月夜裏 野々香 小説の部屋

    

仮想歴史 『風が吹けば・・・』

 

 

 第01話 1908年 『皇帝ヴィルヘルム2世の心変わり』

 

 時間の流れと空間の広がりは均一ではなない。

 物体が光速に近付くほど、時間が遅くなる。

 また重力によって光と時間が歪められる。

 自然は、時空の歪みを許容する。

 しかし、その歪みを調整しようと僅かな時空バックシフト現象が起こる。

 それは、光速より速いと思われていた想念とか、思念を巻き込み時間軸を狂わせていく。

 

 この頃、ドイツ皇帝ヴィルヘルム2世は、海洋支配圏を得ようと、

 さらなる海軍増強、第3次艦隊法成立  ドレッドノート型戦艦建造を試み、

 イギリスに対し、建艦競争を仕掛けていた。

 

 !?

 1908年 “戦艦より、潜水艦”

 曖昧で不確かな精神波だった。

 しかし、不意の確信となって、1人の男を目覚めさせ、夢から起き上がらせてしまう。

 ドイツ皇帝ヴィルヘルム2世は、押し進めていた大洋艦隊建艦計画を自ら破綻させ、

 潜水艦と植民地への投機に切り替えた。

 前ド級戦艦22隻は、売却が決定し、

 その売却益が潜水艦艦隊の建艦と、植民地開発にも使われることになった。

 

 

 ロンドン

 ドイツ海軍の縮小と旧式艦売却は、イギリス建艦業界を冷え込ませてしまう。

 戦艦建造は軍需産業にとって都合が良かったのである。

 もっとも、植民地防衛のために必要なのは戦艦より、巡洋艦で、

 巡洋艦を建造できるのなら、イギリスは悪くなかった。

 「ドイツの戦艦は、どこが買うって?」

 「というか、買えそうなところだろう」

 「買うならロシア帝国だな」

 「あと南米諸国」

 「中国は?」

 「んん・・・」

 「日本は?」

 「日本ならイギリス製を買うよ」

 「前ド級戦艦を日本で捌けるのなら好都合だよ」

 「それは言える」

 

 

 02/18 日米紳士協約締結

 「日本人のアメリカ移民が制限か・・・」

 「余剰人口の行き先が消えたな」

 

 

 ドイツ帝国海軍基地ヴィルヘルムスハーフェン港

 ドイツ帝国でドイツ前ド級戦艦22隻のオークションが行われた。

 これが実績のあるイギリス製旧式戦艦であれば購入したがる国も多い。

 しかし、新興海軍国ドイツ製戦艦だと各国とも足踏みする。

 ドイツ大洋艦隊(ホーホゼーフロッテ)の終焉。

 オークション会場に集まった各国の代表者たちは、疑心暗鬼に陥り、困惑し戸惑う。

 結局、周辺国とのバランスだった。

 ロシア帝国代表が次々と手を上げる。

 ドイッチュラント型戦艦5隻。

 ブラウンシュヴァイク型戦艦5隻。

 ヴィッテルスバッハ型戦艦5隻。

 オークションは騒然とし、日本代表は、真っ青になっていく。

 

ドイッチュラント型戦艦 5隻
排水量 全長×全幅×吃水 hp 速度 航続距離
13191 127.6×22.2×8.22 16000 18 12kt/4800海里
40口径283mm砲連装2基 40口径170mm砲14門 450mm魚雷5基
ドイッチュラント、ハノーファー、ポンメルン、シュレジェン、シュレスヴィヒ・ホルシュタイン

 2500万マルク×5

 

ブラウンシュヴァイク型戦艦 5隻
排水量 全長×全幅×吃水 hp 速度 航続距離
14167 128×22×7.9 17000 19 10kt/5000海里
40口径283mm砲連装4門 35口径170mm砲14門 450mm魚雷5基
ブラウンシュヴァイク、エルザース、ヘッセン、プロイセン、ロートリンゲン

 2400万マルク×5

 

ヴィッテルスバッハ型戦艦 5隻
排水量 全長×全幅×吃水 hp 速度 航続距離
12798 126.8×22.7×8.2 15000 17 10kt/5000海里
40口径234mm砲4門 35口径150mm砲18門 450mm魚雷5基
ヴィッテルスバッハ、ヴェッティン、ツァーリンゲン、シュヴァーベン、メクレンブルク

 2300万マルク×5

 時代遅れの前ド級戦艦とはいえ、戦艦だった。

 ロシア帝国は、日露戦争で失ったロシア海軍の威容と威信を1300万ポンドで取り戻してしまう。

 

 

 さらに中国が資源・現物・山東半島の土地と交換で

 カイザー・フリードリヒ3世型5隻。

 ブランデンブルク型戦艦4隻。

 戦艦9隻を購入した。

カイザー・フリードリヒ3世 5隻
排水量 全長×全幅×吃水 hp 速度 航続距離
11599 125.2×20.4×8.2 14000 17 10kt/4500海里
40口径240mm砲連装4門 35口径150mm砲15門 450mm魚雷6基
フリードリヒ3世、ヴィルヘルム2世、ヴィルヘルム・デア・グロッセ、カール・デア・グロッセ、バルバロッサ

