第36話 1956年 『指の先に群がる蟻』
“ドルもマルクもポンドも円も紙切れ。本物のお金は、幸幣だけ”
誰かがそう言った。
そういったのは日本人でなく、
肯定するのも、否定するのも、日本人より、
金融戦略を肌で感じ、幸幣の7割を保有しているユダヤ人と客家人だった。
どれも資源と交換に幸幣を手に入れたもので、
海外貿易での日本円は、見向きもされない、
国が滅びれば、その国の貨幣は紙切れとなり、
記念品や趣味人が求める価値しかなくなる、
しかし、幸幣は、工芸品や美術品に近く、
生産国の日本が滅びたら高騰する可能性すらあった。
金融資産に独特な感性も持つ彼らは、金に並ぶ禁輸商品として幸幣を欲した。
日本では、初詣でに神社で購入した幸幣を・・・
「売るニダ」
「へっ」
「幸幣を売るニダ」
「並んで買えばいいだろう」
「買ったニダ。もっと欲しいニダ。倍出すニダ」
「嫌だよ。せっかく並んで買ったのに」
「売るニダ。3倍出すニダ」
「嫌だ」
「・・・・・・」 憮然
日本で買った幸幣を国外に売る人間が現れる。
東京
日本の税制は、地租税と酒税が中心だった。
地租税は、国土の私有への課税であり、
酒税は、娯楽もあるが害になることもあり、加罰的な意味も含まれていた。
しかし、第二次産業、第三次産業の所得が増えるにつれ、
小さな地所で莫大な利益を上げる者たちが現れるようになり、
海外地への移動やタウン型高層ビルの住人が増えると
地所の広さと、床面積の実体が合わなくなっていた。
所得税の割合が徐々に増えていったのは、そういった経緯だった。
そして、タウン型高層ビルへと住人たちが移動していくと、再開発が始まる
工場や商店街は巨大になり、宿泊用のコテージなどが建設されていく、
関東平野の再開発は地下開発で、地下鉄道網、通信網、上下水道網が張り巡らされていく、
海外から供給される資源と、
海外地や過疎地への公共投資で、資本が国民の隅々にまで広がっていく、
ほとんどの紙幣は、すぐさま、幸幣に変えられるか、
再投資され、基幹産業と関係のない副産業が増大していく、
経済的に余裕が生まれると、実力が能力があるほど成功しやすくなり、
劣化した世襲が生まれると離反され、産業の新陳代謝が早まる。
実体経済と社会基盤の大きさは、権力層・富裕層の器の大きさの反映でしかないものの
政治力は相対的に弱体化し、
公務員の昇給率は、民間の昇給率に追いつけず、
財閥と大手は、中規模企業の追随と、新興企業追い上げで、たまったものではないのだが、
日本経済は、繁栄していた。
全世界の人々が私物化された紙幣に支配されようとしていた。
その支配の闇に日本が覆われようとしているとき、敢然と立ち上がる者たちがいた。
グアム 日米非公式協議
会談会場はピラミッドに一つの目の模様が描かれ、不気味なコスモを放っていた。
“これは・・・”
“とんでもない奴がいそうだな・・・”
会見場
“何をしに来た”
!?
“誰だ”
“我は、アメリカ商務省の高級官僚アリエスのルベンだ”
“てっ 呼びつけたのはお前だろうが”
“我らが神FRBに逆らう極東のかわいそうなゴイムどもよ”
“おい、いきなり、高飛車だな”
“12のゴールドマンは、日中戦争。日ソ戦争。日朝戦争”
“日・フィリピン戦争。日・東南アジア条約機構戦争”
“日本海外地と隣国戦争。日本海外地独立戦争”
“日本クーデター。日本内戦。日本分割作戦。皇族断絶の11の対日作戦を同時進行し”
“最後の日米戦争で日本を滅ぼそうと行動している”
“そ、そんなこと、許すものか”
“我々ゴールドマンクラスは、一人一人が日本の国家予算を遥かに上回る資産を持つのだ”
“お前たち5人の資産を合わせても、私一人の爪の先ほどもない”
ぐはっ! × 5
ドサッ! ドサッ! ドサッ! ドサッ! ドサッ!
“ま、まさか、俺は、いま、蟻になってる”
“我々は、やつの指の先に群がる蟻だとでも言うのか”
“それも、ただの蟻じゃない、働き蟻だ”
“なんという資産。なんというコスモだ”
“アリエスのルベン。や、奴は、神なのか”
“““““・・・・・・””””” がくっ!
“おや、攻撃するつもりでさえなかったのだがな”
“なに、今のが攻撃じゃなかったとでも言うのか”
“まさか・・・”
“日本は繰り返される戦争によって疲弊し”
“国民は、党利党略に苦しめられ、クーデターと内戦によって自滅するだろう”
“そ、そんことはさせるものか”
“我々の力には勝てんよ。貧乏人ども”
“““““うぉおおおおおおおおお!!!!!”””””
“自主規制しないぞ!!!”
“関税は引き下げない!”
“油田開発するぞ!”
“牛肉オレンジの輸入反対!”
“外資枠は広げない”
ふっ
“痛くも痒くもないな”
“東南アジア諸国海賊支援!”
ぐはっ! × 5
ドサッ! ドサッ! ドサッ! ドサッ! ドサッ!
“日本軍は、実戦経験不足!”
ぐはっ! × 5
ドサッ! ドサッ! ドサッ! ドサッ! ドサッ!
“例え、同じ被害を被ったとしてしも、我々には、かすり傷なのに”
“お前たちは、採算割れを起こし、致命傷になっていく”
“我々は、全世界を極貧にしても生き残るだけの資産と富を保持している”
“これが天文学的な貧富の格差というものだ”
“ま、まさか、そんな技が通じない。我々の技が通じないなんて・・・”
“これが個人口座のクレジットカードで、空母を建造できる力。ゴールドマンクラスの輝きだとでも言うのか”
“愚かな蟻どもよ・・・しかし、それくらいの元気がなくては・・・”
“こ、こうなったら・・・”
“まぁ まて”
“えっ?”
“私は、カライ派で。タルムードを信じてない”
“この先を行くなら、ゴールドマンたちの弱点を教えよう”
“そして、君らをタルムードの攻撃から身を守る方法も教えよう”
“な、なぜだ。なぜ、日本の味方をする?”
