月夜裏 野々香 小説の部屋

    

神がかり系 仮想戦記 『神籬の木仙』

 

 第35話 1955年 『国民へのバラ撒きこそ最善の財政』

 角浦冬樹(20)は、某県某村の某神社の次女、鈴木和美(16)と結婚が決まる。

 新妻の和美は、一度、雪で覆われた華厳の関の空気と家内の空気を入れ替えると、納戸を閉め、

 姑の奈美(43歳)の言われる通り、釜で火を起こし、米を研いでいく、

 この時期、電化が始まり、電気炊飯器もあるが、本格的な窯焚きに勝てるはずもなく、

 米を水が透明になるまで研ぐと、釜に入れ、水を入れる。

 御節の付け合わせや、雑煮、味噌汁の準備をすると、

 炊き上がったご飯をサワラのお櫃に入れ、掻き混ぜていく、

 湿気を帯びたご飯が一粒一粒ばらけていく、

 炊き立てが旨いといった観念は、下手くそな炊き方で、

 良く炊けたご飯は、朝、昼、夜、食べても美味かった。

 この時代の娘は、炊事、洗濯、掃除の基本ができており、

 味噌、醤油などオプションで作れた。

 そして、料理の質、家の清掃、自家製の味噌と醤油が

 その家のアイデンティティで、家の評価と直結していた。

 鈴木家と違う味の角浦家の味噌と醤油の継承も行われる。

 その後、掃除と洗濯が始まり、新婚の甘い夢も消え失せる。

 ほぼ、下女のような生活だが常識だった。

 むかしと違うのは、空いた時間に幸幣を作って、ヘソクリを貯めることができた。

 とはいえ、角浦家で、金に困るわけもなく、

 家事の合間に

 角浦家の親類縁者や仙堂家との絆を強めていくよう世話をやき、

 幸幣作りは趣味の範囲だった。

 

 角浦家頭首の秋和(49)は、朝起きると袢纏を肩にかけた。

 華族や士族上の出自は、袢纏でなく、羽織を着ることが多いが、

 農村出の仙堂や角浦は、袢纏を好み、家族も袢纏を着ることが多かった。

 白く雪の積もった庭を一回りしていく、

 華厳の関は、山も森も石畳も雪で覆われ、ひっそりとしていた。

 元旦から動き出す者は少ないが、初日の出を見に行った者は帰る頃で、

 初詣でに行く者はゾロゾロと動きだす時間だった。

 角浦家は、頭首が気紛れで行ったり行かなかったりだ。

 家に入ると、お節料理が並べられた掘りごたつに座る。

 「お義父さん、初詣は行かれないのですか?」

 お屠蘇が注がれる。

 「寒いからやめた」

 「角浦家は、日本の伝統を背負うのでは、なかったのですか」

 「俺、そんなこと言ったことないし」

 「雑誌と新聞に書いてました」

 「あれは、勝手に記者が書いたんで・・・」

 トコトコと廊下を渡る音がする。

 障子が開くと、

 「おじいちゃん、あけましておめでとう」

 「お、和樹。おめでとう」

 長男の孫が和樹(2)がやってくると、おじいちゃんの膝のに座る。

 「和樹。寒いな」

 「寒くないよ」

 「そうか。和樹は元気だな」

 「うん、これからお父さんとお母さんと初詣に行くんだ」

 「そうか。おじいちゃんの分も賽銭入れてきておくれ」

 「おじいちゃんは行かないの」

 「おじいちゃんは寒いから留守番だよ」

 「漠砂州に行くと暑いんだって」

 「そうか。じゃ そのうち漠砂州に行こうかな」

 「和樹もおじいちゃんと行く」

 「和樹は、暑いとこが好きか?」

 「どっちも好き」

 「そうか。どっちも好きか」

 「正月は、あったかいとこで過ごしたいな」

 「華厳が関で年初めの会合があるじゃないですか」

 「あの人たち格式ばかりで、頭が固いからな・・・」

 「何のために辺境に高層ビルを建て。迎賓館並みの客室を作ったのか理解してない」

 和美はお屠蘇を注ぎ足す。

 「仕来りの強い生粋の華族も多いですから」

 「あの人たちは、田舎者の成り金に余所余所しいからな」

 「しかし、成り金が生まれないような社会は、余裕がないし、新陳代謝がないし、死んでるがね」

 「角浦家も華族になるじゃないですか」

 「今年は、仙堂家と一緒に伯爵貰えそうだったな」

 「素晴らしい身分ですわ。普通は男爵や子爵ですもの」

 「士族出でもない人間に頼みごとばかりだから、格好がつかなくなったんだろうな」

 「今年は、木工細工師が240万人なるそうですし。ますます、日本の中心に近づきますね」

 「工作機械の性能が上がって歩留まりが良くなっただけでね」

 「そのうち、手先が器用なら学校を出ずともマニュアル見ながら自由に幸幣を作れるようになる」

 「地方がますます活性化しやすくなるし。海外地の独立も早まるだろう」

 「特権が小さくなりますね」

 「まぁ 国民が自由に流通通貨を作れるようになれば、紙幣はいらなくなるかもな」

 「日本だけ、変わった国になりませんか」

 「かもしれないが、紙幣発行を独占されてもな・・・」

 「君ら夫婦もそのうち海外地の面倒を見てもらうことになるかもしれないな」

 「覚悟は出来てますので、どの地でも・・・」

 この時期の女性は自分のため、家族のためより、

 本家のため、一族のためが強かった。

 

 

 

 任那州 (8400ku) 任那(1200ku)

 歴史博物館は、建設会社が日本各地の城郭を見て回り、

 欧州の星型城郭の長所を取り入れ、

 築城史上、最高の技術で建設された。

 この城を研究するだけで、日本城郭の粋を垣間見ることができた。

 任那城が完成すると、観光で人々が集まる。

 「グアテマラ、ホンジュラス、エルサルバドルの道路建設を引き受けたって?」

 「まぁ 道路建設しないと、どうにも開発にならないからね」

 「隣国から攻められたくないが」

 「任那州が滅びたら、アメリカに支配される。バカでもわかることだろう」

 「中南米の人間が馬鹿じゃないことを祈るね」

 「バカはより、金や地位が欲しい人間がいて、バカより始末が悪いけどな」

 「日本もいるけどな」

 「金クレ族は減ったろ。その気になれば自分で幸幣を作れる」

 「器用なら幸幣作るより、家具作ったほうが実入りがいいがな」

 「いや、時価で紙幣と交換するときは良くても、幸幣に換金するとき、徒労感が・・・」

 「だから、家具作ったら幸幣と交換すりゃいいだろう」

 「小物買う時は紙幣が便利だからな。そのへんの兼ね合いがむつかしい」

 「幸幣作りの人口と生産が増えてるって聞いたけど」

 「紙幣生産の方が圧倒的に多いよ」

 