 2200万マルク×5

 

ブランデンブルク型戦艦 4隻
排水量 全長×全幅×吃水 hp 速度 航続距離
10013 115.7×19.5×7.8 9000 16 10kt/4500海里
40口径283mm砲連装2基 35口径283mm砲連装1基 35口径105mm砲6門 450mm魚雷6基
クルフュルスト・フリードリヒ・ヴィルヘルム、ブランデンブルク、ヴァイセンブルク、ヴェルト

 1600万マルク×4

 

 清国は、国内利権をドイツ帝国に売却することで清国海軍を曲がりなりにも再建する。

 元ドイツ戦艦9隻は旧式化しており、

 それ以上に清国海軍将兵の質が問われていた。

 日清戦争後、弊害とされた科挙制度は1905年に廃止されていた。

 にも関わらず古い慣習は、簡単に抜けきれず、新しい猟官制度も別の悪癖と置き換えられていた。

 結局、制度の問題以上に国民の良識、モラル、規律が組織全体に反映される。

 清国海軍は、黄海海戦の愚を犯すことを恐れ、列強海軍からの顧問武官を増やしていく。

 列強は、張り子の艦隊と計算しつつも、敢えて戦艦と砲撃戦を好む海軍軍人はおらず、

 清国は、東シナ海、南シナ海の制海権で覇を競えるようになり、

 清国は、一時的に国権回復が見込まれた。

 

 

 ヴィルヘルムスハーフェン港

 多くのドイツ人は、皇帝の心変わりを不安と期待を込めつつ話題にしている。

 そして、一般より先進性を持つ特定階層のドイツ人たちは、ほくそ笑んでいた。

 「潜水艦への切り替えは、ドイツの歴史を変えそうだな」

 「栄光への歴史ならいいけどな」

 「勝てるよ。潜水艦ならね」

 大西洋で旧式した前ド級戦艦でも太平洋だと、価値を保ち需要もあった。

 ドイツ帝国は、3億0400万マルク相当の金と資源、あるいは土地の権利を入手し、

 世界の軍事バランスを狂わせていた。

 

 

 06/30 シベリアでツングースカ大爆発

 

 07/23 オスマン帝国で青年トルコ人革命 オスマントルコ帝国崩壊の始まり

 

 大日本帝国

 日本は、日清・日露戦争を乗り切ったものの

 薩長藩閥政治が日本国民の反感を買いつつも継続し

 戦後政治も薩長優位で、大多数の日本国民の総意が反映されていないことから荒れている。

 いや、むしろ、日清戦争と、日露戦争の金融のインフレ、税制の収奪、財政の再配分で、貧富と地域の格差が広がったともいえる。

 そして、法も江戸時代と同様、日本国民の権利は、抑制され財産も所得も低いまま推移し、

 犯罪は増加しているせいか、治安も悪化している。

 

 無論、日本国民の総意が日本国民の利益になるかというと定かではない。

 それでも、才覚に関わらず薩長の人間が国家の中枢を占めるのが面白くなく。

 仮に憲法通りの政党政治が衆愚政治となったとしても、支配層の我田引水の結果なのである。

 

 そして、帝国海軍は、曲がりなりにも列強海軍として列強に認知されつつも、

 表層面に過ぎず、国家の総力を上げての軍需工場でさえ、

 列強の民間企業とようやく並ぶ規模に過ぎず、

 軍艦の心臓部である動力機関と砲口機構も、列強のモノを劣化模倣したモノでしかなかった。

 また、日本の資本力、開発力、科学力、技術力の水準は、質と量において劣っており、

 工作機械は、外国製であり、

 鉄道、船舶、自動車など、

 華やかに見える洋風家屋、産業基盤すら、

 江戸時代から続く蔵屋敷、長屋の中に浮かぶ借りものであり、

 近代化も、砂上の楼閣でしかなかった。 

 

 

 なんにしても、

 ドイツ帝国が清国に売却した戦艦群は、日本海軍を手古摺らせると計算され、

 ロシア帝国に売却したドイツ戦艦群は、日本海軍を打倒し得る可能性すら秘め。

 対応しなければならない日本の国内情勢は、借款先送りの軍事費で、財政破綻が目前で、

 ロシア海軍増強、清国海軍増強などの極東情勢の変化に合わせて軍拡しょうとするなら、間違いなく、破綻だった。

 そんなわけで、軍事的な対抗処置以外の腹案が求められていた。

 

 

 ガッシャンガッシャン ガッシャンガッシャン ガッシャンガッシャン

 ガッシャンガッシャン ガッシャンガッシャン ガッシャンガッシャン

 赤レンガの倉庫の鉄格子から漏れ出した騒音が朝の4時半から始まっている。

 年端もいかない女工は、紡績機を使い繊維を並べ引き伸ばして一本の糸にしていく。

 労働時間は、12時間二交替。交替無しだと17時間の労働を強いられた。

 賃金は異常に安く、紡績機を動かすほどに利益が出た。

 小作人の家など、娘たちを出し、家族は、その賃金でようやく食べることができた。

 