“我々は、ユダヤ人と自称しているが本当のユダヤ人ではなくハザール人だ”
“しかし、それでもユダヤ教を信じていることに変わりないが、彼らは違う”
“彼らは、最悪のタルムード派で、第二次世界大戦のドサクサを利用し”
“スイス銀行に秘匿した我らカライ派とシャブタイ派の口座資産を奪ったのだ”
“““““・・・・・”””””
“ユダヤ資本も一枚岩じゃない”
“こ、高慢ちきなのは同じじゃないだろうな”
“我々は一人一人が日本の国家予算より金持ちなのだ”
“我々がアメリカの全資産をほとんどを保有しているといっても過言ではなく”
“アメリカ国民は家畜に過ぎず”
“お前たちは、家畜でさえない害虫に過ぎないのだ”
ぐはっ! × 5
ドサッ! ドサッ! ドサッ! ドサッ! ドサッ!
“つ、強い、普通に会話してるだけでも殺されそうな圧倒的な力だ”
“我々は、我々は、なんという非力な存在なのだ”
“ま、負けるものか”
“俺たちが日本を守るんだ。あの美しい郷土を、優しい国民を・・・”
“そうだ。どんなに苦しくても屈してはならない”
“ふっ 我々 ゴールドマンのクラスになると金を儲けるようなどと思っていない”
“格差を維持するか、格差を広げることしか考えていない”
“我々こそ、アメリカ合衆国を体現している存在であり、地上では神に等しい力を持っている”
“今のうちに慣れとけ”
“““““・・・・・””””” 呆然
日本の代理人はアリエスのルベンからゴールドマンたちの弱点と身を守る方法を教わると、
“あ、ありがとうアリエスのルベン。感謝する”
“極東の働き蟻よ。せいぜい、無謀な抵抗を試み絶望するがいい”
日本人たちは、第二会談場ハワイへ向かっていく、
“スギハラ・・・”
“友人たちの命を助けてくれた借りは、返したぞ”
コテージ型の喫茶店は、そこそこ人気があって、テーブルの半分は客で埋まっている。
男が新聞の小説欄を読んでほくそ笑んだ。
「ふっ アホらしいくらいデフォルメかけてるな」
「まぁ いいじゃないのか。日米の本質的な違いなんて、住んでみないとわからんよ」
「それはそうと、朝鮮人の工作員が外交ルートを使って、入り込んでる」
「一応、朝鮮人工作員の潜入については、新聞、メディアで警告している」
「連中は、政界、財界、官界だけでなく、メディア、文界、軍事、法曹、警察に浸透しようとしているが」
「公式な外交ルートを経由していて、むつかしい」
「せっかく、朝鮮共和国と国交を断絶してるというのに、国際連盟の本部なんか置くからだ」
「それより、あの男が怪しいというのは本当か」
「大学教授で、アメリカの意思を日本に伝えている男だ」
「アメリカの工作員は、右も左も上も下も、全方位で分担しているし」
「本命のフィクサーかどいつかわからんからな」
「正確には、最小公約数的にアメリカ系ユダヤ資本で、最低限、日本は、こうあって欲しいというメッセンジャーだ」
「しかし、最低限であって、日本を滅ぼすくらいの工作は仕掛けているがね」
「一応、保守系に属してるのか」
「そりゃそうだろう」
「しかし、小遣いでスパイ組織を編成できる格差って、いいよな」
「まぁな」
「日本も皇族を中心に神籬と木工12ギルドが情報部を再編成する動きがあるらしい」
「八咫烏か」
「まぁ 神籬や木工ギルドと組んだほうが資金が増えるし、人脈も広がる」
「なにより、ぶれなくていいがね」
「それに木工産業の方が安定してるし、平和思考で国民に人気がある」
「しかし、仙堂家と角浦家は、閨閥から外れてるだろう」
「そのへんは、いずれと言う形にしてるらしい」
「ふっ 華族との縁故を敬遠するなんて、まったく、おかしな一族だよ・・・」
ちゃりん!
喫茶店に大学教授が入ってくる。
テーブルの一角に緊張感が走り、大学教授が誰と接触するか、注視する。
ジェット戦闘機は試行錯誤の黎明期から、方向性が百花繚乱の開発期を向かえていた。
アメリカ合衆国
ノースアメリカンF100スーパーセイバー マクドネルF101ヴードゥー コンベア F102デルタダガー
ロッキード F104スターファイター リパブリック F105 サンダーチーフ チャンスボートF8クルセイダー
グラマンF11タイガー
ソビエト
MiG17 MiG19 MiG21 Yak25
ドイツ
Me444 Ho358 He376 Ta322
日本
50式戦闘機 翔鳳
イギリス
デ・ハビランドDH.110シービクセン
各国とも戦争の主力になる戦闘機開発に力を入れていたが、
アメリカが最大で、ソビエトとドイツが並び、日本とイギリスが並んでいた。
日本が迎撃機“翔鳳”と、巡空哨戒攻撃機“富嶽”の二本立ては、予算の都合だったが、次期開発機も検討されていた。
日本国防省
関係者たち
「また予算を取られた」
「どいつもこいつも既得権から金を引き上げさせて、社会資本に金を回しやがる」
「個人に金が回るようにすれば力がある奴が成功するからね」
「既得権が力のある人間、能力のある人間を押さえ込んで馬鹿に世襲させられるよりいい」
「子供が優秀ならそれもいいがね」
「それに上意下達の体育会系は困る」
「木仙とこのガキどもが揃いも揃って親の才能を継承してるから世襲を嫌う風潮が強くなってるのさ」
「才能を相続できるのなら、閨閥外しても得かもしれないが一般の閨閥が困るよ」
「次の番組から愛国少女に番組をやってもらわないか」
「おいおい」
「だって、そのほうが国民が国防省予算口座に振り込みそうだろう」
「し、しかし・・・・」
「守ってあげたい、みたいな少女とか」
「「「「あはははは・・・・」」」」
タイ王国は、東南アジア条約機構の中で、国土、資源、地政で有利というわけでなかった。
救いがあるとしたら戦前から独立国として秩序を維持していたこと、
税制、学制、軍制が整備され、官僚組織が出来上がっていたこと。
そして、東南アジア条約機構の多くの国々が、日本人大学教師に頼らなければならないのに対し、
大学教師を自国民で占める知的水準にあった。
