」
「ソビエト軍150万。アメリカ軍150万だろう」
「戦力はともかく。兵力数だけなら独伊中同盟が米英ソ連合に勝ってるからな」
「しかもアメリカ軍の5分の1は心身症でフィリピンに後退している」
「アメリカ太平洋艦隊の上陸作戦用艦船は?」
「半島戦線向けの輸送船を除くと、500隻は使えると思います」
「500隻か・・・なんとかなりそうな数字だな」
「戦争を終わらせるなら上陸作戦のため予備戦力を配置するのでは?」
「仮に北京を陥落させても、蒋介石は、漢口に後退するだろうし」
「漢口が落ちても重慶に後退して徹底抗戦を続ける」
「そうなったらアメリカは、泥沼だ」
「東南アジア条約機構は、マレー、ビルマにインドネシアも参加して意気が上がってる」
「日本で訓練してる東南アジア条約軍も連携が進んでるし」
「東南アジア条約機構の潜水艦も80隻を超えてシンガポールを孤立させているし」
「人種戦争の様相が強くなると100年戦争になりかねないからな」
「日本は、その方がいいかもしれませんが」
「いや、そうなると北欧道や漠砂州が孤立する」
「今のところ中立だから、危険が伴ってもインドや大西洋まで航行でるようなものだ」
「そうでなければ航行不能だよ」
「というより欧米が朝鮮半島を失えば、日本商船の自由航行を保障する必要はない」
「それは困る」
「戦争は最長でもヘルシンキオリンピックまでだ」
「それまでに海外地が自立できる程度の投資が必要になる」
「例え、数十倍の紙幣を発行しようとな」
ワシントンからポトマック川を渡ってバージニア州アーリントン国立墓地に入る。
アメリカ人は、黄色人をジロジロと見るが、日本人と思うと手を出すこともなく、擦れ違う。
日系人の男は、日本からの生糸輸入を扱っているが、
もう一つの顔は、特高警察 外事課 第8係 対アメリカ工作の担当だった。
と言っても情報工作は、ひたすら人脈を繋げることで、
知人が戦死したときは必ず顔を出して、お悔やみをいい、知人を広げた。
既知の知人と、深刻な表情をしても目立たない
「アメリカ議会で第二合衆国銀行の開業計画は、進んでるのか?」
「ドル札をFRBの末尾奇数と、第二合衆国銀行の末尾偶数で分ける案は、悪くないそうだ」
「しかし、殺し合いになっている」
「一度、中央銀行の旨みを覚えたら、人を殺してでも特権を守りたくなるわけか」
「日本が支援してくれるのなら心強いのだが」
「もちろん、支援するよ」
「アメリカ合衆国が金融支配されてるだけなら構わないが、日本まで食指を伸ばされると困る」
「しかし、本当に第二合衆国銀行でドル紙幣の末尾偶数を取れるのか?」
「議会権限を増やしたい議員は多いし。戦争でアメリカ国民は金を持ってる」
「あとは、こちらの組織をどう構成していくかだ」
「退役軍人が中心?」
「最大は、大恐慌で酷い目に遭わされた連中だがね」
「フィリピンで原爆後遺症で酷い目に遭った将兵は多いし、組織化もされてるから頼りになる」
「それと、幾つかのマフィア」
「マフィアは向こう側では?」
「そうでもないさ」
「一生延命、札束もらって人を殺しても、連中は印刷して簡単に手に入れる」
「バカバカしくてやってられないと思ってる連中も増えるさ」
「確かに・・・」
「あと、キリスト教の一部だ」
「彼らにすれば信者に圧力をかけて、議会から紙幣発行を調整したがってる」
「収入と献金額は比例しますからね」
「それと、民族組織だ」
「民族組織は低迷してると聞いたけど?」
「アメリカ合衆国の性質上な。しかし、ないわけではないし。それだからこそ。信頼できる」
「可能な限り反日勢力を潰して。日本に石油、石炭、鉄鉱石を送って欲しい」
「君らの組織企業で送ってくれれば見返りに金を運ばせよう」
「了解した。外交的な圧力はともかくな」
「原子爆弾の国際法違反化か」
「戦争中は、さすがに意見が割れてる」