 人並な生活をする上で、衣類は重要だった。

 日本の軽工業は紡績工場から始まる。

 アメリカに生糸が輸出され、中国に綿織物が輸出される。

 生糸・綿織物産業は、日本が外貨を得る最大のドル箱で、

 消耗品たる女工たちは、ひたすら生糸を作り続けていた。

 

 そして、清国海軍、ロシア海軍の再建は、日本の紡績産業に暗い影を落としている。

 中国市場で不買運動が起これば、日本経済が万事休すなのである。

 無論、生糸をアメリカに輸出できた。

 しかし、アメリカが生糸を買うかは、アメリカ資本の気分次第で

 アメリカとの関係は、満州権益でのハリマン資本受け入れの反故に始まり。

 日米紳士協定による移民削減と、ホワイトフリートの威圧でも分かるように、

 アメリカの嫌日機運が高まりつつあった。

 生糸・綿織物は、外貨の道が塞がり始め、

 利潤を保とうと思えば賃金の値下げと、衣食住や労働環境の悪化に繋がった。

 工場で一人の女工がフラフラと倒れ、

 「さぁ・・・」

 「だ、大丈夫だから、わたし・・大丈夫だから、働かせて、お願い、お願い・・・」

 男子職員によって連れ出されていく。

 上司が残念そうに白い包みを男子職員に渡す。

 日本の紡績企業は、結核や病床の女工を療養させ養うだけの余裕はなかった。

 そして、病気だからと実家に帰そうとしても、

 元々が家の手伝いをするより楽で稼げるといわれている女工仕事だった。

 実家も、病人を抱えておくだけの余裕がなく、

 地獄でしかなく、居場所もなかった。

 家人に始末されるよりは、マシかも知れないと思われたりで・・・

 

 

 とある役所

 「日本艦隊は戦艦12隻。ロシア極東艦隊は戦艦15隻。清国海軍は戦艦9隻」

 「日清戦争と日露戦争で勝った権益が全部持って行かれそうらしい」

 「日本海軍の方が強いだろう」

 「日本戦艦の性能が少し上でも、露清で組まれたら負けるよ」

 「こりゃ 満州どころか、朝鮮半島の権益まで怪しくなるな」

 「いや、ロシアも大枚払って買い物したから、身動きが取れないはず」

 「どうかな、ロシア皇帝のポケットマネーじゃないの?」

 「まさか、皇帝が自分の私財を・・」

 「おーい 係長」

 「なんです? 課長」

 「ちょっと、税金を追加できるか、実地調査に行ってくれ」

 「増税ですか?」

 「んん・・・ 3パーセントだった税を自由民権運動で2.5パーセントに落としたが・・・」

 「もう、これ以上は、庶民が生活苦ですよ」

 「土地所有者に対して3パーセントだろう。小作人は違うだろう」

 「巡り巡って、小作人に掛ってくるんですよ」

 「だいたい、金持っていない農民に金で税金を支払わせること自体難しいというか・・・」

 「そういうな。取り敢えず。様子だけみてくれ。な」

 はぁ〜

 とある普通の村

 “オッペケペー 刃物で人を殺す犯罪者より、政治で人を殺す役人が憎らしい”

 自由民権運動の立札が村の入口に立っていた。

 村は、地主と小作人の共同権益地で、

 理想的な関係を保っている地主と小作人は結束が固い。

 村人が敵意ある視線を役人に向ければ、その村の地主と小作人の関係は良好で、

 村人が助けて欲しそうな視線を向けるなら、その村の地主と小作人の関係は悪いということになる。

 とはいえ、地主も分断工作で、エタ・ヒニンなど、特定の小作人を搾取していたり、次男以降を搾取したり。

 共同体の体制も色々、

 「今年は、豊作のようだ」

 「ひとまず安心ですかね」

 「この村だけが豊作なら、この村も嬉しいだろうな」

 「係長・・・」

 「本当のことさ、全国が豊作だと努力しても買い叩かれる」

 「全国が不況なら米が高く売れて、子供に氷菓子くらい食べさせられる」

 政府の役人といえど、収入をピンハネに来る余所者で、敵意丸出しで見られたりする。

 税を上げれば、それこそ、政府と地主群との戦争にもなりかねず・・・

 因みに “オッペケペー” は、演歌の元祖に当たる節であり、

 農村コミュニティーが団結しての抗政府の気骨にも取れ、増税に反対する旗印になっている。

 「すげぇ〜 ここら一帯、全部、地主の所有かよ」

 それでも、役人たちは、泥棒を見るような村人の視線に晒される。

 「・・・露清連合が懸念されているというのに、こりゃ 先が思いやられるよ」

 「村長は・・・ あの一番大きな家だよな」

 「ええ」

 

