第31話 1951年 『戦うか。隷属の選択しか与えない』
木仙一族
仙堂春和(45歳) × 山城美奈(41歳) 智樹(19) 加賀美(16)
仙堂一樹(23歳) × 仙堂(日吉)明美(19歳)
角浦秋和(45歳) × 日向奈美(39歳) 芳樹(19) 冬樹(16)
椎葉豊彦(27歳) × 椎葉(角浦)青葉(23歳)
世界有数の財閥となった木仙一族だった。
安定した収入と、6人が6人とも親の才能を受け継いでいるのなら安心で、
各界で注目されたのは、適齢期の近い、
仙堂 智樹(19) 加賀美(16)
角浦 芳樹(19) 冬樹(16)
が、どの閨閥と結ばれるかだった。
もっとも木仙一族にすれば、
中身のない豪華な弁当箱により、中身の詰まった貧相な弁当箱が良く、
両方兼ね備えた閨閥の子供がいない限り、
財産を倍に増やして、能力を失って子孫が、右往左往するか、
財産を半分に減らして、能力を持った子孫が、財産を倍にするか
人脈金脈権脈の閨閥資産か。能力相伝かの二者選択だった。
むろん、どこかの民族が好むように、相手方の血脈を絶ち、
閨閥基盤を乗っ取る方法があるにはあるが、生来の生真面目さで避けられていた。
北海道は、石狩平野、十勝平野、根室湿原など日本でも有数な平地が集まっていた。
海外からの資源が港に運び込まれ、
石油精製所、発電所、製鉄所を経由して、資材を工場で加工し、
加工されたものが製品として北海道から日本全国、海外へと送られていく、
通常、国内需要だけでは必要以上に産業を大きく出ないものの、
海外地を基点に海外市場が拡大すると売れるほど、資源が集まり、
加工して輸出するほど、経済力が強まり、さらに輸出を拡大できた。
北海道の開発が進むと北欧風の建物が連なっていくが
屋根の上に草木が植えられることもあった。
橋梁の関係で1階分を減らすことになったものの、
半数近い建築物で草木や樹木が植えられていた。
これは、朝鮮半島からの空襲で多少なりとも偽装効果があると思われたこと、
樹木が庶民の経済的な独立と、富をもたらす象徴だったこと、
草木のもたらす影響が木仙一族から広まり、
大学の研究で樹木が人間に与える好影響が実証され、
地縁祭で樹木との絆が一般化していたからだった。
そして、北海道の産業基盤が大きくなるにつれ、人口も増えていた。
北海道の都市が好まれたのは、北欧系の建築物が洒落て見えたこと、
最初から コンクリート7 対 森林公園3 の比率で都市計画が作られ、
既得権の強い関東以南より緑の比率が大きかった。
ホテルの一室
非ユダヤ系白人たち
「寒いな」
「マニラ・コネクションから直接来るとそうなるよ」
「日本企業との交渉はどうなってる?」
「北米の販路で不安がってる」
「非ユダヤ資本の販路はローカルだからね」
「しかし、北海道は新興企業が育ちつつある」
「なんとか、契約しないと」
「しかし、平野部だからって街を作ってしまうとはな」
「最大の原因は、資源を購入する力があり、加工する力があること」
「公定歩合をはるかに超える社会資本が幸幣で水増しされていること」
「朝鮮半島のアメリカ空軍が原子爆弾を装備していること」
「日本政府が財閥に格差を維持させてないこと」
「海外地は、日本財閥の貯金箱になってますよ」
「だが著しく所得格差が低い」
「日本人をアメリカの大学に留学させて、利己主義者と拝金主義者にしなければ」
「むしろ、日本人のアメリカ大学の留学は医学、工学、化学ばかりで。金融とビジネスは、ほとんどいない」
「どういうことだろうな」
「金融ビジネスは、行くなと圧力をかけたものがいるようです」
「あの連中か・・・」
「そのようだ」
「日本の権力層を金の亡者にできないと金融ヒエラルキーが作れない」
「ピラミッド構造の統制経済が崩されると、国家の権力構造が崩れるはずだが」
「日本人は、単一民族で歴史観が共有されてる」
「木仙一族のような成り金が現れても権力闘争が行われるだけで、国家解体に繋がることはないでしょう」
「聞けば、木仙一族は、日本の閨閥と繋がってないそうじゃないか」
「我が国の財閥と結ぶことはありなのかな?」
「交流の席は、故意に作ってますがね」
「今ひとつ乗り気じゃないようです」
「金じゃないのか?」
「むしろ、中産階級とか、貧乏人と結婚してる節がありますね」
「相手は美男美人なのか?」
「いえ、普通に見えましたよ」
「ものすごく器量がよくて能力があって性格がいいとか」
「普通でしょう」
「不可解だな」
「ですが子供6人とも才能を受け継いでますし、敏い子供達ですよ」
「別の意味で危険だな」
「それに幸幣を作る層が女子供年寄りに移行してますし」
「社会的弱者を経済的に独立させ。富裕層を増やせる点で脅威ですね」
「アメリカでもやりたいものだ。平野部だけならアメリカの方が広い」
「アメリカは、大国で軍事的危機の少ない国だ。無理に公共設備を作って備えなくてもいい」
「ユダヤ高利貸しは、国全体を豊かにするより、金融権力支配を強化する方が好きだし」
「金融支配を維持したまま、他国の支配を強めたいのだろう」
「なんとか、日本に助けてもらいたいものだが、ユダヤ金融支配は強まるばかりだ」
「つまりFRBを第二銀行を開業させない限りむつかしいということじゃないのか」
「幸幣を大量に購入して流通貨幣を水増しする方法もあるが、それも、ユダヤ資本が圧倒的に利用している」
「日本の優良企業を見つけて、契約を結び、アメリカで売って紙幣を集めて非ユダヤ系資本を強くするしかないか」
「タイ王国は、どうなってる」
「東北部に白衛軍系ロシア人が集まっていてな。連携することにしている」
「ロシア人もユダヤ人にいいようにやられてるのか」