 

 グアテマラ

 コーヒー、砂糖、バナナなどの主要産物を国の産業にしている貧しい国だった。

 そこに付加価値の高い林業が加わり、総生産が伸びていく、

 某村

 農夫たちは、時間の合間を見つけると、剣道道場に通って、剣道に興じる。

 東洋の不思議な剣術は、反アメリカの象徴にもなり、

 地主の家には、日本刀が置かれていた。

 グアテマラ人にも変化を求める需要があり、

 特になんでも良かったのだが、日本文化が回答になって、浸透していた。

 この村は、たまたま、任那で剣術を学んだグアテマラ人が帰国し、

 剣術をはじめると人が集まったのだ。

 もちろん、事前に日本の映画会社が侍モノ、戦国合戦物、時代物、剣道の映画を流した影響だったが、

 剣道が反アメリカ文化の代表になってしまう。

 背後に剣道具会社の陰謀論が囁かれたものの、

 原料を任那に送ると付加価値の高い完成品が届けられるため、産業として、やめられなくなっていた。

 任那から師範代が呼び寄せられると、さらに信任され、剣道人気が加速していく、

 この時期、日本文部省文化局は、日本文化の復興予算を計上しており、

 弟子の数が一定以上で、大会に出場して成果が挙げられるなど、

 幾つかの条件を満たすと、報奨金が振り分けられた。

 そのため外国の田舎で、剣術を教えたとしても、生業として成り立つことができた。

 中米8カ国不戦協定国で、剣道大会が行われるようになると、オリンピック種目になる可能性も高くなることから、

 剣道熱は次第に活気を帯びていく、

 剣道場

 バシッ!

 師範が打ち下ろすと竹刀が叩き落とされる。

 通訳が必要だが、どこが悪いか、一目瞭然で、

 弟子もより強くなるため日本語を覚え始める。

 しっかり持つと、次は、柔軟性を欠くため、動作が追いつけず、面を喰らう。

 弟子は10代で、師範が面を外すと70過ぎの爺さんで、

 老い耄れ相手に動きで追いつけないことにショックを受けた。

 「それでは、組みを作って、順番に打ち方、始め」

 弟子たちが代わる代わる打ち合う。

 「どうです」

 「見よう見真似で足さばき・すり足をやってるが、ちぐはぐだな」

 「あと残心の考えが、上手く伝わってないようだ」

 「やはり言葉ですかね」

 「そうだな。日本語を覚える弟子も増えてるが、ニュアンスが違う気がする」

 「元々真剣で斬り合った歴史がないので、スポーツ感覚が強いもかもしれませんね」

 「なるほど、日本人は、心の片隅に宮本武蔵や佐々木小次郎がいて、真剣だからね」

 「次の全国大会で優勝できると、おいしいのですが」

 「そうだな・・・」

 

 

 スイス

 スイスは権力層と富裕層の不正蓄財によって成り立つ国だった。

 この表に出せない金を国家ぐるみで保障し、運用しているため、

 戦乱に巻き込まれることなく、独立を保っていた。

 とはいえ、西方のフランス国境が遠ざかり、

 ドイツとイタリアにはさまれた小国は、安全保障上、危機に陥っていた。

 もう一つ、貨幣経済でも幸幣の存在感が増し、国家経済の存亡でも危機に陥る。

 日本国内経済でも、国際経済でも大きな影響力を持つ幸幣だったが、

 日本では、御籤扱いで、課税対象になっていなかった。

 国際的には、有価証券扱いになってはいたが、

 税制上、紙幣でないことにされていた。

 スイス口座の隠し紙幣を表に出せて使いやすい幸幣に換金する必要性が高まった。

 日本人名義の口座が作られ、幸幣と交換に紙幣が積み上げられ、

 幾つかのマネーロンダリングを経た後、

 その紙幣が資源と交換され、日本経由で表に出てくることになった。

 スイスの口座は急速に減り、

 隠されていた紙幣が表の経済に流れ込んでいく、

 むろん、我田引水で、株配当という形で、自分の口座に戻ってくるが、

 税金で紙幣を取られたとしても生産量の差で、幸幣を持っていたほうが得だった。

 ジュネーブ

 スイス人と日本人たち

 「国際連盟の本部をジュネーブに戻すべきだ」

 「戦争が終わったから連盟ジュネーブに本部を戻せって言われても・・・」

 「加盟国のほとんどは日本本部がいいって言ってるし」

 「日本は永世中立国ではない」

 「だから戦争当事国になったら国連本部をスイスに移すということで」

 「「「・・・・」」」 ぶっすぅ〜

 「幸幣ってさ。どうやって作ってるの?」

 「さぁ 管理してるの木工12ギルドだから・・・」

 「「「・・・・」」」 ため息

 

 

 

 東京 反日第5列師団

 作戦会議

 「日中戦争が上手くいかないニダ」

 「南満州鉄道があった頃と違うニダ。極東戦争前とは、違うニダ」

 「もっと、上手く日本人を扇動しないといけないニダ。日本人と中国人を憎み合わせないといけないニダ」

 「でも無関心過ぎて、むつかしいニダ」

 「日中は政府間貿易が中心ニダ。交流が大きいのは租界地ニダ」

 「自由な民間貿易に切り替えさせるニダ」

 「日本人のほとんどは、中国人を知らないニダ。中国人のほとんども、日本人を知らないニダ」

 「日本資本を中国に投資させて大損させるニダ」

 「中国人を日本に移民させて喧嘩させて憎み合わせるニダ」

 「そして、日本人と中国人をストレスで怒らせて日中戦争させるニダ」

 「もっと日本人を騙さないと駄目ニダ」

 「視点を低くさせないと駄目ニダ。視野を狭くさせないと駄目ニダ」

 「もっと利己主義ニダ。もっと拝金主義にさせるニダ」

 「困ってる日本人を助けるニダ」

 「困ってる日本人をもっと苛めて。ピンチになったところを助けるニダ」

 「そうしたら、日本人は恩義に感じて、仲間になるニダ」

 「アイゴー! それやるニダ」

 「地方出張者が狙い目ニダ」

 「いま、みんな、地方出張で、地方出張者の方がいい生活してるニダ」

 「大都会開発に切り替えさせるニダ」

 

 

 

  朝鮮共和国 (21万6823ku)