 村長は憮然とした表情を役人に見せる。

 村長の子弟がより良い教育を受け、役人になっていたりするので、

 明治新政府の政策や意向が伝わるかというと、そうもいかない。

 数々の妥協と打算によって、最善と思える政策も捻じ曲げられる。

 もっとも、誰にとっての最善かは、強い者というほかなく、

 最大公約数的な利益が民主的とは限らないとも言える。

 「何の様で?」

 「え、あああ、学校建設のことで御相談に上がったのですが・・・」

 「どうせ、タダで土地をむしり取ろうと思っているのだろう」

 「あははは・・・ まさか、まさか」

 「土地は渡さ〜ん!!!」

 「うぁああ〜」

 ひゅ〜ん 杖が空を切る

 「いや、そういうわけでは・・・」

 「うるさい、子っぱ役人が、出て行け〜!!」

 ひゅ〜ん 杖が空を切る

 「えい!」

 ごつっ!

 ぐっ!

 「「あっ おやじ!」」

 「ったくぅ〜 話しをしに来たんだから・・・」

 「よし、親父の土地は、俺のもんだ」

 「何だと、俺にもよこせ」

 「お前は家から出て行け!」

 「な、なにお ずるいぞ!」

 どたばた どたばた どたばた 

 「おいおい、気を失ってるだけだって」

 「お前ら、子っぱ役人は出て行け!」

 「だから、そうじゃなくて、学校建設・・・」

 「おら〜!」

 「チェスト〜!」

 「えい!」 × 2

 ごつっ! × 2

 ぐっ! × 2

 「「あっ! 親方! ぼっちゃん!」」 村人たち

 「やれやれ」

 「よ〜し みんなで土地を分ける〜ぞ」

 「「「「「おぉおおおーーー!!!!」」」」」

 「おいおい、気を失ってるだけだろう」

 「よし、おれは、あそこの土地だ」

 「ばか、あそこは、俺んだ」

 「何を言う、あそこは!」

 どたばた! どたばた! どたばた! 

 「やめんか!」

 「うるさい、子っぱ役人が! 村から出て行け〜!!」

 「やかましい!!!!! 全員、しょっぴくぞ!!!!!」

 「「「「・・・・・」」」」

 『課長、この土地、取っちまいましょうか』

 『いや、そりゃ まずいって』

 『しかし、税収になれば栄転も・・・ご決断を』

 「駄目だ」

 「ちっ!」

 「なっ ちっ! てなんだ。なにが、ちっ! だ」

 「・・・・」

 「ったくぅ〜 どいつもこいつも・・・」

 はぁ〜〜〜!

 

 

 窓の外で清国海軍とロシア帝国海軍再建の号外が出され、

 民衆が騒ぎ始めていた。

 喫茶店

 男たちが新聞を見つつ、高価なコーヒーを飲んでいた。

 「明治維新も時の彼方、明治も41年というのに、未だ、列強の末席か」

 「日清日露で日本の国威を示した割にはね」

 「ドイツ帝国が戦艦を清国とロシアに売却しただけで、極東アジアの勢力図が引っくり返る」

 「日本の国力を過信すべきじゃないよ」

 「所詮、生糸・綿織物、紡績産業で稼いだ外貨で買った戦艦で戦争しただけじゃないか」

 「アジア諸国と比較すれば近代化の模倣できるだけマシ。それだけに過ぎないよ」

 「しかし、どうしたものか・・・」

 「戦艦を買った費用を国民に頭割だろう、もう、金はないぜ」

 「日本人の大半が労働者と小作人になってしまうな」

 「地主に生殺与奪権を奪われ、生かさず殺さずの小作人は希望すらないよ」

 「それは地主次第だろう」

 「ああ、戦艦の購入費を頭割させられる地主の考えることなら、容易に想像つくさ」

 「小作料を値上げすれば、小作人は一家心中」

 「小作料を上げなければ、地主が持ち崩しか」

 「光を強くしようとすれば、影はより強くなる」

 「戦艦を建造しようとすれば、日本人は総小作人だな」

 「このまま、軍事色が強まれば、貧民層は拡大」

 「対外向けの軍隊から反乱鎮圧向けの軍隊になるし」

 「男は兵隊、女は外国人向けの身売り女郎行きだよ」

 「秩父事件以降、大きな一揆がないのが救いだがね」

 「村の結束が低下して、団体じゃなく、個人の犯罪として処分しているんだろう」

 「結局、弱い者苛めか・・・」

 「金本位制じゃ 庶民に必要な貨幣経済ができないな」

 「こればっかりは、藩閥政治でも、護憲運動でも、どうしようもないか」

 「明治維新と西南戦争で武士が持ち崩して、近代化で地主と小作人との貧富の格差も広がっている」

 「資本家の搾取は大きく、地主さえも一寸先は闇で、守銭奴になりつつある」

 「まぁ 資本家にすれば法外で煩い殿様がおらず。日本人の労働を安く買い叩いて、産物を外国に売れば、濡れてに粟」

 「面白いからやめられないだろうがね」

 「間接的にだがね。女工に悲惨な生活を強いているのは、高い買い物をしているからだろうな」

 「それはどうかな。資本家が望むのは、タダの金もうけでなく、貧富の格差だ」

 「そして、支配層も金儲けがしたいわけじゃなく、貧富と地域の格差を利用した支配だからね」

 