「ソビエトの方が恐怖政治で大変らしい」
「それが事実としても、信用できるのかね」
「実は仙堂氏と角浦氏のお墨付きだそうだ」
「・・・なんとなく、信用したくなるな」
「取り敢えず、東南アジア条約機構もマニラ・コネクションを応援してくれるらしいが、資金力で負けてるのが辛い」
「金か・・・ユダヤに銀行発行権を押さえられてる限り、勝ち目は薄いか・・・」
北海道
神籬系キチン・キトサン精製工場
甲殻類からタンパク質、カロテノイドなどの色素、カルシウム塩など無機塩類を取り除くと、キチンを抽出できた。
キチンは、食品素材。農業・園芸用資材。
排水浄化・汚泥凝集剤 各種汚水処理材。
化粧品素材。抗菌防臭繊維素材。医薬・医療材料で優れ、
生物を利用できるため、原料を恒久的に利用できた。
関係者たち
「これで北海道、南樺太、千島は自立できるかもな」
「蝦夷市も」
「海外地にも工場を作ったほうがいいか」
「そのほうが自立しやすいからね」
日本空軍 戦略航空艦隊
巡空哨戒攻撃機 富嶽
自重38000kg/全備重量122000kg
全長46m×全幅56m×全高8.8m 翼面積330u
6000馬力(3725kw)×6発
最大速度780km/h 航続距離19400km
20mm機銃4門 空対空ミサイル20基 空対艦ミサイル20基 最大20t
陸海軍航空部隊は、陸海軍から独立して日本空軍となると、
2軍から独立した空軍が必ず発症する病癖にかからないわけがなく、
巨大航空機が洋上艦の代わりになると考え始めた。
陸海軍は戦力で被らない迎撃機に徹しろと圧力をかけるが
哨戒力の高さ、緊急即応性と、大規模投射力の大きさ、
何よりポスト拡大の魅力に勝てない高級将校などおらず、
戦略航空艦隊が創設され、富嶽を改造したものが開発された。
富嶽5機編隊は、高度を落とすとランディングコースに侵入し、
任那州 瓜生(ココ)島 (46.6ku)の滑走路へ降りていく、
コクピット
「任那州配備か」
「潜水艦だけでなく、航空機でもアメリカを封じ込められるわけだ」
「B36爆撃機の方が圧倒的に多いし、B47爆撃機の方が強力だし」
「もうじき、B52爆撃機が開発されるらしいけどな」
「まともに戦うと、負けるか」
「陸軍と海軍が足を引っ張らなきゃ 対抗できるのに」
「元陸軍と元海軍の老害は、早く辞めりゃいいのに」
「「「「あはははは」」」」
飛行場に降り立つと、富嶽が巨大なハンガーへ格納され、
スクランブル待機要員でない乗員は、休息を取るため、地下へ降りていく、
瓜生島は、直径12.7mの主線トンネル網(5km×3本と、2.5km×4本)25km分が海抜10mに作られていた。
細長い兵舎は、区画とベット数に余裕があり、地上に向かう支線がところどころ枝分かれしていた。
パイロットたちは、管理室で鍵を受け取ると割り当てられた部屋に向かう。
「ええ・・・と・・・B22区画の2号室か」
「どこの基地もそうですが、ほとんど人がいませんね」
「どの基地も予備役を招集しても3分の1も部屋が埋まらないらしい」
「だから空き室を民間業者に貸して地下栽培させてるらしい」
「軍機もなにもないな」
「一応、守秘義務にサインさせてるそうですがね」
「まぁ 維持費を考えるなら妥協すべきことなんだろうが・・・」
「自給自足率が高いのは、嬉しいですよ」
亜羅州 佳(けしま)島 (1491ku)
ホルズム海峡を押さえる大地は緑化が進み、
高層ビルが作る日陰を中心に日陰が作られ、樹木が大きくなっていく、
木製の人形を動かしてアラビアンナイトの公演が行われていた。
日本は、紙媒体を利用した漫画より、木製の人形劇が強く、
各地に劇場めいたものが作られていた。
アラブ人と日本人
王族の血筋のイラク人は、日本で潜水艦訓練された元海軍将校だったが、日本語が堪能だったことから、
今は政府御用達の買い物をする係りになっていた。
「砂漠で生活すると部族の結束が重要になっていく」
「族長を中心に結束しないと生きていけないからだ」
「しかし、日本に来て緑化が進んだ街で生活をしてみると」
「イスラムの緑化は、族長制度を崩してしまう恐れがあるかもしれないな」
「インドネシアは、族長制度が馴染んでましたよ」
「そういえばそうだな」
「・・・・」
「じゃ 近代化が問題なのかもしれない」
「何がいやのです?」
「んん・・・日本人は、大切なものが失われてるような気がする」
「そうなのですか」
「バラバラな安堵感というか。薄っぺらで纏まりのなさそうな空気のような・・・」
「時間だ」
時間が来ると、ビジネスに来たイスラム教徒はマットを敷き、メッカに向かって敬礼を始める。
互の国内での宗教行事の制限は協定で決められており、
こういった光景は珍しくなくなっていた。
幾つかの誤解のある、コーランか。剣か。といった側面は無きにしも非ずだったが、
日本のアラブ・イスラム諸国の独立と、近代化と、緑化の協力と功績は認められており、
日本と日本人は、土地絡みのジハードから外させていた。
これがアラブ・イスラム諸国と、日本と、イスラエルの基本的な違いで、
多少の制約は、容認の範囲になっていた。
イスラムのビジネスマンは、倉庫に山積みになった物資を一瞥すると、
碌に確認もせず、バクダットに送るように伝え、
石油の引渡し日とガロンを記入した引渡し書と倉庫の物を交換して引き上げていく、
大人買いといえば大人買いなのだが取引量が多くなると、いちいち確認できず、
目録だけで決めてしまうことが多かった。
後年 某歴史学者
国家経済基盤の拡大は、国民の知的水準、人口、生産力が反映されたとき、最大の効果をもたらす、
そして、権力基盤は、富の収奪により行われるため、国家経済基盤を縮小してしまうおそれがあった。