   中国協商保障領 7パーセント、中国1万5177ku

   米英ソ同盟保障領 8パーセント、合計16823ku

    アメリカ3パーセント、6504ku  イギリス3パーセント、6504ku  ソビエト2パーセント、4336ku

 自尊心と利己主義と拝金主義の行き着く終局が、

 お化け半島 呪われた半島 亡者半島 ・ ・ ・ ・だった。

 客家とユダヤの両陣営が間接支配する朝鮮半島だったが、

 少数の強大な既得権が支配する世界ほど、国民の奴隷化が成功していく、

 そして、救いを求める先が二つあった。

 一つはキリスト教の救済と、もう一つが共産主義による団結と革命で、どちらもガス抜きだった。

 この自作自演なムチと希望は、いつの頃からか形成され、

 子飼いを作る方便でしかなくなっていた。

 そして、教会信者として邪悪すぎて使えないが、

 利用できる人間がチョイスされ、引き抜かれていく、

 その中で、人格的に問題ありな人間がチョイスしたい場合もあったが方法もあった。

 キリスト教会学校

 “皆さん、お喜びください、3枚のグリーンカードが発行されました”

 “3人が宣教師として選ばれることになります”

 「「「「「「アイゴー!!!」」」」」」

 “みなさん優秀ですし、こちらから選ぶのも不公平な気がします”

 “なので、この箱の中にクジがありますので引いてください”

 主催者側と抽選者側が結託すると、確実に引くことも、高い確率で引くこともできた。

 「当たったニダ〜♪ 地獄から脱出できるニダ〜♪」

 『『『『なんで、こいつニダ・・・・』』』』

 「当たったニダ〜♪ お化けにさよならニダ〜♪」

 『『『『なんで、こいつニダ・・・・』』』』

 「当たったニダ〜♪ 安心して眠れるニダ〜♪」

 『『『『なんで、こいつニダ・・・・』』』』

 

 

 

 ハーバード大学ドル紙幣教会

 “資本主義こそ最高の制度なので、自由に儲け、自由に生きるのです”

 “資本主義こそ史上最高の社会制度なのです”

 「先生。質問していいですか?」

 “日本から来た留学生ですね。なんでしょう”

 「資本主義で、自由に儲けられる人は、人口のごく一部じゃないでしょうか?」

 “そうです。儲けるのも自由ですが、儲けないのも自由なのです”

 「しかし、儲けるということは、ほかの人が損するということですよね」

 “それも自由なのです”

 「もし、一握りの人たちが国家資産の99パーセントを支配する社会は、良くないような気がします」

 “何を言うのです。それこそ、資本主義の本質なのです”

 「それでは、国民の大半が経済的な奴隷になってしまうじゃないですか」

 「アイゴー 神のFRBに口答えしてるニダ」

 “それも自由なのです”

 「もっと、国家を発展させるような資本主義が良いのではないでしょうか」

 “どういう風にだね”

 「国債を発行せず、国民に紙幣を一律にばら撒くのです」

 「そうすれば政府も資本家も国民も赤字国債に悩まれることはないでしょう」

 「そして、政府は国民から税金を得て公共投資し」

 「資本家は贈収賄による回転扉や税金や国債よりも、国民から稼ぐのです」

 「怠惰で強欲な議員と官僚と資本家の癒着を防ぎ、怠け者は稼げなくなるのです」

 「また、バラ撒きは愛国心を高める効果があり、所得税は格差を是正する効果がありますし」

 「所得税と、紙幣の国民へのバラ撒きこそ」

 「シンプル・イズ・ベストで最善の金融財政政策だと思うのです」

 ““““・・・・・・”””” シーン

 “な、なんてこと”

 “な、なんと恐ろしい、悪魔のような・・・”

 “日本人は、なんという恐ろしいことをいうのだ”

 「この政策を遂行すれば、政官財で社会資本を滞留させてしまうような回転ドアが無くなり」

 「アメリカ国民のために努力する資本家や労働者が稼ぐことができます」

 「だいたい、1000億持って、まだ、儲けたいとかありえな・・・」

 “だ、駄目だ。駄目だ。駄目だ。駄目だ。駄目だ。駄目だ。駄目だ。駄目だ”

 “駄目だ。駄目だ。駄目だ。駄目だ。駄目だ。駄目だ。駄目だ。駄目だ”

 “駄目だ。駄目だ。駄目だ。駄目だ。駄目だ。駄目だ。駄目だ。駄目だ”

 “それは神を冒涜する犯罪的で、危険な思想だ”

 “断じてそんなことを考えてはいかん!!”

 “政治は、資本家が自由に稼ぐことができるような政策をすることが最良なのだ”

 「で、でも、それでは政官財で癒着して、富裕層が税金を払わなくなり」

 「紙幣が富裕層に集まり、癒着で腐敗したカーストになりますし。国民は貧しくなっていくので・・・」

 “悪魔だ”

 “へっ?”

 “悪魔だ。悪魔の思想だ。出て行きなさい”

 “へっ?”

 “出て行きなさい。あなたの生徒資格を剥奪します”

 「・・・・・・」 呆然

 “出て行きなさい”

 スタ スタ スタ スタ ・・・・

 “なんて恐ろしいことをいうのだ。日本は、悪魔のような民族だ”

 “FRBの神よ。許したまえ”

 “いえ、FRBの神を冒涜する恐ろしい日本を滅ぼし、日本人を根絶やしにしたまえ”

 “アーメン”

 「「「「「アーメンニダ」」」」」

 “みなさんは、あのような民族になってはいけません”

 「「「「「アイゴー!」」」」」

 “では、続けます”

 “国家と国民と産業に逆張りをかけて大儲けするだけでなく”

 “国家産業を支配し、国家を支配する手段があるのです”

 “信用創造を増大させると公定歩合も増大します”

 “さらに貸し借りが増えると利息が利息を生み、社会に流通する利息が紙幣を圧迫するでしょう”

 “それを防ぐため、国家は国債を追加発行し、紙幣を社会資本に流通させます”

 “しかし、中央銀行が独立しているなら、紙幣発行を減らしていくのです”

 “そうなれば、徐々に消費が減り、銀行は貸し渋りを始めます”

 “そして、貸し剥がしを開始するでしょう”

 “唯一儲けられるのは、公務員、電気、水道、銀行などを押さえてる者たちだけなのです”

 “そして、回転扉でポストを明け渡さなければ、紙幣を印刷しないと脅すこともできるのです”

 “普通の企業は資金繰りがつかなくなり、労働者に紙幣を循環させることをやめ、クビを切り始めます”

 “紙幣を借りて投機を繰り返していた投資家は、借金を返せずクビを吊ることになるでしょう”

 “労働者は、ローンを支払えず、街は、破産者で溢れます”

 “消費が一気に下がり、小売店は、バタバタと潰れていくでしょう”

 “最小値に下がったとところで、利権を全て買い占めていくのです”

 “数十社の株を手に入れ、CEOとなれるのです”

 “これで、あなたたちは、国家の支配者です”

 “産業を押さえて自動的に富が転がり込みます”