 

 

 日本海軍

 前ド級戦艦12隻

   香取、鹿島、三笠、朝日、敷島、富士、壱岐、丹後、相模、周防、肥前、石見

 巡洋戦艦2隻

   筑波、生駒

 装甲巡洋艦9隻

   春日、日進、出雲、磐手、吾妻、八雲、常盤、浅間、阿蘇、

 極東最大の艦隊戦力だった。

 とはいえ、大日本帝国は、日露戦争後、金策が尽きており。

 再建されつつあるロシア帝国海軍と戦う力はなかった。

 絶望的な国際状況の中、日本政府は、国防を達成するためイギリスとの同盟強化。

 そして、対ロシアに備えて、アメリカと政治的な妥協をするしかなかった。

 佐世保で爆沈した三笠の修理が終わり、再就役が行われていた。

 赤レンガの住人たち

 「三笠の再就役でほっと一息したと思ったら、ロシア帝国は海軍力を再建か・・・」

 「下瀬火薬の管理は、難しいのでは?」

 「戦う前に自沈では、泣くに泣けんな」

 「それより、爆沈は、人災ではないだろうな」

 「「「「・・・・」」」」

 「日露戦争後で良かったな。日露戦争前だったら総崩れだった」

 「時代遅れの前ド級戦艦15隻など、ド級艦5隻にも及ばんよ」

 「まるで、ポケットにド級戦艦を持っていそうなセリフだな」

 「・・・・」

 「大西洋で旧式前ド級戦艦でも、太平洋だと大きな戦力だ」

 「しかし、ドイツもやってくれた」

 「費用対効果なら、太平洋に回航する方が良いに決まってる」

 「日本は、戦艦薩摩、安芸、河内、摂津。巡洋戦艦は鞍馬 伊吹を建造している」

 「中途半端だな」

 「イギリスにド級戦艦を発注するのだろう」

 「金は?」

 「赤字国債で借款を後孫先送り」

 「アホか」

 「このまま、制海権を失えば、大陸どころか、半島の利権まで失って、日本は滅ぶぞ」

 「ふ 半島を占領されたら自動的に日本列島が占領される世迷言と似てるな」

 「ド級艦と半島が欲しい願望が言わせたんだ。真に受けるやつがバカなんだよ」

 「日本人は農民ばかりで考える力が弱いから。上が言い張れば、そうなると思い込むよ」

 「しかし、ウラジオストックに前ド戦艦15隻が配備されると困るな」

 「まさか全部配備することはないだろう」

 「それは、ロシア皇帝ニコライ2世が決めることだよ」

 ロシア海軍の増強

 日本海軍は、進水させていた薩摩、安芸の建造を一旦、中止する。

 既に2隻とも進水させておりドックを塞ぐ事はなかった。

 事態の急変に対し、より強力な改装が求められていた。

 

 

 09/27 アメリカ合衆国でフォードのT型車完成

 

 10/05 ブルガリアがオスマン帝国から独立宣言

 

 10/06 オーストリア・ハンガリー帝国がボスニアとヘルツェゴヴィナを併合

 

 

 上海港

 清国海軍が再建され戦艦9隻が浮かんでいた。

 11599トン級カイザー・フリードリヒ3世 5隻

  フリードリヒ3世、ヴィルヘルム2世、ヴィルヘルム・デア・グロッセ、

  カール・デア・グロッセ、バルバロッサ

 

 10013トン級ブランデンブルク型戦艦 4隻

  クルフュルスト・フリードリヒ・ヴィルヘルム、

  ブランデンブルク、ヴァイセンブルク、ヴェルト

 

 そして、もう一つ、巡洋艦サイズの艦艇。

 清国は、沿岸及び河川砲艦としてジークフリード型海防戦艦を購入。

ジークフリード型海防戦艦 8隻
排水量 全長×全幅×吃水 hp 速度 航続距離
3741 86.15×14.9×5.46 5000 15 10kt/3500海里
35口径240mm砲3基 30口径88mm砲10基   450mm魚雷3基
ジークフリード、ヒルデブラント、ヘオウルフ、ハーゲン
フリッツヨフ、ヘイムダール、オーディン、エーギル

 海防戦艦は、揚子江や中国沿岸を遊弋しており、

 日本と欧米列強の商人は、脅威を感じることになった。

 そして、慌てたイギリスは、旧式の戦艦を香港に配備するほどだった。

 