金、銀、銅が流通通貨として使われた時代、貨幣の鋳造は、国を支配する根源として使われ、
富を分配することで、城を築き、街を広げて金と労力と生産力を囲い込み、
税をかけることで、富を収奪し、国家権力基盤を保ったのである。
流通通貨の総量は有限で、富の分配と収奪は、権力基盤を強めるため行われることもあるが、
あたかも血液のようであり、呼吸のようでもあり、国家基盤や生産力を成長させていく
分配と収奪を止めると国家運営そのものも立ちいかなくなり、国家も国民も死んでいくのである。
金の引換券として紙幣が使われるようになったのは、現物を持ち歩くのが危険過ぎたからで、
裏付けとなる金が銀行に存在しなければならなかった。
近代になって、人口が増え、生産力が増え、設備が大きくなり、取引数量が増え、
経済規模が膨れ上がるに連れ、金、銀、銅を合わせた総量をもってしても通貨が不足し始めた。
仮に絶対的な権力基盤を保持しようとするなら、富の格差が必要で、
もし、支配を独占するなら、庶民が必要とする流通通貨が全て奪われかねなくなっていた。
それでは、国家基盤そのものを破壊しなければならなくなり、
国家基盤の拡大も、収奪による支配も困難になっていった。
さらに戦争ともなれば、国家財政は、破綻してしまう様相を見せていた。
流通通貨の総量が国家基盤の保持にも足りず、
権力支配にも足りない状況の産物が、民主主義という妥協に繋がっていく、
中央銀行が金の引換券の価値のない、空手形を発行し始めたのは、創業時からで、
ナポレオン戦争以前に慢性化していた。
そして、金本位制が破綻したのは、第一次世界大戦後で、
もはや、不換紙幣移行は、食い止めようのないものになっていた。
不換紙幣移行で、紙幣は数字の描かれた紙切れとしての価値しかなくなった。
利権の強い、統制しやすい、国家基盤と大企業に連なるためだけの紙幣発行量で済ませることもでき、
中小企業、小売店などが繁栄できる程度の紙幣発行量で済ませることもでき、
統制と支配しにくいものの、新興企業や野心的な独立産業を起こしてしまうことにもなった。
人類にとって不幸は、
国家経済基盤の拡大のための紙幣か。
富を収奪し権力を得るための紙幣か。
二つは表裏一体なのであるが、
実力主義や能力主義を中心に新陳代謝の強い民主主義なバラマキ金融でなく、
既得権支配の有利なユダヤ金融資本主義な信用創造が採用され、一般化してしまったことにあった。
ときに、東アジアにおいて派生した木工細工の幸幣は・・・・
ハーバード大学ドル紙幣教会
“全世界の支配者たる信用創造の神よ”
“家、土地、労力、権利、未来の借財によって作り出される呪符たる紙幣よ”
“人たる物を偶像以下の奴隷と化してしまう紙幣の神よ”
“我らが全知全能なる権力の剣、ドル紙幣よ。支配の盾、ドル紙幣よ”
“終末の時、中央銀行にによる紙幣の貸し渋り、借財の貸し剥がしによる国家弱体化による完全支配の確立も目的としてるのである”
“全ての富を奪う魔法の信用創造よ”
“信用創造の神に逆らい、金融支配から奴隷を解放しようとする憎き、日本を滅ぼしたまえ”
“借財によって作り出された紙幣を幸幣で水増しする呪われた日本よ。滅びたまえ”
“幸幣を作り続ける日本人の手があかぎれを起こして、痛みますように”
“アーメン”
「「「「アーメンニダ」」」」
“日本侵略は、どうなっているのか?”
「もっと日本の国益になるものがないと潜入しにくいニダ」
“間違ってるぞ、ニダたちよ”
「・・・・・」
“大学は何のために存在するのか”
“無知から知に至るための研究機関としてでなく”
“国家とか、国民とか、そういった抽象的なモノのためにでもない”
“あくまでも既得権益権を守り、格差を維持するための手法を考える最高智学機関なのである”
“国民から選ばれた議員を騙し、国民の奴隷化の方便や手段を考える最高機関である”
“そういった者たちが大学の教授になるのであり”
“国益とか、国民生活とか、そういったものは、副次的なことである”
“我々は、如何に既得権益者の利益を守り追求するか、なのである”
“大学は、既得権権益を守護するエリート教育機関で、支配者の知的ガーディアンなのである”
“ならば、日本の権力者に取り入って、ギブアンドテイクの関係を築くのだ”
“権力者の利潤を大きくし、権力基盤を守るガーディアンとなるのだ”
“日本人と間にコネを作ったら虎の威をかる狐のように日本の中枢に侵食するのである”
“既得権を擁護し、革新を擁護し、利権構造を対立構造にさせるのである”
“そして、右翼の道で戦うか。左翼の道で隷属するか。日本に二者選択を強いるのである”
「自分たちは危なくないニカ?」
“京都と奈良には原子爆弾を落とさないから、そこに逃げろ”
“アイゴー”
“決して、日本に第三の自主独立の道を選択させてはいけない”
“立てよ。ニダたちよ”
“行って、日本を破壊し、日本人を貶め、日本を支配するのだ”
“言う事を聞かなくなったら、格差を広げ、紙幣発行を減らして、貧乏にして左翼と右翼を凶暴化させろ”
“そして、戦争か、隷属の選択を日本に強いるのだ”
「「「「「ニダー! ニダー!! ニダー!!!」」」」
「「「「「ニダー! ニダー!! ニダー!!!」」」」
「「「「「ニダー! ニダー!! ニダー!!!」」」」
「「「「「ニダー! ニダー!! ニダー!!!」」」」
中央銀行10分割で紙幣発行の独占が破壊され、
幸幣を統括する木工12ギルドの力が増していく、
幸幣と交換される紙幣は膨大であり、
幸幣と交換される資源も莫大だった。
企業の多くは、大蔵官僚に媚びへつらわなくても庶民から稼ぐことができることから、