そういった諸事情で、将来的にインドネシア、ベトナム帝国、ビルマに追い上げられるとしても、
東南アジア条約機構の中心だった。
タイ王国 東北部
キングタイガーV戦車部隊が実弾演習を公開していた。
この時代、戦中戦車の叩き売りが始まっていた。
弱小国家、新興国は、それらの戦車を購入していたが、
無理して最新鋭戦車を購入する国家も存在する。
タイ王国は、そういった無理をしている国の一つだった。
外交武官たち
「練度が向上しているようだ」
「キングタイガー戦車の配備は、無理してる気がするな」
「タイ王国は、東南アジア条約機構の盟主だが、インドネシア、ビルマ、ベトナムに追随されている」
「軍事力も大きなファクターだから無理したくなるんじゃないか」
「無謀な軍事力は、国力を削ぐよ」
「経験者語るか」
「ふっ」
「タイ王国は、まだ、まともな製鉄所がないが、もうしばらくすれば製鉄所が完成するだろう」
「そうなれば、鉄鋼業が波に乗るはず」
「日本以外のアジア諸国が近代化できるかどうか、楽しみだ」
「白人は、まだ、黄色人が近代化できないと考えてるのか?」
「普通の白人は、日本人だけが例外と思うだろうな」
「人間は、健康と、知識と、権利と、生産手段と、資本さえあればいい」
「成功・不成功は確率論にすぎなくなるし」
「社会の統制と公平さがまともなら、人種は関係ないと思うね」
「それができなかったから近代化できず、植民地にされたのだ」
「人は血脈と利権を維持するためなら、ほかを淘汰できる」
「利己主義と拝金主義が強い人間が上に行くほど差別的になるし」
「世襲と利権支配が強まるしカースト制に近づく」
「調査の結果、無理だという結論に達してるよ」
「だが、タイ王国は、近代化の兆しがあるよ」
「ふっ キングタイガーV戦車を買い揃えたって、国産できなきゃ 張子の虎だよ」
「インドネシア、ビルマ、ベトナム、マレーへのキングタイガーVの売り込みは、どうなんだろうね」
「東南アジア諸国の軍事的緊張を押し上げてる気がするが」
「そのほうが設備投資や公共投資が押さえられるだろう」
「まぁ そうだが・・・」
「日本はタイ王国の隆盛を押さえようとしないのか」
「友好関係にあるよ」
「木工産業のおかげなのか」
「まぁ 日本で加工したほうが付加価値が高いから敵対するより、友好関係を保つよ」
「それより、騎華人が東南アジア条約機構に入り込んでるようだけど」
「なかなか、使いやすい手駒だよ。美男美女が多くてモテるし」
「・・・・」 ため息
この頃、電子コンピューターの黎明期を迎えていた。
幾つかの電気系企業が電子計算機を研究開発していたが、
神籬でも電子部門が創設され、研究開発が進められていた。
神籬社 電子計算機 研究開発室
仙堂春和(50) 角浦秋和(50)
50代とはいえ、まだまだ、若いものに負けないと考えてる二人がいた。
そして、電子計算機の応用は幅広く、
税制、教育、軍事などを根底から変えてしまう力があると考えられていた。
もちろん、現物があるはずもなく、未来がわかるはずもなく、
暗中模索の中で、電子計算機部門でアメリカに負けてはいけない、
そういった衝動に突き動かされていた。
そして・・・
「高層ビルの地下に1台ずつ置いて、共有計算機にすれば、儲かるんじゃないかな」
「商業計算と工業計算と、学校の宿題とか?」
「まぁな」
「んん・・・いろいろヤバイような気もするが」
「辞書や事典みたいな物も記憶させられないかな」
「そうすれば、みんな高層ビルに引っ越したくなるし」
「高層ビルに住む人間が増えれば、ガラス繊維の生産が増えて儲かる」
「じゃ 開発も一気に進んで資金回収も容易になるか」
そう、電子計算機の採算性と運用の夢と創造性が電子計算機の研究と開発の動機で、
夢や創造性を信じ確信できなければ、研究と開発に至る力は得られなかった。
そして、民間で採算性がありそうだと思うなら、軍用に頼らず済み、
利益も莫大になると考えられた。
むろん、資本投資の回収が思ったより少なかったとしても、
神籬は、幸幣生産を総括している余裕からか、
国家金融支配を目論んでいないためか、損することに抵抗がなかった。
そういった背景があって、ようやく、電子計算機の技術論に立ち入ることができ、
未知の産業に一歩を踏み出すことができた。
英語とキリスト教と合衆国憲法が
移民してきた多種多様な人種と民族をまとめあげていた。
移民の時代は1904年から1913年頃にピークを迎え、
段階的に低迷し、人口に占める割合も減っていた。
アメリカ合衆国に一時期でも住んだことがあるならば、その広大な国土と、
日本と異質な文化圏に圧倒されてしまう。
日本人同士ならば出自が離れていたとしても、
歴史のつながりと可能性から同胞意識も生まれるが、
移民同士であるアメリカ人は、同胞意識が育つ前提条件がなく、
個人主義と契約社会が作られ、生存競争が激化し、
自由と私有財産を重視するリバタリアニズムと、
民主共同体として課税再分配を必要とする保守主義がぶつかり、
貧富、地域、知的水準で格差が広がったとしても、自然の成り行きだった。
もし、アメリカの流儀を取捨選択することなく日本国内に取り入れ、
貧富、地域、知的水準で格差を広げようとするとしたら、
器量が小さく浅知恵か、痴呆か、キチガイ以外の何者でもないが、
そういった人間もいるのが世の常で、権力に近づくほど、日本が受ける悪影響は計り知れなかった。
アメリカは、ペリー来航以来、キリスト教を足場に、人脈と金脈の網を日本国内に広げ、
資本提携と留学などを通じて、弱みを握られた外交官や留学生が現れるなど、
欧米の価値観を徐々に日本に浸透させていた。
日本産業の勢力図が大きく変わり、欧米の資本主義から日本の資本主義が分岐した。
分岐点の中心は、仙堂家と角浦家と、幸幣と身代わり人形で、
民主資本主義化したのは、神籬社、木工12ギルドが拡大して以降と、認識されるようになっていた。
ワシントン 白い家
男たちは、焦燥感に駆られていた。