 清国は、海軍再建で国家の威信を回復させ

 日露欧米列強の中国植民地化計画を御破算にさせてしまう。

 特に深刻な事態に陥ったのは日本で

 日清戦争と日露戦争の復讐に燃える、清国とロシア帝国の連合は悪夢でしかなく、

 日本全国を震撼させている。

 ドイツ帝国青島権益地は、戦艦売却利権によって、山東半島全域に及び、

 清国でのドイツ帝国の発言力は大きくなってしまう。

 見方を変えれば、中国官僚の壮大な売国行為と言えた。

 とはいえ、ドイツ戦艦を買い、山東半島を売却するすることで、欧米列強の清国植民地化を後退させ、

 残りの国土を安泰させたわけで、中国国内も賛否があった。

 

 

 ドイツ領 青島 (1898年 〜 1997年)

 膠州湾口両岸(552ku)の陸地・島嶼を99ヶ年租借し、

 周囲50kmを中立地帯としていた。

 山東鉄道 (膠州湾−斉南) 敷設権。

 坊子・筈川の石炭採掘権。

 金嶺鎮の鉄鉱採掘権。

 山東省のドイツ商工業者の優遇。

 そして、

 旧ド級戦艦24隻は、3800万ポンド(3億0400万マルク)

 海防戦艦8隻は1000万ポンド(8000万マルク)で売却され、

 その対価の利権と資本が青島を含む植民地に投下されていた。

 20000トン〜25000トン級貨客船が膠州湾に入港し、物資を降ろしていた。

 そして、高台に50口径283mm連装要塞砲が高台に建設され、

 駐留ドイツ軍も増強されていた。

 青島の第4代総督オスカー・トゥルッペルは、旧式戦艦のロシア・清国売却に不満だった。

 中国海軍の圧力も少なくなく、

 極東ロシア海軍も信用できると言い難かった。

 青島は、中国艦隊、日本艦隊、ロシア艦隊の中に取り残される。

 例え、ドイツ海運が世界有数でも、海運船舶を守るのは海軍艦艇だった。

 海軍を縮小されては、海運業投資も鈍るというもの・・・

 「総督、ロシア太平洋艦隊です」

 上から白、青、赤の横三色旗がはためいていた。

 「本国で、あの艦影を見て心を躍らせたというのに、いまは、脅威しか感じないな」

 ロシアに売却した戦艦15隻は、ウラジオストックに向かう途中、

 補給で膠州湾に停泊する。

 

 青島は、ドイツ艦隊の庇護を受けられず孤立しつつある。

 とはいえ、今回の前ド級戦艦売却劇でドイツ帝国の清国に対する発言力は増大。

 青島権益は、威海衛を除く、山東半島全域(40000ku)に広がっていた、

 山東半島は、2億マルクが投資され、

 さらに数千万マルクが投資されようとしていた。

 「それで、陛下は戦艦の代わりに潜水艦を配備すると?」

 「はい」

 総督は海の物とも山の物とも知れない艦種に呆れる。

 「総督。日本の外交次官との会談の時間です」

 「そうか、黄色いサルどもがいまさら何をいうのかな」

 

 

 ウラジオストック港 ロシア極東艦隊

 13191トン級ドイッチュラント型戦艦5隻、

   ドイッチュラント、ハノーファー、ポンメルン、シュレジェン、シュレスヴィヒ・ホルシュタイン

 14167トン級ブラウンシュヴァイク型戦艦5隻、

   ブラウンシュヴァイク、エルザース、ヘッセン、プロイセン、ロートリンゲン

 12798トン級ヴィッテルスバッハ型戦艦5隻、

   ヴィッテルスバッハ、ヴェッティン、ツァーリンゲン、シュヴァーベン、メクレンブルク

 前ド級艦ながら戦艦15隻は、対馬海峡を悠々と通過し、

 ウラジオストックに入港する。

 もうすぐ来訪するであろうアメリカ海軍のグレート・ホワイト・フリートと合わせ、

 大日本帝国は、上え下えの大騒ぎとなっていた。

 

 

 日本 横浜港 (1908年10月18日〜10月25日)

 グレート・ホワイト・フリート 戦艦16隻が入港していた。

 アメリカ・ホワイトフリート艦隊

  第一群

   16000t級コネチカット、カンザス、ミネソタ、バーモント、

   14948t級ジョージア、ニュージャージー、ロードアイランド、ネブラスカ。

  第二群

   16000t級ルイジアナ、

   14948t級バージニア、

   13500t級ミズーリ、オハイオ、

   12150t級ウィスコンシン、イリノイ、

   11540t級キアサージ、ケンタッキー。

 

 