天下り込みの贈収賄など政官財の癒着構造が減り、
庶民相手の市場競争が主流になっていく、
むろん、公共工事などは省庁主導が強かったものの、
住宅補助金制度が強まると、中長期的には、割安感のある個人住宅の建設ラッシュになっていた。
大連州8銀行
抽選で選ばれた貴族員5人と衆議員10人がやってくる。
分割しても中央集権な色彩が強かったのは、地域主義でなく、抽選で選ばれたからに過ぎない、
現ナマよりはるかに多くの数字が使われており、
把握しているのは、官僚だった。
早い話し、預金者全員が金を引き出すと銀行が潰れるのだが、
そういったこともなく、運営されてるのは、必要程度の紙幣が銀行にストックされている。
そして、現ナマを刷るのが紙幣を発行する銀行だった。
あまり過ぎすぎると、貨幣価値が下がり、物価が上がるのは事実だが、
物価を押し上げる主要な原因は、賃金の上昇と、原料の高騰で、
貨幣価値定価による物価高は、目に見えて金がばら撒かれない限り起こりえない副次的なものといえた。
銀行は大枠で3パーセントから10パーセントのインフレ枠内が定められていたものの、
10行は3パーセント程度を目安に最低発行定数量を決め、
議員の裁量で10パーセント以内の発行を増やす方式が取られた。
そして、幸幣の生産と交換量と海外輸出量によってもインフレ率が変わるため、微調整が必要になった。
貴族院議員は、大企業と結託しやすく、
紙幣発行を増やし過ぎると、中小企業が強くなるため発行量を押さえる傾向が強く、
衆議院議員は、見知った商店街や恩顧の地域企業の様子から増刷を望む声が強かった。
そして、総合すると5、6パーセントを前後していた。
「成金の取り分は1パーセントぐらいになるのかね」
「それは、銀行の決めることでなく、財政が決めることですから」
「というより、木工12ギルドが庶民にばら蒔いてると言ってもいいね」
「まぁ 既得権ばかりが強くなっても国民の不満は貯まるし、だいたい夢がなくなるからね」
「そうは言っても、今は、幸幣が強いこと強いこと」
「木工12ギルドの一人勝ちに近い」
「アメリカなんか、戦中にばら撒いたドルを幸幣でかなり回収したらしいよ」
「その幸幣も石油と鉄鉱石で手に入れたものだし」
「幸幣がアメリカに行くととんでもなく大きな価値になってる」
「アメリカだっけ、1段1000幸から始めてくれとか」
「「「「あはははは」」」」
「やっぱり1段でも複製はむつかしいのかね」
「3段くらいなら曲げることができたらしいよ。ても入れようとすると割れる」
「ギリギリにすると抜けてしまうから偽物とわかる」
「じゃ 4段とか、5段は奇跡なのかね」
「そういえば、あそこの子供の閨閥入りはどうなってるの? 次も見送り?」
「なんか、付き合ってる相手が庶民出らしく、周りがヤキモキしてるよ」
「おれんところ、年頃なんだけどな」
「お見合いくらいした?」
「同じ学校に行かせてるよ。孫娘に声かけさせてるけど、そっけないらしい」
「美人じゃないと」
「美人だぞ」
「「「「あはははは」」」」
「笑うな」
「あそこは、閨閥無視することあるからな」
「結婚で資産を半分にするより、倍にするほうがいいだろうに」
「それ、何人にも言われてるはずだよ。俺も言ったことあるし」
「何が気に入らないのやら」
「縁戚や地縁の者は結構、簡単に落ちるらしいけど?」
「いや、時々 やめとけと言われることがあるらしい」
「確かに金のためでもやめとけっていうタイプの相手もいるがね」
「あの慧眼力の出処が知りたいね」
「まぁ 華族って言っても遠い遠戚は、止事無きお方に連なることになってるし」
「閨閥はずれは、外様みたいなものだし」
「そのうち、どこかの閨閥と縁を結びたくなるだろう」
グアヒラ半島 苅武市800ku
4000t級エルベ型支援母艦と、2400t級XXY型潜水艦4隻が来航していた。
全長70m×全幅6.4m×吃水6m
水上 1900t 6000馬力 12kt 航続距離20000km / 12kt
水中 2400t 8000馬力 18kt 航続距離 600km / 12kt
533mm魚雷8管 30本
30人
ドイツ海軍将校たちは、接岸して上陸すると、
日本の開発と入植は、戦争であるという噂を再認識する。
日独海軍は、戦中も戦後も交流が続いており、今後も交流が続く予定だった。
艦長たち
「ドイツ系コロニアに行くのは、2人だけか」
「まぁ 神籬が南米の林業でどんな調整してるのかも知りたいし」
「ベネズエラの足場がどの程度期待できるかも知りたい」
「あまり多く行ってもアメリカに警戒されるし、高級将校でも疑われる」
「尉官2人の連絡役が丁度いいだろう」
「未だにアメリカの軍事的圧力は大きいか」
「何しろ、アメリカだからな」
「手古摺らせられる程度の戦力を保有できても、まとも戦って勝てる国はない」
「日本みたいに南米に足場を作っていければ、相対的にアメリカを弱体化させられるだろう」
「それも、日本との関係しだいか」
「次の戦争は日独同盟になるかもしれないから礼儀正しくしてくれ」
「わかってるよ」
「48年に苅武市を手に入れて3年か」
「日本は短い間に施設を建設するノウハウを手に入れたようだ」
「我々が戦争してる間に儲けたわけだ」
「対米戦なら日本と共闘して、南米諸国を味方につけてアメリカ包囲戦ができるのなら悪くない」
「しかし、対ソ戦なら中国と共闘で、ソビエトを挟撃するのが有効だが、日中は仲が良くない」
「だから中国の工業化に協力すると日本が嫌がるが、南米諸国ならそうでもないわけか」
「中国に陸軍兵器を輸出するくらいなら何も言わないが。空軍兵器や海軍兵器になると、かなりむくれる」
