月夜裏 野々香 小説の部屋

    

仮想歴史 『風が吹けば・・・』

 

第04話 1911年 『満韓喘惜(まんかんぜんせき)』

 02/21 日米新通商航海条約調印

 日本の関税自主権が回復される。(小村寿太郎)

 東京 首相官邸

 「関税自主権回復か。ようやく、独立国らしくなったよ」

 「そうそう、自分の国で関税を決めさせないなんて、アメリカって酷いよね」

 「やっぱり、関税自主権回復の理由は、満州情勢が微妙だから?」

 「まぁ 守銭奴でも日本と友好関係を維持したいだろうよ」

 「シベリア鉄道を使えるドイツの方が極東で有利かな」

 「んん・・・そうだな。パナマ運河が開通するとアメリカ有利」

 「その前に極東ドイツで足場を作れば領土が大きいから」

 「ドイツ有利なままじゃないかな」

 「しかし、中国大陸から撤収させられると、欧州と直接取引もしたくなるな」

 「クーデンホーフ・光子伯爵を通じて、通商を行ってはどうでしょう」

 「んん・・・大型客船を建造すれば、貿易もしたくなるからな」

 

 

 大日本帝国、帝国議会

 日清・日露と戦争が続いたことで増強増大した大日本帝国陸海軍も戦後軍縮は免れない。

 とはいえ、軍縮は、仲間を追い出す事であり、

 もっともやりたがらないことと言えた。

 「・・・よって、大日本帝国の安定と発展のため海洋省と工業省の創設・・・」

 「反対! 客船の収入は、獲らぬ狸の皮算用であり」

 「不良官僚と特定産業の癒着と税金の無駄使いを招くと思われる」

 「そうだそうだ」

 「国防じゃ 外資が入って来んだろう」

 「それに食管予算じゃ 国政はじり貧だ」

 「国家が拝金主義に走ってどうする。国家安寧こそ、国益」

 「バカを言うな、国民の衣食住こそ生活の礎だろう」

 「生活の礎に予算を掛けるのが国家の仕事」

 「大陸利権から追い出されたんだから、外資を得るには船を建造しないといかんだろう」

 「そんなの海軍省で統括すればよかろう」

 「いやだ。どうせ海軍は大砲載せたがるに決まってる。食管予算がマシ」

 「そんな事はない」

 「そういう嘘をついて、さらに誤魔化すから国がおかしくなるんだ」

 「嘘なんかつくか」

 「ていうか客船がいるんだよ」

 「いや、工業化は電力だから、水力発電所を建設すべきだ」

 「いや鉄道」

 「お前らがポストを一杯欲しがってるだけじゃん」

 「国益だよ」

 「嘘を付け」

 「失敬な」

 「海運省と工業省を創設するなら、陸軍は愛国鉛筆の専売を要求する」

 「何でやねん!」

 「じゃ 海軍省は愛国ノートと愛国消しゴム」

 「バカか」

 「しかも、なんで二つ」

 「世知辛いから、ボーナスくらい欲しい」

 「ていうか、なんで鉛筆会社と結託する?」

 「やめんか! 鉛筆も、消しゴムも、ノートも文部省だろうが、この泥棒」

 「既得権に居座るなー!」

 「何だと!」

 「だいたい、いまどき、愛国なんて彫ったもん、使うか、恥ずかしい」

 「いや、箱に小さく書くから」

 「ていうか、税金は国税一本だ。官僚が勝手に税金取るな」

 「国税の一般会計を待ってたら、こまごまとしたサービスができんやろう」

 「国民へのサービスを円滑にするには年越し累積予算や柔軟性の高い特別会計が必要や」

 「嘘つけ、いま、ボーナスっていただろう」

 「言うとらんわい!」

 「「「「言ったやんけ!!!」」」」

 「ていうか、海軍にどういうこまごまとした国民サービスがあるんだ?」

 「どうせ、監査逃れの安定収入で左団扇に入るつもりだな」

 「いや、付加価値の高い国民サービスだから・・・」

 「じゃ 海運省は、海運愛国酒を」

 「あっ ずるい!」

 「じゃ 工業省は、日本の夜明け愛国タバコ」

 「ながっ!」

 「いや、そもそも、夜も寝んで考えたのに、おまえら、真似するな」

 わいの わいの わいの

 わいの わいの わいの

 「もう死ね! お前ら!」

 退役軍人は、食管予算で受け皿が作られたことで、農民への転向が進んでいた。

 金本位制の放棄と管理通貨制度への移行、

 食管予算による消費産業の拡大と、

 積極財政による公共投資が行われた結果、軍隊の縮小も進んでいく、

 もっとも、分母の農民が増えると、分子の食管予算は減る。

 農民は、貪欲に食管予算の追加を求め、古巣の予算を縮小させたのだった。

 

 

 北海道

 「小麦は、いま一つな気がするな」

 「小麦は病気に強いと思ったがな」

 「病気に強くても、天候に強いとは限らない」

 「ドイツ人もアメリカ人も麦が好きなんだぞ」

 「麦は、三半島と満州で作るんじゃないのか」

 「食料生産が軌道に乗るまで、食料生産需要があると思うけどな」

 「ホップは行けそうだけど?」

 「ホップはな・・・食えねぇ」

 「日本人が餓死しても消費作物は作ってただろう」

 「食管制度のせいで飢えるのは、農民じゃなくて俺たちの方だろう」

 「・・・そ、そうだっけ」

 ドイツ帝国は、朝鮮半島、山東半島の開発を推し進めていた。

 そして、アメリカ(6割)とドイツ(4割)の租借地、遼東半島と、

 満州原野を貫く満州鉄道権益は、大きな利権をもたらしそうだった。

 そして、さらなる利益拡大を満州に求め、

 利権を押し広げるため、米独の日本発注は急増していた。

 

 

 ドイツ帝国は移民事業に伴い、人口減少で兵力不足に陥る。

 ドイツ国防省は、防衛線の構築を計画し、

 西部のヒンデンブルク・ライン

 東部のグンビンネン・ライン

 東西二つの防衛線を構築していく。

 ドイツ帝国 (54万0857.54ku)

