月夜裏 野々香 小説の部屋

    

仮想歴史 『風が吹けば・・・』

 

 

第07話 1914年 『労奴か、侵略か』

 01/05 フォード・モーター社が従業員の8時間労働と日給5ドルの最低賃金導入を発表

 

 01/12 桜島大噴火

 

 01/23 シーメンス事件

 この時期、1ポンド=20マルクで計算されおり、

 日本の海軍予算は、6000万円+200万ポンドが見込まれていた。

 イギリスとドイツから見ると200万ポンドの財布がガマ口を広げようとしていた。

 そして、円札も対日貿易限定で有用であり。

 贈収賄するな、が無理な話しだった。

 シーメンス(独)と日本の土建屋勢力が結託し、海軍の贈収賄事件が起こる。

 そして、日本海軍は、土建屋の罠に乗ってしまったのである。

 大陸への道を塞がれ、縮小した陸軍に続き、

 海軍も贈収賄事件で、失墜してしまうのだった。

 帝国議会

 「おんしらぁ 愛国心と言いながら私腹を肥やしちゅうのか」

 『ちっ 嵌められたぜ』

 「国を守ってやるから予算よこせで、私腹を肥やしちゅうか」

 『お前らだって、ダム造って、ポストに収まってるじゃないか』

 「予算欲しさに、わざと戦艦を自沈しちゃーせんろうな」

 「ま、まさか、そんな・・・」

 「今度は、国を守るから財産よこせで、国民から土地を奪い」

 『お前らだって、公有地を収用してるじゃないか』

 「そして、次は、愛国心があるなら命をよこせか」

 『お前らだって、崩落事故で人殺してるだろうが』

 「国益も国民も犠牲にして、自分の地位、名誉、利権を守るため戦争も辞さずちゅうか?」

 「ま、まさか」

 「それをなんて言うか知ってるか?」

 「「・・・・」」

 「愛国詐欺って言うんだよ」

 「「・・・」」

 「おんしらぁ まだこりんこつか、武に武をつぶけて、日本が立ちいくはずがないぜよ」

 「し、しかし・・・そうゆても・・・」

 「ぐ、軍備は、必要やけぇ」

 「もっと、人材を育てないかんぜよ」

 「既得権益とか、根回しとか、通用せんところで、ちょろちょろやられるとな」

 「そうそう、国内派閥優先。外国とは、まぁ 付き合いのことやし」

 「狭い、狭いぜよ、おんしらぁ」

 「い、いや、日本の国情だから、和をもって貴しとなす」

 「若者が俺らを超えると誇らしいけど、付いていけないし、下剋上で嫌だし」

 「若者は自分より、バカのままの方が可愛かったりね」

 「うんうん、あと、事勿れとか、根回しとか、大切だから・・・」

 「おんしらぁ そういうて、坂本竜馬を殺したんか?」

 「なっ!」

 「ま、まさか」

 「維新の英雄ば、そんな、殺すわけなか、薩摩じゃあるまいし」

 「ば、バカ言うな。そげんこっあうわけんなか」

 「とにかく、武で武にぶつかっても欧米列強に勝てもうさん」

 『『利権とかあるだろう。空気読めよ、このバカが・・・』』

 「ふっ 維新志士の末裔も老いたな。護憲より利権絡みで膠着しちゅう」

 「「ちっ!」」

 日本は、国外勢力に対し、開国派、攘夷派に分かれやすい。

 欧米列強の圧力に対し、日清日露と戦って、尊王攘夷派が優勢になったものの、

 ドイツ帝国のきまぐれによって海軍戦力比がひっくり返り、

 大陸利権とドイツ南洋権益の交換後、開国が優勢になっていく、

 藩閥政治が色濃く残る日本であり、

 土佐人の意見は、国をまとめる上で少なからず影響力があった。

 そして、政治権力で優勢になった方が予算を持って行くのである。

 とはいえ、大陸利権を失っても、海外資源に足場を欲していることにかわりなく、

 紆余曲折があって、日本で、海外邦人組織、海援隊が組織される。

 坂本竜馬が目指した日本がどんなものであったか、知る由もない。

 とはいえ、日本の軌道修正は、坂本竜馬の目指した国策に近付いたと朝野で評価されていく。

 

 

 シーメンス事件は、海軍のポスト縮小に繋がり、

 富士、丹後、壱岐

 浅間、常磐など、旧式化した艦艇の一掃に繋がる。

 とはいえ、軍部を刷新しつつも国防は怠るわけにもいかず、

 妥協が図られる、

 日本政府は、イギリス植民地への日本商館進出の代償で、

 暴落した前ド級戦艦ロード・ネルソン型2隻とキング・エドワード7世型8隻、

 計、戦艦10隻を購入したのである。

ロード・ネルソン型戦艦(約160万ポンド) 2隻
排水量 全長×全幅×吃水 hp 速度 航続距離 兵員
17820 152.4×24.2×7.9 16750 18 10ノット/9180海里 800
50口径305mm連装砲2基 50口径234mm連装4基 50口径234mm砲2門 魚雷×5
ロード・ネルソン、アガメムノン