「日本にとって中国は潜在的な脅威なのかもしれないが。中国は対ソ戦で重要な同盟国だよ」
「そういった程度のドイツ戦略を理解できる日本人が少ないのが笑えるがね」
「日本人は、海軍視点か。陸軍視点で見ることが多くて。軍全体の利益を考えるものは少なく」
「国家視点で考える人間は、もっと少ないらしいな」
「そんなんで、よく、大戦に巻き込まれなかったものだ」
「運が良かっただけなのかも」
ドイツ
ワルシャワは、ドイツ占領下にあった。
パルチザンは民族自決を勝ち取ろうと暗躍していた。
佐藤賢治は、日本からの留学生で、ゲシュタポのアルバイトをしていた。
アルバイトといっても民主的且つ反骨的な役柄の正義で、
この時間、そのポーランド人とチェスクラブにいたとか、酒場にいたとか証言し、
ゲシュタポが別件逮捕で捕まえた容疑者の冤罪を晴らすことだった。
自作自演で、荒事とは無縁なアルバイトだったが、
ポーランド人が気を許し、パルチザンの事を話したらゲシュタポに伝える。
なんで、こんな仕事を、なのだが、
ドイツ人では知りにくいポーランド人の本音を聴きやすかったからで、
留学生を使ったカウンタースパイは、意外にポピュラーで、
使い古されてはいたが効果的で、実入りも悪くなかった。
例えば、当事者でなくても、どこかの教会の裏山で集まりがあるといった噂でも役に立った。
なので、そこそこ社交性が必要で、
出歩いて、人脈をつなげ、住民と親しくなる必要があった。
あまり羽振りがいいと逆に疑われるため、薄く広く、深入りせずという分担が敷かれている。
ゲシュタポ署
「いや、助かったよ。証言してくれて」
「ああ、ゲシュタポの人に聞かれたからね。正直に答えただけだよ」
「最近は同族でも巻き込まれたくないのか、知らないふりしてる人間が多くてね」
「そうだったのか。今度から気をつけるよ」
「あははははは」
「しかし、引っ手繰り犯とか。見ただけで違うと思うけどな」
「とにかく手柄を立ててしまえば、ポーランド人がどうなろうと、どうでもいいのさ」
「そんな。いくら、占領してるからって、酷いな」
「どっちかって言うと、犯罪者と仲良くしてるな」
「なんで?」
「犯罪者はポーランド人から憎まれてるからね」
「逆にドイツ人は、犯罪者のポーランド人を利用するのさ」
「酷いな」
「占領地は利己主義と拝金主義を蔓延させて、マフィアを強くさせてるのさ」
「それで、ポーランド人のモラルを劣化させて、自己嫌悪で滅ぼそうとしてるのさ」
「もっと、正義感があってもいいだろうに」
「あはははは、そんなものは絵空事さ」
「だけど、教授とか日本の占領政策は発電所作ったり、橋作ったりで良心的だって驚いてたな」
「アメリカが石油と鉄鉱石を輸出してやるから作ってくれって、嫌々だったんだよ」
「今でもそんな感じで圧力を掛けてくるらしい」
「そうか。日本も、いろいろ大変なんだな」
「だけど、ドイツ人の反ナチス勢力もポーランドに逃げてきてな」
「ゲシュタポは、そっちを追いかけてるフシがあるんだぜ」
「本当に?」
「占領地なんて、格好の反政府勢力の隠れ蓑だからね」
「日本も結構いるんじゃないのか」
「そういや、そういう話しを聞いたことがあるな」
「たしか・・・民主主義者だったり、共産主義者だったり、資本主義者だったり」
「あと、貴族騎士連合だったり」
「そうそう、半分くらいは、なんだかんだで、反ナチスが口実作って、国外に行ってるって話しだよ」
「まぁ 国外ならゲシュタポの監視も弱くなるからね」
「北欧道にも集まってるんじゃないのか」
「あははは、国外に出るとハメを外すからな」
「日本でも、反動分子が海外地に拠点を移してたりするのか」
「そうだな・・・しかし、外を見て、やっぱり日本がいいって日本人が圧倒的かな」
「そりゃ いい国だな・・・」
木仁弥州 (28068ku)
雲島
椎葉豊彦(27歳) × 椎葉(角浦)青葉(23歳) 和哉(♂)
土砂降りの雨が屋根を叩き滑り落ちていく、
ロッキングチェアは、雨音に包まれながら揺れていた。
キラキラとした瞳の中に母親の顔が映り、
小さな命は、木製のガラガラを振って喜んでいた。
体重は少しずつ大きくなり、首が座るとバタバタ動き、手のかかることも増えた。
赤ん坊の脚が力強くお腹を踏むと、命を生み出した喜びで、気分も良くなる。
この子供が自分の命を次世代に繋ぎ、歴史を紡ぎ、世界を相続する全てだった。
神籬は、既に十数本の御神木を確保しており、
街は、御神木を中心に神社を作り、周囲に街が形成され、日本人が住み始めていた。
青葉も数本の御神木を発見し、新たな街を建設している。
そして、パンヤの木の樹霊を帯びた人間を何人か見つけ、関係者を雇用していた。
樹霊と地縁祭と閨閥が関係があればいいのだが、地縁祭の費用対効果は、それほどでもない、
樹霊の気紛れは、頭を悩ませるところで、適当な相手が、まだ見つかっていない。
男だから相手は年下でもよく、早すぎる気はするが、
樹霊を帯びた相手となると、簡単に妥協できるものではなかった。
代理人が報告書を持ってくる。
内地の物価高騰を避けるため、投資額を内地に戻すのは10年先を検討しており、
そのため、海外地の投資配当は比較的大きくなっていた。
海外地の開発は、次男以降が多く、特に三男と四男は圧倒的だった。
木工関係の収支は、悪くないようで、右上がりは確実に思えた。
一方、鉄鋼業は、投資と回収の関係があった。
開発初期は、税金に頼るものの、軌道に乗った後、税金依存が徐々に減らし、
代わりに副次産業の補助金が増大していく、
税金の振り分けは意外に単純で、基幹産業を中心に財政投資する既得権益がまし、
中小企業に投資すると、資本形成力と生産力が増して既得権を脅かした。