 東プロシアケーニヒスベルク

 極東ドイツ移民による人口減とシュリーフェン・プラン破棄。

 この二つによって、ドイツ帝国は、攻撃的な軍隊から、防衛的な軍隊へと変貌する。

 ドイツ帝国東プロシアは、バルト海に面して、ロシア領に向かってせり出しており、

 湖水が多いだけの平地で、防衛で不利に思われていた。

 それでも東プロシアを国境域を堡塁で囲めるなら、

 防衛効果が得られると考えられた。

 単純なのが溝を掘り、手前側に土砂を乗せるだけだった。

 さらに凝れば手前側にトンネル状で通路コンクリートを伸ばし、

 その上に土砂を乗せていく。

 東部戦線は、地の利を生かせなければ国土防衛ができないと考えられていた。

 凝れば凝るほど強靭な陣地となり、凝るほど予算が嵩む。

 そして、農地を削られた農民の極東移民も進んでいく。

 東部のグンビンネン・ライン (1000km)

 ドイツ軍将校たち

 「人口の減ったドイツで、ロシア軍の攻勢を平地の防衛線で防ぐのは至難の業だな」

 「産業人口低下は、国力にも響くからね」

 「しかし、一人当たりの収入は大きくなる」

 「問題は、権力構造が縮小するのを嫌がる勢力も多い」

 「家賃収入が無くなると困る大家」

 「小作料が入らないと困る地主」

 「労働者がいないと困る資本家」

 「それと、消費者がいなくなると困る産業と市場だな」

 「たいていの富裕層は国益より、自分のピラミッドが弱く小さくなることを嫌う」

 「だが皇帝ヴィルヘルム2世は移民を推し進めそうだな」

 「まぁ 貧民層や不利な富裕層は、再起を目指して行くかもしれないがね」

 「ザクセン王国、バイエルン王国、ヴュルテンベルク王国は極東に興味津津らしい」

 「プロイセン王国が大き過ぎるからね」

 「ドイツ国民の半分くらい植民地に行きそうだな」

 「貴族社会が極東に行くだけじゃないか、自由なアメリカ合衆国の方が好きだね」

 「自由都市も作るらしいよ」

 「おかげで農地接収が進んで堡塁が作れるのは良いけどね」

 「のどかな田園風景が消えてしまうな」

 「しかし、東プロシアが包囲されると、孤立しそうで不安だな」

 「港が守られれば、大丈夫だそうだ」

 ロシア軍の進撃に備え、国境から10kmほど後方、

 河川、湖水、台地、堡塁、トーチカで縦深陣地が構築されていた。

 さらに後方の要衝に砲台が建設されようとしていた。

 「機動力のある77mm砲は師団配備でいいだろう」

 「大型砲は、半分埋めて天蓋を付け堡塁に配備すべきだろうね」

 「43口径150mm砲なら射程22000mだ」

 「数を揃えれば前線全てを射程に収められる」

 「しかし、大砲は破壊力を求めても、射程を望めても数が減る」

 「大砲の数を求めるなら破壊力も射程も短くなるのが問題だね」

 「数を揃えるなら35口径77mm砲だろうな」

 「日露戦争の戦訓だと、敵を食い止めるのは、MG08重機関銃(7.92mm×57)だよ」

 「機関銃があるとどうしても、前線が膠着してしまいそうだな」

  

  

 05/09 清国が幹線鉄道国有化令を発布する。

 紫禁城

 日本人が呼ばれる。

 「鉄道部品の供給をして欲しいある」

 「資源と交換でしたら」

 「極東ドイツ鉄道より早く、供給するある」

 「しかし、部品製造には、ドイツの工作機械が必要ですし」

 「ドイツの工作機械を得るには、極東ドイツに部品を供給しないと難しいですし」

 「そんなの知ったことかある。こっちは、極東ドイツと地続きある」

 「極東ドイツ軍は、とおぉ〜おっても危険ある」

 「中国軍の方が多いのでは?」

 「そんなモノ関係ないある」

 「小国日本と違って中国の統治は、とおぉ〜おっても大変ある」

 「ドイツから買わないので?」

 「ドイツから買った事にしてポケットに入れるある」

 「・・・・」

 「中国人は、とおぉ〜おっても頭がいいある。恐れいるある」

 「お、恐れ入りました」

 なんとなく、貧弱な工業力で、歩留まりを誤魔化せそうな状況になろうとしていた。

 

 

 ドイツ前ド級戦艦24隻、海防戦艦8隻のロシア帝国と清国への売却により、

 ロシア極東艦隊、戦艦15隻がウラジオストックに回航され、

 清国艦隊、戦艦9隻、海防戦艦8隻が上海へと回航される。

 07/13 第3次日英同盟協約締結。

 日英戦艦部隊は、急変したアジア情勢に対し、

 イギリスの前ド級戦艦部隊の太平洋回航が決まり。

 呉に駐留イギリス艦隊基地が置かれた。

  日本 イギリス ロシア 清国
ド級戦艦   1    
前ド級戦艦 12 6 15 9
巡洋戦艦 2      
装甲巡洋艦 9      
海防戦艦       8

 呉

 戦艦ドレッドノート 艦橋

 「やれやれ、日本の自業自得戦略に巻き込まれて極東配備とはね」

 「ドイツ人が乗る戦艦部隊でないことが救いですよ」

 「まぁ ロシア海軍は、性能比65パーセント」

 「清国海軍は、性能比34パーセントくらいだろうな」

 「逃げ回られると厄介ですが」

 「しかし、ドイツもだが日本が戦艦建造を止めるとはね。意外だよ」

 「代わりに植民地投資と潜水艦建造ですので少しばかり、肩透しでしょうか」

 「ユーラシアを挟んで日英が同じような境遇に追いやられるとは何かの詐欺に掛ったかな」

 「日本は、島礁に要塞砲を配置して備えるそうです」

 「どうせ、まともな戦艦なんぞ、造れそうにないのだ。その方が良いだろう」

 「河内、摂津は、50口径305mm連装砲4基で良いようですよ」

 「まぁ 続けて建造できるのだから、不具合は少なかったと見るべきだろうがね」

 「問題は日本が退いたことで、極東にドイツの地歩が造られた事でしょう」

 「ロシア帝国の南進に対して効果的でも、中国大陸での利権争いで不利ですよ」

 「日本の産業をテコ入れしてでも、中国植民地化で負けたくないものだな」

 

