月夜裏 野々香 小説の部屋

    

仮想歴史 『風が吹けば・・・』

 

 

第05話 1912年 『東西、古き封建社会の延命』

 清国は国権を回復しつつあった。

 山東半島と満州域の権益を大幅に失っただけであり、

 清国は、前ド級戦艦9隻、海防戦艦8隻を租界地、租借地に配置。

 欧米列強の排他的権益に圧力をかけることに成功していた。

 無論、欧米列強の海軍艦隊であれば、清国海軍を撃破することができた。

 問題は、戦わなければならないことであり、

 日本が大陸権益を捨てた後、

 どこの国が火中の栗を拾うかが問われた。

 そして、どこの国も自らが侵略国として苦労するより、

 正義の国家として介入し、暴利を画策していた。

 

 清国海軍

太祖(カイザー・フリードリヒ3世)型戦艦 5隻
排水量 全長×全幅×吃水 hp 速度 航続距離
11599 125.2×20.4×8.2 14000 17 10kt/4500海里
40口径240mm砲連装4門 35口径150mm砲15門 450mm魚雷6基
太祖、太宗、崇徳、聖祖、世宗

 

高宗(ブランデンブルク)型戦艦 4隻
排水量 全長×全幅×吃水 hp 速度 航続距離
10013 115.7×19.5×7.8 9000 16 10kt/4500海里
40口径283mm砲連装2基 35口径283mm砲連装1基 35口径105mm砲6門 450mm魚雷6基
高宗、仁宗、宣宗、文宗

 

八旗(ジークフリード)型海防戦艦 8隻
排水量 全長×全幅×吃水 hp 速度 航続距離
3741 86.15×14.9×5.46 5000 15 10kt/3500海里
35口径240mm砲3基 30口径88mm砲10基   450mm魚雷3基
正黄、鑲黄、正白、鑲白、正紅、鑲紅、正藍、鑲藍

 

 そして、新たにオーストリア・ハンガリー帝国海軍の旧式艦艇が来航していた。

 清国海軍は、土地から切り離された清朝の専有の軍閥であり、

 清朝を守る屋台骨だった。

済南(エルツヘルツォーク・カール)型戦艦 3隻
排水量 全長×全幅×吃水 hp 速度 航続距離
10472 126.24×21.78×7.51 18000 20.5 10kt/4000海里
40口径240mm連装砲4基 42口径190mm12基 45口径66mm砲12基 450mm魚雷2基
47mm8基      
済南、西安、銀川

 

開封(ハプスブルク)型戦艦 3隻
排水量 全長×全幅×吃水 hp 速度 航続距離
8960 114.5×21.2×7.4 13300 19 10kt/3600海里
40口径240mm砲3基 42口径150mm12基 45口径70mm砲10基 450mm魚雷2基
44口径47mm6基 33口径47mm2基    
開封、大連、南京

 

重慶(ブダペスト)型戦艦 3隻
排水量 全長×全幅×吃水 hp 速度 航続距離
5878 99.22×17×6.6 8500 15.5 10kt/2200海里
40口径240mm砲4基 40口径150mm6基 44口径47mm6基 450mm魚雷2基
33口径47mm2基      
重慶、南寧、南昌

 そして、新たに編入された艦隊は、貴族風の艦長室が好まれたのか、

 艦隊旗艦となってしまう。

 