有限な資源と、再生資源の幸幣を交換しなければならない不利さを直視していたからで、
アメリカ経済の中富裕層は、幸幣を欲しており、
大富裕層も戦争で刷った紙幣を回収し、権力基盤を強化する必要性に迫られていた。
商品取引所で交換された紙幣は、大富裕層に流れ、金で金を増やし、庶民に戻りにくかった。
一方、反ユダヤ勢力のマニラ・コネクションと非ユダヤ系資本は日本資本との結び付きを強め、
アメリカに進出した神社は、確実に流通貨幣を水増しさせ、
ライバルとなる新興企業を増大させ、既得権を脅かしていた。
「日本は、甲殻類からキチンの抽出に成功したようだ。今後本格的な生産に入る」
「林業に続いて、海産物も金の成る木に変えたわけか」
「たぶん、電子産業でも追いつこうとしている」
「どこまでも追随してくる猿どもだ」
「というより、追い抜かれている」
「我々も公共投資するか」
「金を国民にばらまくことになる」
「マニラ・コネクションは、大半がアメリカに帰還し、アメリカの林業と連携し、日本資本と結び付きを強めてる」
「また、フィリピンに残って資金源になってるグループもいる」
「サナトリウム街は?」
「フィリピン人に売るか。味方になるグループに売ってる」
「どちらにしろ、我々に対し、敵対的な勢力が形成されつつある」
「紙幣発行をもっと減らすか」
「そんなことをしたら、日本やドイツに一気に追いつかれ、負けてしまう」
「あいつら、バンバン金を刷りやがって」
「日本もドイツも我々と違って、単一民族に近く、歴史を共有している」
「内輪で争うより、外に対して結束しやすいのだろう」
「権力闘争で負けたところで、外国人に支配されるわけじゃないからな」
「日本に朝鮮人や中国人を潜入させられないのか」
「むかしは、資源の輸入で、朝鮮人や中国人を代理人に立てさせるなど誘導が通じた」
「しかし、いまの交渉は、日本人ばかりだよ」
「特に木工ギルドの代理人は、樹齢と同じくらい先を見通す」
「彼らは危険だよ。特に木仙一族は、木から情報を引き出せるそうじゃないか」
「こちらの意図が筒抜けなのがまずい」
「ていうか、あんたも人形を作ってもらってるだろうが」
「「「「「・・・・・」」」」」
ごほん!
「とにかく、紙幣の数は、奴隷の数に比例する」
「我々が紙幣を使うほど奴隷どもが平民に近づき、労働から解放されていく」
「要は奴隷札のようなものだが、我々の預かり知らない資本が反対勢力の結束に使われている」
「かと言って、日本とドイツとソビエトとの関係から紙幣発行量を減らすこともできない」
「中国と連携を強められないだろうか」
「中国は、朝鮮半島で明らかにアメリカと張り合っている」
「まぁ 奴隷売買に応じてくれる程度の関係は築いてはいるがね」
「我々の資産を台無しにして、未だに復興の兆しに達していないから日本と戦争する情勢にもなっていない」
「日本は中国侵攻しないか・・・」
「もっと、石油を輸出してやるからというのは」
「中東や東南アジアの石油があるから、アメリカから輸入する必要性はないだろう」
「それにリビアの油田も開発されていると聞く」
「やれやれ、こちらは、海外に避難地を欲しているというのに」
「第二次世界大戦で、民族資本主義、民族社会主義を完全に破壊してやろうと思ったのに上手くいかない」
「それどころか、日本やドイツに留学しているアメリカ人も増えて、こちらが不利になっているようだ」
「あれは、日本とユダヤの関係を調べるためだっただろう」
「まぁ そうだが外資枠制限があるし。国際連盟本部くらいの足場しかなくてな」
「「「「・・・・」」」」 ため息
朝鮮共和国 (21万6823ku)
中朝協商保障領15都市 7パーセント、1万5177ku
米英ソ朝同盟保障領10都市 8パーセント、1万6823ku
米朝同盟保障領 3パーセント、6504ku
英朝同盟保障領 3パーセント、6504ku
ソ朝同盟保障領 2パーセント、4336ku
独立して30年を経過していた。
一時は、アメリカ、イギリス、ソビエトの対日対中工作により、大量の石油が投資され、
日本のゼネコンと中国の人海戦術により近代化した半島だった。
日本以上の公共投資で保障領は、高層ビルが乱立し、ユダヤ資本の隠し金庫とまで言われていた。
しかし、労働条件は最悪であり、貧富の格差は、世界史上、稀に見るほど広がってしまう。
結果、中国人工夫と朝鮮独立軍の武装蜂起によって独立戦争が起こり、
独立を支援した中国軍の南下と、米英ソ軍の反撃により、
城塞25都市中20都市が戦場と化し、近代設備が破壊されてしまう。
半島全域を制圧した中国軍と、
半島南部5都市を守りきっている米英ソ軍が睨み合うが、
朝鮮半島が米英ソ中日の軍事的緊張の争点であることに違いなく、
米英ソ中は、半島を統一させたまま講話し、保障地を存続してしまう。
廃墟となった瓦礫は、徐々に再建されていくが半島で1億人が戦死したと言われ、
霊障が酷いのか、昔のような活気も繁栄もなかった。
朝鮮大統領と、4人の租界総督と、
25城塞都市の米英ソ中領事に忠誠を誓う者だけが、まともな教育を受けられ、それ以外は、放置された。
平安、咸鏡、京畿、全羅、慶尚の5つの方言は統一されず、
中国語、英語、ロシア語も入り乱れ
朝鮮軍は、米英ソ中の中古兵器と武器弾薬でバラバラに編成されていた。
江華島 米英ソ城塞都市
日本人たちが生活物資を収めると、街の様子を見ていた。
英語とロシア語とヘブライ語の標識が置かれ、白人ばかりが歩いていた。
「なんか、米英ソのユダヤ人が集まってるし、戦後もユダヤ人の街になっていきそうだな」
「北側が客家資本に取られただけで、それほど変わらないということか」
「ていうか、生活物資を日本に頼ってる時点で、ダメっぽい」
「なぁ 日本人」
白人が声をかけてきた。
「日本の農作物を持ってきたら、10倍の朝鮮の農作物を上げるよ」
「いらない」
「なんだよ。大儲けだろう」
「朝鮮産を食べると呪われそうだから、嫌だ」
ちぇ!