 

 日本は官営・軍工廠などを除いた工業力はお寒いばかりであり、

 民間企業は、

  1889年 (株)池貝鐵工所 イギリス製 (フィート)

  1904年 (株)大隈鐵工所

  1909年 (株)唐津鐵工所 アメリカ製 (ヤード・ポンド)

  1895年 (株)新潟鐵工所 石油関連

  1910年 東京瓦斯電気工業(株) ガス器具

 この時代、日本の製造業は小さな工場に過ぎず、

 工員の練熟はなされておらず、

 試行錯誤、ノウハウを積み上げていく段階で黎明期と言えた。

 官民とも日本製の工作機械を買うより、舶来物の意識も強かった、

 もう一つ、日本は使いなれた度量法、尺貫法がまだ生きており、

 欧米の工作機械は、アメリカのヤード・ポンド法。

 その他、列強のメートル法だったのである。

 「アメリカと取引する時は、ヤード・ポンド法」

 「それ以外の国と取引する時はメートル法」

 「ヤード・ポンドの工作機械をメートル法に合わせろって言われてもねぇ」

 「汎用工作機械で、どっちの目盛りでもやれるだろう?」

 「そりゃ 工場が狭いし、割り当ての電力量も小さいし、人雇えないし」

 「アメリカと取引したり」

 「イギリスと取引したりだから単機能工作機械より汎用工作機械だよ」

 「第三次日英同盟でイギリス向けが増えるんだよ」

 「問題は、アメリカ製工作機械だと、換算が大変なことかな」

 「まぁ なるべく水力発電所を建設して電力を増やし」

 「土地収用で工場を広げられるようにするけどね」

 「どちらかというと、極東ドイツ需要は大きくて、土木建設業が強くなりそうだ」

 「それに国防省も要塞建設に意識が行ってるし」

 

 

 ドイツ極東権益の三半島で、

 もっとも利権が強かったのは完全併合の東ゲルマニア(朝鮮)半島だった。

 次は、戦艦・海防戦艦・武器弾薬の売却で権益をさらに強めたホーエンツォレルン(山東)半島だった。

 そして、遼東半島は、利権の4割のみであったものの、

 アメリカと共同であり、利権防衛でアメリカと協調できれば、恒久的な租借も夢でなかった。

    領有 面積(ku) 利権 面積(ku) 軍(万) 人口(万)
北欧 ドイツ帝国 54万0857     4700
朝鮮半島 東ゲルマニア 21万0000   100 1000
遼東半島     3462+1万2500 10 100
山東半島 ホーエンツォレルン 4万0552 11万6700 20 200
カメルーン 南ザクセン 79万0000   10 100
東アフリカ 南ヴュルテンベルク 99万4996   10 100
南西アフリカ 南バイエルン 83万5100   10 100
トーゴランド 南バーデン 8万7200   10 100
 
ドイツ帝国 350万2167 12万9200   6400

 東ゲルマニア(朝鮮)半島

 移民したドイツ人は近代的な生活を望んだ。

 強制徴用により・シュタイン(水豊)ダム(60万W)の建設が始まる。

 フォンシュ(義州)ダム、ワルツェン(雲峰)ダムは、15万Wクラスの水力発電ダムであり、

 強制徴用された朝鮮人は、人口1300万の半分にも及び、

 生かさず殺さずでボロ雑巾のように使い潰してしまう。

 高台でドイツ人将校たちが見ていた。

 朝鮮人が狂ったように叫びながら暴れ、

 ジタバタ、ジタバタ、泡を吹き始める。

 「・・・あれ、火病って言うんだって」

 「ふ〜ん」

 

 

 西サモア (2944ku)

 サバイイ島(1708ku)とウポル島(1125ku)の間は20km弱

 アピア港に日本商船が着くと、

 第16建設師団が積み荷を降ろしていく。

 「本当に鉄筋鉄骨20万トン。セメント10万トンを持って来れるのか?」

 「極東ドイツの建設需要でね。鉄筋鉄骨。セメントは異常に需要があるんだよ」

 「それに石灰石は輸出できるほど日本にあるし」

 「じゃ セメントで鋼を水増しできるわけだ」

 「というより、国産でまかなえるのが大きい」

 「水、砂利、砂は、島のモノを使えそうだが・・・」

 「設計図の青写真は?」

 「大まかに・・・」

 「しかし、20万トンって、戦艦を建造できるほどの鋼材量だぞ」

 「どんなに丈夫に作っても細くて薄くて長いだけだし、戦艦の鋼材より、簡単に作れるよ」

 西サモアは、山がちで河川が多く、雨量も多かった。

 人口次第といえるが自給自足可能な大きさであり、

 設備さえ、充実させられるなら、自衛できそうだった。

 「コンクリートはともかく、どのくらいの兵力で防衛できると思う?」

 「1個師団あれば」

 「無理」

 「じゃ 兵装で補うしかないね」

 「一点豪華主義いくか」

 「中途半端な中口径砲でいくか」

 「数を揃えられる小口径でいくか」

 「イギリスは次期艦砲を45口径343mm砲にするらしい」

 「そいつで良いような気がするね。命数を考えると日本製は心もとないが」

 「まだ305mm砲レベルか」

 「それだって怪しい」

 「大きな軍艦を建造するより、砲身命数を何とかしないと、練習撃ちできねぇ」

 「日本は、冶金も、中ぐりも、削り出しも、ショボイよ」

 「やっぱり、日本は、鉄筋、鉄骨レベルか」

 「鋼材も細かったり、薄ければ、何とかなるからね」

 「まだまだそのレベルというのが悲しい」

 「しかし、当面は、要塞より、水力発電が欲しいのだが・・・」

 「・・・まぁ 衣食住優先で要塞は、後回しが現実的だろうな」

 !?