国民全体への付与は、新陳代謝が激しく、統制は困難になり、下克上になった。
ほとんどの大企業は赤信号となり、
神籬は閨閥から外れてるため、黄色信号で住み、
集票の大きな木工12ギルドは、大いに助かった。
ほかにも減税策を取る方法があったが、
こちらも税務署がどこを減税するかで、官僚、大企業、中小企業、国民の力関係が変わっていく、
権力層に就くと、こういった観念的な流れは、直感的にも肌で感じやすく、
こういった金融や財政で足を引っ張る連中はいるが、
神籬と木工ギルドは幸幣で自立してるのか、容赦なく叩き続けたこともあった。
社会整備が進むほど、移民が増えるが、急ぎ過ぎると伝統の相続が失われ、
統制が効かなくなるおそれがあった。
そのため神社や仏閣が建設されているが、近代化に伴い、役割が低迷していた。
「青葉様。鉄鋼業連合は、さらなる予算増加を狙っています」
「あまり、配分を変えたくないわ」
「次世代の子供たちが日本人としての気質を受け継いでもらいたいから」
「では、増税はどうされます」
「虫が食った実を大きくしたいからって、必要以上に間引きすることもないでしょう」
「それに木の根元を削っていくとロシアみたいになるし、馬鹿げてるわ」
「インフレでも将来の蓄財に不安に覚え、少子化になりますが」
「少子化が嫌ならお金を腐らせてるお金持ちから税金を取るしかないわね」
「反発が大きいですよ」
「だって、特権に胡座をかかれたら邪魔でしょうがないもの」
「しかし、お子さんが優秀とは限らないのでは?」
「それでも、外国に付け入られるよりましよ」
「やはり、戦争の可能性が高いので?」
「アメリカもドイツもソビエトも中国も次の戦争に備えてるし」
「次の戦争に日本を巻き込ませて疲弊させたがってる」
「その手に乗る必要はないけど、海外地が攻められるような人口と設備の貧相さじゃ困るわ」
「分かりました」
日本は、幾つもの産業利権が複雑に絡む連合体で、選挙で勝った利権が幕府を作る。
日本の林業、木工産業の発言力増大が日本の歴史にどういう影響を与えたか、わからなかったものの、
木工12ギルドが日本最大の集票組織を形成していたことに変わりなく、
政党に木工派閥を形成し、政府機関の幾つものポストを押さえ、
少なからず、木仙一族の意向が政策に影響を与えていた。
フィリピン
戦傷による心身障害将兵とアメリカから呼び寄せた家族がサナトリウムの街を形成し、
マニラ・コネクションの巣窟になっていた。
地上戦の最中に原爆2発を使用し、
爆破前に後退することで直撃を避けたものの、
その後、キノコ雲に向かって数個師団規模の突撃は、多くの心身障害を引き起こした。
この人員の多さが、戦争が終わってもサナトリウムが運営されている事情で、
一部は、東南アジア条約機構に紛れ込み、反資本主義勢力を形成していた。
反資本主義が共産主義は短絡的というより、少数派で、スパイの可能性が高く
むしろ、民主主義勢力が大半だった。
一見、大衆迎合型のポピュリズムのようにも思われたが、実戦を経て辿りついた結論で説得力があり、
アメリカは、特に酷い重度の心身障害者を撮影した映像を公開し、
心身障害治療を理由に帰国を送らせている最大の要因だった。
これは、マニラ・コネクションに対する差別を増長させてしまい、
さらにマニラ・コネクションの反米が強まる要因にもなった。
日本資本が彼らを木工教育し、
木工細工を作らせることで金を渡せるようにしたのは、親日の味方を作るためで、
ドイツも同様の姿勢を見せ、マニラ・コネクション用ラジオ電波塔建設に協力し、反資本主義形成を支援していた。
サナトリウム街郊外のホテル
日本人たちが映写機を前に映画映像を見ていた。
「こんなのは1000人に1人もいない」
「どうやら、これが差別が原因で、マニラ・コネクションを怒らせてるらしい」
「なんで、こんなものを・・・」
「マニラ・コネクションの言う事をあまり聞かないように、印象操作してるんじゃないか」
「一応、民主主義の国だから流れを変えられると困るんだろう」
「しかし、これが、対アジア戦を敬遠する切っ掛けになると嬉しいな」
「確かに」
「しかし、切り札の原子爆弾は大きい」
「日本国防省の御歴々は、ナイーブ過ぎて。中国軍将校のような肝の据わった戦いはできない」
「あれは原子爆弾に対し、無知だったからですよ」
「もう一つは、マスメディアの不在と、歴史の改竄力だ」
「黙っていたら中国人は忘れて。戦訓と戦功だけが残るわけか」
「なんにしても日独租界の男たちは、モテモテのウハウハらしいですよ」
「あははは、羨ましい限りだ」
「一番、羨ましいのは、北欧道です。あっちは白人ですから」
「行っときゃよかった島流し」
「あはははは・・・」
朝鮮共和国 (21万6823ku)
北半分の租界を押さえる中国協商保障領7パーセント、
南半分を共同租界で押さえる米英ソ同盟保障領8パーセント、
(アメリカ3パーセント、イギリス3パーセント、ソビエト2パーセント)
専有面積
北朝鮮域 中国1万5177ku
南朝鮮域 アメリカ6504ku。イギリス6504ku。ソビエト4336ku 合計16823ku
中国人と米英ソ連合国は、麻薬を使って朝鮮人を働かせ、朝鮮半島の戦災を片付けさせていた。
半島南岸に対日作戦の朝鮮人たちが集まっていた。
「日本滅ぼし隊。行くニダ!」
「日本燃やし隊。行くニダ!」
「日本奪い隊。行くニダ!」
「日本分割し隊。行くニダ!」
「日本潰し隊。行くニダ!」
「日本人騙し隊。行くニダ!」
「日本人犯し隊。行くニダ!」
「日本人殺し隊。行くニダ!」
朝鮮人5人組が隊列を作り丸太を担いで海に入っていく、
「食料は持ったニカ?」
「大丈夫ニダ」