そういうと、白人は去っていく、
「10倍の農産物と交換したら朝鮮人が生きていけなくなるだろう」
「でも朝鮮人は600万人くらいしか、残ってないってよ」
「戦後700万は残ってただろう」
「減ったんじゃないの」
「恐ろしい・・・」
「まぁ 幽霊があまり出ないのは、江華島と釜山くらいらしいからな」
「一応、出るんだ・・・」
「ほかの国並みってことだろう」
「もう、撤収すればいいのに」
「対中対日で必要なのさ。米英は対ソでも必要だし、ソビエトは対米英でも必要だ」
「戦略的な要地か」
「それに地主は、中国人、アメリカ系、イギリス系、ロシア系のユダヤ人らしいし」
「なんか作らせて、それを外国に売れば金になるから便利らしい」
「日本から生活物資を買ってるのに」
「先進国じゃ売れないよ。後進国や植民地に持っていってるらしい」
「もう、奴隷だな」
「客家とユダヤ資本に中央銀行が支配されている」
「中央銀行が支配されるということは、その国と国民を奴隷に出来るってことなのさ」
「くわばら、くわばら」
漠砂州 (8万3860ku)
U字型の海路が建設されようとしていた。
完成すれば漠砂州の3分の2が島と化す、
海路が伸びるほど日本、亜羅州、任那州、木仁弥州、北欧道や外国からくる船舶で賑わい、
交易が増え、淡水プラントの生産が大きくなり、奥地の緑化が進み、
農業生産と工業生産と人口を増やすことができた。
関係者たちが凹凸の境に立っていた。
すり鉢状の下にむかって森林が育ちつつあり、底地にタウン型高層ビルが建っていた。
台地側は、草地が広がって太陽光熱発電が建設され、
いたるところにタウン型高層ビルが建っていた。
「一念岩をも通す、か。ここまで緑化が進むと笑ってしまうな」
「一棟が巡洋艦1隻分以上の価値があるよ」
「砂漠じゃ 人が石垣というから」
「石垣を作るためだけでも大変なんだな」
「それでも内地住人の異動で便利だし、十数年後には内地の開発も本格化する」
「内地が後回しになるのが萎える」
「大都会の地代を押し下げてから開発するつもりだよ」
「だけど、タウン型高層ビルは、日照権の問題で北端になるんだろう?」
「平地は貸し小屋コテージにしたほうが、過疎地への異動が容易になるらしいよ」
「何かあっても、日本に戻りやすいからね」
「空前絶後の不思議国家になりそうだ」
「それくらいやらないと海外地の開発が進まないってことだろう」
「しかし、あの神社の岩は?」
「ああ、日本から運んできたらしいよ」
その岩は、すり鉢の中程にあって、御神木のそばにあった。
「郷愁ってやつか」
「岩一つでも、そんな気分になるんだろうな」
「それより、アラブ・イスラムと上手くやってるんだろうな」
「まぁ リビアとエジプトを分断してる格好になってはいるがね」
「ビザの取得はややこしいが、漠砂州を越えてリビアとエジプトを往復するだけなら、同じ距離をリビア内やエジプト内を移動するより速い」
「それより、ドイツの巡洋艦は何しに来たんだ」
「なんか、イスラエルとアラブで戦争しそうだからって、軍同士で予備交渉するらしいよ」
「なに、戦争するの?」
「戦争するかは、日本政府が決めるけど。軍同士の連携とかは、別の話しになるからね」
「戦争か。気が進まないな」
「そりゃ 社会基盤が作られようとしてるのに、戦争に邪魔されたくないからね」
「そうそう平和の方が儲かるんだから、最悪あと50年は戦争したくない」
「しかし、ユダヤ・イスラエルは、アラブ・イスラム諸国の反日機運を高めさせて、日本に嗾けさせる工作をしてるからな」
「ユダヤ・イスラエルもアラブ・イスラムも戦争なんかしないで、緑化すればいいんだ」
「そのほうが居住地が増えるだろう」
「そういう勢力は確実に増えてるよ。砂漠を取り合うより草地にする方が建設的だからね」
瑞森市 (400ku)
ドイツの飛行船が来航していた。
駐機飛行場に到着すると、日独の乗客が乗り降りしていく、
ドイツ人たち
「大変な発展ぶりだな。瑞森市を空から見ていただけでわかるよ」
「瑞森市から遠浅の海岸に向かって、埋立地が広がっているし」
「ブラジルに向かって幹線道路と伐採運搬道が伸びていた」
「これからは、もっと港湾が広がるだろうし、幹線道路も伸びていくだろう」
「ブラジルの森林資源が宝の山か、羨ましいものだ」
「木工12ギルドは、木工細工だけでなく、薬用樹の生産も1.3倍から1.5倍にできるらしい」
「アマゾンの薬用樹は天然の抗生物質と言える代物だ。誰だって、木工ギルドと取引したがるだろうな」
「正確には、仙堂家と角浦家だがな」
「どちらにしろ、管理してるのは、木工12ギルドか、神籬さ」
「木材の価値を十数倍に高められる日本民族の方が異常なんだよ」
「やはり、流通貨幣を水増しできる幸幣が大きいよ」
「木工12ギルド管理の山と、幸幣に使える銘木の種類も増えてるし」
「このまま幸幣が海外の蓄財になってしまうと各国の中央銀行は、好況と不況のコントロールが困難になる」
「不況を利用した戦争も不可能になるな」
「まともな資本家なら、資源と幸幣を交換し」
「幸幣と紙幣を交換し、紙幣で資源を入手したら、もう一度、幸幣と資源を交換するからね」
「損しているように思えても、利権さえあれば、自動的に幸幣は戻ってくる」
「ところで、日本の海外地の本体は、木仁弥州か、漠砂州のどっちなんだろうな」
「銀行があるのは、木仁弥州だけど?」
「日本は幸幣を製造できるし、日本銀行は分割されてるから、力は、それほどでもない」
「というより、衆議院は中級家庭出身が多いから紙幣を余計に刷る傾向にあるしな」
「インフレ率10パーセント超えてるのに、流通貨幣は、公定歩合や利息分をはるかに上回ってるし、羨ましい国だ」
「それより、木仙一族の若いのが、こっちに来てるって?」
「ああ、仙堂家の次男が来てるらしい。薬用樹の調査だそうだ」