 中国東北部と山東半島権益を奪われ、

 租借地と租界地が国内に作られても中国は大国だった。

 愛新覚羅 溥儀 (あいしんかくら ふぎ) 7歳は清国皇帝であり続け・・・

 とはいえ、清国は、民主化の圧力に帝国を維持できず、

 01/01

 清国は、日本と同様、立憲君主制となり、

 孫文は初代総理大臣となった。

 「中国民衆の民意は低い。匪賊と変わらないある」

 「宋教仁(そう きょうじん)の言いなりは、面白くないある」

 「日本の真似が面白くないある」

 「民意が低いのは、下ばかりでなく、上もある」

 「袁世凱の干渉を防ぐため、立憲君主制はしょうがないある」

 「とにかく、大統領制から立憲君主制に妥協したある」

 「しかし、軍政、訓政、憲政の三段階論は、妥協しないある」

 「それは、仕方がないある。中国人は文盲でバカある」

 「まず、軍を立て直しながら外国権益を排除していくある」

 「独立するためには、産業を育てなければ駄目ある」

 「日本の模倣は悔しいある」

 「でも、日本は、江戸の軍政が終わって、明治の訓政に移行して、憲政に向かっているある」

 「中国人より、日本人の方が正義や法に従う人間が多いある」

 「大丈夫ある。日本の一部の腕力バカが軍政に戻したがっているある」

 「それに日本人も傲慢ある」

 「法や正義より、権威や権力に従う人間は必ずいるある」

 「中国は、山東半島をドイツ帝国に切り売りしても国家再建をするある」

 「一応、清国と言わなければならないある」

 「革命的ではないある」

 「ここは、名を捨てて実を取るある。日本と同じある」

 「ドイツ帝国を味方に引き入れて国家再建を成功させ、中国東北部、租界地、租借地を奪い返すある」

 「遠交近攻ある。あとは、苦肉計、反間計、美人計で列強同士を戦わせるある」

 「そうある、中国人は、最後に笑うある」

 「うんうんある」

 

 

 01/06 米国でニューメキシコが47番目に州となる

 

 

 瑞樹(北ニューギニア) ラバウル

 港湾が整備され、水力発電所が建設され、

 公団住宅付きの田畑が整備されていくと人口が増えていく。

 自給率が高くなれば、政府の機関が設置され、行政が機能し始める。

 ドイツ帝国が起こした東アジア情勢は、波乱含みのまま、日本産業を活性化させていた。

 そして、日本の南洋開発は、急速に拡大していく。

 「どうも、火山が気になるな」

 「桜島みたいだな」

 「梅島とでも付けるか」

 「暑すぎて、梅は育てられねぇ」

 「ニューギニア本島に重工業地帯を建設する方がいいと思うよ」

 「しかし、開発したくても鉄と石炭がないことにはね〜」

 「当分は、イギリス、ドイツ、アメリカ、清国との貿易で鉄を購入するしかないよ」

 「ココヤシ、コプラ、パームオイルは、行けそうだね」

 「ブーゲンビル島にパングナ山に銅がありそうだけど」

 「それは、気が休まるね・・・それなら製鉄所は、ブーゲンビル島が良いだろう」

 「まぁね。でもソロモン諸島の国境に近いからな・・・」

 赤道に近い北ニューギニアの水力発電建設は展望が持てた、

 全ての電力を水力発電でまかなえるほど水源が豊であり、

 産業で弾みがつくと思われた。

 「そういえば、予算削減で軍部が拗ねていると聞いたぞ」

 「ふん、人員を減らして大砲を増やすべきだろうね」

 「あいつら、征夷大将軍にでもなった気で、すぐ軍政を敷こうとするから」

 「軍事力を握る人間を国政につかせるとロクな事がないよ」

 「ていうか、日本は江戸時代まで、ずっと征夷大将軍の軍政だろう」

 「何か大本営に引き籠って、独り善がりな妄想膨らませてそうで怖いね」

 「でも日本人が軍政に慣れているからね」

 「文民統制が利かないなんて、まだまだ。民意低いなぁ」

 「よし、大日本帝国が軍制を敷いたら南洋合衆国は、独立戦争だ」

 「「「おー!」」」

 賑やかな東アジアと違い南洋は、平和だった。

 

 

 01/17 スコット隊が南極点に到達

 