「白い粉は大事ニダ。日本で売って金に買えるニダ」
「わかってるニダ」
「巨済島は堤防が高くて、監視が強くて駄目ニダ。もう、何万人も溺死してるニダ」
「みんなで力を合わせて、対馬まで泳いで行くニダ」
「「「「行くニダ」」」」
「たったの56kmの距離ニダ」
「どのくらいで着くニカ?」
「むかし、日本人に歩く速度は時速4kmと教えてもらったことがあるニダ」
「5人で協力して、海を泳ぐから、もう少し早いはずニダ」
「そうニダ。朝鮮人は、日本人の3倍早いニダ。だから4時間半で着くニダ」
「「「「朝鮮人は凄いニダ」」」」
「行くニダ!」
「「「「行くニダ!!」」」」
「行くニダ!!」
「「「「行くニダ!!!」」」」
「行くニダ!!!」
「「「「行くニダ!!!!」」」」
バシャバシャ バシャバシャ バシャバシャ
バシャバシャ バシャバシャ バシャバシャ
バシャバシャ バシャバシャ バシャバシャ
48年に講和を結び3年が過ぎようとしていた。
戦後、再建需要はまだ続いていたものの、
鉄鋼業とゼネコンは、収益会得のため、さらに設備を拡大していた
そして、社員の生活と賃金を守るため、都心に構造ビルを建設しようと画策していた。
しかし、都心に高層ビジネスビルを建設すると、4分の1が地代で残り4分の3が建設費になった。
一方、木工12ギルドは、産業存続の財政投資でビル建設に妥協できても、
4分の1の地代を無駄と考えており、地域格差も面白くなかった。
そこで、地代が安く地盤のしっかりした島や岬の北方海岸側に
タウン型ビルを建設するよう政策を誘導していく、
実のところ幸幣と木工細工さえ作っていれば収入得られ、
都心でなくても生活が可能になっており利便性が求められていたのだった。
そして、4分3が地代になるくらいなら、
過疎域に自己完結したタウン型ビルを建設したほうがマシという意見もあった。
結果、選挙で木工12ギルドが競り勝ち、日本全国五百数十箇所の地所が買収され、
タウン型ビルの建設が始まる。
北方海岸がいいのは、影が指すのは、海側になって日照権の問題がなくなるからであり、
タウン型ビルの利点は、役所や派出所を置けることにあった。
関係者たち
「やれやれ、土地を高く買って欲しい御仁がいたのだが」
「もう、土地転がしのような真似はやめて欲しいですな」
「まぁ 建設だけでも大きな実入りにはなるでしょう」
「しかし、五百数十箇所とは、思い切った建設ですな」
「思っていたより、地盤の強い場所がありましてね」
「琵琶湖などでも南側に立てれば、日照権の問題はなくなるので建てやすいでしょう」
「1棟の住人が軽く1000人を超えますから、ちょっとした街になりますよ」
「琵琶湖はともかく、人が過疎地に住みますかね」
「タウン型なら生産区画や市場があって、部屋数も多いし、値段は安いなら住むでしょう」
「木工関連業者は田舎でも自活してますし」
「我田引水ですな」
「同じ箱モノでも都心で地代で4分1もふんだくられるよりマシですよ」
「それに過疎地の人口が増えると、都心の人口を減らせて、都心の地価も下げられますし」
「都心の地下が下がりきったところで、再開発すればいいでしょう」
「地震は大丈夫でしょうな」
「そりゃもう、強化ガラス繊維を多用してますし」
「もっと、軽くて丈夫な素材も開発できるかもしれません」
租界地エストニア・イダ=ヴィル県(3364ku)
90年返還の租界地だったが、日章旗が掲げられてるだけでしかなく、
不祥事が起きた時だけ介入する。
不思議なことにエストニアより住み心地がいいのか発展し、エストニア人も生き生きしていた。
日本側は、面倒になった租界地の返還してもいいと思っていたのだが、ソビエトに包囲されており、
日章旗が降ろされると安全保障の危機となるため、エストニア人自ら日章旗を揚げるよりなかった。
そして、エストニア国内は、ドイツ系反ヒットラー勢力と、
ロシア人系反スターリン勢力が巣窟を作って結束していた。
酒場
ビールのウォッカ割りが飲まれていた。
「なんとかヒットラーを暗殺しないと、ドイツがおかしくなる」
「だが、取り巻きどもがガッチリと守ってる」
「その上、戦争で負けなかったからね」
「ワイマール時代より益しだし。まだ、国民に支持されてる」
「スターリンをぶっ殺してくれたら、ヒットラー暗殺を応援してやるぞ」
「ヒットラーは運がいいだろう」
「運というより自作自演の暗殺事件と思うね」
「本当に?」
「暗殺失敗が無敵伝説になるだろう。神々しさの印象操作」
「なるほど・・・・」
「なんとか、取り巻きを寝返らせて、暗殺しないと」
「問題は、暗殺した後だろう」
「もっと、嫌な奴が政権とったら最悪だ」
「ヒットラーが最悪だと思うね」
「いや、ヒットラーは失敗すれば人気を失って、政権を失う」
「しかし、粛清で権力基盤を守ってるスターリンは殺さないと駄目だろう」
「問題は買収出来るだけの先立つものだな」
「生憎、ドイツは取り巻き中心に金が流れてるから、我々はスカンピンだ」
「それにソビエトは、ルーブルの力が弱いから、ドルか、円か、マルクじゃないと・・・」
「つまり、海外地で外貨で暗殺費用を作ったらスターリンは御終いだ」
東京 国際連盟
「日本は国際連盟の本部理事国ニダ」
「・・・・・」
「国際連盟の本部理事国が、隣国の朝鮮共和国と国交断絶なんておかしいニダ」
「・・・・・」
「日朝国交を回復するニダ」
「・・・・・」
「なぜ、目を背けるニダ」
「・・・・・」
「なぜ、明後日の方向を向くニダ」
「・・・・・」 ため息
「まっすぐ前を見て、現実を直視するニダ!」
「・・・・・」 ため息
「朝鮮共和国は、独立国ニダ!」
「連盟本部常任理事国は加盟国と国交を回復する義務があるニダ」