「日本が言わなきゃ 諸外国の目で空気化するし。どうするかは、アメリカしだいだよ」
「なるほどね」
「時に日本は原子爆弾を開発してるのかね」
「まぁ 開発してないって言ったら嘘になるだろうね」
「開発できるかどうかはわからんが」
「そうか・・・」
ブラジル ベレン港
30000t級潜水母艦 全長220m、幅30m、深さ29m、航海速力19ktが入港すると、
後部ハッチが開き、ブラジルの海軍旗をはためかせたIX型潜水艦4隻が現れる。
ドック型潜水艦母艦は、4隻を格納でき、長期にわたって8隻を運用できたことから、
基地機能と港湾設備の弱い後進国で人気があった。
日本は、このドック型潜水艦母艦と潜水艦をセットで輸出していた。
艦橋
海軍将校のほか。ブラジルの議員たちも見学していた。
「艦長。全艦、出航しました」
「ハッチを閉めて、海水を抜け」
「はっ」
「艦長。この軍艦は役に立つのか」
「直接の戦力にならなくても、いい軍艦です」
「仮にこの潜水艦母艦を10隻を保有すれば80隻の潜水艦を太平洋、大西洋、インド洋に展開できますよ」
「来年は]]T型潜水艦をライセンス建造してくれるそうですし、戦力は倍増するでしょう」
「じゃ 鉄鉱石と交換で安い買い物をしたかもしれないな」
「日本は、木仁弥州、瑞森市、北斗市の開発のためとは言え、気前がいい」
「このまま、日本と取引を継続すれば、いずれ、南米諸国とスペイン、ポルトガルで、ドイツ並みの軍事力になるのでは?」
「いや、ブラジルは烏合の衆だし、何回か戦争しないと国家統合で不利だ」
「だから、国家統合のために戦争するのでは?」
「まともに国産兵器を作れないようでは戦争など程遠い」
「それに原子爆弾を保有するアメリカ軍と、まともに戦っても勝てないだろう」
「できればドイツに残ってもらいたいものです」
「そうなれば、我々がアメリカに屈指ないだけの国力まで育つ」
「まず、教育と大地主制を何とかしないと」
「まあ、そうだがね」
東京
国際連盟 平安宮
「日本は国際連盟の理事国ニダ」
「・・・・・」
「国際連盟の本部理事国が、隣国の朝鮮共和国と国交断絶なんておかしいニダ」
「・・・・・」
「日朝国交を回復するニダ」
「・・・・・」
「なぜ、目を背けるニダ」
「・・・・・」
「なぜ、明後日の方向を向くニダ」
「・・・・・」 ため息
「まっすぐ前を見て、現実を直視するニダ!」
「・・・・・」 ため息
「朝鮮共和国は、独立国ニダ!」
「連盟本部常任理事国は加盟国と国交を回復する義務があるニダ」
「・・・・・」 ため息
「日本人は朝鮮人を差別してるニダ!!!」
「・・・・・」 ため息
「なぜ、大きなため息をつくニダ!!!!」
「・・・・・」 ため息
「もし、日本が朝日国交樹立しないなら、韓国は国際連盟を脱退して国際連合に行くニダ」
「本当に?」
「本当ニダ」
「是非、脱退してください」
「・・・・・」
「是非、連盟を脱退して、国際連合に行ってください」
「あ、あ、いや、そういう意味ではないニダ」
「では、脱退ですね」
「い、いや、今のは違うニダ」
「朝日国交樹立して欲しいという意味でいったニダ」
「いや、朝日国交樹立しないから、脱退してもいいですよ」
「違うニダ。違うニダ。朝日友好は、大事といっただけニダ」
「国際連盟は脱退しないニダ」
「・・・・・」 ちっ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
月夜裏 野々香です。
木仙一族
仙堂春和(40歳) × 山城美奈(36歳) 一樹(18) 智樹(14) 加賀美(11)
角浦秋和(40歳) × 日向奈美(35歳) 青葉(18) 芳樹(14) 冬樹(11)
また、ヤッちゃいましたハルヒネタです (笑
そういえば、日本の赤字国債は1200兆円を超えてるとか。
ちなみに1万円札の製造原価は10円しないので、
