月夜裏 野々香 小説の部屋

日清不戦

 

 日清不戦の各国軍艦の背景です。

 当時の海軍事情を思えば、日本の明治維新政府が独立という立場を守るために必死だったということが良くわかります。

 他に選択がなかったのかもしれませんが、

 清国海軍が強力な軍艦を背景に清国水兵が長崎で暴れるといったこともありました。

 不平等条約を押し付けられた。

 明治維新後の日本は、欧米諸国だけでなく、清国にまで圧力を受けていたのです。

 もっとも、イギリスは、清国の戦艦『鎮遠』、『定遠』より大きな戦艦を持つ平然としていましたが、日本はそうもいきませんでした。

 日本が当時持っていた軍艦では、日本人を守ることが出来なかったのです。

 朝野を挙げて国防を考えたのは仕方がないことでしょう。

 たぶん、日本人の多くは海軍予算増大に反対できなかったはずです。

 非武装中立などとのたまう人間は、きっと刺されるでしょうから。

 これを捻じ曲げようと思えば、別の圧力が必要になります。

 少しばかり、薩長藩閥政治を弱体化させて、財界を強く、さらに陸軍と鉄道省が手を組みました。

 日本の予算の多くは産業基盤に投資され、

 陸軍も鉄道移動で有利とばかり、鉄道建設費の増大に賛成して、軍事費を先送りにさせます。

 これは、元々、海軍は、一般的な国民と意識が離れていたことがあげられます。

 普段から軍港に行くような民間人は、少数派でしょうから。

 そして、朝鮮半島での東学党の乱。

 朝鮮の維新という感じでしたが、日本の明治政府は介入したくても軍事力も金もなく。

 清国のみが介入して、あっさりと朝鮮半島を押さえてしまいます。

 日清戦争を経験しなかったことで、賠償金と戦闘経験がありません。

 西南戦争の経験は、一部で前時代錯誤になってしまい。人材上の問題が生じます。

 その代わり、日本の産業基盤は著しく向上してしまい。合理的な思考の持ち主が増加します。

 そして、清国。日清戦争が起きなかったことから、東アジアの雄としての立場を維持。

 欧米諸国から軍艦を買い続け、日露清はアジアの3雄として、延命します。

 

 

明治19年(1886年)8月 清国軍艦・『鎮遠』、『定遠』、『済遠』、『威遠』。長崎訪問

 

 清国日本訪問艦隊

    7220t級装甲艦 『鎮遠』 『定遠』 1884年ドイツ・フルカン社建造

       全長94m 速力15.7kt

        20口径305mm砲4門、150mm砲2門、35cm魚雷発射管3門

         装甲・水線部36cm、バーベット36cm

   2300t級防護巡洋艦  『済遠』  1885年ドイツ・フルカン社建造

      全長72m 速力16.5kt

        35口径210mm砲2門、150mm砲1門、38cm魚雷発射管4門

       装甲・バーベット36cm、甲板10cm

   1100t級木鉄交造スループ 『威遠』 1880年ころ清国福州造船所建造

      全長64m 速力11kt

       178mm砲1門、120mm砲6門

 

 

 中国留守艦隊

  1380t級巡洋艦  『超勇』 『揚威』  1881年イギリス・アームストロング社建造

     全長64m 速力16.5kt   254mm砲2門、120mm砲4門

 

 日本艦隊

  3717t級装甲艦  『扶桑』 1878年イギリス・サミューダ社建造

      全長67m 速力13kt  兵装239mm砲4門、170mm砲2門

       装甲・水線部23cm、砲廓20cm

  2200t級装甲コルベット  『金剛』、『比叡』 1878年イギリス建造

      全長67m 速力14kt  兵装170mm砲3門、150mm砲6門 装甲・水線部11.5cm

  1429t級装甲コルベット  『龍驤』  1869年イギリス建造

      全長65m 速力9kt  兵装165mm砲2門、140mm砲10門 装甲・水線部11.5cm

  3650t防護巡洋艦  『浪速』  1885年イギリス・アームストロング社建造

      全長91m 速力18.5kt  兵装260mm砲2門、150mm砲6門、36cm魚雷発射管4門

  1350t巡洋艦  『筑紫』  1883年イギリス・アームストロング社建造

      全長64m 速力16.5kt  兵装254mm砲2門、120mm砲4門

 

  

 は、ドレッドノート型戦艦です。

 前ド級戦艦との違いは、ド級戦艦1隻で前ド級戦艦2〜4隻ぐらいと撃ち合えるとでしょうか。

 これは、主砲の発射速度が増したことに起因しています。

 副砲の重量分を主砲に置き換えて艦上に並べられるようになりました。

 当然、人材、資材など費用対効果で工業力に比例して戦艦が大型化していきます。

 しかし、魚雷という新兵器が戦艦を脅かし、戦艦1隻での行動が制約されるようになります。

 

         

 

イギリス

日本

清国

ロシア

アメリカ

ドイツ フランス イタリア

 

戦艦

装巡

戦艦

装巡

戦艦

装巡

戦艦

装巡

戦艦

装巡

戦艦 装巡 戦艦 装巡 戦艦 装巡

1895

2

 

 

 

 

 

 

1

1

 

    1      

1896

2

 

 

 

 

 

2

 

2

1

           

1897

2

 

 

 

2

 

 

1

1

 

    3      

1898

3

 

 

 

 

 

1

 

 

 

1   2      

1899

1

 

 

 

 

2

3

 

 

 

    2      

1900

3

 

 

6

2

3

 

1

3

 

1   1      

1901

3

1

 

 

1

1

3

 

2

 

2       2 2

1902

5

5

 

2

1

 

 

1

1

 

4   1 2    

1903

5

8

6

 

 

 

3

 

1

 

1 1 1 4 1  

1904

5

6

 

 

-6

-6

3

 

1

 

3 1 1 5 1  

1905

5

6

 

 

 

 

1

 

 

5

2 2   3   1

1906

2+1

3

+7

+3

 

 

-7

-3

5

4

2   2   1  

1907

1

3

+9

+1

 

 

-9

-1

4

1

2 1 2 1 3  

1908

2+3

2

 

 

 

 

 

2

3

3

2 1 2 1    

1909

3

1

-2

 

 

 

 

 

 

 

  1   1    

1910

3

 

 

 

 

 

4

 

4

 

5         1

1911

4

 

-4

 

 

 

 

2

2

 

4   6 2   1

1912

8

 

-3

 

 

 

 

 

2

 

3          

1913

4

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5   2     1

1914

7

 

 

 

 

 

4

 

2

 

2   2     2

1915

5

 

 

 

 

 

2

 

 

 

3   2     2

1916

7

 

 

 

 

 

 

 

4

 

3   1     1

1917

4

 

8

 

 

 

1

 

1

 

1          

1918

 

 

 

 

 

 

 

 

1

 

           

1919

 

 

 

 

 

 

 

 

1

 

           

1920

1

 

 

 

 

 

 

 

1

 

           
1921                 2              
1922                                
1923                 2              
1924                                

 

各国軍艦状況

海軍力

 

 各国軍艦状況