 不意に大地が揺れ、サバイイ島(1708ku)のマタバヌ山が噴火を起こし、

 溶岩流を流し始めた。

 「すごい」

 「地熱発電もいけるかも・・・」

 「桜島みたいだな」

 「ハワイ島キラウエア火山かも・・・」

 「開発は、命懸けだな」

 「出来ないわけじゃないさ」

 

 

 09/29 

 北アフリカ・リビアを巡り、

 イタリア王国がオスマン帝国に宣戦布告する(イタリア・トルコ戦争)

 

 

 朝鮮半島

 ドイツ人の美少女が一人、朝鮮人の村の中を歩いていた。

 !?

 突然、朝鮮人の男たちが少女に襲いかかる。

 「きゃー!」

 「大人しくするニダ〜」

 「助けて」

 「駄目ニダ〜」

 がちゃ! がちゃ! がちゃ! がちゃ! がちゃ! がちゃ!

 「・・・ニダ!?」

 「バカめ。お前ら強制労働行きだ」 にやり

 「「「「アイゴ〜!!! 引っ掛かったニダ〜!!!」」」」

 この手の犯罪行為に及びやすい朝鮮人は、コロコロと引っ掛かり、

 裁判所

 「犯されました〜」 にやり

 「「「「未遂ニダ!」」」」

 「本当です」 しくしく

 「「「「ドイツ軍の陰謀ニダ!!」」」」

 「たまたま、分隊の訓練中だっただけだ」

 「嘘にだ。周りを見て襲ったニダ。ドイツ軍は隠れていたニダ」

 「いまの証言で分かる通り、現行犯です」

 「違うニダ! 未遂ニダ!!!」

 「・・・・」

 「に、日本人ニダ。自分は日本人ニダ」

 「・・・・」

 「日本人を虐めてはいけないニダ!!」

 こん! こん!

 「判決、20年の強制労働」

 「酷いニダ! 本当に犯してやるニダ!」

 「きゃ〜!」

 朝鮮人が飛びかかるとドイツ軍に取り押さえられる。

 こん! こん!

 「法廷侮辱罪、少女へのわいせつ行為、恐喝により、30年の強制労働とする」

 ぷげぇらぁあああああああ〜!!!!

 ごんっ!

 くてぇ〜

 朝鮮人は、火病になる前に気絶させられ、

 タンカーで連れていかれる。

 こん! こん!

 「次〜」

 ドイツ帝国は法治国家だった。

 刑務所の代わりに炭鉱、ダム建設、鉄道、港湾整備など、

 強制労働に送り込まれた。

 

 日本領 巨済島に朝鮮人が泳ぎ逃げてくる。

 ガチャ ガチャ ガチャ

 「た、助けてニダ。日本のスパイとして朝鮮で働くニダ」

 「「・・・・」」

 民族絶滅の危機なのか、

 必死な朝鮮人の亡命が多くなる。

 取り調べ

 「このままでは、東アジアは、白人の世界になるニダ」

 「日本人が立ち上がれば、朝鮮人も立ち上がるニダ」

 「一緒に朝鮮半島を開放して、東アジアを支配して、世界の盟主になるニダ」

 「日本人ならできるニダ。清国を倒し、ロシア帝国も負かしたニダ」

 「日本軍は、世界最強ニダ」

 「絶対にやれるニダ」

 「・・・日本政府も日本国民も戦争を望んでいないな」

 「政治家なんて、私腹を肥やして、派閥争いと権力闘争に明け暮れてるニダ」

 「国民のことなんか、ちぃ〜っとも、考えていないニダ」

 「それに平民ごとき、何の価値もないニダ」

 「自分の衣食住だけを愛している自己中な豚ニダ」

 「日本の国益と、なんの関係もないニダ」

 「無能な総理大臣を撃ち殺し、政府と議会を占領すれば、軍人の天下ニダ」

 「反対する日本人は、非国民と売国奴で殺してしまうニダ」

 「日本軍は、世界最強ニダ」

 「絶対にやれるニダ」

 「そんなのいつまでも、支持されないだろう」

 「大丈夫ニダ。天皇を人質にとるニダ」

 「むかしから日本人がやってることニダ」

 「そして、極東ドイツや中国と戦争すれば、政府と国民に頼りにされるニダ」

 「あとは、思い通りニダ。きっと、上手くやれるニダ」

 「軍人の天下ニダ〜♪」

 「・・・しかし、そうなると、責任を取らねばならんな」

 「そんなの天皇のせいにすれば良いニダ」

 「バカな日本国民にそそのかされたことにすれば良いニダ」

 「日本軍は、天皇陛下の軍隊で清廉潔白ニダ」

 「総理大臣なんか、犬のフンニダ」

 「利用できるのなら天皇も財閥も利用して成り上がるニダ」

 「男なら天下をとるニダ」

 「日本軍は、世界最強ニダ」

 「絶対にやれるニダ」

 「言論を封じて、天下さえ取れば、あとは全部、軍人のモノニダ」

 「軍人が好き勝手できる世界ニダ」

 「軍人が日本を指導するニダ」

 「日本人は斬った張ったの暴力になびくニダ」

 「無分別で事勿れで浪花節だから行けるニダ」

 「半島には妓生がいるニダ。一杯、協力するニダ♪」

 「「「・・・・」」」 むふ♪

 「ニダ〜♪」

 「逮捕」

 「アイゴ〜〜〜!!!!」

 この頃の日本軍は、まだ正常だった。

 しかし、次々と亡命してくる朝鮮人は異口同音で同じことを言いつつ、

 日本軍を惑わしていく。

 

 