「薬か。当たると金持ちになるからな」
「ふっ 親としたら、金を稼げる子供くらい安心するものはないよ」
「ドル箱になりそうな薬を見つけるとは限らないだろう」
「だけど、仙堂家の長女は、木仁弥州で薬草を見つけて財閥入り確実だし、ノーベル賞も夢じゃない」
「上手いこと儲けやがって、我々も中米に足場が欲しいものだ」
「アメリカは全力で阻止行動に出るよ。戦争になる」
「「「・・・・」」」
木仁弥州 (28051ku)
地産
ウエンジ、ゼブラ、ブビンガ
南米
イペ、パウアマレイロ、パウホウショ、セレジェイラ、マホガニー、
タタジューバ、マサランツーバ、ムイラカチアラ、
コパイバ、カラパナウド、ベロニカ、アヌエラ、パラカシー、
パウ・ムラット、イペ・ホーショ、ウーニャ・デ・ガット、ニン、アンジローバ、
東南アジア
紫檀、黒檀、鉄刀木、花梨、マホガニー、
植林が進むにつれ、木仁弥州に資産価値も大きくなっていく、
森林資源が、鉱物資源と違うのは、再生することで金の成る木を手に入れたことに等しかった。
椎葉(角浦)青葉(28)は、子供達と和哉(5)、桂治(2)、結衣(♀)の世話をしながら片手間に人形を彫っていた。
安全保障上の価値の高い、仙堂家と角浦家の身代わり人形は、各国の権力層や富裕層に人気があり、
10年先まで、納期が埋まっていた。
秘書が報告書を持ってくる。
「目立った動きは?」
「イギリスとフランスが植民地を独立させるようです」
「そう、もう、植民地を維持できないのかしら」
「直接支配から間接支配に切り替えるのでしょう」
「資源と市場を搾取するはずです」
「また、宗主国が戦争に巻き込まれることがないので、故意に戦争させ」
「兵器と武器を売って、資源だけでなく、100年先の労働資産まで手に入れる気でしょう」
「まぁ アフリカ人を借金奴隷にする気なのかしらね」
「多国籍企業の代理人は、一口乗らないか、と」
「国家の奴隷になりたくないと憲法を変えて自分の所得と財産を守り」
「契約で他人の所得と財産を奪って奴隷にするリバタリアンか・・・」
「フベア。どうしたものかしら?」
青葉は、現地のお手伝いに聞いた。
「ご主人様。どうか、白人の誘いに乗らないでください」
「あの人たちは、酷い人たちです」
「でも、乗らなかったら、日本と日本人が敵と思われて攻撃されるし、木仁弥州も攻撃されるかもしれない」
「に、日本と日本人は、とても強いです。白人よりも・・・」
「残念だけど、まだ白人が強いのよ」
「「・・・・・」」
「一口だけ、乗っておくわ」
「大した配当にならないでしょうけど」
「多国籍企業から仲間はずれにされたり、敵と思われない方が都合がいいもの」
「既に敵と認識されてる気がしますが」
「それでも行動を躊躇させてくれるくらいの効果はあるでしょう」
「はい」
激しい物音と共にスコールが降り出す。
「ほんと、水は困らないわね。漠砂州と亜羅州に半分くらいあげたいくらい」
フィリピン
フィリピン軍と民族独立派の民衆が武装蜂起を起こし、フィリピンの大統領府と議会を制圧し、
独立派の一部がアメリカ軍の基地と、サナトリウムを攻撃した。
アメリカ軍が反撃するとフィリピンは、独立戦争へと移行していく、
フィリピン軍総司令部
「なぜ、サナトリウムと、アメリカ軍を攻撃した」
「一部の部隊の暴走と、興奮した民衆が扇動されたようです」
「馬鹿な・・・」
アメリカ空軍機がフィリピン軍総司令部に爆弾を投下していく、
総司令部が破壊され、衝撃で至るところが崩れていく、
「謀られたのかもしれません」
「ち、地下に潜るぞ。ゲリラ戦に切り替えろ」
「最悪を考えて、地下網を建設していて良かったですよ」
「日本人の言う事を聞いて正解でしたね」
「本当は、クーデターは、やめたほうがいいと言われていたのだがな」
「ソビエトと華僑から買った。対戦車ロケットとAKが救いですかね」
「なんにしても奴隷であるより、死を選ぶ」
イスラエルがシナイ半島に向かって侵攻を開始した。
奇襲作戦は、成功したかに見えたが、エジプト軍の反撃も苛烈を極め、
シナイ半島は、中央域で西のエジプト軍と、東のイスラエル軍に分断され、
戦線は、膠着状態に陥っていく、
エジプト軍総司令部
「やはり、日本人の忠告は、本当だったのか」
「それでも随分と攻め込まれましたね」
「部隊を増援していなかったら、シナイ半島全部を取られていたよ」
「漠砂州の日本軍が攻めてくるという噂は、嘘だったのか」
「漠砂州は1個師団しかなく、残りは守備隊と予備役ばかりと聞いてますから常識的に攻めてこないでしょう」
「そうだな」
冬の華厳の関
紅葉が舞い落ちて、雪がチラホラと落ち葉の上に降りていく、
総理官邸は、雪に強い斜面の角度が急な屋根で、
寝殿造りと神社建築が混ざった造りになっていた。
男たちが堀こたつの囲炉裏を囲んで、地酒を楽しみ、塩焼きの鮎を頬張っていた。
炭火で焼かれた鮎と団子がチリチリと音を立てていた。
ほどよく酔えたが、フィリピン独立戦争と、第二次中東戦争は気がかりだった。
「連盟でイスラエルのエジプト侵攻に対する非難決議」
「フィリピンからのアメリカ軍撤収への意見に傾きつつあるようです」
「しかし、国際連盟は加盟8割を超えないと決議が・・・」
「加盟7割くらいにしとくべきだったか」
「主要国は、アメリカとイスラエルの撤収に傾いてるんだが」
「中小国がな・・・」
「他人事だと金次第というのが民主主義の弱点だな」
「これから、アフリカ諸国が独立に向かうのも連盟の誘導のためのようです」
「金の力で連盟加盟国の多数を支配するってわけか」
「アメリカと張り合って、金を出し合っても損するだけだよ」
「だよね」
「そういや、フィリピンの独立戦争と、イスラエルの侵攻。木仙の警告は、本当だったな」
「相変わらず、凄まじい情報網だ」
「というより木が教えてくれたと」
「木ねぇ まぁ 話し半分でも信憑性があるな」