 

キング・エドワード7世型戦艦(約140万ポンド) 8隻
排水量 全長×全幅×吃水 hp 速度 航続距離 兵員
16350 138.3×23.7×8.2 18000 18.5 10ノット/9180海里 777
45口径305mm連装砲2基 47口径234mm砲4門 50口径152mm砲10門 魚雷×4
キング・エドワード7世、コモンウェルス、ヒンドゥスタン、ブリタニア、
ドミニオン、ニュージーランド、アフリカ、ハイバーニア

 前ド級戦艦暴落で安く買い叩かれ、

 海外商館建設を足されても、十数年分の定額支出はイギリス海軍にとっても大きく、

 イギリス海軍は常に一定以上の最新鋭艦を揃えることができ、

 日本は、払い下げられた戦艦を改装することで延命を図りつつ、

 イギリス植民地への商館建設で販路を確保できたのだった。

 戦艦の減価償却は25年で計算され、

 さらに前ド級戦艦の暴落分が差し引かれ、

 新型機関や予備の治具、大砲の売却など含み、日本へ売却された。

 ドイツ帝国は前ド級戦艦22隻を黒字輸出出来たのに、

 イギリスの前ド級戦艦10隻の売却は目減りしたものだった。

 とはいえ、新型の26250トン級巡洋戦艦オライオンの建造費が200万ポンドであり、

 前ド級戦艦10隻+細々としたモノを日本に売却してもよく、

 新造巡洋戦艦4隻を建造すると得だったのである。

 日本は、鋼材の入手で苦労しており、

 解体すれば優良資源となる現物を買い叩く方が有利だったのである。

 赤レンガの住人たち

 「主砲を305mmから234mm砲か」

 「装甲巡洋艦だから・・・」

 「105mm砲は?」

 「対魚雷艇用」

 「敵地に近付かないのだから、対商船用の152mm砲の方が良くないか?」

 「東シナ海は、物騒だからね」

 「そうだった」

 「・・・改装要項は、悪くないと思うけど、艦隊決戦は考えてないよね」

 「もう通商破壊だね」

 「全長は延ばさないと駄目なのか?」

 「延ばさないと時化で揺れるだろう、時化で揺れると大砲が当たらないだろう」

 「全長が長いと、回頭で時間がかかるんだよな」

 「艦首艦尾砲の50口径356mm砲は、当たるのか?」

 「まぁ 低伸弾道だから当たりそうかな」

 「低伸弾道って、本当にそうなるの?」

 「そう見えるだけで、角度が低い方が当たりやすいだろう」

 「なんか、不安だな」

 「魚雷と思えばいいさ。魚雷よりは安い」

 「海水が艦首砲口に入らないか?」

 「蓋をしてるし、阿蘇では艦首を余計に競り上げて、成功している」

 「大時化じゃなければ大丈夫だろう」

 「重量配分は?」

 「主砲も小さくしたし、兵装も減らしている」

 「艦首と艦尾が重くなるけど、砲塔より軽くできるし、転覆しやすいまではいかないよ」

 「砲身の制約がないなら、矢尻の付いた砲弾を撃ち出した方がいいんじゃないか」

 「まぁ 研究はしてるけどね」

 「それより、注排水システムは?」

 「んん・・・機関が倍の大きさになったからね。区画が少ないから、一応って感じかな」

 「少なくとも戦艦以外に負けなきゃいいけど」

 

姫神(ロード・ネルソン)型装甲巡洋艦 2隻
排水量 全長×全幅×吃水 hp 速度 航続距離 水上機 兵員
22000 180×24.2×7.9 31000 26 10ノット/12000海里 2機 700
50口径234mm3連装2基 50口径102mm連装砲8基   50口径356mm連装艦首・艦尾砲
姫神、白神

 

 そして、日本は以前、イギリスから購入したキング・エドワード7世型戦艦、香取、鹿島と合わせ、

 購入した10隻を改装する。

妙高(キング・エドワード7世)型装甲巡洋艦 10隻
排水量 全長×全幅×吃水 hp 速度 航続距離 水上機 兵員
20000 170×23.8×8.2 31000 26 10kt/12000海里 2機 600
50口径234mm3連装2基 50口径102mm連装砲8基   50口径356mm連装艦首・艦尾砲
香取、鹿島 + 妙高、那智、足柄、羽黒、高雄、愛宕、摩耶、鳥海、

 

筑波型装甲巡洋艦 2隻
排水量 全長×全幅×吃水 hp 速度 航続距離 水上機 兵員
18000 160×23×8 31000 28 10kt/10000海里 2機 564
50口径234mm3連装2基 50口径102mm連装砲8基   50口径356mm連装艦首・艦尾砲
筑波、生駒

 

摂津型戦艦 2隻
排水量 全長×全幅×吃水 hp 速度 航続距離 兵員
26000 180×25×8.2 25000 23 10kt/10000海里 764
50口径305mm砲連装4基 45口径120mm単装砲8基 水上機3機  
摂津、河内

 