 01/18 白瀬・ピョートル・クズミッチ・コズロフ日露探検隊が南極点到達

 日露南極探検隊は、1日遅れで、イギリスのスコット隊と南極点で合流し、

 英日露探検隊は、空しく、ノルウェーの国旗を見上げることになった。

 「白瀬ぇ アムンセンに負けちまったよ」

 「ちんたら、学術調査なんてやるからですよ」

 「あふぉうが紳士ぶってマイペースでやってるからだ」 コズロフ

 「なんで、日本人は、日英同盟を無視して、ロシア人と来てるんだ」

 「スキーを教えてもらっただよ」

 「田舎もん二人が背伸びしても死ぬだけだぜ」

 「ていうか、犬ぞりが少ないそっちが死にかけだろう」 コズロフ

 「・・・てへぇっ!」

 

 

 02/14

 米国でアリゾナが48番目に州となる。

 

 

 日英露探検隊が帰還する。

 

 

 イギリス

 タイタニック号が浮かんでいた。

 見学を許された日本人関係者がラウンジを歩く。

 「でかいな」

 「46000トンだと」

 「なんというか、人の傲慢の象徴だね」

 「海に対する敬意の欠片もない気がするね」

 「しかし、日本が平和を愛する国というのなら」

 「最大の船は軍艦じゃなく、客船にすべきだろうね」

 「客船か・・・じゃ 30000トンクラスか」

 「陸上輸送力がショボ過ぎて、駄目だろう」

 「鉱物資源なら、悪くならないよ」

 「東ゲルマニアが製鉄所を作っているだろう」

 「スラブを買って、製鉄加工する方がマシな気がする」

 「いっそ、東ゲルマニアに最後まで造らせて買う方が・・・」

 「あふぉ! 永遠に工業化できんわ」

 「軍艦はともかく、鉄骨鉄筋の製造は容易で歩留まりもいい」

 「日本人は賃金低いし、数をつくれば良いところ行けそうだよ」

 「だけど、賃上げ運動が始まる前にノウハウを身につけないと、国際競争力で負けるぞ」

 「そうなんだよな。農民も工員も安穏とするとまずいよ」

 「近代化が中途半端で底上げすると、重工業で失速するし」

 「国防は危機的状況な気がするね」

 「政府は、一定の近代化に達したから、食管法で底上げしたと言ってたけど」

 「一定の基準って、どういう基準だよ」

 「戦艦を国産で建造できる基準のことじゃないの」

 「あふぉか、機関も砲口兵器も心臓部は、イギリスとイギリスの模倣じゃないか」

 「でも、東ゲルマニアは、軍事的負担が大き過ぎるはず」

 「日本の国防は、いまのところ大丈夫な気がするね」

 「いつまでもつやら」

 「東ゲルマニアが前門の虎なら、アメリカ合衆国は後門も狼だな」

 「ロシア帝国は北門の熊で、清国は南門の寝たきり獅子じゃないの」

 「もう、絶対に生き残れねぇ」

 

 

 04/15 タイタニック号沈没

 

 

 日本海沿岸

 ドイツ帝国は、朝鮮半島を併合したことで日本海交易が増していた。

 日本経済の比重は、新潟側に移行し、

 日露連合で南極点到達がなされた事が切っ掛けとなり、

 日露関係も緩やかに交易が増えていく。

 そして、日本海側に国際貿易港が整備され、

 日独露の船舶が急増する。

 舞鶴港、釜山、ウラジオストック3港を回遊する定期客船が就航したのもこの時期だった。

 イギリスは、同盟国の日本がドイツ帝国と接近することを恐れ、

 あるいは、ロシア帝国と友好的になる事を恐れ、

 日本との交易量を増やしていた。

 舞鶴港

 「国際社会ではね。包括的関係が必要だよ」

 「イギリスと同盟を結んだからべったりなんて、都合の良い使い捨てじゃないか」

 「八方美人にする必要はないよ。だけどさぁ 外交のパイプくらい作っておくものでしょう」

 「まぁ 常識ってやつよ。常識」

 「そういえば、イギリスが日本人のインド入植を打診してきたぞ」

 「やめてくれよ。予算が減らされる」

 「それが狙いだな、きっと」

 「くっそぉおお〜 相変わらず性根が腐ってやがる」

 

 