 揚子江

 清国海軍が地方軍閥に向けて砲門を向ける。

 清朝末期、起死回生の普通選挙が行われていた。

 漢民族の離反を防ぐ上で最上策は、国民への利権委譲しかなかった。

 民主主義は、衆愚政治に向かいやすく、機能不全に陥りやすい、

 とても最高の政体とは言えない。

 しかし、最大多数の国民を味方にできるため、

 政治を安定させやすかった。

 そう、民主主義は、特権階層の不正腐敗のツケで支払わされた結果とも言える。

 そして、民主化へソフトダウンできる国家もあれば、

 革命によってなされた国も存在する。

八旗(ジークフリード)型海防戦艦 8隻
排水量 全長×全幅×吃水 hp 速度 航続距離
3741 86.15×14.9×5.46 5000 15 10kt/3500海里
35口径240mm砲3基 30口径88mm砲10基   450mm魚雷3基
正黄、鑲黄、正白、鑲白、正紅、鑲紅、正藍、鑲藍

 清国は、清朝が軍閥を差し置いて民主化を強行したと言えた。

 なので、武昌。

 海防戦艦 正黄が主砲を軍閥の館に向けていた。

 10/10 清国で普通選挙

 既得権を持つ軍閥の反発する中、

 中国民衆の清朝離反を避けるため、普通選挙が行使される。

 一定の民権が取り入れられないなら、清朝と民は切り離された政体でしかない、

 漢民族にとって価値のない政体となった。

 しかし、自分の意志が政治に反映されるならと、民衆は落ち着き始める。

 もっとも、限定的な民主化でしかなく、

 議会の権力は最高でもなく、制限されていた。

 とはいえ、日本帝国も藩閥政治が色濃く残されており、

 いまだに薩長色が強いのなら、地域色が少ない分だけ有利であるといえる。

 軍閥館

 「清朝は酷いある。国民を味方に付け、地方軍閥を犠牲にしたある」

 「だけど、反乱を起こすと、大砲を撃ち込まれて、民衆に八つ裂きされるある」

 「墓を全部暴かれるある」

 「酷い国ある。こうなったら、墓を日本に移設するある」

 「そういう問題じゃないある。このままだと、権限は軍内だけにされるある」

 「困ったある」

 

 

 

 アメリカ・ドイツ租借地 遼東半島

 遼東半島と、満州を伸びる満州鉄道(旅順〜長春)の6割株は、ハリマンのものであり、

 4割株はドイツ帝国のモノだった。

 ドイツ帝国とアメリカ合衆国の権益は極東において呉越同舟させられていた。

 長春行き、P8型機関車が満州荒野を北上していた。

 当初、ハリマン機関車とプロイセン機関車の間で競争があったものの、

 朝鮮・山東半島に足場を持つドイツ機関車は強く。

 日本産業もドイツ系の機関車規格に合わせたことからドイツ系機関車仕様へと傾いて行く。

 

 

 11/30

 外モンゴル(後のモンゴル国)が清から独立宣言

 

 独米露 満州鉄道協定。

 満州権益を巡る独米露の利権争いは水面下で続いていた。

 ドイツ軍は朝鮮・遼東・山東半島を鉄道で結び、

 さらに南満州へも利権を押し広げようとしていた。

 満州では、ドイツ資本の下、大豆、高粱、小麦、とうもろこし、ブドウ、

 落花生、粟、りんご、梨、桃、杏、

 多様な農作物が作られ、

 牧畜も始まる。

 地理的にドイツ帝国とロシア帝国が有利だったものの、

 資金力は、自由資本主義的な競争をしているアメリカ合衆国であり、

 東アジア最大の大株主、あるいは、銀行家と言えた。

 アメリカ・ドイツ租借地 遼東半島 大連

 日本人の遺族・戦友、観光客は異国の手に落ちた戦跡を訪れ、英霊を偲んだ。

 もっと多いのは、ビジネス関係者だったりする。

 満州で産出する穀物は、莫大で価格でも安いと考えられ、

 日本に輸入すれば莫大な利益が転がり込むと、資本家が考えてもおかしくなかった。

 「ドイツ人がプランテーションの準備をしている」

 「たぶん、日本国内より、安く上げられそうだ」

 「じゃ 日本に輸出して儲けようという人間が現れるか」

 「どうしたものかな」

 「食料が安くなれば生活に余裕が生まれるし、投資が増えるかも」

 「だといいがね」

 「どうも日本の第一次生産者を苦しめることになりそうだな」

 「いや、買うのは日本政府だから、日本政府が損しそうだ」

 「どうだろう、食管予算は、前年度比と景気で決めてるから調整できるだろう」

 「先行き不安だと農民層の預金が増えそうだな」

 「そん時は、銀行に頑張ってもらうさ」

 「・・・たんす預金」

 「そこまで信頼されてないのか」

 

 

 呉

 完成したばかりの戦艦2隻と巡洋戦艦2隻が並ぶ。

薩摩型戦艦 2隻
排水量 全長×全幅×吃水 hp 速度 航続距離 兵員
22000 160×25×8.2 21600 22 10kt/10000海里 664
45口径305mm砲連装3基 45口径120mm連装砲8基    
薩摩、安芸

 

鞍馬型巡洋戦艦 2隻
排水量 全長×全幅×吃水 hp 速度 航続距離 兵員
18000 160×23×8 24000 23 10kt/10000海里 564
45口径305mm砲連装3基 45口径120mm連装砲8基    
鞍馬、伊吹