 “我々が印刷した紙幣の財源の国債を全て、国民に押し付け奴隷にできるのです

 “国民を兵士にして敵国に突撃させ。若い女を妾にできるのです”

 “海外利権も手に入れられるウハウハの人生が目の前に開けているのです”

 “不況期も好況期も自在に操り、アメリカ合衆国すら支配ているのが、独立した中央銀行なのです”

 “大恐慌のようなことを意図的に起こし、戦争経済に移行させることができるのです”

 “皆さん、全知全能なFRBを唯一全能で富の神として、拝しましょう”

 「「「「「アイゴー!」」」」」

 “下僕ども、政治家、右翼、左翼、資本家、マスコミに浸透しするのだ”

 “そして、日本の中央銀行を復活させ、国家からも国民からも独立させるのだ”

 “乞食議員と、天下り公務員と、泥棒資本家を抱き込むのだ”

 “そして、日本語と、日本の歴史と、日本の文明を破壊し、日本民族の精神を破壊するだ”

 “立てよ。いざ、資本主義!”

 “世界の国境を取り払い、人類を退化させ、全人類を支配するのだ”

 「「「「「FRBマンセー! FRBマンセー!! FRBマンセー!!!」」」」」

 「「「「「FRBマンセー! FRBマンセー!! FRBマンセー!!!」」」」」

 「「「「「FRBマンセー! FRBマンセー!! FRBマンセー!!!」」」」」

 

 

 

 漠砂州 (8万3860ku)

 国民に金を流通させるための財政と、

 既得権の間で分けるための財政が存在する。

 この時期、幸幣を作れる者は240万人に達しており、

 過疎地であろうと木工12ギルドと林業と木工細工師さえいるなら、

 不足なく流通貨幣を水増しさせることができた。

 紙幣と幸幣の抗争が行われていたが、

 幸幣なくとも国民に紙幣を流通させることができるといった気前のいい政策がとられていた。

 国民の消費力は高く、努力すれば、どんな商売をしても成功しそうな勢いがあり、

 手先が器用でなく、学歴の低い者は、土建で働くのが効率よく賃金が得られる道だった。

 高層ビルが建つと、砂嵐の度に、

 高層ビルと高層ビルを繋ぐトンネルが埋まり、

 すり鉢状の森林階段が高くなっていく、

 漠砂州は、凹凸が大きくなるほど日陰が増え、住み心地が良くなっていった。

 アラブ・イスラム諸国は、次々と同様の土木建設を行うよう日本資本を契約を結び、

 膨大な石油が日本へ流れていくことになった。

 単純な話し、10棟建設すれば、国内に1棟を建設できるほどで、

 日本の積極財政に助けられなくとも、ゼネコンの自己資本による自己増殖は可能に思えた。

 高層ビルの一室

 日本から子供夫婦が子連れで遊びに来ると、あまりにも広いフロアに驚く、

 「おやじ、凄いな」

 「見晴らしがいいだろう」

 大型飛行船が建設機材を空輸し、

 地平線の先まで草原が広がっていた。

 所々 凹みがあって、同じような高層ビルが建設されつつあった。

 「こんなでかい家に住んでるのか」

 「おうよ」

 「海外地は、楽して広い家に住めるんだな」

 「仕事は大変なんだぞ」

 「そりゃそうだけど。日本じゃ死ぬほど働いてもこんな家に住めないよ」

 「そうだろう、そうだろう」

 「幸幣を作るより割がいいかも」

 「幸幣は、名人が木工細工が売れにくくなった時に作るんだろう」

 「木工細工が売れないやつが幸幣作っても、うまみが少ないんじゃないのか」

 「・・・・・」 しょんぼり

 「まぁ そうだろうけど・・・ しかし、こりゃ凄い」

 「まぁ 定年まで、ここで働けって、命令されてるけどな」

 「もう、定年じゃん」

 「そうそう。だから、家を売って日本に帰るか。このまま、ここで、余生を過ごすかだ」

 「どうするの?」

 「んん・・・お前たちがこっちに住んでくれるなら、こっちで余生を過ごしてもいいけどな」

 「おいおい」

 「あはははは・・・まぁ 死ぬ前にもう一度、日本を見てみたい気もするがな」

 「兄さんはどうするって?」

 「まぁ 長男だから日本に残ったほうがいいかもしれないとか言ってたな」

 「んん・・・・まぁ 俺の家の3倍はありそうだから考えてもいいけど。仕事はあるかな」

 「お前も土建屋だろう」

 「上司は、リビアが油田が出るそうだし」

 「そうなったら、もっと産業を大きくできるし」

 「5kuに高層ビルを1棟建てようか、みたいな事を言ってたし。仕事はあるぞ」

 「あははは・・・」

 「まぁ しかし、妻は彫師だからねぇ」

 「木工12ギルドも来てるし、つげの木も植わってるぞ」

 「・・・・・」 呆然

 「それにお前も若いし頑張れば、もう一軒」

 「んん・・・・」

 「使わないなら、テナントで貸し出せば、家賃が入るだろう」

 「家が大きいから、子供がいくら増えてもいいし」

 「「・・・・・」」 ぽっ

 「何日か居て、考えてもいいよな」

 「そのために呼んだんだろうが」

 「しかし、日本と違・・・て、あれ、なに?」

 窓から見る景色に虹のようなものが作られた。

 「シャワーだな」

 「屋上から水を撒いてんのかよ」

 「時々な」

 「水余ってんのか」

 「まぁ 時々だよ」

 「「・・・・・」」 呆れ

 

 第10師団

 広大な漠砂州を1個師団で守るには少な過ぎた。

 代わりに地下網が発達し、潰しの効く守備隊が置かれ

 タウン型高層ビルに一定数の予備役が配置される。

 日本が徴兵より予備役が好まれたのは、

 攻守で使える徴兵より、訓練不足の予備役が安心と思われたからだ。

 師団本部にドイツ製ヘリ部隊とドイツ製装甲兵員輸送車が並び始める。

 

  攻撃ヘリ フレットナー386

   3000kg/4000kg/5500kg

   全長15m×ローター13m×全高4m

   1800馬力  速度180km/h  航続距離500km

 

  ドイツ製装甲兵員輸送車Sd Kfz 434

   16t

   全長9m×全幅3m×全高2.5m

   65口径37mm砲  7.92mm機銃

   ディーゼル500馬力  速度100km/h  航続距離1000km

   乗員3  兵員8人

 「またも、ドイツ製か・・・」

 「ライセンス生産は、もう少し先になりそうです」

 「兵器開発をドイツに頼りすぎるのもアレなんだがな」

 「ライセンス生産が安上がりなのが行けない」

 「むしろ、対米対ソで、ドイツが漠砂州の生産力に頼ってる節もありますし」

 「今のところはな・・・・」

 「やはり、リビアの油田と。イスラエルとアラブの確執が焦点になりそうですかね」

 「まぁ あまり、巻き込まれたくはないがな」

 