 小村・ハリマン契約調印。

 ハリマン資本に南満州鉄道株60パーセントが売却される。

 第二次日比谷暴動

 小村・ハリマン契約の抗議集会だった。

 日本政府は警察を増員して鎮圧していく。

 政府関係者たちが暴動の様子を眺めていた。

 「やれやれ、ホワイト・フリートを見た後でもこれか・・・」

 「随分、簡単に扇動されるな。覇気と狂気の違いも分からんとは・・・」

 「満州鉄道利権は大きいし、扇動してる連中もいるからな」

 「どうしたものか、軍需は威勢が良く、民衆を利用しやがる」

 「まったく。軍需に国際バランスの感覚がないのも考えものだな」

 「暴動している民衆は、どちらかというと国権に対する鬱憤じゃないのか」

 「民権が強くなったからと言って、日本国内から鉄鉱石と石炭が採れるわけなかろう」

 「つまり、対外的な圧力は変わらない」

 「それどころか、露清連合の可能性すらある」

 「日英同盟と露清連合で戦争なんて事になったら」

 「それこそ、世界中を巻き込んで戦争になりかねんよ」

 「そうなれば、日本の存亡にもかかわってくるな」

 「日本がどれほど脆弱な国なのか知らないのだ」

 「むしろ、背伸びのし過ぎで倒れそうな見方もあるがね」

 「憂さ晴らししたい民衆はともかく、軍需は、金儲けしたいだけ」

 「どっちも、井戸の中の蛙だよ。子供のダダに付き合っていられるものか」

 「もう、資本はない。扇動されている民衆は、さらなる重税を掛けて欲しいのかな」

 「重税で満州鉄道保持か、売却か」

 「デモクラシーがいいのなら、国民に選択を突き付けるのも悪くなかろう」

 「軍需が国民の正気を恐れて、暴動を扇動している節もあるがね」

 「軍需が欲しているのは理性的な選択じゃなくて、スケープゴートじゃないのか」

 「むかしから無知で単細胞な人間を人身御供で慰めてたからね」

 「鬱積の捌け口か。小村には、悪い事をしたからな」

 「出来れば、軍需は慎みを、民衆に知性を求めさせたいね」

 「農民が知性的になると権力者が地位を保てなくなるよ」

 「権力者より頭が良くなると困るのは、事実だがね。暴動は困るよ」

 「しかし、これほど満州利権に執着するとはね。浅ましい限りだ」

 「日清日露戦争で出兵した子供を殺された人間は多いからな」

 「代償を求めたくなるのは当然だな」

 「やっぱり外征すべきじゃないな。外征は戦利品を求めさせる」

 「しかし、ロシアに日本本土を攻撃させるのは、面白くないぞ」

 「とりあえず、ハリマンが南満州を守ろうとするだろう。それで十分だ」

 

 10/24 日本統治下の台湾で縦貫線基隆・高雄間が全線開通

 

 10/26 露清連合

 露清共同声明

 “日清・日露戦争における日本の権益は不当であり”

 “ロシア帝国と清国は、アジアにおける日本の野望に対し、結束するものである”

 北京 紫禁城

 ロシア人たち

 「光緒帝と西太后の具合は、良くないようだ」

 「次は、愛新覚羅溥儀が皇帝になるのか」

 「どうかな。西太后が亡くなれば、地方軍閥と宦官で権力闘争だ」

 「清国海軍再建で清国の主権は、持ち直したのでは?」

 「さぁてぇ どうかな。清国の病巣は突けば噴き出すようなものだ」

 「少なくとも露清連合で日本に圧力をかければ、日本は自滅する」

 

 

 日本首相官邸

 「イギリスは何と?」

 「イギリスもアジアに国運を賭けるつもりはないのだろう」

 「どうやら、最悪の事態となりそうだ」

 「では・・・」

 「露清連合との戦いは避けて欲しいそうだ」

 「それでは、戦わずして、日本は・・・」

 「自由民権運動が強まっているとしてもだ」

 「まだまだ、薩長藩閥政治は続いている」

 「政党政治で柔軟な政策決定が利かなくなる前に・・・」

 「では・・・」

 

 

 Uボート 艦橋

 「ザイドリッツは建造したかったかな」

 「潜水艦を建造できるのなら、戦艦も巡洋戦艦もいりませんよ」

 「皇帝は、1000トン級、1500トン級の潜水艦150隻を考えているらしい」

 「それだけ建造すると建造費は、戦艦15隻分を越えますね」

 「潜水艦は、1t当たりの建造単価が高いからな」

 「しかし、人件費に換算すると維持費が少なくて済む」

 「戦艦部隊の乗員を潜水艦にですか?」

 「前ド級戦艦は、ロシアに売ってしまったからな」

 「売却した前ド級戦艦は、どうなりますかね?」

 「日本に復讐したがっているロシアが極東に持って行っただろう」

 「でも、せっかく建造した戦艦を売ってどうするんですかね」

 「植民地投資じゃないか、要塞を建設するらしい」

 「植民地は搾取するものだと思いましたが?」

 「たぶん、カナダとか、豪州のようにしたいのだろう」

 「ヴィルヘルム2世皇帝は、なんで気を変えたんですかね・・・」

 「さぁ〜」

 

 11/14 清で光緒帝が崩御、翌日には最高権力者であった西太后も崩御

 

 12/02 愛新覚羅溥儀が清の皇帝に即位

 

 