 艦首側に背負い式に配置した第二砲塔は、艦の重心を上げたものの、

 左右両舷に睨みを利かせることができた。

 比較的、少ない武装は、作戦能力と防御、速度に反映され、

 南洋までの航行も十分に可能にする。

 赤レンガの住人たち

 「良いけど、前ド級戦艦が旧式化しているから、寂しいよね」

 「イギリスがド級戦艦2隻を派遣してくれるらしいよ」

 「威海衛配備?」

 「いや、呉」

 「維持費をおんぶにだっこかよ。汚ねぇな」

 「まぁ 日独露米英が東アジアで衝突しているんだから、多少は譲歩しないと」

 「瑞樹(北ニューギニア)州に行きてぇ」

 「あそこも、これからだから、人材がまだ育っていないよ」

 「まず農業で自給自足させて」

 「発電所、鉄道、製鉄所、市庁舎を作っていけばいいだろう」

 「学校と病院もな」

 「でも、生活圏を確保すると余生までの人生設計を計算して守りに入るからね」

 「勤労意欲が低下しちゃうと、開発の採算性が低下するし」

 「あと、楽して儲けるために我田引水で足を引っ張り始める」

 「最初にきちんと青写真を作らないと・・・」

 「それだと民間活力が削られる」

 

 

 大日本帝国海軍

 ド級戦艦・巡洋戦艦4隻

   薩摩、安芸

   鞍馬、伊吹

 前ド級戦艦12隻

   香取、鹿島、三笠、朝日、敷島、富士、 (購入)

   壱岐、丹後、相模、周防、肥前、石見  (捕獲)  

 巡洋戦艦2隻

   筑波、生駒

 装甲巡洋艦9隻

   春日、日進、出雲、磐手、吾妻、八雲、常盤、浅間、

   阿蘇、(捕獲)

 

西太平洋
  日本 イギリス ロシア 清国
ド級戦艦 2 1    
前ド級戦艦 12 6 15 9
巡洋戦艦 4      
装甲巡洋艦 9      
海防戦艦       8

 

 赤レンガの住人たち。

 戦艦、摂津、河内の建造がす進む中、

 前ド級戦艦部隊の旧式化も対策も検討されていた。

 予算枠内での防衛が検討すると、新型戦艦の建造が見送られ始める。

 「戦艦の値段でいうと、3分の2が艦体。3分の1が大砲類になる」

 「予算内で3倍の砲台がえられても、動かない要塞砲は、分が悪くないか」

 「練度維持を考えると、そうでもなさそうだがね」

 「対馬海峡、津軽海峡、宗谷海峡、孤島、要衝の順に配備していくべきだな」

 「50口径305mm砲を高台まで運ぶのは大変だぞ」

 「軍艦じゃないと左遷みたいなものだから、整備費と志願者もね」

 「半年で交替させればいい」

 

 

 沖縄島

 沖縄北部の標高260mの高地が整地され、

 50口径305mm連装砲台3基を配置する準備進む、

 日本軍将校たち、

 「見晴らしはいいけど・・・」

 「だいたい、61kmくらい先は見れるよ」

 「仰角45度でも射程半分もないよ」

 「中口径砲はどうするの?」

 「60ポンド(32口径127mm)砲は?」

 「移動が大変」

 「むしろ、50口径102mm海軍砲がいい」

 「じゃ 18ポンド(28口径84mm)砲」

 「日本人向きじゃないよね」

 「この際、日英同盟堅持が国防だから、我慢してもらうしかないね」

 「後は南側にも3基配置して、武器弾薬を保管しておけば民兵徴兵で守れるだろう」

 「沖縄全域の防衛は無理じゃないか」

 「結局、島を全部占領できないと諦めさせればいいだけだろう」

 「でもねぇ 38式小銃(6.5mm×50)が廃止だろう」

 「それで、リー・エンフィールド(7.7mm×56R)小銃じゃ くさるよ」

 「イギリスに日英同盟の価値があるとしたら兵器と武器弾薬の共有性だからね」

 日本国が領土内に引き籠り始めると、

 守備師団は砲兵と機関銃の装備が中心になり、

 歩兵は、戦争になって徴兵し、小銃を配分する方式に変わっていく。

 

 

 

 オーストリア・ハンガリー帝国 (面積67万6615ku 人口5200万人)