 

 

 国防が軍需主軸から民需主軸に移行したのは、木工産業が主導権を執りはじめてからで、

 その背景に経済的な幸幣や安全保障上の身代わり人形があった事は否めない、

 もちろん、国力以上の軍事力は、ありえないが自明の理ではあるが、

 積極財政は、公共投資が中心に行われ、

 国防費は、吸い上げられた所得税が中心だった。

 そして、公共投資も格差是正と国防を兼ね、海外地と過疎地への積極財政が続き、

 資金の流れは海外地、過疎地から税金で中央に戻り、再配分されていく、

 澎湖諸島

 標高は50m以下で遠くから見ると、洋上にニョキニョキと高層ビルが立っているように見えた。

 交通の便から対中・対東南アジア諸国貿易の総括的な判断する島として位置づけられ、

 日本の特高官僚と、

 マニラ・コネクション。陽華人。騎華人との折衝場所になり、情報も集まっていた。

 特別高等警察の秘密厳守の口外禁止の場所が存在する。

 黒檀で作られた重厚な部屋にリズミカルな音楽流れていた。

 BAR “護民館”

 潰したばかりのフレッシュレモンジュース4分の1

 デカイパー ホワイトキュラソー4分の1

 テキーラ サウザ ブランコ2分の1

 と、氷をシェーカーに入れ、小気味よいリズムと音を奏でたあと、グラスに注ぐ、

 グラスの縁に付いた岩塩がカクテルの味を引き立てさせる。

 「・・・これまでの情報を総括するとだ」

 「アメリカは日中戦争を画策してる節がある」

 「古典的な漁夫の利計画なので、日中のどっちが勝っても関係ない」

 「両国が疲弊したところを見計らって、正義の味方のよう振舞って被侵略側を助け」

 「侵略側を悪として打ち負かす気らしい」

 「打ち負かした側は軍事支配で、助けた側は経済支配する気のようだ」

 「あと、フィリピンゲリラにマニラ・コネクションを攻撃させる動きもあるようです」

 「同じアメリカ人なのに?」

 「サナトリウムのアメリカ人は、反ユダヤのアメリカ人が多いですからね」

 「全世界の富。5分の1を支配し続けるためなら、人類の半分くらい殺せますよ」

 「ま、フィリピン人にアメリカ人を襲わせてアメリカ軍でフィリピン再占領なら一石二鳥で美味しいでしょう」

 「一石四鳥くらいありそうだが」

 「確かに」

 「しかし、中東戦争が起こりそうだし、フィリピンで事を起こすだろうか」

 「フィリピン近海は日本の軍事力が強いし。地中海は、ドイツの影響が強いのでは?」

 「生憎、ドイツも日本も戦意が低いよ」

 「まぁ 大砲や空爆でもされない限り戦争する気にならないだろう」

 「アメリカだって経済的に追いつけるなり、自作自演するなりだが、議会が簡単にウンと言うまい」

 「朝鮮共和国のアメリカ空軍は、原爆を装備てる。正直、アメリカと、まともに戦争する気になれんよ」

 「日本だって、原子爆弾があるじゃないですか」

 「アメリカと原爆を落としあってもいいことない」

 「日本も根性ないな」

 「日本も根性ないある」

 「根性で国家存亡を賭けられるか」

 「むかしは、浪花節で国家存亡を賭けたある」

 「日清・日露は後悔してるよ」

 「アジア人は日露戦争で希望を持ったある」

 「だいたい、アメリカが悪い」

 「政官財で癒着して、お金持ちをもっとお金持ちにする政策ならバカでもできる」

 「そんな政治家は政治家じゃないし。国民を豊かにできない政治家は政治家じゃない」

 「お金持ちや官僚に媚びうるなら誰でもできる。そんな大学教授ならいらない」

 「FRBなんて潰して、政府が、毎年、国民に一律ばら蒔けば自由になるし経済が発展する」

 「みんなそう思ってるから集まってるんだろうが」

 「しかし、成功したいと思うほど、金儲けしたいと思うほど、既得権に近づくほど」

 「彼らに組み込まれていく構造になってるのだ」

 「中国もアメリカと変わらないある。貧富の格差が酷いある」

 「日本だけ、幸幣作れてずるいある」

 「幸幣は、民族性だから」

 「違うある。植樹の仕方。管理の仕方。伐採の仕方。加工の仕方がいちいち決められてるある」

 「それに従えば、真似できるある」

 「でも、それは、仙堂一族と角浦一族の相伝でね」

 「特高でも知らない」

 「悔しいある。日本人だけずるいある」

 「普通なら、木工細工なんてトップはともかく」

 「中堅は波があってリスキーな賭けだし。ヘタッピは肥やしにもならない」

 「しかし、木工細工が売れなくても、幸幣売ればそこそこやっていけるセーフティが大きいな」

 「とにかく、アメリカを何とかしないと、ダメダメになってしまう」

 「だから、アメリカに神社を作らせて、取引所より安い価格で交換させてるじゃないか」

 「数量規制と価格規制があるじゃないか」

 「んん・・・だって、ヘリウムとか、石油を売ってくれるし・・・」

 「そんな。日本は、資源に負けちゃダメだ」

 「いや、お金には負けないけど、資源には負ける」

 「朝鮮開発したのだって、アメリカの石油欲しさが原因だったし」

 「今は、中東から買えばいいからアメリカの石油はいらないだろう」

 「まぁ そうだけどさ。お互いに国境は無視はできんよ」

 「「「「・・・・・」」」」 むっすぅ〜

 

 

 

 マニラは、チーク材、マホガニー材などの林業利権のほか、

 米、トウモロコシ、サトウキビ、ココナッツ、コプラ、マニラ麻、タバコ、バナナ

 銅・金・ニッケル・クロムなどの農産・鉱物利権を中心に都市が形成され、

 その外側にスラム街が広がっていた。

 郊外の一角にアメリカ軍の基地と、

 元アメリカ軍傷病兵用の白い別荘(サナトリウム)群も建設されていた。

 マルコス政権に搾取されつつも民族資本が育ち、港湾、鉄道、道路など少しずつ整備されていた。

 フィリピン林業業者は、戦前からなど、木工12ギルドに管理を委託し、利益を上げていた。

 ただし、林業という性質上、大量の労働者が必要で、

 マニラの一極集中がむつかしく、地方都市も繁栄していた。

 その結果、地方分権が進み、アメリカ軍の支配が及びにくくなっていた。

 世界のどこでもそうだが、街は昼と夜の顔があって、

 昼は安全に見えても、夜は表情を変える。

 マニラ市の邸宅に銃弾が撃ち込まれることは珍しくなく、

 襲撃で一家惨殺といった政争絡みの物騒なことも起こっていた。

 

 フィリピン料理屋

 「ゴキブリが入っていたニダ!」

 「うぁあああ! 酷いニダ」

 「そ、そんなものが入るはずないじゃないですか」

 「入っていたニダ」

 「そんな・・」

 「オラオラニダ、こんなまずいものが食えるかニダ」

 「オラオラニダ」

 「お、お客さんたち」

 バリンッ!