 05/05 第5回ストックホルムオリンピック(〜7月27日)。日本初参加。

 

 05/22 セルビア、ブルガリア、ギリシア、モンテネグロの4か国バルカン同盟

 




 千島列島 幌筵島(柏原) (面積2471ku)

 ロシア帝国極東海軍が再建した後、千島列島の防衛が認識される。

 50口径305mm要塞砲台の建設が始まろうとしていた。

 「日本のスーパー・エリートの軍艦乗りだったのに島流しか・・・」

 「沈まないのは良いよ」

 「温泉があるのが救いかな・・・」

 星空を見上げる。

 「まぁ 軍艦に温泉はないわな」

 「取り敢えず。ここに城塞都市を建設するらしいよ」

 「五稜郭?」

 「まさか、旅順要塞みたいなのだよ」

 「それじゃ 人が来ねぇ」

 「占守(シュムシュ)島と繋げるの?」

 「海底で繋げるんじゃないかな」

 「大変だろう」

 「人が行き来できる程度だろう。5kmもないし、のんびりやるよ」

 旅順要塞はセメント36000トンが使われており、

 将兵約47000、重砲223門、軽砲427門、機関銃62丁だった。

 日本は要塞防衛として、セメント100000トン。

 将兵25000、

 50口径305mm連装砲8基。50口径120mm砲100門。機関銃2000丁で計算していた。

 ところがそんな金が使えるかと、帝国議会で声が上がる。

 帝国議会

 「新たにオーストリアの旧式艦艇も清国海軍に編入されたことですし・・・」

 「お前ら、生糸を売って得た外資で、それだけの軍備を揃え、維持する気か」

 「製糸・紡績工場の女工をどれだけ踏み躙って苦しめたら気が済むんだ」

 「お前ら、人で無しか」

 「「「「・・・・」」」」

 「軍国主義で日本民族5000万を食べさせられるのか?」

 「国民にたかってんじゃねぇぞ」

 「「「「・・・・」」」」

 「国民から吸い上げ尽くしたら、今度は侵略でもするつもりか?」

 「「「「・・・・」」」」

 「日本帝国を強盗の巣にするつもりはない」

 「「「「・・・・」」」」

 「近代化が優先だ。水力発電所を建設した方がマシだ」

 国境の島の防衛でさえ、そうなのである。

 日本は、戦争出来ないほど貧しい国だった。

 とはいえ、水力発電ダムが建設され、

 電力を源にした工場が建設され、

 利潤の良い工業部品が生産されると、利潤が増え、

 食管予算で購買力が増した農民層の需要が増え、

 設備投資がだけでなく、日用品の生産量も急増していた。

 そして、ドイツ極東権益地は、マルク箱の輸出先だった。

 

 

 09/13 明治天皇大喪(青山練兵場)

 

 瑞樹州 (北ニューギニア・アドミラル諸島)

 発電用ダムを建設すれば、電力を造ることができた。

 そして、日本が編入しようとしていた北ニューギニアはそういう国だった。

 電力の総量は、内地の日本を超えると簡単に推測がつく。

 日本政府は、意義のある税収に思えたのか、次々と発電ダムを建設し、

 道路・鉄道、港湾、都市建設を進めていく。

 そして、海抜1500mほどの山岳を削って高原地帯と避暑地を建設していた。

 近代化は、平地でなければならないという理由は、港湾と交通・流通にあった。

 一定以上の広さを確保し、交通と流通を整備できれば、近代的な生活も可能だった。

 目を付けられたのは、ラエとマダンの間で北側の山岳地帯だった。

 

 

 

 10/08 第1次バルカン戦争勃発

 オスマン帝国  (オーストラリア) 

      VS イタリア & ブルガリア、セルビア、ギリシャ、モンテネグロ (ロシア)

 この戦いで、オスマントルコ帝国は、凋落が加速していくことになり、

 イスラム世界の白人世界に対する楔が取り除かれていく。

 