 ドイツ語、チェコ語、ハンガリー語、イタリア語、

 ポーランド語、ロマンス語、ルーマニア語、セルビア・クロアチア語、

 スロバキア語、スロベニア語、ウクライナ語、

 多様な言語が話されていた。

 総人口の24パーセントを占めるドイツ民族が多民族国家を繋ぎとめ、

 総人口の20パーセントのハンガリー人がドイツと協力することで帝国は保たれ、

 そして、多数派工作で利権分けされたクロアチア人によって帝国は安定させていた。

 もっとも、本当にドイツ民族かというと、単にドイツ語を話していただけだったりもする、

 また、工業化に成功したドイツ帝国のドイツ人と、

 地主貴族のオーストリア帝国のドイツ人は、意識で大きな隔たりがあった。

 このオーストリア・ハンガリー帝国は、既得権益を握る地主貴族の社会であり。

 農業を中心にした封建社会だった。

 チェコ、港湾都市トリエステを除くと工業化は遅れており、

 諸民族は、連邦議会なるものを求めるものの、貴族は既得権を手放したがらず、

 民主化は進まない。

 つまり、諸民族によって帝国議会は構成されていないのである。

 ウィーン ホーフブルク宮殿

 そこの住人は、ハプスブルク・ロートリンゲン家の当主であり、

 オーストリア皇帝・ハンガリー王であるフランツ・ヨーゼフ1世(81歳)の居城だった。

 彼は、時代の流れに不吉な予感を覚えていた。

 フランス・ルイ王朝は市民革命によって王家が滅ぼされ、

 イギリス・ウィンザー王朝は市民革命によって君臨すれど統治せずであり、

 アメリカは、イギリス・ウィンザー王朝の統治を拒み、

 民主主義によって独立した野蛮な国家であり、

 ドイツ帝国ホーエンツォレルン家は、実質、立憲君主制へと移行しつつあった。

 また清国皇帝も、議会制民主主義へと移行しつつあった。

 多くの王国が権限を国民へ委譲させ、命脈を保とうとしていた。

 オーストリア・ハンガリー帝国の権力基盤は、はるかに脆いにもかかわらず、

 旧態依然の既得権を持つ貴族社会だったのである。

 オーストリア皇帝は、ドイツとの間で、いくつかの調印を行っていた。

 国内を安定させるため強力な軍隊が必要であり、

 少数民族を外地へ避難させるべきであり・・・

 しかし、それも同族への搾取を嫌う地主の抵抗も少なくないのだった。

 「いかがでしょう。ヨーゼフ1世・・・」

 まどろみの中、声をかけられる。

 華やかな宮廷を無粋なドイツ帝国の貴族が立っていた。

 『鍛冶屋貴族が・・・』

 口に出さないものの、

 農業基盤によって成り立っているオーストリア皇帝は、そう思わずにはいられない。

 「何だったかな」

 「旧式化したオーストリア艦隊の清国売却ですよ」

 「売却か・・・」

 「清国への旧式艦艇売却により、オーストリアは新兵装の強力な師団を揃え」

 「さらに外地に少数民族を移民する枠を得るのです」

 「ドイツ帝国が得るモノはなんだね」

 「ハプスブルク・ロートリンゲン家の安定です」

 「ふっ」

 「しかし、海軍が縮小すれば、アドリア海での制海権を失う」

 「新装備の5個師団をイタリア側に配備すれば、イタリアは大人しくなるはずです」

 「移民枠の確保は確かなのだろうな」

 「はい」

 「海軍長官。どんな支障がある」

 「以下の艦艇ですと戦力が半分ほど低下します」

 オーストリア・ハンガリー帝国海軍は決して、陰に籠っているわけではない。

 義和団事件(1900年)に介入している。

 地政学的に陰に籠らされているだけと言える。

 皇帝が知るべきは、損益収支であり、

 権威の縮小に繋がる相談は、容易にできるものではない。

 益が多ければ、決めるのは皇帝だった。

 「・・・良かろう」

 「皇帝・・・」

 「なぁに、軍艦なら、もっといい軍艦を建造すれば良い」

 

エルツヘルツォーク・カール型戦艦 3隻
排水量 全長×全幅×吃水 hp 速度 航続距離
10472 126.24×21.78×7.51 18000 20.5 10kt/4000海里
40口径240mm連装砲4基 42口径190mm12基 45口径66mm砲12基 450mm魚雷2基
47mm8基      
エルツヘルツォーク・カール、エルツヘルツォーク・フリードリッヒ、
エルツヘルツォーク・フェルディナンド・マックス.

 

ハプスブルク型戦艦 3隻
排水量 全長×全幅×吃水 hp 速度 航続距離
8960 114.5×21.2×7.4 13300 19 10kt/3600海里
40口径240mm砲3基 42口径150mm12基 45口径70mm砲10基 450mm魚雷2基
44口径47mm6基 33口径47mm2基    
ハプスブルク、アルパード、バーベンベルク

 

ブダペスト型戦艦 3隻
排水量 全長×全幅×吃水 hp 速度 航続距離
5878 99.22×17×6.6 8500 15.5 10kt/2200海里
40口径240mm砲4基 40口径150mm6基 44口径47mm6基 450mm魚雷2基
33口径47mm2基      
ブダペスト、モナーク、ウィーン

 オーストリア・ハンガリー帝国は、国内の安定のため、

 旧式戦艦9隻の売却を決めたのだった。

 波の静かな地中海での運用に適した艦隊であり。

 並の荒い東シナ海では運用し難い艦隊だった。

 しかし、揚子江、黄海、渤海の運用で有用であり、

 欧米列強の浸透を防ぐだけなら、問題なかったのである。

 そして、半鉄半木製 被鉄帆走艦艇10隻も清国軍閥に売られたのだった。

   

 

 アメリカ 白い家

 世界地図を前に男が二人立っていた。

 「バルカン半島で戦争になれば、欧州で戦争になるだろうか」

 「戦争になれば、儲かりそうです」

 「しかし、ドイツがどうもやる気なさそうだが」

 「極東ドイツ移民ですからね。ドイツ本国は、防衛ばかり」

 「海軍も潜水艦が主力のようです」

 「ふ 引き籠っているのか、飛びだしているのかわからんな」

 「日本も、軍艦の建造を減らして、商船隊の増強のようです」

 「どの道、移民需要があるのなら、それに乗ろうというわけか」

 「アメリカの極東権益は?」

 「南満州鉄道と沿線設備」

 「利益は?」

 「まぁ ドイツと組めていいがね。それだけだ」

 「下手に動けばドイツに取られる」

 「フロンティアスピリットを発揮できると思ったがな」

 「日本でも攻めますか」

 「国防省に主導権を渡すのは面白くない」

 「それに日本を攻めて、成果が上がらず、被害だけが増せば、私の政治生命はお終いだよ」

 「まぁ 日本軍が先に攻撃してきたのなら、損害を気にせず攻め切れるがね」

 「そこまで馬鹿じゃないでしょう」

 「どうかな。ちょっと、煽っただけで、清国、ロシアに噛みつく、馬鹿民族だ」

 「短慮、神経質、見栄っ張りと見た。ストレスに耐えられまい」

 「良く言えば、機敏、繊細、誇り高いでしょうか」

 「結果良しなら後者。結果悪しなら前者だ」

 「攻めやすいのは日本より、中国でしょうか」

 「中国も立憲君主制に移行しているからやり難い」

 「黄色人種の国家すら認めたくないですからね」

 「ふん、皇帝は5歳のガキじゃないか、封建社会は、どうも狂ってるな」

 「専制で、時々、寡頭制になると考えれば良いでしょう」

 「いっそ、中国東北部を独立させて権益を広げるか」

 「極東権益拡大中のドイツが割り込んで、全部根こそぎでは?」

 「くっそぉ〜 どうにもフラストレーションがたまる」

 「良く考えると、アメリカ合衆国も東西ドイツに挟撃されますね」

 「ちっ あんな、くそ面白くもない、非人間的な社会なんぞ、世界に拡散させてたまるか」

 

 

 12/14 ロアール・アムンセンが南極点に到達

 

 