薩摩型戦艦 2隻
排水量 全長×全幅×吃水 hp 速度 航続距離 兵員
22000 160×25×8.2 21600 22 10kt/10000海里 664
45口径305mm砲連装3基 45口径120mm単装砲8基 水上機3機  
薩摩、安芸

 

鞍馬型巡洋戦艦 2隻
排水量 全長×全幅×吃水 hp 速度 航続距離 兵員
18000 160×23×8 24000 25 10kt/10000海里 564
45口径305mm砲連装3基 45口径120mm連装砲8基 水上機3機  
鞍馬、伊吹

 

 日本海軍 大綱

 戦艦4隻、

   摂津、河内。薩摩、安芸

 

 巡洋戦艦2隻、

   鞍馬、伊吹

 

 装甲巡洋艦14隻

   姫神、白神。

   香取、鹿島。妙高、那智、足柄、羽黒、高雄、愛宕、摩耶、鳥海。

   筑波、生駒、

 

 前ド級戦艦 7隻

   敷島、朝日、三笠、石見、肥前、周防、相模、

 

 旧型装甲巡洋艦6隻

   八雲、吾妻、出雲、磐手、春日、日進

 

 「改装はいつ終わるのかな?」

 「まぁ ぼちぼちかな」

 「シーメンス事件が痛かったね」

 「対潜装備とか、対空装備が必要だよね」

 「どこかで戦争にならない限り、難しいと思うよ」

 「問題は、前ド級戦艦の敷島、朝日、三笠、石見、肥前、周防、相模の7隻と・・・」

 「前ド級装甲巡洋艦の春日、日進、出雲、磐手、吾妻、八雲の6隻か」

 「錆びの方は?」

 「ああ、予算削減されたけど隻数も減らされたし、防錆のお色直しは丁寧にやってるよ」

 「でも一部は、張り替えた方がいいね。内装も良くしないと・・・」

 「主砲はワンランク落として、50口径203mm3連装と50口径152mm3連装が良いのかな」

 「そうだね。全長を伸ばして、50口径305mm艦首砲と50口径234mm艦首砲で良いでしょう」

 「新造艦が作りたい・・・」

 「30000トン級の商船を建造したいってさ」

 「くっそぉ あいつら、難癖付けていつも予算を取りやがる」

 「いい加減、昇級できないし、泣きが入るよ」

 「もっと、脅威を煽りたてないと」

 「んん・・・東ゲルマニアは、ロシア帝国と清国と陸地で接して身動きが取れないし」

 「アメリカ軍将兵は平時15万に満たないから、面積比で日本軍より弱いしな・・・」

 「それ言うと予算減らされそうだな」

 

 

 

 ドイツ帝国、

 統一によって中央集権が進んでもドイツ帝国は貴族諸侯国連合だった。

 三半島の爵地領化で土地の配分が確定され、

 一部は、市民の権利を拡大した自由都市が建設される。

 利権構造と社会基盤が整備されるにつれ、

 ドイツ人の移民も本腰が入る。

 東ゲルマニア移民は、海洋ルートとシベリア鉄道ルートの二つがあり、

 複数ルートが存在する事こそ、ドイツ帝国が日本と権益交換に応じた理由であり、

 半島で併合に至る謀略と工作がなされ、

 資本投資が促進された理由だった。

 東ゲルマニアはドイツ領であり、

 山東・遼東半島は租借地という違いがあった。

 しかし、製鉄所、発電所、鉄道、港湾施設が建設されていくにつれ、

 もう一つのドイツ帝国と言えるほど近代化が進んでいく。

 

 

    領有 面積(ku) 利権 面積(ku) 軍(万) 人口(万)
北欧 ドイツ帝国 54万0857     4700
朝鮮半島 東ゲルマニア 21万0000   100 1000
遼東半島     3462+1万2500 10 100
山東半島 ホーエンツォレルン 4万0552 11万6700 20 200
カメルーン 南ザクセン 79万0000   10 100
東アフリカ 南ヴュルテンベルク 99万4996   10 100
南西アフリカ 南バイエルン 83万5100   10 100
トーゴランド 南バーデン 8万7200   10 100
 