 「こ、困ります」

 「おいおい、お前ら、なに暴れてんだ。汁が掛かっちまったんじゃねぇか」

 「だ、誰ニダ」

 「服が汚れたから、弁償してもらわないとな」

 「ちょっとしか。かかってないニダ」

 「そう、ある、かかったある」

 「お前には、ちっともかかってないニダ」

 「気持ちがかかったある」

 「無茶苦茶言うな!」

 「本当だ。僕にもかかりました」

 「お前には、全然。かかってないニダ」

 「耳障りな声がかかりました」

 「因縁ニダ!」

 「いいから、クリーニング代を出してもらおうか。有り金全部で・・・」

 「ヤッちまえニダ!」

 「て、店内で・・・」

 goぼいじゅあいh;。・ぶohbujozhuOvjH?B+>VjuGBUVo;

 パンパン!

 「たいしたことなかったな」

 「たいしたことないある」

 「せいせいしましたね」

 

 フィリピンは、日本にも東南アジア条約機構に属しておらず、

 朝鮮利権への中継地であり、

 アメリカにすれば、地政学上、失いたくない島で

 独立後も米軍基地が存在し、間接支配が続いていた。

 勢力図は、アメリカ軍、傀儡フィリピン政府、

 フィリピン民族独立主義、フィリピン民族共産主義に分かれて、内紛を繰り広げていたが、

 CIAは、傀儡フィリピン政府、民族独立派、共産独立派を敵対させながら弱い順に殺していくが

 他の三勢力も武装していて黙っておらず反撃する。

 そのフィリピンで第5の勢力が生まれたのは、1943年の極東戦争で、

 膨大な傷病兵をアメリカ本土に返すと厭戦機運が高まると恐れ、

 フィリピンにサナトリウム街が形成されてからだった。

 マニラ・コネクションは、日本資本系の林業を請け負い、

 フィリピン全土に利権を形成していくが、

 この時点まで、ユダヤ資本は、黙認することができた。

 しかし、次第に反ユダヤ資本を形成していくようになると

 マニラ・コネクションとユダヤ資本の抗争は、現地勢力を巻き込み激しさを増していた。

 日本料理店 “南蛮” マニラ支店

 日本人たちがやってくると、個室テーブルに入っていく、

 メニューに挟んだ報告書に目を通していく、

 「・・・情報だと、アメリカは、資源収益の7割を幸幣に代えて、アメリカに持って行ってる」

 「残りの1割はフィリピン政府。2割はフィリピン国民」

 「なんとも酷い搾取率だな」

 「民衆に金をやると、いうことを聞かなくなるからね」

 「というより」

 「人口が増えると余剰資本の上積み分を集めただけで、政敵になってしまうからだし」

 「お前らには金も権力も渡さねぇ 一生奴隷でいろ的な」

 「世襲支配で権力を握りたがるやつが上に立つと、紙幣発行を減らして兵糧攻めするからね」

 「国力を上げるより、支配力をあげたいとか、どういう人間だか・・・」

 「増税かけて国民を苦しめて、反対する民衆に共産軍ってレッテル仕掛けて潰したいだけなのさ」

 「CIAの常套手段だけどな」

 「白い悪魔ですね」

 「日本でもやったことあるけどね」

 「小判が欲しくて、飢餓なのに米を大阪に運んで領民を餓死させた」

 「そんなの不換紙幣の時代にやることじゃないよ」

 「マニラ・コネクションの取り分も増えてきているから、フィリピン国民は惨めになっていくじゃないか」

 「それでも林業があるから助かってる。あの職業は、賃金が高いからな」

 「資源を買ってるのは日本だ」

 「文句を言うのは筋違いだが、アメリカばかり得させるのは面白くない」

 「しかし、国際貿易を幸箱にするなんて、どうなってるんだか」

 「お金持ちは紙幣より、幸箱で蓄財したがるからね・・・・」

 客たちは、メニューに挟んだ。メモに依頼内容を書くと店員を呼ぶ、

 

 南蛮万事屋たち

 「なになに “CIAの腰巾着の朝鮮人が地方都市の山地主に意地悪するようなので、やめさせてください” か」

 「また、あいつらある。フィリピンまで来て、しつこいある」

 「しかし、日本人は人助けが好きだな」

 「違いますよ。アメリカ資本に奪われると、フィリピンの独立の妨げになるので邪魔したいだけですよ」

 「まぁ 意地悪しようとしてる奴に意地悪してやれってことね」

 「でも、アメリカ軍とフィリピン政府は、独立派を共産軍と決め付けて攻撃してくるある」

 「真正面でぶつかるかもしれないある」

 「そうなる前の前段階だよ」

 「だから、速攻で、ぶちかましてやれば、軍隊や警察が出てくる前に決着がつく」

 3人は、愛用のシュビムワーゲンに乗り込むと、目的地に向かって走り出した。

 

 

 

 

 飛行船を姿勢制御する技術が発達していた。

 飛行船の中芯や舵の代わりに直径2mほどの全通式パイプを通し、

 エンジンやコンプレッサーを使って、機首域の空気を機尾域へ向けて強制放出し、

 バラスト移動も効率的だった。

 先にやり始めたのは日本だったが、

 ドイツも同様の技術を開発し、

 新型巡空飛行艦 LZ150シャルンホルストとLZ151グナイゼナウで採用していた。

  全長320m×直径56m

  1500馬力4基  速度は200km/h  航続距離50000km、

  積載量200t

 巨大な機体は、圧倒的な威圧感を与えるものの、速度が遅く、標的になりやすく、

 B52爆撃機の積載量が31tほどなので、コストパフォーマンスで劣っていた。

 唯一、航空機より優っていたのが航続距離と航続時間で、

 それこそ、ドイツ空軍が欲した性能だった。

 積載量のほとんどは、対空哨戒、対潜哨戒用で、長期の作戦が可能だった。

 貿易風と偏西風の狭間サルガッソ海

 外を見ると空は、どこまでも広く、海は水平線の先まで広がっていた。

 昨日釣れたばかりの魚が焼かれてテーブルに並ぶ、

 前半、傷みやすいものから食べ。後半は缶詰や保存食になってしまう。

 野菜の水栽培のようなことは行われてはいたが、皿に載る分は少なかった。

 そのため、係留釣りの様なことが行われ、連れた魚がテーブルに並ぶこともあった。

 もっとも、数十分前は、慌ただしく、レーダーと睨み、機影を追いかけていた。

 「時々 B52が現れるのが面白くないが、遊覧飛行は悪くないな」

 「この辺は、何もないので、B52くらい来てもらわないと」

 「まぁ 確かに暇よりいいかもしれないが、生存性が心配になるな」

 「反撃された時が弱いだけで、大抵、飛行船が先制発見できますし、先に攻撃しする手段はありますから」

 「慰めにはならんよ。まぁ 撃墜されても生き残りやすいメリットはあるが」

 