 オーストリア・ハンガリー帝国

 貴族社会においても分家の家督争いは激しい。

 そして、ドイツ海外領地への転封は、大きな転機となった。

 オーストリア(ドイツ)人とハンガリー(マジャール)人は、共謀し、

 チェコ人、ポーランド人、ルテニア人、スロベニア人。

 イタリア人、ルーマニア人、スロバキア人を追い出したがり、

 ドイツ帝国は、植民地に民族ごとの所領地を配分していく。

 “20クローナ金貨=10ヘクタールの地主”

 己の土地を欲し、

 諸民族の牢獄から解放されたいと願う者は、船出を決める。

 そして、諸民族を追い出せば、残った地主は、自らの所領を増やしたのだった。

 オーストリア・ハンガリー帝国艦隊

 戦艦7隻、装甲巡洋艦8隻、巡洋艦10隻、駆逐艦27隻、水雷艇46隻、潜水艦6隻

フィリブス・ウニティス型戦艦 4隻
排水量 全長×全幅×吃水 hp 速度 航続距離
20000 152.2×28×8.5 26400 20.3 10kt/4200海里
45口径305mm砲3連装4基 50口径150mm砲12門 50口径70mm砲18基 533mm魚雷4基
フィリブス・ウニティス、テゲトフ、プリンツ・オイゲン、セント・イシュトヴァーン

 

ラデツキー型戦艦 3隻
排水量 全長×全幅×吃水 hp 速度 航続距離
14508 137.5×24.6×8.1 20000 20.5 10kt/4000海里
45口径305mm砲連装2基 50口径240mm連装砲4基 50口径100mm砲20基 450mm魚雷3基
37mm4基      
エルツヘルツォーク・フランツ・フェルディナント、ラデツキー、ズリーニ

 オーストリア・ハンガリー帝国海軍は、旧式艦艇の売却によって、スリム化し、

 海軍力は低下したものの、精強になってしまう。

 精鋭5個師団がイタリア国境側に配備されると、

 イタリアに対する圧力はほとんど変わらず、

 ドイツ帝国海外地への移民者増大に合わせて、不穏分子も減少していた。

 

 

 

 10/03 戦艦三笠 延焼

 関係者たち

 「また放火か」

 「照準器の部品を隠したとか、なくしたとか、盗まれたとか」

 「なんなんでしょうね。海軍は?」

 「ったくぅ〜 帝国軍人教育以前に人間教育が必要ですよ」

 「どいつも、こいつも、素行が悪くて規律が保てませんね」

 「飲む打つ買う無しで軍編成し直してぇ」

 「弱くなるんじゃないですか」

 「いい、銃さえ、持たせとけば弱いか強いか、戦うまで分からん」

 「み、見抜かれると思いますよ」

 「ちっ 器の小さな士官や下士官は組織をガタガタにしやがるし」

 「愚かな水兵の自業自得な不摂生で軍艦を沈められてたまるか」

 「このままだと、基地建設費に予算が流れてしまいそうですね」

 「くっそぉ〜 ちったぁ 世間体を考えて軍編成しろよ」

 「どこのお金持ちが左遷駐屯軍将兵に娘を嫁がせるものか」

 「やっぱり、軍艦乗りじゃないと、逆玉狙いは無しですかね」

 「ぜぇえええ〜〜んぶ。政府が無能だからだ」

 

 

ドイツ帝国
    領有 面積(ku) 利権 面積(ku) 軍(万) 人口(万)
北欧 ドイツ帝国 54万0857     4700
朝鮮半島 東ゲルマニア 21万0000   100 1000
遼東半島     3462+1万2500 10 100
山東半島 ホーエンツォレルン 4万0552 11万6700 20 200
カメルーン 南ザクセン 79万0000   10 100
東アフリカ 南ヴュルテンベルク 99万4996   10 100
南西アフリカ 南バイエルン 83万5100   10 100
トーゴランド 南バーデン 8万7200   10 100
 
ドイツ帝国 350万2167 12万9200   6400

 

 東ゲルマニア(朝鮮)半島(21万000ku) + 遼東半島(3462ku) + 山東半島(40552ku)