 12/08

 薄雲の下、

 ベルリンは、白銀に覆われ、シュプレー川も凍っていた。

 ベルリン王宮

 日本人の全権委任大使一行は、不遜なドイツ人の視線に晒され、

 憮然としつつ謁見に向かう。

 「皇帝ヴィルヘルム2世がどう出るか・・・」

 「髭皇帝の黄禍論の対象は、中国と言えるし、日本も含んでいるとも言えるし、微妙だな」

 「皇帝の性格はともかく、政治の実権は議会に移っている」

 「根回しは、ある程度済んでいるし、取引は、悪くないはずだ」

 「日本の方が問題だな。大騒ぎだ」

 「大騒ぎなのは、露清連合だと思うよ」

 「ふっ ドイツ皇帝も後悔するだろうな。ざぁまぁみろ」

 「まだ上手く行くとは限らないだろう」

 「まぁね」

 

 ドイツ帝国の清国、ロシア帝国へ戦艦24隻売却によって、

 日本は、再建されるロシア帝国ウラジオストック艦隊と清国上海艦隊への対処を求められた。

 日本の制海権は危機に晒され、

 朝鮮半島・中国大陸の権益は、維持が困難になってしまう。

 そして、差し迫る人口増加の捌け口も求められ・・・

 「・・・・」

 皇帝ヴィルヘルム2世は、髭を捻りつつ、

 日本外交団の提案に目を輝かせ・・・

 「・・・面白い」

 と、呟いた。

 

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 月夜裏 野々香です

 ドイツ帝国

 日露戦争後、列強各国は戦艦の持つ力を意識し始める。

 それは海外植民地を守るため、

 もう一つは、海外の植民地に圧力を加えるためだった。

 ドイツ皇帝ヴィルヘルム2世と、

 海軍大臣アルフレート・フォン・ティルピッツは、いけない夢を持ち始める。

 それは、陸軍国家が持ってはならない願望であり、

 ドイツ帝国を滅ぼした夢だった。

 1898年、第1次艦隊法成立。ドイツ領海を防衛するための艦隊整備法案。 

 1900年、第2次艦隊法成立。イギリス海軍に対抗する艦隊建設法案。

 1906年 ドレッドノート戦艦建造

 史実の変更は、この時期 “戦艦より、潜水艦”

 

 1908年、史実では、第3次艦隊法成立  ドレッドノート型戦艦建造。

 戦記では不成立

 

 

 ドイツ海軍残存主力艦隊。

ナッサウ型戦艦 4隻
排水量 全長×全幅×吃水 hp 速度 航続距離
18570 137.7×26.9×8.1 22000 19.5 10kt/8000海里
45口径283mm砲連装6基 45口径150mm砲12門 450mm魚雷5基
ナッサウ、ヴェストファーレン、ラインラント、ポーゼン

 

 

フォン・デア・タン型巡洋戦艦 1隻
排水量 全長×全幅×吃水 hp 速度 航続距離
19370 171.7×26.6×8.91 43600 24.8 10kt/8000海里
45口径283mm砲連装4基 45口径150mm砲10門 450mm魚雷4基
フォン・デア・タン

 

 

モルトケ型巡洋戦艦 2隻
排水量 全長×全幅×吃水 hp 速度 航続距離
22979 186.5×29.5×8.98   25.5  
50口径283mm砲連装5基 45口径150mm砲12門 500mm魚雷4基
モルトケ、ゲーベン

 

 1912年 第4次艦隊法成立  ドイツ海軍増強計画  この戦記では不成立

 

 この戦記では、1908年、1912年のドイツの艦隊法が破綻してしまいます。

 ヘルゴラント型戦艦4隻以降

 カイザー型4隻、ケーニヒ型4隻、バイエルン型4隻の建造中止。

 

 

1914年8月戦争勃発時の戦力 (日清露は1908年)
  史実 戦記 戦記 戦記 戦記 史実
  ドイツ ドイツ 清国 極東ロシア 日本 イギリス
巡洋戦艦 4 3     2 9
ド戦艦 14 4       20
前ド戦艦 22 0 9 15 12 39
海防戦艦 8 0 8      
装甲巡洋艦 7 7     9 34
小型巡洋艦 12 12     10 64
駆逐艦・水雷艇 89 48     38 301
Uボート 19 80       65
             

 

 

 さてさて、日露戦争後、史実と違って、鬱展開です。

 とはいえ、絵を描いたことが御有りでしたら、理解されやすいと思いますが、

 絵は、光と影で描くものとか、

 水墨画は極端な例です。

 良い絵は、光と影の調和が上手く取れているものといえます。

 日本の近代化に栄光があれば、影の部分も出てくるわけです。

 貧富の格差は、広がり、

 戦前の犯罪は、現代の犯罪より酷かったり、

 絹織物、生糸でどれだけの光を出せるか、でしょうか。

 

 

 

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仮想歴史 『風が吹けば・・・』

第00話 プロローグ
第01話 1908年 『皇帝ヴィルヘルム2世の心変わり』
第02話 1909年 『波 及』