 

 ゴミの山が宝の山に変わってしまう事ほど嬉しいことはなく、

 それまで捨てられていたモノが食品素材。農業・園芸用資材。排水浄化・汚泥凝集剤 各種汚水処理材。

 化粧品素材。抗菌防臭繊維素材。医薬・医療材料に役立つキチンとキトサンとなり金に変わる。

 それらは、カニやエビの殻から抽出できた。

 投資の回収は遅れていたものの、採算性が向上し利潤が増していた。

 北海道、鹿児島、大連州、台湾州、任那州、木仁弥州に工場が建設され、

 そして、漠砂州と北欧道にも工場が建設されつつあった。

 北海道は、石狩平野、十勝平野と釧路湿原など平地が大きく、

 金を作れる産業を誘致できるなら自己増殖でき、

 開発が進めば経済的にも独立することができた。

 知床岬は陸の孤島だったがタウン型高層ビルが立っていた。

 都会より土地代が少なく、細々とした経費が流れずに済んだ。

 それでも付加価値の高い林業の成せる業だったが、防衛の意味も強かった。

 孤立した半島を北海道と繋ぐ公道が建設されていた。

 関係者たち原生林を伐採する山道が広げられ、石畳に変えられていく、

 「原生林だったのが、随分、間引きされたな」

 「仙堂家の息子が間引きを決めていったが、南台湾の公園と近い感じになりそうだ」

 「才能が遺伝するとは思わなかったが、こりゃ 親を超えてるんじゃないのか」

 「ただで自然公園の中に住めそうって、いいよな」

 「コテージを作ったほうがいいというのは?」

 「まぁ 一定の年月ごと伐採するとしても、泊りがけになるしね」

 「仕事がないときでもコテージなら観光客を呼び込んで維持費をまかなえる」

 「全国民を高層ビルに住まわせて、木造平屋をコテージ化しようって話しもあるらしいけど」

 「ふっ コテージ代が安ければ考えてもいいが、国民が流民化しそうだな」

 

 

 

 中国 重慶 日独租界

 日本から医大を出たばかりの研修医が大量に送られてくる。

 臨床検査と、治療と、手術の数打てば当たる方式なのだが、文字通りの実験台だった。

 基礎知識だけの研修医が手探りの臨床検査で被験者の症状を探り、

 試行錯誤で治療を決め、手術されていく、

 それでも現地中国人医師より治療の知識があり、経験と知識だけが足りなかった。

 病院

 「虫垂癌と、盲腸を間違えちまったぜ」

 「俺なんか、肺癌と肺結核を間違えちまったよ」

 「俺も肺癌と肺炎を間違えました」

 「「「「あははははは・・・」」」」

 袋詰めされた遺体が運び出されていく、

 「「「「まぁ いいか」」」」

 中国で術式の練習をしたあと、帰国するか、海外地に行き。

 大学病院に務めるか、病院か、町医になっていく、

 

 

 

 

 東京 国際連盟

 「日本は国際連盟の本部理事国ニダ」

 「・・・・・」

 「国際連盟の本部理事国が、隣国の朝鮮共和国と国交断絶なんておかしいニダ」

 「・・・・・」

 「日朝国交を回復するニダ」

 「・・・・・」

 「なぜ、目を背けるニダ」

 「・・・・・」

 「なぜ、明後日の方向を向くニダ」

 「・・・・・」 ため息

 「まっすぐ前を見て、現実を直視するニダ!」

 「・・・・・」 ため息 

 「朝鮮共和国は、独立国ニダ!」

 「連盟本部常任理事国は加盟国と国交を回復する義務があるニダ」

 「・・・・・」 ため息

 「日本人は朝鮮人を差別してるニダ!!!」

 「・・・・・」 ため息

 「なぜ、大きなため息をつくニダ!!!!」

 「・・・・・」 ため息

 「もし、日本が朝日国交樹立しないなら、韓国は国際連盟を脱退して国際連合に行くニダ」

 「本当に?」

 「本当ニダ」

 「是非、脱退してください」

 「・・・・・」

 「是非、連盟を脱退して、国際連合に行ってください」

 「あ、あ、いや、そういう意味ではないニダ」

 「では、脱退ですね」

 「い、いや、今のは違うニダ」

 「朝日国交樹立して欲しいという意味でいったニダ」

 「いや、朝日国交樹立しないから、脱退していいですよ」

 「違うニダ。違うニダ。朝日友好は、大事といっただけニダ」

 「国際連盟は脱退しないニダ」

 「・・・・・」 ちっ

 

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 月夜裏 野々香です。

 幸幣のせいで、漫画とアニメーターが育ちにくい戦後日本を書いてます。

 こんな、日本嫌だみたいな。

 だんだん、テンションが下がってきますが (笑

 始めちゃったものはしょうがない、最後まで行ってみたいと思ってます。

 

 

 自民党時代は、基幹産業を押さえなければ日本を支配できなかった。

 日銀独立後は、日銀と幾つかの行政機関を押さえるだけで、日本を支配できた。

 金の流れを国民に変えると、国家の経済統制は困難になる代わりに、

 アメリカの間接統治も不可能にさせてしまう。

 財源が足りない。

 ゴールドを担保する兌換紙幣時代なら通用する財源論ですが (笑

 不換紙幣は、製造原価一枚10円もしない紙切れに10000円と書いてるだけ、

 不換紙幣時代の経済学は、あまり役に立たない。

 この紙幣を発行しているのが日銀で、

 運用の予算を決めてるのが大蔵省、政府、議会なのだが、

 むかしは、大蔵省・日銀、政府、議会、財界で紙幣の発行と運用を私物化して利権の肥やしにしていた。

 赤字国債は彼らの財布に入ったあと、紙幣が国民に移動している。

 いまは、大蔵省、政府、議会から独立した日銀が紙幣を私物化し、天下り利権の温床にしている。

 国債は発行されず、紙幣が発行されないため、紙幣の奪い合いが起きている。

 そして、利権から溢れた企業ウヨがピリピリしている。

 企業にお金を回せばなんとかなると思ってる人いるけど、国民が金持っていなかったら意味なし、

 幾ら企業を助けても企業は、リストラしちゃって、自己資金だけ増やして冬篭りすんだよね

 企業系ウヨが必死に嘘ついて誤魔化してるけど (笑

 未来的には、紙幣を公平に国民のものにしたいものだ。

 