ドイツ帝国 350万2167 12万9200   6400

 遼東半島と南満州鉄道の6割権益は、アメリカ極東権益の牙城であり、

 ドイツ帝国とアメリカ合衆国は、互いに出し抜こうと考えつつ、

 南満州鉄道権益で競合しており、

 結果的に米独対露同盟に近い結束を見せる。

 長春は、米独露3ヵ国の鉄道権益が交わっていた。

 長春ホテル U&D

 列強各国の代理人たちが集まって興味深そうに新聞を覗き込む。

 「ドイツ人も本気らしいな」

 「ふっ ドイツ人の職人気質は正直だからね」

 「ドイツ人の気質が面白みがないとはいえ、国家としてみれば必要だと思うよ」

 「ドイツ人のアメリカ移民も減っているからな・・・」

 「東西、二つのドイツ帝国は、100年もすれば強大なワールドパワーになりそうだ」

 「それは両端のドイツの利害が一致すればだよ」

 「利害が一致するとは限らないからね」

 「どちらにしろ、強国現るだと、イギリスも、アメリカも困るよ」

 「三半島は、軍120万とドイツ人1200万だから、その分ドイツ本国は脆弱なんだ」

 「移民の邪魔をするとドイツ本国が強いままだ残る」

 「三半島は、列強の植民地で最強だろうな」

 「取り敢えず、まだ社会基盤が脆弱だ」

 「極東でドイツ帝国が弱い間は、ドイツ帝国の味方をするとして」

 「ドイツ帝国が強くなったら、ロシア帝国か、日本と連動すべきだろうな」

 「欧州との兼ね合いもあるぞ」

 「ドイツとロシアは、前ド級戦艦を売買した関係だ。そんなに悪くないはず」

 「しかし、前ド級戦艦15隻だぞ。ドイツ帝国は、大儲けだ」

 「ロシア帝国は購入資金でスッカラカンだな、戦争できるのか?」

 「さらに極東に十数個師団を引き抜かれているようなものだ」

 「それに比べ、イギリスは、旧式戦艦を安く買いたたかれたらしいな」

 「前ド級艦を買ってくれるなら構わんよ」

 「植民地の日本商館も、植民地防衛の足しになる」

 「それにロシアは、対日復讐とアジア覇権。清国は主権回復で買っただけ」

 「それ以上じゃないな」

 「しかし、日本は国産建造を止めるとは意外だね」

 「客船建造で忙しいのだろう。それに日本戦艦は、過渡期だ」

 「通商破壊艦に改装していると噂があるぞ」

 「それなら巡洋艦を建造すべきだろう」

 「まぁ 古いワインは古い革袋。新しいワインは新しい革袋が常識だがね」

 

 

 03/24 第1次山本内閣総辞職(シーメンス事件による)

 明治維新の立役者が中央官僚機構を構築し、

 その系統が学閥と才覚によって独自の利権を保ち、

 聖域の中で、のさばっていた。

 代議員は、人気と地場の利権と政策の集票によって得られる民主主義の聖域であるとするなら、

 官僚機構は、学制の門をくぐることで与えられる無産階級に切り開かれた聖域だったのである。

 頭数と才覚の牙城が共に協力し合えるのなら理想でも、

 現実は、限りのある権力と利権の奪い合いであり、

 そうならないのである。

 そして、大臣は、官僚に人事権が及ばず、

 双方に隔絶があったのである。

 政策の連続性、行政の連続性のプラスの側面があり、

 ムラ社会劣化、事勿れ、

 根回しといった陰湿なマイナスの側面も歴然として存在したのである。

 議会の一角、

 「行政の連続性が良いとは限らないさ」

 「しかし、一定水準の能力に達しない者が役人になるのは怖かろう」

 「だがまるっきりの聖域では、自浄能力も自助能力さえなくしてしまう」

 「軍艦の自爆と違って軍艦ごと証拠隠滅ではないのだ」

 「こういう不祥事を起こした時くらい責任を取ってもらいたいものだな」

 「むしろ、証拠隠滅できない基地の方がいいような気もするがね」

 「南洋に軍官僚の避暑地を造られ兼ねないぞ」

 「ちっ どこまでも腐りやがる。他国は?」

 「ふっ どこも同じ、利権を握るやつが正道を曲げやがるからな」

 「「「「・・・・・」」」」 ため息

 

 

 04/16 第2次大隈内閣成立

 

 

 05/27 靖国神社

 日清・日露の遺族たちが集まっていた。

 戦死者を英霊にするのか、亡霊にするのか、

 それは、生き残った者に託された選択枝といえる。

 遺族の多くは、ドイツ帝国に転売された半島に住みたいわけでなく、

 米独権益地に取り残された満州南鉄道付近に住みたいわけでもない、

 もちろん、権益交換で得た南洋の領地に住みたいわけでもない、

 彼らの多くは、優先的に内地の土地の配分が決まり、

 日本に残されていた。

 そういう観点でみるなら、侵略で奪った領土は、弱者に押し付けられ、

 強者は国内の所領を増やし、己が聖域を保持する戦略と言える。

 一部は弱者に還元されるものの、ほとんどの者は、地位も名誉もなく、

 老後は、不安だったりする。

 状況によっては、遺族ですら国内に住めず、

 新天地へと追いやられたりするわけで、

 戦争は、敵を作ることで、国内の反体制分子の視点を敵に向けさせ、

 権力者の安定と富の拡大のなにものでもない。

 無論、戦争に負けなければである。

 戦後、日本は、米英独清需要により、

 “日本商船が入港しない港はなく、日本商船が出航しない港はない”