 極東3半島にドイツ帝国軍100万とドイツ人1000万の民が居着いていた。

 非人間的なプランテーションは植民地化前提であり、

 識字率の低い朝鮮人に対する対応は、未開人と同じ対応だった。

 結局のところ、権限の移譲によって移民は加速する。

 ドイツ帝国は、諸侯の極東での特権を認めたのだった。

 バイエルン王国ヴュルテンベルク王国バーデン大公国は、積極的に移民し、

 植林を進め、森林伐採の原因となるオンドルが破壊されていく。

 そして、要衝の町に仰々しい、

 あるいは、神々しい、ドイツ風のバロック・ロココ建築物が並び建っていく。

 そこには、ドイツ貴族社会の伝統が移植されていた。

 ドイツの移民者だけでなく、

 オーストリア帝国からの移民者も増えていた。

 ドイツ軍は、現地民の掃討作戦を強行し、

 貴族の三男坊、四男坊、

 あるいは、庶子が幾ばくかの金を貰って、

 膨大な土地所有者となり、

 朝鮮半島では朝鮮民族を支配し、

 山東・遼東半島では、漢民族を支配していた。

 ソウルブルグ (ソウル)

 総督府

 「3つの半島を合わせれば26万kuになる」

 「イタリアの30万kuより小さいな」

 「なあに、周りは後進国ばかりだ、いずれは、ドイツ支配の礎になるだろう」

 「しかし、周りの国は艦隊を持ってるぞ」

 「清国は資源があっても建造する力がない」

 「日本は建造できても資源がない」

 「ロシア帝国は戦艦を建造できるし、資源もあるが陸軍国家だ」

 「陸軍国家は我々もだよ」

 「中国の資源が手に入れば、極東で覇権を握れるよ」

 「いまのところ、大人しく力を付けて行けばいい」

 「清国戦艦の寿命を換算すると1935年くらいで尽きる」

 「オーストリアの不良少数民族も移民してくるだろう」

 「彼らが官吏になれば朝鮮人と漢民族を支配できるだろうな」

 「時間がドイツ帝国の味方だよ」

 

 

 11/18 装甲巡洋艦 日進 爆発事件

 関係者たち

 「またかよ」

 「今度は、昇級できなかったからだと」

 「ちっ 下士官以下じゃじゃ生き地獄だからな」

 「軍部は、昇級人事と軍事費増大を要求してますよ」

 「ちっ 腐れ外道が、民間で出世できなかったら工場ごと燃やしたりするか」

 「辞めて百姓に戻りやがれ」

 「一旦軍部で甘い汁を吸ったら、百姓仕事なんてしたくないでしょう」

 「バカどもが、全員、遠方基地に左遷だ」

 「クーデターを起こすのでは?」

 「人減らしで反乱軍で鎮圧させて、ほかの部隊を出世させる方がマシだ」

 「事勿れじゃ・・・」

 「もう、馬鹿どもに合わせるのは、うんざりだ」

 

 

 11/28 アルバニアがオスマン帝国から独立を宣言

 

 ドレッドノート型戦艦の誕生により、

 前ド級戦艦の値崩れは、大西洋において激しかった。

 既に戦力外にされた前ド級戦艦も多く、

 イギリス海軍は、自ら発明したドレッドノート型によって苦境に立たされてしまう。

 ドイツ帝国の前ド級戦艦売却によって、前ド級戦艦の存在意義低下は、決定的となり、

 イギリスは、戦艦ドレッドノートと前ド級戦艦10隻を存在意義を保てる東アジアへと派遣する。

キング・エドワード7世型戦艦 8隻
排水量 全長×全幅×吃水 hp 速度 航続距離 兵員
16350 138.3×23.7×8.2 18000 18.5 10ノット/9180海里 777
45口径305mm連装砲2基 47口径234mm砲4門 50口径152mm砲10門 魚雷×4
キング・エドワード7世、コモンウェルス、ヒンドゥスタン、ブリタニア、ドミニオン、ニュージーランド、アフリカ、ハイバーニア