 

 

 

 

   仙堂春和(49) × 山城美奈(45)

      仙堂一樹(27) × 仙堂(日吉)明美(23歳)  秋穂(4)  祐樹(1)

      仙堂智樹(23)  × 仙堂(佐藤)七海(18)  慶人(♂)

   烏丸彰人(25) × 烏丸(仙堂)加賀美(20)  佑都(♂)

   角浦秋和(49) × 日向奈美(43歳)

      角浦芳樹(23)  × 角浦(伊達)早苗(19)  和樹(2)

      角浦冬樹(20)   × 角浦(鈴木)和美(16)

   椎葉豊彦(31) × 椎葉(角浦)青葉(27)  和哉(4)  桂治(1)

  

 

 

 近衛師団

 第01師団(東京)    第02師団(仙台)    第03師団(名古屋)    第04師団(大阪)  

 第05師団(広島)    第06師団(熊本)    第07師団(北海道)    第08師団(弘前)

 第09師団(金沢)    第10師団(漠砂州)  第11師団(瑞森市)   第12師団(北欧道)  

 第13師団(姫路)   第14師団(蝦夷市)   第15師団(亜羅州)   第16師団(熊襲市)  

 第17師団(久留米)  第18師団(宇都宮)   第19師団(大連州)   第20師団(任那州)

 第21師団(善通寺)   第22師団(木仁弥・赤道ギニア州)    第23師団(雲州・ビオコ島)

 第24師団(小倉)    第25師団(高田/仙台)

 第26師団(苅武市)  第27師団(大洋市)  第28師団(原亜州)

 

 

 

 1926年 巨済島(400ku) 済州島(1845ku) 鬱陵島(72.82ku)

 1926年 大連州(3462ku)

 1930年 任那州 フォンセカ湾 ニカラグア領地コシグイナ(400ku)

 1932年 任那州 フォンセカ湾(1200ku) 4カ国不戦条約により拡大

             ニカラグア(400ku)+ホンジュラス(400ku)+エルサルバドル(400ku)

 1932年 北欧道 カレリア地峡+フィンランド湾諸島 (6000ku)

             スールサーリ島(21ku)、ラヴァンサーリ、大・小チュテルサーリ島他

 1934年 任那州 中米7カ国不戦協定調印 (2400ku)

                任那。ニカラグア、ホンジュラス、エルサルバドル。

                     コスタリカ、グアテマラ、パナマ、

             フォンセカ湾(1200ku)  旧ニカラグア・ホンジュラス・エルサルバドル領

             旧コスタリカ領 ココ(瓜生)島 (46.6ku)

             ブリカ(中ノ鳥)半島 (753.6ku)  旧コスタリカ領(353.4ku)+旧パナマ領(400ku)

             旧グアテマラ(沖ノ浜)領(400ku)

 1935年 熊襲市 (400ku)  旧タイ王国領対マレー国境

 1936年 蝦夷市 (400ku)  旧チリ領

 1938年 漠砂州 (8万3860ku) 旧イタリア領リビア・ブトナン県

 1939年 租界地 エストニア・イダ=ヴィル県(3364ku)50年

 1939年 瑞森市 (400ku) 旧ブラジル・オランジュ域

 1940年 亜羅州 (4039ku)   中東アラビア海

        武山(むさん)半島  ムサンダル半島  800ku    旧アラブ首長国連邦・オマーン

        和蔵(わくら)湾    アル・ワクラ湾   800ku    旧サウジアラビア・カタール

        武矢(ぶや)島     ブビヤン島    863ku    旧統合イラク・クェート

        佳(けしま)島諸島              1576ku   旧イラン

            佳(けしま)島      ゲシュム島   1491ku

            良久(らく)島      ラーク島     49ku

            辺賀(へんが)島    ヘンガム島   36.6ku

 1940年 租界地 ノルウェー・フィンマルク県(48618ku)

 1941年 北斗市 北アイスランド西部の岬(400ku)

 1942年 任那州 中米8カ国不戦協定調印 (2800ku)

                任那。ニカラグア、ホンジュラス、エルサルバドル。

                コスタリカ、グアテマラ、パナマ、メキシコ

             フォンセカ湾(1200ku)  旧ニカラグア・ホンジュラス・エルサルバドル領

             旧コスタリカ領 ココ(瓜生)島 (46.6ku)

             ブリカ(中ノ鳥)半島 (753.4ku)  旧コスタリカ領(353.4ku)+旧パナマ領(400ku)

             旧グアテマラ・メキシコ(沖ノ浜)領(800ku)

 1943年 府穀市(800ku)  タイ湾フコク島(561ku)+(対岸231ku) 旧ベトナム帝国・カンボジア王国

 1945年 木仁弥(赤道ギニア)州(26034ku)+雲州(ビオコ)島(2017ku)  旧スペイン領

 1948年 グアヒラ半島   苅武市800ku      旧コロンビア領+旧ベネズエラ領の国境  第26師団

 1948年 グアヤキル湾  任那州 大洋市800ku 旧エクアドル領+旧ペルー領の国境  第27師団

 1948年 パラグアイ流域 原亜州3200ku      旧パラグアイ領+旧ボリビア領の国境  第28師団

 1952年 任那州 (8400ku)

        任那(1200ku)    フォンセカ湾  旧ニカラグア・ホンジュラス・エルサルバドル領 第20師団

        瓜生島(46.6ku)   旧コスタリカ領 ココ島

        中ノ鳥市(753.4ku) ブリカ半島   旧コスタリカ領(353.4ku)+旧パナマ領(400ku)

        沖ノ浜市(800ku)  旧グアテマラ・メキシコ

        蝦夷市 (400ku)  旧チリ領                                第14師団

        瑞森市(400ku)   旧ブラジル・オランジュ域                      第11師団

        苅武市(800ku)   グアヒラ半島   旧コロンビア領+旧ベネズエラ領の国境  第26師団

        大洋市(800ku)   グアヤキル湾   旧エクアドル領+旧ペルー領の国境    第27師団

        原亜州(3200ku)  パラグアイ流域  旧パラグアイ領+旧ボリビア領の国境    第28師団

 

 

 

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第34話 1954年 『積極財政の功罪と。地縁祭り』
第35話 1955年 『国民へのバラ撒きこそ最善の財政』
第36話 1956年 『指の先に群がる蟻』