 といわれるほど、日本経済は、急成長を遂げようとしていた。

 しかし、ピラミッドの底辺を押し上げると頂上は、どうなるか、

 推して知るべしであり、その結果も明白だった。

 靖国の英霊の下、漢たちが集まり、酒を酌み交わしていた。

 将兵たち

 「こうやって日本海海戦の日に集まったというのに、寂しいなぁ」

 「ったくぅ〜 みんなだって贈収賄くらいやってるじゃないか」

 「それを俺たちばっかり悪者にしやがって」

 「日本人って、淀んでると思ってたら徹底的に吊るし上げて、コテンパンするから・・・」

 「組織ごと生殺与奪権を握ろうとするし」

 「我田引水で予算を持って行こうとするから陰湿だよねぇ」

 「ったくぅ〜 ちったぁ 大局的見地から見れないのかね」

 「誰が国防を担っていると思っているだ」

 士官の一人が深刻な表情で呟く、

 「山本大尉(30)」

 「なんだ。南雲大尉(27)」

 「日本は、このままで、良いんでしょうか?」

 「ん?」

 「近頃、僕は、あの日清・日露の戦いが一体何だったんだろうかと、よく考えるんです」

 「大国清国と戦い、世界最強のロシア艦隊と戦って、勝った」

 「それが強国ドイツ帝国の気紛れだけで、日本は、戦勝地を全て明け渡してしまう」

 「東郷長官をはじめ、大勢の陸海軍兵士の命を犠牲にして戦い抜いた・・・」

 ぼこっ!

 「ぅ・・・」

 「わしは、まだ生きとるわ バカ者!」 (享年67歳)

 「「し、失礼しました。元長官!」」

 「まぁいい、続きを言ってみろ南雲大尉」

 「はっ 日清日露戦争は、陸海軍将兵を犠牲にして日本を救う」

 「ただそれだけのためでした」

 「「・・・・」」

 「ですが、日本は、これで良いんでしょうか?」

 「東郷元長官。山本大尉」

 「今、日本は、以前にも増して富み栄えています」

 「日本史始まって以来と言ってもいいでしょう」

 「「・・・・」」

 「しかし、日本を救うというのは、こういう日本を作るということだったんですか」

 「こういうことのために元東郷長官や山本大佐は、命を掛けられたのですか?」

 「それじゃよ、南雲大尉」

 「わしはその言葉を待っておったんじゃよ」 涙ぐむ

 「「東郷元長官!」」

 「みんなで力を合わせ、トーゴービールの国内販売に尽力するんじゃ」

 「「東郷元長官!」」 涙々

 「頼んだぞ」

 『『軍艦じゃないんですか』』 つーーー!

 サイレンが鳴ると仕事が始まり、建設途上のビルから音がする。

 そして、先行き不安な戦傷兵は、新しく建設されるビルに向かって叫ぶ。

 「ばっかやろー!」

 

 

 ベルギー領コンゴ (234万5410ku)

 「お願いします。し、仕事をください」

 「んん・・・まぁ いいか」

 日本は、ベルギーに地代を支払い、借り受けた土地で開発を行い、

 成功すれば利益を得、失敗すれば撤収する。

 また、ベルギーから発注した水力ダム建設なども請け負った。

 この方式は、植民地を持つ列強に対し、日本資本が行っている事業であり、

 ブラジルなど後進国でも資源で見込みがあれば強行し、

 日本政府の部局内では、列強植民地補完計画と呼ばれていた。

 欧米諸国も同国人を働かせるより安く済み、安定収入を得られ、

 国際的な非難も浴び難いと好まれる。

 日本人労働者は、劣悪な環境と安い賃金で働かされ、

 「あづぃいいいい〜」

 「きついぃいいい〜」

 「きけんだおぉ〜」

 「ぅぅぅ・・・ぐっすん! こんなの、戦って玉砕する方がマシ〜」

 「そうだ、そうだ、日清日露で戦って勝った日本民族がこんな。こんな・・・」

 ふらふら ふらふら ふらふら ふらふら

 ばたん!

 「ど、どうした」

 !?

 「す、凄い熱だ」

 「で、伝染病だ」

 「に、逃げろ!」

 「・・・そ、そんなぁ・・・も・・もう・・・がくっ」

 

 「へ、蛇だ」

 「げっ! か、咬まれた」

 「し、しぬっ〜」

 「お、おい、しっかりしろ、傷は浅いぞ」

 「・・・最後に・・・田舎の柿を・・・がくっ」

 決死の開発でありながら見舞金も遺族年金も少なく、

 採算は悪くなかった。

 そして、コンゴは、銅、コバルト、ダイヤモンド、カドミウム、黄金、銀、亜鉛、

 マンガン、錫、ゲルマニウム、ウラン、ラジウム、ボーキサイト、鉄鉱石、石炭、

 などなど、多くの鉱物資源が存在し、

 「やった〜♪」

 「錫だ!」

 「「「「万歳! 万歳! 万歳〜!」」」」

 開発の成功率も思ったより高かった。

 植民地や後進国の資源開発は、資源価格を押し下げ、

 日本は資源を購入しやすくなり、

 加工し、列強に売ることで外貨が得られるのであれば悪くなく、

 日本資本は、好んで列強の植民地開発。

 後進国の開発を請け負っていく。

 

 

 

 その日、ボスニアの街、サラエボで銃声が轟いた。

 悲鳴が聞こえ、騒動が続き、

 オーストリア皇太子フランツ・フェルディナントが暗殺され、

 セルビア人の青年が捕らえられた。

 06/28 サラエボ事件

 