 

ロード・ネルソン級戦艦 2隻
排水量 全長×全幅×吃水 hp 速度 航続距離 兵員
17820 152.4×24.2×7.9 16750 18 10ノット/9180海里 800
50口径305mm連装砲2基 50口径234mm連装4基 50口径234mm砲2門 魚雷×5
ロード・ネルソン、アガメムノン

 売れるモノなら売却すべきだった。

 しかし、日本は戦艦建造で自立しており、

 清国海軍は、ドイツとオーストリアから戦艦9隻+6隻。海防戦艦8隻+3隻を得ており、

 イギリスは転売先に困り果てた。

 ド級戦艦が遊弋する大西洋で前ド級戦艦を求める国はなかった。

 前ド級戦艦が唯一価値を保てるとしたらインド・太平洋域だったのである。

 香港

 ロード・ネルソン 艦橋

 「日本が摂津と河内を建造しているそうじゃないか」

 「24000トン級で、50口径305mm連装4基、120mm連装8基だそうです」

 「コロッサス型戦艦に近いのかね」

 「トン数の割には兵装が小さく、重防御か、外洋向け戦艦のようです」

 「日本の鋼材生産量で計算すると外洋向けと思われます」

 「まさか、日本が大陸から退くとは思わなかったが、おかげで中国に介入し難いな」

 「清国海軍が攻撃してくれば、殲滅できるのですが」

 「清国海軍も、そこまで馬鹿ではあるまい」

 「清国は、列強の干渉を排し、近代化のため資源を叩き得るだろう」

 「その後、巻き返そうとするだろうな」

 「前ド級戦艦9隻で20年くらい時間を稼げれば近代化も弾みがつくだろう」

 「近代化できれば、ですね」

 「ドイツ帝国め、東アジアで足場を造るためにロクな事をしないな」

 「イギリスは、インドを押さえておけば、帝国を保てますからね」

 「イギリスにとって、中国大陸権益は、デザートみたいなものですよ」

 「そんなところだろうがね」

 「しかし、ドイツの極東権益は、第二のドイツ帝国建国に近い」

 「問題ですね」

 

 

 

 12/03 第1次バルカン戦争休戦

 

 

 1902年就役 フランス製元ロシア装甲巡洋艦バヤーン、

 日露戦争において、日本海軍に捕獲され、

 装甲巡洋艦 “阿蘇” として、日本に編入されていた。

 45口径203mm単装砲2基、45口径152mm単装砲8基、22.5ノット。

 ド級戦艦の登場と東アジア情勢の変化に伴い、

 航洋性が重視され、兵装が削減され、改装される。

バヤーン型装甲巡洋艦 1隻
排水量 全長×全幅×吃水 hp 速度 航続距離 兵員
8000 150×17.4×6.7 25000 25 10kt/10000海里 364
45口径152mm3連装砲2基 50口径75mm連装砲4基 艦首50口径203mm砲縦連装1基
阿蘇