 ドイツ帝国 ウィルヘルムスハーフェン基地

Uボート
  排水量 全長×全幅 速度 航続距離 魚雷 機雷 乗員
水上 1163 82×7.4 14.7 25715km(13000海里)/8kt 533mm×4 14 機雷×2 42 40
水中 1468 8 64.8km(35海里)/4.5kt

 雪吹き荒ぶ中、ドイツUボート艦隊が出航していく。

 艦橋

 「やれやれ、極東行きか、長旅になりそうだ」

 「シベリア鉄道を使えば、1週間もかからないそうですよ」

 「お陰で船で一番遠周りなのに移民一番人気だな」

 「極東の海軍工廠は、大丈夫なんだろうな」

 「最後の権益地ですが、海外では、一番規模が大きいそうです」

 「だといいがね」

 「オーストリアとロシア帝国がバルカン半島の利権闘争しているので不安ですね」

 「極東ドイツの社会基盤が安定するまで戦争は避けたいものだ」

 「ええ」

 「それより、聞いたか、イギリスがドイツに極東に戦艦派遣を誘ったの」

 「なんで?」

 「日本に前ド級戦艦を買わせたいんだと」

 「あははは・・・」

 

 

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 月夜裏 野々香です。

 皇帝ヴィルヘルム2世の戦略変更によって、

 売却されたロシア戦艦15隻、清国戦艦9隻・海防戦艦8隻の極東来航、

 窮地に追い込まれた大日本帝国は、奇手で遼東半島と満州鉄道の株6割をアメリカに売却。

 さらに鬼手で

 日本の朝鮮半島と、山東半島・満州鉄道株4割の権益をドイツ領北ニューギニアと交換。

 軍縮で常備軍を減らし、

 なんと、戦争が始まってから歩兵部隊の6割を徴兵するという、侵略不能な前近代的な軍隊へ・・・

 そして、混戦の一手で、食管予算。

 と思ったら、オーストリア・ハンガリー帝国海軍の旧式艦艇が・・・

 東アジア情勢は白人勢力拡大で複雑怪奇に痺れ、

 賑やかになってしまいました。

 大日本帝国は、人種差別を撤廃させ、

 列強の立場を維持し続けることができるでしょうか。

 

 

 ドイツ海軍残存主力艦隊。

ナッサウ型戦艦 4隻
排水量 全長×全幅×吃水 hp 速度 航続距離
18570 137.7×26.9×8.1 22000 19.5 10kt/8000海里
45口径283mm砲連装6基 45口径150mm砲12門 450mm魚雷5基
ナッサウ、ヴェストファーレン、ラインラント、ポーゼン

 

フォン・デア・タン型巡洋戦艦 1隻
排水量 全長×全幅×吃水 hp 速度 航続距離
19370 171.7×26.6×8.91 43600 24.8 10kt/8000海里
45口径283mm砲連装4基 45口径150mm砲10門 450mm魚雷4基
フォン・デア・タン

 

モルトケ型巡洋戦艦 2隻
排水量 全長×全幅×吃水 hp 速度 航続距離
22979 186.5×29.5×8.98 52000 25.5 14ノット/4120海里
50口径283mm砲連装5基 45口径150mm砲12門 500mm魚雷4基
モルトケ、ゲーベン

 

1914年8月戦争勃発時の戦力 (日清露は1908年)
  史実 戦記 戦記 戦記 戦記 史実
  ドイツ ドイツ 清国 極東ロシア 日本 イギリス
巡洋戦艦 4 3     2 9
ド戦艦 14 4       20
前ド戦艦 22 0 9+6 15 12 39
海防戦艦 8 0 8+3      
装甲巡洋艦 7 7     9 34
小型巡洋艦 12 12     10 64
駆逐艦・水雷艇 89 48     38 301
Uボート 19 130       65
             

 

 ドイツ海軍が売却した戦艦、海防戦艦の総トン数は32万トンを超えます。

 建造しなかった

 ヘルゴラント型4隻(91200トン)

 カイザー型4隻(96000トン)

 ケーニッヒ型4隻(103200トン)

 ザイドリッツ型1隻(24500トン)

 デアフリンガー型3隻(79800トン)

 艦艇の総トン数は、39万トンを超えます。

 さて、ドイツ帝国は、植民地の100万港湾都市建設に予算を取られ・・・

 16万トンで、1200トン級の潜水艦を建造したら・・・

 130隻くらいでしょうか。1隻×40人だと5200人。

 では、130隻を配分すると・・・・

ドイツ帝国軍 巡戦 戦艦 装巡 軽巡 駆逐艦 潜水艦 軍(万)
北欧 ドイツ帝国 2   2 4 16 30 200
朝鮮半島 東ゲルマニア   2 2 2 8 30 100
遼東半島   10
山東半島 ホーエンツォレルン 20
トーゴランド 南バーデン   1 1 2 8 30 10
カメルーン 南ザクセン 10
東アフリカ 南ヴュルテンベルク 1   1 2 8 20 10
南西アフリカ 南バイエルン   1 1 2 8 20 10
 
合計 3 4 7 12 48 130 370

 最初から通商破壊戦略でしょうか。

 ドイツ海軍は、追加の巡洋戦艦、戦艦の建造もなく、戦意低そうです。

 

 

 因みにこの時期、日本海軍が保有していた海軍砲は?

 50口径305mm連装砲×4基

 40口径305mm連装砲×8基、

 45口径305mm連装砲×24基

 45口径254mm単装砲×32基

 50口径203mm連装砲×8基

 40口径152mm単装砲×72基

 45口径152mm単装砲×48基

 50口径120mm単装砲×60基

 40口径80mm砲×24基

 40口径76.2mm単装砲116基

 40口径47mm砲×78基

 艦艇が旧式化していくに伴い、

 命数が残っていたら、要塞砲へ移設されそうです。

  

 

 

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第03話 1910年 『光の世界と闇の世界』
第04話 1911年 『満韓喘惜(まんかんぜんせき)』
第05話 1912年 『東西、古き封建社会の延命』