 

 07/23 オーストリア・ハンガリー帝国がセルビアに最後通牒

 

 07/28 オーストリア帝国がセルビアに宣戦布告。

 

 07/30 ロシア帝国が総動員を発令

 その後、ドイツ帝国、イギリス、フランスが動員をかけ、

 欧州各国は、緊張状態となっていく。

 

 

 シュリーフェン・プラン破綻

 ドイツ帝国は、植民地へ中核(志願兵)部隊の160万を移動させており、

 ドイツ本国で動員した将兵は、徴兵比率の多い960万となり、

 戦略的な攻勢は困難に思えた。

 それだけ、東ゲルマニアの価値と潜在的な可能性は高く、

 相減効果でドイツ帝国の参戦を躊躇させる。

 ドイツ帝国皇帝ヴィルヘルム2世は、戦争回避で攻勢より守勢を望み、

 西部のヒンデンブルク・ライン

 そして、東部のグンビンネン・ライン(1000km)の防衛線を補強していく。

 当然、ベルギーへ軍の通過要求を出す事もなく、

 露仏同盟軍の攻勢を疲弊させる戦略を取らざるを得なかったのだ。

 独墺同盟と露仏同盟の国境線は、それぞれの軍団が塹壕を掘り、

 待ち構えるだけで終始していく。

 

 

1914年8月戦争勃発時の戦力 (日清露は1908年)
  史実 戦記 戦記 戦記 戦記 史実 戦記
  ドイツ 清国 極東ロシア 日本 イギリス
巡洋戦艦 4 3     2 9 9
ド戦艦 14 4     4 20 20
前ド戦艦 22 0 15 15 7 39 25
海防戦艦 8 0 11        
装甲巡洋艦 7 7     14 34 34
6
小型巡洋艦 12 12     10 64 64
駆逐艦・水雷艇 89 48     38 301 301
Uボート 19 130       65 65
               

 

 東ゲルマニア(朝鮮半島)

 前線となるのは、ウラジオストックに面した一角だけだった。

 注意しなければならない戦線はウォーメン川を国境とする130km弱であり、

 ドイツ軍100万で十分守ることができた。

 極東ドイツ海軍は、ド級ナッサウ型戦艦2隻、装甲巡洋艦2隻が配備され、

 極東ロシア海軍(前ド級戦艦15隻)と対峙する。

ナッサウ型戦艦 4隻
排水量 全長×全幅×吃水 hp 速度 航続距離
18570 137.7×26.9×8.1 22000 19.5 10kt/8000海里
45口径283mm砲連装6基 45口径150mm砲12門 450mm魚雷5基
ラインラント、ポーゼン

 ラインツ(羅津)ドイツ陸軍司令部

 「ロシアと戦争になるのかな」

 「戦争になれば、ウラジオストックを占領して見せますよ」

 「南満州側がどうなるかわからんから、まだ様子見だ」

 「南満州で攻撃してくれば、アメリカも巻き込んで戦争です」

 「ハリマンとの合弁は正解だったかもしれんな」

 「しかし、最大の懸念は、社会基盤がこれからということかな」

 「朝鮮人を使って国境沿いの陣地を強化しています」

 「陣地より生活だよ」

 「市庁舎、発電、製鉄所、鉄道、橋、港湾、上下水道、工場、公共施設・・・」

 「まだまだ、これからですね」

 「ドイツ人1000万の生活だけなら、それほど困らないかもしれないがね」

 「朝鮮人800万は?」

 「もっと少なくなりそうだな」

 「朝鮮人の女は、同族の男より、ドイツ人の方が好きそうだし」

 「確かに・・・」

 「まだ、ロシア海軍より、日本海軍の方が怖いな」

 「ロード・ネルソン型戦艦2隻、キング・エドワード7世型戦艦8隻は購入したばかり」

 「戦力外かと思われます」

 「ド級型は、摂津、河内。薩摩、安芸の戦艦4隻。鞍馬、伊吹の巡洋戦艦2隻だけ」

 「305mm砲は強力ですが砲数は8門と6門」

 「ナッサウ型は283mm砲12門。十分勝てると思います」

 「日本の要塞砲台に近付かなければな」

 「たしかに・・・」

 ドイツ帝国は海に出る道をイギリスに押さえられ、

 東ゲルマニアも海に出る道を日本に押さえられていた。

 外洋に自由に出られる港はアフリカの植民地だけであり、

 開発は、さらに遅れそうだった。

 

 

   

 シベリア鉄道 とある駅、

 列車が発車する前、ロシア軍将兵が乗り込み、

 ドタドタと、客車に入ってくる。

 「なんだ。どうしたんだ?」 ドイツ人

 ロシア軍将校が訛ったドイツ語で話し始める。

 「わかり難い・・・」

 「オーストリアとセルビアが戦争しそうだから、パスポートを確認しろだと」

 「はぁ?」

 「パスポートを見せろ」

 パスポートを提示させる。

 「おい、セルゲイ少尉。セルビア人とオーストリア人がいたら、席を離せよ」

 「はい」

 「将軍。ちゃんと、着くんだろうな?」

 ドイツ人がロシア将校に聞く。

 「大佐だ。運行を止めろと命令されていない」

 