1兆円の財源があれば1000兆円を印刷できるって霊感商法真っ青な話しです。
近衛師団
第01師団(東京) 第02師団(仙台) 第03師団(名古屋) 第04師団(大阪)
第05師団(広島) 第06師団(熊本) 第07師団(北海道) 第08師団(弘前)
第09師団(金沢) 第10師団(漠砂州) 第11師団(瑞森市) 第12師団(北欧道)
第13師団(姫路) 第14師団(蝦夷市) 第15師団(亜羅州) 第16師団(熊襲市)
第17師団(久留米) 第18師団(宇都宮) 第19師団(大連州) 第20師団(任那州)
第21師団(善通寺) 第22師団(木仁弥・赤道ギニア州) 第23師団(雲州・ビオコ島)
第24師団(小倉) 第25師団(高田/仙台)
1926年 巨済島(400ku) 済州島(1845ku) 鬱陵島(72.82ku)
1926年 大連州(3462ku)
1930年 任那州 フォンセカ湾 ニカラグア領地コシグイナ(400ku)
1932年 任那州 フォンセカ湾(1200ku) 4カ国不戦条約により拡大
ニカラグア(400ku)+ホンジュラス(400ku)+エルサルバドル(400ku)
1932年 北欧道 カレリア地峡+フィンランド湾諸島 (6000ku)
スールサーリ島(21ku)、ラヴァンサーリ、大・小チュテルサーリ島他
1934年 任那州 中米7カ国不戦協定調印 (2400ku)
任那。ニカラグア、ホンジュラス、エルサルバドル。
コスタリカ、グアテマラ、パナマ、
フォンセカ湾(1200ku) 旧ニカラグア・ホンジュラス・エルサルバドル領
旧コスタリカ領 ココ(瓜生)島 (46.6ku)
ブリカ(中ノ鳥)半島 (753.6ku) 旧コスタリカ領(353.4ku)+旧パナマ領(400ku)
旧グアテマラ(沖ノ浜)領(400ku)
1935年 熊襲市 (400ku) 旧タイ王国領対マレー国境
1936年 蝦夷市 (400ku) 旧チリ領
1938年 漠砂州 (8万3860ku) 旧イタリア領リビア・ブトナン県
1939年 租界地 エストニア・イダ=ヴィル県(3364ku)50年
1939年 瑞森市 (400ku) 旧ブラジル・オランジュ域
1940年 亜羅州 (4039ku) 中東アラビア海
武山(むさん)半島 ムサンダル半島 800ku 旧アラブ首長国連邦・オマーン
和蔵(わくら)湾 アル・ワクラ湾 800ku 旧サウジアラビア・カタール
武矢(ぶや)島 ブビヤン島 863ku 旧統合イラク・クェート
佳(けしま)島諸島 1576ku 旧イラン
佳(けしま)島 ゲシュム島 1491ku
良久(らく)島 ラーク島 49ku
辺賀(へんが)島 ヘンガム島 36.6ku
1940年 租界地 ノルウェー・フィンマルク県(48618ku)
1941年 北斗市 北アイスランド西部の岬(400ku)
1942年 任那州 中米8カ国不戦協定調印 (2800ku)
任那。ニカラグア、ホンジュラス、エルサルバドル。
コスタリカ、グアテマラ、パナマ、メキシコ
フォンセカ湾(1200ku) 旧ニカラグア・ホンジュラス・エルサルバドル領
旧コスタリカ領 ココ(瓜生)島 (46.6ku)
ブリカ(中ノ鳥)半島 (753.6ku) 旧コスタリカ領(353.4ku)+旧パナマ領(400ku)
旧グアテマラ・メキシコ(沖ノ浜)領(800ku)
1943年 府穀市(800ku) タイ湾フコク島(561ku)+(対岸231ku) 旧ベトナム帝国・カンボジア王国
1945年 木仁弥(赤道ギニア)州(26034ku)+雲州(ビオコ)島(2017ku) 旧スペイン領
第25話 1945年 『東南アジア条約機構の戦い』 |
第26話 1946年 『日本民族国防会議甲子園で優勝するのよ』 |
第27話 1947年 『奴隷商人共産組合』 |