「・・・・・」 ため息
「日本人は朝鮮人を差別してるニダ!!!」
「・・・・・」 ため息
「なぜ、大きなため息をつくニダ!!!!」
「・・・・・」 ため息
「もし、日本が朝日国交樹立しないなら、韓国は国際連盟を脱退して国際連合に行くニダ」
「本当に?」
「本当ニダ」
「是非、脱退してください」
「・・・・・」
「是非、連盟を脱退して、国際連合に行ってください」
「あ、あ、いや、そういう意味ではないニダ」
「では、脱退ですね」
「い、いや、今のは違うニダ」
「朝日国交樹立して欲しいという意味でいったニダ」
「いや、朝日国交樹立しないから、脱退していいですよ」
「違うニダ。違うニダ。朝日友好は、大事といっただけニダ」
「国際連盟は脱退しないニダ」
「・・・・・」 ちっ
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月夜裏 野々香です。
木仙一族は少しずつ増えていってるようで、
閨閥の影響が少ないのは、しょうがない感じで、
将来的には、自力で勝てるかもしれませんが、
人脈と金脈で連携できない部分で負けてます。
仙堂春和(45歳) × 山城美奈(41歳) 智樹(19) 加賀美(16)
仙堂一樹(23歳) × 仙堂(日吉)明美(19歳) 秋穂(♂)
角浦秋和(45歳) × 日向奈美(39歳) 芳樹(19) 冬樹(16)
椎葉豊彦(27歳) × 椎葉(角浦)青葉(23歳) 和哉(♂)
近衛師団
第01師団(東京) 第02師団(仙台) 第03師団(名古屋) 第04師団(大阪)
第05師団(広島) 第06師団(熊本) 第07師団(北海道) 第08師団(弘前)
第09師団(金沢) 第10師団(漠砂州) 第11師団(瑞森市) 第12師団(北欧道)
第13師団(姫路) 第14師団(蝦夷市) 第15師団(亜羅州) 第16師団(熊襲市)
第17師団(久留米) 第18師団(宇都宮) 第19師団(大連州) 第20師団(任那州)
第21師団(善通寺) 第22師団(木仁弥・赤道ギニア州) 第23師団(雲州・ビオコ島)
第24師団(小倉) 第25師団(高田/仙台)
第26師団(苅武市) 第27師団(大洋市) 第28師団(原亜州)
1926年 巨済島(400ku) 済州島(1845ku) 鬱陵島(72.82ku)
1926年 大連州(3462ku)
1930年 任那州 フォンセカ湾 ニカラグア領地コシグイナ(400ku)
1932年 任那州 フォンセカ湾(1200ku) 4カ国不戦条約により拡大
ニカラグア(400ku)+ホンジュラス(400ku)+エルサルバドル(400ku)
1932年 北欧道 カレリア地峡+フィンランド湾諸島 (6000ku)
スールサーリ島(21ku)、ラヴァンサーリ、大・小チュテルサーリ島他
1934年 任那州 中米7カ国不戦協定調印 (2400ku)
任那。ニカラグア、ホンジュラス、エルサルバドル。
コスタリカ、グアテマラ、パナマ、
フォンセカ湾(1200ku) 旧ニカラグア・ホンジュラス・エルサルバドル領
旧コスタリカ領 ココ(瓜生)島 (46.6ku)
ブリカ(中ノ鳥)半島 (753.6ku) 旧コスタリカ領(353.4ku)+旧パナマ領(400ku)
旧グアテマラ(沖ノ浜)領(400ku)
1935年 熊襲市 (400ku) 旧タイ王国領対マレー国境
1936年 蝦夷市 (400ku) 旧チリ領
1938年 漠砂州 (8万3860ku) 旧イタリア領リビア・ブトナン県
1939年 租界地 エストニア・イダ=ヴィル県(3364ku)50年
1939年 瑞森市 (400ku) 旧ブラジル・オランジュ域
1940年 亜羅州 (4039ku) 中東アラビア海
武山(むさん)半島 ムサンダル半島 800ku 旧アラブ首長国連邦・オマーン
和蔵(わくら)湾 アル・ワクラ湾 800ku 旧サウジアラビア・カタール
武矢(ぶや)島 ブビヤン島 863ku 旧統合イラク・クェート
佳(けしま)島諸島 1576ku 旧イラン
佳(けしま)島 ゲシュム島 1491ku
良久(らく)島 ラーク島 49ku
辺賀(へんが)島 ヘンガム島 36.6ku
1940年 租界地 ノルウェー・フィンマルク県(48618ku)
1941年 北斗市 北アイスランド西部の岬(400ku)
1942年 任那州 中米8カ国不戦協定調印 (2800ku)
任那。ニカラグア、ホンジュラス、エルサルバドル。
コスタリカ、グアテマラ、パナマ、メキシコ
フォンセカ湾(1200ku) 旧ニカラグア・ホンジュラス・エルサルバドル領
旧コスタリカ領 ココ(瓜生)島 (46.6ku)
ブリカ(中ノ鳥)半島 (753.6ku) 旧コスタリカ領(353.4ku)+旧パナマ領(400ku)
旧グアテマラ・メキシコ(沖ノ浜)領(800ku)
1943年 府穀市(800ku) タイ湾フコク島(561ku)+(対岸231ku) 旧ベトナム帝国・カンボジア王国
1945年 木仁弥(赤道ギニア)州(26034ku)+雲州(ビオコ)島(2017ku) 旧スペイン領
1948年 グアヒラ半島 苅武市800ku 旧コロンビア領+旧ベネズエラ領の国境 第26師団
1948年 グアヤキル湾 大洋市800ku 旧エクアドル領+旧ペルー領の国境 第27師団
1948年 パラグアイ流域 原亜州3200ku 旧パラグアイ領+旧ボリビア領の国境 第28師団
第30話 1950年 『中禅寺湖遷都と、華厳ヶ関』 |
第31話 1951年 『戦うか。隷属の選択しか与えない』 |
第32話 1952年 『ニュー・バビロンと、南蛮万事屋』 |