「しかし、あそこの血族は、みんな知っていたというじゃないか。どうなってるんだろうな」
「だから、木が教えてくれたと」
「次の代は、閨閥入りしてくれるのかね」
「まったく、それが全てとは言わんが、落ち着かんよ」
「どうなんでしょうね。孫が皆、才能を受け継いでたら脅威ですよ」
「そうだな」
「しかし、年頃の子供や孫を持つ者は、楽しみではある」
「閨閥入りの打診はしているのか」
「さぁ 両家とも、のらりくらりとかわしてるようで」
「子供に才能が受け継げられるのなら、結婚しなくても、娘くらい差し出してもいいが」
「才能を受け継がせるために特別な家庭を引き込んでると聞いてますよ」
「どうやって見分けるのかね?」
「さぁ 独特な嗅覚なのでは?」
「かもしれんが、フィリピンと中東がどうなるやら・・・」
「アメリカの動きが気になるが」
「ドイツも・・・」
「ドイツが介入するのか」
「ドイツはアラブ側。アメリカはイスラエル側ですからね」
「直接対決より、代理戦争でしょう」
「第二次世界大戦後、どこの大国も及び腰しなはず」
「フィリピンでは、中国とソビエトが独立軍側。アメリカがフィリピン政府側のはず」
「マニラ・コネクションは?」
「一応、避難してますが、森林資源は、大損害ですよ」
「やれやれ」
「それはそうと、ユダヤ資本と交流したのですが」
「一緒に組んで、日本民族を奴隷にしようと誘ってきましたよ」
「収入は、今の10倍になるとか」
「冗談じゃない、奴隷にするなら自国民だけで我慢しろと伝えとけ」
「ユダヤ人は、奴隷か、家畜としか思っていませんよ」
「日本資本なら、アメリカ人も奴隷にしてもいいとか」
「多民族国家は、発想が怖いの」
「多分、多国籍企業という形で全世界の労働者を家畜奴隷にする気なのでしょう」
「日本人は真面目だから、牧童くらいしてやるとか」
「ふっ 日本民族資本と産業の乗っ取りも見え見えだな」
「だが、アメリカが強大なことに変わりない」
「情報操作も俊逸だしな」
「国民の利益より利権か。利権に、こだわっていると各個撃破されるよ」
「しかし、こうして、田舎の華厳の関に引き篭もっていると、経済に惑わされずに済むのがいい」
「むしろ、木仙経由で、ユダヤ資本の意図が国民に広まってる方が助かるね」
「客家も漁夫の利狙いで手強いそうですよ」
「技術的には低いですが。国民を奴隷化してますからね」
「しかし、またぞろ、あの連中が参戦すべしって騒ぎ立てそうだな」
「追い出したい」
「国交がないといっても日本は連盟本部がありますし」
「正式な外交ルートから外国籍で入って来てるんだが」
「「「「・・・・」」」」 ため息
「なんにしても、戦争に巻き込まれるな。というのが基本戦略だ」
「各海外地の師団長に念を押しといてくれ」
「わかりました」
「しかし、弱腰と罵られませんか」
「日本は、内地か、海外地が、攻撃された時、以外、国軍を動かすつもりはないよ」
「売りたがりのマスコミのバカどもを押さえ込んでくれ」
「木仙一族が弱みを握っているのか、うまく押さえ込んでるようです」
「どういう、情報網なんだか」
「だから、木が教えてくれると」
南極大陸
50000t級バイエルン型砕氷艦 “バイエルン” “バーデン”
海外地を欲しつつもそれを達成できないドイツは、南極大陸に上陸した。
そして、ドイツ海軍の動きに呼応するかのように各国海軍も砕氷艦を建造し、南極開発に乗り出していく、
先行するドイツ南極派遣艦隊に日本海軍将校が随行していた。
「さむぅ〜」
「日本製の木綿、生糸、ガラス繊維は、保温性がよくて助かってますよ」
「確かに、日本製がないと辛いかもしれませんね」
「日本は南極開発に遅れ気味のようですが」
「なにぶん、海外地や国内投資に予算が使われてまして、20000t級砕氷艦がせいぜいですよ」
「まぁ ドイツは、海外地がなくて南極開発するようなものですから」
「ですが、10万人都市を建設するくらいの投資をするつもりですよ」
「ジーンリッチの成果も見れるわけですか」
「あはははは・・・南極じゃ ジーンリッチでも普通に凍えますよ」
「むしろ、補助機関の原子力機関が南極開発で有用でしょう」
「10000kw(7500馬力)級小型原子炉ですか」
「欧米の原子力発電所のものより小型ですが、安全性が向上してますし危険分散できます」
「なにより。潜水艦用で優れてますしね」
東京 国際連盟
「日本は国際連盟の本部理事国ニダ」
「・・・・・」
「国際連盟の本部理事国が、隣国の朝鮮共和国と国交断絶なんておかしいニダ」
「・・・・・」
「日朝国交を回復するニダ」
「・・・・・」
「なぜ、目を背けるニダ」
「・・・・・」
「なぜ、明後日の方向を向くニダ」
「・・・・・」 ため息
「まっすぐ前を見て、現実を直視するニダ!」
「・・・・・」 ため息
「朝鮮共和国は、独立国ニダ!」
「連盟本部常任理事国は加盟国と国交を回復する義務があるニダ」
「・・・・・」 ため息
「日本人は朝鮮人を差別してるニダ!!!」
「・・・・・」 ため息
「なぜ、大きなため息をつくニダ!!!!」
「・・・・・」 ため息
「もし、日本が朝日国交樹立しないなら、韓国は国際連盟を脱退して国際連合に行くニダ」
「本当に?」
「本当ニダ」
「是非、脱退してください」
「・・・・・」
「是非、連盟を脱退して、国際連合に行ってください」
「あ、あ、いや、そういう意味ではないニダ」
「では、脱退ですね」
「い、いや、今のは違うニダ」
「朝日国交樹立して欲しいという意味でいったニダ」
「いや、朝日国交樹立しないから、脱退していいですよ」
「違うニダ。違うニダ。朝日友好は、大事といっただけニダ」
「国際連盟は脱退しないニダ」
「・・・・・」 ちっ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