 

 ドイツ帝国は、独墺同盟(1879/10/07調印)に基づき、

 ロシア帝国に警告、

 ロシア帝国は、オーストリア帝国がロシア帝国国境を侵犯しないのなら、

 オーストリア国境を超えないとドイツ帝国に確約。

 とはいえ、一旦、総動員がなされれば、国家総力が戦争へと向けられていく、

 ベルリン

 「ロシアは、オーストリアを攻撃する気なのか?」

 「まずいな東ゲルマニアの社会基盤は整っていない」

 「この状態で戦争になると不利だぞ」

 「とにかく、オーストリアとセルビアの戦争は、限定的な形にして欲しい」

 「ドイツ人の極東移民はシベリア鉄道を越えて行われている」

 「ドイツ帝国は三半島権益を捨てるわけにはいかないぞ」

 

 

 ルーマニア王国

 カロル1世は、各国大使の言い分に耳を傾ける、

 戦う気などサラサラない、

 とはいえ、強国ドイツ帝国と大国ロシア帝国の圧力は日増しに増しに高まり、

 戦雲に戸惑っていた。

 次々と、送られてくる親書を読みふけり・・・

 「・・・ロシア帝国がセルビアへの道を通せだそうだ」

 「ドイツ帝国を敵に回すことになります」

 「わかっておるよ。勝つ側についても、タダでは済まぬな」

 「小国は舵取りを誤ると滅びますよ」

 「わかっておるよ」

 

 

 ロシア帝国で総動員が始まると、

 ドイツ帝国とオーストリアも動員をかけ、

 待機状態のまま、時が過ぎていく。

 戦端が開かれなかったのは、利害が複雑に絡み過ぎていただけだった。

 しかし、総動員とは、生産の場から国民が徴兵されることであり、

 生産者だった者が消費者になるという事であり、

 総動員による経済損失は、毎日のように累積され、

 過剰分の生産は一部の業者に集まる。

 ドイツ、オーストリア、ロシア、フランスで戦時国債が発行され、

 特定の生産者のみ、投資され代金が支払われ、

 工場は3交替制となり、業績を伸ばしていく、

 国家の安全保障を賭けた危険なゲームといえた。

 

 ドイツの工場

 モーゼルGew98(7.92mm×57)

 MG08重機関銃(7.92mm×57)が生産される。

 「安定高収入は嬉しいけど。戦争にならないだろうな」

 「この総動員状態が続きだけで終われば、大儲けなんですけどね」

 

 

 08/15 パナマ運河開通式

 

 

 日本の国防は不足気味であり、

 失業率は小さく。

 海軍でさえ、底上げされているとはいえ、二線級海軍であり、

 陸軍も建設師団が半分を占め、即戦力とは言い難い国家だった。

 そして、侮り易しの軍事力は、外圧を受けやすかったものの、

 欧州列強が総動員を掛けると、逆に欧米列強の日本発注は相次いだ。

 工場は、需要に追い付こうと2後退交替へと移行し、

 設備投資も加速していく、

 ハングリーな中進国である日本は、資源を送れば、加工し、

 必要な部品の供給源となった。

 もちろん、欧米で生産するより安く完成する。

 そう、人材は、ますます生産部門に奪われ、

 軍部は、ますます、徴兵ができなくなる悪循環を造ってしまう。

 呉

 姫神(ロード・ネルソン)型装甲巡洋艦

    姫神、白神

 妙高(キング・エドワード7世)型装甲巡洋艦

    香取、鹿島 + 妙高、那智、足柄、羽黒、高雄、愛宕、摩耶、鳥海、

 赤レンガの将校たち

 「今どき、前ド級戦艦なんて流行らないだろう」

 「まぁ そういうなって、少なくとも数だけは揃えられる」

 「それにサラエボ事件前に到着して良かったよ」

 「おーぃ!」

 将校が走ってくる。

 「イギリスが戦争が始まったら、売ったばかりの戦艦10隻を貸してくれだと」

 「「「・・・・・」」」

 

 日本 東京

 日本陸軍は、大陸権益から撤収したことで削減されていた。

 平時編成は、13個守備師団12000 + 4個建設師団12000であり、

 戦時編成で徴兵が行われると、将兵25000となった。

 独立旅団の平時編成は、将兵3000であり、戦時編成で将兵8000となった。

 なので平時の日本陸軍は25万弱の兵力であり、

 戦時の総動員で将兵60万弱となり、その分の兵装・武器弾薬を準備していた。

 陸軍局 千代田区 永田町 三宅坂

 「日本は総動員しなくていいのか?」

 「イギリスが総動員していなのならしなくていいんじゃないかな」

 「ゲルマニアは100万の陸軍で玄界灘の向こうだぞ」

 「泳いでくるのか?」

 「まさか」

 「砲撃されても上陸作戦は無理だよ」

 「政府は、輸出産業で利益が上がって、どうでも良さそうだけど」

 「節操がないな」

 「ドイツ、ロシア、清国も日本に上陸できないと、見切ってるんじゃないのか」

 「それなら良いがね」

 