 改装された装甲巡洋艦 阿蘇は、密かに実弾演習場に向かう。

 阿蘇 艦橋

 艦首50口径203mm砲縦連装砲は、円筒状でなく、2連装の長方角状であり、

 砲口を軸にし、壁で砲身を押さえ、仰角だけは0度から45度まで上げることができた。

 左右角は郭壁で固定され、砲撃による砲身のブレはない。

 砲雷長は水雷用の測距器を覗き込み、標的を直線上になるのか合わせる。

 仰角45度で初速840m/sなら最大射程28900m。34秒ほどで着弾する。

 雷撃と違い、線でなくピンポイントで着弾させなければならない。

 相対距離・相対速度と予測する方位など、命中までの時間が計算されていく。

 それ以外は、潜水艦の雷撃と同じだった。

 「仰角25度・・・」

 艦首に固定された砲口が固定され、

 艦内の長方角の砲身が競り上がっていく。

 「・・・てぇ!」

 艦首から黒い砲弾が2発、

 間隔が僅かに前後して撃ち出された砲弾は、標的を吹き飛ばした。

 「良さそうじゃないか」

 「不便ですし、回避運動を取られたら当たりませんよ」

 「まぁ 一旦回避が始まったらすぐ変えられるわけもないし、距離が近ければ当たるだろう」

 「それに兵装が減って、航洋性も増し、速度も上がっている。悪くないよ」

 「商船狩りだけなら、152mm砲でも十分ではありますがね」

 「しかし、アメリカから重油を買わなければならんな」

 「燃料は、最大の弱点になりそうですね」

 「北ニューギニアで石油でも発見できればいいがね」

 

 

 

 西サモア (2944ku)

 サバイイ島(1708ku)とウポル島(1125ku)の間は20km弱

 軍艦は、一定の期間で錆び止め塗装をし直さなければならない。

 軍艦を南洋に派遣しても、錆び止め塗装のため、

 一定の期間で、内地と外地行き来させられては、燃料も作戦能力も低下する。

 そして、ようやく、水力発電を利用した電力が夜を照らし始めた。

 「電灯がつくと、周りが急に暗くなるんだな」

 「まぁ 少しは文化的になるよ」

 「だけど、外地にドック作るの反対だよ。内地に戻れなくなるじゃん」

 「そうそう、奴ら大本営に引き籠って、俺たちを見殺しにそうだし」

 「あいつらの自己満足と出世のために殺されるの嫌だし」

 「モラル維持できねぇし、やってらんねぇ」

 「だけど、移民が進めば、ここを基地に作戦をしないといけないだろう」

 「移民が進めばな、だってこの島、田舎じゃん」

 アジアから引き揚げ、南洋の基地設営が進むにつれ、

 ポストが増えると南洋整備費も急増していく。

 

 

 日本 造船所

 船台に30000トン級貨客船が建造されていた。

 日本は、平和な国という表向きの言い訳のため、

 最大の船は客船。

 薄っぺらな鋼板が重ねられ、リベットを打ち込まれ、

 船が組み立てられていく。

 そして、たとえ貨客船であっても、心臓部の機関は、イギリス製であり、

 あるいは、ドイツ製、アメリカ製だった。

 「何隻建造するって?」

 「30隻」

 「マジかよ」

 「それだって、90万トンだろう」

 「ドイツ帝国と東ゲルマニアの航路に入れれば、マルク箱なんだよ」

 「それにオーストリア帝国のドイツ領移民も進むらしい」

 「そんなに金が欲しいのか」

 「パナマ運河が建設されたら、太平洋・大西洋で大通商時代だろう」

 「それに乗らないやつはバカ」

 「まぁ 日本の水兵は安いからね」

 「そういうこと、安く建造して、安く運営できれば国際競争力で日本は、あっという間に海運国」

 「しかし、急いで作らないとな」

 

 

 

 

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 月夜裏 野々香です。

 オーストリア旧式艦艇 戦艦6隻、海防戦艦3隻が清国海軍に編入です。

 オーストリア・ハンガリー帝国は、ひょっとしたらです。

 

 清国が立て直されてしまいました。

 が〜ん!!

 中国とフランスの類似性から、

 フランス革命みたいに皇帝抹殺でゴタゴタすると思いきやソフトランディング。

 それも日本、イギリスと同じ立憲君主制。

 ありえねぇ〜〜!!!!!

 

 

 東アジア情勢、

 日本帝国、清国、ロシア帝国、ドイツ帝国が覇を競います。

 アメリカ合衆国とイギリス連邦が介入し、史実と違って賑やかです。

 

 艦首固定砲の実験です。

 いや、やりたかった。

 波動砲じゃないけど、

 二連波動砲じゃないけど、

 違うのは上下の二連装砲

 

 

 

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第04話 1911年 『満韓喘惜(まんかんぜんせき)』
第05話 1912年 『東西、古き封建社会の延命』
第06話 1913年 『軍を増強しても、国は近代化しない』