月夜裏 野々香です。
取り敢えず、フィリピン戦争と中東戦争を (笑
アメリカはフィリピン戦争に巻き込まれますが、
ドイツ、ソビエト、中国は、日本の真似をして高みの見物でしょうか。
仙堂春和(50) × 山城美奈(46)
仙堂一樹(28) × 仙堂(日吉)明美(24歳) 秋穂(5) 祐樹(2) 杏実(♀)
仙堂智樹(24) × 仙堂(佐藤)七海(19) 慶人(1)
烏丸彰人(26) × 烏丸(仙堂)加賀美(21) 佑都(1)
角浦秋和(50) × 日向奈美(44歳)
角浦芳樹(24) × 角浦(伊達)早苗(20) 和樹(3) 拓海(♂)
角浦冬樹(21) × 角浦(鈴木)和美(17) 亮太(♂) 亮治(♂)
椎葉豊彦(32) × 椎葉(角浦)青葉(28) 和哉(5) 桂治(2) 結衣(♀)
近衛師団
第01師団(東京) 第02師団(仙台) 第03師団(名古屋) 第04師団(大阪)
第05師団(広島) 第06師団(熊本) 第07師団(北海道) 第08師団(弘前)
第09師団(金沢) 第10師団(漠砂州) 第11師団(瑞森市) 第12師団(北欧道)
第13師団(姫路) 第14師団(蝦夷市) 第15師団(亜羅州) 第16師団(熊襲市)
第17師団(久留米) 第18師団(宇都宮) 第19師団(大連州) 第20師団(任那州)
第21師団(善通寺) 第22師団(木仁弥・赤道ギニア州) 第23師団(雲州・ビオコ島)
第24師団(小倉) 第25師団(高田/仙台)
第26師団(苅武市) 第27師団(大洋市) 第28師団(原亜州)
1926年 巨済島(400ku) 済州島(1845ku) 鬱陵島(72.82ku)
1926年 大連州(3462ku)
1930年 任那州 フォンセカ湾 ニカラグア領地コシグイナ(400ku)
1932年 任那州 フォンセカ湾(1200ku) 4カ国不戦条約により拡大
ニカラグア(400ku)+ホンジュラス(400ku)+エルサルバドル(400ku)
1932年 北欧道 カレリア地峡+フィンランド湾諸島 (6000ku)
スールサーリ島(21ku)、ラヴァンサーリ、大・小チュテルサーリ島他
1934年 任那州 中米7カ国不戦協定調印 (2400ku)
任那。ニカラグア、ホンジュラス、エルサルバドル。
コスタリカ、グアテマラ、パナマ、
フォンセカ湾(1200ku) 旧ニカラグア・ホンジュラス・エルサルバドル領
旧コスタリカ領 ココ(瓜生)島 (46.6ku)
ブリカ(中ノ鳥)半島 (753.6ku) 旧コスタリカ領(353.4ku)+旧パナマ領(400ku)
旧グアテマラ(沖ノ浜)領(400ku)
1935年 熊襲市 (400ku) 旧タイ王国領対マレー国境
1936年 蝦夷市 (400ku) 旧チリ領
1938年 漠砂州 (8万3860ku) 旧イタリア領リビア・ブトナン県
1939年 租界地 エストニア・イダ=ヴィル県(3364ku)50年
1939年 瑞森市 (400ku) 旧ブラジル・オランジュ域
1940年 亜羅州 (4039ku) 中東アラビア海
武山(むさん)半島 ムサンダル半島 800ku 旧アラブ首長国連邦・オマーン
和蔵(わくら)湾 アル・ワクラ湾 800ku 旧サウジアラビア・カタール
武矢(ぶや)島 ブビヤン島 863ku 旧統合イラク・クェート
佳(けしま)島諸島 1576ku 旧イラン
佳(けしま)島 ゲシュム島 1491ku
良久(らく)島 ラーク島 49ku
辺賀(へんが)島 ヘンガム島 36.6ku
1940年 租界地 ノルウェー・フィンマルク県(48618ku)
1941年 北斗市 北アイスランド西部の岬(400ku)
1942年 任那州 中米8カ国不戦協定調印 (2800ku)
任那。ニカラグア、ホンジュラス、エルサルバドル。
コスタリカ、グアテマラ、パナマ、メキシコ
フォンセカ湾(1200ku) 旧ニカラグア・ホンジュラス・エルサルバドル領
旧コスタリカ領 ココ(瓜生)島 (46.6ku)
ブリカ(中ノ鳥)半島 (753.4ku) 旧コスタリカ領(353.4ku)+旧パナマ領(400ku)
旧グアテマラ・メキシコ(沖ノ浜)領(800ku)
1943年 府穀市(800ku) タイ湾フコク島(561ku)+(対岸231ku) 旧ベトナム帝国・カンボジア王国
1945年 木仁弥(赤道ギニア)州(26034ku)+雲州(ビオコ)島(2017ku) 旧スペイン領
1948年 グアヒラ半島 苅武市800ku 旧コロンビア領+旧ベネズエラ領の国境 第26師団
1948年 グアヤキル湾 任那州 大洋市800ku 旧エクアドル領+旧ペルー領の国境 第27師団
1948年 パラグアイ流域 原亜州3200ku 旧パラグアイ領+旧ボリビア領の国境 第28師団
1952年 任那州 (8400ku)
任那(1200ku) フォンセカ湾 旧ニカラグア・ホンジュラス・エルサルバドル領 第20師団
瓜生島(46.6ku) 旧コスタリカ領 ココ島
中ノ鳥市(753.4ku) ブリカ半島 旧コスタリカ領(353.4ku)+旧パナマ領(400ku)
沖ノ浜市(800ku) 旧グアテマラ・メキシコ
蝦夷市 (400ku) 旧チリ領 第14師団
瑞森市(400ku) 旧ブラジル・オランジュ域 第11師団
苅武市(800ku) グアヒラ半島 旧コロンビア領+旧ベネズエラ領の国境 第26師団
大洋市(800ku) グアヤキル湾 旧エクアドル領+旧ペルー領の国境 第27師団
原亜州(3200ku) パラグアイ流域 旧パラグアイ領+旧ボリビア領の国境 第28師団
第35話 1955年 『国民へのバラ撒きこそ最善の財政』 |
第36話 1956年 『指の先に群がる蟻』 |
第37話 1957年 『国家安全保障と、国民社会保障は、両輪』 |