 

 ロンドン

 「独墺同盟と露仏同盟の動員は?」

 「ドイツ軍960万弱、オーストリア軍760万弱」

 「ロシア軍1200万弱、フランス軍840万弱・・・」

 「んん・・・ドイツ軍は下士官が少ない。露仏同盟が勝ちそうな気がするな」

 「戦争はまだ?」

 「宣戦布告してるのは、オーストリアとセルビアだけだ」

 「セルビア戦線は?」

 「オーストリアは将兵300万で攻勢をかけている」

 「特に精鋭5個師団は破竹の勢いだ」

 「セルビアは70万ほど動員しているがオーストリアに勝てないだろう」

 「戦争になったらドイツ帝国潜水艦隊と戦うことになるぞ」

 「そ、それはまずい」

 「と、とにかく、日本に片棒を担がせねば」

 「じゃ インドを・・・」

 「んん・・・餌は必要だよな」

 「このまま、日独同盟なんて、された日にゃ 負ける」

 「防ぐには、日本に利権分けせねばなるまい」

 「うぬぅ〜 んん・・・」

 

 

 オーストリア軍は、ドナウ川とサバ川を渡河、

 セルビア山岳部で激しい抵抗に遭っていた。

 オーストリア軍陣地

 「どうにも主力軍のない状態で対セルビア戦は厳しいな」

 「オーストリア主力部隊は、対ロシアでガリシア戦線に張り付けですからね」

 「イタリアの出方も気になりますし」

 「オーストリア帝国は皇太子を殺されたのだぞ」

 「セルビアに鉄槌を下さねば治まらん」

 

 

 

 エジプトの正式な国際的地位は、宗主国オスマントルコ帝国、保護国イギリスだった。

 それは現在も変わらず、

 トルコ帝国に肩入れするドイツ帝国と、

 イギリスの力を借りてトルコ帝国から独立を果たそうとするエジプトの間で摩擦が生じていた。

 勢力均衡の原則で、イギリス・エジプト連合だけだと不利であり、

 日本もエジプト完全独立に片棒を担がされていた。

 ナイル川

 ファルーカ(帆船)が行き交う中、

 近代的な日本製の河川客船も運行され始める。

 対熱対策の半金属船で贅沢なキャビンを各国の観光客、考古学者が占め、

 日本人たちは、船室の一角から砂漠を眺めていた。

 「あじぃいい〜!!! 焼け死ぬ〜!!」

 日本人の自称考古学者は、慌てて日陰に入る、

 「見ろよ。汗が流れる前に乾いて、ポロポロ落ちやがる」

 「日本の対英協力はインドまでじゃなかったのか?」

 「地中海とアラビア海にドイツ海軍が進出してから、そうもいかなくなったらしい」

 「だけど、軍事力に金を取られていたら何も出来んよ」

 「というより、労働で生計を立てるか、侵略で生計を立てるかだね」

 「ちっ 大国みたいに資源掘りまくりで、地主・大家の左団扇になりてぇよ」

 「羨んだからってないモノはしょうがねぇ 黙って働くしかないよ」

 「しかし、取り敢えず外交費で、エジプト投資すると言ってもな」

 「ナイル川で客船売却は悪くないよ。足場ができる」

 「足場ねぇ ブラジルが本命と聞いたけど」

 「いや、本命は、インド投資だろう」

 「イギリスは植民地維持で日本と協調を強める気配があるし」

 「これ以上、人材と生産力を軍に取られたくなさそうだ」

 「肩代わりで人材と生産力をイギリス軍に取られそうな日本は、どうなんだ」

 「まぁ そこは、それ、日英同盟だから」

 「はぁ 日英同盟って、当てになるのかねぇ」

 「さぁ 少なくともナイル川とインドのルートは最重要のはず」

 「保護領化が確実なら投資もやぶさかじゃないけどね」

 「ドイツ帝国、トルコ帝国、オーストリア・ハンガリー帝国の圧力は本物だな」

 「ああ、戦争になったら片棒を担がされるよ」

 「戦争反対」

 「戦争に巻き込まれないようにインドか、ブラジルだよ」

 「それともベルギーの下僕でコンゴ領で開発を手伝うか」

 「「「あははは・・・」」」 どょよよ〜ん

 

 

 

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 月夜裏 野々香です。

 なんとなく、海外組織 “海援隊” の誕生です。

 坂本竜馬の目指した日本な感じです。

 と言っても、暗中模索ですが・・・

 

 靖国での・・・

 分かる人は分かる、

 知っている人は知っている、

 ヤマトネタです。

 

 シーメンス事件で日本海軍は、一新人事。不良ポストも減らされます。

 大戦目前でなにやってるんでしょう。

 

 サラエボ事件、

 この年、各国とも暴走宣戦布告せず、警告と沈黙でとどまりそうです。

 

  

 

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第06話 1913年 『軍を増強しても、国は近代化しない』
第07話 1914年 『労奴か、侵略か』
第08話 1915年 『戦争と、平和と・・・』